万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

愛知県の若者向け’ワクチン接種で食事券1万円イベント’の問題

2021年10月25日 10時54分03秒 | 日本政治

 愛知県では、11月30日を期限として、今月末までに2回のワクチン接種を終えた満20歳から39歳までの県民を対象として、1万円の食事券が当たるというイベントを実施しております。既に申し込んでいる若者の数は10万人を数え、当選者は2万人を予定しているそうです。しかしながら、このイベントには、以下の諸問題があるように思えます。

 

 第1の問題点は、言わずもがな、特に若者層におけるワクチン・リスクが表面化してきている点です。遺伝子ワクチンについては、早い段階から心筋炎や心膜炎の発症が指摘されてきましたが、政府もマスコミも’デマ’扱い、あるいは、無視を決め込んでいました。しかしながら、スウェーデンやデンマークといった北欧諸国の政府は同リスクを公式に認め、より発症率が高いとされるモデルナ社のワクチン接種を禁止する措置を採っています。日本国にありましても、今月の15日に至り、厚労省が「新型コロナワクチンを接種した後、心筋炎・心膜炎の発症事例が報告されている」とする注意喚起を行っています。国内にあって多くの若者層が接種しているのはモデルナ製ですので、同情報を知っていれば(当然に伝わっているはず…)、ワクチン・リスクを考慮して若者層を対象とした接種推進キャンペーンは、むしろ中止としてもよいはずなのです。同イベントには、県民の生命や健康軽視の姿勢が窺えるのです。

 

第1の問題点に関連して第2に挙げられるのは、ワクチン接種という命や健康に関わる重大な決断に際して、公的機関が、1万円の食事券という利益で釣っても良いのか、という問題です。仮に、現状にあって新型コロナウイルス感染症の重症化率や致死率が極めて高く、かつ、ワクチンに宣伝されているような効果があれば、然したる特典を設けなくとも、多くの人々が自発的にワクチンを接種するはずです。そもそも、感染や重症化の防止といった本来の目的とは何ら関係のない食事券という特典を以って、ワクチンを接種する動機を人為的に造り出そうとする地方自治体の不可解な態度こそ、怪しまれて然るべきです。

 

 第3の問題点は、同イベントが、公平性を欠いている点です。1万円の食事券は全ての飲食店で使用できるわけではなく、「あいスタ認証店」に限定されています。「あいスタ認証店」とは、愛知県が、徹底した感染対策を実施しているお店として公式に認証した飲食店です。言い換えますと、同イベントは、県の予算の下でワクチン接種者と「あいスタ認証店」の両者に対してのみ特別の便宜を図るイベントであると言えましょう。そしてそれは、ワクチン・リスクへの警戒や体質などでワクチンを受けることができない非接種者、並びに、基準を満たすための設備投資等の負担が重いといった理由で「あいスタ認証店」となれない飲食店を排除することを意味します。深刻なワクチン・リスクのみならず、その効果の継続性等についても疑問が持たれている今日、ワクチン接種の推進が、こうした利益誘導型の政策を正当化できるのかどうか、全く以って疑わしいのです。

 

 以上の諸点は主催者側に関する問題点ですが、第4番目に問題点を挙げるとすれば、それは、同イベントに応募した10万人の若者、あるいは、これから接種して応募しようとしている若者たちの認識です。政府やマスメディアは、’極めて稀な’を枕詞としていますが、それでも、ワクチン接種によって命を失ったり、一生涯に亘る後遺症が残るケースがあります。特に若者のワクチン接種については、デメリットがメリットを上回るとされており、本来であれば、同世代は、ワクチン接種には慎重なはずなのです(マイナス情報も入手しやすいスマホ世代の若者の方が情弱という不思議…)。にもかかわらず、仮に、10万人も応募していたとしましたならば、他府県の若者に対する同調圧力の演出なのかもしれません。

 

 ワクチン接種者と指定飲食店との対関係からしますと、愛知県が考案した同イベントは、「ワクチン・パスポート」の全面的な導入に向けた’実証実験’の一環であるのかもしれません。そして、それは、「ワクチン・パスポート」の導入の目的として、ワクチンメーカーなどとは別の次元における官製の’ワクチン・ビジネス’なるものが準備されている可能性をも示唆しています(もっとも、独占禁止法等の違反行為となる可能性も…)。国民にあっては同制度の導入に反対の声も強く、愛知県の試みを検証することは、同制度のリスクや問題点を明らかにする作業ともなるのではないかと思うのです。


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