逃げ続けるがゆえに追い続けてゆかざるをえない、移ろい続ける瞬間。
この曲は、オリジナルが特別だ。
ピアノに触るようになって、今さらながら思うのだが、
その時、その空気、に響いていた音色というのは唯一無二の音で、同じ音にはならない。
楽器やコンディションの違いも含めて、
その場所で共鳴していた音というのは、そこにだけ在ったもの。
最初の1音 " the" を聴いたとき、その一瞬で これは凄いと感じた、と前に書いた。 (The ロング・アンド・ワインディング・ロード)
レコーディングの際のちょっとしたハプニングか何かで、特有の歪んだ音色が生まれたものだと思っていたら、
そうでもなく、メイキング途上のテイクでも、歪んだニュアンスで歌っている。
The Making of the Long and Winding Road Part 1
この曲やLet it beは、極めてピュアでネイキッドな曲だというのに、
不思議なことに、以降のライブ・パフォーマンスでは、繊細なニュアンスは失われてしまっている。
ポール自身が再録したバージョンでもそう。
ブラームスの音楽は、本来狭い暗がりの部屋の中で聴かれるように作られているのではないかという話を読んだことがあるが、
原曲には、大きなライブ会場で聴くのではない、傍で聴いているような親密感がある。
不思議のもうひとつは、この曲やLet it beの良いカバーがなかなか見つけられないこと。
演奏やニュアンスの好みの問題を差し引いても、ストレートに楽曲の良さが伝わってくる演奏や歌に出会うことが殆どない。
なのに、タケカワユキヒデさんが歌うバージョンが素晴らしかった。
たぶんポールの意図に反しているであろう、フィル スペクターも驚くほどの壮麗なオーケストレーションが、すごい。
年末の第九の合唱や、歌劇のようで、仰々しいとされがちな解釈なのだが、
これでもかと言わんばかりに、たっぷりとハープが曲の輪郭の上でキラキラ踊り、
羽田健太郎さんのピアノは、ラフマニノフのコンチェルトを聴いているようだ。
タケカワユキヒデ「The long and winding road」
久しぶりにCDを焼きました。
Dirpyすごい! 便利! (Dirpy安全?ウイルス感染の危険性はある?評判と使い方について )
ソフトをインストールしなくても、YouTubeから音声をダウンロードできる。
来年は、ピアノに力を入れようと思って、弾き歌いの練習になるようなものを集めてきました。
(Hey Judeの下降進行や、Yesterdayのカウンター・パートにも歌を乗せられるように)
素人の方の演奏や、中には小学生のピアノ演奏まであります。
YouTubeというのは、本当に音楽の愉しみ方を拡げてくれたと思います。
商業ベースに乗ってないような、アマチュアの音楽もシェアされていて、
そんな中に自分にとっての名演を見つけられる。
小学生の女の子の弾くピアノに感激したり、おじいさんの弾くギターに聴き惚れてしまったりする。
レコード店やオンラインで配信されているものだけが、聴くに値する音楽だというわけではないと思う。
(逆に、Hey JudeやLet it beを上手に歌えていないプロやネイティブの方も沢山いる。
ストリート・ピアノで弾き歌いしているお兄さんのが格好良かったりする。)
音楽をプレイする楽しさが伝わってくるのは、むしろアマチュアの音楽だったりもする。
自分の歌までしのばせてしまったのはご愛嬌。
コード付けとか、いろいろ勉強する刺激になるから。
いつか、McCartneyⅡを録音していた時のポールのように、” 自分で楽しむ用に作った音楽 ” をもっと楽しめるといいなぁ。
イエスタディでも、作った当の本人が、こんなに愉しんでいます。
Yesterday - McCartney Rehearsal
というわけで、最近は、音楽をアナリーゼする読書にも勤しんでおります。
Twitterの中に埋もれかけていた、年の瀬の記憶。
~ 緩い生クリームは結構好きです。アルペンに遊んでいるようで、
どさくさに紛れて、雪崩をうったように食べることができます。
~ 長崎は魚が美味しいらしいので、肉が食べたかったそうです。
〆も、” 日本一おいしいミートソース ” を替え玉で。
年の瀬の〆はやっぱり、蕎麦でいこうと思います。
皆さま、よい大晦日をお過ごしください。