ウェストミンスター寺院の内部は撮影禁止なので、行った後に撮影した写真をアップすることが出来ない。 (目に焼き付けて、絵葉書などで思い起こすしかない。)
それに、私のように歴史に疎い者であれば、少しばかり予備知識を仕込んでおいた方が良い。 行ってから見るべきポイントも分からずにいると、 甲斐善光寺のお戒壇巡りの時 のように、 途中鍵に触れることで御本尊と縁結びをするという趣向を知らずに、 慌てて廻ってしまうようなことになってしまうから。
( ↑ ) 戴冠式の椅子。 (上の図の⑤。尚、①は聖域(Santuary)、②は主祭壇(High Alter)。 1301年に作られたこの椅子の下には代々スコットランド王が戴冠する時に使ったとされる 「運命の石」が置かれていたが、1996年になって、ようやくスコットランドのエジンバラ城 に返還されたという。)
生涯独身を通して国の統治に力を注いだエリザベス1世(現在の女王はエリザベス2世)が 1559年にここで戴冠式を挙げて以来、多くの君主の戴冠式が行なわれた。 一方でエリザベス1世即位後も、正当なイングランドの世継ぎだと主張する人が絶えなかったのが スコットランドの女王、メアリー スチュアート。 1603年にエリザベス1世崩御の後、 彼女の息子でスコットランド王のジェームズ1世がイングランドの王座につき、 長い確執を経て、ようやく二つの国がひとつになったと云う。 (この頃に書かれた物語に、イギリス人なら誰もが知っているという「時の旅人(アリソン アトリー著)」がある。 ポールの代表曲のひとつにスコットランドのことを歌った「夢の旅人」という曲があるが、 スコットランドとイングランドの歴史的背景を知る人による邦題のネーミングなのでしょう。)
( ↓ ) この二人が同じウェストミンスター寺院に埋葬されている。 まるで戦国時代の武将が、敵味方の分け隔てなく一堂に会する高野山 奥の院みたいだ。 (高野山 /奥の院 ~ 史上最大のお墓参り )
シェイクスピアやルイス キャロル、ディケンズ{私はなぜかデイビー クロケットと混同する)やヘンデル、ニュートンの墓所もあるという。
エリザベス1世
スコットランド女王 メアリー スチュアート
(左)イギリスの国章は、 イングランドの象徴であるライオンと、 スコットランドの象徴であるユニコーンが盾を支えている。 盾の中に2組配された金色の獅子3頭はイングランド王室紋章、 金の地に赤い獅子はスコットランドの紋章、 竪琴はアイルランドの紋章とのこと。
(右)イギリスのパブには「レッドライオン」が多く、チェーン店と勘違いするが、さにあらず。 ジェームズ1世が自分の統治を広く知らしめる為に公共の場所に赤い獅子(スコットランドの象徴) の絵を表するように命じて広まったんだとか。
今晩はダイアナ元妃の次男ハリー王子の結婚式がウインザー城で執り行われていますが、 ウィリアム王子とキャサリン妃は2011年にウェストミンスター寺院で結婚式を挙げた。
墓所のある場所で結婚式を挙げる、という死生観はどこか日本人にはない感覚だと思う。
それに母であるダイアナ元妃の葬儀が執り行われた場所でもある。
イギリス人は、ゴーストツアーが好きだったり、 霊的なものを、意識的に生の中に採り入れているようにすら思える。
Elton John - Candle in the Wind/Goodbye England's Rose (Live at Princess Diana's Funeral - 1997)VIDEO
前に「 八重の桜 ~ 2013年の磔刑(たっけい) 」という記事を書きましたが、 キリストの磔刑像のように、日常的に 「目に見える形」として死者と接しているかどうか、 が、死生観に対する感覚の違いの原因なのかもしれません。
磔刑に処せられたキリストを敗者だなんて言う人はいないでしょう。
むしろ、自分の生命を犠牲として捧げたという、ものすごい贈与を行ったことが、 磔刑像として、誰もが「見れば分かる」共通の正義や大義のシンボルになっている。
④レッド・ライオンのパブでひと休みして、 ⑤バンケティング・ハウスに行くプランが本の中で紹介されていました。
フランダースの犬の最終回では、ネロが亡くなる前に、 ベルギーの「アントワープ聖母大聖堂」にあるルーベンスの絵画が出てきます。 「キリスト昇架」、「キリスト降架」、そして、聖母マリアが亡くなる様子を描いた「聖母被昇天」。
フランダースの犬【最終回】後悔するハンスとコゼツの旦那 VIDEO
『 フランダースの犬』のネロが命尽きた教会と亡くなる前に見た絵 VIDEO
バンケティング・ハウスには、そのルーベンスによる、 ジェームズ1世の統治を称えた天井画があります。 ここはエリザベス1世の父、ヘンリー8世が住居としていたホワイトホール宮殿の一部。 (かつてロンドンで最も大きく壮麗な建物だったホワイトホール宮殿が17世紀の火事で焼け、 唯一残ったのがこの大広間だという。)
ウェストミンスター寺院(オープンは9:30)を観てから、 セント・ジェームズ・パークを通って 11:30から始まるバッキンガム宮殿の衛兵の交代式を見に行けばよさそうだ。 (場所確保のためには30分前の11:00頃には到着しておいた方が良いらしい。)
やっぱり、それではちょっと強行軍になってしまいそうだから、現地でアレンジしよう。
因みに、ポールの「プレス」(これは映像には無いシングル・バージョンが圧倒的にカッコいいのですが。) の地下鉄シーンは サウス・ケンジントン ~ ピカデリー・サーカス間で撮られたようです。
Paul McCartney "Press" 1986- Set in South Kensington, Baker Street, Piccadilly Circus, London VIDEO