Cape Fear、in JAPAN

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『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

多妻に憧れはないが、多才にはなりたい

2013-06-29 02:23:14 | コラム
映画監督タナダユキ(トップ画像)による長編小説『復讐』を読む。

えがった。
というか、多才なひとだなぁと感心した。

映画と小説のちがいを明確にさせながらも、根っこのところでつながっている―自分はそう捉え、なんだかうれしかった。

カメレオンのようなアーティストも面白いが、どんな表現スタイルであれ「同一性、というもの」を感じさせてくれるほうが信頼出来る気がするから。

本業は作家ではないひとの、小説あるいは詩集やコラム・エッセイなどなど。

今宵はタナダユキのように、多才なひとだなぁと感心した10人の作品をセレクトしてみたい。


※発表当時「作家を本業としていなかった」だけで、現在は「それメインのひと」も含まれる


(1)『芸人失格』(元芸人、松野大介)

中山秀征と「ABブラザーズ」を結成、80年代に人気を博す。
しかし中山のような「小」器用な振る舞いが出来ず、徐々に業界で浮く存在に。

そこで抱いた違和感や劣等感を繊細に描き、胸に迫るものがある。

(2)『プラトニック・セックス』(元AV女優、飯島愛)

AV嬢の告白本は多いが、頭ひとつ抜きん出ているかと。

ゴーストが書いたんだろうとか、いろいろいわれたが、あなたの最も汚いとされるところに舌を入れたい―と結ぶ最後の文章は、少なくとも愛ちゃん自身のものだろう。

(3)『架空OL日記』(芸人、バカリズム)

人気ブログをまとめたもの。

タイトルそのまんまなので解説不要だが、多才というか、えれー頭いいなぁと思った。

(4)『キャッチャー・イン・ザ・オクタゴン』(元格闘家、須藤元気)

格闘技の最高峰UFCで活躍した格闘家による、いわゆるスポ根モノ。
しかし愛と希望を独自のセンスで語るひとだから、王道からは自然とずれていく。そこがいい。

10年ほど前、代々木第一体育館で声援を送った格闘家が、まさかアーティストとして歌って踊ることになるとは・・・世の中、分からないねぇ。(文末動画参照)

(5)『陰日向に咲く』(芸人、劇団ひとり)

構成の巧さに唸った。
完成度という点では、このリストのなかでベストかもしれない。

新作、書いてくれないかな。

(6)『nude』(元AV女優、みひろ)

愛ちゃんはAVを全肯定していたが、彼女の場合は、どちらかというと否定の感情のほうが強い。
それでも仕事を続けていく―そのあたりの葛藤がきちんと表現されていて、グッときた。

(7)『二つの月の記憶』(女優、岸田今日子)

7つの短編からなるミステリ。
一筋縄ではいかない物語は、このひとのイメージにぴったり。

とくに1本目の『オートバイ』は秀逸。

(8)『ダディ』(歌手、郷ひろみ)

抱腹絶倒。
何度読んでも笑えるし、笑い過ぎてページを繰れないほどなのだった。

本人に笑わせるつもりはないのだろうが、稚拙な表現も含め、自分は「あり」だと強く支持する。
つまり、「裏」名著。

(9)『女優の夜』(女優、荻野目慶子)

告白本と暴露本と、その両面を併せ持っている。

深作欣二とのエピソードは、たいへんパンチがあった。

(10)『その日東京駅五時二十五分発』(映画監督、西川美和)

堂々と文学している。

格好いいと思った。


※須藤元気率いるWORLD ORDER




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明日のコラムは・・・

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コメント (1)
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