Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

にっぽん男優列伝(284)原田芳雄

2015-06-19 12:27:19 | コラム
40年2月の、、、おぉ29日生まれ!!
2011年7月19日死去、享年71歳。
東京出身。

優作は大好き。
けれども、優作が影響を受けたとされる原田芳雄(はらだ・よしお)さんには、正直ピンときませんでした。

ワイルド/アウトローといえば聞こえはいいですが、汚い格好をして、無精髭を生やしている―黒澤時代劇における三船のようで、自分のなかではそれを格好いいと思えなかったのです。

あれに似ているかもしれません・・・
バート・レイノルズがハリウッドのセックスシンボルだとする記事を読んだとき、米国人分かんね!! と思った感覚に。



でも、原田さんの存在感は認めるほかないな―なんだかとってもエラソーですが、学生だったころの映画小僧でさえ、そう思っていたわけです。
日本映画史的に重要とされる作品には、けっこうな確率で顔を出していますし。

そのなかのひとつ、『ツィゴイネルワイゼン』(80)はそーとーなインパクトがありました。



奇をてらうというのは批判的な意味合いの強いことばですが、それを徹底すればアートに昇華出来るのだな、、、そんなことを教わった快作です。
そしてこの作品こそ、100本超を誇る原田さんのキャリアのなかでも頂点に位置するのではないかと。

遺作も悪くなかったですけどね。




<経歴>

息子はミュージシャンの原田喧太。

高校卒業後に俳優座養成所の15期生として入所。
同期には夏八木勲や前田吟、地井武男、栗原小巻、太地喜和子らが居て、いわゆる「当たり年」だったとされています。

俳優デビューは67年のテレビドラマ、『天下の青年』(フジテレビ)。
翌年、『復讐の歌が聞える』(68)で映画界へ参入する。

デビュー当初は一般的な? 青年役が多かったものの、
俳優座の旧態依然とした体質を批判、退座したあたり(=71年)からアウトロー気質が際立つようになり、それがそのまま映画の内容に反映されていくようになります。

『反逆のメロディー』(70)、『新宿アウトロー ぶっ飛ばせ』(70)、『野良猫ロック 暴走集団’71』(71)、『関東流れ者』(71)、『八月の濡れた砂』(71)・・・タイトルがもう、そんな感じのものばかりですものねぇ。

『無宿人御子神の丈吉』シリーズ(72年の「牙は引き裂いた」、同年の「川風に過去は流れた」、73年の「黄昏に閃光が飛んだ」)、
『修羅雪姫 怨み恋歌』(74)、
『竜馬暗殺』(74)では竜馬を熱演、
『田園に死す』(74)、『祭りの準備』(75)、『裸足のブルージン』(75)、
批評を拒否するかのような馬鹿馬鹿しさに溢れた、高倉健との共演作『君よ憤怒の河を渉れ』(76)、
『やさぐれ刑事』(76)、『はなれ瞽女おりん』(77)、『柳生一族の陰謀』(78)、『原子力戦争』(78)、大森一樹の『オレンジロード急行』(78)、『さらば映画の友よ インディアンサマー』(79)。

80年―前述した『ツィゴイネルワイゼン』に主演。

映画なんて玩具に過ぎない―が信条の鈴木清順が徹底的に作りこんだ世界観のなかで、原田さんや大楠道代が最高のパフォーマンスを見せる・魅せる。

大森一樹の傑作『ヒポクラテスたち』(80)、
『ミスター・ミセス・ミス・ロンリー』(80)、『スローなブギにしてくれ』(81)、『陽炎座』(81)、『水のないプール』(82)、『TATTOO<刺青>あり』(82)、『泪橋』(83)、『すかんぴんウォーク』(84)、『海燕ジョーの奇跡』(84)、
寺山修司の『さらば箱舟』(84)、
『ユー・ガッタ・チャンス』(85)、『生きてるうちが花なのよ死んだらそれまでよ党宣言』(85)、『友よ、静かに瞑れ』(85)、『コミック雑誌なんかいらない!』(86)、『キャバレー』(86)、『ビリィ★ザ★キッドの新しい夜明け』(86)、
『ちょうちん』(87)、『さらば愛しき人よ』(87)、
盟友・黒木和雄による戦争三部作のひとつ目『TOMORROW 明日』(88)、
『螢』(89)、『夢見通りの人々』(89)、『どついたるねん』(89)、『二十世紀少年読本』(89)

10年ごとにまとめてみましたが、このひとの出演作を追っていけば、おのずと日本映画史が浮かび上がってくる―という意味で、やはり無視出来ない俳優さんであると。

『浪人街』(90)、『われに撃つ用意あり』(90)、『鉄拳』(90)、『夢二』(91)、『無能の人』(91)、『いつかギラギラする日』(92)、『寝盗られ宗介』(92)、『シンガポールスリング』(93)、
『ファザーファッカー』(95)、『眠れる美女』(96)、『ビリケン』(96)、『鬼火』(97)、『プープーの物語』(98)、『白痴』(99)。
『ざわざわ下北沢』(2000)、『スリ』(2000)、出演者全員が気の毒に思えた『PARTY7』(2000)、『KT』(2002)、『凶気の桜』(2002)、『あずみ』(2003)、『ナイン・ソウルズ』(2003)、
『美しい夏キリシマ』(2003)、『父と暮せば』(2004)、
『ニワトリはハダシだ』(2004)、『亡国のイージス』(2005)、『花よりもなほ』(2006)、『悪夢探偵』(2007)、『どろろ』(2007)、『オリヲン座からの招待状』(2007)、『歩いても歩いても』(2008)、『たみおのしあわせ』(2008)。

2008年、大腸癌が発見され入院する。
しばらく静養したのち仕事復帰、

『ウルトラミラクルラブストーリー』(2009)、映画美術の大家・木村威夫の初監督作『黄金花 ―秘すれば花、死すれば蝶―』(2009)などで元気な姿を見せる。

『座頭市 THE LAST』(2010)、『ロストクライム ―閃光―』(2010)、『奇跡』(2011)。

2011年7月19日、肺炎のため死去。
享年71歳。
映画の遺作は、自らが企画から参加した『大鹿村騒動記』(2011)。

亡くなったのは、この映画が公開された3日後のこと。

劇的に過ぎて、なんもいえねぇ!! ですよね。

…………………………………………

本館『「はったり」で、いこうぜ!!』

…………………………………………

明日のコラムは・・・

『にっぽん男優列伝(285)東出昌大』

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする