某日―。
天候が優れないので、「仕方なく」電車で現場に向かう。
ふだん電車に乗らなくとも、定位置は決めている。
ドア付近。
いや、でもちゃんと、乗降の際はいちど降りて妨げにならないよう気をつけているよ。
あの場所から、ゼッタイに動かないヤツも居るものねぇ!!
相変わらず電車では座らない。
体力維持? のためと、席を譲る際のアレヤコレヤが面倒だと思っているので、だったら最初から座らないよ、、、という考えである。
乗車時間が短ければ人間観察・美女観察を、長ければタブレットで読書する。
で、その日は短めだったので人間観察を。
すると、ある美少女に目が留まった。
私服の女子高生かなぁ、ややギャルっぽい格好をしているが、文庫本を読んでいる。
ブックカバーをしていないから、すぐになにを読んでいるのかが分かった。
自分の終生の愛読書、漱石作『それから』だったのである。
マジか!?
いまっぽい女子高生が、カバーをつけずに『それから』を読んでいる!!
…………………………………………
「あなたにこれから先どうしたらいいという希望はありませんか」と聞いた。
「希望なんかないわ。なんでもあなたの言うとおりになるわ」
「漂泊―」
「漂泊でも好いわ。死ぬと仰れば死ぬわ」
代助はまたぞっとした。
「このままでは」
「このままでもいいわ」
「平岡君はまったく気がついていないようですか」
「気がついているかもしれません。けれども私もう度胸をすえているから大丈夫なのよ。だっていつ殺されたって良いんですもの」
「そう死ぬの殺されるのと安っぽく言うものじゃない」
…………………………………………
いま、朝日新聞で『それから』が再掲載中で、あらためてこの傑作と向かい合っているが、文章が表現が完璧に過ぎて、毎日毎日落ち込んでいる。
そうして、千円札紙幣に描かれた肖像画に手を合わせている。
ごめん、ちょっと嘘を吐いた。
でも、手を合わせたいと思わせるほどに、自分はこのひとのことが好きだ。
声をかけたかったし、向こうも応じてくれそうだと思ったが、いやいやこっちだって仕事中じゃないか。
(緒形直人と)話すきっかけがほしくて、わざわざ同じ宮沢賢治の文庫本を持ち歩いていたのは、『北の国から』の中嶋朋子だったねぇ。。。
話せなかったが、うれしい。
とにかくうれしいよ、現代っ子があんな風に『それから』を読んでくれるなんて。
というわけできょうは、いつも展開している映画の10傑のような感じで、本の10傑をやってみたい。
だいぶ前に載せたような気もするが、少し変化があったものでね、あらためて。
※小説・批評・漫画すべての本が含まれる
(1)『それから』(夏目漱石)
これを読んで、モノカキになりたいと思った。
(2)『山月記』(中島敦)
すぐ読み終わる短編だが、時間をかけてじっくり読みたい。
(3)『百年の孤独』(ガルシア・マルケス)
これ読んでもいないのに表現を語るな―と、先輩に強引に読まされた。
(4)『詩人ケン』(業田良家)
漫画と詩の融合。
(5)『悲しみよこんにちは』(フランソワーズ・サガン)
冒頭に尽きる。
(6)『大いなる助走』(筒井康隆)
愉快、痛快。
(7)『東大一直線』『東大快進撃』(小林よしのり)
後半の怒涛の展開は、『それから』に匹敵する。
(8)『映画辛口案内』(ポーリン・ケイル)
自分が初めて手にした批評集。
(9)『山の音』(川端康成)
『雪国』や『伊豆の踊り子』に比べて地味かもしれないが、深~~いテーマが宿っていて感動した。
(10)『黒い雨』(井伏鱒二)
記録文学の頂点に位置する作品かと。
※そういえばこのPVの男女も、「本」きっかけで出会ったんだよね
…………………………………………
本館『「はったり」で、いこうぜ!!』
…………………………………………
明日のコラムは・・・
『ダーリンとハニー』
天候が優れないので、「仕方なく」電車で現場に向かう。
ふだん電車に乗らなくとも、定位置は決めている。
ドア付近。
いや、でもちゃんと、乗降の際はいちど降りて妨げにならないよう気をつけているよ。
あの場所から、ゼッタイに動かないヤツも居るものねぇ!!
相変わらず電車では座らない。
体力維持? のためと、席を譲る際のアレヤコレヤが面倒だと思っているので、だったら最初から座らないよ、、、という考えである。
乗車時間が短ければ人間観察・美女観察を、長ければタブレットで読書する。
で、その日は短めだったので人間観察を。
すると、ある美少女に目が留まった。
私服の女子高生かなぁ、ややギャルっぽい格好をしているが、文庫本を読んでいる。
ブックカバーをしていないから、すぐになにを読んでいるのかが分かった。
自分の終生の愛読書、漱石作『それから』だったのである。
マジか!?
いまっぽい女子高生が、カバーをつけずに『それから』を読んでいる!!
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「あなたにこれから先どうしたらいいという希望はありませんか」と聞いた。
「希望なんかないわ。なんでもあなたの言うとおりになるわ」
「漂泊―」
「漂泊でも好いわ。死ぬと仰れば死ぬわ」
代助はまたぞっとした。
「このままでは」
「このままでもいいわ」
「平岡君はまったく気がついていないようですか」
「気がついているかもしれません。けれども私もう度胸をすえているから大丈夫なのよ。だっていつ殺されたって良いんですもの」
「そう死ぬの殺されるのと安っぽく言うものじゃない」
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いま、朝日新聞で『それから』が再掲載中で、あらためてこの傑作と向かい合っているが、文章が表現が完璧に過ぎて、毎日毎日落ち込んでいる。
そうして、千円札紙幣に描かれた肖像画に手を合わせている。
ごめん、ちょっと嘘を吐いた。
でも、手を合わせたいと思わせるほどに、自分はこのひとのことが好きだ。
声をかけたかったし、向こうも応じてくれそうだと思ったが、いやいやこっちだって仕事中じゃないか。
(緒形直人と)話すきっかけがほしくて、わざわざ同じ宮沢賢治の文庫本を持ち歩いていたのは、『北の国から』の中嶋朋子だったねぇ。。。
話せなかったが、うれしい。
とにかくうれしいよ、現代っ子があんな風に『それから』を読んでくれるなんて。
というわけできょうは、いつも展開している映画の10傑のような感じで、本の10傑をやってみたい。
だいぶ前に載せたような気もするが、少し変化があったものでね、あらためて。
※小説・批評・漫画すべての本が含まれる
(1)『それから』(夏目漱石)
これを読んで、モノカキになりたいと思った。
(2)『山月記』(中島敦)
すぐ読み終わる短編だが、時間をかけてじっくり読みたい。
(3)『百年の孤独』(ガルシア・マルケス)
これ読んでもいないのに表現を語るな―と、先輩に強引に読まされた。
(4)『詩人ケン』(業田良家)
漫画と詩の融合。
(5)『悲しみよこんにちは』(フランソワーズ・サガン)
冒頭に尽きる。
(6)『大いなる助走』(筒井康隆)
愉快、痛快。
(7)『東大一直線』『東大快進撃』(小林よしのり)
後半の怒涛の展開は、『それから』に匹敵する。
(8)『映画辛口案内』(ポーリン・ケイル)
自分が初めて手にした批評集。
(9)『山の音』(川端康成)
『雪国』や『伊豆の踊り子』に比べて地味かもしれないが、深~~いテーマが宿っていて感動した。
(10)『黒い雨』(井伏鱒二)
記録文学の頂点に位置する作品かと。
※そういえばこのPVの男女も、「本」きっかけで出会ったんだよね
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本館『「はったり」で、いこうぜ!!』
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明日のコラムは・・・
『ダーリンとハニー』