36年12月2日生まれ、79歳。
千葉出身。
黒澤に見いだされ、『天国と地獄』(63)で竹内銀次郎を演じて以降、
老いてもなお屈折したキャラクターを演じる山﨑努(やまざき・つとむ)さん、こういうひとが映画を面白くするのだと思います。
自分にとっての黒澤の最高傑作ですからね、銀次郎のラストちかくの台詞なんて、いまでもソラでいえますよ。
権藤「君はなぜ、君と私を憎みあう両極端として考えるんだ」
竹内「なぜだか分かりませんね。私には自己分析の趣味なんかありませんからね。…ただ、私のアパートの部屋は冬は寒くて寝られない、夏は暑くて寝られない。その三畳の部屋から見上げるとあなたのウチは天国みたいに見えましたよ。毎日毎日見上げているうちにだんだんあなたが憎くなってきた。しまいにはその憎悪が生き甲斐みたいになってきたんですよ」
それでも世代的にいって、自分が山﨑さんの演技に触れたのは黒澤ではなく、伊丹映画が最初でした。
伊丹映画の主演にしろ助演にしろ、やっぱりどこかクセがあるというか、ふつうではないキャラクターでしたものね。
おかしな、でも面白いオッサンだな・・・そんな風に感じていたんだと思います。
※2000年代以降では、現時点ではこれがベストか
<経歴>
妻は宝塚女優だった黛ひかる、娘の山崎直子も女優。
59年、文学座に入団。
映画俳優デビューは翌年の60年で、岡本喜八による『大学の山賊たち』でした。
『東京夜話』(61)、『その場所に女ありて』(62)、『雪の降る街に』(62)、
そして、『天国と地獄』の演技で知名度をグンと上げる。
三船にも気に入られ、三船自らが監督した『五十万人の遺産』(63)にも出演、
『女の歴史』(63)、『悪の紋章』(64)、『肉体の学校』(65)、
再び黒澤からオファーを受けた『赤ひげ』(65)、
『姿三四郎』(65)、『悪の階段』(65)、『愛の手紙は幾歳月』(66)、『あかね雲』(67)。
とくに70年代の活躍は目覚ましく、
『顔役』(71)、『人間標的』(71)、『黒の奔流』(72)、
『新仁義なき戦い 組長の首』(75)、『その後の仁義なき戦い』(79)、
殺人鬼・多治見要蔵を不気味に演じた『八つ墓村』(77)、
クーデター実行部隊の隊長を演じた『皇帝のいない八月』(78)、
『夜叉ヶ池』(79)などなど、印象に残る映画が多いです。
『影武者』(80)、『地震列島』(80)、『スローなブギにしてくれ』(81)、『ダイアモンドは傷つかない』(82)、『道頓堀川』(82)、『さらば箱舟』(84)。
伊丹十三に出会い、『お葬式』(84)で初タッグを組むと意気投合、『タンポポ』(85)、『マルサの女』(87)とつづけて出演する。
『ハリマオ』(89)、『舞姫』(89)、『利休』(89)。
感心したのは、93年の『僕らはみんな生きている』。
南西アジアへの出張を命じられた若手サラリーマン(真田広之)をサポートするかに見えて、じつは主人公以上にビクビクしているっていう。
このあたりからは円熟期でしょう、映画の出来はどうあれ山崎さんの演技は安心して見ていられるという状況がつづいていきます。
『水の旅人 侍KIDS』(93)、『女ざかり』(94)、『静かな生活』(95)、『あ、春』(98)、『サラリーマン金太郎』(99)。
『天国から来た男たち』(2001)、『女学生の友』(2001)、『GO』(2001)、
この映画のキャストすべてが気の毒に思った『模倣犯』(2002)、
『刑務所の中』(2002)、『13階段』(2003)、『死に花』(2004)、『世界の中心で、愛をさけぶ』(2004)、『雪に願うこと』(2006)、『クライマーズ・ハイ』(2008)、『おくりびと』(2008)、『ラーメンガール』(2009)。
『SPACE BATTLESHIP ヤマト』(2010)、『麒麟の翼 ~劇場版・新参者~』(2012)、『はやぶさ 遥かなる帰還』(2012)、『キツツキと雨』(2012)、『藁の楯』(2013)、『奇跡のリンゴ』(2013)、『日本のいちばん長い日』(2015)、『駆込み女と駆出し男』(2015)、『俳優 亀岡拓次』(2016)、そして最新作が『殿、利息でござる!』(2016)。
そうそう、92年には・・・
隣家の火事に気づいて消火活動をおこない、逃げ遅れた老夫婦を救出した―というニュースが報じられました。
なかなか出来ることではありませんよね、
ただただ、かっけー! すげー!! と思います。
次回のにっぽん男優列伝は、山下真司さんから。
…………………………………………
明日のコラムは・・・
『「観ない」という選択肢が、ない。』
千葉出身。
黒澤に見いだされ、『天国と地獄』(63)で竹内銀次郎を演じて以降、
老いてもなお屈折したキャラクターを演じる山﨑努(やまざき・つとむ)さん、こういうひとが映画を面白くするのだと思います。
自分にとっての黒澤の最高傑作ですからね、銀次郎のラストちかくの台詞なんて、いまでもソラでいえますよ。
権藤「君はなぜ、君と私を憎みあう両極端として考えるんだ」
竹内「なぜだか分かりませんね。私には自己分析の趣味なんかありませんからね。…ただ、私のアパートの部屋は冬は寒くて寝られない、夏は暑くて寝られない。その三畳の部屋から見上げるとあなたのウチは天国みたいに見えましたよ。毎日毎日見上げているうちにだんだんあなたが憎くなってきた。しまいにはその憎悪が生き甲斐みたいになってきたんですよ」
それでも世代的にいって、自分が山﨑さんの演技に触れたのは黒澤ではなく、伊丹映画が最初でした。
伊丹映画の主演にしろ助演にしろ、やっぱりどこかクセがあるというか、ふつうではないキャラクターでしたものね。
おかしな、でも面白いオッサンだな・・・そんな風に感じていたんだと思います。
※2000年代以降では、現時点ではこれがベストか
<経歴>
妻は宝塚女優だった黛ひかる、娘の山崎直子も女優。
59年、文学座に入団。
映画俳優デビューは翌年の60年で、岡本喜八による『大学の山賊たち』でした。
『東京夜話』(61)、『その場所に女ありて』(62)、『雪の降る街に』(62)、
そして、『天国と地獄』の演技で知名度をグンと上げる。
三船にも気に入られ、三船自らが監督した『五十万人の遺産』(63)にも出演、
『女の歴史』(63)、『悪の紋章』(64)、『肉体の学校』(65)、
再び黒澤からオファーを受けた『赤ひげ』(65)、
『姿三四郎』(65)、『悪の階段』(65)、『愛の手紙は幾歳月』(66)、『あかね雲』(67)。
とくに70年代の活躍は目覚ましく、
『顔役』(71)、『人間標的』(71)、『黒の奔流』(72)、
『新仁義なき戦い 組長の首』(75)、『その後の仁義なき戦い』(79)、
殺人鬼・多治見要蔵を不気味に演じた『八つ墓村』(77)、
クーデター実行部隊の隊長を演じた『皇帝のいない八月』(78)、
『夜叉ヶ池』(79)などなど、印象に残る映画が多いです。
『影武者』(80)、『地震列島』(80)、『スローなブギにしてくれ』(81)、『ダイアモンドは傷つかない』(82)、『道頓堀川』(82)、『さらば箱舟』(84)。
伊丹十三に出会い、『お葬式』(84)で初タッグを組むと意気投合、『タンポポ』(85)、『マルサの女』(87)とつづけて出演する。
『ハリマオ』(89)、『舞姫』(89)、『利休』(89)。
感心したのは、93年の『僕らはみんな生きている』。
南西アジアへの出張を命じられた若手サラリーマン(真田広之)をサポートするかに見えて、じつは主人公以上にビクビクしているっていう。
このあたりからは円熟期でしょう、映画の出来はどうあれ山崎さんの演技は安心して見ていられるという状況がつづいていきます。
『水の旅人 侍KIDS』(93)、『女ざかり』(94)、『静かな生活』(95)、『あ、春』(98)、『サラリーマン金太郎』(99)。
『天国から来た男たち』(2001)、『女学生の友』(2001)、『GO』(2001)、
この映画のキャストすべてが気の毒に思った『模倣犯』(2002)、
『刑務所の中』(2002)、『13階段』(2003)、『死に花』(2004)、『世界の中心で、愛をさけぶ』(2004)、『雪に願うこと』(2006)、『クライマーズ・ハイ』(2008)、『おくりびと』(2008)、『ラーメンガール』(2009)。
『SPACE BATTLESHIP ヤマト』(2010)、『麒麟の翼 ~劇場版・新参者~』(2012)、『はやぶさ 遥かなる帰還』(2012)、『キツツキと雨』(2012)、『藁の楯』(2013)、『奇跡のリンゴ』(2013)、『日本のいちばん長い日』(2015)、『駆込み女と駆出し男』(2015)、『俳優 亀岡拓次』(2016)、そして最新作が『殿、利息でござる!』(2016)。
そうそう、92年には・・・
隣家の火事に気づいて消火活動をおこない、逃げ遅れた老夫婦を救出した―というニュースが報じられました。
なかなか出来ることではありませんよね、
ただただ、かっけー! すげー!! と思います。
次回のにっぽん男優列伝は、山下真司さんから。
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明日のコラムは・・・
『「観ない」という選択肢が、ない。』