「―簡単にいうとね、前売り券っていうのはダンピングなんですよ。ずっと昔から、生粋の興行主はいっていたの、劇場にきたお客さんから入場料をもらうのが正しいって。それをいまじゃ、大々的にやってしまっている。お客さんは売れた売れたということばを信じて劇場にいく。そうしたら、ガラガラだったと。
誰だってね、ガラガラの映画館で映画を観るっていうのは、つまらないことですよ」(大島渚)
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劇場公開初日だというのに、入り口前にひとりも並んでいない、行列が出来ない映画がある。
あるっていうか、そういう映画は意外と多い。
すんなりと入場出来て、「これから入ってくるんだろうな」と劇場内を見回しても、一向にお客さんがやってこない。
そのまま上映がスタートし、そうして終わる。
館内に明かりが戻り、「きっと次の回のお客さんは多いはずだ」と期待して外に出てみると、さっきより少なかったりして。
「あぁ、打ち切りが早そうだ…」
そう呟いて、映画館をあとにする。
そういう経験を、いっぱいしてきた。
もちろん「その逆」もあって、テレビの反響を知らなかったので『踊る大捜査線』の劇場版(98)が連日満席であったことには驚いたし、
また、『愛のコリーダ2000』(76)だって、ミニシアターとはいえ、満席になるなんて思わなかった。
たしかにオオシマさんのいうとおり、ガラガラの映画館は寂しい。
笑い声やすすり泣きが重なる映画体験って、ときに「邪魔!」と思うこともあるが、素敵な現象だとは思うから。
そこできょうは、自分にとって忘れられない「映画館ガラガラ体験」3傑を挙げてみたい。
同時代ばかりなのは、だからこの時期に、最も映画館に通っていたということだろう。
(1)『ソナチネ』(93)
公開初日に、新宿ピカデリーで鑑賞。
映画の内容に「よい意味で」衝撃を受け、客の少なさに「悪い意味で」衝撃を受けた。
自分の記憶がたしかならば、たったの5人だったのだもの。
自分はえらく感激し、そのままもういちど観ようと決めた・・・のだが、次の回はさらに減って、3人しか居なかった。
そう北野武の映画が興行的に成功するのは、バイク事故のあとの『キッズ・リターン』(96)からだったのだ。
(2)『土俵の鬼たち』(94)
自分が映画館でアルバイトしていたころに、上映したくなかったけど、「松竹との関係上」しなければいけなかった作品。
結果的に本作が、この映画館のワースト興行記録を打ち立てることになった。
だって売り上げが、自分の月給以下(!!)だったのだもの。
存在さえ知らないひとのほうが、確実に多いでしょう。
第45代横綱・若乃花幹士(花田勝治)の半生をアニメーション化したもので、観ると、べつにつまらなくはないけれど、正直、誰が観にくるのかな、、、と思ってしまった。
(3)『ショーシャンクの空に』(94)
のちに世紀の名作と呼ばれることになる作品も、公開当時は「あんまり…」ということがある。
『ブレードランナー』(82)もそうだし、本作もそうだった。
それでも。
オオシマさんがいったことばは、この映画には当てはまらないかな。
なぜなら、ガラガラの映画館でも、幸福感に満たされたから。
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明日のコラムは・・・
『shadow + 9月コラムの目次』
誰だってね、ガラガラの映画館で映画を観るっていうのは、つまらないことですよ」(大島渚)
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劇場公開初日だというのに、入り口前にひとりも並んでいない、行列が出来ない映画がある。
あるっていうか、そういう映画は意外と多い。
すんなりと入場出来て、「これから入ってくるんだろうな」と劇場内を見回しても、一向にお客さんがやってこない。
そのまま上映がスタートし、そうして終わる。
館内に明かりが戻り、「きっと次の回のお客さんは多いはずだ」と期待して外に出てみると、さっきより少なかったりして。
「あぁ、打ち切りが早そうだ…」
そう呟いて、映画館をあとにする。
そういう経験を、いっぱいしてきた。
もちろん「その逆」もあって、テレビの反響を知らなかったので『踊る大捜査線』の劇場版(98)が連日満席であったことには驚いたし、
また、『愛のコリーダ2000』(76)だって、ミニシアターとはいえ、満席になるなんて思わなかった。
たしかにオオシマさんのいうとおり、ガラガラの映画館は寂しい。
笑い声やすすり泣きが重なる映画体験って、ときに「邪魔!」と思うこともあるが、素敵な現象だとは思うから。
そこできょうは、自分にとって忘れられない「映画館ガラガラ体験」3傑を挙げてみたい。
同時代ばかりなのは、だからこの時期に、最も映画館に通っていたということだろう。
(1)『ソナチネ』(93)
公開初日に、新宿ピカデリーで鑑賞。
映画の内容に「よい意味で」衝撃を受け、客の少なさに「悪い意味で」衝撃を受けた。
自分の記憶がたしかならば、たったの5人だったのだもの。
自分はえらく感激し、そのままもういちど観ようと決めた・・・のだが、次の回はさらに減って、3人しか居なかった。
そう北野武の映画が興行的に成功するのは、バイク事故のあとの『キッズ・リターン』(96)からだったのだ。
(2)『土俵の鬼たち』(94)
自分が映画館でアルバイトしていたころに、上映したくなかったけど、「松竹との関係上」しなければいけなかった作品。
結果的に本作が、この映画館のワースト興行記録を打ち立てることになった。
だって売り上げが、自分の月給以下(!!)だったのだもの。
存在さえ知らないひとのほうが、確実に多いでしょう。
第45代横綱・若乃花幹士(花田勝治)の半生をアニメーション化したもので、観ると、べつにつまらなくはないけれど、正直、誰が観にくるのかな、、、と思ってしまった。
(3)『ショーシャンクの空に』(94)
のちに世紀の名作と呼ばれることになる作品も、公開当時は「あんまり…」ということがある。
『ブレードランナー』(82)もそうだし、本作もそうだった。
それでも。
オオシマさんがいったことばは、この映画には当てはまらないかな。
なぜなら、ガラガラの映画館でも、幸福感に満たされたから。
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明日のコラムは・・・
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