Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

GARAN

2016-09-30 00:10:00 | コラム
「―簡単にいうとね、前売り券っていうのはダンピングなんですよ。ずっと昔から、生粋の興行主はいっていたの、劇場にきたお客さんから入場料をもらうのが正しいって。それをいまじゃ、大々的にやってしまっている。お客さんは売れた売れたということばを信じて劇場にいく。そうしたら、ガラガラだったと。

誰だってね、ガラガラの映画館で映画を観るっていうのは、つまらないことですよ」(大島渚)

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劇場公開初日だというのに、入り口前にひとりも並んでいない、行列が出来ない映画がある。

あるっていうか、そういう映画は意外と多い。

すんなりと入場出来て、「これから入ってくるんだろうな」と劇場内を見回しても、一向にお客さんがやってこない。

そのまま上映がスタートし、そうして終わる。

館内に明かりが戻り、「きっと次の回のお客さんは多いはずだ」と期待して外に出てみると、さっきより少なかったりして。

「あぁ、打ち切りが早そうだ…」

そう呟いて、映画館をあとにする。

そういう経験を、いっぱいしてきた。

もちろん「その逆」もあって、テレビの反響を知らなかったので『踊る大捜査線』の劇場版(98)が連日満席であったことには驚いたし、
また、『愛のコリーダ2000』(76)だって、ミニシアターとはいえ、満席になるなんて思わなかった。


たしかにオオシマさんのいうとおり、ガラガラの映画館は寂しい。

笑い声やすすり泣きが重なる映画体験って、ときに「邪魔!」と思うこともあるが、素敵な現象だとは思うから。


そこできょうは、自分にとって忘れられない「映画館ガラガラ体験」3傑を挙げてみたい。

同時代ばかりなのは、だからこの時期に、最も映画館に通っていたということだろう。


(1)『ソナチネ』(93)

公開初日に、新宿ピカデリーで鑑賞。

映画の内容に「よい意味で」衝撃を受け、客の少なさに「悪い意味で」衝撃を受けた。

自分の記憶がたしかならば、たったの5人だったのだもの。

自分はえらく感激し、そのままもういちど観ようと決めた・・・のだが、次の回はさらに減って、3人しか居なかった。

そう北野武の映画が興行的に成功するのは、バイク事故のあとの『キッズ・リターン』(96)からだったのだ。




(2)『土俵の鬼たち』(94)



自分が映画館でアルバイトしていたころに、上映したくなかったけど、「松竹との関係上」しなければいけなかった作品。

結果的に本作が、この映画館のワースト興行記録を打ち立てることになった。

だって売り上げが、自分の月給以下(!!)だったのだもの。

存在さえ知らないひとのほうが、確実に多いでしょう。

第45代横綱・若乃花幹士(花田勝治)の半生をアニメーション化したもので、観ると、べつにつまらなくはないけれど、正直、誰が観にくるのかな、、、と思ってしまった。

(3)『ショーシャンクの空に』(94)

のちに世紀の名作と呼ばれることになる作品も、公開当時は「あんまり…」ということがある。

『ブレードランナー』(82)もそうだし、本作もそうだった。

それでも。

オオシマさんがいったことばは、この映画には当てはまらないかな。

なぜなら、ガラガラの映画館でも、幸福感に満たされたから。




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明日のコラムは・・・

『shadow + 9月コラムの目次』
コメント (2)
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