Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

初体験 リッジモント・ハイ(210)

2017-01-28 08:24:47 | コラム
主人公が地元に帰ってきてアレヤコレヤ、、、という映画をいくつか。

ストリップは芸術かワイセツか―という裏テーマをライトコメディとして描いた傑作、高峰秀子の『カルメン故郷に帰る』(51)。

国内初の「総天然色映画」としても有名だが、監督が生真面目な木下惠介なので、ストリッパーを扱っていても「どこまでも」上品。




ジョン・ヴォイド主演の『帰郷』(78)に代表されるように、ベトナム「帰還兵」を主人公にした米映画は多い。

数年の地獄体験を経ると、十数年暮らしてきた平和でのどかな日常も歪んで見えてしまう、、、っていう。


映画ファンでアンケートを取れば、1位になるのはおそらく『ニュー・シネマ・パラダイス』(88)になると思う。



映画小僧が立派な映画監督となり、久し振りに地元に帰ってみると、我が家同然だった映画館「パラダイス座」が閉館、ちょうど取り壊されるところだった。
町のひとは「レンタルビデオの台頭で…」みたいなことをいうが、リメイクを撮るとしたら「ネットで…」に改変される台詞かもしれない。


さて、自分が初めて帰省した話。

92年の3月12日に上京、帰省したのは8月の中旬だったから・・・

地元を離れて、たった5ヶ月しか経過していない。

その程度の独り暮らしでは、精神面での成長は期待出来ないだろう。
だろうが、見た目だけは変化が見られた。

トップ画像は、そのときに撮った1枚。
(カメラマンは、ねーちゃん)

かーちゃんが頗る元気そうなのが感慨深いが、茶髪のツーブロック、なんとなくお洒落だと思い込んでいたル・コックのTシャツとNCAAのハーフパンツ、バスケットシューズでキメて? いる。

あぁ恥ずかしい。

まぁ東京暮らし1年目としては、頑張ったほうだろう。だから許してください。


ただ、この年の帰省について、ほとんどのことを覚えていない。
ひとつのことを除いては。

その日は、とーちゃん・ねーちゃんともに仕事。
家には、かーちゃんと自分しか居ない。

自動車免許を持っておらず、外出時は徒歩か自転車しか選択肢はない・・・そんな、ふたりである。

かーちゃんが「ハス(蓮)がない。スーパーに行って買ってきてほしい」といった。

かーちゃんが乗っている自転車を借りて町(笑)に遊びに行きたいと思っていたので、自分は大喜び、じつはハスがレンコンを意味することも知らなかったのに、「ハス」ということばだけ覚えて出発した。

目指すスーパーは、「とりせん」。

群馬では有名なスーパーで、我が家から自転車で30~40分程度の距離だったろうか。

わずか数ヶ月で町並みが変わるはずもなく、あぁここもあそこも変わらないな、さすが田舎の時間の流れは遅いよな、、、などと生意気なことを思いながら運転を楽しんだ。

「とりせん」に到着、生鮮売り場をウロウロするが、そもそもハスがなんなのかピンときていないので、なにを探せばいいか分かっていない。
分かっていないが、ハスには「ハス」と表示されているだろうと信じ込み、「ハス」と表示されているものを懸命に探し始める。

しかし「大根」や「白菜」、「人参」などの表示は見つかるが、「ハス」の表示が見つからない。

んだよ! 大根や人参なんて表示されなくても分かっているがな! こっちが求めているのはハスだよハス! ってか、ハスってなんだよ!?

ひとりイライラしながら、30分くらい広くもない店内を徘徊しまくった。

もうダメだ、降参する。
店員さんに聞こう。

「すいません、ハスってどこですか」

店員さんは、レンコンを指さして「あちらです」と即答してくれた。

え。

ハスって、レンコンのことなの!?

こうして、少しだけオトナになった18歳のアホンダラだったのである。


帰宅後、「かーちゃん! レンコンなんだね。じゃあレンコンっていってよ!」


「(笑う)あぁ、ごめんごめん」


よい想い出である。


おわり。

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明日のコラムは・・・

『オスカー予想、早刷り版』
コメント (1)
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