―とある取材先、休憩中にカメラマンと展開した会話より。
「牧野くんはさ、基本、投げられた取材は断らないよね」
「えぇ、そこを売りにしているところがあります」
「たぶん僕が知っているライターさんのなかで、取材数は群を抜いているよ」
「ありがとうございます」
「それなのに、なんでいつも金がないの?」
「(笑う)ですね、金ない金ないって、うるさいですよね」
「いやべつにうるさいと思ったことはないけど、なんでかなって」
「…それはつまり、分不相応な暮らしをしているからですよ」
「たとえば?」
「…たとえば、発泡酒や第3のビールは受けつけない、純正ビールしか認めないとか」
「(笑って自分を指差す)あぁ、ダメなひとの典型だぁ」
「そうです、ダメなひとなんです」
「この前は男女5人で呑みに行って、会計は4万くらいいったのかな。その時点で、もっと安い居酒屋に行けよって突っ込まれるでしょうけれど、それほど歳の差はないのに、エーカッコシーでもあるから、全部は出せませんけど、3万は出して、みんなは2500円でいいよみたいな」
「わー、格好いいけど、やっぱりダメなひとだね」
「そうなんです、やっぱり分不相応ですよね?」
「タクシーに乗っても釣りは要らないっていうことに決めているし、ピザの宅配でも3500円だったとして、宅配ねぃちゃんに5000円渡して釣りは晩飯にしなよとか、平気でいっちゃうんです」
「なるほど、多趣味だしね。映画に格闘技に自転車に風俗に」
「風俗は、最近はぜんぜんですよ~」
「じゃあ貯金は、ぜんぜんなし?」
「貯金をするっていう発想が、自分のなかにないみたいです」
「なにかあっても、なんとかなると思っているんだね?」
「…そうですねぇ、いままで、なにかあっても、なんとかなってきたから、、、というのがあるのかもしれません」
「でももう、若いときのようにはいかないよ?」
「えぇ、なんとなくは分かっているのですけど、日常生活を変えられないっていうか」
「半分ジョークでいうけど、ダメなひとだねぇ」
「(笑う)半分はジョークじゃないっていう」
「うん、ほらウチら、特別な資格を持っているわけじゃないじゃない?」
「えぇ、そうですね」
「人間関係を築いて、信頼のうえで仕事もらっているというか」
「はい」
「紙媒体が主流だったころからカメラやっているけど、壊れていったライターさん、いっぱい見ているから」
「分かります」
「(苦笑)ほんとうに分かっているのかねぇ」
「どうなんでしょうか」
そう、ほんとうに、どうなのでしょうかね。
少しだけ将来に対する不安はあったりするのだけれども、とりあえず秋味を呑んで考えないようにしている。
やっぱり、ダメなひとなんだな苦笑
…………………………………………
明日のコラムは・・・
『映画監督別10傑(27)ポール・ヴァーホーベン』
「牧野くんはさ、基本、投げられた取材は断らないよね」
「えぇ、そこを売りにしているところがあります」
「たぶん僕が知っているライターさんのなかで、取材数は群を抜いているよ」
「ありがとうございます」
「それなのに、なんでいつも金がないの?」
「(笑う)ですね、金ない金ないって、うるさいですよね」
「いやべつにうるさいと思ったことはないけど、なんでかなって」
「…それはつまり、分不相応な暮らしをしているからですよ」
「たとえば?」
「…たとえば、発泡酒や第3のビールは受けつけない、純正ビールしか認めないとか」
「(笑って自分を指差す)あぁ、ダメなひとの典型だぁ」
「そうです、ダメなひとなんです」
「この前は男女5人で呑みに行って、会計は4万くらいいったのかな。その時点で、もっと安い居酒屋に行けよって突っ込まれるでしょうけれど、それほど歳の差はないのに、エーカッコシーでもあるから、全部は出せませんけど、3万は出して、みんなは2500円でいいよみたいな」
「わー、格好いいけど、やっぱりダメなひとだね」
「そうなんです、やっぱり分不相応ですよね?」
「タクシーに乗っても釣りは要らないっていうことに決めているし、ピザの宅配でも3500円だったとして、宅配ねぃちゃんに5000円渡して釣りは晩飯にしなよとか、平気でいっちゃうんです」
「なるほど、多趣味だしね。映画に格闘技に自転車に風俗に」
「風俗は、最近はぜんぜんですよ~」
「じゃあ貯金は、ぜんぜんなし?」
「貯金をするっていう発想が、自分のなかにないみたいです」
「なにかあっても、なんとかなると思っているんだね?」
「…そうですねぇ、いままで、なにかあっても、なんとかなってきたから、、、というのがあるのかもしれません」
「でももう、若いときのようにはいかないよ?」
「えぇ、なんとなくは分かっているのですけど、日常生活を変えられないっていうか」
「半分ジョークでいうけど、ダメなひとだねぇ」
「(笑う)半分はジョークじゃないっていう」
「うん、ほらウチら、特別な資格を持っているわけじゃないじゃない?」
「えぇ、そうですね」
「人間関係を築いて、信頼のうえで仕事もらっているというか」
「はい」
「紙媒体が主流だったころからカメラやっているけど、壊れていったライターさん、いっぱい見ているから」
「分かります」
「(苦笑)ほんとうに分かっているのかねぇ」
「どうなんでしょうか」
そう、ほんとうに、どうなのでしょうかね。
少しだけ将来に対する不安はあったりするのだけれども、とりあえず秋味を呑んで考えないようにしている。
やっぱり、ダメなひとなんだな苦笑
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明日のコラムは・・・
『映画監督別10傑(27)ポール・ヴァーホーベン』