~ポール・ヴァーホーベンのキャリア10傑~
オランダ生まれの、真性の変人―が、すでに80歳になっていたことに驚いた。
それであんな変態的で躍動感に溢れた映画を撮ってしまうなんて、オランダだし、やっぱりクスリでもやっているんじゃないんだべか。(すごい偏見)
世評も、批評家のことばも信じない。
信じないというか、どうとも思っていない。
創りたいものを創ることが出来ればそれでいい、偶然にもヒットしてくれたら「ラッキーだね♪」程度にしか喜ばない。
だからラジー賞(最低映画賞)の授賞式にきちんと出席し、トロフィーを受け取るのだった。
愉快痛快、しかしヴァーホーベンの映画は毒気が強いので、ときとして万人に薦められないものもある。
ただいたずらにスキャンダラスなものを扱っているわけではなく、ヴァーホーベンには世の中がそんな風に映っているにちがいない。
実際の戦場でドキュメンタリーを撮っていた経験から、ヒトがどこまでも残酷になれることを知り過ぎてしまっているのではないかな、、、そんな風に思ったりもする。
(1)『エル ELLE』(2016)
レイプされた中年女性の心象風景を、これまで誰も描いたことのないタッチで捉える。
イザベル・ユペールが大熱演、日本では妖しいエロティック・サスペンスで売っていたが、最後まで観ると、そーとー尖ったコメディであることが分かる。
(2)『氷の微笑』(92)
シャロン・ストーンのサービスショットのおかげで大ヒットを記録したサスペンス。
みんなここしか注目していなかったので、結局誰が犯人なのか覚えていないひと多数。
(3)『ロボコップ』(87)
シンプルな構成だが、度を越した暴力描写がアクセントになっていて、凡百のヒーロー物とはちがった味わいがある快作となった。
それにしても。
こんな犯罪都市に住むのは、イヤだ。
(4)『スターシップ・トゥルーパーズ』(97)
ロバート・A・ハインラインの代表作を、徹底したカリカチュア化をおこなって戦意高揚映画「のように仕立てた」皮肉なSF。
そう、ヴァーホーベンは基本的に皮肉屋なんだね。
(5)『トータル・リコール』(90)
シュワ氏の鼻から発信機を取り出させたり、シャロン・ストーンにレオタード姿で戦わせたり、ヴァーホーベンの趣味性が全開となったハリウッド大作。
正直、そこまで乗れなかったのだが、ジェリー・ゴールドスミスによるテーマ曲が流れるオープニングは絶品かと。
(6)『ブラックブック』(2006)
オランダに帰還して最初に放ったアクション大作。
細部に「らしさ」は見られるが、けっこうマトモな映画に仕上がっているかなと。
(7)『ショーガール』(95)
批評家筋からは大不評、ヴァーホーベンは性差別者として糾弾さえされるも、そこそこヒットした問題作。
身体で稼ぐおんなたちの戦いを描き、あぁどこの世界も一緒だなと安心出来る? という意味で、糾弾されるほどひどい出来とは思わなかったな。
(8)『インビジブル』(2000)
性格の悪い科学者が「透明人間の実験」に成功し、さらに性格が悪くなるというSF。
ヴァーホーベン自身は本作を嫌っているが、まあまあ楽しめる。
ヒロイン役のエリザベス・シューに「脱げ」と指示するも彼女は拒否する―という裏話が、双方とも「らしいな」と思えて笑ってしまう。
(9)『4番目の男』(82)
数字をタイトルに冠した映画は「ハズレが少ない」説を唱える自分にとって、観終えてホッとした佳作・笑
『氷の微笑』と同様、ファム・ファタールを描いているが、タッチはどことなくデ・パルマに通ずるものがあるか。
撮影監督が、ヤン・デ・ボンであるところにも注目したい。
(10)『ルトガー・ハウアー/危険な愛』(73)
オランダ時代に撮られた初期の成功作だが、それにしたって邦題がひどくないか。
これじゃあ、俳優ハウアーのドキュメンタリーみたいじゃないか。
…………………………………………
明日のコラムは・・・
『初体験 リッジモント・ハイ(270)』
オランダ生まれの、真性の変人―が、すでに80歳になっていたことに驚いた。
それであんな変態的で躍動感に溢れた映画を撮ってしまうなんて、オランダだし、やっぱりクスリでもやっているんじゃないんだべか。(すごい偏見)
世評も、批評家のことばも信じない。
信じないというか、どうとも思っていない。
創りたいものを創ることが出来ればそれでいい、偶然にもヒットしてくれたら「ラッキーだね♪」程度にしか喜ばない。
だからラジー賞(最低映画賞)の授賞式にきちんと出席し、トロフィーを受け取るのだった。
愉快痛快、しかしヴァーホーベンの映画は毒気が強いので、ときとして万人に薦められないものもある。
ただいたずらにスキャンダラスなものを扱っているわけではなく、ヴァーホーベンには世の中がそんな風に映っているにちがいない。
実際の戦場でドキュメンタリーを撮っていた経験から、ヒトがどこまでも残酷になれることを知り過ぎてしまっているのではないかな、、、そんな風に思ったりもする。
(1)『エル ELLE』(2016)
レイプされた中年女性の心象風景を、これまで誰も描いたことのないタッチで捉える。
イザベル・ユペールが大熱演、日本では妖しいエロティック・サスペンスで売っていたが、最後まで観ると、そーとー尖ったコメディであることが分かる。
(2)『氷の微笑』(92)
シャロン・ストーンのサービスショットのおかげで大ヒットを記録したサスペンス。
みんなここしか注目していなかったので、結局誰が犯人なのか覚えていないひと多数。
(3)『ロボコップ』(87)
シンプルな構成だが、度を越した暴力描写がアクセントになっていて、凡百のヒーロー物とはちがった味わいがある快作となった。
それにしても。
こんな犯罪都市に住むのは、イヤだ。
(4)『スターシップ・トゥルーパーズ』(97)
ロバート・A・ハインラインの代表作を、徹底したカリカチュア化をおこなって戦意高揚映画「のように仕立てた」皮肉なSF。
そう、ヴァーホーベンは基本的に皮肉屋なんだね。
(5)『トータル・リコール』(90)
シュワ氏の鼻から発信機を取り出させたり、シャロン・ストーンにレオタード姿で戦わせたり、ヴァーホーベンの趣味性が全開となったハリウッド大作。
正直、そこまで乗れなかったのだが、ジェリー・ゴールドスミスによるテーマ曲が流れるオープニングは絶品かと。
(6)『ブラックブック』(2006)
オランダに帰還して最初に放ったアクション大作。
細部に「らしさ」は見られるが、けっこうマトモな映画に仕上がっているかなと。
(7)『ショーガール』(95)
批評家筋からは大不評、ヴァーホーベンは性差別者として糾弾さえされるも、そこそこヒットした問題作。
身体で稼ぐおんなたちの戦いを描き、あぁどこの世界も一緒だなと安心出来る? という意味で、糾弾されるほどひどい出来とは思わなかったな。
(8)『インビジブル』(2000)
性格の悪い科学者が「透明人間の実験」に成功し、さらに性格が悪くなるというSF。
ヴァーホーベン自身は本作を嫌っているが、まあまあ楽しめる。
ヒロイン役のエリザベス・シューに「脱げ」と指示するも彼女は拒否する―という裏話が、双方とも「らしいな」と思えて笑ってしまう。
(9)『4番目の男』(82)
数字をタイトルに冠した映画は「ハズレが少ない」説を唱える自分にとって、観終えてホッとした佳作・笑
『氷の微笑』と同様、ファム・ファタールを描いているが、タッチはどことなくデ・パルマに通ずるものがあるか。
撮影監督が、ヤン・デ・ボンであるところにも注目したい。
(10)『ルトガー・ハウアー/危険な愛』(73)
オランダ時代に撮られた初期の成功作だが、それにしたって邦題がひどくないか。
これじゃあ、俳優ハウアーのドキュメンタリーみたいじゃないか。
…………………………………………
明日のコラムは・・・
『初体験 リッジモント・ハイ(270)』