~デヴィッド・フィンチャーのキャリア10傑~
ややメディア嫌いの傾向にあるフィンチャーは、公の場ではほとんど笑わない。
オスカー授賞式でカメラに抜かれたとしても、無視はしないのだが、レンズを見つづけるだけで表情ひとつ変えないのだった。
お前らなんか信用していない―まるで、そういっているかのよう。
鳴り物入りで映画監督デビューしたものの、処女作で散々コケにされたから、、、だろうか。
ヒット要因が沢山含まれた映画ばかりを創るので、計算は出来るひとなのだと思う。
そして絵作りが天才的であることは、誰もが知っている。
ただ(処女作も含めて)我々の期待値が異様に高いため、それを超えられないと「それでも並以上。のはずなのに、まるで並以下。」のように貶される。
フィンチャーの無表情は、そうした不満への無言の抵抗にも映る。
分かってくれよフィンチャー、あなたが特別なひとであることを評価してのことなんだ。
※PV出身の監督であり、また実質的な映画監督キャリアが10本前後のため、PVも選出してみた
(1)『セブン』(95)
暗い物語とビジュアルイメージが調和を保ちつづけている―そこに、いちばん感心した。
バッドエンディングなのに大きな支持を得られたという意味で、ひじょうに稀有な映画だろう。
(2)『ゾディアック』(2007)
実在したシリアルキラーをめぐる物語。
フィンチャーの興味は、ゾディアックそのものよりも、彼に翻弄される知識人たちにあったのだ。
(3)『ソーシャル・ネットワーク』(2010)
Facebook誕生秘話を、実際のエピソードと創作を組み合わせて描いた。
テーマそのものは、『市民ケーン』(41)にも通ずる古典的なものだよね。
(4)『ファイト・クラブ』(99)
現代社会と身体と実存と。
難しいテーマを、手の込んだカメラワークとアクションで表現してみせた。
(5)『ゲーム』(97)
フィンチャーが食指を動かした割には脚本に穴が多い。
多いものの、ビジュアルセンスと俳優たちの好演で最後まで飽きさせないのが救い。
(6)『エクスプレス・ユアセルフ』(89)
マドンナのPV。
光と影やズームの多用を観ると、すでにフィンチャー・スタイルが確立されているのが分かる。
(7)『ゴーン・ガール』(2014)
やはりこのひとは、後味の悪い映画を撮らせたら実力を発揮するらしい。
(8)『パニック・ルーム』(2002)
世のフィンチャーに対する期待値が最高潮だったころに発表、だからか辛口意見が多かった。
最新の防犯システムと犯罪者、という設定だけでつまらない映画にはならないのだけれどもね。
(9)『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』(2008)
ひょっとしたら、最もポピュラーなフィンチャー作品かもしれない。
設定はSFだが、やろうとしていることは『フォレスト・ガンプ』的でもあるので。
(10)『エイリアン3』(92)
スキンヘッドのリプリーをはじめとして、ビジュアル的には成功していると思うのだが・・・
1・2があまりにも支持を受けたため、どう転んでも失敗していたような気がする、ひじょうに気の毒な監督処女作。
でもね、あらためて観返してみると悪くないんだな、これが。
…………………………………………
明日のコラムは・・・
『電子レンジの構造が分からない』
ややメディア嫌いの傾向にあるフィンチャーは、公の場ではほとんど笑わない。
オスカー授賞式でカメラに抜かれたとしても、無視はしないのだが、レンズを見つづけるだけで表情ひとつ変えないのだった。
お前らなんか信用していない―まるで、そういっているかのよう。
鳴り物入りで映画監督デビューしたものの、処女作で散々コケにされたから、、、だろうか。
ヒット要因が沢山含まれた映画ばかりを創るので、計算は出来るひとなのだと思う。
そして絵作りが天才的であることは、誰もが知っている。
ただ(処女作も含めて)我々の期待値が異様に高いため、それを超えられないと「それでも並以上。のはずなのに、まるで並以下。」のように貶される。
フィンチャーの無表情は、そうした不満への無言の抵抗にも映る。
分かってくれよフィンチャー、あなたが特別なひとであることを評価してのことなんだ。
※PV出身の監督であり、また実質的な映画監督キャリアが10本前後のため、PVも選出してみた
(1)『セブン』(95)
暗い物語とビジュアルイメージが調和を保ちつづけている―そこに、いちばん感心した。
バッドエンディングなのに大きな支持を得られたという意味で、ひじょうに稀有な映画だろう。
(2)『ゾディアック』(2007)
実在したシリアルキラーをめぐる物語。
フィンチャーの興味は、ゾディアックそのものよりも、彼に翻弄される知識人たちにあったのだ。
(3)『ソーシャル・ネットワーク』(2010)
Facebook誕生秘話を、実際のエピソードと創作を組み合わせて描いた。
テーマそのものは、『市民ケーン』(41)にも通ずる古典的なものだよね。
(4)『ファイト・クラブ』(99)
現代社会と身体と実存と。
難しいテーマを、手の込んだカメラワークとアクションで表現してみせた。
(5)『ゲーム』(97)
フィンチャーが食指を動かした割には脚本に穴が多い。
多いものの、ビジュアルセンスと俳優たちの好演で最後まで飽きさせないのが救い。
(6)『エクスプレス・ユアセルフ』(89)
マドンナのPV。
光と影やズームの多用を観ると、すでにフィンチャー・スタイルが確立されているのが分かる。
(7)『ゴーン・ガール』(2014)
やはりこのひとは、後味の悪い映画を撮らせたら実力を発揮するらしい。
(8)『パニック・ルーム』(2002)
世のフィンチャーに対する期待値が最高潮だったころに発表、だからか辛口意見が多かった。
最新の防犯システムと犯罪者、という設定だけでつまらない映画にはならないのだけれどもね。
(9)『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』(2008)
ひょっとしたら、最もポピュラーなフィンチャー作品かもしれない。
設定はSFだが、やろうとしていることは『フォレスト・ガンプ』的でもあるので。
(10)『エイリアン3』(92)
スキンヘッドのリプリーをはじめとして、ビジュアル的には成功していると思うのだが・・・
1・2があまりにも支持を受けたため、どう転んでも失敗していたような気がする、ひじょうに気の毒な監督処女作。
でもね、あらためて観返してみると悪くないんだな、これが。
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明日のコラムは・・・
『電子レンジの構造が分からない』