Cape Fear、in JAPAN

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シネマしりとり「薀蓄篇」(339)

2020-07-28 00:10:00 | コラム
じんぎなきたたか「い」→「い」しいたかし

石井隆には劇画家と映画監督、ふたつの顔がある。

自分より上の世代にとっては前者、自分の世代にとっては後者になるだろうか。


早稲田大学を卒業した直後に劇画家デビュー、


憂いを帯びる運命の女・名美の物語が好評を博し、にっかつロマンポルノの波にも乗って(原作者としてだけでなく)脚本家としても起用される。

80年代早々に、映画監督にも挑戦するはずだった。
しかし撮影所は衛生面で問題があり、それにより体調を崩してしまう。

88年―撮影所の環境が「以前よりはマシ」になり、『天使のはらわた 赤い眩暈』で満を持して映画監督デビュー。

大竹しのぶ×永瀬正敏の『死んでもいい』(92)、
余貴美子×竹中直人の『ヌードの夜』(93)、

夏川結衣×根津甚八の『夜がまた来る』(94)、

※たぶんこれが、最高傑作!!


川上麻衣子×根津甚八の『天使のはらわた 赤い閃光』(94)、

いずれも、名美と村木の因縁めいた物語。

オールスターの犯罪劇『GONIN』(95)においても、ナミィというキャバ嬢を用意する徹底ぶり。



夫人は初恋のひとだそうで、石井隆というひとはロマンチストであり、一途でもあるわけなんだね。


『GONIN2』(96)や『黒の天使』シリーズ(98、99)、
井上晴美が好演した『フリーズ・ミー』(2000)、
団鬼六の代表作を杉本彩主演で映画化した『花と蛇』(2004)、
『ヌードの夜/愛は惜しみなく奪う』(2010)、壇蜜が好演する『甘い鞭』(2013)、『GONIN サーガ』(2015)などなど、90年代後半は必ずしも「名美と村木の物語」を描いてきたわけじゃない、

でも石井隆を知っているひとは、わずか数秒の映像だけで「あぁ石井隆の映画だ」と気づくと思う。

そのくらい、石井隆の映画には個性が凝縮されている。

雨、夜、ネオン、血。
どんなテクニシャンが「石井風」に撮ろうが、おそらくニセモノであることを見破ることが出来る。

誰がどう撮っても、石井隆の絵は真似が出来ない―いわゆるポピュラーな映像作家ではないが、いちどハマるとなかなか抜け出せない魅力のあるひとなのです。。。


あすのしりとりは・・・
いしいたか「し」→「し」-おぶらぶ。

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明日のコラムは・・・

『シネマしりとり「薀蓄篇」(340)』
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