少し前の話だが―。
格闘家の石井慧に会ってきた。
(写真・女子のほうは、アイドルをやっている奥さん)
柔道で金メダルを取ったひとなのに、柔道家とかメダリストと「ここまで」いわれないひとも珍しい。
石井は、鳴り物入りで総合格闘技の世界にデビューした。
先輩の、吉田秀彦や小川直也以上に。
メダルを取った直後だったものだから、受け手が抱く幻想も大きかった。
ボクシング、村田諒太と同じような扱い。
テレビ的にいえば、「確実に数字が取れるひと」であったから。
しかし。
巧かったのは「喋り」だけで、格闘技のセンスがあるとは思えないデビュー戦を展開し恥をかいた。
なにしろパンチが届かない、これはリングに上がる以前の問題だと自分も失望した。
そうして石井は、ハワイに雲隠れする。
「誰にも会いたくない」と。
それからしばらくして、(彼の所為ではないが)「K-1」や総合格闘技が地上波テレビから消えた。
現在の石井?
地道に練習を続けている。
戦いかたは柔道時代と似て、相変わらず派手さはないけれど。
二度目の結婚は順調、嫁さんのことが本当に好きで、彼女の下着を嗅いではニタニタしているという。
ここいらへんの性癖は自分によく似ており、とても好感を抱く。
総合を「なめていた」ともいえる石井のキャリアはしかし、タイミング―時代といってもいいが―によっては、もっと開花していたかもしれない、、、などとも思う。
そう、ツキにも見放されていた。
前述したように、石井が総合参戦したあたりから日本の格闘技熱が冷め、冬の時代が訪れる。
それは現在でも続いているわけだが、石井がデビューしたその日に、格闘家を引退したものが居る。
「K-1」のスター、魔裟斗だ。
石井とちがって、魔裟斗のタイミングは抜群だった。
「K-1」が日本に認知されたころにデビューし、冬の時代が訪れる前に引退。
魔裟斗、ひとり勝ち。
まるで、すべてを知っていたかのようなキャリアなのである。
魔裟斗が時代を作った―ともいえるかもしれないが、それだけじゃあないだろう。
ツキがあったんだと思う。
時代の空気を敏感に感じ取る嗅覚にも優れていた、そんな風に評価出来ないだろうか。
それもまた才能なのだろうな。
ということを、現在の石井と会って痛感させられている。
でも、なんというのかな。
ヒトとして、ツキのないヤツにこそ魅かれるところがないかい?
ジョン・マクレーンじゃないけれど。
たとえばヤクルトの伝説的投手、伊藤智仁。
スライダーの天才といわれ、しかし、何度も何度も、あと一歩のところで完封試合を逃している。
(タイミングをずらした篠塚が、アクマに見えたよ!笑)
たとえば、レオくんことレオナルド・ディカプリオ。
オスカー級の演技を披露し、今年こそ取るんじゃないか―といわれる年にかぎって、有力過ぎる対抗馬が出てきてしまうツキのなさ。
この世は残酷だなぁって。
でも、こういうひとだからこそ、ドラマが生まれるのだなぁって。
好きだったが、魔裟斗は完璧に過ぎて、応援しがいがなかったもの。
だから自分は、みんな「口だけ」といって見放している石井慧のことを、もう少し応援しようと思っている。
※フジとTBSの格闘技対決。
この年、この試合だけにかぎっていえば、TBSのほうが勝っていた。
そうなんだ、魔裟斗は対戦相手によって輝くファイターなのである。
…………………………………………
本館『「はったり」で、いこうぜ!!』
…………………………………………
明日のコラムは・・・
『年代別 ☆きらきら・ぎらぎら★ ~年末年始特別篇その壱~』
格闘家の石井慧に会ってきた。
(写真・女子のほうは、アイドルをやっている奥さん)
柔道で金メダルを取ったひとなのに、柔道家とかメダリストと「ここまで」いわれないひとも珍しい。
石井は、鳴り物入りで総合格闘技の世界にデビューした。
先輩の、吉田秀彦や小川直也以上に。
メダルを取った直後だったものだから、受け手が抱く幻想も大きかった。
ボクシング、村田諒太と同じような扱い。
テレビ的にいえば、「確実に数字が取れるひと」であったから。
しかし。
巧かったのは「喋り」だけで、格闘技のセンスがあるとは思えないデビュー戦を展開し恥をかいた。
なにしろパンチが届かない、これはリングに上がる以前の問題だと自分も失望した。
そうして石井は、ハワイに雲隠れする。
「誰にも会いたくない」と。
それからしばらくして、(彼の所為ではないが)「K-1」や総合格闘技が地上波テレビから消えた。
現在の石井?
地道に練習を続けている。
戦いかたは柔道時代と似て、相変わらず派手さはないけれど。
二度目の結婚は順調、嫁さんのことが本当に好きで、彼女の下着を嗅いではニタニタしているという。
ここいらへんの性癖は自分によく似ており、とても好感を抱く。
総合を「なめていた」ともいえる石井のキャリアはしかし、タイミング―時代といってもいいが―によっては、もっと開花していたかもしれない、、、などとも思う。
そう、ツキにも見放されていた。
前述したように、石井が総合参戦したあたりから日本の格闘技熱が冷め、冬の時代が訪れる。
それは現在でも続いているわけだが、石井がデビューしたその日に、格闘家を引退したものが居る。
「K-1」のスター、魔裟斗だ。
石井とちがって、魔裟斗のタイミングは抜群だった。
「K-1」が日本に認知されたころにデビューし、冬の時代が訪れる前に引退。
魔裟斗、ひとり勝ち。
まるで、すべてを知っていたかのようなキャリアなのである。
魔裟斗が時代を作った―ともいえるかもしれないが、それだけじゃあないだろう。
ツキがあったんだと思う。
時代の空気を敏感に感じ取る嗅覚にも優れていた、そんな風に評価出来ないだろうか。
それもまた才能なのだろうな。
ということを、現在の石井と会って痛感させられている。
でも、なんというのかな。
ヒトとして、ツキのないヤツにこそ魅かれるところがないかい?
ジョン・マクレーンじゃないけれど。
たとえばヤクルトの伝説的投手、伊藤智仁。
スライダーの天才といわれ、しかし、何度も何度も、あと一歩のところで完封試合を逃している。
(タイミングをずらした篠塚が、アクマに見えたよ!笑)
たとえば、レオくんことレオナルド・ディカプリオ。
オスカー級の演技を披露し、今年こそ取るんじゃないか―といわれる年にかぎって、有力過ぎる対抗馬が出てきてしまうツキのなさ。
この世は残酷だなぁって。
でも、こういうひとだからこそ、ドラマが生まれるのだなぁって。
好きだったが、魔裟斗は完璧に過ぎて、応援しがいがなかったもの。
だから自分は、みんな「口だけ」といって見放している石井慧のことを、もう少し応援しようと思っている。
※フジとTBSの格闘技対決。
この年、この試合だけにかぎっていえば、TBSのほうが勝っていた。
そうなんだ、魔裟斗は対戦相手によって輝くファイターなのである。
…………………………………………
本館『「はったり」で、いこうぜ!!』
…………………………………………
明日のコラムは・・・
『年代別 ☆きらきら・ぎらぎら★ ~年末年始特別篇その壱~』