Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

にっぽん男優列伝(275)萩原聖人

2015-04-25 05:47:56 | コラム
71年8月21日生まれ、43歳。
神奈川出身。

公式プロフィール


本題に入る前に・・・

このシリーズで取り上げたばかりだった萩原流行さんの事故死には驚きました。

第一報を聞いたとき、また交通トラブルかな? と思いましたが、本人死んじゃったらなぁ。。。

もっともっと映画で活躍してほしいひとでした。
合掌。


さて、未だ若々しく見える萩原聖人(はぎわら・まさと)さんですが、もう43歳。
映画でもテレビドラマでも代表作を持つ中堅ですが、雀士としての一面も持ち、麻雀の世界では一目置かれる存在です。

頭角を現し始めた90年代前半は事件に巻き込まれたり―中央林間駅で発生した暴行事件の犯人のひとりに、顔が似ているとして訴えられる。その結果、仕事が激減―もしましたが、
結局は無関係だったわけですし、
いやいや、たとえ無関係でなかったとしても、俳優としての実力は誰もが認めるところなので、完全復帰を遂げることが出来たのではないでしょうか・・・って、
(何度も逮捕された)ロバート・ダウニーを助けたジョージ・クルーニーのような存在が、日本に居れば・・・の話ですけど!


※映画監督志望であれば、このPVは好きになるでしょう




<経歴>

元嫁は、女優の和久井映見。

中学卒業後に定時制の高校に入学するも、すぐに中退。
単身で米国に渡り、そこで観た映画館の観客の「生の反応」に感銘を受けて演ずることに興味を抱くようになる。

帰国後、スカウトされて芸能界に。

映画俳優デビュー作は、87年の『BU・SU』。

自分がよく覚えているのは、『3年B組金八先生』の第3シリーズ(88、TBS)における生徒役ですね。
まだ無名の存在ですが、光るところはあったと思います。

ここからは、映画の世界に絞ります。

『ウォータームーン』(89)や『遥かなる甲子園』(90)、『橋のない川』(92)なで端役を演じたあと、山田洋次の『学校』(93)で注目を受ける。
何度か書いているとおり、好きになれない、、、いや、大嫌いな映画ですが、聖人さんに罪はないですからね。

同年、崔洋一による『月はどっちに出ている』(93)で印象に残る演技を披露。
このころに前述した事件に巻き込まれるわけですが、情に厚い崔監督は再び聖人さんを起用、そうして出来上がったのが『マークスの山』(95)の不気味な青年役でした。

おそらくこの演技を見て聖人さんをキャスティングしたと思われるのが、97年の黒沢清監督作『CURE』。

殺人伝道師? を演じる聖人さんはほんとうに不気味で、日本映画史に残る怪演だと思います。





『カオス』(2000)、『光の雨』(2001)、『陰陽師』(2001)、
若ければ窪塚くんが演じた主人公であったろう『GO』(2001)の巡査役、
『珈琲時光』(2004)、『この世の外へ クラブ進駐軍』(2004)、『力道山』(2005)。
『ペルソナ』(2008)、『カメレオン』(2008)、『釣りキチ三平』(2009)、『いけちゃんとぼく』(2009)、
『BOX 袴田事件 命とは』(2010)、『スープ・オペラ』(2010)、『プラチナデータ』(2013)、『仮面ティーチャー』(2014)、そして最新作が『風に立つライオン』(2015)。

硬軟自在ではありますが、作家性の強い監督と組んだ野心作でこそ輝くひと・・・のような気がします。

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本館『「はったり」で、いこうぜ!!』

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明日のコラムは・・・

『にっぽん男優列伝(276)白竜』

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Don’t Look Back In Anger

2015-04-24 05:46:18 | コラム
群馬から帰還しましただ。

ちょいとだけ「へばって」いるため、きょうは画像で逃げますのでご容赦を。

印象に残ったこと・ところ、4傑。

(1)絶景だった、上野村のスカイブリッジ



ここからダイブして死にたい。

(2)謎多き、自販機食堂(トップ画像)



ボウリング場などに置かれている自販機を設置、コインランドリーのように展開している。

古い機械なので50円玉は使えないとか、道楽でやっている感が強く、やや投げやりなところが素敵だなぁと。

(3)ブラジル人街の食堂でランチ



ハンバーガーが900円したが、それも納得のボリューム。

(4)実家から徒歩5分のところに、コンビニ建つ



東京では「だから?」だろうが、田舎では大事件。

いままでチャリで20分は要したのだから。


※バンド「オアシス」といえば、リアムとノエルという、喧嘩ばかりしているギャラガー兄弟で有名。

うちの姉弟は、昔は喧嘩していたかもしれないが、最近は超仲良しだよ~、、、ということで、きょうのタイトルは逆説的にオアシスの代表曲にしてみましたよ。




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本館『「はったり」で、いこうぜ!!』

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『にっぽん男優列伝(275)萩原聖人』

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(帰省のため再録)映画10傑シリーズ(5)

2015-04-23 00:10:00 | コラム
【沈黙の映画】

・・・とはいっても、スティーブン“ごんぶと”セガールの「沈黙」シリーズのことではない。

もちろんレクター博士のことでも、
サイレント映画のことでも、
もっといえば、やっとこさ制作が動き出したスコセッシ念願の企画、遠藤周作『沈黙』のことでもない。

きのうのテーマが「絶叫」だからといって、逆にヒトコトも発しないキャラクターを選出する・・・っていうわけでもない。

じゃあ、なにさ?

ここでいう沈黙とは、映画監督の演出術を指す。
キャラがなにかを発していてもいい、ただそのシーンが「なんとなく無音」に感じられる「不思議な」あるいは「技あり」な映画を選出してみよう。


(1)『俺たちに明日はない』(67)

ボニーとクライドが87発の銃弾を喰らう「直前」のカット割り。

「殺られる!」ことが分かったのだろう、互いを見るふたりの表情は、最初は驚き、そうして、最後は「あきらめ」なのだ。

さらに銃撃のあとにも、沈黙・・・というか静寂が待っている。




(2)『2001年宇宙の旅』(68)

HALによって飛ばされ? なすすべもなく「宇宙を漂うだけ」の乗員。

これは、恐怖だ。

(3)『ピアノ・レッスン』(93)

エイダが聾唖だから・・・というのではなく、彼女が海に放られるクライマックスのシーン。

海の深い深いところに「沈黙」が存在し、ピアノの墓石がある―というエイダの心象風景が秀逸だった。

(4)『機動戦士ガンダム』(81)

二夜連続でランクイン。

ごめ・・・って、謝ることもないが、最近「またまた」観返したので、いま個人的に再びガンダム熱MAXなのである。

シャアの策略によって、ガルマ・ザビが散る。
彼の乗るガウがホワイトベースに「特攻」を仕掛ける際、恋人イセリナのショットが「一瞬だけ」「無音で」挿入される。

これがほんとうに、抜群の効果を生んでいる。

残されたイセリナは、連邦軍に復讐しようとする。
トップ画像は、そのエピソードからのショット。

(5)『椿三十郎』(62)

三船VS仲代、その間合い。
直後の、血しぶき。

なにもかも、完璧。

(6)『ウォーリー WALL・E』(2008)

地球に残された掃除ロボットが、ひたすら掃除を繰り返す日常を描いた前半部分。

CGアニメーションゆえ効果音などは凝っているが、孤独な感じがよく出ている。

(7)『砂の器』(74)

遍路シーン。
主題となる『宿命』のテーマ曲は流れ続けているが、このあいだ、台詞はほとんどない。

(8)『HANA-BI』(98)

テーマ曲が止み、無音に―。

そうして、ふたつの銃声。波の音。

「決まった!」感があるが、じつは映画史的には、教科書のようなつくり。
それが、かえってよかった。

(9)『愛、アムール』(2012)

ヨーロッパ圏の映画では「しばしば」見受けられる、無音状態のエンド・クレジット。

作品内容によっては、そのクレジットが「そっけない」と感じられることもあるが、その逆もあるわけで。
この映画は、そんな後者の好例。

じつに、味わい深いのだ。

(10)『BECK』(2010)

これは賛否―どちらかというと、、、というより、圧倒的に「否」が大きかった沈黙の手法。

歌声を「無音」で表現するというのは、ある意味では挑戦で、ある意味では逃げ・・・この映画に関しては、それが後者と捉えられたのだった。

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(帰省のため再録)映画10傑シリーズ(4)

2015-04-22 00:10:00 | コラム
【塀のなかの映画】

個人的な話をすると・・・
知人の面会には行ったことあるけれど、受刑者として入ったことはない。

大半のひとは面会の機会? だってないだろうから、刑務所というのは「非日常的空間」なのだと思う。

知人の名誉とプライバシーに配慮しながら、もう少し詳しくいえば・・・
彼が入っていた刑務所、その独居房には「あの」田代まさしと、「あの」早稲田スーパーフリー主犯が居たというのである。

受刑者たちはふたりに一目置く―というより、看守はふたりを「守り?」ほかのものの目に触れないようにしていた・・・って、
ちょっと『コン・エアー』(97)のエピソードを思い出すよね、
犯罪者のなかにも階級があって、強姦魔は軽蔑され、殺人犯は崇められる、、、みたいな。

映画は非日常を描くのに最適で、だから刑務所のなかを描いた映画はひじょうに多い。
きのうの「ドア映画10傑」の候補作が20本程度だとすると、塀のなかの映画は、その倍の倍の倍の倍くらいある。


というわけで、早速いってみよう。


(1)『ミッドナイト・エクスプレス』(78)

麻薬不法所持によりトルコ刑務所に投獄された主人公が脱獄するまでを描く。

恋人が面会に訪れる場面で、ガラス越しに自慰を始めるシーンの迫真性といったら!

(2)『ケープ・フィアー』(91…トップ画像)

鉄格子を使って身体を鍛える、狂気の犯罪者デ・ニーロ。

(3)『暴力脱獄』(67)

ポール・ニューマンの映画で一本挙げるとするならば、自分はこれか。
繰り返し脱獄を図る男を描いて、いろんな意味で痛快だった。

ひどい邦題だと思うが、それさえも許したくなる面白さ。

(4)『女囚さそり』シリーズ(72~73)

伊藤俊也、そしてもちろん、主演を務める梶芽衣子(文末動画参照)にとっての代表作。

QTタランティーノがオマージュを捧げたことで、「初めて触れてみた」という若い映画小僧も多かったそうである。

(5)『告発』(95)

アルカトラズ刑務所が閉鎖される「きっかけ」となった事件を描く。

ケヴィン・ベーコンが熱演。
彼を慰めるために派遣された娼婦が実生活における夫人、キーラ・セジウィックというのがよかった。

(6)『グッドフェローズ』(90)

看守に賄賂、こうすりゃ刑務所のなかでも豪遊出来る。

なるほど、確かに世の中は狂っている。

(7)『パピヨン』(73)

終身刑となった主人公の脱獄劇。

キャスティング(マックィーン×ホフマン)完璧、音楽最高、そして、70年代の雰囲気漂うフィルムの質感も抜群。

(8)『アルカトラズからの脱出』(79)

それにしても脱獄モノばかりだ。

スプーンで穴を掘り続ける主人公が、泣かせる。

(9)『ロックアップ』(89)

スタローン主演作としては地味かもしれないが、けっこう好き。

悪徳な刑務所長役に、ドナルド・サザーランド。この時点で、成功しているんじゃないか。

(10)『ショーシャンクの空に』(94)

人気度でいえば、この映画が1位になるかもしれない。

うちの父親も好きで、しょっちゅう観返しているらしい。




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(帰省のため再録)映画10傑シリーズ(3)

2015-04-21 00:10:00 | コラム
【映画の眼光】

よく「やさしそう」「ひとがよさそう」といわれる。

えびす顔というわけではないが、他者が評するに「その目がポイント」なんだという。

そう?

まぁ垂れ目だしね、
自分ではその目を中心に「ヘラヘラ」していると自覚しているのだが、それを周りは「ニコニコ」と解釈してくれる。

ありがたいことだ。

・・・って、じつはありがたくもなんともない。

性根が完全に腐っているため、あっという間にメッキが剥がれる。
剥がれたらどうなるか、そっちが勝手に「いいひと」と決めつけていただけのクセ? して、あのひとはサイテーだ、裏表がある、などと批判? を受ける。

いやいや、オメーらの勘違いじゃないかって。
ひとを見る目を鍛えなさいっていいたい。

だって、ひとを見る目があるひとは大抵、自分を見て直感的に「あぁ、ろくでもないんだな」と捉えてくれるのだもの。

「どうして、そう思いました?」
「いや、目がね、笑っているようで、じつはそうでもないっていう、、、」
「ご名答」


というわけで、映画における俳優の眼光・眼力について。

たまに、筋そのものよりも俳優の演技がすごいという作品があって、その大半は「目の力」であったりする。
よく分かんないけれど、とにかくあの目にやられた! と。

それは、どちらかというと正ではなく「負」の目。

映画を面白くするのは負のほうで、、、といい切ってしまうのには問題があるけれど、負の目から放たれるパワーが反転し、正へと変わる―それが、映画のダイナミズムを生むのだと思う。


(1)『時計じかけのオレンジ』(71…トップ画像)

冒頭の「あの目」で、観るのをやめた女の子を知っている。
ある意味で、正解か。

負のパワーの金字塔であり、これだけでマルコム・マクダウェルは映画史に残る。

(2)『酔いどれ天使』(48)

すべてに怒っているような松永のキャラクター、それに命を吹き込んだのは三船のギラギラした眼光である。

(3)『ヘンリー』(86)

ほとんど無表情でひとを殺すシリアルキラーの目は、死んでいるようにも見える。

(4)『TOKYO FIST』(95)

無機質なものに囲まれて生きていた主人公が、本能を取り戻す。

満月とリングとグローブ、ふたりの男とひとりの女―血みどろの物語で、塚本晋也の目はキラキラギラギラ輝く。

(5)『ポゼッション』(81)

女優の眼力でトップといえば、この映画のイザベル・アジャーニ。
たぶんこれに異を唱える映画小僧は、少ないのではないか。

なにかに憑依されたヒロインが絶叫し嗚咽し怪物とセックスする。

(6)『シャイニング』(80)

ジャック・ニコルソンではなく、夫人を演じたシュリー・デュバルのほう。
映画史上で最強・最狂の恐怖顔である。

それにしてもキューブリックは、狂気の目を捉える才人だ。

(7)『ブルーベルベッド』(86)

マザーファッカーな犯罪者を怪演―しているはずだが、デニス・ホッパー、とにかく楽しそう。




(8)『タクシードライバー』(76)

過剰になる二歩手前くらいで表現した、神経症的な演技。
ここらへんが、デ・ニーロのすごさだろう。

(9)『死霊のはらわた』(81)

メイクの力だが、目玉から血がドバーーーッ、、、みたいな。

(10)『フェイク』(97)

ジョニー・デップの、哀しみ、、、というか、絶望を湛えた瞳。
このラストのショットを拝むためだけに、本作を繰り返し鑑賞している。


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本館『「はったり」で、いこうぜ!!』

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『(帰省のため再録)映画10傑シリーズ(4)』

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