
「童子」の石井みやさん、第二句集です。
タイトルとなった句は、
明るしよ天窓に降るさみだれは みや
五月雨は、旧暦五月に降る雨。旧暦と新暦は1ヶ月ちょっとのずれがあるので、私達が使っているカレンダーでは6月、梅雨真っ最中の雨です。梅雨の雨といえば、じとじととしたイメージ。でも、それが天窓に降っていると、明るさが伴います。私達が五月という文字に抱くイメージも合わさって。
加えて、ここには、何も書かれていないけれど、見あげる「人」が存在します。
倉敷のご自宅では、「童子」主宰を始めとした連衆と、幾度も句会をしたとのこと。そのとき、獅子座流星群があり、その天窓に流れ星が降っていたことを、主宰の序文で書かれていました。うらやましい!
新生姜あやふく戀に落ちかけて 戀という旧字が、いい。新生姜との取り合わせ。これはちょっとやそっとでできることではありません。説明すると、うそっぽくなる。読み手の解釈を拒否する句ですね。
この船であの島へ行く世阿弥の忌
用水の出会ふところや捨案山子
隙のない句集です。どの句を取り上げていいのか、迷う。初句集の場合は、案外すらりと10句くらい、選べるんですけど、この句集では、どれもいいから、難しい。
本をセロファンでくるんでいます。こういった装丁は、今句集くらい(歌集もか?)しかないのでは? この本に、どんな服を着せようか。句集を編む楽しみが、ここにある。
私も、第二句集をいつか作りたいなと思わせてくださいました。
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