fromイーハトーヴ ーー児童文学(筆名おおぎやなぎちか)&俳句(俳号北柳あぶみ)

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『サード・プレイス』ささきあり作・酒井以絵(フレーベル館)

2020年09月28日 | 本の紹介
              

 ささきありさんの新刊です。
 コミュニティにおいて、自宅や職場とは隔離された、 心地のよい第3の居場所を指す。その場所が、サード・プレイスです。
  
 物語の舞台は、中高生のためのサード・プレイス、「サプリガーデン」。年末年始以外は年中無休、午前9時から午後9時まで開館しているところです。
 主人公は、SNSで本音を言えるサブ垢を持ち、アニメのことなど本音はそこでしか言わない。学校では本当は興味のないファッションの話で友人と会話をする瑞希。自分は規格外品だと考えているダイ。家庭内で兄と父が衝突しいるぴよっち。全国でも名の知られた難関校に入ったものの成績が最下位の亮。
 4人それぞれが、サプリガーデンで、自分の居場所を見つけてゆく。

 出てくる子ども達が、現代の「今」を生きて「今」を悩んでいる。それが、リアルだ。
 家、学校、そこしか居場所がなくて、そこが息苦しくて、行き場がなくて辛い思いをしている子は、今もきっといるにちがいない。サプリガーデンに居場所を見つけた子は、そこからまた学校や家でも新しく生き直しができる。自分を偽らずに生きていくことができる。
 中学生高校生、そして大人にも読んでもらいたい物語だ。


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