本の3分の1程度のところに、こういう部分がある。
私が日本で学んでいたころ、高校までは勉強と暗記に追われていた。大学に入ると、学生は流行を追い、口コミを広げ、企業にお金を落とす消費者グループとして扱われ、就職活動では企業のために多くの時間と労力を費やす存在のようだと感じた。
そんな作者が、オスロ大学に留学し、出会ったのが北欧民主主義だったのだ。
北欧の壮大な自然、生活様式などではなく、政治に興味を持ち始め、カメラを手に取材を続けた。その成果をまとめた一冊。私自身が、興味を持っていなかったこともあるが、この種の本は初めて手にした。
そして、こんな社会で育つ子どもがうらやましいと思った。
豊富な写真からは、人々が選挙を楽しんでいるようにも伝わってくる。
若者は自分が生きる未来を、人任せにするのではなく、自分自身で考えている。
短絡的に、こちらが素晴らしいとは言えないが、確かに日本と違う。
今、9月新学期という案が浮上してきているが、子ども達の声が聞こえてこない。
実は作者のあぶみあさきは、私の姪。冒頭に書いた高校生までの彼女をよく知っている者としては、まさにこうして政治を取材している姿に驚いている。それだけ、ノルウェーという国の国民の中に民主主義が浸透しているのだろう。
これからも、いろんな視点で北欧の人々のことを、日本に伝えてほしい。