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◎2012年8月25日(土)
十字峡駐車場(5:10)……登山口(5:39)……一合・鉄砲平(6:04)……三合・松の巨木(7:10)……五合(8:15)……七合(8:55)……八合・シシ岩(9:10)……丹後山避難小屋(9:40~10:00)……丹後山(10:03)……水源碑(10:38)……大水上山(10:49~11:05)……避難小屋(11:36)……シシ岩(11:53)……三合(12:52)……一合(13:38)……登山口(13:53)……駐車場(14:20)
暑さがちっともおさまらない。聞くところによると、奥日光だけは涼しいらしい。じゃ、奥日光にでも出かけてみましょうかといきたいところだが、日光山系のヤブ山歩きは、ここのところ遠慮しているから対象外。皆さんの山行記事を拝見していても、すごいなと思いながらも、食指はまったく動かず、さぞ暑苦しいお歩きだろうなと思う具合なのである。そこで、関東から出ちまえば涼しいだろうと、行き損じていた丹後山、大水上山を歩いてみることにした。以前、中ノ岳から大水上山方面に足を向けようとしたが、そちらからやって来た単独氏が、ガスと朝露でびしょ濡れになったよと、こぼしておられたのを聞き、即座にやめにした経緯がある。今回は、丹後山と大水上山にしぼって歩いてみよう。運良くというか、前日の金曜日に近親の葬儀があり(お陰様で、残り一日の夏季休暇は消えてしまったが)、帰って来たのも早く、準備万端、余裕で出発することが出来た。慌ただしく出てしまっては、ろくな歩きにならないのが通例だ。風呂にも入り、ゆっくりと出かけた。22時半着。すんなりとはいかなかった。ナビセットのままでしゃくなげ湖を北回りしようとしたら通行止め。南回りに転じて、遠回りしての到着だ。車が4台。外でオッサンが2人、宴会をしていた。気温は20℃。星はきれいだが、足尾の銅親水公園から見る星の方が大きい。ぬるくなった缶ビールを飲んでさっさと寝る。それにしても、ちっとも涼しくはない。
(右から入る。左は仮設トイレ。用足し後に外に出る際、ロックの状態を知らずに苦戦した)
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ほとんど寝つけなかった。うつらうつらの連続だ。4時に目覚ましをセットしていたが、まだ暗くて寝直した。人の気配で4時半に起きる。車は8台くらいになっていた。外に出ると、期待していたほどの朝冷えはない。隣の車のニイチャンが、「涼しいですね」と言ってきたが、気温は18℃程度のもので、群馬の人間にとってはどこが涼しいのと返したかった。埼玉方面の方だ。このニイチャンだが、現地集合で、何人かと中ノ岳往復のようだ。昨夜、飲んでいたオッサンも同じグループらしい。取りあえず仮設トイレに入る。いい感じだったが、外の気配が気になって落ち着かず、半ばにしてそそくさと出る。ニイチャンの車の駐め方にいろいろと注文を付けている御仁がいた。もう出発の出で立ちだ。確かにニイチャンの車の駐め方は駐車線をはみ出し、斜めになっている。ニイチャンは車を移動させていた。この御仁、グループ関係ではなく、どうも、自分と同じコース歩きの単独氏らしい。飛び火を避けて先行して出発する。登山届けを書き、通行止めの柵の脇を越えて歩き出す。
(登山口)
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(一合。鉄砲平。この鉄砲とは猟銃のこと?)
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(まず南側の巻機山方面が開けた)
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しばらくは三国川沿いの林道歩きである。ここは風が伝わってきて涼しい。が、周囲の方々が長袖にしていたので、自分もそれに倣ったが、半袖にしなかったことに早々と後悔している。新潟とはいえ、この時間にしては暑いのである。意外にも、いつもならまとわりつくアブもいない。この十字峡、紅葉の時期はきれいだろうな。コンクリートの橋を渡って登山口。下の河原には釣り師がいた。あの橋は栃ノ木橋というのか。欄干には橋の名前は記されていなかった。おそらく、建設当時の木橋は流されたのだろう。登山口からはきつい登りが続いた。鎖が付いた場所もあった。「一合」「鉄砲平」の標識。丹後山を山頂としての合目標識なのだろうか。だとすれば、まだ1合目かと思うと、汗が一気に流れてくる。幸いにも、今のところ、日陰歩きになっている。ただ、たまに涼しい風が流れてくる程度。帽子にはたっぷりと汗を含み、汗が伝わって落ち、メガネを濡らす。南側がほんの少し開けたところで一息つく。巻機山の方かとは思うが朝日を浴びてキラキラしている。もう歩き出しから1時間経っている。まだ2合目には至っていない。ここは風の通りがいい。また、展望のない木立の急登に復帰する。
(そして、北側。中ノ岳がすぐさまに現れた)
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(もう色付きが始まっている)
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(三合の松の巨木)
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「二合」を過ぎたあたりから、北側の展望が開け、中ノ岳が見えてきた。何とも威圧感のある山だ。昭文社マップで「松の巨木」と記されたところが「三合」だった。確かに巨木だが、こういう記載があって初めてなるほどと思う。少し休んで先に進む。まだ道中の1/3にも満たない。やがて、陽射しを頻繁に浴びるようになった。左右に景色を眺めながらの、いい気分の稜線歩きなのだろうが、とにかく暑くなった。気まぐれの風があたる場所では立ち休み。帽子は汗で重くなり、代わりに手拭いを頭に巻いた。アブが出てきた。でかいヤツを一匹、お陀仏にした。「四合」に至る。ここが「ジャコノ峰」なのだろうか。標識を意識して歩いたが出会わなかった。この先に「ジャコ平」も記載されている。これにも気づかぬままに「五合」「六合」を通過していた。そもそも、「何とか平」と呼べるような平地に出ることはなかった。1合目の鉄砲平にしても、平地と呼ぶには無理があるところ。詮索はさておき、ようやく半分は歩いたことになる。もう日陰は完全になくなった。汗の垂れ流しで、全身がびっしょり、ネバネバしている。
(巻機山は中央左の山だろうか)
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(あのなだらかな稜線、丹後山は左寄りのピークだろうか)
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(南魚沼の町が見える)
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(シシ岩)
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(そして8合目。中ノ岳の左に八海山。秋には八海山の紅葉かな…)
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(九合の交差点)
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(標識の「巻機山」方面)
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「七合」の先に小高いピークが見える。ここからの展望は格別だ。ピークの左奥には平たい山。おそらく、あれが丹後山であろう。その左に大水上山、兎岳、小兎岳、中ノ岳か。地図を広げて南側を確認する。本谷山から巻機山にかけての県境の稜線だ。これが「山座固定」というやつか。言葉そのものが、測量機械を使って見ているかのような堅苦しいニュアンスに響き、自分では使いたくない単語だ。小ピークはちょっとした鎖付きの岩場だった。これが「シシ岩」だろう。「八合」の標石が置かれていた。展望を楽しみながら一休みしたいところだが、風はないし、木陰もない。水を飲んだだけで済ませた。ところで、さっきから便意をもよおしている。出だしの中座がよろしくなかったか。身を隠せるところはない。だれもいないからその辺でというわけにもいくまい。避難小屋までの辛抱か。「九合」は十字路になっている。直進は水場。我慢が厳しい状況になっていて、水場の方に行ってみたが、これまた気が引ける。巻機山方面の右手は見通しのききすぎるササヤブ。この県境歩きの巻機山ルートだが、入口だけは刈られて、踏み跡はあったが、その先は消えている。遠くから見ても、ぼんやりと細い道が見えるものだが、ここには見あたらない。ここを歩いて巻機山に行く人はほとんどいないのであろう。左に上がる。
(避難小屋。アルプス的な風景にぴったりと合っている)
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中ノ岳の左手に八海山が見えてきた。これはいい。ここから見る八海山は、正面から見るのと違って、ちょっと無骨な姿になっている。避難小屋に到着。まずはトイレに直行。ザックの中のペーパー探しに手間取って、荷物をすべて出してしまった。用事を済ませ、何とかほっとした。しばらく休む。小屋のノートを見ると、一昨日に泊まった方がいるようだ。小屋脇のタンクには8割方水が入っていたのでいただく。ぬるい。顔まで洗ってしまった。さて、冒頭で「丹後山と大水上山にしぼって歩いてみよう」なんて殊勝なことを記したが、実は、丹後山に9時半までに着いたら、中ノ岳まで足を延ばしてグルリと縦走するつもりでいた。もちろん日帰りだ。だが、この暑さを勘案してはいなかった。それこそ甘かった。今のヘトヘト状態では、小兎岳までは無理がなくとも、鞍部から中ノ岳には登れそうにない。シシ岩で、先の稜線を眺めながら、その計画は放棄してしまっていた。こんな酷暑の中を歩いたためか、この縦走コースの旬の時期は、やはり、残雪か紅葉の頃だろうと思うに至った。改めて、いつか、日帰り縦走をしてみよう。もちろん、小屋に泊まれば、今回とて楽勝だろうが、重いザックを背負い、柄にもないことをするつもりはさらさらない。自分の山歩きのベースは日帰りだ。
(丹後山山頂)
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(大水上山は手前の2つ目ピークのようだ。右奥に三角錐の荒沢岳。あそこもいい山だった。個人的に越後の山は好きだ)
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(干からびてはいるが、やはり紅葉の始まりだろうな)
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(越後の山にはトリカブトは多い)
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(水源の碑。中ノ岳の右に越後駒、左は八海山)
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(3人連れがやって来た)
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一面のササ原。そして遠望。この雰囲気は大好きだ。先日の大源太山歩きに似た風情だ。ところどころにアザミやスミレのような花。トンボがすごい。丹後山は、これがピーク?といった感じの山だった。「山頂」の標石が置かれていたが、下からの「一合」「二合」…「九合」の延長が「山頂」ということなのだろう。セルフで写真を撮って立ち上がった。急な立ちくらみと目眩がした。しばらく目をつむって休んだ。頭の中がグラグラしている。何とか治まった。どうも、熱中症になりかけているようだ。さっさと戻った方がいいだろう。そのまま大水上山に向かう。景色を眺める限り、起伏は少なく、平地をずっと行く感じなのだが、ちょっとした登りがきつい。もう限界かなぁ。「水源の碑」に着くと、大水上山の方から3人やって来た。沢登りスタイルだ。おじいちゃんとお孫さん2人といった感じ。おじいちゃんが指導係だろうか。残雪を見ながら、大水上山に到着。いつの間にやら、越後駒や荒沢岳が見えていた。ここも陽射しが強い。ヤブの脇の日陰でペタリと座って休む。こんなに暑くても、秋の気配は確実に近づいている。ナナカマドが赤い実をつけ、半分赤くなった葉を何度も見かけた。これから冷え込みが続けば、山は一気に紅葉だろう。今季は猛暑の紅葉見物だろうか。
(手前、大水上山。その先の巨体は兎岳。今日は用もない。眺めるだけ)
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(「水源の碑」ピーク下の残雪)
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(大水上山山頂)
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(改めて荒沢岳)
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(丹後山に戻る)
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沢登りの3人は、水源の碑でしばらく休んでいたが、忽然と消えてしまった。丹後山の方を見ても、その姿はなかった。大方、水源の碑から、また沢を下ったのだろう。丹後山に向かう。ここで、朝、出発時にお見かけした御仁と出会う。暑苦しくない顔をしているのはすごいものだ。丹後山を通過し、避難小屋にさしかかる。しばらく、中で休むつもりでいたが、戸口に立ったら、中から女性の嬌声と笑い声が聞こえ、中に入るのはやめにした。まさか、こんな時間に利用客はいるまいと思っていたのだが。ここで休んでいたら、下りの具合も幾分は違っていたろう。
(巻機山をアップで。ここからでは遠いな)
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(下る。雰囲気のいいのはシシ岩まで)
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(中ノ岳に雲がかかってきた)
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(モミジも出てきた)
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(暑苦しい中にも秋の気配)
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下りは、上り時よりもきつかった。合目標示ごとに座っては休んだ。気温は30℃になっていた。水を飲み、タバコを吸う。こんなにタバコを吸った山行もない。山ではせいぜい1~2本くらいのものだが、駐車場に着くまで10本は吸っていた。水は8合目で1リットルを飲みきった。小屋の水も随分といただいたから、1.5リットルは飲んでしまっていたろう。まだ、2リットルはあるから安心だが、水を飲むと、熱いお茶を飲んだ後のように、身体が熱くなる。これもまた熱中症の症状のようで、体内の水分の温度が高くなりつつあるようだ。やがて頭痛もしはじめた。これは、バファリンで解消させた。5合目を下ったあたりだったろうか、単独氏が登ってきた。大きなザック。泊まりだろう。先ほどの御仁と違って、汗ダク。顔から汗を流している。この先から日陰はなくなり、無風だと言ったら、げんなりとした顔になっていた。余計なことを言わなきゃよかったみたい。下の方は、上り時は陽射しがなかったものの、今や、ここも日陰を見つけるのが厳しくなっている。
(登山口には石碑が置かれていた。なぜか、陶淵明の詩が刻まれている)
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2合目を通過して、ようやく川音が聞こえてきた。ここの水音は、勢いがある割りには、接近しないと聞こえない。登山口にほうほうの体といった感じで降り立つ。山中で倒れることもなくてほっとした。ここからの林道歩きは、川沿いの風があった気持ちがいい。向かい風だ。栃ノ木橋を渡ると、沢登りの親子が濡れ物の後始末をしていた。どこから入渓したかは知らないが、水源碑から見えなくなったから、おそらく、丹後沢から栃ノ木沢に出て下ったのではないだろうか。興味があれば、いろいろと聞くのだが、あいにく、その方面への感心はかなり薄いので聞かなかった。おかしなことに、3人の中でも、孫娘らしき方が一番元気そうだった。
(ここで水を飲んだら、全身びしょ濡れになってしまった)
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(駐車場に到着)
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途中、岩伝いに流れ落ちる沢水をごくごく飲み、顔を洗う。ついでに、川に下りて、泳ぎたいところだが、川縁には降りられない。さすれば、今日あたり、沢を下っていたら、無風の尾根歩きをするよりも、気持ちが良かっただろうな。駐車場に到着。中ノ岳に向かったご一行の車はそのままだ。あそこは、自分の今日のコースよりも、標高差だけで+250mはあるし、しばらくは樹林の中の歩きだから、きついだろう。登山届けの帰着を書いていたら、3人も帰ってきたが、そのまま、対岸の登山センターの方に歩いて行った。また明日もやるつもりなのだろうか。もう、どこに寄る気持ちもなく、着替えを済ませ、エアコンを全開にして帰途に着く。いつもなら、ラーメンかカレーでも食べて帰りたいところだが、食欲はまったくない。コンビニでアイスクリームと冷たいお茶を買っただけ。こうしてブログ文章を読み返してみて、暑さがどんどん増してくる次第である。暑い中、無理に山を歩くのも考えものだ。自分の場合、身体を悪くしているだけのようにも思えるのが笑える。
十字峡駐車場(5:10)……登山口(5:39)……一合・鉄砲平(6:04)……三合・松の巨木(7:10)……五合(8:15)……七合(8:55)……八合・シシ岩(9:10)……丹後山避難小屋(9:40~10:00)……丹後山(10:03)……水源碑(10:38)……大水上山(10:49~11:05)……避難小屋(11:36)……シシ岩(11:53)……三合(12:52)……一合(13:38)……登山口(13:53)……駐車場(14:20)
暑さがちっともおさまらない。聞くところによると、奥日光だけは涼しいらしい。じゃ、奥日光にでも出かけてみましょうかといきたいところだが、日光山系のヤブ山歩きは、ここのところ遠慮しているから対象外。皆さんの山行記事を拝見していても、すごいなと思いながらも、食指はまったく動かず、さぞ暑苦しいお歩きだろうなと思う具合なのである。そこで、関東から出ちまえば涼しいだろうと、行き損じていた丹後山、大水上山を歩いてみることにした。以前、中ノ岳から大水上山方面に足を向けようとしたが、そちらからやって来た単独氏が、ガスと朝露でびしょ濡れになったよと、こぼしておられたのを聞き、即座にやめにした経緯がある。今回は、丹後山と大水上山にしぼって歩いてみよう。運良くというか、前日の金曜日に近親の葬儀があり(お陰様で、残り一日の夏季休暇は消えてしまったが)、帰って来たのも早く、準備万端、余裕で出発することが出来た。慌ただしく出てしまっては、ろくな歩きにならないのが通例だ。風呂にも入り、ゆっくりと出かけた。22時半着。すんなりとはいかなかった。ナビセットのままでしゃくなげ湖を北回りしようとしたら通行止め。南回りに転じて、遠回りしての到着だ。車が4台。外でオッサンが2人、宴会をしていた。気温は20℃。星はきれいだが、足尾の銅親水公園から見る星の方が大きい。ぬるくなった缶ビールを飲んでさっさと寝る。それにしても、ちっとも涼しくはない。
(右から入る。左は仮設トイレ。用足し後に外に出る際、ロックの状態を知らずに苦戦した)
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ほとんど寝つけなかった。うつらうつらの連続だ。4時に目覚ましをセットしていたが、まだ暗くて寝直した。人の気配で4時半に起きる。車は8台くらいになっていた。外に出ると、期待していたほどの朝冷えはない。隣の車のニイチャンが、「涼しいですね」と言ってきたが、気温は18℃程度のもので、群馬の人間にとってはどこが涼しいのと返したかった。埼玉方面の方だ。このニイチャンだが、現地集合で、何人かと中ノ岳往復のようだ。昨夜、飲んでいたオッサンも同じグループらしい。取りあえず仮設トイレに入る。いい感じだったが、外の気配が気になって落ち着かず、半ばにしてそそくさと出る。ニイチャンの車の駐め方にいろいろと注文を付けている御仁がいた。もう出発の出で立ちだ。確かにニイチャンの車の駐め方は駐車線をはみ出し、斜めになっている。ニイチャンは車を移動させていた。この御仁、グループ関係ではなく、どうも、自分と同じコース歩きの単独氏らしい。飛び火を避けて先行して出発する。登山届けを書き、通行止めの柵の脇を越えて歩き出す。
(登山口)
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(一合。鉄砲平。この鉄砲とは猟銃のこと?)
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しばらくは三国川沿いの林道歩きである。ここは風が伝わってきて涼しい。が、周囲の方々が長袖にしていたので、自分もそれに倣ったが、半袖にしなかったことに早々と後悔している。新潟とはいえ、この時間にしては暑いのである。意外にも、いつもならまとわりつくアブもいない。この十字峡、紅葉の時期はきれいだろうな。コンクリートの橋を渡って登山口。下の河原には釣り師がいた。あの橋は栃ノ木橋というのか。欄干には橋の名前は記されていなかった。おそらく、建設当時の木橋は流されたのだろう。登山口からはきつい登りが続いた。鎖が付いた場所もあった。「一合」「鉄砲平」の標識。丹後山を山頂としての合目標識なのだろうか。だとすれば、まだ1合目かと思うと、汗が一気に流れてくる。幸いにも、今のところ、日陰歩きになっている。ただ、たまに涼しい風が流れてくる程度。帽子にはたっぷりと汗を含み、汗が伝わって落ち、メガネを濡らす。南側がほんの少し開けたところで一息つく。巻機山の方かとは思うが朝日を浴びてキラキラしている。もう歩き出しから1時間経っている。まだ2合目には至っていない。ここは風の通りがいい。また、展望のない木立の急登に復帰する。
(そして、北側。中ノ岳がすぐさまに現れた)
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(三合の松の巨木)
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「二合」を過ぎたあたりから、北側の展望が開け、中ノ岳が見えてきた。何とも威圧感のある山だ。昭文社マップで「松の巨木」と記されたところが「三合」だった。確かに巨木だが、こういう記載があって初めてなるほどと思う。少し休んで先に進む。まだ道中の1/3にも満たない。やがて、陽射しを頻繁に浴びるようになった。左右に景色を眺めながらの、いい気分の稜線歩きなのだろうが、とにかく暑くなった。気まぐれの風があたる場所では立ち休み。帽子は汗で重くなり、代わりに手拭いを頭に巻いた。アブが出てきた。でかいヤツを一匹、お陀仏にした。「四合」に至る。ここが「ジャコノ峰」なのだろうか。標識を意識して歩いたが出会わなかった。この先に「ジャコ平」も記載されている。これにも気づかぬままに「五合」「六合」を通過していた。そもそも、「何とか平」と呼べるような平地に出ることはなかった。1合目の鉄砲平にしても、平地と呼ぶには無理があるところ。詮索はさておき、ようやく半分は歩いたことになる。もう日陰は完全になくなった。汗の垂れ流しで、全身がびっしょり、ネバネバしている。
(巻機山は中央左の山だろうか)
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(あのなだらかな稜線、丹後山は左寄りのピークだろうか)
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(南魚沼の町が見える)
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(シシ岩)
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(そして8合目。中ノ岳の左に八海山。秋には八海山の紅葉かな…)
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(九合の交差点)
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(標識の「巻機山」方面)
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「七合」の先に小高いピークが見える。ここからの展望は格別だ。ピークの左奥には平たい山。おそらく、あれが丹後山であろう。その左に大水上山、兎岳、小兎岳、中ノ岳か。地図を広げて南側を確認する。本谷山から巻機山にかけての県境の稜線だ。これが「山座固定」というやつか。言葉そのものが、測量機械を使って見ているかのような堅苦しいニュアンスに響き、自分では使いたくない単語だ。小ピークはちょっとした鎖付きの岩場だった。これが「シシ岩」だろう。「八合」の標石が置かれていた。展望を楽しみながら一休みしたいところだが、風はないし、木陰もない。水を飲んだだけで済ませた。ところで、さっきから便意をもよおしている。出だしの中座がよろしくなかったか。身を隠せるところはない。だれもいないからその辺でというわけにもいくまい。避難小屋までの辛抱か。「九合」は十字路になっている。直進は水場。我慢が厳しい状況になっていて、水場の方に行ってみたが、これまた気が引ける。巻機山方面の右手は見通しのききすぎるササヤブ。この県境歩きの巻機山ルートだが、入口だけは刈られて、踏み跡はあったが、その先は消えている。遠くから見ても、ぼんやりと細い道が見えるものだが、ここには見あたらない。ここを歩いて巻機山に行く人はほとんどいないのであろう。左に上がる。
(避難小屋。アルプス的な風景にぴったりと合っている)
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中ノ岳の左手に八海山が見えてきた。これはいい。ここから見る八海山は、正面から見るのと違って、ちょっと無骨な姿になっている。避難小屋に到着。まずはトイレに直行。ザックの中のペーパー探しに手間取って、荷物をすべて出してしまった。用事を済ませ、何とかほっとした。しばらく休む。小屋のノートを見ると、一昨日に泊まった方がいるようだ。小屋脇のタンクには8割方水が入っていたのでいただく。ぬるい。顔まで洗ってしまった。さて、冒頭で「丹後山と大水上山にしぼって歩いてみよう」なんて殊勝なことを記したが、実は、丹後山に9時半までに着いたら、中ノ岳まで足を延ばしてグルリと縦走するつもりでいた。もちろん日帰りだ。だが、この暑さを勘案してはいなかった。それこそ甘かった。今のヘトヘト状態では、小兎岳までは無理がなくとも、鞍部から中ノ岳には登れそうにない。シシ岩で、先の稜線を眺めながら、その計画は放棄してしまっていた。こんな酷暑の中を歩いたためか、この縦走コースの旬の時期は、やはり、残雪か紅葉の頃だろうと思うに至った。改めて、いつか、日帰り縦走をしてみよう。もちろん、小屋に泊まれば、今回とて楽勝だろうが、重いザックを背負い、柄にもないことをするつもりはさらさらない。自分の山歩きのベースは日帰りだ。
(丹後山山頂)
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(大水上山は手前の2つ目ピークのようだ。右奥に三角錐の荒沢岳。あそこもいい山だった。個人的に越後の山は好きだ)
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(干からびてはいるが、やはり紅葉の始まりだろうな)
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(越後の山にはトリカブトは多い)
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(水源の碑。中ノ岳の右に越後駒、左は八海山)
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(3人連れがやって来た)
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一面のササ原。そして遠望。この雰囲気は大好きだ。先日の大源太山歩きに似た風情だ。ところどころにアザミやスミレのような花。トンボがすごい。丹後山は、これがピーク?といった感じの山だった。「山頂」の標石が置かれていたが、下からの「一合」「二合」…「九合」の延長が「山頂」ということなのだろう。セルフで写真を撮って立ち上がった。急な立ちくらみと目眩がした。しばらく目をつむって休んだ。頭の中がグラグラしている。何とか治まった。どうも、熱中症になりかけているようだ。さっさと戻った方がいいだろう。そのまま大水上山に向かう。景色を眺める限り、起伏は少なく、平地をずっと行く感じなのだが、ちょっとした登りがきつい。もう限界かなぁ。「水源の碑」に着くと、大水上山の方から3人やって来た。沢登りスタイルだ。おじいちゃんとお孫さん2人といった感じ。おじいちゃんが指導係だろうか。残雪を見ながら、大水上山に到着。いつの間にやら、越後駒や荒沢岳が見えていた。ここも陽射しが強い。ヤブの脇の日陰でペタリと座って休む。こんなに暑くても、秋の気配は確実に近づいている。ナナカマドが赤い実をつけ、半分赤くなった葉を何度も見かけた。これから冷え込みが続けば、山は一気に紅葉だろう。今季は猛暑の紅葉見物だろうか。
(手前、大水上山。その先の巨体は兎岳。今日は用もない。眺めるだけ)
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(「水源の碑」ピーク下の残雪)
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(大水上山山頂)
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(改めて荒沢岳)
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(丹後山に戻る)
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沢登りの3人は、水源の碑でしばらく休んでいたが、忽然と消えてしまった。丹後山の方を見ても、その姿はなかった。大方、水源の碑から、また沢を下ったのだろう。丹後山に向かう。ここで、朝、出発時にお見かけした御仁と出会う。暑苦しくない顔をしているのはすごいものだ。丹後山を通過し、避難小屋にさしかかる。しばらく、中で休むつもりでいたが、戸口に立ったら、中から女性の嬌声と笑い声が聞こえ、中に入るのはやめにした。まさか、こんな時間に利用客はいるまいと思っていたのだが。ここで休んでいたら、下りの具合も幾分は違っていたろう。
(巻機山をアップで。ここからでは遠いな)
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(下る。雰囲気のいいのはシシ岩まで)
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(中ノ岳に雲がかかってきた)
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(モミジも出てきた)
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(暑苦しい中にも秋の気配)
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下りは、上り時よりもきつかった。合目標示ごとに座っては休んだ。気温は30℃になっていた。水を飲み、タバコを吸う。こんなにタバコを吸った山行もない。山ではせいぜい1~2本くらいのものだが、駐車場に着くまで10本は吸っていた。水は8合目で1リットルを飲みきった。小屋の水も随分といただいたから、1.5リットルは飲んでしまっていたろう。まだ、2リットルはあるから安心だが、水を飲むと、熱いお茶を飲んだ後のように、身体が熱くなる。これもまた熱中症の症状のようで、体内の水分の温度が高くなりつつあるようだ。やがて頭痛もしはじめた。これは、バファリンで解消させた。5合目を下ったあたりだったろうか、単独氏が登ってきた。大きなザック。泊まりだろう。先ほどの御仁と違って、汗ダク。顔から汗を流している。この先から日陰はなくなり、無風だと言ったら、げんなりとした顔になっていた。余計なことを言わなきゃよかったみたい。下の方は、上り時は陽射しがなかったものの、今や、ここも日陰を見つけるのが厳しくなっている。
(登山口には石碑が置かれていた。なぜか、陶淵明の詩が刻まれている)
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2合目を通過して、ようやく川音が聞こえてきた。ここの水音は、勢いがある割りには、接近しないと聞こえない。登山口にほうほうの体といった感じで降り立つ。山中で倒れることもなくてほっとした。ここからの林道歩きは、川沿いの風があった気持ちがいい。向かい風だ。栃ノ木橋を渡ると、沢登りの親子が濡れ物の後始末をしていた。どこから入渓したかは知らないが、水源碑から見えなくなったから、おそらく、丹後沢から栃ノ木沢に出て下ったのではないだろうか。興味があれば、いろいろと聞くのだが、あいにく、その方面への感心はかなり薄いので聞かなかった。おかしなことに、3人の中でも、孫娘らしき方が一番元気そうだった。
(ここで水を飲んだら、全身びしょ濡れになってしまった)
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(駐車場に到着)
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途中、岩伝いに流れ落ちる沢水をごくごく飲み、顔を洗う。ついでに、川に下りて、泳ぎたいところだが、川縁には降りられない。さすれば、今日あたり、沢を下っていたら、無風の尾根歩きをするよりも、気持ちが良かっただろうな。駐車場に到着。中ノ岳に向かったご一行の車はそのままだ。あそこは、自分の今日のコースよりも、標高差だけで+250mはあるし、しばらくは樹林の中の歩きだから、きついだろう。登山届けの帰着を書いていたら、3人も帰ってきたが、そのまま、対岸の登山センターの方に歩いて行った。また明日もやるつもりなのだろうか。もう、どこに寄る気持ちもなく、着替えを済ませ、エアコンを全開にして帰途に着く。いつもなら、ラーメンかカレーでも食べて帰りたいところだが、食欲はまったくない。コンビニでアイスクリームと冷たいお茶を買っただけ。こうしてブログ文章を読み返してみて、暑さがどんどん増してくる次第である。暑い中、無理に山を歩くのも考えものだ。自分の場合、身体を悪くしているだけのようにも思えるのが笑える。
ハイトスさんのグルリ歩きも、もしかしてこの時期でしたか。
確かに、今確認させていただいたら7月下旬でしたね。暑い時期の長距離は身体にろくなことがありませんよ。ふだん痛くもならない足までも、翌日は痛くなりましたよ。
こんな時、河原歩きは最高でしょう。前触れを拝見した時、うらやましくも感じておりましたよ。結果がこうだっただけに余計にね…。
特に樹林帯を過ぎて直接太陽に照らされた時はぐったりだったでしょう。
でも頂上大地の笹原が癒してくれましたでしょうか。
近隣の山も綺麗に見えて、おまけに遠望もすっきりと見えて良かったですね。
中ノ岳を含めた周回はこの時期あわよくば等と考えない方が良いようです。(笑)
丹後の登りも中ノ岳の登りもキツイの一言ですね。
自分らはこの日1日中河原歩きでしたのでやや涼し状態でした。
昨今のななころびさんには、物足りない気分ではなかったでしょうか。
ななころびさんの手記を拝見し、また、今回の黒檜岳~社山記録を読ませていただくにつけ、やはり、奥日光は涼しいところなんだと認識をあらたにしているところです。
私の今回歩いた周辺は、紅葉に関してはきれいなところのようです。まさにその時期に歩いたのは八海山だけですけど、八海山の紅葉は素晴らしかった。これだけはお薦めですね。
新潟の山は丹後山はおろか越後駒も八海山も未踏ですので、稜線からの風景写真は私には新鮮でした。中ノ岳方面、ああいう風に見えるのですね、素晴らしい眺望です。その辺の山域も未踏の山だらけで、”ヤブコースを歩くよりまず、一般ルートで頂上へ行くのが先だろ”と自分の脳が自分に呼びかけています。
夏が去るのは幾分さびしい気もしますが、少しは涼しくなって欲しいものです。今年の秋は素晴らしいと言われている八海山の紅葉を見てみたいなどと、紅葉山行のスケジュールを考えだし始める昨今です。
今回の山は、絶えず、機会をうかがっていた山ですが、みー猫さんのブログを拝見し、改めて行く気になった次第ですよ。
遠望がきき、最高の気分ではあったのですが、何せ、暑さには弱くて弱くて。気落ちして帰ってきたような始末です。山頂の稜線でも無風。これにはまいりました。
改めて行き直しの価値はある山ですね。そう思いました。残雪の時期かな。
お疲れ様でした。私が訪れた6月末でも最終日は、暑かったものですから、読ませていただいただけで長時間勘弁くださいと思いましたです。ストイックな登山に改めて恐れ入りましたです。しかし、お天気は場外級ですね。これだけ遠くまでくっきり見えるのであれば行かれた甲斐はあったのではないでしょうか。8月も終わりに近づいているのでもうそろそろ涼しめになるはずなんですがね・・・・(たぶん急に来るのでしょうか?)今週末は私のほうは用事が入り近場でちょろっと歩き、チョロ火くらいの暑さでしたが(笑)