たそがれオヤジのクタクタ山ある記

主に北関東の山を方向音痴で歩いています。山行計画の参考にされても責任は負いかねます。深慮せず軽く読み流してください。

残暑厳しき鳥甲山

2006年09月24日 | 新潟県の山
◎2006年9月24日(日)―1人

 鳥甲山には一か月前に行く予定をしていた。準備万端、出かけようとしていた矢先に、外で鈍い音。出てみたら、愛車がぶつけられ、見事にひっこんでいた。当然、山行きどころか、即、修理工場へ。今回は北海道行きのこともあったし、家族に気兼ねはあったが、家に居ても居場所の無い自分の立場を考慮に入れ、土曜日の夜に出かけた。普段は日曜日の山行は避けるのだが、今週明日の月曜日は勤務先より近い場所での日帰り出張。木金は岐阜に出張だから、割と緩慢に過ごせる週。ためらいは全く無い。

 3時間かけて和山登山口のムジナ平に到着。11時を回っている。車は4台駐まっている。テントも一張り。電気の明るい車は1台も無い。お休みのところ失礼します。みなさんから離れた所に駐車。ここの夜空も例外にもれず、無数の大きな星が広がっている。今夜はこれだけで我慢しておこうと、甘ったるいカンチューハイを1本だけ飲んで寝た。

 いつものようにほとんど寝られなかった。寒くもあった。羽毛シュラフなのに、何で風通しが良すぎるの?辺りが明るくなり始めるとともに、はしゃぎ声、叫び声が聞こえる。まだ4時過ぎたばかりじゃないの、うるさいなぁと、外の様子を窺うと、5人組のロートルオヤジ連中がテントを撤収している。その隣には川崎ナンバーのワゴン。静かに出発してくれよ。今日の予定は5時に目覚ましをセットしてあったから、明るくなる5時半頃に出発するつもりでいたがうるさくて寝ていられない。仕方なく、こっちも起き出し、目覚ましのセットを解除。しかし、まだこんな時間なのに、何で明るいの?群馬はこの時間はまだ暗いのに。4時半に5人組が出発。続いて、民宿か旅館あたりから送られて来たらしい客が2人、そして夫婦者が続いて出発。みんな早いなと感心しながらこっちも出発。まだ5時過ぎたばかりと思っていたが、腕時計をよく見ると、なんと6時。目覚まし時計は1時間遅れでセットしてしまっていた。ちょっとあせった。6時の出発では遅い。駐車場の車の中で一番ダラダラとしていた形になってしまった(出発6時5分)。

 鳥甲はかなり手強い。コースタイムは上り4時間50分。下りは屋敷に下りる予定だから3時間50分。さらに林道歩きで駐車場まで1時間半の長丁場。飯豊の苦痛も最早忘れ、北海道のトムとニペで気分を良くして、今日はコースタイムの半分で歩いたりして、なんて気楽に考えていたら、いきなりの急登。それも長い。普通、しばらくすればなだらかな傾斜になるものだが、それがそうならない。自分より10分前に出た夫婦者も、いつもならさっさととらえるのだが、中々、姿すら見つけられない。今日の体調はよろしくないのかなぁ。屋敷に下りるのは、ちと無理があるんじゃないの?なんて、深刻気味な気配になっている。

 6時半頃になると、温度も上がり始め、全身汗だく。今日は水を取るように心がけないと。このコースは樹林帯の中ではなく、尾根伝いに行くから、日差しもまた厳しい。鎖場とロープの岩場の手前でようやく夫婦者をとらえた。本来調子への復帰はかなり遅かった。もう一人、その岩場の下で写真撮影なんかしているオッサンに、「お先にどうぞ」と譲られる。岩場の上では川崎グループが相変わらず騒いでいる。男のクセに静かに歩きゃいいのにと思う。トップになりたいわけではない。どういうわけか、今日だけは、このグループの先に行きたかった。喧騒な山紀行はご遠慮したい。静かな山を楽しみたい。連中も、もっと山を選べばいいのに。

 川崎グループを抜いて、ようやく静かになった。程なく単独行もパス。これで、オレが確認した出発グループは全員追い抜いた形。下からは川崎グループの騒音が相変わらずだが、だんだんと遠くなる。ようやくいつもの一人歩きの雰囲気かね。ヨシヨシ。こうならなきゃ。苗場山も見える。ムジナ平の駐車場も遠く見える。頭上はカンカン照り。もう1,000m近くは登ったろうか。その昔、もう20年も前だろうか、職場の仲間らと苗場山に登り、真正面に鳥甲山が見えた時は、前に広がる雪田から浮いて出た墨絵の世界のように思えたことがある。

 しばらくの間、前に見える「白ノ頭」が鳥甲の山頂と思っていた。前を2人登っている。暗いうちに出た人たちだろうか。もう、ピークに近い所にいる。鳥甲も楽勝だわなと思いながらも、早すぎること、そして昭文社地図に表記された肝心の「白ノ頭」も「カミソリの刃」もこれまで見ていないのが不安。その間、ずっと、急登が続いている。表示が無いのだけの話だろうと思っていたら、ようやく真ん前のピークに着いたら表示が「白ノ頭」と出ている(8時丁度)。こりゃ、この先長いよ。一気に汗かいて、水をがぶ飲み。この先、ニセ鳥甲がいくつか続く。

 「カミソリの刃」(8時15分)は、険峻な行者道といった印象があったが、確かに恐い。でも平坦な15m程度のもの。右側がスパッと切れ落ちている。ガードのロープと鎖が付いている。両手ストックの方々はどうするのだろうか。あぶないね。3点確保の見地からすれば、1本ストックですら、余裕が無くて危険だと思うよ。

 しばらく下りが続き、別な夫婦者を追い抜く。そろそろこっちも疲れはじめた。水の補給も多くなったが、まだ500ccまではいかない。屋敷登山口から続く尾根が近づいてくる。帰りはあの尾根をたどる。本物の鳥甲山もようやく視界に入る。木々の葉も色づきはじめている。この山は、紅葉がきれいだろうな。もう2週間位だろうか。屋敷ルート分岐を過ぎて、程なく頂上に着く(8時50分)。狭い頂上。畳でいえば6畳間の空間といったところだろうか。石の山岳表示と三角点。周囲は木立。ようやく一服し、パンを食べる。展望は悪い。木々の間から北アルプスの山並みをチラと臨む。ここから見える山は苗場と佐武流しか無いのかね。岩菅はどれだか分からない。

 15分程休憩し、夫婦者が来たのを潮時に、屋敷登山口に向かって下山。分岐から一気に下降。川崎グループには会わなかった。しゃべり疲れかもしれんよ。この道もまた急である。そして、右手が絶壁になっているところを通過する。アップダウンが多い。鈴を高らかに鳴らしたオバさんと出会う。いろいろと情報を聞かれる。昨日泊まった宿の人から「カミソリの刃」はシンドイから、屋敷から登るように薦められたので、ここを往復するとか。とは言っても、この屋敷コースの登りもかなりつらいよ。後ろからダンナが来ると言っていたけど、そのダンナはかなり参っていた。しばらくして、また夫婦者。さっきからずっと「夫婦者」と称しているのは、別に当人の確証を得ての話ではない。そりゃ、不倫カップルもいるだろうが、こんなお足元がよろしくない山ではやはり夫婦者とした方が良いのではなかろうか。以前、妙義だったか西上州の山でいい年をしたカップルの女性が事故死して、不倫だったかダブル不倫だったかがバレた話を聞いたことがある。あまりいい話ではないね。だから、いつも年配は「夫婦者」と見るようにしている。

 下りも延々と急下降。土が乾いていて、ちょっと蹴っ飛ばすと土ぼこりが舞う。雨がずっと降っていないのだろうか。オジさんの一人歩きが休んでいる。この時間(10時半)、山頂に着いたら、早くても1時くらいになるのではなかろうか。

 屋敷の登山口に着いたのは11時10分。もうクタクタ。足のつま先が痛い。そして暑い。これから林道歩きが待っている。とはいっても舗装された自動車道。歩きづらい。自転車が2台結わえてあったが、ムジナ平までは基本的に登り坂気味になっているから、ペダルをこぐのはかなりきついと思うよ。ネットでは、7キロ、1時間半と記してあったが、昨夜、車のメーターで調べた限りでは5キロ程度だったから、1時間少しで着くだろうか。ラッキーにも、地元の方の車に乗せてもらったケースが多いようだが、正直のところ、それをオレも期待した。

 林道は山道よりも暑いから、木立の陰になっているところを歩くようにしたが、30分も過ぎたらどうでもよくなってきた。ただ、黙々と歩く。通る車は全て逆方向。たまに同じ方向に向かう、地元の方らしい軽トラが追い越して行くが、ブレーキを踏むことは無い。ツバのある帽子をかぶって赤いザックでも背負っていれば、止まってくれたかもしれない。大きめな沢蟹がつぶされている。久しぶりに見た。ここいらの沢にはかなりいるのだろうか。子供心に昔を思い出す。捕ってバケツで持ち帰った沢蟹はどうしんだったっけ?食べた記憶は無い。

 駐車場に着いたのは12時20分。林道歩きは1時間10分だった。駐車場の車は、朝出た時と同じだった。みんな、オレと同じに屋敷登山口に下りたのだろうか。

 秋山郷の温泉につかってから帰りたかったが、一番近い雄川閣の駐車場が満車だったので我慢してそのまま帰る。途中、小熊が道路を横切ってヤブに入り込むのを見た。近くには民家もあったが、秋山郷はやはり奥深いところなんだねぇ。

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