たそがれオヤジのクタクタ山ある記

主に北関東の山を方向音痴で歩いています。山行計画の参考にされても責任は負いかねます。深慮せず軽く読み流してください。

皮肉にも通行止めでほっとして戻った表妙義。何をしに行ったのか、収穫は花見だけ。

2022年03月30日 | 近所じゃない群馬県の山
◎2022年3月27日(日)

 妙義山にはあまり興味がない。今回の歩きでもそれは変わらない。風化し続け、脆く尖がった岩峰が続く稜線を、クサリ頼りとはいえ高所恐怖症の自分が平常心で歩けるわけがない。40年近く前に裏妙義の丁須の頭の真下まで行き、頭に登っている人を眺めただけで妙義山は済ませたことにしている。二度と来ることはあるまいとも思っていた。それでいながら、一昨年に並木沢の牛名滝と大滝を観に行った際、そちら側からでも行ける谷急山手前の三方境に至る標識を見かけ、いずれ裏妙義の谷急山には登ってみたいとは思っている。
 行く山がなかった。毎日、山梨大月の桜の開花状況を調べていたが、日々に更新される情報は毎日、ツボミのまま(開花はようやく28日の午後過ぎだった)。残雪がありそうな山には行きたくない。ふと、表妙義山系には行ったことがないことを思い出した。気が進まないままに調べると、「中間道」というふれあい道がトレッキングコースとして通っていることを知った。途中でいくつかの見晴場がある。これならギザギザを登らずに眺めるだけで済みそうだ。時間つぶしのハイキングには手頃だろう。
 変化なさげなコース歩きだけで終わらせるつもりはない。せっかくならと欲が出る。既存コースに何かを加えたい。「大の字」には興味はないが、その先の「奥の院」には行ってみたい。だが、クサリ場続きのようでこれはダメ。奥の院そのものがピークだったら考慮もするが、ただの洞穴状のところにあるようだ。この辺、『山と高原地図』には「滑落死亡事故数件あり」と記されている。命をかけるのはゴメンだ。表妙義山系で唯一、二等三角点のある「相馬岳」が目に付いた。相馬岳なら中間道の途中から登って下れる。クサリ場はいくつかあるようだが、ネット記録の写真を見る限りはさほどに厳しいものではない。ということで、今回の歩きは中間道歩きに相馬岳をプラスした。その先は気分と状況次第だ。中間道を先まで行ってしまうと、帰りが長い車道歩きになってしまう。それは避けたい。
 事前調べで、立入禁止スポットがいくつかあるのは知っていたが、ごく最近でも、大の字から白雲山、相馬岳を通しで歩いた方の記事をいくつか見ていたので、その時は、白雲山はともかく、相馬岳だけに登るのはまったく問題はないと思っていた。

 朝から暖かいというよりも暑く感じるくらいで、厚着で犬の散歩に出たら汗をかいた。少し薄着にして出かけた。とはいっても平野部と違い、気温も低いだろうと、フリースとやや厚手のシャツを着たし、雪が残っているかもしれないと、チェーンスパイクは持参した。さらに、久しぶりに中間道の途中にいくつかあるらしい東屋でラーメンでも作って食べるつもりでいたから、ラーメン具まで用意して、いつもよりも荷物は多い。軽いハイキングと見なしているからそうしたが、そうでなかったら菓子パンで済ます。

(妙義神社に向かう。神社は見えていない)


(正面の白雲山には大の字が見えている。何を意味しているのかは知らない)


 <道の駅みょうぎ>の駐車場に登山者の駐車は避けて欲しい旨の看板があったので、道路を隔てた高台の富岡市営駐車場に車を置いて出発。8時50分。この時点で、まさか2時間もしないうちにここに戻って来るとは思ってもいない。しつこいが、妙義山域そのものに嫌悪に近いものがあり、この時点に至っても、途中、何かトラブルでもあって、中断にでもならないかなんて期待している始末だから、出発時の意気込みは薄い。

(神社までが長い)


(途中で。国重要文化財「波己曽社」とある)


(本殿はあの門の後ろかと思ったが)


(まだあって)


(ここが本殿のようだ。これも重文らしい)


 妙義神社は見上げる先にあるようで、急で長い階段が続いている。時間的には早いと思うが、参拝目的の軽装な方々もいる。立派な門が立ちはだかってか本殿そのものが見えず、ようやくあれかなと思ったところは仁王門で、さらに先だった。神社の背後の岩壁には「大の字」が見え、その上には何山かは知らないが岩峰が見えている。冒頭で「風化」という言葉を使ったが、これは、高校時代の地学の先生が、地形の解説をした際、具体的に「風化の典型的な例は妙義山だ」と言ったことを覚えていて風化としたのだが、見る限り、樹々もない茶褐色の岩盤もろ出しの姿では、土砂災害によるものとも思えず、まさに風化だろう。40年前に丁須の頭まで登った時には、そんなことを思うこともなかった。いや、むしろ、裏妙義の方は表妙義ほどには風化が進んではいないのかもしれない。
 ようやく本殿前に到着。ここまで10分はかかっている。ここの本殿、社殿とはあるが国指定の重要文化財のようだ。一応、手を合わせる。さっきから前方にちらついて見えていた4、5人組のハイカーは社殿の右側から上に登ろうとしている。登山口らしき看板も置かれている。確認には行かなかったが、あれは大の字に向かう登山口だろう。その気はないから、さっさと中間道に入るべく、反対の左に向かって境内を出た。

(中間道の入口)


(整備された道)


(あの左端が相馬岳かと思っていたが、方向感覚がまったく違っていた)


 早速、中間道の入口にはチェーンが張られていた。つまりは立入禁止。理由は落石工事中であること。そして、工事の振動で新たな落石の恐れがあるからとのことだ。まさか、ここで終わりというわけにもいかず、「気づきませんでした」で済ませられるはずもないのを承知でチェーンを越えた。そのチェーンの存在と矛盾しているとは思うが、第2見晴台までは行けると記された看板も置かれていた。相馬岳への登り口はその第2見晴台の少し先のタルワキ沢分岐というスポットだ。問題なく行けるだろう。
 歩きやすいしっかりした道が続いていた。さすがに関東ふれあいの道だ。整備されている。歩幅の合わない丸太の階段が随所に設置されている。なだらかながらも起伏はあるが、徐々に高度を上げていく。トレッキングコースだけあって、右手に大きな岩が点在して迫ってはいるものの、左側はこけて落ちても死ぬほどの斜面ではない。
 どんどん暑くなってきている。フリースを脱いでも汗が落ちてくる。そのせいなのか、寝起きからだるかったせいか、歩いているのが億劫になってきている。まだ30分も歩いていない。
 相馬岳を含んだ山塊の岩峰並びが右手に見えてくる。左端が一番高いからあれが相馬岳かと思うが、その右手に下がって行く白雲山、大天狗、大のぞき、ビビリ岩がどれなのか特定できない。クサリがあるからといって、あんなところを登ったり下ったりするのは命がけにも思えるが、肝心の相馬岳に至るタルワキ沢は、おそらくあの窪みかと思うが結構急じゃないか。改めて地図を見ると、崖マークの間を間隔の狭い等高線が谷間状に上がっている。ここまで、観光協会で発行した案内マップを頼りにして来たが、等高線はあれど、崖マークはどこにもない。まぁどうにかなるだろう。冷や汗かいて相馬岳に登った記録は見なかったし。後日談になる。ここで自分が相馬岳のある岩峰群と思っていたのは実は西側の金洞山で、相馬岳は大の字のある白雲山の左側一角にあった。まあこんなレベルだ。

(右手から大の字コースが下ってきた)


(第一見晴にあったふれあい解説板。神楽殿には気づかなかった)


(見晴から。後で知ったこと。相馬岳と思っていたのは金鶏山で、右端の岩峰が筆頭岩というらしい。金鶏山は白雲山の正反対側と思っていただけに、頭の地図はまるきし混乱している)



(見晴から。それなりの高度感はある)


 大の字から下るコースが右手から合流。オニイさん3人組がそちらから下って来た。ここは第一見晴台になっている。標識は「第一見晴」となっている。入れ違いに見晴台に立ったが、見晴らしよりもこの先のオニイさん達の行き先が気になった。がっかり。オレが歩いて来たコースを下って行った。大の字まで行ったことは確実だろうが、その先まで行っていたとしたら、いくら若くともぐったりするのは当たり前で、大の字だけで終わらせたとしたら根性不足じゃないのかと疑ってしまう。行っていないから好き勝手なことを言える。

(大黒の滝)


 先を行く。右手に大黒の滝。水は流れていず、黒く湿っているだけ。落差は5~6mだろうか。この滝、左右の岩の奥に流れていて、その上に突起状の小さな岩があるから、写真の撮り方によっては卑猥なポーズにもなる。これはどの滝でも共通して言えることで、そのことは後で気づいたことで、その時は何も感じていないし、秋田の桃洞滝のようにストレートではあるまいに、そんな目で滝を見ているわけでもない。右から登れそうだが、登ったところで何か収穫があるとは思えない。
 後ろからトレランさんが走って来て追い越して行った。持っているのはペットボトルだけ。どこまで走って行くのか気になった。あの軽装では中間道の走りだとは思うが、第二見晴台の先はどうするのだろう。

(中間道にはこんな岩があちこちに点在する)


(そろそろ第二見晴かと思う)


(この先通行禁止。内心ラッキーと思っている。余計だが、この看板、少しおかしな文章だ。「通り抜けできません」だけでいいのにその後に「ご注意ください」とある。これでは、注意すれば行けると解釈できなくもない)


(反対側が見晴台)


 鉄の階段を下って登ると第二見晴。9時42分。出発から52分。見晴台は左にあり、中間道はここから右折していく。ここにテープを張ったゲートがあり、テープには「キケン 立入禁止」とあった。ここから見る限りは問題なく行けそうだが、補助説明図によると、ここからでも見えている「鋼製階段」が通行止めとのことで、さらに先の金洞山の下は落石が起きているとのこと。つまりも何も、ここから先には行けないということで、いつもなら自己責任と称して行くかもしれないのに、今回に限っては自重した。元より第二見晴から先には行けないことをわかっていてここまでやって来ている。自分の目で行けないことを確認に来たようなものだが、こういう不可抗力ではどうにもなるまい。引き返しの格好な理由付けになった。ほっとしたというよりも本音では喜んでいる。この結末にがっかり感もまったくない。

(第二見晴から金鶏山)


(こちらは金洞山)


 気持ちを変えるまでもなく第二見晴台に登る。鎖はあったがつかまる必要はない。細長い見晴らしスポットだった。この表妙義の景色を眺めただけでも満足だ。第一と違って、見える範囲が広がり、どこが何山なのか特定できなくなってしまった。さっき相馬岳と思っていたのも違うかもしれない。端で休んでいたのか、物音にびっくりすると、さっきのトレラン氏が下って行った。そのまま先に走って行ったのか、戻ったのかは確認できなかったが、中間道を先に行ったとて、もう、今の自分に関心はない。ここから戻るだけだ。だが、考えるまでもなく、今回も情けない山歩きになって、時間的にもハイキングレベルにも達していない。それはそれでいい。何だか暑さもあってか、体調もしまりがなかった。

(もう用はない。長居は無用。さっさと戻って)


(通行止めの入口に戻った)


(また妙義神社めぐりになる)


(こんなのがあちこちにあって)


(大の字登山口)


(神社で1)


(神社で2。しだれ桜かと思うが。あと一週間か)


(同じく)


 同じところを下って神社まで戻る。だれにも会わなかった。ただ、下りの気分は良かった。どこが?と問われても答えようがない。せいぜい、厄介なところに行かなくて良かったといったところだろう。
 社殿に着いたのは10時20分前。時間も早いし、ぶらぶら寄り道をしながら下る。大の字の登山口も確認した。見下ろすと、桜があちこちに咲いている。神社の枝垂れ桜はまだツボミ。開花した桜は下に広がっている。ことに、駅の道の南側が花見場所にでもなっているようだ。ただ、花は白ではなく赤く見える。

(道の駅の裏)


(桜の公園で1)


(同じく2)


(3)


(4)


(あっけなく終わり)


 神社を遠巻きに下りながら道の駅に着いた。10時40分。2時間前に比べて人出が多い。ザックは担いだままに道の駅に行き、花見会場に向かった。きれいに植えられた桜公園になっていた。百本はあるだろうか。やはり白ではなくピンク系の花だ。標高的には早いのでは思ったが、ここの桜はソメイヨシノではなく河津桜だった。
 群馬としては早い盛りの花見ができ、それはそれでラッキーだった。できるならソメイヨシノであって欲しかったが一週間以上は早い。

 ラストで花見ができただけでも幸いだが、今回のハイキングは何だったのだろう。連れもいないのにこんな消極的な歩きは珍しい。2時間も歩いていない。たまにはこんなのもありか。読み直すと、短時間のわりには文章が長過ぎるようだ。ここ最近の歩きからすれば、ブログに敢えてアップするような記事でもないが、ヒマだし、敢えてといったところもある。
 車での往路は一般道だったが、すぐそこに松井田妙義ICがあったから、帰路は高速を使って玉村で下りた。それでも帰宅時間は12時台の早過ぎで、昼食は、山で食べるはずだったラーメンにセブンで買った具を入れて食べた。餅を入れて失敗したが、税込み108円の冷凍肉入り野菜はインスタントラーメンには適当な具だろう。
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2 コメント

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Unknown (みー猫)
2022-03-31 21:57:24
こんばんは。
てっきり、たそがれさんは既に5回くらい行かれてると思っておりました(勝手な話ですみません)自分もココどうしたものかと思ってますので、今度行かれる際は声かけてみてください。ウォータウォーキング2に記載のある妙義大沢ルートに行きたいなぁと妄想しています。秋が良いでしょうか。
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みー猫さん (たそがれオヤジ)
2022-04-12 17:25:44
みー猫さん、こんにちは。
返信が遅くなって失礼いたしました。というのも、おもしろくもない歩きになってしまったので、記事にアップはしたものの、以降、自分のブログは確認さえしておりませんでした。
妙義山は上毛三山の一つとはいえ、群馬県民ならだれでも何回かは歩いていると錯覚されかねませんが、ご覧のように、妙義はこれが二回目で、表妙義は初めてでした。元から、興味もない山でしたから調べもせず、安易に、ハイトスさんなら何度も行かれているだろうと過去記事を確認すると、やはり、こちらは、大の字と中間道で終わっておりました。
妙義は紅葉がきれいなところのようですね。今度はその時期にでもと思ってはいるのですが、そのウォーターウォーターなるものが何のことやらわからず、調べると沢歩きの本のようですね。どんな歩きが記されているのか調べたいものですが…。
やさしい歩きのようでしたら、ご一緒したいものです。
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