たそがれオヤジのクタクタ山ある記

主に北関東の山を方向音痴で歩いています。山行計画の参考にされても責任は負いかねます。深慮せず軽く読み流してください。

白浜山~根本山~椀名條山

2007年12月04日 | 近所の群馬県の山
◎2007年12月2日(日)―1人

 前回の皇海山から1か月のブランク。もう暮れの12月。いつもの低山というか、木の言葉ではマイナー山行の季節になってしまった。昨日の土曜日は子供の送迎やらタイヤ交換、床屋に行ったりと、それなりの用事があって山には行けず、余裕のない日曜日しか選択の余地はない。本当は日曜日に出歩くのは嫌なのだ。疲れも残ってしまうし、帰ってからの時間的なゆとり(つまりは洗濯する時間)がとれない。こうして日曜山行も必然的に近場の山でごまかすしかないのだが、せっかくだからヤブ山系を歩こうと、昨年5月に行った白浜山に、別ルートで行ってみることにした。余裕があれば根本山までと考慮に入れはしたのだが、おそらく白浜山界隈で迷うだろうから、勢多東連山の大縦走はあまり期待はしていない。

 沢入から黒坂石方面に向かい、途中の加藤畑林道の分岐に車を駐める。7時30分出発。林道に入って3分もしないうちに、左にゲートのある「作業道」が分かれている。今日はこの道を辿り、沢から尾根に這い上がる予定。ゲートの脇を通り、作業道を進む。作業道といったって、荒れてはいるが車の往来は可能。悪路ながらも舗装もされている。しばらく進むと、どこからか銃声が聞こえる。狩猟も解禁か。この銃声も終日、この山域で聞こえた。群馬と栃木の県境で武力紛争が始まっているかのような錯覚におちいるからいやなものだ。作業道が二股になった。直進すべきか右折すべきか迷ったが、地図とコンパスの範囲では白浜山方面は右折だろう。この道は完全に作業道。舗装は消え、車も通れない。薄暗い植林帯のヘリを行く形になるが、すぐに小道になってしまった。沢は途中から左になり、作業道に並行して上っている。やがて道は20分程で沢に合流する形で完全になくなった。心細くなったが、とりあえずは時間もあるし、今のところ迷うことなく戻れそうだからこのまま沢沿いに進もう。沢も涸沢になったあたりで、植林域も終わり、灌木帯になった。その境目あたりから尾根に登ってみる。かなり急。積もった枯葉がすべる。太い木の幹をつかむと腐っていて折れる。ゼイゼイして15分、薄暗い世界から明るい尾根に出た。8時15分。ここまで歩き出しから45分。休憩。天気はいい。

 枯木にヒモが1本結わえてあるが、踏み跡なんてまったくない。きついヤブのない、明るい尾根であることがせめてもの救い。向かい側に熊糞山らしい山が見えるから、この尾根の先は至・白浜山だろう。熊のフンがあちこちにある。さらに、落ち葉に何物かが寝ころんだ跡を2か所見つけた。これは絶対、人間のものじゃないな。横幅は人間の2倍はある。木の幹に明白な爪のひっかき痕。カモシカが5頭ばかり横切って行った。シカなら分かるが、カモシカも集団行動するのだろうか。新たな疑問。やはりこのルートは正解だった。8時48分、白浜山着。相変わらず何の変哲のない山。展望も良くない。しかし、時間が少々早過ぎる。1時間18分で着いてしまった。迷いタイムを含めて2~3時間の想定だった。ちょっと裏山に行って来るといった感じ。あまりにも物足りない。白浜山が素晴らしい山ならともかく、こんな凡な山に登って、さっさと下山してしまったのでは消化不良をおこす。さらに根本山に行ってみよう。だめならその時次第。途中、黒坂石に下りるルートは何本もあるから、エスケープすればいい。

 熊糞山を経由して、左手に広大な伐採地。やがて県境尾根に合流。9時46分着。このルートも、往復を含めればもう3回目だから、迷うこともなくすんなりと着いてしまった。途中、日光の山並みを遠望。男体山には今のところ雪がついていないが、日光白根は白い。といっても元来が白い山。岩肌なのか雪なのか遠くからでは分からない。また銃声が響いた。ここからは県境尾根を忠実に根本山方面に向かう。しっかりした道もある。だれも歩いていない。1,091mピーク近くになってから人の声が聞こえた。根本山方面から来た6~7人のグループがピークを迂回して、南下する尾根に入り込んで行く。最初はどこに行くのだろうかといぶかしんだ。ジイサン連中だから、道を間違えているのじゃないだろうかと。地形図を広げると、向かっている尾根の末端は根本沢。そういえば、根本山から沢コースを下った際、根本神社を下りきり、沢に合流したところ(籠堂跡というらしい)に、「黒坂石」方面の表示があった。何でこんなところから黒坂石に行けるのかなと思ったものだが、どうもこのご一行はこのルートを下って、籠堂跡に出るようだ。地形図の等高線はかなり入り乱れている。急な下りになっているんじゃなかろうか。魅力あるルートとは思えない。根本山界隈を歩きつくした集団だろう。

 単調な上り下りが続く。これが結構こたえる。次第に飽きてくる。根本山がようやく視界に入った。そして急坂の下り。根本山神社奥の院の分岐から一旦、黒坂石方面に向かい、そのまま尾根を辿るが、そこに待ち構えていたのが「危険」表示。岩峰を巻く迂回路にはロープや鎖が付いている。確かに、下を見れば冷や冷やするところだ。また伐採地に出る。結果的な話だが、今日のルートは伐採地になってようやく好展望スポットになる。袈裟丸山から皇海山、男体山まで見渡せる。根本山まではあとわずかではあるが、この尾根の登りがかなりつらい。何度も休みながらようやく着いた。11時30分。根本山は普通、梅田から入る人がほとんどで、沢入から県境尾根を経由して入る人はあまりいない。そのためか、山頂からこちら側はキジ場になり果てている。この時期は寒いからまだいいものの、夏なんかたまったものじゃないだろう。いつか暑い盛りに木と天狗岳に行った時、岩に近づくたびに、岩陰にハエが群がっていた光景を想いだす。

 山頂には2人いた。無線オタクとジイサン。このジイサンが山頂表示の真下にどかんと座ってオニギリなんぞついばんでいるものだから、写真を撮るのにも往生した。つまり邪魔。ジイサンを避けて撮ったつもりでいたが、後で見ると、服が映っていた。このジイサン、話好きで、自分とは反対方向からやって来たオレに興味を示し、やたらと話しかけてくる。無線オタクは何やら訳のわからない呪文を口早に唱えている。山頂でしばらく休憩するつもりでいたが、ハイカーが何人かぞろぞろ来てしまったのと、ジイサンがうっとうしく、一息入れたままで、下山にかかった。このジイサンも、登って来る人たちに声をかけては、「沢コースかい?尾根コースかい?」としきりに聞いている。どっちでもいいような気がするが、気になるタイプなのだろうな。しかしながら、皆んな昼飯タイムを頂上で過ごすようにして歩いてくるのは、何とも、習性というか、おかしなものである。腹が減ったら、どこででも喰えると思うけど。山頂で見る光景は決まって飯を喰っているハイカーの姿。

 山頂を北東に下って荒れ放題の根本山神社。だれもいない。ポカポカして汗をかくようになったが、脱ぐのが面倒で、ザックが膨れるのも嫌なので上着のフリースはそのまま。ここから多少のアップダウンがある。最初のうちは巻き道を無視して稜線を忠実に上り下りしていたが、かなりばてて体力を消耗してしまった。巻き道との合流の先を、さっきのジイサンが歩いている。その後ろにはCQ男。時間も相当に無駄にしてしまったようだ。振り返り「あれっ、どうしたの?」と聞かれてしまった。もうバカなことはやめて、この先、巻き道があればそれを歩くことにした。ジイサンらは熊鷹山に行くそうだ。ご丁寧にも氷室山への分岐点を教えてもらい別れる。

 分岐からは比較的平坦気味の、気持ちよい山道をしばらく歩く。以前、ここを歩いていてイノシシの親子を見かけたことがある。今日はカモシカ以外何も見かけない。氷室山方面から3人やってきた。左手に黒坂石に下りる中ノ沢コース。3年前、木と黒坂石から椀名條山に登り、このコースを下った。1月のことで、この周辺の積雪が一番多かった。確か、それがために根本山方面には進まなかったと記憶している。積雪といっても、オレはゴム長を履いて不自由しなかったから、20cm程度だったろうか。氷室山神社12時30分。ずっと歩き通しだったため、いささか疲れた。ここでしばらく休憩。ポットから湯を注ぎ、オニオンスープを飲む。パンを浸して食べる。このスープはしばらく口に残り、後味が悪かった。カップラーメンも含め、冷めかかったポットの湯で戻す食い物は、山には向かない。

 神社からしばらく北へ。歩き出して間もなく、向こうから単独。立ち止まって話をする。葛生から来たとのこと。「下から歩き出したけど、ハンターがかなり入っているので、上から来た」と言う。地理感覚がよくつかめない。言い訳をしているようにも聞こえる。葛生分岐12時50分。石祠がある。真西に椀名條山へ。ここから黒坂石までの道程が長かった。3回程の上りがきつく感じる。左は伐採地。今回は適当な写真もなく、ここに出した写真は、伐採地から撮った根本山。何の感慨も湧かない。普通なら、よくあそこからここまで歩いたなぁと感心するものだが、気持ちがまったく動じない。マイナー山行の故か。椀名條山13時40分着。かつて木をこの山に誘った時、あまりのマイナーぶりにあきれ果てていた。雪でもなかったら、彼は怒っていたろう。まっ、オレの趣味だから致し方ない。同化させるつもりもないが。今日も相変わらずだれの姿も見えない。根本山が表ならここは裏といったところか。伐採地については、以前は気づかなかった。あの時は、まだ林のままだったのではないだろうか。飯場の建つ立派な林道が見える。あの作原林道だって、かつては貧弱な林道だったのに。

 一気に下りにかかる。尾根伝いに下るだけなのだが、尾根の派生が多くて迷いそうになる。テープを確認しながら下る。薄暗い林の中を通過する時には、なにやら不気味な感じがした。「黒坂石キャンプ場」の表示に導かれて西から南西に。キャンプ場が見えはじめ、丸太の階段のある坂が現れた。ジグザグに下って、そこには「椀名條山登山口」の表示。14時35分。以前、こんなのはなかった。あの時はキャンプ場のさらに奥に車を駐め、尾根の先端らしきところから入って登った。登山口表示を建てる程の山じゃないような気がするが。もっとも、そんなに歩いている様子はなく、階段の丸太も随分と朽ちていた。

 ほぼ15分歩いて車に到着。真っ赤なモミジが1本。澄んだ水。どこからともなく薪を燃やしている煙の臭い。今日は20キロは歩いたろう。

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2 コメント

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Unknown (俺だ)
2007-12-06 17:37:03
マイナーというより、「おたく」に近くなったなったんじゃあねえか?まあ、明日はよろしく。
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山頂といったらLUNCH (Yossy)
2007-12-07 23:33:11
やはり、小学校の頃から山に登ったら山頂でご飯と決まったように脳にインプットされているから、体が動いてしまうのでしょうね。私も景色をおかずにしたいと思って山頂を目標にしてしまうだろうな。いつも思うけど、まだまだ自然が近くにあるのですね、熊やカモシカなんて北海道の山奥でないと居ないと思っていたので、プログを読む度に新しい発見です。
俺ださんの言う「おたく」は、人の行かないルートを好んで行くこと?それとも、他の意味があるのかな。
真っ赤なもみじから、真っ白な雪になっていく時期なので、出かけるのが億劫になるでしょうが、プログのアップを待っています。
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