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◎2023年3月29日(水)
中央公民館駐車場(8:23)……さくらの山公園……大観山(8:45)……西山高取(9:00)……324m標高点・根っこ山(9:14)……大高取山(9:30)……幕岩展望台(9:44)……桂木山(10:00)……桂木観音(10:08~10:24)……戻って分岐(10:33)……だいこうじ跡(ふれあいの里山展望台)?(10:43)……みつまたの谷(10:51)……虚空藏尊さくら山(11:10~11:56)……駐車場(12:26)
大高取山にこだわりがあったわけではない。2月26日に奥武蔵版鼻曲山に行った際、大高取山経由で越生梅林に下るつもりが、長い杉林歩きに嫌気がさして別コースで下った。3月1日には、今度は大高取山にしぼって梅林に行くつもりが、起き抜けから体調が悪くて山に登れる状態ではなく、さりとて梅見だけはしたい。だが、駐車場に車を入れて500円取られるのももったいなく、駅近くの中央公民館から歩いた。30分近くかかった。公民館の駐車場はハイカー用に無料で開放されている。越生梅林には初めて行ったが、結果はなるほど…で終わり、入場料400円はかなり高く感じた。青空が広がっていたら印象も違っただろう。
梅見の時期はすでに過ぎて桜の時節となった。越生は花見のスポットでもあるようだ。ついでの山となると、大高取山しか思いあたらなかった。それしか知らない。ということで、毎日のように開花状況を調べては29日に行くことにした。幸いにも、天気予報では日中の天気は花見日和だった。
花見はともかく、大高取山にも登りましただけでは味気ない。大高取山に見どころはないものかと探したら、「みつまたの谷」というのがあるらしい。ミツマタそのものを自分はあまり好きではない。花らしくない花だからだ。だから、桐生梅田のミツマタ群生地にも行ったことはない。だが、大高取山の、この時季の見どころはみつまたの谷だけのようだ。期待はないが、一応、どんなものなのか見ておいてもいいだろう。まして「谷」という言葉は秘境をうかがわせる。がっかりは後でいい。だから、みつまたの谷がどこにあるかははっきりしないが、それがあるらしきコースを歩くことにする。その先には、花見スポットの虚空蔵尊のさくら山もあるようだし。
(越生町中央公民館から出発)
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平日のせいか、公民館の駐車場はガラガラ。町役場に隣接している。ここの越生町は梅林と「太田道灌のふるさと」だけが売りではなく、「ハイキングのまち宣言」もPRしている。そのせいか、町役場の関係者やら、町の人が、ザックをかついで歩いていると、気軽に「おはようございます」、「こんにちは」と声をかけてくれる。気持ちの良い町だなと思った。梅林見物に行った時は、ザックを背負っていなかったせいか、だれからも挨拶は受けなかった。話は違うが、その梅林見物の時と今日のハイクで、あちこちに置かれた車の大方が川越ナンバーで、熊谷ナンバーではないのに違和感を覚えた。気になって調べると、この越生町、てっきり比企郡と思っていたら入間郡だった。小川、嵐山、ときがわの延長ではなかった。狭い埼玉県ながらも、越生町は熊谷の文化圏でないことをナンバープレートで知った。
(すぐにさくらの山公園)
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(まさに見頃のようだ)
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しばらく歩くのかと思ったら、さくらの山公園は公民館の裏手だった。平日の早い時間帯だし、歩いている人は少ない。散歩がてらの方がほとんどで、荷物を背負っているのは、せいぜいトレランらしきネエちゃん一人くらいのもの。閑散としてはいるが、桜は賑やかに咲いている。やはり満開だった。ピンクと白、住み分けているところもあれば混在しているところもある。上まで続いている。ちょっと興ざめなのが、ライトアップ代わりだろうか、提灯がずらりと並んでいること。さくら祭り専用らしき提灯もあるが、中には紅白の縦縞で、何とも安っぽく、「梅まつり」、「越生まつり」と記された提灯も見かけた。
(無名戦士の墓)
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(さくらの山公園で1)
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(さくらの山公園で2)
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(さくらの山公園で3。梅まつりの提灯はどうも…。提灯が足りなかったのだろうか)
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(さくらの山公園で4)
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(さくらの山公園で5。供養館への階段が見える)
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(さくらの山公園で6。賑やかだ)
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(さくらの山公園で7。ツツジも満開)
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(供養館。さくらを見たついででは違和感があった)
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(大観山)
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(大観山三角点)
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<世界無名戦士の墓>を過ぎても桜は続く。上には白い角張った建物が見えている。階段を登って行くと、これが慰霊塔というか、慰霊館のようだった。越生町の見晴らしは良く、ここは小ピークにもなっている。大観山だった。大観山には三角点があるはず。建物から離れたところにひっそりと三角点標石があった。気づく人はさほど多くはないだろう。
(大高取山へのハイキング道)
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(さくら山方面をつい見てしまう)
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(最初の展望地から)
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大観山からは桜が切れ、山道になって大高取山に至る。50mほど先を、トレランのネエちゃんが歩いている。トレランと思ったのは、水筒しか入っていないような、小さなザックだからだが、別れるまで走る姿は見なかった。それでいて歩きは早い。
ここのハイキング道も例外なくスギが続く。いや、ヒノキも混じっているようだ。どちらにしても、カラッとした中での歩きは期待できまい。少し登ると展望地。とはいっても、切り株があちこちにあるところからして伐採して展望地にしたらしい。遠方、つまりは東京方面まで見渡せるようだが、奥の方は霞んでいる。春霞の時期だから仕方がない。
(西山高取)
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(ここにあったマップ看板。『みつまたの谷』が記されている。イラスト親子のハイキングで簡単に歩けるのだろうが、なぜかオレには、超難解な歩きになってしまった。今思うに、地図を見ながらの歩きは避けるべきだったのかもしれない)
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西山高取は木立の中の小ピーク。ここにハイキングマップの看板があり、みつまたの谷の場所が特定されている。地理院地図にマークしようとすると、破線路だらけで、マップ看板上のハイキング道と地図の道が全然重ならない。途中で標識でもあれば都合もいいが、なければ、ヘタすれば桂木観音に出てしまう。前にも行っているから、それは避けたい。
よくは知らない。自分が遠回りしたのか、他のコースもあったのか。越生駅と大高取山、桂木観音を結ぶ道に出た。地図を見たところで、そんな破線路はない。桜を見たことだし、深くは考えまい。大高取山に行ければそれでいい。標識に合わせて行けば大高取山に出られる。地図頼りに歩くところではないようだ。その別道から登って来たらしいオッちゃんが前を歩き、その前をトレランネエちゃんが歩く形になった。
(白石様)
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(この順番になってしまった)
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(大高取山山頂)
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オッちゃんを間もなく抜くと、<白石様(石灰岩の露頭)>なる石の塊があった。そして324m標高点。ここは「根っこ山」とも言われているらしいが、設置された手書きらしい山名板を確認することはできなかった。というか、そこまで気が回らなかった。
尾根の直登ができそうなのに、大高取山への標識は左の道に向いている。トレランネエちゃんが突っ立っていた。ネエちゃんに、ここを真っすぐに登っても行けるのかと聞いた。「左は巻き道で、ここを登っても行けますけど、今日は山頂に行くかどうか迷っているんです」とのこと。話を聞いていると、この辺はよく来ているらしく、詳しいらしい。その間に、後ろのオッちゃんは直登して追い越して行ったし、左からやって来たオバちゃんは、「こちらから登った方が楽ですよ」とおっしゃる。結局、ネエちゃんの後ろについて直登した。直登とはいってもたいしたものでもなく、ちょっと登っただけでさっきの巻き道に合流して山頂に至った。
(あっけなく登ったし、感慨もまた無し。先へ向かう)
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ここの山頂もまた伐採して展望を良くしている。さっきの展望地からの景色とさほど変わりはない。三回目にして来られた山だから、それなりに感慨もあってしかるべきだろうが、特別な感情は湧かない。腰掛けもせずに水を飲んで景色を眺めていた。ネエちゃんはさっさと下って行き、ミツマタの谷への行き方を聞きそびれてしまった。オッちゃんはというと、その辺のヤブの中に入り込んでウロウロしていたが、姿は見えなくなった。ここから北に下る破線路があるから、そちらにでも下ったのか。一人残されてしまった。タバコを吸う気にもなれず、ぼんやりしていても仕方がないので、桂木観音方面に向けて下る。
(幕岩に行ってみよう。後で思うと、これが落とし穴の幕岩ならぬ幕開けだったかも)
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(幕岩展望台)
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(そして、ここからの展望。かすかに高層ビルは見える。だが、さいたま新都心かも知れないし、新宿なのかはわからない)
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(展望地の先にあるこの道をそのまま行けばよかったようだが、標識もないし、迷ったが、このまま戻ることにする)
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途中、左に向けて<幕岩 約0.4km>の標識を見かけた。400mなら寄り道をしてもいいかとそちらに向かう。とんでもなく長い400mだった。しかもどこまで下るのかと思うほどで、途中、地図にはない西山高取から直通する道が左から合流したりする。展望台に着いた時にはほっとした。幕岩というからには岩の上だろうが、真下に角張った岩が見えるだけのもので、下から見れば、確かに岩なのかもしれない。展望地としては、前の二か所よりは良かったか。
南側から話し声が聞こえた。道はそちらに続いている。確かに地図には破線路があるものの、事前に地図にマーカーしてきた破線路ではないし標識もない。尾根道にまた戻るのかと思うとうんざりする。
(ここもまた悩んでパスした)
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(尾根道に出た)
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(これも白石様かも)
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戻る途中、来る時には気づかなかった標識に、手書きで左下に向かって<だいこう寺跡>と記された道があった。後で自分の軌跡図を見れば、みつまたの谷に行くには、幕岩からそのまま先に行くか、ここの<だいこう寺跡>方面に入り込めばよかったわけで、いずれも先で合流していたはずだ。疑心暗鬼になっていた。杉林の中で迷っていたら気が滅入る。素直に尾根道に戻るしかないなとそのまま登ると、左上に向かって小道があった。これ、もしかしてショートカット? とダメモトでこの道に入るとあっけなく尾根道に出た。これはラッキーだったかもしれないが、幕岩まで下ったはいいが、その先は滅茶苦茶にムダ歩きを繰り返し、かなり遠回りをしてだいこう寺跡に着くことになる。つまり、だいこう寺跡に出ないとみつまたの谷には行けなかったのだ。想定していた場所も間違っていた。興味も薄いミツマタにこだわったばかりに不可解な歩きをしてしまい、そのミツマタを見てしまえば、余計なことを考えずに、そのまま虚空蔵尊に向かえばよかったなぁという見事な後悔の図になってしまったが、地図にはない道が何と多いことか。地図と照合すれば頭が混乱するだけだ。
(桂木山。ピークというほどのところでもない)
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尾根道を先に行くと桂木山に到着。ここはただのピークで展望はない。ここまでは予定コースで、この先で東に向かう破線路があり、そこに入れば、みつまたの谷に出られると思っていた。意味もなくなった地図を改めて見る。その破線路はあくまでも尾根下りで、「谷」である以上は沢型の地形で、そうなると、大高取山と桂木山の鞍部から南東に下る沢型しかない。そこに水線はないし、破線路も通っていない。西山高取のハイキングマップ看板には、川沿いに、みつまたの谷と記されていた。地形図に水線があるのは大高取山からの東で、考えるほどにわけがわからなくなった。方向音痴なうえに、懲りずに地形図を信じて歩くから、余計に混乱する。ミツマタはもういいかという気分になっていた。
(オーパーク分岐。結局は、ここに戻ることになる)
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(予定外だった。桂木観音に出てしまった)
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(一応、桜見物だけはした)
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(桜を入れた観音堂をうまく撮りたかったが、これが限界だった)
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改めて桂木観音方面に下る。その先に、みつまたの谷への標識でもあればいい。下って行くと、手書き標識があり、左に向けて<オーパーク>。今度は『山と高原地図』を広げる。「ゆうパークおごせ」はあるが、「オーパーク」はない。パス。そのまま下る。間もなく、見覚えのある観音堂が見えた。梅の時季に来たばかりの桂木観音堂。風景の違いは満開の桜が加わっただけ。ここに出てしまったか。万事休すだ。まさか、ここまで来るとは思わなかったし、途中から東に下って、みつまたの谷、虚空蔵尊のつもりでいた。
もう、車道歩きで虚空蔵尊に行くつもりで、展望台のベンチに腰掛けて地図を広げ、GPSをザックから取り出した。どこをどう間違ったのだろう。それでも、まだ、みつまたの谷にこだわっているのが不思議で、こうなると執念に近いものになる。ダメ押しで戻って、さっきのオーパークに下ってみようか。
地図を見ている間に、車でやって来た老夫婦のバアさんに道を聞かれた。東京ナンバーの車だった。「モモの花がきれいなところがあるって聞いたけど、観光協会に電話したら、ここの観音様を目指して、そのまま行けば着くって言われたけど、どこかしら?」。「ハナモモのところですか?」。「ハナモモって言うの?」。「だったら、ここから道は細くなると思いますけど、道沿いに、もっと先に行けば着くはずですよ」。「ありがとう。アナタ、ここまで歩いていらしたの?」。「山歩きで来ましたから」。「大変ね。アリガトウ」。地図を見せながら説明したが、バアさんは果たしてわかったのか。以前、女性は地図読みに弱いと聞いたことがある。こんなやりとりをしている間、肝心の運転手のジイさんはタバコを吹かせて東京方面を眺めていた。おそらく、ジイさんはバアさんに振り回されてここまでは来たが先がわからない。あそこに座っているのが知っているかもしれないから聞いて来いとでも言われたのだろう。
(ご苦労様といったところだ。分岐に戻った)
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(踏み跡ははっきりしているが、他の道とは違って、人通りは少ないようだ)
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戻って分岐からオーパークへ。もうぐるぐると歩いているような気がして、目途が立たないようなら、また観音堂に戻って車道を虚空蔵尊まで歩くつもりでいる。途中にまた手書きの案内板。それには<旧ゆうパーク>、<現オーパーク>とあった。だからといって、これで行けるかはわからない。しっかりした道を行くと、手書きではないハイキングコースの標識があり、このまま行けば「だいこう寺跡」となっている。さっきから気になってはいたが、「だいこうじ」、「だいこう寺」とは寺の跡なのか。「だいこう」が漢字だったら、寺跡だとはすぐにわかるが、ひらがなだから見当がつかない。そもそも、「だいこうじ跡」が『山と高原地図』に出ていない。
(やはり、幕岩展望地からそのままここに来られたようだ)
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(だいこうじ跡の展望地。「だいこうじ」が何なのかわからない。寺だったとしても、その撤去の痕跡はまったくなかった)
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(ここのマップ看板。相変わらず、親子が簡単に歩いているイラスト付きだ。こちらは、ここまでかなり苦労している)
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そのうちに、案の定、幕岩展望台からの道に合流して展望地。ここにマップ看板があった。「現在地」と記されたところには、<だいこうじ跡(ふれあいの里山展望台)>とある。さっぱりわからない。地図に合わせても、GPSを見ても、マップ看板の遊歩道と破線路は相変わらず重ならない。ただ、ミツマタから虚空蔵尊までは一本道のようであることだけはわかった。ということは、事前マーカーのルートで正解だったかもしれない。もうどうでもよい。虚空蔵尊の桜を見られればいい。マップ看板も素直には信じがたくなった。
(もしかして、ここが「みつまたの谷」か? 確かに写真右にショボい沢はある)
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とにかく、合流ポイントから下った。道は広くなっている。道は先でカーブして右手に沢が現れた。もしかして、これがみつまたの谷か? 水はところどころに流れは見えるがかなり乏しい。マップ看板では川のようになっていた。
(みつまたの谷で1)
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(同じく2)
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(同じく3。ピンボケ)
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(同じく4。これは振り返って。この程度なら、どこにでもありそうな…)
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(桂木観音に向けた標識があった。気落ちはしたが、ここまで散々迷ったうえの心境は「無」に近い)
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ミツマタはなかなか現れない。そのうちに黄色の塊が連なっているのが見えた。あれか? 50mは道沿いに続いている。<みつまたの谷>と言うには大袈裟すぎないか。果たして、これがその谷なのかは疑わしい。あまりにも規模が小さい。群生地と思い込むのは勝手だが、「谷」は沢沿いだから許容としても、<みつまたの谷>となれば、密生をイメージしてしまう。ミツマタそのものも終わりかけなのか、黄金色に輝いて見えるわけではない。この花への愛着がほとんどないので、期待どおりではなかったということになるが、このスポットに振り回されてやたらとムダな歩きをしてしまったことを考えれば、がっかりとしかいえない。これ以上は記すまい。もしかすれば、みつまたの谷はここではないのかもしれないし。密生地はこの先なのかもと対岸を眺めたりしたが、それらしきものは目に入らず、むしろ、沿道の桜が出てきたので、そちらに目移りするようになった。何だこれはと思ったのは、みつまたの谷の先の対岸に、桂木観音に向かう標識と道を見かけたことだった。今さらのことだ。
(森林ボランティア活動施設とのこと)
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(桜を見ながらの下り)
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(虚空蔵尊に到着。ここに来るまで一時間のムダ使いはしたろう)
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(階段を登る)
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(虚空蔵尊)
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(虎と)
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(牛)
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のんびりと桜を見ながら歩いて行くと虚空蔵尊の前に出た。階段を登る。本殿の前には狛犬ならぬ狛寅と狛丑。いや、この表現はおかしい。虚空蔵尊は神社ではなく仏閣なのだから、狛犬のような存在ではない。後で調べると、ここは丑寅年の守り本尊とのこと。虚空蔵菩薩と牛、寅の関わりはわからなかった。
(本堂の裏に回る)
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(虚空蔵尊の裏山を歩いて1)
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(虚空蔵尊の裏山を歩いて2)
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(虚空蔵尊の裏山を歩いて3)
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(虚空蔵尊の裏山を歩いて4)
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(虚空蔵尊の裏山を歩いて5)
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(虚空蔵尊の裏山を歩いて6)
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(虚空蔵尊の裏山を歩いて7)
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(虚空蔵尊の裏山を歩いて8)
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(虚空蔵尊の裏山を歩いて9)
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(虚空蔵尊の裏山を歩いて10)
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(虚空蔵尊の裏山を歩いて11)
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(虚空蔵尊の裏山を歩いて12)
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(虚空蔵尊の裏山を歩いて13)
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(虚空蔵尊の裏山を歩いて14)
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(虚空蔵尊の裏山を歩いて15)
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(虚空蔵尊の裏山を歩いて16)
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(虚空蔵尊の裏山を歩いて17。ここのベンチでランチ。タバコの煙は流れていくまい)
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(虚空蔵尊の裏山を歩いて18。ここが園地の最高点)
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(虚空蔵尊の裏山を歩いて19)
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(虚空蔵尊の裏山を歩いて20。山が笑っている)
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そんなことよりも、本殿の裏手に回る。さくらの山公園ほどに密にはなっていないが、斜面にとりどりの桜やツツジが植わっている。提灯もない。散策している人もさほどでもない。ここはいい。惜しいことに、ソメイヨシノの花の中心部が赤くなっているのがほとんどで、盛りは過ぎているようだが、それでも十分に楽しめるところだ。どうでもよいことだが、ここは「虚空蔵尊さくら公園」とか「虚空蔵尊さくら山」というらしい。
園内をゆっくり端から端まで回り、だれもいないさくら山の山頂のベンチに腰掛けて菓子パンを食べてタバコをふかした。ちょっと離れた桜の木の下では何人かのハイカーが食事をしている。のどかな風景だ。陽気もいい。そろそろ帰ろうかとしたところで、ここから西山富士につながるらしい道(当然、地図にはないが、『山と高原地図』には載っている)から下って来たオッさんがいた。だいこうじ跡に向かっている際に唯一出会った方だった。恥ずかしいことだが、この程度の山域でも、地図頼りでは歩けない。足繁く通っては、地図にない道を熟知していないと、今回の自分のような歩きになる。本当に里山恐るべしだと思う。
(本日の行程は終わりだ)
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(ついこの間までは立ち止まったろう)
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(規模は小さいがわざわざ見に行った)
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公民館まで里の中の歩き。ここもまたのどかだ。ウグイスが鳴いていたりする。キャッチボールをしていた兄弟から、コンニチワと声をかけられた。できるだけ大通りには出ないようにしたが、越生駅に案内する標識はずっと脇道になっていた。ついこの間まで咲き誇っていた梅は、すべて花を落とした裸木になってどす黒く暴れているように見える。
(太田道灌はここで知った。史実としては怪しいところがあるようだが)
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(公民館に戻る)
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公民館に到着。虚空蔵尊から30分かかった。駐車場は混んでいた。平日だし、仕事関係の方もいるだろうが、さくらの山公園に足を向ける行楽客の方がほとんどのようだ。
(今回の歩き)
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この地図は電子地形図25000(国土地理院)を加工して使用しています(令和元年手続改正により申請適用外)
中央公民館駐車場(8:23)……さくらの山公園……大観山(8:45)……西山高取(9:00)……324m標高点・根っこ山(9:14)……大高取山(9:30)……幕岩展望台(9:44)……桂木山(10:00)……桂木観音(10:08~10:24)……戻って分岐(10:33)……だいこうじ跡(ふれあいの里山展望台)?(10:43)……みつまたの谷(10:51)……虚空藏尊さくら山(11:10~11:56)……駐車場(12:26)
大高取山にこだわりがあったわけではない。2月26日に奥武蔵版鼻曲山に行った際、大高取山経由で越生梅林に下るつもりが、長い杉林歩きに嫌気がさして別コースで下った。3月1日には、今度は大高取山にしぼって梅林に行くつもりが、起き抜けから体調が悪くて山に登れる状態ではなく、さりとて梅見だけはしたい。だが、駐車場に車を入れて500円取られるのももったいなく、駅近くの中央公民館から歩いた。30分近くかかった。公民館の駐車場はハイカー用に無料で開放されている。越生梅林には初めて行ったが、結果はなるほど…で終わり、入場料400円はかなり高く感じた。青空が広がっていたら印象も違っただろう。
梅見の時期はすでに過ぎて桜の時節となった。越生は花見のスポットでもあるようだ。ついでの山となると、大高取山しか思いあたらなかった。それしか知らない。ということで、毎日のように開花状況を調べては29日に行くことにした。幸いにも、天気予報では日中の天気は花見日和だった。
花見はともかく、大高取山にも登りましただけでは味気ない。大高取山に見どころはないものかと探したら、「みつまたの谷」というのがあるらしい。ミツマタそのものを自分はあまり好きではない。花らしくない花だからだ。だから、桐生梅田のミツマタ群生地にも行ったことはない。だが、大高取山の、この時季の見どころはみつまたの谷だけのようだ。期待はないが、一応、どんなものなのか見ておいてもいいだろう。まして「谷」という言葉は秘境をうかがわせる。がっかりは後でいい。だから、みつまたの谷がどこにあるかははっきりしないが、それがあるらしきコースを歩くことにする。その先には、花見スポットの虚空蔵尊のさくら山もあるようだし。
(越生町中央公民館から出発)
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平日のせいか、公民館の駐車場はガラガラ。町役場に隣接している。ここの越生町は梅林と「太田道灌のふるさと」だけが売りではなく、「ハイキングのまち宣言」もPRしている。そのせいか、町役場の関係者やら、町の人が、ザックをかついで歩いていると、気軽に「おはようございます」、「こんにちは」と声をかけてくれる。気持ちの良い町だなと思った。梅林見物に行った時は、ザックを背負っていなかったせいか、だれからも挨拶は受けなかった。話は違うが、その梅林見物の時と今日のハイクで、あちこちに置かれた車の大方が川越ナンバーで、熊谷ナンバーではないのに違和感を覚えた。気になって調べると、この越生町、てっきり比企郡と思っていたら入間郡だった。小川、嵐山、ときがわの延長ではなかった。狭い埼玉県ながらも、越生町は熊谷の文化圏でないことをナンバープレートで知った。
(すぐにさくらの山公園)
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(まさに見頃のようだ)
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しばらく歩くのかと思ったら、さくらの山公園は公民館の裏手だった。平日の早い時間帯だし、歩いている人は少ない。散歩がてらの方がほとんどで、荷物を背負っているのは、せいぜいトレランらしきネエちゃん一人くらいのもの。閑散としてはいるが、桜は賑やかに咲いている。やはり満開だった。ピンクと白、住み分けているところもあれば混在しているところもある。上まで続いている。ちょっと興ざめなのが、ライトアップ代わりだろうか、提灯がずらりと並んでいること。さくら祭り専用らしき提灯もあるが、中には紅白の縦縞で、何とも安っぽく、「梅まつり」、「越生まつり」と記された提灯も見かけた。
(無名戦士の墓)
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(さくらの山公園で1)
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(さくらの山公園で2)
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(さくらの山公園で3。梅まつりの提灯はどうも…。提灯が足りなかったのだろうか)
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(さくらの山公園で4)
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(さくらの山公園で5。供養館への階段が見える)
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(さくらの山公園で6。賑やかだ)
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(さくらの山公園で7。ツツジも満開)
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(供養館。さくらを見たついででは違和感があった)
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(大観山)
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(大観山三角点)
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<世界無名戦士の墓>を過ぎても桜は続く。上には白い角張った建物が見えている。階段を登って行くと、これが慰霊塔というか、慰霊館のようだった。越生町の見晴らしは良く、ここは小ピークにもなっている。大観山だった。大観山には三角点があるはず。建物から離れたところにひっそりと三角点標石があった。気づく人はさほど多くはないだろう。
(大高取山へのハイキング道)
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(さくら山方面をつい見てしまう)
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(最初の展望地から)
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大観山からは桜が切れ、山道になって大高取山に至る。50mほど先を、トレランのネエちゃんが歩いている。トレランと思ったのは、水筒しか入っていないような、小さなザックだからだが、別れるまで走る姿は見なかった。それでいて歩きは早い。
ここのハイキング道も例外なくスギが続く。いや、ヒノキも混じっているようだ。どちらにしても、カラッとした中での歩きは期待できまい。少し登ると展望地。とはいっても、切り株があちこちにあるところからして伐採して展望地にしたらしい。遠方、つまりは東京方面まで見渡せるようだが、奥の方は霞んでいる。春霞の時期だから仕方がない。
(西山高取)
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(ここにあったマップ看板。『みつまたの谷』が記されている。イラスト親子のハイキングで簡単に歩けるのだろうが、なぜかオレには、超難解な歩きになってしまった。今思うに、地図を見ながらの歩きは避けるべきだったのかもしれない)
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西山高取は木立の中の小ピーク。ここにハイキングマップの看板があり、みつまたの谷の場所が特定されている。地理院地図にマークしようとすると、破線路だらけで、マップ看板上のハイキング道と地図の道が全然重ならない。途中で標識でもあれば都合もいいが、なければ、ヘタすれば桂木観音に出てしまう。前にも行っているから、それは避けたい。
よくは知らない。自分が遠回りしたのか、他のコースもあったのか。越生駅と大高取山、桂木観音を結ぶ道に出た。地図を見たところで、そんな破線路はない。桜を見たことだし、深くは考えまい。大高取山に行ければそれでいい。標識に合わせて行けば大高取山に出られる。地図頼りに歩くところではないようだ。その別道から登って来たらしいオッちゃんが前を歩き、その前をトレランネエちゃんが歩く形になった。
(白石様)
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(この順番になってしまった)
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(大高取山山頂)
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オッちゃんを間もなく抜くと、<白石様(石灰岩の露頭)>なる石の塊があった。そして324m標高点。ここは「根っこ山」とも言われているらしいが、設置された手書きらしい山名板を確認することはできなかった。というか、そこまで気が回らなかった。
尾根の直登ができそうなのに、大高取山への標識は左の道に向いている。トレランネエちゃんが突っ立っていた。ネエちゃんに、ここを真っすぐに登っても行けるのかと聞いた。「左は巻き道で、ここを登っても行けますけど、今日は山頂に行くかどうか迷っているんです」とのこと。話を聞いていると、この辺はよく来ているらしく、詳しいらしい。その間に、後ろのオッちゃんは直登して追い越して行ったし、左からやって来たオバちゃんは、「こちらから登った方が楽ですよ」とおっしゃる。結局、ネエちゃんの後ろについて直登した。直登とはいってもたいしたものでもなく、ちょっと登っただけでさっきの巻き道に合流して山頂に至った。
(あっけなく登ったし、感慨もまた無し。先へ向かう)
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ここの山頂もまた伐採して展望を良くしている。さっきの展望地からの景色とさほど変わりはない。三回目にして来られた山だから、それなりに感慨もあってしかるべきだろうが、特別な感情は湧かない。腰掛けもせずに水を飲んで景色を眺めていた。ネエちゃんはさっさと下って行き、ミツマタの谷への行き方を聞きそびれてしまった。オッちゃんはというと、その辺のヤブの中に入り込んでウロウロしていたが、姿は見えなくなった。ここから北に下る破線路があるから、そちらにでも下ったのか。一人残されてしまった。タバコを吸う気にもなれず、ぼんやりしていても仕方がないので、桂木観音方面に向けて下る。
(幕岩に行ってみよう。後で思うと、これが落とし穴の幕岩ならぬ幕開けだったかも)
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(幕岩展望台)
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(そして、ここからの展望。かすかに高層ビルは見える。だが、さいたま新都心かも知れないし、新宿なのかはわからない)
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(展望地の先にあるこの道をそのまま行けばよかったようだが、標識もないし、迷ったが、このまま戻ることにする)
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途中、左に向けて<幕岩 約0.4km>の標識を見かけた。400mなら寄り道をしてもいいかとそちらに向かう。とんでもなく長い400mだった。しかもどこまで下るのかと思うほどで、途中、地図にはない西山高取から直通する道が左から合流したりする。展望台に着いた時にはほっとした。幕岩というからには岩の上だろうが、真下に角張った岩が見えるだけのもので、下から見れば、確かに岩なのかもしれない。展望地としては、前の二か所よりは良かったか。
南側から話し声が聞こえた。道はそちらに続いている。確かに地図には破線路があるものの、事前に地図にマーカーしてきた破線路ではないし標識もない。尾根道にまた戻るのかと思うとうんざりする。
(ここもまた悩んでパスした)
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(尾根道に出た)
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(これも白石様かも)
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戻る途中、来る時には気づかなかった標識に、手書きで左下に向かって<だいこう寺跡>と記された道があった。後で自分の軌跡図を見れば、みつまたの谷に行くには、幕岩からそのまま先に行くか、ここの<だいこう寺跡>方面に入り込めばよかったわけで、いずれも先で合流していたはずだ。疑心暗鬼になっていた。杉林の中で迷っていたら気が滅入る。素直に尾根道に戻るしかないなとそのまま登ると、左上に向かって小道があった。これ、もしかしてショートカット? とダメモトでこの道に入るとあっけなく尾根道に出た。これはラッキーだったかもしれないが、幕岩まで下ったはいいが、その先は滅茶苦茶にムダ歩きを繰り返し、かなり遠回りをしてだいこう寺跡に着くことになる。つまり、だいこう寺跡に出ないとみつまたの谷には行けなかったのだ。想定していた場所も間違っていた。興味も薄いミツマタにこだわったばかりに不可解な歩きをしてしまい、そのミツマタを見てしまえば、余計なことを考えずに、そのまま虚空蔵尊に向かえばよかったなぁという見事な後悔の図になってしまったが、地図にはない道が何と多いことか。地図と照合すれば頭が混乱するだけだ。
(桂木山。ピークというほどのところでもない)
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尾根道を先に行くと桂木山に到着。ここはただのピークで展望はない。ここまでは予定コースで、この先で東に向かう破線路があり、そこに入れば、みつまたの谷に出られると思っていた。意味もなくなった地図を改めて見る。その破線路はあくまでも尾根下りで、「谷」である以上は沢型の地形で、そうなると、大高取山と桂木山の鞍部から南東に下る沢型しかない。そこに水線はないし、破線路も通っていない。西山高取のハイキングマップ看板には、川沿いに、みつまたの谷と記されていた。地形図に水線があるのは大高取山からの東で、考えるほどにわけがわからなくなった。方向音痴なうえに、懲りずに地形図を信じて歩くから、余計に混乱する。ミツマタはもういいかという気分になっていた。
(オーパーク分岐。結局は、ここに戻ることになる)
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(予定外だった。桂木観音に出てしまった)
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(一応、桜見物だけはした)
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(桜を入れた観音堂をうまく撮りたかったが、これが限界だった)
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改めて桂木観音方面に下る。その先に、みつまたの谷への標識でもあればいい。下って行くと、手書き標識があり、左に向けて<オーパーク>。今度は『山と高原地図』を広げる。「ゆうパークおごせ」はあるが、「オーパーク」はない。パス。そのまま下る。間もなく、見覚えのある観音堂が見えた。梅の時季に来たばかりの桂木観音堂。風景の違いは満開の桜が加わっただけ。ここに出てしまったか。万事休すだ。まさか、ここまで来るとは思わなかったし、途中から東に下って、みつまたの谷、虚空蔵尊のつもりでいた。
もう、車道歩きで虚空蔵尊に行くつもりで、展望台のベンチに腰掛けて地図を広げ、GPSをザックから取り出した。どこをどう間違ったのだろう。それでも、まだ、みつまたの谷にこだわっているのが不思議で、こうなると執念に近いものになる。ダメ押しで戻って、さっきのオーパークに下ってみようか。
地図を見ている間に、車でやって来た老夫婦のバアさんに道を聞かれた。東京ナンバーの車だった。「モモの花がきれいなところがあるって聞いたけど、観光協会に電話したら、ここの観音様を目指して、そのまま行けば着くって言われたけど、どこかしら?」。「ハナモモのところですか?」。「ハナモモって言うの?」。「だったら、ここから道は細くなると思いますけど、道沿いに、もっと先に行けば着くはずですよ」。「ありがとう。アナタ、ここまで歩いていらしたの?」。「山歩きで来ましたから」。「大変ね。アリガトウ」。地図を見せながら説明したが、バアさんは果たしてわかったのか。以前、女性は地図読みに弱いと聞いたことがある。こんなやりとりをしている間、肝心の運転手のジイさんはタバコを吹かせて東京方面を眺めていた。おそらく、ジイさんはバアさんに振り回されてここまでは来たが先がわからない。あそこに座っているのが知っているかもしれないから聞いて来いとでも言われたのだろう。
(ご苦労様といったところだ。分岐に戻った)
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(踏み跡ははっきりしているが、他の道とは違って、人通りは少ないようだ)
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戻って分岐からオーパークへ。もうぐるぐると歩いているような気がして、目途が立たないようなら、また観音堂に戻って車道を虚空蔵尊まで歩くつもりでいる。途中にまた手書きの案内板。それには<旧ゆうパーク>、<現オーパーク>とあった。だからといって、これで行けるかはわからない。しっかりした道を行くと、手書きではないハイキングコースの標識があり、このまま行けば「だいこう寺跡」となっている。さっきから気になってはいたが、「だいこうじ」、「だいこう寺」とは寺の跡なのか。「だいこう」が漢字だったら、寺跡だとはすぐにわかるが、ひらがなだから見当がつかない。そもそも、「だいこうじ跡」が『山と高原地図』に出ていない。
(やはり、幕岩展望地からそのままここに来られたようだ)
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(だいこうじ跡の展望地。「だいこうじ」が何なのかわからない。寺だったとしても、その撤去の痕跡はまったくなかった)
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(ここのマップ看板。相変わらず、親子が簡単に歩いているイラスト付きだ。こちらは、ここまでかなり苦労している)
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そのうちに、案の定、幕岩展望台からの道に合流して展望地。ここにマップ看板があった。「現在地」と記されたところには、<だいこうじ跡(ふれあいの里山展望台)>とある。さっぱりわからない。地図に合わせても、GPSを見ても、マップ看板の遊歩道と破線路は相変わらず重ならない。ただ、ミツマタから虚空蔵尊までは一本道のようであることだけはわかった。ということは、事前マーカーのルートで正解だったかもしれない。もうどうでもよい。虚空蔵尊の桜を見られればいい。マップ看板も素直には信じがたくなった。
(もしかして、ここが「みつまたの谷」か? 確かに写真右にショボい沢はある)
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とにかく、合流ポイントから下った。道は広くなっている。道は先でカーブして右手に沢が現れた。もしかして、これがみつまたの谷か? 水はところどころに流れは見えるがかなり乏しい。マップ看板では川のようになっていた。
(みつまたの谷で1)
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(同じく2)
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(同じく3。ピンボケ)
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(同じく4。これは振り返って。この程度なら、どこにでもありそうな…)
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(桂木観音に向けた標識があった。気落ちはしたが、ここまで散々迷ったうえの心境は「無」に近い)
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ミツマタはなかなか現れない。そのうちに黄色の塊が連なっているのが見えた。あれか? 50mは道沿いに続いている。<みつまたの谷>と言うには大袈裟すぎないか。果たして、これがその谷なのかは疑わしい。あまりにも規模が小さい。群生地と思い込むのは勝手だが、「谷」は沢沿いだから許容としても、<みつまたの谷>となれば、密生をイメージしてしまう。ミツマタそのものも終わりかけなのか、黄金色に輝いて見えるわけではない。この花への愛着がほとんどないので、期待どおりではなかったということになるが、このスポットに振り回されてやたらとムダな歩きをしてしまったことを考えれば、がっかりとしかいえない。これ以上は記すまい。もしかすれば、みつまたの谷はここではないのかもしれないし。密生地はこの先なのかもと対岸を眺めたりしたが、それらしきものは目に入らず、むしろ、沿道の桜が出てきたので、そちらに目移りするようになった。何だこれはと思ったのは、みつまたの谷の先の対岸に、桂木観音に向かう標識と道を見かけたことだった。今さらのことだ。
(森林ボランティア活動施設とのこと)
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(桜を見ながらの下り)
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(虚空蔵尊に到着。ここに来るまで一時間のムダ使いはしたろう)
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(階段を登る)
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(虚空蔵尊)
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(虎と)
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(牛)
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のんびりと桜を見ながら歩いて行くと虚空蔵尊の前に出た。階段を登る。本殿の前には狛犬ならぬ狛寅と狛丑。いや、この表現はおかしい。虚空蔵尊は神社ではなく仏閣なのだから、狛犬のような存在ではない。後で調べると、ここは丑寅年の守り本尊とのこと。虚空蔵菩薩と牛、寅の関わりはわからなかった。
(本堂の裏に回る)
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(虚空蔵尊の裏山を歩いて1)
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(虚空蔵尊の裏山を歩いて2)
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(虚空蔵尊の裏山を歩いて3)
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(虚空蔵尊の裏山を歩いて4)
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(虚空蔵尊の裏山を歩いて5)
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(虚空蔵尊の裏山を歩いて6)
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(虚空蔵尊の裏山を歩いて7)
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(虚空蔵尊の裏山を歩いて8)
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(虚空蔵尊の裏山を歩いて9)
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(虚空蔵尊の裏山を歩いて10)
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(虚空蔵尊の裏山を歩いて11)
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(虚空蔵尊の裏山を歩いて12)
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(虚空蔵尊の裏山を歩いて13)
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(虚空蔵尊の裏山を歩いて14)
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(虚空蔵尊の裏山を歩いて15)
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(虚空蔵尊の裏山を歩いて16)
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(虚空蔵尊の裏山を歩いて17。ここのベンチでランチ。タバコの煙は流れていくまい)
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(虚空蔵尊の裏山を歩いて18。ここが園地の最高点)
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(虚空蔵尊の裏山を歩いて19)
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(虚空蔵尊の裏山を歩いて20。山が笑っている)
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そんなことよりも、本殿の裏手に回る。さくらの山公園ほどに密にはなっていないが、斜面にとりどりの桜やツツジが植わっている。提灯もない。散策している人もさほどでもない。ここはいい。惜しいことに、ソメイヨシノの花の中心部が赤くなっているのがほとんどで、盛りは過ぎているようだが、それでも十分に楽しめるところだ。どうでもよいことだが、ここは「虚空蔵尊さくら公園」とか「虚空蔵尊さくら山」というらしい。
園内をゆっくり端から端まで回り、だれもいないさくら山の山頂のベンチに腰掛けて菓子パンを食べてタバコをふかした。ちょっと離れた桜の木の下では何人かのハイカーが食事をしている。のどかな風景だ。陽気もいい。そろそろ帰ろうかとしたところで、ここから西山富士につながるらしい道(当然、地図にはないが、『山と高原地図』には載っている)から下って来たオッさんがいた。だいこうじ跡に向かっている際に唯一出会った方だった。恥ずかしいことだが、この程度の山域でも、地図頼りでは歩けない。足繁く通っては、地図にない道を熟知していないと、今回の自分のような歩きになる。本当に里山恐るべしだと思う。
(本日の行程は終わりだ)
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(ついこの間までは立ち止まったろう)
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(規模は小さいがわざわざ見に行った)
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公民館まで里の中の歩き。ここもまたのどかだ。ウグイスが鳴いていたりする。キャッチボールをしていた兄弟から、コンニチワと声をかけられた。できるだけ大通りには出ないようにしたが、越生駅に案内する標識はずっと脇道になっていた。ついこの間まで咲き誇っていた梅は、すべて花を落とした裸木になってどす黒く暴れているように見える。
(太田道灌はここで知った。史実としては怪しいところがあるようだが)
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(公民館に戻る)
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公民館に到着。虚空蔵尊から30分かかった。駐車場は混んでいた。平日だし、仕事関係の方もいるだろうが、さくらの山公園に足を向ける行楽客の方がほとんどのようだ。
(今回の歩き)
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この地図は電子地形図25000(国土地理院)を加工して使用しています(令和元年手続改正により申請適用外)
西山高取~桂木観音~虚空蔵尊は、何度も歩いているのですが、さくらの山公園も大観山もだいこうじ跡もみつまたの谷も知りませんでした。無名戦士の墓もなんだか名前が怖くて行ったことがありません。こんなに桜がさいているのですね。自分はツツジ狙いで、五大尊と虚空蔵尊だけを目標としていました。知らない事だらけだという事をあらためて認識しました。
ぶなじろうさんが、この辺に精通してらっしゃるのは存じておりますが、個人的には、みつまたの谷に関しては、スポット名がつくほどのものではないかと思います。ただ、あの小規模なミツマタの地が、本当に「みつまたの谷」かの確証がありません。名称が付くほどのものなら、もっと見事だと思いますし。
無名戦士の墓は、さくらの山公園、大観山に行くにはどうしても通過せねばならぬ所です。さして厳粛な雰囲気のあるところではなく、碑がおかれ、慰霊館の前には、佐藤栄作の題字があるだけのもので、決して、花見の妨げになるようなものではありません。
五大尊は興味があったのですが、いずれまたということにしました。虚空蔵尊もツツジですか。確かにツツジがかなり見られましたね。その時季に、改めて両方に行ってこようかなと思っています。情報ありがとうございます。