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◎2009年9月4日(金)―1人
15日まで有効な夏期休暇があと2日。といっても、3日しか権利はない。南アルプスにでも行くつもりでいたが、急に北海道に行きたくなった。直前では安いチケットもないだろうと、半ばあきらめながらもネットで調べたら、往復ともに、格安のが数枚残っていた。便名変更は不可のやつ。それでもラッキーだった。今のところ、天気の崩れ予報はないようだが、過去、北海道の山は10山登り、ピーカンはその半分。あまり期待はせずに出かけた。めったに旅行はしないが、北海道というと、目的が山であっても、つい旅行気分になってしまう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7b/93/2401d9140c5efd9fb49de7c972f0ab09.jpg)
(前日の羊蹄山)
今回登ろうとした山は後方羊蹄山。羊蹄山の名前だけは中学生の頃から知っていた。中3の修学旅行。洞爺湖の観光旅館に泊まった際、あれが羊蹄山だとガイドに説明を受けた。もっとも、その頃の認識として、羊蹄山はそのずっと後ろに聳える山ではなく、手前に見える湖の中島にある西山(というらしいが)のことだと思っていた。さらに、この山も富士山の形をしているから、なおさらだ。恥ずかしながら、ごく最近まで誤解していた。
ニセコの昆布温泉の民宿みたいな宿に泊まる。部屋には布団が敷いてあるだけ。風呂は向かいのホテル利用。山に来たのだから、宿はどうでもいいのだが、せめて、部屋に洗面所とトイレぐらいは欲しかった。いずれも共同。もっと真剣になってさがせば、条件の良い宿もいくらもあったろうが、そこいら中にあるペンションや、まともなホテルに、山歩きに来たオヤジが1人で泊まっても何とも絵にならない。やはり夕飯は家庭料理で、特別、北海道の味覚といったものはなかった。確か、ネットで調べた時には、夕食の写真に毛蟹があったけどなぁ。朝の出発が早いので、朝飯は抜きにし、前夜に弁当を作ってもらった。ニセコに泊まったのは、当初、倶知安(比羅夫)コースを歩く予定だったためだが、来る途中、真狩コースの入り口を通った際、何となく、明日はここから登った方が無難じゃないかと予定コースを変更。初日は絶好の日和で、羊蹄山も裾野から山頂まで一望だったが、翌日は午後からは確実に崩れる予報になってしまった。夕食は6時。その後はやることもない。テレビの映りも悪く、音が割れて不快。焼酎をダラダラ飲みながら本を読んで、8時には寝てしまった。
宿を5時に出る。雨は降ってはいないが、前夜遅くの雨で路面がかなり濡れている。むろん、羊蹄山は裾野しか見えない。上は厚い雲。白い雲だからまだいい。5時30分にキャンプ場の駐車場に車を入れる。登山届けに記し、5時45分出発。30分前に出発した3人組がいるようだ。車が他に3台。5分も歩いてゲート。天気はどんよりしている。何とか崩れないうちに戻りたいが道中は長い。しばらく樹林帯を歩く。薄暗い。特別、急な感じはしない。登山道は整備とまではいかないが、幅広の道形がしっかりとついている。熊除けスズを付けているが、チャリンチャリンとやけにうるさく感じる。そういえば、熊注意の看板を見なかったが、この辺にはいないのだろうか。北海道の山は、どこに行っても、ヒグマに遭遇するような怖さがあるのだが。
2合目6時15分、3合目6時29分。やがて上の方から人の声が聞こえる。先行の3人だろうか。間をとって、4合目(6時49分)で少し休む。腹には何も入れていないから、ウイダーインゼリーを1つ。すぐに3人組に追いついた。ジイチャン、バアチャンの3人だ。追い越す。そろそろ、樹林帯から抜け、展望も開けているはずだが、何も見えない。喜茂別の町並みがかすかに右手下に望めるだけ。5合目あたりで、ちょうどきりもいいし休むつもりでいたが、オッサン4人組が賑やかにくつろいでいたので、自分の居場所もなく、そのまま素通り。7時12分。オッサン達は全員、ダブルストック姿だった。
ガスが次第に濃くなってきた。視界20mといったところか。ここらあたり、晴れの日なら、きっと気持ちのいい歩きだろう。南側には太平洋が見えるかも知れない。そして、東には有珠山か。時々、風で飛ばされた木にたまった雨がパラパラと落ちてくる。まだ空からは落ちて来ない。下から、さっきの4人組の声が聞こえては、ピタっと止む。その繰り返し。長いカーブの連続だから、真下に重なった時点で聞こえるようだ。6合目7時32分。ここまで1時間45分。昭文社版のコースタイムは2時間半だからまずまずのところか。汗もかなりかいてしまった。背中がザックにびっしょりとくっついている。
ずっと単調な登りが続く。次第に登山道の様相も変わってきた。山頂が近づき、トラバース気味の上りになってきた。上からオッサンが下りて来た。避難小屋に泊まったそうだ。瞬間晴れて、山頂が見えたけど、すぐにガスだったとこぼしていた。そして、続いて2人組が下りてきた。ピーカンの昨日のうちに登ったから、今日は天気が芳しくなくても、半分以上は楽しめたろうな。7合目7時54分。ここでアミノバイタル1つ。足を思いっきり上げた際、右のふくらはぎに痛みが走ったため、効果あるのかしらないが、自己満足的に含んでみた。これが、後で大きく影響することになる。8合目8時13分。オニイサンとジイチャンの変な組み合わせ。オニイチャンは菓子パンをほおばっている。
百名山のバッジ集めが流行っているらしいが、自分にはその種の趣味がない。ただ、昨日入った、ホテルの風呂の入り口に、羊蹄山バッジが避難小屋で販売しているという広告が貼ってあるのを見て、ものは試しというわけでもないが、どんなものなんだか買ってみようかなと思ってはいた。今日のような、天気次第の状況では、その具合で、行きよりも、帰りに寄り道して、気分も大らかに買って行くつもりだった。ところが、8合目過ぎあたりから、腹具合がやばくなってきた。さっきのアミノバイタルだろうか。普段なら、気化させながら歩いていれば、この嵐も通り過ぎるものなのだが、どうも、それをやったらやばい感じだ。ずっと、適当なところをさがしながら歩いているが、右側は斜面、左も斜面というところを歩いている。安定した場所なんか全然ないし、身を隠せる場所すらない。やがて、ふくらはぎの痛みは左にも転移し、こうなったらもう、腹と足の二重苦。急遽、予定を変更して、9合目(8時29分)から左折して避難小屋を目指さざるを得なくなった。頂上が目前だというのに、何という失態。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/05/83/22fcf8b87b77178167698a848c0b7486.jpg)
(バッジ販売中の小屋は霧の中)
一旦下り、また上る。だれも歩いていないので、余程、背の高いハイマツ帯に身を隠そうかなと思ったが、ハイマツは枝振りも良すぎて下は不安定。霧の中に避難小屋のシルエットが浮かんだ時には、足の痛みも忘れて、猛烈にダッシュしていた。しかし、「バッジがメインで、トイレはついでに」というスタイルをとりたい。こだわりでも何でもない。下世話のことで格好悪いのが嫌なだけ。小屋のノブを開けようとしたら、いきなり、管理人らしいオニイサンが中から出て来た。「バッジありますよね?」「ええ、置いていますよ」「一つください」「トイレお借りします」「どうぞ」。それだけの会話。トイレにしても、緊急時につき、あっという間だから、何も不信感も抱かれない。トイレを出たら、オニイサンがバッジを持って、「700円です」と言われた。小屋の中をちらっと中を覗く。結構、快適な小屋みたいだね。気分も、長年の病からようやく解放された感じ。
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(比羅夫コースに合流)
さて、ここからどうしよう。分岐から避難小屋までは結構あった。これは気分的なものだったのだろう。足はいかれていた。トイレというよりも便所でしゃがんだ際に、さらに足がズキーンときていた。元に戻るにしても、9合目までの上りが問題だな。だったら、このまま、倶知安コースに出た方がいいかな。後で地図をみると、やはり、真狩コースに戻った方が良かったみたいだ。とりあえず、そのまま倶知安コースに向かう。合流地点は、コースの9合目のやや上のようだ。8時59分倶知安コースに合流。ここからが長かった。登山道は砂礫になり、視界がなく、上はまったく見えない。歩きづらい。いくつもピークらしいところを過ぎた。もう、外輪山巡りに入っているのだろうか。右手の釜の部分は何んにも見えない。周りが見えないのが致命的。ただ雲が沸いているだけ。オッサンがハイマツに入り込み、何か採集している。あまり良いことをしているようには見えない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/63/a2/718633e828d7a2531501d58d834e7bda.jpg)
(一等三角点)
結構きつい上り。コンクリで固めたような、直方体の柱が2本倒れている。何だろう。そして、小屋跡9時25分。さながら、昔の条里制の遺物のように見える。基礎がしっかりした小屋だったんだ。さっきの柱2本は小屋のゲートのようなものだったのだろうか。晴れていれば、このぐるりの向こう側は確実に見えたろう。だが、何も見えない。9時52分、三角点到着。この一等三角点はお客様みたいなもので、ピークはさらに先。ようやくピーク9時56分。山頂には、5合目で追い越した4人組のオッサンがいた。「お疲れ様、乾杯」が聞こえる。彼らの声が届かないところで食事。宿でつくってもらった弁当を広げる。お腹は完全に復調し、空腹感だけが残っていた。昨夜製造のものでも、おいしく食べられた。さて、自分が追い越したグループはまだ2組いるはずけど、中々上がって来ない。もしかして、避難小屋で緊急事態の処理をしている間にもう下山したのかな。
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(山頂間近)
結局、外輪を一周した形になってしまった。あの岩場はなかなか手応えがあった。ぐるりと回って、真狩コースの分岐に着いたのは10時45分。後は下るだけ。間もなく9合目10時59分。上りの時、ここで、気分的には2重苦で修羅場だったな。相変わらずの天候だが、視界は幾分良くなったのかな。もう、紅葉が始まっているみたい。赤と黄が付いている。真っ盛りの時はきれいだろう。リスがさっと横切る。今日はもう何度か見た。カメラを構えるのが間に合わない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/34/17/7fcb86273ea724856b5019ff77aed028.jpg)
(色付き?)
少し色づいた紅葉を楽しみながら下山する。4合目を過ぎて、これから上る2人に出会う。いずれも避難小屋に泊まると言っていた。たまに、上から、ザーッと雨粒の音が聞こえるが、すぐにやむ。どうも、下りの足が応える。今回の靴は、荷物を少なく済まそうと、靴もハイキング系の靴にした。つま先がかなりあたる。痛い。天気が、ますますマイナスに向かっている。雨が直接あたっているわけでもないのに、衣類は濡れ、メガネにも水滴がたっぷりと付いている。途中でかぶった帽子のツバにも水滴。2合目で、上りの高校生らしい2人と会う。荷物なんか何も持っていない。腰に上着を巻き付け、ハーハーしながら急ぎ足で上って行った。駐車場に着いたのは13時ちょうど。何とか雨にあたらず、合羽も着ずに幸いだった。登山届けに帰着時間を記入。上の欄を見たら、ほんの少し前に、最初に出会った3人組が戻って来ていた。ふくらはぎとつま先がすこぶる痛い。今日の宿は白老。道央自動車道に入ったら、いきなり雨に見まわれた。
15日まで有効な夏期休暇があと2日。といっても、3日しか権利はない。南アルプスにでも行くつもりでいたが、急に北海道に行きたくなった。直前では安いチケットもないだろうと、半ばあきらめながらもネットで調べたら、往復ともに、格安のが数枚残っていた。便名変更は不可のやつ。それでもラッキーだった。今のところ、天気の崩れ予報はないようだが、過去、北海道の山は10山登り、ピーカンはその半分。あまり期待はせずに出かけた。めったに旅行はしないが、北海道というと、目的が山であっても、つい旅行気分になってしまう。
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(前日の羊蹄山)
今回登ろうとした山は後方羊蹄山。羊蹄山の名前だけは中学生の頃から知っていた。中3の修学旅行。洞爺湖の観光旅館に泊まった際、あれが羊蹄山だとガイドに説明を受けた。もっとも、その頃の認識として、羊蹄山はそのずっと後ろに聳える山ではなく、手前に見える湖の中島にある西山(というらしいが)のことだと思っていた。さらに、この山も富士山の形をしているから、なおさらだ。恥ずかしながら、ごく最近まで誤解していた。
ニセコの昆布温泉の民宿みたいな宿に泊まる。部屋には布団が敷いてあるだけ。風呂は向かいのホテル利用。山に来たのだから、宿はどうでもいいのだが、せめて、部屋に洗面所とトイレぐらいは欲しかった。いずれも共同。もっと真剣になってさがせば、条件の良い宿もいくらもあったろうが、そこいら中にあるペンションや、まともなホテルに、山歩きに来たオヤジが1人で泊まっても何とも絵にならない。やはり夕飯は家庭料理で、特別、北海道の味覚といったものはなかった。確か、ネットで調べた時には、夕食の写真に毛蟹があったけどなぁ。朝の出発が早いので、朝飯は抜きにし、前夜に弁当を作ってもらった。ニセコに泊まったのは、当初、倶知安(比羅夫)コースを歩く予定だったためだが、来る途中、真狩コースの入り口を通った際、何となく、明日はここから登った方が無難じゃないかと予定コースを変更。初日は絶好の日和で、羊蹄山も裾野から山頂まで一望だったが、翌日は午後からは確実に崩れる予報になってしまった。夕食は6時。その後はやることもない。テレビの映りも悪く、音が割れて不快。焼酎をダラダラ飲みながら本を読んで、8時には寝てしまった。
宿を5時に出る。雨は降ってはいないが、前夜遅くの雨で路面がかなり濡れている。むろん、羊蹄山は裾野しか見えない。上は厚い雲。白い雲だからまだいい。5時30分にキャンプ場の駐車場に車を入れる。登山届けに記し、5時45分出発。30分前に出発した3人組がいるようだ。車が他に3台。5分も歩いてゲート。天気はどんよりしている。何とか崩れないうちに戻りたいが道中は長い。しばらく樹林帯を歩く。薄暗い。特別、急な感じはしない。登山道は整備とまではいかないが、幅広の道形がしっかりとついている。熊除けスズを付けているが、チャリンチャリンとやけにうるさく感じる。そういえば、熊注意の看板を見なかったが、この辺にはいないのだろうか。北海道の山は、どこに行っても、ヒグマに遭遇するような怖さがあるのだが。
2合目6時15分、3合目6時29分。やがて上の方から人の声が聞こえる。先行の3人だろうか。間をとって、4合目(6時49分)で少し休む。腹には何も入れていないから、ウイダーインゼリーを1つ。すぐに3人組に追いついた。ジイチャン、バアチャンの3人だ。追い越す。そろそろ、樹林帯から抜け、展望も開けているはずだが、何も見えない。喜茂別の町並みがかすかに右手下に望めるだけ。5合目あたりで、ちょうどきりもいいし休むつもりでいたが、オッサン4人組が賑やかにくつろいでいたので、自分の居場所もなく、そのまま素通り。7時12分。オッサン達は全員、ダブルストック姿だった。
ガスが次第に濃くなってきた。視界20mといったところか。ここらあたり、晴れの日なら、きっと気持ちのいい歩きだろう。南側には太平洋が見えるかも知れない。そして、東には有珠山か。時々、風で飛ばされた木にたまった雨がパラパラと落ちてくる。まだ空からは落ちて来ない。下から、さっきの4人組の声が聞こえては、ピタっと止む。その繰り返し。長いカーブの連続だから、真下に重なった時点で聞こえるようだ。6合目7時32分。ここまで1時間45分。昭文社版のコースタイムは2時間半だからまずまずのところか。汗もかなりかいてしまった。背中がザックにびっしょりとくっついている。
ずっと単調な登りが続く。次第に登山道の様相も変わってきた。山頂が近づき、トラバース気味の上りになってきた。上からオッサンが下りて来た。避難小屋に泊まったそうだ。瞬間晴れて、山頂が見えたけど、すぐにガスだったとこぼしていた。そして、続いて2人組が下りてきた。ピーカンの昨日のうちに登ったから、今日は天気が芳しくなくても、半分以上は楽しめたろうな。7合目7時54分。ここでアミノバイタル1つ。足を思いっきり上げた際、右のふくらはぎに痛みが走ったため、効果あるのかしらないが、自己満足的に含んでみた。これが、後で大きく影響することになる。8合目8時13分。オニイサンとジイチャンの変な組み合わせ。オニイチャンは菓子パンをほおばっている。
百名山のバッジ集めが流行っているらしいが、自分にはその種の趣味がない。ただ、昨日入った、ホテルの風呂の入り口に、羊蹄山バッジが避難小屋で販売しているという広告が貼ってあるのを見て、ものは試しというわけでもないが、どんなものなんだか買ってみようかなと思ってはいた。今日のような、天気次第の状況では、その具合で、行きよりも、帰りに寄り道して、気分も大らかに買って行くつもりだった。ところが、8合目過ぎあたりから、腹具合がやばくなってきた。さっきのアミノバイタルだろうか。普段なら、気化させながら歩いていれば、この嵐も通り過ぎるものなのだが、どうも、それをやったらやばい感じだ。ずっと、適当なところをさがしながら歩いているが、右側は斜面、左も斜面というところを歩いている。安定した場所なんか全然ないし、身を隠せる場所すらない。やがて、ふくらはぎの痛みは左にも転移し、こうなったらもう、腹と足の二重苦。急遽、予定を変更して、9合目(8時29分)から左折して避難小屋を目指さざるを得なくなった。頂上が目前だというのに、何という失態。
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(バッジ販売中の小屋は霧の中)
一旦下り、また上る。だれも歩いていないので、余程、背の高いハイマツ帯に身を隠そうかなと思ったが、ハイマツは枝振りも良すぎて下は不安定。霧の中に避難小屋のシルエットが浮かんだ時には、足の痛みも忘れて、猛烈にダッシュしていた。しかし、「バッジがメインで、トイレはついでに」というスタイルをとりたい。こだわりでも何でもない。下世話のことで格好悪いのが嫌なだけ。小屋のノブを開けようとしたら、いきなり、管理人らしいオニイサンが中から出て来た。「バッジありますよね?」「ええ、置いていますよ」「一つください」「トイレお借りします」「どうぞ」。それだけの会話。トイレにしても、緊急時につき、あっという間だから、何も不信感も抱かれない。トイレを出たら、オニイサンがバッジを持って、「700円です」と言われた。小屋の中をちらっと中を覗く。結構、快適な小屋みたいだね。気分も、長年の病からようやく解放された感じ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/20/fa/84b5ebd3ea5ed9528ecc0d11bca8f997.jpg)
(比羅夫コースに合流)
さて、ここからどうしよう。分岐から避難小屋までは結構あった。これは気分的なものだったのだろう。足はいかれていた。トイレというよりも便所でしゃがんだ際に、さらに足がズキーンときていた。元に戻るにしても、9合目までの上りが問題だな。だったら、このまま、倶知安コースに出た方がいいかな。後で地図をみると、やはり、真狩コースに戻った方が良かったみたいだ。とりあえず、そのまま倶知安コースに向かう。合流地点は、コースの9合目のやや上のようだ。8時59分倶知安コースに合流。ここからが長かった。登山道は砂礫になり、視界がなく、上はまったく見えない。歩きづらい。いくつもピークらしいところを過ぎた。もう、外輪山巡りに入っているのだろうか。右手の釜の部分は何んにも見えない。周りが見えないのが致命的。ただ雲が沸いているだけ。オッサンがハイマツに入り込み、何か採集している。あまり良いことをしているようには見えない。
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(一等三角点)
結構きつい上り。コンクリで固めたような、直方体の柱が2本倒れている。何だろう。そして、小屋跡9時25分。さながら、昔の条里制の遺物のように見える。基礎がしっかりした小屋だったんだ。さっきの柱2本は小屋のゲートのようなものだったのだろうか。晴れていれば、このぐるりの向こう側は確実に見えたろう。だが、何も見えない。9時52分、三角点到着。この一等三角点はお客様みたいなもので、ピークはさらに先。ようやくピーク9時56分。山頂には、5合目で追い越した4人組のオッサンがいた。「お疲れ様、乾杯」が聞こえる。彼らの声が届かないところで食事。宿でつくってもらった弁当を広げる。お腹は完全に復調し、空腹感だけが残っていた。昨夜製造のものでも、おいしく食べられた。さて、自分が追い越したグループはまだ2組いるはずけど、中々上がって来ない。もしかして、避難小屋で緊急事態の処理をしている間にもう下山したのかな。
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(山頂間近)
結局、外輪を一周した形になってしまった。あの岩場はなかなか手応えがあった。ぐるりと回って、真狩コースの分岐に着いたのは10時45分。後は下るだけ。間もなく9合目10時59分。上りの時、ここで、気分的には2重苦で修羅場だったな。相変わらずの天候だが、視界は幾分良くなったのかな。もう、紅葉が始まっているみたい。赤と黄が付いている。真っ盛りの時はきれいだろう。リスがさっと横切る。今日はもう何度か見た。カメラを構えるのが間に合わない。
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(色付き?)
少し色づいた紅葉を楽しみながら下山する。4合目を過ぎて、これから上る2人に出会う。いずれも避難小屋に泊まると言っていた。たまに、上から、ザーッと雨粒の音が聞こえるが、すぐにやむ。どうも、下りの足が応える。今回の靴は、荷物を少なく済まそうと、靴もハイキング系の靴にした。つま先がかなりあたる。痛い。天気が、ますますマイナスに向かっている。雨が直接あたっているわけでもないのに、衣類は濡れ、メガネにも水滴がたっぷりと付いている。途中でかぶった帽子のツバにも水滴。2合目で、上りの高校生らしい2人と会う。荷物なんか何も持っていない。腰に上着を巻き付け、ハーハーしながら急ぎ足で上って行った。駐車場に着いたのは13時ちょうど。何とか雨にあたらず、合羽も着ずに幸いだった。登山届けに帰着時間を記入。上の欄を見たら、ほんの少し前に、最初に出会った3人組が戻って来ていた。ふくらはぎとつま先がすこぶる痛い。今日の宿は白老。道央自動車道に入ったら、いきなり雨に見まわれた。