![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/46/1f/a783515c0875f6f8c9038da12b9a5939.jpg)
実は自分だけ、周回コース歩きを目論んでいた。幌尻岳山頂でI男と別れ、戸蔦別岳を経由して小屋に下るというコースだ。だが、このコースは、小屋に着いた時点であきらめていた。特別な理由はない。山荘手前の下りで、渡渉があるらしい。何だかうんざりしたというか、クマが恐いというか。ゆっくり、幌尻岳往復を楽しむことにいたしましょう。
(では、改めての出発)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7f/67/a3534a4c637807b84c5a8d04ffc50920.jpg)
ササの中の急登が始まった。I男の情報によると、「馬の背」というところまで急な登りが続くそうだ。地図を広げて見たが、そんな名前のスポットはない。稜線に出てからが「馬の背」だと思うが。そういうものだ。
そのI男、歩き出しから程なくして休みがちになった。せめて、今の3回休憩を1回にして欲しい。どうも、最初から飛ばしたので、それを私が諌めたところ、ペースが崩れてしまったようなことを言うので、だったらと、先に行かせたところ、今度は先で休んでいて、結局は同じ歩きになってしまう。これでは、こっちの立場がまずくなるんじゃないのか?百名山達成が目の前にぶら下がっていて、今回、せっかくここまで至っているのに、それが達成できないのでは、何をしに来たのかも分からなくなってしまう。彼に合わせて登ったとしても、上空の雲の様子を眺めていると、山頂がガスに包まれるのも時間の問題の気配がある。あせってきた。
「先に行っているよ」と、休んでいるI男に声をかけて歩き出す。これだけしっかりした道なら、I男も迷うことはあるまい。4人組が休んでいるところを追い越す。
(ここを登りきると)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7a/42/e4a2032939a216ab86fb7fa9311e7d93.jpg)
(こんな展望が対岸に広がっていた)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6f/8d/424b7c83b7ea527b56eda7306204fa94.jpg)
ササと樹木から、周囲のちょっとした景色が覗く。さも北海道の山といった感じがする。二ペソツ山に行った時もこんな感じだったかなぁ。ようやく稜線に出た。ここがI男の言う「馬の背」の突端かも。左手にきれいな山並みが見えた。右に三角錐の山。視界の中では、この山が一番高い。しばらく勘違いしていた。この三角錐が幌尻岳とばかりに思い込んだ。ということは、その左が戸蔦別岳で、中戸蔦別岳、北戸蔦別岳と続いているのか…。しかし実際は、この三角錐が戸蔦別岳で、幌尻岳はまだ見えていない。先のピークの陰になっている。いずれにせよ、気持ちの良い稜線歩きになってくれた。稜線歩きになってほっとした。
(先に小ピークがある。これだけかと思ったがいくつか続く)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/20/d0/4fa8f056b25198d37b57a1cbcc8a53fb.jpg)
(命の水は後回し。先を急ぐ)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3e/db/d9d59cc7e367c0871b9fad5f7a46d9ec.jpg)
(右手の三角峰が幌尻岳と思っていた。実はあれ、戸蔦別岳)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/74/e2/9312ab776ec0c6657d8df352f7e2081e.jpg)
「命の水」の標識。ここから外れたところにあるらしい。これは後回しにしよう。また急登が始まって、ガレかけた道を登る。それにしても、今歩いている尾根をグルッと回ってあの三角錐ピークに至るにはかなりの時間がかかりそうだ。2人組が下ってきた。「あの三角の山が幌尻岳ですよね?」と聞くと、返答があやふや。「あんな山じゃなかったけどなぁ」「いや、あれだよ」…。2人で話しているのを聞くと、どうやら、幌尻岳はここからでは見えないようだ。ということは、あれは戸蔦別岳か。まぁ納得。
(振り返る。ちょっと休憩)
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(ようやく幌尻岳の一角が)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4f/5d/da403f5e2e02f7179b8198fadacc4fc0.jpg)
(幌尻岳の全容)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/25/60/145d385e24263f4c13ca2b53f6191573.jpg)
ハイマツが出てくる。ピークを越えたものの、この先に依然とピークがいくつか控えている。幌尻岳はなおも見えない。巨大な山域だ。左下に覗いているのが北カールか。水溜りが見えている。
次のピークを越えて、ようやく幌尻岳が視界に入った。山頂は広くなだらかだ。登るに連れて、全容が出てくる。ヤセ尾根の平らなところを見つけて休憩。うまい一服。立ち上がると、後ろに4人組。
(まだ先に小ピークがいくつか続いている)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7f/74/2c14f413a45a66ba065e7986ee2e84ad.jpg)
(下に北カール)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/01/90/70fcfaf3a33e3f40fcf0fae3b433bcb8.jpg)
先のピーク下にハイカーの固まりが見えた。7人くらいだろうか。下りだ。幌尻山荘から今朝立ちの方々だろう。この山では、グループ、団体が、ついツアー参加に見えてしまうが、このグループも例外ではあるまい。一目瞭然のガイドさんがいる。その間から、一人、早い歩きの方が下って来た。すれ違った。同じバスの日帰りの方だった。すごい歩きをされている。翌日、シャトルバス運転のオジサンから聞いた話によると、日帰り単独氏はバス停留所に14時半に着き、17時バスに余裕で乗ったそうだ。すごい方もいらっしゃる。
(花をいくつか見る)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2c/82/15f13e0be5893a85d48e619fc559445d.jpg)
(こんなのも。自分には付録)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/32/5b/490b8aac7e73fd9fb4ad18c85d098f55.jpg)
(戸蔦別岳方面の山並みはここからもいい感じ)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/00/41/ef1085456817467e4a0af24cc1eae8f7.jpg)
(4人組がかすかに見える)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0e/16/e9695f4e6e0c07fcaabba7b214e7f510.jpg)
さて、他人様のことはともかく、そろそろ疲れてきた。山頂まではもう一頑張りだ。振り向くとヒゲGさんが4人組をかわして登って来た。あれっ、浜Gさんはどうしたのだろう。I男と同じに切り捨てられたのかな。ちょっといっしょに歩く。この方と話していると、つい、向こうの話題ペースに巻き込まれてしまうところがあるので、こちらの口も重くなる。
(山頂間近)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/64/8e/8f6a8d500cb69dbf9ecb87e053ee68ac.jpg)
(幌尻湖)
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(新冠コースが合流)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1a/c6/5a5bdb834614a0adebd8baaf8695d892.jpg)
(そして山頂)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/27/d2/c3e1413989cb466295e3feaaedceff36.jpg)
新冠コースに合流。なるほど、ハイトス隊はここに上がって来たのか。幌尻湖が見える。もうここまで来れば山頂直下。山頂には10人くらいの姿が見えている。あれもまたツアーかね。ヒゲGさんにちょいとばかり遅れをとって、よいこらしょっと到着。日本百名山達成の瞬間。感慨深い…といきたいところだが、自分の百名山歩きには、素直には感心できない腹黒い一面がある。何事も、批判を述べるなら、自分がやってからこそのこと。つまり、他人様の百名山歩きをあれこれ言う前に、自分が登れということだ。これで、晴れていろいろと言える立場になった。三百名山までやっている方には、まだまだと言われそうだが。
(戸蔦別岳方面。見えなくなってきた)
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(北カールを覗く)
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まぁ、そんなことはともかく、いい気分だ。天気も持ってくれた。団体さんは間もなく下って行った。通りすがりに、オバチャンの口から栃木弁なまりの言葉が聞こえた。4時半に小屋を出発して登って来たそうだ。ついでに、ツアーにいくらかかったか聞いてみたいところだ。続いて、4人組が到着。I男の姿はまだ見えない。ミニチュアの日章旗をこっそりと取り出して写真を撮る。天狗岳の時のように、大きな日の丸を広げてのパフォーマンスは自分には不向きだ。百名山のお祝いはこれで十分。ひっそりささやかにだ。
山頂に寝転んで、ヒゲGさんと4人組の会話を聞いていた。4人組、今日は七ッ沼カールでテントだそうだ。その七ッ沼カールだが、さっきまで見えていたのに、もう戸蔦別岳とともにガスで見えなくなってしまい、こちらもじわりと白くなりつつある。
(I男が登って来た)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5f/52/1711b111fafe0cf418be2abd8b2c60ac.jpg)
(そしてご満悦)
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ようやく2人の姿が見えた。おそらく、前が浜Gさんで、後ろがI男だろう。I男は40分遅れの到着。山頂で一時間待っても来なかったら、下るつもりでいた。I男は山頂に着くなりへたり込んだ。途中でふくらはぎに痙攣を起こしていたとのこと。最近の歩きが一月前の富士山では仕方がない。落ち着いてから写真を撮ってやる。日の丸を喜んだのはむしろI男かもしれない。
ヒゲGさんが浜Gさんを残して下って行く。4人組も出発。浜Gさんが転がっているストックを指さし、このストック、だれかの忘れ物じゃないのかと言い出した。ブラックダイアモンドの高そうな杖。I男に、4人組に大声で確認させる。該当者なし。きっと、さっきの団体さんではないのか。浜Gさんは先に下る我々に杖を託し、おあつらえ向きに、足を痛めたI男にはラッキーだったかも。I男がダブルストックで下ることになった。
(下る)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7d/cf/6114fcf2f45c517df7e55f9c4686f22f.jpg)
(カールに沼のような水溜りがある)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/72/b9/1579846207eba3d79a967ee66a22889d.jpg)
ガスが濃くなった。白いところから、時間を置いて2人連れが3組上がって来た。いずれも同じシャトルバスに乗り合わせた方々だ。小ピーク越えが続く。上りになると、I男は一気にスローになる。足が痛いのだろう。幌尻岳はもう登ってしまったのだしと、離れずに合わせて下る。この調子では、I男は根性で幌尻岳に登ったのだろう。彼には、登らないといけない理由もあった。幌尻バッチを、昨夜のとよぬか山荘ですでに買っていたのである。
(命の水)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2d/2f/b9322b88669603af913abb4beedc3495.jpg)
ようやく下り一辺倒になる。「命の水」標識に着く。山頂の団体さんが休憩を終えて出発するところだった。杖の件を聞いてみる。ここにも該当者なし。I男を休ませ、足痙攣に効く漢方薬とエアーサロンパスを預け、空身で「命の水」に行って来る。団体さんが「2分・3分だよ」とおっしゃっていたが、まさにそんなもので、岩伝いに水がちょぼちょぼと流れていた。特別、甘露といった味わいはなかった。
(稜線から外れて下る。景色が一瞬にしてくずれる)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/70/84/3a564cf779938c3bd5b7c79ea8ac62f3.jpg)
(幌尻山荘に到着)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/07/71/d9f95b25cd0c941c671dda692d5e50eb.jpg)
標識に戻って休んでいると、浜Gさんが下って来た。該当者はいなかったと伝えると、「どうも、私のストックをヒゲGさんが間違えて持って行ったらしい」と言い出した。じゃ、後はそちらでやってくださいなと、杖を浜Gさんに渡して出発。杖を失ったI男、ちょっと残念気味ではあったが、薬のせいか、幾分、持ち直したみたい。
稜線から外れ、団体さんを追い越し、しばらく下ると、幌尻山荘に到着した。
小屋の周辺には30人くらいのハイカーがいた。新たな団体さんが加わったようだ。小屋の前のブルーシートは団体さん専用のようで、小屋から離れたブルーシートの方に移動した。そこにはヒゲGさんがいて、別のGさんが寝転がっていた。明日の登りかなと思ったが、今日、登り終えたとのことだった。連泊ということか。ヒゲGさんに杖のことを聞いてみた。「いや、私、間違っていませんよ」。
(これがとよぬか山荘の「朝食」)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/48/11/49436bceabeb89c24ed1085cdd5d905f.jpg)
寝床で着替えを済ませてシートに戻る。時間はまだ15時か。今夜も長くなりそうだ。たまたま小屋に置いてあった700円ビールを買ってきて乾杯。それを見ていたヒゲGさんも買いに行った。後はダラダラ。I男はお腹が空いたらしく、さっさとラーメンをつくって食べた。しかし、途中で横になって寝はじめた。こちらはゆっくりと持参焼酎をお湯割りで飲んでぶらぶら。そして、残りのオニギリ1パックをいただく。
ようやく浜Gさんが下りて来た。大そうお疲れのご様子。「あのストック、ヒゲGさんは間違っていないと言ってましたよ」。「いや~、よく見てみると、これ、私のストックでした」。どういうこっちゃ。大丈夫かいなと言いたくなる。もしかして、浜Gさんが背負っているザックは別の方のものだったりして。後続の6人も下りて来て、同じシートに座る。それぞれの話も聞こえる。皆さん、フェリーで来て、2つ3つとお歩きのスケジュールのようだ。ハイトス隊のような方々だらけだ。自分も、できればそんな歩きをしてみたいが、おそらく性格的にできないだろう。
ラーメンを食べ、コーヒーを飲む頃には薄暗くなってきた。団体さんは合わせて20人以上いたが(それぞれのツアーをまとめて面倒見しているようだ)、皆、カレーを食べている。様子を眺めていると、3~4人の若い料理人がレトルトを鍋にあけ、ご飯の入った容器に入れて配っている。食事・料理付きということだ。
暗くなったので、そろそろ寝る。小屋は2階建て。寝床は2階。下でストーブを焚いて、吹き抜けの2階に煙突を通しているため、寒いことはない。I男が、どこからの情報なのか、団体さんは4時出発だと聞きつけてきた。ということは、8時半発のシャトルバスにでも乗るのだろうか。ざわつきの中、横になった途端に寝てしまった。I男はまた寝つけなかったようだ。
(朝の光景。5時20分。団体さんがそろそろ出発。4時起き、4時半朝食、5時半の出発だったようだ)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6d/69/4ad6fb683150fd1bf7c5187257eb425b.jpg)
足を蹴飛ばされて目が覚めた。0時30分。3列で寝るため、足を延ばすと次の列の方と足が重なる。もう寝られず、じっと目をつむっていた。3時を過ぎると、山小屋の恒例で騒々しくなった。やがて団体さんが外に出て行き、2階には4人しかいなくなった。これはチャンスとばかりに、下の小屋内のトイレに入った。結果はある程度の満足。昨日の保留分はどうやら気化してしまったようだ。外に出て、タバコを吸って顔を洗う。もう4時は過ぎていたが、団体さんは朝礼の最中で、脇では料理人がおじやのようなものを作っている。4時出発ではなく4時起床ということだったらしい。ヘルメットの着用を義務づけしているのか、皆さん、脇にヘルメットを置いている。部屋に戻ると、だれもいなかった。I男はトイレに行っていた。
シャトルバスは11時発を予約していた。間に合わすには7時に出ればいいのだが、それまでやることがまったくない。シートに行き、湯をわかしてコーヒーを飲む。別Gさんが出発する。ヒゲGさんも浜Gさんも11時バスに乗るらしく、のんびりしている。聞けば、団体さんも11時のだそうだ。乗りきれないのではないのか。
(今朝の川の流れ。冷たそう)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/32/cf/ef864433eca6e635d850089adcc570b9.jpg)
このまま無為に過ごしても仕方がないので、一昨日以来お馴染みになった方々に挨拶して5時20分に小屋を出る。出がけの小屋の寒暖計は8℃を指していた。いきなりの渡渉もさぞ冷たかろう。
最初の渡渉、やはり冷たかった。これさえ我慢すれば、後は続く渡渉も至って楽に思える。水量も流れも昨日と変わりはない。しばらく行くと、先行した別Gさんの姿が見える。苦戦しているのか、ゆっくりと歩いている。荷物が大きい。
(こんなところもある)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/34/06/f420f1384a1348fc6d968a55b6f57de3.jpg)
昨日の転びかけたポイントにさしかかる。反対側からやって来る方が1人。棒を持って渡っている。では自分もと、棒を支えに渡ると、これが意外にも効果的で、揺れることもなくあっさりと渡れた。
その後、2人、1人と出会う。今朝の3時バスの乗客は4人だったとのこと。曜日的に昨日よりも今日の方が多いと思っていたのだが、むしろこれからのバスだろう。この時間帯は日帰りを視野に入れている方もいる。それにしても、自分と同様、水量が気になる方が多く、つい聞かれてしまう。
(取水施設に着いた。要領を覚えて、下りの渡渉はスムースだった)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5e/f5/21a448310c3edad441d5c4de22913f59.jpg)
17番目を数えるあたりから、上がって林間を歩くことが多くなる。この歩きは登りが多くてつらく感じる。最後の20番目の渡渉を終えて、無事に渡渉終了。今、6時40分。もしかすれば、8時30分のシャトルバスに間に合うのではないのか。むしろ、11時では時間を持て余す。急ぎ足で歩いて乗った方が賢明ではないのか。I男を急き立てるが、彼は靴交換をするようだ。先に出発する。今回使用のアクアグリッパーソールの沢靴、モンベル製ではあるが、水陸両用といった感じで、なかなかいいじゃないの。少なくとも、沢歩きを本格的にこなせない自分レベルにはちょうどいい。
(急ぎ足で林道を歩く)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/26/a0/a08600f2b6d99ff1a68924a3f5ccd41b.jpg)
(対岸の滝)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/13/eb/9f3f3b1c545f9cbf45b8ac6083d4a290.jpg)
(林道の標識)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3d/6b/45ca83d754d440d5f99953f684edfcc5.jpg)
長い長い林道歩き。I男が後ろから追いつき、追い越して行った。昨日の仕返しかいな。この林道歩き、緩やかな登りが頻繁にあり、きつく感じるところがある。取水施設から「第1ゲート」までは7.5kmとの標識があるのだが、このゲートの認識が今一つ不明瞭だ。距離的に考えれば、この「第1ゲート」はバス停のあるところを指しているのではないのか。町寄りのゲート(これを自分は第1、バス停は第2と思っていたのだが)まではさらに15km追加される。帰ってから調べると、このバス停が第2ゲートになっていたり、第1ゲートになったりしている。結局、正解は分からずじまいだ。
(バスの停留所)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/24/0a/87527d56bc57d966aeac256ca71333ce.jpg)
途中、四駆の車が2台上がって来る。管理用の車だろう。もうだれにも会わず、ところどころにI男が吐き出したらしいタバコの臭いが固まっているだけ。今日も滝がきれいだ。7.5kmを1時間25分早足で歩いてバス停に到着した。
I男が座ってタバコを吸っていた。バスがとまり、運転のオジサンがうろうろしていた。このバス、とよぬか山荘7時発の折り返しで、さっき着いたばかりのようだが、乗客は0だったらしい。現に、以降、だれにも会っていない。オジサンからいろいろと話を聞いた。つい最近まで、自家用車が先まで入れたらしい。
(対向のバスには10人くらい)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/38/ef/20295d9c02fbe8cc53a87752649f46a7.jpg)
別Gさんが現れぬままに、バスは我々2人だけを乗せて出発。無線でいろいろとやり取りをしている。バスの乗客名も確実に伝わっている。団体がいるので11時バスも2台になったとか、高橋さんがバスに乗っていないのでハイヤーをキャンセルとか…。
町寄りのゲートを過ぎると、サイクリングの少年が林道を上がって来た。運転のオジサンに問われるままに、名古屋からやって来て、これから幌尻岳に行くと答えていたが、一般車両乗り入れ禁止の注意を受け、すごすごと戻って行った。
(趣味はないが、最後の山くらいは買わないと。とよぬか山荘で500円)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/29/ef/9a672c6cd9588a5c610f78a8980323c5.jpg)
とよぬか山荘に到着。この時間、山荘にはバイト風の職員以外だれもいない。さてこれからどうしようかと言いたいところだが、I男は明日、仕事があって東京に戻らないといけないし、自分はこれから家族旅行が加わり、富良野方面に向かわないといけない。
風呂ぐらい入っていこうと、山荘の職員さんに聞いて向かったが、なかなか着かずにやめにし、I男を苫小牧まで送っていく。結果として百名山達成にお付き合いいただいた形になってしまった。ありがとう。
今日の天気も良好だ。また、何十人ものハイカーが入るのだろう。幌尻岳はアクセス(シャトルバスの運行は7月~9月)の不便さもあってか、百名山最後の山になるパターンが多いようだ。北海道まで安い限定便で行ったはいいが、雨で登れませんでした。山小屋の空きがありませんでした。こういった理由からであろう。いろいろなネット記事を読みながら、自分もまた、さも百名山しか眼中にないスタイルの山歩きをしているようにも思え、あまりいい感じはしなかったが、これもまた気分的な一つの区切りであるし、その意味からして、幌尻岳はそれに見合ったいい歩きのできた山だったかもしれない。さらに、変化に富んだコースも歩けたし…。尾根筋だけの歩きだったら、きっと飽きてうんざりだったろう。
(では、改めての出発)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7f/67/a3534a4c637807b84c5a8d04ffc50920.jpg)
ササの中の急登が始まった。I男の情報によると、「馬の背」というところまで急な登りが続くそうだ。地図を広げて見たが、そんな名前のスポットはない。稜線に出てからが「馬の背」だと思うが。そういうものだ。
そのI男、歩き出しから程なくして休みがちになった。せめて、今の3回休憩を1回にして欲しい。どうも、最初から飛ばしたので、それを私が諌めたところ、ペースが崩れてしまったようなことを言うので、だったらと、先に行かせたところ、今度は先で休んでいて、結局は同じ歩きになってしまう。これでは、こっちの立場がまずくなるんじゃないのか?百名山達成が目の前にぶら下がっていて、今回、せっかくここまで至っているのに、それが達成できないのでは、何をしに来たのかも分からなくなってしまう。彼に合わせて登ったとしても、上空の雲の様子を眺めていると、山頂がガスに包まれるのも時間の問題の気配がある。あせってきた。
「先に行っているよ」と、休んでいるI男に声をかけて歩き出す。これだけしっかりした道なら、I男も迷うことはあるまい。4人組が休んでいるところを追い越す。
(ここを登りきると)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7a/42/e4a2032939a216ab86fb7fa9311e7d93.jpg)
(こんな展望が対岸に広がっていた)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6f/8d/424b7c83b7ea527b56eda7306204fa94.jpg)
ササと樹木から、周囲のちょっとした景色が覗く。さも北海道の山といった感じがする。二ペソツ山に行った時もこんな感じだったかなぁ。ようやく稜線に出た。ここがI男の言う「馬の背」の突端かも。左手にきれいな山並みが見えた。右に三角錐の山。視界の中では、この山が一番高い。しばらく勘違いしていた。この三角錐が幌尻岳とばかりに思い込んだ。ということは、その左が戸蔦別岳で、中戸蔦別岳、北戸蔦別岳と続いているのか…。しかし実際は、この三角錐が戸蔦別岳で、幌尻岳はまだ見えていない。先のピークの陰になっている。いずれにせよ、気持ちの良い稜線歩きになってくれた。稜線歩きになってほっとした。
(先に小ピークがある。これだけかと思ったがいくつか続く)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/20/d0/4fa8f056b25198d37b57a1cbcc8a53fb.jpg)
(命の水は後回し。先を急ぐ)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3e/db/d9d59cc7e367c0871b9fad5f7a46d9ec.jpg)
(右手の三角峰が幌尻岳と思っていた。実はあれ、戸蔦別岳)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/74/e2/9312ab776ec0c6657d8df352f7e2081e.jpg)
「命の水」の標識。ここから外れたところにあるらしい。これは後回しにしよう。また急登が始まって、ガレかけた道を登る。それにしても、今歩いている尾根をグルッと回ってあの三角錐ピークに至るにはかなりの時間がかかりそうだ。2人組が下ってきた。「あの三角の山が幌尻岳ですよね?」と聞くと、返答があやふや。「あんな山じゃなかったけどなぁ」「いや、あれだよ」…。2人で話しているのを聞くと、どうやら、幌尻岳はここからでは見えないようだ。ということは、あれは戸蔦別岳か。まぁ納得。
(振り返る。ちょっと休憩)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/63/04/af21ee19bad78afcd16772fce6ee0ebb.jpg)
(ようやく幌尻岳の一角が)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4f/5d/da403f5e2e02f7179b8198fadacc4fc0.jpg)
(幌尻岳の全容)
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ハイマツが出てくる。ピークを越えたものの、この先に依然とピークがいくつか控えている。幌尻岳はなおも見えない。巨大な山域だ。左下に覗いているのが北カールか。水溜りが見えている。
次のピークを越えて、ようやく幌尻岳が視界に入った。山頂は広くなだらかだ。登るに連れて、全容が出てくる。ヤセ尾根の平らなところを見つけて休憩。うまい一服。立ち上がると、後ろに4人組。
(まだ先に小ピークがいくつか続いている)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7f/74/2c14f413a45a66ba065e7986ee2e84ad.jpg)
(下に北カール)
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先のピーク下にハイカーの固まりが見えた。7人くらいだろうか。下りだ。幌尻山荘から今朝立ちの方々だろう。この山では、グループ、団体が、ついツアー参加に見えてしまうが、このグループも例外ではあるまい。一目瞭然のガイドさんがいる。その間から、一人、早い歩きの方が下って来た。すれ違った。同じバスの日帰りの方だった。すごい歩きをされている。翌日、シャトルバス運転のオジサンから聞いた話によると、日帰り単独氏はバス停留所に14時半に着き、17時バスに余裕で乗ったそうだ。すごい方もいらっしゃる。
(花をいくつか見る)
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(こんなのも。自分には付録)
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(戸蔦別岳方面の山並みはここからもいい感じ)
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(4人組がかすかに見える)
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さて、他人様のことはともかく、そろそろ疲れてきた。山頂まではもう一頑張りだ。振り向くとヒゲGさんが4人組をかわして登って来た。あれっ、浜Gさんはどうしたのだろう。I男と同じに切り捨てられたのかな。ちょっといっしょに歩く。この方と話していると、つい、向こうの話題ペースに巻き込まれてしまうところがあるので、こちらの口も重くなる。
(山頂間近)
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(幌尻湖)
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(新冠コースが合流)
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(そして山頂)
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新冠コースに合流。なるほど、ハイトス隊はここに上がって来たのか。幌尻湖が見える。もうここまで来れば山頂直下。山頂には10人くらいの姿が見えている。あれもまたツアーかね。ヒゲGさんにちょいとばかり遅れをとって、よいこらしょっと到着。日本百名山達成の瞬間。感慨深い…といきたいところだが、自分の百名山歩きには、素直には感心できない腹黒い一面がある。何事も、批判を述べるなら、自分がやってからこそのこと。つまり、他人様の百名山歩きをあれこれ言う前に、自分が登れということだ。これで、晴れていろいろと言える立場になった。三百名山までやっている方には、まだまだと言われそうだが。
(戸蔦別岳方面。見えなくなってきた)
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(北カールを覗く)
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まぁ、そんなことはともかく、いい気分だ。天気も持ってくれた。団体さんは間もなく下って行った。通りすがりに、オバチャンの口から栃木弁なまりの言葉が聞こえた。4時半に小屋を出発して登って来たそうだ。ついでに、ツアーにいくらかかったか聞いてみたいところだ。続いて、4人組が到着。I男の姿はまだ見えない。ミニチュアの日章旗をこっそりと取り出して写真を撮る。天狗岳の時のように、大きな日の丸を広げてのパフォーマンスは自分には不向きだ。百名山のお祝いはこれで十分。ひっそりささやかにだ。
山頂に寝転んで、ヒゲGさんと4人組の会話を聞いていた。4人組、今日は七ッ沼カールでテントだそうだ。その七ッ沼カールだが、さっきまで見えていたのに、もう戸蔦別岳とともにガスで見えなくなってしまい、こちらもじわりと白くなりつつある。
(I男が登って来た)
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(そしてご満悦)
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ようやく2人の姿が見えた。おそらく、前が浜Gさんで、後ろがI男だろう。I男は40分遅れの到着。山頂で一時間待っても来なかったら、下るつもりでいた。I男は山頂に着くなりへたり込んだ。途中でふくらはぎに痙攣を起こしていたとのこと。最近の歩きが一月前の富士山では仕方がない。落ち着いてから写真を撮ってやる。日の丸を喜んだのはむしろI男かもしれない。
ヒゲGさんが浜Gさんを残して下って行く。4人組も出発。浜Gさんが転がっているストックを指さし、このストック、だれかの忘れ物じゃないのかと言い出した。ブラックダイアモンドの高そうな杖。I男に、4人組に大声で確認させる。該当者なし。きっと、さっきの団体さんではないのか。浜Gさんは先に下る我々に杖を託し、おあつらえ向きに、足を痛めたI男にはラッキーだったかも。I男がダブルストックで下ることになった。
(下る)
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(カールに沼のような水溜りがある)
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ガスが濃くなった。白いところから、時間を置いて2人連れが3組上がって来た。いずれも同じシャトルバスに乗り合わせた方々だ。小ピーク越えが続く。上りになると、I男は一気にスローになる。足が痛いのだろう。幌尻岳はもう登ってしまったのだしと、離れずに合わせて下る。この調子では、I男は根性で幌尻岳に登ったのだろう。彼には、登らないといけない理由もあった。幌尻バッチを、昨夜のとよぬか山荘ですでに買っていたのである。
(命の水)
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ようやく下り一辺倒になる。「命の水」標識に着く。山頂の団体さんが休憩を終えて出発するところだった。杖の件を聞いてみる。ここにも該当者なし。I男を休ませ、足痙攣に効く漢方薬とエアーサロンパスを預け、空身で「命の水」に行って来る。団体さんが「2分・3分だよ」とおっしゃっていたが、まさにそんなもので、岩伝いに水がちょぼちょぼと流れていた。特別、甘露といった味わいはなかった。
(稜線から外れて下る。景色が一瞬にしてくずれる)
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(幌尻山荘に到着)
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標識に戻って休んでいると、浜Gさんが下って来た。該当者はいなかったと伝えると、「どうも、私のストックをヒゲGさんが間違えて持って行ったらしい」と言い出した。じゃ、後はそちらでやってくださいなと、杖を浜Gさんに渡して出発。杖を失ったI男、ちょっと残念気味ではあったが、薬のせいか、幾分、持ち直したみたい。
稜線から外れ、団体さんを追い越し、しばらく下ると、幌尻山荘に到着した。
小屋の周辺には30人くらいのハイカーがいた。新たな団体さんが加わったようだ。小屋の前のブルーシートは団体さん専用のようで、小屋から離れたブルーシートの方に移動した。そこにはヒゲGさんがいて、別のGさんが寝転がっていた。明日の登りかなと思ったが、今日、登り終えたとのことだった。連泊ということか。ヒゲGさんに杖のことを聞いてみた。「いや、私、間違っていませんよ」。
(これがとよぬか山荘の「朝食」)
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寝床で着替えを済ませてシートに戻る。時間はまだ15時か。今夜も長くなりそうだ。たまたま小屋に置いてあった700円ビールを買ってきて乾杯。それを見ていたヒゲGさんも買いに行った。後はダラダラ。I男はお腹が空いたらしく、さっさとラーメンをつくって食べた。しかし、途中で横になって寝はじめた。こちらはゆっくりと持参焼酎をお湯割りで飲んでぶらぶら。そして、残りのオニギリ1パックをいただく。
ようやく浜Gさんが下りて来た。大そうお疲れのご様子。「あのストック、ヒゲGさんは間違っていないと言ってましたよ」。「いや~、よく見てみると、これ、私のストックでした」。どういうこっちゃ。大丈夫かいなと言いたくなる。もしかして、浜Gさんが背負っているザックは別の方のものだったりして。後続の6人も下りて来て、同じシートに座る。それぞれの話も聞こえる。皆さん、フェリーで来て、2つ3つとお歩きのスケジュールのようだ。ハイトス隊のような方々だらけだ。自分も、できればそんな歩きをしてみたいが、おそらく性格的にできないだろう。
ラーメンを食べ、コーヒーを飲む頃には薄暗くなってきた。団体さんは合わせて20人以上いたが(それぞれのツアーをまとめて面倒見しているようだ)、皆、カレーを食べている。様子を眺めていると、3~4人の若い料理人がレトルトを鍋にあけ、ご飯の入った容器に入れて配っている。食事・料理付きということだ。
暗くなったので、そろそろ寝る。小屋は2階建て。寝床は2階。下でストーブを焚いて、吹き抜けの2階に煙突を通しているため、寒いことはない。I男が、どこからの情報なのか、団体さんは4時出発だと聞きつけてきた。ということは、8時半発のシャトルバスにでも乗るのだろうか。ざわつきの中、横になった途端に寝てしまった。I男はまた寝つけなかったようだ。
(朝の光景。5時20分。団体さんがそろそろ出発。4時起き、4時半朝食、5時半の出発だったようだ)
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足を蹴飛ばされて目が覚めた。0時30分。3列で寝るため、足を延ばすと次の列の方と足が重なる。もう寝られず、じっと目をつむっていた。3時を過ぎると、山小屋の恒例で騒々しくなった。やがて団体さんが外に出て行き、2階には4人しかいなくなった。これはチャンスとばかりに、下の小屋内のトイレに入った。結果はある程度の満足。昨日の保留分はどうやら気化してしまったようだ。外に出て、タバコを吸って顔を洗う。もう4時は過ぎていたが、団体さんは朝礼の最中で、脇では料理人がおじやのようなものを作っている。4時出発ではなく4時起床ということだったらしい。ヘルメットの着用を義務づけしているのか、皆さん、脇にヘルメットを置いている。部屋に戻ると、だれもいなかった。I男はトイレに行っていた。
シャトルバスは11時発を予約していた。間に合わすには7時に出ればいいのだが、それまでやることがまったくない。シートに行き、湯をわかしてコーヒーを飲む。別Gさんが出発する。ヒゲGさんも浜Gさんも11時バスに乗るらしく、のんびりしている。聞けば、団体さんも11時のだそうだ。乗りきれないのではないのか。
(今朝の川の流れ。冷たそう)
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このまま無為に過ごしても仕方がないので、一昨日以来お馴染みになった方々に挨拶して5時20分に小屋を出る。出がけの小屋の寒暖計は8℃を指していた。いきなりの渡渉もさぞ冷たかろう。
最初の渡渉、やはり冷たかった。これさえ我慢すれば、後は続く渡渉も至って楽に思える。水量も流れも昨日と変わりはない。しばらく行くと、先行した別Gさんの姿が見える。苦戦しているのか、ゆっくりと歩いている。荷物が大きい。
(こんなところもある)
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昨日の転びかけたポイントにさしかかる。反対側からやって来る方が1人。棒を持って渡っている。では自分もと、棒を支えに渡ると、これが意外にも効果的で、揺れることもなくあっさりと渡れた。
その後、2人、1人と出会う。今朝の3時バスの乗客は4人だったとのこと。曜日的に昨日よりも今日の方が多いと思っていたのだが、むしろこれからのバスだろう。この時間帯は日帰りを視野に入れている方もいる。それにしても、自分と同様、水量が気になる方が多く、つい聞かれてしまう。
(取水施設に着いた。要領を覚えて、下りの渡渉はスムースだった)
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17番目を数えるあたりから、上がって林間を歩くことが多くなる。この歩きは登りが多くてつらく感じる。最後の20番目の渡渉を終えて、無事に渡渉終了。今、6時40分。もしかすれば、8時30分のシャトルバスに間に合うのではないのか。むしろ、11時では時間を持て余す。急ぎ足で歩いて乗った方が賢明ではないのか。I男を急き立てるが、彼は靴交換をするようだ。先に出発する。今回使用のアクアグリッパーソールの沢靴、モンベル製ではあるが、水陸両用といった感じで、なかなかいいじゃないの。少なくとも、沢歩きを本格的にこなせない自分レベルにはちょうどいい。
(急ぎ足で林道を歩く)
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(対岸の滝)
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(林道の標識)
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長い長い林道歩き。I男が後ろから追いつき、追い越して行った。昨日の仕返しかいな。この林道歩き、緩やかな登りが頻繁にあり、きつく感じるところがある。取水施設から「第1ゲート」までは7.5kmとの標識があるのだが、このゲートの認識が今一つ不明瞭だ。距離的に考えれば、この「第1ゲート」はバス停のあるところを指しているのではないのか。町寄りのゲート(これを自分は第1、バス停は第2と思っていたのだが)まではさらに15km追加される。帰ってから調べると、このバス停が第2ゲートになっていたり、第1ゲートになったりしている。結局、正解は分からずじまいだ。
(バスの停留所)
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途中、四駆の車が2台上がって来る。管理用の車だろう。もうだれにも会わず、ところどころにI男が吐き出したらしいタバコの臭いが固まっているだけ。今日も滝がきれいだ。7.5kmを1時間25分早足で歩いてバス停に到着した。
I男が座ってタバコを吸っていた。バスがとまり、運転のオジサンがうろうろしていた。このバス、とよぬか山荘7時発の折り返しで、さっき着いたばかりのようだが、乗客は0だったらしい。現に、以降、だれにも会っていない。オジサンからいろいろと話を聞いた。つい最近まで、自家用車が先まで入れたらしい。
(対向のバスには10人くらい)
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別Gさんが現れぬままに、バスは我々2人だけを乗せて出発。無線でいろいろとやり取りをしている。バスの乗客名も確実に伝わっている。団体がいるので11時バスも2台になったとか、高橋さんがバスに乗っていないのでハイヤーをキャンセルとか…。
町寄りのゲートを過ぎると、サイクリングの少年が林道を上がって来た。運転のオジサンに問われるままに、名古屋からやって来て、これから幌尻岳に行くと答えていたが、一般車両乗り入れ禁止の注意を受け、すごすごと戻って行った。
(趣味はないが、最後の山くらいは買わないと。とよぬか山荘で500円)
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とよぬか山荘に到着。この時間、山荘にはバイト風の職員以外だれもいない。さてこれからどうしようかと言いたいところだが、I男は明日、仕事があって東京に戻らないといけないし、自分はこれから家族旅行が加わり、富良野方面に向かわないといけない。
風呂ぐらい入っていこうと、山荘の職員さんに聞いて向かったが、なかなか着かずにやめにし、I男を苫小牧まで送っていく。結果として百名山達成にお付き合いいただいた形になってしまった。ありがとう。
今日の天気も良好だ。また、何十人ものハイカーが入るのだろう。幌尻岳はアクセス(シャトルバスの運行は7月~9月)の不便さもあってか、百名山最後の山になるパターンが多いようだ。北海道まで安い限定便で行ったはいいが、雨で登れませんでした。山小屋の空きがありませんでした。こういった理由からであろう。いろいろなネット記事を読みながら、自分もまた、さも百名山しか眼中にないスタイルの山歩きをしているようにも思え、あまりいい感じはしなかったが、これもまた気分的な一つの区切りであるし、その意味からして、幌尻岳はそれに見合ったいい歩きのできた山だったかもしれない。さらに、変化に富んだコースも歩けたし…。尾根筋だけの歩きだったら、きっと飽きてうんざりだったろう。
ついにやりましたね、幌尻、いつだろうと思っていましたが、気にしていました。天気もまずまずのご様子で、良かったですね。百名山完登、おめでとうございます。そして、お疲れ様でした。幌尻はやはり一筋縄ではいかないみたいですね。予約したりして、小屋泊まりが大変そうですが、百名山となるとやはり登山者も多いのでしょうね。今年は充実した山歩きをされているご様子、お疲れ様でした。ゆっくり体を休めて下さい。
あんぱんさんに遅れること一か月の遠征になってしまいました。少しはすいているだろうなといった目算もあっての8月末だったのですが、こういった百名山は年間通じて混んでいますね。
他の山もそうですが、幌尻岳に関してはやはり、天気の運にまかせた一発勝負といった感が強いですね。
私の選んだコースの場合、「予約」という不便なものがありますので、直前になってからの変更は不可ですから、すんなりと他の山にチェンジというわけにもいかず、直前の一週間は天気予報に一喜一憂でした。
これが嫌でしたら、北か南のコースを選ばれた方がいいでしょう。何ら予約も必要ないし。ただ、新冠コースの山小屋も、最近はツアー使用が多くなっているみたいですね。
帰ってから、あんぱんさんのように、フェリーでのんびりといったプランも、うらやましいどころか、えらく気になっていますよ。やりたいものです。
99、100と羨ましいくらい天候に恵まれてますよね。先週関東はずっと雨模様でしたが幌尻は登山日和で何よりでした。幌尻岳と言うと渡渉ですがそうですか20個もありましたか。写真で見るとかなり急流のところもあり私のような軽量級には怖いくらいですね。
山頂からの眺望も北海道を思わせるような雰囲気もありなかなかでした。
日の丸旗、愛嬌があってたそがれさんらしさがでてましたよ・・・!
「通過点」ですか。私、そんな大それた哲学を持って山歩きなんかしてませんよ。
たまたまの蓄積が100近くなっていたので、目障りだから片付けましょうかといった程度の思いです。ある種のカセだったわけですよ。
じゃ、これからは…なんてのもありません。これまで同様に足尾の山を中心に歩くだけのことです。
川渡り、確かに軽量級には厳しいかもですねぇ。10キロほど余計に荷物か石を入れるとか、9月に入ってから歩くとかの工夫は必要かも。ただし、このコースに限定しての話ですよ。
S男さんも百名山狙いなんでしょ。だとすれば、避けて通れぬ山ですよ。
何だか、日本百名山制覇の祝賀といった雰囲気になっちゃいましたね。日章旗を掲揚したのがいけなかったかなあ(笑)。
今回の額平川の渡渉ですが、正直のところ、急流のところは恐かったですよ。川幅は10mもないのですが、真ん中の流れで身体がふらつくんですよ。4か所くらいあったかなあ。
あれじゃ、事故があっても不思議ではないですよ。情報によると、川も小屋もヘリが入れないところとか。
しかし、幌尻岳のツアーに参加する方も恐れ入りますよ。半端に参加して楽勝といった展開ではないようですから。北海道の山は、ガイドの方、つらいと思いますよ。
ちなみに、ロープ、クサリがあったのは水際の岩伝いだけでした。
山頂で雲に追いつかれそうでしたが、これまたタイムリーな歩きで、綺麗な景色でした。
山小屋での色々な方々、本当にうらやましい時間を使っているなと、私も感じました。
可愛い日章旗、高木さんがいたら、大騒ぎになっていたかもね。帰りの冷たい川、無事に越せて、良かったです。I男君の痙攣、克服したのも偉い!!
さて、次の狙いの山はどの方面になるのでしょうか?そろそろ紅葉らしき色も出ていましたよね。
ひょとして残り2山はまだまだ放っておくのかと思っておりましたよ。
しかし宮の浦の時点で手配済みとは恐れ入ります。
今回の記事を読んでこのルートは沢の渡渉の訓練を積んだ方が良さそうに思えます。
我々の登頂時はこちらのルートは雨で増水の為ツアーが中止となった位ですから、運にも大きく左右されますね。
黒沢の連瀑を登った人でも危うく流されそうになるのですから水流の早い沢は怖いですね。
なにはともあれお疲れ様でした。
この山は苦労する分余計に達成感がありますよね。
登頂時を思い出してしまいましたよ。
百名山完登、おめでとうございます。
ハードなお歩きだっただけに、喜びもひとしおではないでしょうか。
可能であれば、百名山は全山体験してみたいものですが、なかなか出来ることではないですね。
百名山は毎年少しづつ歩きたいなと思いますが、まずは関東をクリアしないといけないです。
200名山、300名山あたりも残り少ないのではないでしょうか。次はそちらも狙いですか。
お疲れ様でした。
なかなかいい眺めですね。
この夏、ここを第一の目標にして北海道に渡ったんですが、天気が怪しそうだったので、初日であっさりあきらめました。軟弱ものです。(笑)
軟弱なので、渡渉コースは行けそうもないです。