たそがれオヤジのクタクタ山ある記

主に北関東の山を方向音痴で歩いています。山行計画の参考にされても責任は負いかねます。深慮せず軽く読み流してください。

紅葉のトムラウシ山

2006年09月18日 | 北海道の山
◎2006年9月15日(金)―1人

 今年のJALバースデー割引は昨年に続いて北海道。クラスJにグレードアップしても往復30,000円弱だから、年に一回の好機は活用したい。ただ、フライトの変更は不可。昨年は台風の北上とともに女満別に向かい、雨の羅臼岳を体験した。何も見えなかった。ただ、翌日は台風一過の斜里岳を満喫できた。今回のバースデー割引ツァー、関東は秋雨前線の停滞でずっと雨続きだが、北海道は快晴続きの模様。台風の接近もあり、気はあせる。

 前日14日に帯広空港に着き、レンタカーでトムラウシ温泉に向かう。ナビの到着予定は午後4時過ぎだったのが、北海道の道はスイスイ。2時半には東大雪荘に着いてしまった。これじゃチェックインは早過ぎと、意味もなく登山口の下見に出向いた。かろうじて車のハラはこすらない程度の悪路を20分で登山口。車が3台止まっている。若き女性の姿も見えた。帰るところか。

 自分の少ない経験からすれば、北海道の温泉は熱め。トムラウシ温泉もまたその例外にもれず、温度が高く、濃度が濃いためかヌルっとして、サラっとした感じの湯質が好ましい。夕飯もまた良かった。朝が早いため、朝食代わりに弁当を頼み、夜のうちに荷造りは完了。8時には寝た。もっとも、12時半に一旦、目が覚め、後はうつらうつら。

 4時に起床。4時半にホテルを出て登山口に向かう。暗い。登山口の駐車場には6台程止まっている。3人程、出発前の慌ただしさをやっている。入山届けに記帳して5時出発。まだ薄暗いながらもライトは不要。天気は上々か。昭文社版の短縮コースでの標準往復タイムは10時間15分。明日もあることだし、早めに下山しておきたいのはやまやまながら、先日の飯豊の足痛登山もあるしと、まずはこの時間をそのまま目安に、ガツガツせずにゆっくり歩くとする。

 特別な急登もなく温泉コース分岐に着く。短縮コースは1時間半程の時間稼ぎのようだが、足にかかる負担は大きい。疎林を進むとカムイ天上に着く(5時40分)。木立の間から前トムラウシが見える。ここまではだれにも会わなかった。ネットのレポを読むと、登山道が泥だらけで往生した話が結構あるが、今のところ、そんなにひどい所は無かった。晴天続きだったためだろう。紅葉が始まっている。赤がきれいだ。

 「新道」表示に従って進む。笹原を刈り込んで作った道のようだが、斜めになっていて歩きづらい。4年前発行の昭文社地図やら10年前の山渓ガイドでは、ここから沢沿いに歩くはずだが、沢を遠巻きにして上っている。突然、西側の展望が開ける。すごい原生林が広がっている。あんなところに入り込んだら最後、出て来られなくなってヒグマのエジキか白骨か。

 やがて林の中を一気に下って沢に合流(6時45分)。石にペンキでコマドリ沢と記してある。帰りの登りがつらそうだなぁ。ここで廃道と合流か。登りが嫌なら廃道を沢伝いに下ればいいのだろうが、一人では心細い。水がチョロチョロ流れている。冷たい。

 もう少し時期が早ければ、ここからは雪渓が続くようだが、今の時期は見られない。ハイマツ帯になってきたところで一服。ごつごつした大きな石が出はじめてきた。エゾシマリスがいた。かわいいもんだ。写真に収める。往復で4匹見かけた。

 ここが「前トム平」というところか(7時25分)。ハイマツ帯を登り切ったところが台地状になっている。表示は無い。ケルンがあり、トムラウシが迫ってきた。後、1時間ちょっとといったところだろうか。足の痛みは無い。

 山頂までは意外とだらだらと長かったが、北アルプス雲ノ平あたりの風情が続く。雪渓が表われ、池塘があり、紅葉も加わり、ちょっとした庭園風。トムラウシ公園と呼ぶらしい。トムラウシの裾野を巻く道になっている。ショートカットがあってもよさそうだが、ロープやテープもあるから、掟破りはやめとこう。十勝岳への分岐(8時30分)からは最後の上り。石伝いに登っていく。8時50分、山頂到着。

 4人の高年ハイカーのグループがいた。オレの前を歩いていたのだろうか。話を聞くと、十勝岳方面から縦走して来たようだ。トムラウシ温泉経由で帰るようだが、「新得行きのバスは出ていますかね?」と聞かれたが、この時期は無いんじゃないの。いい加減な返事も出来ないから、「ちょっと分からないですね。私、レンタカーでしたから」と答えたら、「車のカギを貸してくださいよ」だって。あまり深入りすると、車に同乗させる羽目になりそうだから、余計なおしゃべりは慎んだ。しかし、バス時刻も調べず無計画だよな。

 4人が下山して喧噪も去り、一人で展望を楽しむ。少しガスっているものの360度の視界。明日は石狩岳かニペソツ山を考えているが、ニペソツがどれやら分からない。三角スイ形をしているのだが。宿の弁当をいただく。小振りのムスビが2個。中身は梅干し。それと刻んだタクアン。かなりわびしい。考えてみればおかしなものだ。一泊二日で二食付きの正規の料金を払い、朝食代わりがこのムスビ2個か。夕食は豪勢だったが、朝食を宿で取っている宿泊客も、まさかムスビ2個ということはあるまい。ムスビを食べながら、いろいろな疑念が出てきた。そういえば、支払いもおかしなものだった。シーズン期の料金をとられた。確か、この時期はオフシーズンの料金のハズ。休前日の料金は1,200円程のアップだったが、木曜日泊まりはこれが適用されるのか。何やらボラれた感じがする。一人で泊まると規定外の料金になるのだろうか。そんなことを考えていたら、二番手が登って来て食事をし始めた。やはり東大雪荘のムスビにお世話になっている。彼は、明日、十勝岳に行くと言っていた。愛知から来て、名古屋・帯広便が一日一便しかないので、不便だとこぼしていた。

 30分程山頂にいて下山。上りが4時間弱だったから、下りは3時間位だろう。12時半には着くだろう。そこから今日の宿泊先の糠平温泉に向かっても、時間はたっぷりある。ゆっくり下山しよう。十勝分岐であの4人組が地図を広げて何やら検討をしている。結局、十勝に戻るのだろうか。

 前トム平(10時5分)までの間に5人と行き会う。下りの最大の難関はコマドリ沢からの登り返し。ここで足を痛めたら、明日の行動が決まってしまう。山に登らずに景勝地巡りになってしまう。沢合流部でしばし休んで軽いストレッチ。いよいよ登る。しかし、あっけないもの。下りで延々と感じたものが、さほどの労苦にはならなかった。気分的なものなわけだ。

 下りは極めて単調でダラダラ。来た道を戻るのは芸が無いが、これしかルートが無いのでは仕方ない。すごく長く感じる。カムイ天上(11時30分着)までの間に6人のハイカーと会ったが、こんな時間にどうすんだろう。どこかに泊まるのだろうか。それにしても、皆、軽装。女性の一人歩きはヒサゴ小屋に泊まると言っていたが、ザックはかなり軽そうだった。

 登山口に戻ったのは12時10分。下山時間は2時間50分。駐車場にはバイオトイレがある。向学のため覗いてみたが、オガクズの固まりがあった。こんなので分解出来るのだろうか。シーズン期は無理が行くのではないだろうか。着替えをしていたら、二番手の彼が戻ってきた。手にポリ袋を持って、トイレ前のボックスに袋を放り込んでいた。ゴミくらい持ち帰ればいいのにと思ったが、ボックスは用足し袋を入れるものだった。この用足し袋、後で糠平温泉の宿にも置いてあったのでサンプルのつもりでいただいたが、つまりは「お持ち帰り」用の袋。犬の散歩と同じ。話には聞いていたが、現物を見るのは初めて。サンプルにはご丁寧にも体験談が記されたペラも添えられていた。その中に、「山の中で急に腹痛になり、袋で処理した云々」というのがあったが、普通、腹痛の場合、健康的なモノではなく、水分が多いモノになるような気がするのだが、こんなのも丁重にお持ち帰りになるのだろうか。それ以前に、袋をあてがってうまく外にもらさずに収めることは難しいと思う。外に漏らしたら悲惨だ。うまく収めたとしても、ザックの中で弁当と同居するのはぞっとする。外にくくりつけるのもまたおかしなもの。こんなことはしたくはない。つまりは、山で用足しをしなきゃいいわけだ。自分は出張に出てすら便秘になるぐらいだから、山に登ってはなおさら縁が無い。先般の日光での二回続きは例外だったが。あの時はいつもやっている昇華・気化作業がうまくできなかっただけのこと。この袋、山がきれいになって、目障りなものも少なくなっていいことではあるが、登山口付近のそこらじゅうにあるキジ場はどうにもならないのだろうか。薄暗いうちに車の陰やら木立で適当にキジ打ちし、用足し袋を持って山に登るのもまた矛盾した話だ。結局はハイカーのマナーの問題。

 臭い話はここまでとし、糠平温泉に向かう。下りの間に明日の山行を決めるつもりでいたが、まだ決めかねている。道路沿いに子供キツネがいた。キタキツネではないだろう。間近で写真を撮った。

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