たそがれオヤジのクタクタ山ある記

主に北関東の山を方向音痴で歩いています。山行計画の参考にされても責任は負いかねます。深慮せず軽く読み流してください。

やはり、伊吹山は新幹線の車窓から眺める山だった。

2011年05月01日 | その他歩きの山
◎2011年4月29日(金)

 岐阜への出張が入った。相方が悪いのか、連休直前のためか、だれも行きたがらず、仕方なく、自分が同行することになってしまった。せっかくだから、レンタカーを借りて伊吹山を歩いてみることにする。これまでも、米原、岐阜と出張はよくあったが、運悪くほとんどがウィークディの中日のため、ついでの山歩きはしたことがない。以前、荒島岳から眺めた真っ白な能郷白山の印象が良く、当初これを選択肢に入れていたが、調べると、いきなりの水没徒渉区間があるらしい。残雪のこの時期は遠慮したい。別の機会に回すことにする。伊吹山はだれが決めたか、花の百名山とのこと。花への造詣は浅いが、咲き乱れる花を愛でながら歩くのもまた一興だろう。

 レンタカーは、帰りの都合を考慮して、名古屋駅前で手配した。東京にそのまま帰る相方に、不審な顔を向けられながらも、いつものように親戚、友達の輪を広げて言い訳をする。この輪も、全国に広がっている。また山かといった程度で、つっこまれることもない。想像は勝手だが、本来は仕事の出張なのだから、正直なことを言うわけにはいかない。さて、名古屋から高速にわざわざのって、養老SAで寝た。地理が不案内だし、シャワートイレも完備され、この方が安心。寒くて、30分程度しか寝られなかった。強烈な便意で4時過ぎに起こされた。これでは仮眠と同じ。名神の渋滞はもう始まっていた。関ヶ原インターで下り、三之宮神社あたりをうろうろして、駐車場を探した。早朝なのに、オッサンがおいでおいでをしている。500円。そこに決める。1000円の表示を見た後だったし、地元の方のように無料のエリアも知らない。むしろ金額は良心的と思った。自宅の玄関前の約5台ほどのスペースだ。いろいろと説明までしてくれる。トイレもご自宅のを使えるし、靴の泥落としまで完備している。それを聞いた瞬間、嫌な予感がして、ここ数日、雨が降っているかと聞いたら、毎日降っているとのこと。おそらく、雨上がりの歩きだな。そんな危惧を察知したのか、オッサンは、やたらと、今日は天気が良く、絶好の歩き日和だと強調する。上を見れば、山頂は見えない。雲が垂れ込めている。これまでの経験からして、これでは晴天の期待はできない。前後して、東京方面のナンバーの車が2台入って来る。いずれも単独。

(登山道)


 ちょっと行き、三之宮神社から5時45分に歩き出す。この神社、由来は古く、秀吉夫人のねねが関わっている神社でもあるようだ。「山頂まで6km、3時間半」の表示。急な登山道。やはり、予期していたように、粘土質の道がぬかるんでいる。すぐにズボンの裾が泥で汚れた。こういうのは嫌なんだよな。歩き始めにいきなりでは気になって仕方がない。晴れれば、はたいて少しは落とせるが、晴れるかどうかも分からない天気では、うっとうしい思いをするだけ。急なカーブ続きの歩きが続く。睡眠不足と昨夜のタバコの吸いすぎで、すぐに心臓が激しく脈打ち、息もぜいぜい。広い道にしては悪路が続く。いきなり大汗をかいた。

(琵琶湖)

(3合目。伊吹山は見えない)


 1合目にはパラグライダーのスポットがあった。スキー場のゲレンデを使っている。ここは現役のスキー場なのかどうかは知らない。相変わらず、上は雲で覆われている。勤務先に出入りする、この地元出身の方に事前に聞いた話では、伊吹山は樹林帯の歩きが続くと言っていたが、どこが樹林帯なのだろうか。雲の中は知らないが、見える範囲に樹林はない。コースはゲレンデの中を歩く。左手に琵琶湖が見えてくる。天気が良ければ間近だろうが霞んでいてはっきりとは見えない。やがて3合目。ここにはちょっと先に駐車場があるらしい。杖つきの青年が一人、そちらの方から歩いて来た。あっけなく抜かれるだろうなと思ったが、この青年とはそれきり会うことがなかった。

(避難小屋)


 5合目と6合目の間に、石積みの避難小屋があった。青年が2人休んでいる。こんなゲレンデの斜面の登りは、歩くに際し、目標にされるよりも目標にした方がいいに決まっている。ここで大休止し、彼らに先行してもらおうとしたら、彼らは下って行った。あれっと思って声をかけたら、昨夜は山頂でテント泊し、天気が荒れていたのでさっさと下山したとのことだった。やはりなぁ。ご来光でも期待したのだろう。引き続き、くねくねと登る。今度はカップルが下りてきた。軽装だから、山頂の宿屋にでも泊まったのか。歩いているだけでも素晴らしいことだ。ここは、山頂まで有料の車道があり、苦もせずに百名山リストに○を付けられる山だ。

(8合目の社)

(右に行けば山頂)

(残雪)

(日本武尊)

(弥勒菩薩)


 天気は回復の見込みなく、風が冷たくなってきた。8合目を過ぎ、やがて、アラレの小粒の雪が横殴りに降ってきた。顔にあたって痛い。ザックからジャンパーと手袋を出す。えらく寒い。視界がなくなった。ここまで来た以上は、我慢しても山頂に行くしかないか。地図を忘れたのに気づく。ロストするようなルートでもない。出がけに、パーキングのオッサンが、やたらと親切にしてくれるのがうっとうしくなり、荷物も確認せずにさっさと出かけたのが災いした。地図はなくても大丈夫だろうと思いながら、万一、山頂がからっと晴れたら、展望の山々を確認できないだろうといった未練もないわけでもない。下も見えなくなり、いきなり、山頂の稜線らしき、平坦なところに出た。雪が固まっていた。後ろから来たオッサンに抜かれる。同じ駐車場の方のようだ。そして、高校生らしきランナー。さっさと下って行った。間もなく山頂。何も見えないし、見当もつかない。強風と雪の中、うろうろしていたら、ここが山頂だろうか、標識をみつけた。日本武尊を祀っている。今、8時ちょうどだ。2時間15分か。

(展望盤)


 だれもいない。売店も閉め切っている。I男に百名山バッチの土産をと思ったが、自分で登っていないのでは意味もない。山頂の駐車場まで下りれば売店も開いているだろうが、土産買いの気持ちも起きない。展望台があった。ここから見える山の表示。見えるのは目の前のガスだけ。さっさと下りる。花の百名山どころではなかった。

(見下ろしながら下る)

(振り返ると、やはり見えない)

(わざわざ見に行った)

(三之宮神社)


 次から次へと人が上がって来る。雪は小雨になった。こんな天気では、思いはだれも同じだろう。下に行くに連れ、天気は良くなりつつあるが、上が見えるわけではない。下りは長く感じた。途中、上り時に後回しにした寺や地蔵に立ち寄る。道の泥は人が随分と歩いたせいか、ますますひどくなった。ズボンの膝下はもうヌルヌルなってしまった。9時45分、三之宮神社着。ちょうど4時間の歩きだった。駐車場に戻ると、車は雨で濡れていた。下も降ったのか。しきりに、オッサンが詫びる。こんなことはよくあるものだ。仕方がない。オッサンのせいではない。責めるつもりもない。わざわざ、オッサンが新聞を持って来て、「この辺の天気は彦根を見ればいいんだ。こう、午前、午後、晴れマークが付いていたのに、悪かったね」。もの悲しく訴える。オレが怒っているように見えたとしたら失礼した。茶の接待までしていただいたのに。

(石田治部の陣地)

(笹尾山)


 無性に風呂に入りたかった。オッサンは近くに薬草の湯があるから行けばいいと、道順を教えてくれた。10時からやっているそうだ。風呂に着いた。従業員が掃除をしている。聞けば、開店は12時半からだそうだ。結局、風呂には入れなかった。オッサンにしてやられた気分。関ヶ原の古戦場に立ち寄る。笹尾山の石田三成の陣跡。テレビドラマでは清水紘治だったな。今のは萩原聖人か。真田太平記もようやく12巻を読み、今DVDで追い見をしている。それだけに、余計に印象は強い。

 当初の予定では、安宿を見つけて、鈴鹿の山にでも行くつもりでいた。4時間の歩きながらもかなり疲れた。明日にしろ、しばらくは山を歩く気力はないような気分になってしまった。レンタカーの戻し時間を変更し、そのまま帰ることにした。

 これで百名山も95か。ようやくカウントダウンにはなった。足尾や日光のヤブ山を好んで歩くスタイルとはかなり矛盾もしている。もう5年以上前のことか、何気なく百名山のリストをチェックしてみたら、65山も歩いていたのには我ながら驚いた。だったら、ガツガツせずに、ついでついでに歩いてみようかと思った。残りの5山のうち、3山は金とヒマの世界だ。当面は無理だろう。100名山の後は200、300と続くような歩きをしている方が多い。それはそれで目標があっていいだろう。名山も、天気に恵まれれば確かに素晴らしい山ばかりだ。ただ、こういう方々と自分とは違った歩き方のようだ。それ以上の思いをここで記すのはやめておこう。百名山を登った後でということにしておく。何事も、自分で体験してこそ、一言二言言える立場になれるのだから。

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4 コメント

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Unknown (ぶなじろう)
2011-05-01 18:47:20
今晩は。
伊吹山登山、お疲れ様でした。
天気に恵まれず、残念でした。
おいらも、伊吹山は出張ついでに登りました。そもそも、出張登山ですから好天を期待したらバチが当たるというもの。
おいらの、出張登山歴は、大台ケ原、伊吹山、恵那山などなど。百名山狙いはバレバレですね。これらの出張登山は、ちっとも面白くなかったのですよ。
おいらの、百名山は96座です。藪山は大分先行されていますが、ここでは1座リードしています。ムフフ・・・。ただし、恐らく10年以上更新していませんので、抜かれちゃうだろうな。未踏は、利尻、幌尻、浅間、笠です。笠以外は行く意欲無しです。
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ぶなじろうさん (たそがれオヤジ)
2011-05-01 19:40:53
なっ、なんと。ぶなじろうさんの百名山は96でしたか。まったく興味のないような歩きをされ、しっかりと歩かれているのには感心です。
かなりお若い頃の積み重ねでしょうね。
ぶなじろうさんの未踏の中で、私も行っていないのがありました。幌尻です。これはまさに金とヒマの山でしょうね。
確かにおっしゃる通り。出張登山で晴天期待はバチあたりでしょう。まっ、関ヶ原の古戦場なんか、こんな機会でもないと見ることもなかったし、それなりに満足してはいますけどね。
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伊吹山 (ハイトス)
2011-05-02 13:10:23
一切花の写真の無い花の百名山紀行でしたね。
花どころか残雪が見られるだけでなくアラレの粒が横殴りに飛んでくる様な天気とは運の悪さは我々と同じかな。
我々は箱根で観光登山でしたが、やはり悪天でさんざんでした。
ぶなさんと百名山のカウントがほぼ同じなのが面白い。
お二人のキャリアを感じますね。
足尾や日光の藪山を好んで歩かれているお二人にもこういった一面(経験)があるのがとても面白い。
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ハイトスさん (たそがれオヤジ)
2011-05-02 20:29:36
こんばんは。今回は箱根でしたか。連休に入ってから、ハイトスさんの紀行をチラチラと覗いていますけど、まだアップがないようですね。
楽しみにしております。
キャリアなんてとんでもないお話ですね。ぶなじろうさんは、登山に関しては、しっかりと教育を受けた方と見受けます。私なんか、ハイトスさんと同じで我流仕上げですからね。ある意味、無茶をやっているようなものでしょうね。

ひょんなことから、明日、秋田の田舎に行くことになりました。地元の、残雪の森吉山でもと目論んでおりますが、親を連れて行く形ですから、どうでしょうかね。運転手に徹することになるか、もしくは、親戚、昔馴染みと飲んだくれるか、いずれかでしょうね。
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