たそがれオヤジのクタクタ山ある記

主に北関東の山を方向音痴で歩いています。山行計画の参考にされても責任は負いかねます。深慮せず軽く読み流してください。

八王子丘陵を縦走してみた

2011年12月24日 | 地元太田の山
◎2011年12月23日(金)

<阿左美駅(7:35)……荒神山登山口(7:40)……荒神山(7:52)……茶臼山(8:30~8:35)……籾山峠(9:11~9:28)……245mピーク(9:51)……天王山(10:14)……菅塩峠(10:45)……唐沢山(11:05~11:10)……北金井キャンプ場(11:36~11:45)……治良門橋駅(12:19)>

 八王子丘陵といっても、東京の八王子ではない。地元の太田市、桐生市、みどり市にまたがる200m級の東毛アルプス。標高は高いところでも300mに満たない。八王子丘陵が正式な名称なのかは知らない。ただ、市が発行する公報にもこれが使われていたし、ネットでも八王子丘陵で通っているから、八王子丘陵なのだろう。西端にある荒神山には行ったことがない。だったら、唐沢山まで縦走してみようか。唐沢山は2年ぶりだが、山頂に東屋が出来たり、遊歩道が貫通したりと、太田側からも、だれでも簡単に行ける山になってしまったようだ。この山には随分手こずった。桐生側から入るとあっさり登れるが、太田の方からとなると、強烈なヤブこぎとなり、途中でUターンやらルートミスをしたことが何度もあり、いずれも辿り着くことはかなわなかった。ようやく、ヤブを刈り払いしたルートが出来てから苦もせずに行けるようになったが、それでも密なシノダケの回廊を通る薄暗く陰気なルートだった。その変貌ぶりも見てみたいところだ。今考えると、ヤブ刈り作業は、遊歩道工事のための布石ではなかったのだろうか。ちょうど、本屋で立ち読みした新ハイキングの1月号に、縦走記事が載っていた。なるほど、えらく整備されてしまったものだ。確かめに行く価値は十分にある。

(まずは荒神山)

(荒神山の山頂)


 縦走ゆえ、今回は車では行けない。太田駅発7時17分の東武桐生線に乗り、4つ目の阿左美駅で下車。車道を太田方面に戻り、左折して登山口標示のあるところに出た。ハイキングコースになっていて、途中、カタクリ群生地の案内板を何枚か見かけた。ただ、その方向を見てみると、ヤブっぽくなっている。その時期になれば整備するのだろう。あっという間に荒神山(218m)に到着。石の社がある。能書きがあった。荒神様を明治10年に阿左美生品神社に遷し、平成15年にここに再建したと書かれている。現役の木に、板を通して、東屋の屋根代わりにしている。見た目、から傘小僧に似ている。ここの展望は良ろしくない。次第に明るくなった。木漏れ日がまぶしくなる。

(何の台座だろうか)

(案内標識が多過ぎる)

(道標も、西側は充実しているが)


 この先、しっかりしたコースになっていて、標示板やら道標も多い。左右に、薮塚や桐生に抜ける道があちこちにある。右手にフェンスが現れ、庭にも見え、私有地かと思ったが、「ドッグラン」と記されていた。犬の遊び場か。東武鉄道の看板も出てきた。このあたり、東武の地所なのだろうか。不思議な石の台座も見かけた。何が乗せてあったのか。刻字もない。今、自分が歩いているこのあたりを黒石峠というらしい。その先が黒石山。そんな標識は見かけなかったが、この山域に通じている方には、峠にもピークにもすべて名前をご存じなのだろう。さて、ここから北に雷電山という山に行けるらしいが、行くのを失念してしまった。とにかく標示板がおびただしく、これを意識すると見当違いのところに行きそうな気になり、無視することにしてしまっていたので、見落としたようだ。

(茶臼山。東毛アルプスの最高峰だろうか)

(富士山とはあの日本一の山?それにしても賑やかすぎて行き場に窮してしまう)

(石祠が3基)

(赤城山)


 途中から左に逸れ、茶臼山(293.9m)に行く。ようやく、左に展望が開けた。赤城山の上には雲が巻いている。雪だろうか。この茶臼山には10年以上前に、子供と犬を連れて藪塚から入ったことがある。あの時はちょっとヤブめいていたが、今はすっきりとしている。もっとも、葉が落ちたということもあるだろうが。この山頂はごちゃごちゃしている。電波塔、石祠三基、幾枚もの手書き展望板、三角点、双眼鏡、道標、そして下に東屋。石祠は藪塚の方を向いている。展望はいい。金山も桐生の山並も見えた。展望板には、富士山、スカイツリーも記されているが、今日は目を凝らしても見えない。老夫婦が上がってきた。杖だけのまったくの手ぶら。これからしばらくは散歩の方々7人くらいと行き交うが、地元の方だろうか、皆さん手ぶらの歩きだった。赤城おろしが冷たく、早々に退散。

(八王子の石柱)

(古井戸跡)

(整備されたハイキングコース)


 元に戻ったが、すぐに「金山城北の砦・古井戸跡」の案内板を見て、また逸れる。「籠内千日満行所」の石碑。文化14年。その先に元禄の石碑。表には「八王子」と刻されていた。ここが八王子山か。金山城の前線基地といったところか。古井戸の水は涸れていた。なおも行く。矢印の付いた「不整合」という手製の標示があった。ネット記事で見た記憶があった。岩盤がずれている所じゃなかったかな。それ以上は知らない。ペットボトルをあちこちに吊している。ドロみたいのが入っているが、これは一体何だろうか。昆虫の冬ごもり用かね。確かに暖かいだろうな。

(庚申塔)

(太田市標高最高地点から浅間山。これを富士山と間違う方がよくいる)


 庚申塔があった。ここが姥沢峠か。このルート、歩いていると、いろんな標示案内板が出てくる。不整合やら、さっき見かけた石尊宮や古墳、そして好きな石仏まで、その都度下に行って見て戻っていたら、たいそうな時間がかかるだろう。いつか、麓の様子だけを見て回りたい。庚申塔で二股になる。本道は直進だか、左に上がってみた。水道山とあった。戻って先に行く。南面が開けたところに出た。木には「この辺が太田市標高最高点275m根元山です」と貼ってあった。「御所山」ではなく「根元山」となっている。最近貼られたものらしい。ここは南面が開けている。太田の市街と西上州の山々がよく見える。単独氏が写真を撮っていた。初めてザックを背負った方を見た。そして、これを最後に、以降、だれとも合わなかった。籾山峠に下る。

(籾山峠の廃道に出る)

(東毛アルプス東方面へのゲート。赤フンがひっかかっているみたいだ)

(この辺、タイヤやらゴミの山だった)

(一気にお好みの踏み跡巡りのコースになったが、30分も続かなかった)


 籾山峠は県道が走っている。車も多い。ここでトラブル。車道歩きを避けようと、ヤブをかき分けて登ったつもりが、ダンプの旋回場らしきところに出てしまった。下は採石場。その先には行けない。かなり迂回して県道に出る羽目になった。その間、全身が、何というのだろうか、子供の時に「ドロボウにつかれた」とよく言ったものだが、粘着性のトゲ状の枝クズがたっぷりとフリースとズボンに付いてしまった。これを処理するのに5分もかけ、結局、15分ばかり無駄にして県道を歩くことになった。実際、歩いてもたいした距離でもなく、ヒモと赤布が垂らされた入口があった。ここから、一気にコースの具合が悪くなる。タイヤやゴミが大量に捨てられている。倉庫のような赤い小屋とドラム缶。細々とした道を追い、尾根に出た。あとはテープが続く。このテープ、籾山峠を境にして、西は標識だらけだが、東の前半はテープだらけになっている。東側の標識は下に行かないとないようだ。徹底しているというか、整備中なのか、好みの歩きができそうでいいけど。245mピーク。素っ気なく「籾山峠←245m峰→天王山」と板が木に打ち付けられているだけ。

(とうとう遊歩道のお出まし)

(天王山山頂)

(遊歩道が延びている)

(日向山二柱神社)


 踏み跡を追っていくと、やはり、整備された遊歩道に出てきた。このままでは済まないだろうとは思ってもいた。右手には天王山が見えている。左のピークを迂回しているようだが、敢えて、そのままピークの方に登り、右の天王山を目指した。遊歩道を横切り、一登りして天王山(243m)。ここに来たのは3回目くらいだろうか。ここは四等三角点が置かれている。展望は悪い。さっきのピークにわざわざ戻り、一気に下り、さきほどの遊歩道にまた出た。もう、道は大分整備され、幅広になっている。重機で整備した感じだ。これが、唐沢山までずっと続く。ヤブもすべて刈るというよりも消滅してしまった。わずか2年の間にこうも変わってしまったのか。驚くばかりだ。道を外れて日向山二柱神社に寄る。ここだけは以前のまま。石祠には、嘉永の年号が刻されていた。いつか、鳥居から下を辿ってみないことには。

(今や、旧・菅塩峠か)

(ここらはヤブがずっと続いていたのに…)

(唐沢山では、三角点や石祠も付録のようなものになっていた)


 いよいよ終盤である。菅塩峠に着いた。遊歩道は迂回しているが、以前のコースを危なっかしく下った。桐生側は手つかずのワイルドなままだが、太田側は、そこまで車が入れるような感じの道になっていた。もう、悪あがきはやめて、遊歩道を行くことにしよう。唐沢山が先に見える。以前は、こんなことはなかったような。ヤブコースは遊歩道に吸収され、薄暗くて陰気なイメージも払拭し、気持ちのよいハイキングコースに変貌していた。そして、穴倉から出るような感じで唐沢山の山頂(261.1m)に着いたのが、ずっと、気持ちの良い日だまりのハイキングコースになっていて、ふと山頂に至ったといった感じに様変わり。さらに驚くことに、山頂は広くなり、真新しい東屋まで出来ていた。この変貌を、以前の唐沢山を知っている人ならどうとるか、それぞれの思いもあるだろうが、自分には、さして違和感なく受けとめることはできる。ただ、遊歩道を整備してまで人を入れる存在感のある山なのだろうか。気になる山ではなくなってしまった感があることは確か。

(キャンプ場のカマボコハウス)

(池にはカモが5羽泳いでいた)


 一旦戻り、送電鉄塔のある方向に向かう道を選んで下る。もちろん標識はない。鉄塔を通過し、林道(巡視路道?)に出た。ゴルフ場のフェンスを左に見ながら下る。なぜか白菜が捨てられていた。この辺は以前のままだ。北金井キャンプ場に到着。だれもいない。ゆっくりと、広いルームのトイレを使わせていただく。いつもなら、ここから駐車していた菅塩沼に行くのに、急な遊歩道を息切れしながら歩くのだが、今日は菅塩沼に用はない。そのまま道沿いに治良門橋駅に向かう。舗装道ながらも、のどかな風景の中を歩く。

 この時間帯、電車も1時間に1本だ。もっとも、ラッシュ時でも2本。12時5分はまず無理。次は13時4分。これだと時間を持てあます。女房に電話して、駅に迎えに来てもらうことにしよう。北関東道下のガードをくぐり、成塚団地を経由して、ほどなく治良門橋駅に着いた。今日のコース、各種の標示案内板を見たせいだろうか、籾山峠から東側にはさほどの魅力も感じないが、西側は、麓の見所も含めて、改めて歩いてみたくなった。

コメント (6)    この記事についてブログを書く
« 杓子山で富士山三昧 | トップ | 備前楯の北東尾根は意外にも... »

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
八王子丘陵 (ハイトス)
2011-12-25 17:36:49
ゆっくりひなたぼっこ遊山というところでしょうか。
太田側は聞いていたとおりの遊歩道となって、今後ます歩く人が増えるかもしれませんね。
まっ、このような場所の丘陵ですので少々自然を残した遊歩道が丁度良いのかもしれませんね。
返信する
唐沢山は開発されてしまったのですね (ノラ)
2011-12-25 18:13:00
たそがれオヤジさん こんばんは。八王子丘陵は3回に分けて歩いてます。天皇山山頂はあまり変わっていないようですが,唐沢山は変わってしまいましたね。桐生側から行くとおっしゃる通りとんでもない薮で行けんかったのです。50号側から一等三角点見に行きました。アンテナ林立する茶臼山だけが昔は異様だったのですが。こんな所も開発されてしまうのですね。今日も山ですか。
返信する
ノラさん (たそがれオヤジ)
2011-12-25 18:48:08
ノラさんが八王子丘陵を歩かれたとは意外でした。千葉の方からわざわざいらっしゃるほどの山塊でもないような感じですけどね。
行かれたのは大分前のことでしょうか。東側は地元ですから、ちょくちょく行っていましたけど、その都度、どんどん整備され、公園化してましたね。ただ、唐沢山まで開発されるとは驚いています。
金山といい、八王子といい、自然がそのまま残っているエリアはなくなりつつあるのではないでしょうか。
返信する
Unknown (ぶなじろう)
2011-12-25 18:51:44
今晩は。
八王子丘陵ですか。
以前から、チラホラと耳にしていたのですが、てっきり東京の八王子の事かと思っていました。この前金山に行く下調べでようやく太田の八王子に気が付いた次第です。その時は、八王子が2箇所あり、戸惑いましたが。

写真で見る限り良い所ですよ。藪より、幾分整備されていた方がいいと思います。残念ながら、今の日本人の倫理観では、藪はゴミ捨て場になりかねません。佐野の唐沢山城に行った折、麓の車道沿いの藪はさながらゴミ捨て場でしたよ。

半日歩いて、昼飯を家で食って、午後からNHKの囲碁を見るのが好きです。そんな午前歩きにピタリとはまりますねぇ~。
返信する
ハイトスさん (たそがれオヤジ)
2011-12-25 18:55:12
ひなたぼっこというほどでもなかったですよ。日陰は寒いし、桐生側からは赤城おろしでしたから。
地元の山といったら、金山とこの辺だけですが、桐生は奥深いですから、何ともうらやましい限りです。コースもいろいろとあるし。
あの籾山峠付近の開発も時間の問題でしょうが、どうせならさっさとやっちゃえばいいのにとも正直思いましたよ。
返信する
ぶなじろうさん (たそがれオヤジ)
2011-12-25 19:08:37
ぶなじろうさんが囲碁好きとは。私の周辺では、山と両方やる方というのはいないですね。
さて今回の八王子山ですが、金山城の守りという面では、金山の八王子とも共通しているところがあるのではないでしょうか。地名そのものも、小難しいことは存じませんが、信仰に由来している地名のようでもありますし。そのせいでしょうか、麓の藪塚あたりには、石仏とかも多いようですし。
暇な時にでも歩いてみてやってください。
返信する

コメントを投稿

地元太田の山」カテゴリの最新記事