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駐車地(7:48)……畚岳(8:12)……諸桧岳(8:54)……前諸桧岳(9:30)……嶮岨森(10:04)……前諸桧岳(10:51)……諸桧岳(11:41)……駐車地(13:19)
朝4時半に目覚めて風呂に行った。オッサンが2人入っていた。露天で腰をおろして、酒の抜けた頭で冷静に考えた。やはり、今日は尾根歩きにして、明日は大館に行きがてら、大湯の滝巡りにしようか。その滝巡りも、車道沿いにあって、車を止めては次の滝訪問の繰り返しで、どうも風情も何もないが、例の滝に行くよりは身分相応かもしれない。翌日の田代岳で気分を挽回すればいいか。例の滝は紅葉の時期にも改めて検討するこにしよう。
いつものように早く起きたし、そうと決まれば、さっさと出かけたいが、ここの朝食は7時から。それまで身動きはとれず、宿恒例のラジオ体操に参加したりして時間をつぶし、朝食を終えると、速攻で出かけた。
今日の歩きは、昨年、目論んだルートだが、畚岳(もっこだけ)から大深岳(おおぶかだけ)を経由して松川温泉に出る県境尾根を歩いてみたかった。これは、いずれ、松川温泉を起点にして三ツ石山なり大白森を大周回する前段階歩きといった意味合いなのだが、畚岳から松川温泉に出た場合、バスの便が悪く、どうしても途中で泊まるか、2人で行って、車デポをしない限り、日帰りはまず無理。今回、せめて、その一部区間だけでも済ませておきたかった。そうすれば、大周回の時も気持ちの負担は少なくなるはず。
(大深沢展望台から畚岳。左・岩手山、右・秋田駒)
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畚岳から、せめて大深岳までピストンしてしまいたいところだが、昨日の滝見にしても、陽があたると無性に暑かった。暑さは足尾の山とさして変わりはない。熱中症になってまで歩きたくもない。せめて嶮岨森(けんそもり)までの往復ということにしておこう。その嶮岨森だが、山名からして、針葉樹の生い茂った薄暗い山頂といったイメージがつきまとう。
このコース、昭文社マップを見ると、下り基調になっている。つまり、復路に負担がかかるということだ。前半、飛ばしたら、後半はバテる。だが、折良くというか、曇り空が広がっている。流れる風も涼しい。宿の前の寒暖計は18℃を指していた。場合によっては大深岳まで行ってもいいかなと夢想したりもしている。
(歩き出す)
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(森吉山が見えている)
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狭い駐車地には青森県ナンバーの車が一台。どこまで行かれているのか気になるところ。左手には、雲海の上に岩手山が浮かんでいる。目の前には畚岳が特徴ある山容でたたずんでいる。
さも八幡平といった雰囲気の山道を歩いて行くと、「畚岳0.9km」の標識。高原状の尾根を歩いていると気持ち良く、右手に森吉山のシルエットが見えている。視界はうっすらとしている。
(ハクサンボウフウ?以下、花の名前は手持ちの図鑑で似通っていると思っただけのことで、ほとんど自信なし)
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(ミヤマキンポウゲ?)
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(こんな回廊もあった)
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向こう側からスズの音が聞こえた。タバコを吸いながら歩いて来る単独氏。「畚岳の先には行かなかったのですか?」と問うと、怪訝そうな顔をして「これから八幡平に登りますから」という返事。自分と違って、県境尾根を歩くといった趣向はないようだ。
(分岐から畚岳へ)
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(?)
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(岩手山をバックにニッコウキスゲ)
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(クルマユリ?)
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(畚岳山頂)
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(山頂から八幡平)
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畚岳の分岐。そのまま県境尾根を歩くのかと思っていたが、畚岳そのものは秋田県側の領域のようだ。きつい斜面を登る。終わりかけのニッコウキスゲとユリを見て山頂。風が吹き抜けて涼しい。秋田駒ヶ岳が薄く姿を出している。確かに、ここでゆっくりして、後は八幡平に登るというのも手かもしれない。この先とて、周囲の景色に大差はないだろう。
(これから向かう方面)
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腰をおろしてタバコを吸おうとしたら、別の単独氏が登って来た。タバコをしまう。言葉からして地元の方らしいが、ここは初めてらしく、駐車場が真下にあるとは知らずに、八幡平登山口から歩いて来られたとか。今日の目標は大深岳とおっしゃっていた。正直のところ、すごいなぁと思った。次第に晴れてきて、陽が出はじめている。大深岳は自分にはかなりしんどいだろう。どうせ、途中で抜かれるだろうなと思いながら、お先にと、畚岳を下る。
(畚岳を振り返る)
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(クマの目撃情報)
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分岐に戻り、南下する。そこに忽然と、黒い塊が登山道を横切って、ヤブの中に入って行った。登山道がカーブするあたりだ。あれは確実にクマだろう。ケモノ臭が漂っている。やはりいるか。スズを2個に増やした。この先にハイカーはいない。余計に不安になってくる。さっきの単独氏に先に行ってもらいたいが、振り向くとまだ姿は見えない。景色が広がっている所ならまだしも、基本は左右にネマガリタケのヤブが続いている。後の話だが、このクマ目撃のことを帰ってから宿のオヤジさんに話したら、やはり、人の話し声が一番の効果とおっしゃっていた。オヤジさんは、山菜、キノコ採りの際にも、常にひとり言を大声で立てながら歩いているそうだが、これは、果たして、たまたまクマが周囲にいなかっただけのことなのか、本当に効果があったのかはわからない。
(沼を見て)
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(つい畚岳を見てしまう)
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(ササ原の一本道)
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(また沼)
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(諸桧岳山頂)
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登山道に石がゴロゴロしてきた。地下タビで歩いているから、足の裏が痛くなり、たまに脇を石にぶつけると痛みが走る。
木道が現れ、左に沼が出てくる。その先は泥濘になり、一面ササの原の一本道を行くと、諸桧岳(もろびだけ)に着いた。登山道はここでカーブしているが、前後の傾斜からしてピークといったものではない。それだけなだらかな山容といったところなのだろう。ところで、この山名の「モロビ」だが、子供の頃から、アオモリトドマツのことを指すことは知ってはいたが、この「諸桧」の字をあてがうとは知らなかった。
標識に「嶮岨岳3.1km」とある。昭文社マップの嶮岨森ではなく嶮岨岳だ。森と岳ではイメージが大きく違ってくる。そもそも「嶮岨=険阻」なのか。一服する。単独氏はまだ来ない。
(こんもりした諸桧岳)
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(薄暗いが、正面が前諸桧、右が嶮岨森か)
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振り返ると、畚岳が遠ざかり、諸桧岳はこんもりしたピークになっている。秋田駒はさっきから見えたり見えなかったりしている。岩手山下の雲海は消えない。あれでは下からでは見えないだろう。正面には、これまたこんもりとしたピーク、あれが前諸桧で、右の三角形ピークが嶮岨森だろう。そのさらに先に見えるのが大深岳ということになるか。
(石沼。光の具合で帰路に撮影)
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(前諸桧山頂)
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石ゴロになり、また木道。そして沼。この沼には名前があって、「石沼」とある。なるほど、大きな石がいくつか顔を出している。
その先にも沼があり、ほどなく前諸桧に着いた。ここもまたピークらしからぬピークで、さっきからずっと同じ風景の中を歩いているような錯覚になってくる。ここの標識だが、なぜか「桧」の字が「檜」になってしまい、嶮岨岳が嶮岨森に戻ってしまっている。
(岩手山と雲海)
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(嶮岨森を目指して下る)
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ここからようやく変化のある歩きになった。たいした距離でもないが、大きく下って、大きく登る。これまで単調なアップダウン続きだったため、復路のことが気になりだした。まして、次第に陽が出てきて、暑くなってきている。この暑さ、ダメなんだよなぁ。自分には天敵だわ。
(左手に残雪と沼)
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(嶮岨森への登り)
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(山頂はあちら)
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(嶮岨森山頂)
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どんどん下って、鞍部から登り返す。左下には小さな雪渓と沼が見える。風があるから救われるが、風が止むと、途端に蒸せる暑さになってくる。
嶮岨森はちょっとした双耳峰の岩峰だった。これでは嶮岨岳のイメージが似合っているだろう。手前がピークかと思ったが、先がピークだった。ここには標石が2つある。一つは主三角点だろうか。
(大深岳方面。中腹に大深山荘が見える)
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大深岳の方を眺める。なだらかな尾根が続いている。そして、手前に大深山荘が見える。ここから大深岳を往復してコースタイムで3時間20分か。やはり、ちょっときついかなぁ。熱中症になっているよりも、さっさと宿に帰り、温泉に入って、缶チューでも飲んでいる方が賢いかねぇ。
来た方向を見ると、いつの間にやら、例の単独氏が手前ピークで休んでいた。遠慮して、こちらにやって来ないのか。じゃあ、迷いがあるうちに下るとするか。単独氏は予定通りに大深岳まで行かれるとのこと。ここで引き返すと言ったら、「大深岳まで行けますよ」と言われてぐらついたが、やはりやめておこう。
(帰路。右奥のピークが気になってしょうがなかった。茶臼岳のようだが)
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(暑さでへたり込んだ感じのナゲさん)
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(このゴロ道が地下タビ足に負担となった)
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(嶮岨森を振り返る)
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(さも八幡平)
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(これも)
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(最初の沼に戻って来た)
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(?。自信なしで名前は敢えて記さない)
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(?。まぁ、黄色の花と言ってしまえば済むことだが)
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(今日、最後の登り。畚岳には行かずにそのまま下る)
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予想どおりに暑い中の歩きになり、帰路は応えた。往路よりもバテた。畚岳を登らずに済んだだけでも幸いだ。ことに、前諸桧への登りは汗ダクになった。諸桧岳を過ぎたあたりで、青年がやって来た。花目的なのか、接写して撮っている。何を撮っているのか、脇を通っても、こちらにはわからない。
(熱くて暑いラーメンは熊本ラーメン)
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今日は、ラーメンなんか持参して来ている。こう暑くてはラーメンなんか食べていたらさらに暑くなるだけだが、腹も空いているし、畚岳分岐を過ぎ、下り一辺倒になったところでラーメンを作って食べる。おいしくも何ともなかった。ただ腹を満たし、汗がボタボタと流れ落ちただけのこと。畚岳から下りて来た老夫婦がこちらを見て笑っていた。何なんだろう。手拭いを頭に巻いていたからか? 地下タビには気づいていないはずだけどなぁ。
(帰着)
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駐車場には他に一台。岩手県ナンバー。靴を履き替えていると、その車の主が戻って来た。さっきの青年だった。
このまま八幡平にでも登ろうかと思ったが、暑くて、40分登りですらつらい。明日にしておこう。朝の涼しいうちにさくっと登って、大湯の滝巡りをして大館か。さりとて、このまま宿に帰るのではもったいないし、時間もある。「黒谷地」なるところに行ってみよう。湿原のようだ。
嶮岨森の下りからずっと気になっている山があった。八幡平山頂の東側にあるピークだ。地図を見ると、茶臼岳という山らしい。その茶臼岳には、黒谷地からでも行けるようだ。いずれ来た際に登ってみることにしよう。
(黒谷地のニッコウキスゲ)
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(ワタスゲ)
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(これもハクサンボウフウか?)
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(?)
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(沼というよりも池塘か)
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(ハクサンチドリ?)
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(きりがないのでここで引き返す)
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(熊の泉)
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(黒谷地の駐車場)
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黒谷地には自分の知っているところでニッコウキスゲとワタスゲが咲いていた。調べれば他の花の名前もいろいろわかるだろうが、大方はすぐに忘れてしまうから、ある意味、無駄な作業ともなる。
暑い中、木道を果てしなく歩いていても仕方がない。茶臼岳分岐で切り上げる。同じところを戻ると、水場があった。さっき気づいてはいたが、グループがここでワイワイやっていたから素通りしていた。「熊の泉」とある。飲んでみると、ほてった身体には冷たくて甘露だ。がぶ飲みしてしまった。さて、ここで、さっきの青年とまた出会う。やはり花を撮っていた。
宿に戻り、風呂に直行する。だれもいない。風呂上がりに缶チューを2本飲み、また「必殺仕事人」を横になって見てしまった。そして引き続き「はぐれ刑事純情派」。こんなのんびりも、これまで2泊以上の出張の時にしか味わえなかった。
アルコールが汗で抜けたところで食堂に行く。昨日と同じ席で、周囲にはこの宿の常連さんがずらりといらっしゃる。常連さんも半端な宿泊ではない。中には、世田谷にお住まいのオバチャンがいらして、6月から10月の長期の滞在とのこと。失礼ながら、高くつくでしょうと問うと、基本は15泊で10万円だそうな。自分なら、後生掛温泉か玉川温泉の自炊棟にしますけどねと言うと、10月からは後生掛温泉の自炊棟に移って、年越しをされるそうな。よほどに八幡平がお好きらしい。
まぁ、そんな感じで、今日はクマを見たとかの話になり、脇から、宿のオヤジさんがひとり言・大声が効果有りの話となった。つい、昨日と同様に、生ビール+冷酒1本のつもりが、冷酒2本になってしまった。
酔ううちに、ずっと頭の中で悶々となってきていたが、例の滝を済ませてしまいたい気分になってしまった。やはり行くか。<茶釜の滝>に。大湯の滝見で茶を濁すのでは何とももったいない。正直なところ、「行ってやろうじゃねぇか茶釜の滝へ」と怪気炎を上げていた。
宿のオヤジさんに聞いてみた。明日、もう一泊できます? 千葉からの団体さんが入るから、部屋移りで良かったらOKですよ。ここでもう一泊するのは無理もない。茶釜の滝を見たら、おそらくは疲れ果て、大館まで行く気力は失せるだろう。
部屋に戻って、明日の大館のビジネスホテルをキャンセルし、ここでのもう一泊をお願いした。そのまま、酔いにまかせて寝てしまった。
朝4時半に目覚めて風呂に行った。オッサンが2人入っていた。露天で腰をおろして、酒の抜けた頭で冷静に考えた。やはり、今日は尾根歩きにして、明日は大館に行きがてら、大湯の滝巡りにしようか。その滝巡りも、車道沿いにあって、車を止めては次の滝訪問の繰り返しで、どうも風情も何もないが、例の滝に行くよりは身分相応かもしれない。翌日の田代岳で気分を挽回すればいいか。例の滝は紅葉の時期にも改めて検討するこにしよう。
いつものように早く起きたし、そうと決まれば、さっさと出かけたいが、ここの朝食は7時から。それまで身動きはとれず、宿恒例のラジオ体操に参加したりして時間をつぶし、朝食を終えると、速攻で出かけた。
今日の歩きは、昨年、目論んだルートだが、畚岳(もっこだけ)から大深岳(おおぶかだけ)を経由して松川温泉に出る県境尾根を歩いてみたかった。これは、いずれ、松川温泉を起点にして三ツ石山なり大白森を大周回する前段階歩きといった意味合いなのだが、畚岳から松川温泉に出た場合、バスの便が悪く、どうしても途中で泊まるか、2人で行って、車デポをしない限り、日帰りはまず無理。今回、せめて、その一部区間だけでも済ませておきたかった。そうすれば、大周回の時も気持ちの負担は少なくなるはず。
(大深沢展望台から畚岳。左・岩手山、右・秋田駒)
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畚岳から、せめて大深岳までピストンしてしまいたいところだが、昨日の滝見にしても、陽があたると無性に暑かった。暑さは足尾の山とさして変わりはない。熱中症になってまで歩きたくもない。せめて嶮岨森(けんそもり)までの往復ということにしておこう。その嶮岨森だが、山名からして、針葉樹の生い茂った薄暗い山頂といったイメージがつきまとう。
このコース、昭文社マップを見ると、下り基調になっている。つまり、復路に負担がかかるということだ。前半、飛ばしたら、後半はバテる。だが、折良くというか、曇り空が広がっている。流れる風も涼しい。宿の前の寒暖計は18℃を指していた。場合によっては大深岳まで行ってもいいかなと夢想したりもしている。
(歩き出す)
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(森吉山が見えている)
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狭い駐車地には青森県ナンバーの車が一台。どこまで行かれているのか気になるところ。左手には、雲海の上に岩手山が浮かんでいる。目の前には畚岳が特徴ある山容でたたずんでいる。
さも八幡平といった雰囲気の山道を歩いて行くと、「畚岳0.9km」の標識。高原状の尾根を歩いていると気持ち良く、右手に森吉山のシルエットが見えている。視界はうっすらとしている。
(ハクサンボウフウ?以下、花の名前は手持ちの図鑑で似通っていると思っただけのことで、ほとんど自信なし)
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(ミヤマキンポウゲ?)
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(こんな回廊もあった)
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向こう側からスズの音が聞こえた。タバコを吸いながら歩いて来る単独氏。「畚岳の先には行かなかったのですか?」と問うと、怪訝そうな顔をして「これから八幡平に登りますから」という返事。自分と違って、県境尾根を歩くといった趣向はないようだ。
(分岐から畚岳へ)
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(?)
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(岩手山をバックにニッコウキスゲ)
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(クルマユリ?)
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(畚岳山頂)
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(山頂から八幡平)
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畚岳の分岐。そのまま県境尾根を歩くのかと思っていたが、畚岳そのものは秋田県側の領域のようだ。きつい斜面を登る。終わりかけのニッコウキスゲとユリを見て山頂。風が吹き抜けて涼しい。秋田駒ヶ岳が薄く姿を出している。確かに、ここでゆっくりして、後は八幡平に登るというのも手かもしれない。この先とて、周囲の景色に大差はないだろう。
(これから向かう方面)
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腰をおろしてタバコを吸おうとしたら、別の単独氏が登って来た。タバコをしまう。言葉からして地元の方らしいが、ここは初めてらしく、駐車場が真下にあるとは知らずに、八幡平登山口から歩いて来られたとか。今日の目標は大深岳とおっしゃっていた。正直のところ、すごいなぁと思った。次第に晴れてきて、陽が出はじめている。大深岳は自分にはかなりしんどいだろう。どうせ、途中で抜かれるだろうなと思いながら、お先にと、畚岳を下る。
(畚岳を振り返る)
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(クマの目撃情報)
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分岐に戻り、南下する。そこに忽然と、黒い塊が登山道を横切って、ヤブの中に入って行った。登山道がカーブするあたりだ。あれは確実にクマだろう。ケモノ臭が漂っている。やはりいるか。スズを2個に増やした。この先にハイカーはいない。余計に不安になってくる。さっきの単独氏に先に行ってもらいたいが、振り向くとまだ姿は見えない。景色が広がっている所ならまだしも、基本は左右にネマガリタケのヤブが続いている。後の話だが、このクマ目撃のことを帰ってから宿のオヤジさんに話したら、やはり、人の話し声が一番の効果とおっしゃっていた。オヤジさんは、山菜、キノコ採りの際にも、常にひとり言を大声で立てながら歩いているそうだが、これは、果たして、たまたまクマが周囲にいなかっただけのことなのか、本当に効果があったのかはわからない。
(沼を見て)
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(つい畚岳を見てしまう)
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(ササ原の一本道)
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(また沼)
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(諸桧岳山頂)
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登山道に石がゴロゴロしてきた。地下タビで歩いているから、足の裏が痛くなり、たまに脇を石にぶつけると痛みが走る。
木道が現れ、左に沼が出てくる。その先は泥濘になり、一面ササの原の一本道を行くと、諸桧岳(もろびだけ)に着いた。登山道はここでカーブしているが、前後の傾斜からしてピークといったものではない。それだけなだらかな山容といったところなのだろう。ところで、この山名の「モロビ」だが、子供の頃から、アオモリトドマツのことを指すことは知ってはいたが、この「諸桧」の字をあてがうとは知らなかった。
標識に「嶮岨岳3.1km」とある。昭文社マップの嶮岨森ではなく嶮岨岳だ。森と岳ではイメージが大きく違ってくる。そもそも「嶮岨=険阻」なのか。一服する。単独氏はまだ来ない。
(こんもりした諸桧岳)
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(薄暗いが、正面が前諸桧、右が嶮岨森か)
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振り返ると、畚岳が遠ざかり、諸桧岳はこんもりしたピークになっている。秋田駒はさっきから見えたり見えなかったりしている。岩手山下の雲海は消えない。あれでは下からでは見えないだろう。正面には、これまたこんもりとしたピーク、あれが前諸桧で、右の三角形ピークが嶮岨森だろう。そのさらに先に見えるのが大深岳ということになるか。
(石沼。光の具合で帰路に撮影)
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(前諸桧山頂)
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石ゴロになり、また木道。そして沼。この沼には名前があって、「石沼」とある。なるほど、大きな石がいくつか顔を出している。
その先にも沼があり、ほどなく前諸桧に着いた。ここもまたピークらしからぬピークで、さっきからずっと同じ風景の中を歩いているような錯覚になってくる。ここの標識だが、なぜか「桧」の字が「檜」になってしまい、嶮岨岳が嶮岨森に戻ってしまっている。
(岩手山と雲海)
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(嶮岨森を目指して下る)
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ここからようやく変化のある歩きになった。たいした距離でもないが、大きく下って、大きく登る。これまで単調なアップダウン続きだったため、復路のことが気になりだした。まして、次第に陽が出てきて、暑くなってきている。この暑さ、ダメなんだよなぁ。自分には天敵だわ。
(左手に残雪と沼)
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(嶮岨森への登り)
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(山頂はあちら)
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(嶮岨森山頂)
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どんどん下って、鞍部から登り返す。左下には小さな雪渓と沼が見える。風があるから救われるが、風が止むと、途端に蒸せる暑さになってくる。
嶮岨森はちょっとした双耳峰の岩峰だった。これでは嶮岨岳のイメージが似合っているだろう。手前がピークかと思ったが、先がピークだった。ここには標石が2つある。一つは主三角点だろうか。
(大深岳方面。中腹に大深山荘が見える)
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大深岳の方を眺める。なだらかな尾根が続いている。そして、手前に大深山荘が見える。ここから大深岳を往復してコースタイムで3時間20分か。やはり、ちょっときついかなぁ。熱中症になっているよりも、さっさと宿に帰り、温泉に入って、缶チューでも飲んでいる方が賢いかねぇ。
来た方向を見ると、いつの間にやら、例の単独氏が手前ピークで休んでいた。遠慮して、こちらにやって来ないのか。じゃあ、迷いがあるうちに下るとするか。単独氏は予定通りに大深岳まで行かれるとのこと。ここで引き返すと言ったら、「大深岳まで行けますよ」と言われてぐらついたが、やはりやめておこう。
(帰路。右奥のピークが気になってしょうがなかった。茶臼岳のようだが)
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(暑さでへたり込んだ感じのナゲさん)
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(このゴロ道が地下タビ足に負担となった)
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(嶮岨森を振り返る)
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(さも八幡平)
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(これも)
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(最初の沼に戻って来た)
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(?。自信なしで名前は敢えて記さない)
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(?。まぁ、黄色の花と言ってしまえば済むことだが)
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(今日、最後の登り。畚岳には行かずにそのまま下る)
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予想どおりに暑い中の歩きになり、帰路は応えた。往路よりもバテた。畚岳を登らずに済んだだけでも幸いだ。ことに、前諸桧への登りは汗ダクになった。諸桧岳を過ぎたあたりで、青年がやって来た。花目的なのか、接写して撮っている。何を撮っているのか、脇を通っても、こちらにはわからない。
(熱くて暑いラーメンは熊本ラーメン)
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今日は、ラーメンなんか持参して来ている。こう暑くてはラーメンなんか食べていたらさらに暑くなるだけだが、腹も空いているし、畚岳分岐を過ぎ、下り一辺倒になったところでラーメンを作って食べる。おいしくも何ともなかった。ただ腹を満たし、汗がボタボタと流れ落ちただけのこと。畚岳から下りて来た老夫婦がこちらを見て笑っていた。何なんだろう。手拭いを頭に巻いていたからか? 地下タビには気づいていないはずだけどなぁ。
(帰着)
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駐車場には他に一台。岩手県ナンバー。靴を履き替えていると、その車の主が戻って来た。さっきの青年だった。
このまま八幡平にでも登ろうかと思ったが、暑くて、40分登りですらつらい。明日にしておこう。朝の涼しいうちにさくっと登って、大湯の滝巡りをして大館か。さりとて、このまま宿に帰るのではもったいないし、時間もある。「黒谷地」なるところに行ってみよう。湿原のようだ。
嶮岨森の下りからずっと気になっている山があった。八幡平山頂の東側にあるピークだ。地図を見ると、茶臼岳という山らしい。その茶臼岳には、黒谷地からでも行けるようだ。いずれ来た際に登ってみることにしよう。
(黒谷地のニッコウキスゲ)
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(ワタスゲ)
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(これもハクサンボウフウか?)
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(?)
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(沼というよりも池塘か)
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(ハクサンチドリ?)
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(きりがないのでここで引き返す)
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(熊の泉)
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(黒谷地の駐車場)
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黒谷地には自分の知っているところでニッコウキスゲとワタスゲが咲いていた。調べれば他の花の名前もいろいろわかるだろうが、大方はすぐに忘れてしまうから、ある意味、無駄な作業ともなる。
暑い中、木道を果てしなく歩いていても仕方がない。茶臼岳分岐で切り上げる。同じところを戻ると、水場があった。さっき気づいてはいたが、グループがここでワイワイやっていたから素通りしていた。「熊の泉」とある。飲んでみると、ほてった身体には冷たくて甘露だ。がぶ飲みしてしまった。さて、ここで、さっきの青年とまた出会う。やはり花を撮っていた。
宿に戻り、風呂に直行する。だれもいない。風呂上がりに缶チューを2本飲み、また「必殺仕事人」を横になって見てしまった。そして引き続き「はぐれ刑事純情派」。こんなのんびりも、これまで2泊以上の出張の時にしか味わえなかった。
アルコールが汗で抜けたところで食堂に行く。昨日と同じ席で、周囲にはこの宿の常連さんがずらりといらっしゃる。常連さんも半端な宿泊ではない。中には、世田谷にお住まいのオバチャンがいらして、6月から10月の長期の滞在とのこと。失礼ながら、高くつくでしょうと問うと、基本は15泊で10万円だそうな。自分なら、後生掛温泉か玉川温泉の自炊棟にしますけどねと言うと、10月からは後生掛温泉の自炊棟に移って、年越しをされるそうな。よほどに八幡平がお好きらしい。
まぁ、そんな感じで、今日はクマを見たとかの話になり、脇から、宿のオヤジさんがひとり言・大声が効果有りの話となった。つい、昨日と同様に、生ビール+冷酒1本のつもりが、冷酒2本になってしまった。
酔ううちに、ずっと頭の中で悶々となってきていたが、例の滝を済ませてしまいたい気分になってしまった。やはり行くか。<茶釜の滝>に。大湯の滝見で茶を濁すのでは何とももったいない。正直なところ、「行ってやろうじゃねぇか茶釜の滝へ」と怪気炎を上げていた。
宿のオヤジさんに聞いてみた。明日、もう一泊できます? 千葉からの団体さんが入るから、部屋移りで良かったらOKですよ。ここでもう一泊するのは無理もない。茶釜の滝を見たら、おそらくは疲れ果て、大館まで行く気力は失せるだろう。
部屋に戻って、明日の大館のビジネスホテルをキャンセルし、ここでのもう一泊をお願いした。そのまま、酔いにまかせて寝てしまった。
心待ちにしておられたこのときが、きましたか!まずはお疲れ様とおめでとうございます。もう仕事の心配が無いのですから日曜日にガッツリと歩くのも全く問題ないわけですね。もっとも周りの先輩方がその後の方が何故か忙しそうなので、くれぐれも油断なくお願いします(なんのこっちゃ 笑)畚岳から岩手山まで泊まりで縦走したいと思ってますが、暑いのですね!てっきり涼しいのだと勘違いしてました。しかも熊さんが自由に……時期を良く考えた方が良さそうだと分かりありがとうございました。自由の身になられても、今後も相手してやって下さい(笑)
私の場合、Hさんのように半リタといった優雅な身分ではなく、いずれ失業状態に入るという立場であることをまずはご理解ください。
確かに、今は仕事の心配もないので、日曜日に山を歩いたり、末広でホルモン食べながら生ビールを飲み、足尾に泊まり込むこともまた可能ではありますけど。
まぁ、いずれにせよ、これからも通勤やら仕事で時間に追われるような状況にはさらさらなるつもりはありません。その辺は、確かに油断なくですよね。
さて、みー猫さん、畚岳から岩手山縦走ですか。ということは、まずは三ツ石山荘にお泊りといった感じでしょうか。私は三ツ石山荘泊もさることながら、大白森山荘にも泊まってみたいなと思ってもいるわけですよ。
行くのなら、やはり紅葉の時期でしょう。八幡平周辺の紅葉は半端な見事さではないですからね。ただ、クマの心配もまた半端ではないでしょう。いずれ、また、追々の検討ということにしましょうか。
ちなみに、この時期とて、東北の山は暑いですよ。涼しいのは残雪のある月山くらいじゃないのかなと思ったりしているのですが。
たそがれさんがお勤めをリタイアされるとは!恐らくは同世代の私にとっては、感慨深いものがあります。色々な御事情や考える所もあったのではないでしょうか。なにはともあれお疲れ様でした。
さて、この山域、自分も数年前から計画倒れを続けておりまして、指定席券を購入しては直前で中止を繰り返しておりました。一昨年からは、足痛で計画すら立てておりませんが。葛根田川源流尾根を同じく松川温泉から曲崎山、大白森、乳頭山、秋田駒へと避難小屋泊まりで歩きたいと。足の方がどうも治らず重い荷物も背負えそうもありませんので、今は半分あきらめ気分です。たそがれさんの今回の写真を拝見して、やはり自分好みの所だなぁ~と、あらためて思いました。是非たそがれさんは実現してください。
リタイアの件はもう長年に渡って考えていたことで、実のところ、決断が遅かったかなと悔いている面もあるのです。さりとて、このままブラブラしているわけにもいかないので、いずれ、地元で職探しをしませんとね。何か起業するとかの甲斐性があれば別ですが、そんなものは持ち合わせていませんし。
ぶなじろうさんがあの辺の周回を狙われていたのは知っていますが、指定券を購入してはキャンセルを繰り返していたことまでは知りませんでした。
私が本気で歩いてみたいなと思ったのは、去年の秋に乳頭山と蟹場分岐区間を歩いて以来のことですが、道型は今回のコースほどにはっきりはしていないと思いますが、おそらくこの風景の延長でしょう。
ただ、秋田駒も岩手山も間近になるわけですから、展望もなかなかなものと想像しています。何といっても、険しいところがなく、ほぼ平坦な高原風景が続いているだろうことに魅力を感じています。
ぶなじろうさんも、お寂しいことはおっしゃらず、ぜひ周回してくださいよ。そんなに足への負担はかからないと思いますよ。
やっぱり東北の歩きは熊とのバッタリが怖いですね。遭遇率もさながらその狂暴性も・・。今回は通りすがりで問題なかったようですが。
写真を見ていても山深く、仮払いされていなければとても歩けませんね。藪漕ぎ自体もきついんでしょうがそれ以上にどこから野生のイキモノが飛び出してくるかわからなくて。でもこういう山頂から八幡平やその先の一本道から見る風景の雰囲気は好きです。尾根形がはっきりした稜線になるとすかさず現れるナゲ達は相変わらずですね。たそがれさんが歩かれた時は暑かったようですが1500m未満でナゲが咲いているとは相応に夏以外は涼しい通りこして寒いんでしょうね。
土日に山に行くと、毎日が日曜日といった感じの方々が随分といて、わざわざ一般人の休日に合わせて歩かなくともいいのになあと思ったりしたものですが、こう立場が同じになると、敢えて土日を選ぶ心理がよくわかるようになりました。身に染みた既存の概念というか、感覚からなわけですよ。そして、土日は一つの週の上がりでもあるし、社会通念から離脱だけはしたくないといった感覚もあるのだろうなって。その点、平日中心歩きの烏ケ森の住人さんあたりは、超越しているのでしょうね。
つかの間の休息のつもりではおりますが、先行きが不透明であることは確かで、長期に渡る可能性もありですよ(笑)。
八幡平はクマのイメージが確かにありますが、その遭遇率といえば、ぶなじろうさんが二子山下りで4頭目撃したりしているところからして、面積的にも、足尾山塊の方がクマとの遭遇率も高いような気がします。
しかしながら、どこからクマが飛び出して来るのか、山深いところですから、ついビクビクしながらの歩きになってしまいますね。
そうですか。ナゲさんも無秩序ではないようですね。標高も気温の影響もありでしたか。東北の山は涼しいだろうといったイメージでいましたが、気候の変化か、この時期の陽の下は滅茶苦茶暑かったです。ただ、夏が過ぎれば、徐々にではなく一気に寒くなることは確かですね。