たそがれオヤジのクタクタ山ある記

主に北関東の山を方向音痴で歩いています。山行計画の参考にされても責任は負いかねます。深慮せず軽く読み流してください。

錦秋の未丈が岳はいい山だった

2008年10月19日 | 新潟県の山
◎2008年10月18日(土)─1人

 未丈が岳は特に今年に入ってからずっと気になっていた山だ。特別な理由はない。極めて単純。山名に、自分の名前の漢字が含まれていたからだけのこと。最近、中ノ岳、荒沢岳と歩いたが、晴天に恵まれながらも、ガスで未丈が岳は確認できなかった。その分、余計に、行かなきゃなんないなあといった感じになっていた。ちょうど一年前に八海山の紅葉を楽しんでいたから、未丈が岳も紅葉見物がてらに行ってみた。

 いつもなら車中泊となるのだが、今回は、時間的にも往復6時間の想定で、まして、終日、良天であることが分かっていたから、早朝出にした。自宅を出たのは4時半。6時からの通勤割引を考慮して、赤城ICで一旦下りて、すぐUターンして高速に戻り、赤城・小出間は通勤割引の適用。この割引適用も、最近は土日の昼間割引が出来て、2回まで使える。うまく利用すれば、高速代の半額が浮く。越後湯沢を過ぎたあたりから、霧が濃くなり、時速50Km規制。不安になったが、小出ICを下りてしばらく行くと、この霧も晴れ、青空が広がりはじめた。長い湯の沢トンネル。荒沢岳の帰りに下見した時、泣沢待避所は見つけられなかったが、今日は左の壁面を注意しながら運転をして、すぐに確認できた。車から降りてシャッターを開ける。振り向くと、後続車が1台待機。トンネルの外を指さすと首を縦に振った。あのオジサンも未丈が岳か。シャッターを閉める手間も省け、さっさと外に出る。シャッターの前には車がない。ちょっと先に行くと2台の駐車。青空が広がっている。やがてさっきの1台が到着し、車は都合4台。この時期なのにやはりマイナーな山か。オジサンは運転席で地図を見ながら、おもむろにパンを食べ出した。靴を履き、立ちションして準備はOK。ちょっとひんやりした感じで、フリ―スを着込んで出発。7時ちょうどだ。登山カードの書き込みも一応しておいた。大勢入りそうな山ではないので、こういった手続きは慎重にした方がいいだろう。

 登山口、ルートの表示はないが、登山カード入れポストの後ろに道が続いているので、この道を行けばいいのだろうが、ヤブっぽい。左右からの朝露でいきなり濡れた。またポストに戻って、合羽を上下着用。しかし、沢に下ると、もう道は整備されて、合羽の必要もなくなってしまった。面倒なので、しばらくそのまま歩く。渡渉が4~5回。そのうち、石伝いに渡るのが2回。体力を消耗するような渡り方は必要ない。靴も濡らすことはなかった。道も分岐の都度、表示板が設置されている。せいぜいトラバース気味の斜面に慎重を要する程度か。ネットの写真で見なれた赤い欄干なしの鉄橋。10mもないのだが、見下ろすと怖い。水も深い。橋を渡ると、ここからが上り。尾根伝いに行く。今までは、下り調子だった。合羽とフリ―スを脱ぎ、シャツ1枚にする。汗ばむくらいの陽気。紅葉が広がっている。バナナを1本食べる。最近、バナナを入手するのが難しいようだ。自宅からの出がけに、2本持って行きたかったが、我慢した。一時期の納豆と同じだ。かつてはトイレットペーパー。日本人って何だろう。終日、テレビの前に張り付いて、テレビの伝えることに疑問を呈することもなく、丸飲み、鵜呑みにする人達もいるんだろうな。そういえば、このバナナダイエット、職場で数年前から実践しているオヤジがいる。晩飯はバナナ1本と決めているそうだが、昼飯を抜きながらも、一向にスリムな体型にはならない。その反動か、宴会などではすさまじい食欲を出す。他人の残り物でも、2~3人前を平気でペロリと平らげる。これじゃ、ダイエットとは程遠い、ただのケチなんだろうと疑っているが。

 紅葉のトンネルがしばらく続く。切れ目に見え出したのは中ノ岳。そして、しばらく経って越後駒。紅葉で、晴天だからこそ飽きない歩きだが、そうじゃなかったら、薄暗い中での、本当にうっとうしい上りだろう。連続して上り坂がずっと続く。平らになっているところでおにぎりを食べたいのだが、その平らなところがない。ようやく見つけたが、そこではカップルが休んでいる。追い越して、先のやや緩やかなところでおにぎりを1個食べた。この先、車の台数からいけば、先を歩いている人がいるのだろうが、結局、山頂までの間に、だれにも会わなかった。釣りの車だったのだろうか。

 974mピークにぽっかりと出た。8時15分。ちょっと休憩。地形図では、このピークを迂回する形になっているが、迂回路は目につかなかった。ここからの展望はなかなか良い。未丈が岳が正面先にようやく見えてきた。もっと険しい山かなと思っていたが、意外に丸くてなだらか。後ろを振り向けば、越後駒、中ノ岳、荒沢岳。北側に見えるのは浅草岳、守門岳だろうか。北側の正面は尾根がずっと壁状になっている。ここから一旦下り、鞍部が松の木ダオというらしい。8時23分。ダオって何?木さん。頭は何となく知っているけど。紅葉は、標高が上がるにつれて、どんどんきれいになっていく。

 三角点標柱を見つける。ここが1,204mだろうか。2分ほど先に行ったら、木に1,204mの表示が書かれてあった。9時2分。傾斜は次第に緩やかになっている感じ。木も疎らになり、その分、さらに暑くなってきた。陽を受けて顔が暑い。背中はもうびっしょり。悪魔の耳をしたような燧ヶ岳が見えて来た。さっきから、チャリン、チャリンと鈴の音がくっついて来る。山頂まではあとわずか。不思議に、いつものパターンの立ち止まり休憩が少ない。体調は決して万全ではない。夜中に足の裏を蚊に刺され、それ以来眠れなかった。睡眠時間は1時間。それほどの急登じゃないからだろう。ようやく到着。9時50分。歩き始めてから2時間50分。

 山頂は背の高い笹だらけで、展望は西と南側のみ開けている。ガイドブックには、遠く佐渡島まで見えると記されてあったが、霞がかかった状態では、無理な話。セルフで写真を撮ろうと、ミニ三脚を付けていたら、後続のオッサンが到着。さっきの鈴の主だろう。いきなり、写真を撮ってくれと言われ、ついでに、オレのも撮ってもらった。ネットで、山頂の草原が素晴らしい話は知っていた。オッサンに聞いてみた。そしたら、いとも簡単に、ここから行った北側ですよとのこと。確かに、笹ヤブの中に細い道がついていた。ここから行けば、東側の展望も広がりますよと言うので、未丈が岳に何度も登っている情報通かと思いきや、初めて来る山だそうだ。新潟市からとのこと。自分には素晴らしい紅葉なのだが、オッサンはしきりに紅葉がきれいじゃないと言うので、「きれいじゃないというのは、もう終わったということですか?」と聞き返したら、「元々、紅葉がきれいな山じゃないんですよ。ナナカマドが少ないから、赤が映えていない」との仰せ。じゃ、ここに来るまでに我ながら感嘆してきた赤はなんだったのだろうか。実がついていたから、てっきりナナカマドとばかり思っていた。しかし、どうもよく分からない。初めての山という割には、すこぶるあっさりしていて、さっさと下山して行った。無論、草原にも行かなかった。

 笹の路地を抜けて、草原に出る。やはり想像していたように、素晴らしい光景。夏まで、雪原になっているようだ。北側の展望が素晴らしい。東側に回り、今度は東側の展望。しばらく、草っ原に寝転んで、この季節では変だが、涼風と景色を楽しんだ。別天地といった感じ。おにぎりもおいしい。天気が良ければ、終日いたとしても飽きないだろう。追い越したカップルが草原に下りてきて騒ぎ出したのを潮に引き返し、下山にかかる。山頂には30分ほどいたろうか。登山口に同時に着いたオジサンが上がってくる。1,204mの手前で関西弁のオバサンが2人。北側に見える山は何と言うのかと尋ねられたから、適当に「守門か浅草岳じゃないですか」と答えたら、「オニイサン、そりゃないやろ。近い荒沢岳かて、あんなに遠くに見えんのに、どない、もっと遠い浅草岳が近こうに見えんのよ」。そのままで終わらすわけにもいかない状況になってしまい、地図を広げる。そしたら、あれは「ケガツ山だ」と言い張る。なるほどと思ったが、正解は大鳥岳と毛猛山のようだ。ケガツではなく「ケモウヤマ」。これから下りて、また別の山にでも行くのかと聞かれたが、まさか、そんなにタフじゃない。もしかして、オバサンらはそのつもりでいるのだろうか。

 途中で単独の青年に出会い、今日、行き会った人は7人だった。何とも静かでいい山。昼が近づき、気温もどんどん上がってきている。20度を超えた。最後の渡渉地点でしばらく休憩。駐車場に着いたのは12時30分。登山カードを回収。久方振りの満足山行だった。紅葉の時期だから、良かったのだろう。八海山に良い印象を持っているのも、同じ時期だったからこそとしか思えない。帰りの高速、また赤城で外に出て戻る。両方ともに割引が適用された。

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3 コメント

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やはり行っていましたね (Yossy)
2008-10-19 16:41:03
紅葉の時期だから、どこか良い所へ行っているのかと思って見てみたら、紅葉の写真!!昨年の八海山の紅葉はそのまま私のPCの壁紙にありますよ、あれより良いと思うのが他のスクリーンでもなかったけど、1年が経ったのですね。その1時間睡眠での登山はすごい、帰宅してからがダウンだったでしょう。
不思議なもので、山を見たら名前を知りたくなるのは誰でも同じですね。ちょっと、オバサンの気持ちが分かるのが恐い。
次回はもう雪山になるのですか?
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Unknown (mailaddress-1234)
2008-10-19 23:02:40
久しぶりにお読みいただけましたね。まだまだ、いきなり雪山というわけにもいきませんね。紅葉が終わり、冬に向かう間の荒涼とした風景もまた風情があっていいものですよ。大分前の話ですが、11月に尾瀬に入ったことがあります。雪はまだでしたけど、人っこ一人いず、本来の山に戻った感じで、これはこれでよかったですよ。そろそろ足尾の山かな、なんて考えていますけど、新潟、長野の県境にある佐武流山も選択肢に入れています。
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静かな山 (I男)
2008-10-20 08:16:59
先日は有り難うございました。紅葉が綺麗ですね!初めて知ったのですが…登山カードって回収する物なんですね…以前、空木岳の登山カード入の上に置いてあった携帯電話はどうなったのでしょうか…?
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