研人は、事前にリスクを説明しておかないとフェアではないと思った。
「先に謝っておくけど、かなり厄介なことになりそうなんだ」
「それはどんなこと?」
「最悪の場合、正勲が警察に捕まるか、日本にいられなくなるかも知れない」
受話器からは、絶句しているような沈黙が返ってきた。
「それでいいなら、来て欲しいんだけど」
しばらくしてから正勲は、「それが最悪の場合だね?」 と訊いた。
「そう」
「最良の場合は?」
「全世界で、十万人の子供の命を救える」
「分かった」 と正勲は、もとの朗らかな顔に戻って言った。 「行くよ」
【 ジェノサイド 高野和明著 】
う~ん、これは、ちょっとそうとうに面白かったです。