父さんは、
ついにブチ切れた。
おはようございます。
金曜日から始まった、かずこさんの興奮は、土日も収まらない。
連れ出して、たくさん歩かせて、疲れていても、
かずこさんの唇は止まることが無い。
あること無いこと、妄想を交えた、支離滅裂な攻撃的な言葉で、
空気中が埋め尽くされていく。
とはいえ、
日曜日には、そろそろいい感じに仕上がって来たと思っていた。
「楽しかったね。」
と声を掛けると、
かずこさんの強張っていた表情も和らいでいるように見えたからだ。
けれど実家へ帰して２時間後、かずこさんが我が家へ来た。
父に、
「一言でもしゃべったら出ていけ。顔も見たくない」
と、追い出されたようだ。
かずこさんは、しょんぼりしているというより、ショック状態に似ていた。
実家へ電話してみると、父はブチ切れていた。
「電話帳がないから、ちょっと怒っただけだ。
なんでもかんでも、あいつが全部、どっかへしまい込むからだ。
ちょっと怒っただけで、凄いんだぞ？
本性が剥き出しになるんや。あいつの本性が酷すぎる。」
私は、そんな父に、とても冷静な声で、
「人間なんて、一皮抜けば、そんなものよ。
現に今、父さんの剥き出された本性も、酷いものよ。
認知症でもないのに。」
と言ってしまった。
私は、父には何も言わないようにしていた。
父を見ていて、「あぁぁ、それ、認知症の人にやったらいかん」と
思うことは多かった。
父にはアルツハイマーの知識はある。本も何冊か読んでいる。
けれど父は、自分を変えるということ、他者を受け入れるということが、
そもそも苦手な人種だ。
苦手なことは押し付けられない。
けれど、この時は、吐き捨てるようなことを言ってしまった。
本当に、人間なんてこんなものだと、自己嫌悪した。
誰だって、苦手なもんは、苦手なのだ。
ということで、
私は気を取り直して、得意なことをすることにした。
「かずこさん、酒盛りするで～！」
どうせならばと、冷蔵庫にしまっておいた、
お高い日本酒を、ワイングラスで乾杯だ。
「いえ～い、かんぱーーーーい」
かずこ「ぷは～」
猫らは、どういう訳か、かずこさんを怖がらない。
頻繁に来る訳でもない母を、まったく恐れず、
むしろ、久しぶりの再会を喜ぶように、母に撫ぜられる。
来客が最も苦手なあやでさえ、かずこさんに、あの大きな尻を押し付ける。
我が家のおじさんは、かずこさんのよく分からん話にも
穏やかな相槌を打ちながら付き合っている。
かずこさんは、時々、
「わし、これからどうしようかのぉ。どこへいこうかのぉ。
仕事を見つけんといかんのぉ。」
と、淋しそうに呟いていた。
父が薄暗い実家で、孤独にやけ酒をしている頃、
我が家は、人畜まみれて賑やかな酒盛りだ。
私は、可哀想だなっと思った。
父さんを思うと、可哀想だと思った。
そして、カメラを向けると、おどけて見せる母も、可哀そうに思えて、
笑っているのに、泣きそうになる自分に気付いた。
もう少し笑うと、泣きそうになると思い、笑い声を抑えた。
２時間経った頃、かずこさんが欠伸をしたのをきっかけに、
我が家の酒盛りは終わった。
かずこさんを、おじさんのベッドに寝かせ、
私とおじさんはリビングでごろ寝だ。
それでも、まだ、かずこさんの息のような声が聞こえる。
かずこさんは、何十年も実家以外の場所で眠ったことがない。
「やっぱり、眠れんのかね？」
と、小声で呟きながら、おじさんと寝室を覗いて、
私達は同時に、
「あら～ん」とため息が出た。
横たわる、かずこさんの体に寄り添う、おたまがいたからだ。
「ありがとな」
私は、声に出さずに言った。
これから、どうなるんだろう？
そう考えると泣きそうになった。
相変わらず、寄り添い続けるおたまに、安心して眠りに就いた母に、
壊れそうになりながら踏ん張らんとする父に、
「これからずっと、ここで暮らしてもらってもいいんじゃない？」
と言う我が家のおじさんに、
不安で有難くて、切なくて微笑ましくて、感情はぐちゃぐちゃになった。
結局、今回は乗り越えることが出来た。
月曜日、私は仕事を休んで、かずこさんとちょっと旅をして、
何も無かったかのように、実家へ帰った。
父も、何も無かったように、かずこさんを出迎えた。
やれやれだ。
私は、人に「可哀想」と思うのは、躊躇いがある。
まるで、上から目線のような気がして、躊躇うのだ。
けれど、可哀想という感情は、きっと大切だ。
自ずと湧き上がる「可哀想」という感情は、時に私の心に水を与える。
夜の９時、電話を掛けてきた父は、
「今夜は、ＳＯＳじゃないぞ。今夜のババは機嫌よく呑んどる。ありがとな」
と非常にご陽気な様子で言った。
かずこさんの笑い声も聞こえてくる。
私は、そこでようやく、与えられ貯めていた水を、涙として流した。
おたまも、ありがとな。
おたま「おらは、別に何もしてないだ。」
うん。
ありがとう。
さり気ない優しさで、かずこさんを見守ってくれる応援団は、心強くて、頼もしいね。
きっとおかっぱ家にはいい空気が流れているから、かずこさんも呼吸がし易いのかな？
一点に心が向かえば、辛くて酷い事しか見えなくなるけれど、おかっぱちゃんは、ちゃんと周りが見える賢い人だから、絶対に大丈夫！
大変の中に、ホッとする瞬間を見せてくれてありがとう。
おかっぱちゃん、あなたはやっぱり凄い人です。
私の心の師匠です。
でもやっぱり家族ですね～
今回は？今回も、ちゃんと乗り越えましたね。おかっぱさんの涙の意味を私などが簡単に推し量ることは出来ませんが、人って安堵した時も涙が出ますよね♡
いろんな意味で、みなさん、お疲れ様でした、と思います。
そしておたまさんの神対応、素晴らしかったですね。
動物って、ちゃんとわかるんですね。
東日本大震災以降、母の兄弟姉妹は次々と亡くなりました。個性的な親の姿を見せられた従弟姉妹関係は良好で兄と従弟の１人が下町気質を継承してますが💦
おたまちゃん、良い仕事してる♪
どうなるんだろう…とソワソワしていましたが、
お母様の最も良い形に落ち着いたのでは
ないでしょうか。
お父様もまた限界が来る日もあるかも知れません。
でも長年連れ添ったやはりご夫婦なんですね。
あと、その娘さんであるおかっぱさん。
壊れそうで、壊れない絆を感じました。
おかっぱさんにしてみれば、どのくらい
続くのか解らない細いロープで綱渡り
しているような感じかも知れませんが、
穏やかなおじさんが居てくれて、
空気が読める猫さん達がいてくれる。
1人で背負い込まないで下さいね。
とにかく、今回は本当に良かった(T-T)
義父は最期を看取ってもらい
父は今も元気でお世話になっています
義母の介護は短期間ですが関わりましたが
介護らしい介護をほとんどしたことがない私が
お母さまのことであれこれ言えることはあろうはずがなく
いつも記事を拝見し おかっぱさんやお父さまやおじさんのご苦労を思い
心の中で応援するしかないよね..って思っています
今朝 記事を拝見し..
周りの方々の心や身体が心配になりました
みんな優しくて.. お互いを思いやっていて..
心が温かくなりました
今回も無事に乗り切れたようで安堵しました
おかっぱさん ご無理なさらず 体調に気をつけてくださいね
カズコさんがおかっぱさんちに家出した経緯が
よ～く分かりました。
一旦その領域に入っちゃうと、体力消耗作戦でも
なかなか上手くはいかなかったんだね。
父さんの手に負えなくなった時、
おかっぱさんがいてくれることが
どんなにか支えになったかと思うと
それは本当に、計り知れないと思うのよ。
うちの父なんて、かずえさんが風邪引いただけでも
めっちゃ不機嫌になってたからね～。
包容力ゼロ！って思ってたわ～。
カズコさんは、そんなお年になっていても
働かなきゃって思われてることが凄い！と思った。
私もそうありたい！って思ったよ。これホント。
あとね、おじさんの一言も凄いなぁって。
多分ね、第二夫も同じようなことを言うタイプ。
そういうタイプって、普段は気の利いた事
言えないんだけど、素でそう思うのよねきっと。
おたまつぁ～ん(ToT)
キミは人心を掴む、その捉えどころを知ってるねこだ！
普通にしていても、それが出来るおたまつぁんを
おばちゃんは師匠と呼ばせて頂こう。笑
こうやって、みんなに支えられながら
乗り越えていくんだね、これからも。
いつだって、応援してるからね。
「与えられ貯めていた水を、涙として流した。」
この一文に、「与えられ」という言葉が
入っている所が、一番おかっぱさんらしくて
なんか、泣けて来ちゃったなぁ。
長くなってごめん！
おたまには、ほんと、拝みたくなりました。あの子、そんなに懐っこいタイプじゃないんですよ。
添い寝してくれるなんて、たぶん、おたまも
初めてです（笑）。
こうして、ダラダラと書いていても、
かあちゃんや皆さんに応援してもらえて、
本当に力になります。
かあちゃん、ありがとうございます。
そうなんですよね。
囚われちゃだめーって自分も、気を付けようと
思っています。
こんな時こそ、柔軟に考えていないと、
苦しくなっちゃいますもんね。
いやいや、もうね、あたしは超適当なの。
その場限りの適当人間！
師匠というより、そうだな～。
『ミス・テケトー』と呼んでください（笑）
おかっぱ家は、元来ばらんばらんな、自分勝手な人間の
集まりみたいなもので、『家族愛』などという
美しい空気は感じられなかったんです。
今、かずこさんを中心に、変なんだけど、
自身と家族と、真っ向から向き合えている気がします。
これからも、一喜一憂しながらですよね。
桜吹雪さんのお義母様も、かずこさんも、
その周りの私達も、一喜一憂。
そうやって、乗り越えていくしかないですもんね。
おたまは、本当に驚いちゃった。
あんなこと、してくれる子じゃないのに。
ほんと、驚いちゃった～。
しゃちくんも、ご家族のことで、奔走されていますもんね。
我が家の家族も、みな、なかなかの癖の強い者揃いで、
もう収集付かない感じですが（笑）、
どうにかこうにか、不時着したいと思います。
頑張ります！
ありがとうございます。
ほんと、おたまの行動には驚かされました。
お騒がせ致しました。
ありがとうございます。
そうなんですよね。これで一件落着ではなく、
一旦落着でしかないんですよね。
まさに、今は毎日が綱渡りしている感覚で、
無事に過ぎると、「奇跡的に渡り切った」と
思えて来ちゃう（笑）。
でもそれには、猫達やおじさん、そして、
ひいなさんや皆さんにブログを通して、
見ていてもらえているってのが、とても力になります。
ひいなさん、いつも、ありがとうございます。
おら、頑張るだ！（笑）。
私も、いつも、豆ーズに癒されています～、
ほんと、可愛い３兄妹！ありがとうございます。
考えちゃうんです。
母をプロの方々にお願いした方がいいのかもしれないと。
きっと、その方が穏やかに暮らせるのじゃないかと。
でも、母自身が入院も難しいような人なので、
少なくとも今は、家族で看るしかないんだと思っています。
ドタバタながらも、どうせなら楽しい方がいいですもんね。
お互い傷付けながら、お互いを思いながら、
少しでも楽しめたらっと思っています。
ありがとうございます。
ほんと、体が資本ですもんね。
我が適当マインドを発揮しながら（笑）、
適当に乗り切って参ります！
毎度お騒がせしております、恐縮です（笑）。
ほんとは、かずこさんは元々自活しようなんて
思っていないと思うんですよね。
依存心のほうが強いと思うんです。
ほんとは、もっと甘えたいのじゃないかな。
父さんに、もっと優しくして欲しいんです。
私は、父の代わりにはなれんけど、
少しでも母さんの心の中で淋しがっている、
インナーチャイルドを癒せたらと思っているんですよね。
こうなったら、父さんみたいな丸刈りにしたろか？
どう？俺だとバレるかしらん？（案外いけるかも？笑）
ままん、いつも、ありがとうございます。
こうやって、赤裸々に書いているだけで、
ままんや皆さんに、有難い応援が貰えて、
これも、からっからに乾きそうな私に
水を与えてもらえています。
ほんとに、そうなの。
ブログやってなかったら、とっくに潰れるかんね。
おたまも、あの子は計り知れんですね。
人に添い寝なんて、絶対しない子なんだよ。
長い時間撫ぜられるのも、鬱陶しがるの。
なのに、ずーっと、かずこさんに、体を貸してくれてた。
あいつめ～、もう、おたまったら～もう～って
思っちゃった。
いえいえ、心のこもったコメント、
いつも、めちゃくちゃ楽しみに待ちに待っているオレね。
ほんと、ありがとうございます。
ろくに世話をしなくても、猫が心配して寄り添う。
何なのでしょうねぇ🤫
初めは機関銃のように私に悪たいをついた母も、今は黙っています。
ヘルパーさんが、スプンでどんどんご飯を口へ運んでも、黙って食べ続け、私が止める。二人とも同じ無力感を分け合う。
時々おかずが美味しい時は、ほっこり花のように、幼児のように微笑みます。ずっとこんな顔を私はさせた事があったかと反省。
介護は精神的にも大変ですね。
まりさんのお母様もなんですね？！
ほんと、なんなのでしょうかね？
猫が優しいってことで、いいのでしょうかね？（笑）
美味しいおかずに、微笑んでくれるんですね。
私も、認知症になって、よく笑うようになった母さんを見ると、
今まで、こんな風に喜ばせようと思った時は
無かったなって考えちゃいます。
楽しいことも苦しいことも、終わりは必ず来ますね。
必ず。
少しでも笑い合いながら、終わりを迎えたい。
お互い、踏ん張りましょうね。