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お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

フランス版「ロミオとジュリエット」 シアター・オ―ブ 

2012-10-16 11:47:52 | Musical
2012年10月11日(木)13:30~
東急ヒカリエのシアター・オ―ブにて。

ジェラール・プレスギュルヴィック作曲・演出の「ロミオとジュリエット」
フランス版の来日公演を観て参りました。



シアター・オ―ブに行ったのは初めて。
渋谷駅からアクセスの良い東急ヒカリエの11~16Fに今年の7月にOPENした1972席の劇場。
ビルの上階にあるので、エレベーター待ちの時間、会場に入ってから席までの動線などを考えると、
意外と時間がかかるのが難点かも。。。
会社帰りにソワレを、と思うと、渋谷駅に到着してからのストレスが凄そう^^;

今回は、録音の音源使用なのでオケピットがなく、11列目がとても舞台に近く感じました。
内装は黒主体の簡素なもので、赤坂のACTシアターに雰囲気が似ているかも。
席にはしっかりと段差がついているので観やすかったです。

作品自体は2001年、パリのパレ・デ・コングレで上演されて200万人動員のMEGAヒット。
その後、各国版が作られて世界中で上演され、2010年にふたたびパリで凱旋公演。
それを宝塚星組で小池順一郎潤色の日本版の主演メンバー3人が観劇する、CSの番組がありましたが・・・。
そのときのジュリエットと、そのときはベンヴォーリオ役だった人が主演の今回の引っ越し公演です。

小池先生潤色の宝塚版は、2010年の星組、2011年1~3月の雪組、2012年の月組で観ましたし、2011年9~10月の東宝版では城田優主演で観ていますので、オリジナルとは、それらの潤色版を重ねて比較しながらの感想になりそうですが、違いを楽しんで参りました。

小池版との大きな違いは、ティボルトの扱いでしょうか。
ジュリエットの母と怪しい関係・・・という設定はもとのフランス版にはなく、ただ、ジュリエットに憧れていたいとこ、ということになっています。宝塚では、2番手男役の役どころにふさわしくちょっと色男に仕立てるための工夫だったのでしょうね^^
あと、死はLaMort、女性名詞だから。。。ということでもないでしょうが(?)女性ひとり。
東宝版では男性ダンサー、タカラヅカ版では男役の死とセットで女性の姿の男役が演じる愛、が配されていましたから、そこはかなり違いますね。

あと、基本的な違いとしては、主役どころはまず歌手であり、演技者である、ということで、ダンサーではありません。
その分、キャピュレット家、モンタギュー家の人々として各々10人ばかりのメンバーがダンサー専属として配されています。
ですので、主役が踊りまくったり、踊ってすぐに歌ったり、皆で踊りながらコーラスを入れたり、というタカラヅカ版に慣れていると、ちょっと間が抜けているような感じを覚えましたがすぐに慣れました^^;
歌と踊りがそれぞれ専任になっている分、全体的なクォリティは安定していたかと。

総勢40名くらいで、映像で観たPalais des conglesでの舞台と比べるとやや少人数編成なのかも。
ちょうど、星組が梅芸や博多座で上演したときの感じです。

では、個々に感想です

■ロミオ: シリル・ニコライ(Cyril Niccolaï)
スラリとした金髪のサラサラヘアーで、ロングガウンのようなコートがお似合い。
宝塚版のロミオほど初心ではなく、女の子とつきあったけど・・・の歌も、白い柔肌にあきた、などのドッキリ歌詞あり。
ジュリエットと出会ってからは純愛です。

■ジュリエット: ジョイ・エステール(Joy Esther)
彼女のジュリエット振りは素晴らしいですね!
ウェーブのかかったロングのブロンド、センターパーツに細い三つ編みをあしらった髪形といい、キラキラとした両の眼といい・・・。ジュリエットそのもの。健康的で、活き活きとした、愛のために運命に抗おうとする生命力を感じました。

■ベンヴォーリオ: ステファヌ・ネヴィル(Stephane Neville)
長身で細身、ブルネットの髪で、落ち着いた物腰。
どうやって伝えよう・・・の歌も日本勢のようなこぶしを効かせての絶唱はなく、押さえた歌唱でした。

■マーキューシオ: ジョン・エイゼン(John Eyzen)
彼は初演からこの役一筋、なのだそうです^^
お顔は美形枠ではありませんし、髪もクシャクシャですが、おどけもので機知がきき、オーバーアクションのマーキューシオをナチュラルに演じていました。
無骨なティボルトとの対比が効いていて、それはお互い虫が好かない相手だろうな、と納得。

■ティボルト: トム・ロス(Tom Ross)
一番宝塚と違うのはここですね。
孤独で無骨な男の子が成長しても、まだ大人になりきれない、いとこのジュリエットに憧れているけれども告白できない・・・・そんなさみしいティボでした。
「ブロンド、ブルネット・・・様々な女を抱いてきた」のくだりは、原曲も同じ。曲に対して座りの良い歌詞なのでしょう。
マーキューシオをナイフで刺して致命傷を負わせてしまった、と自覚してからの演技はナイフを取り落として(そのナイフがモンタギューサイドに滑って行き、ロミオの手に渡るのですが)、何度もその手をズボンでぬぐおうとする様は、マーキューシオの血で汚された、人を殺めた自分の罪をぬぐおうとするかのような感じを受けました。
ここは、軽く高笑いして女たちを引き連れてすぐに背を向けて杯を干すヅカのティボルトとは随分違いますね。

■乳母: グラディス・フライオリ(Gwladys Fraioli)
ロミオを捜しに来てモンタギューの若者たちにもみくちゃにされる場面は割合とあっさりとしていました。
それよりも、ジュリエットを想う乳母の歌、の内容が、生みの母親と乳母である自分を対比させ、深い愛情を捧げる歌でしみじみさせられました。
ロミオとの結婚のあとに、キャピュレット卿の命でパリスと結婚するように、という流れになったときには、特にコミカルにロミオをくさしてみせるでもなく、自然に家長の命令には逆らえない、という立場で受けの演技。
全体に脇がコミカルなのは小池版の味付けですね。
パリスに至っては、長身で地味で無表情。確かにあんな何を考えているのかわからない男性のもとに嫁がされるのは嫌、というジュリエットの主張にはうなづけます^^;


■キャピュレット夫人: ステファニー・ロドリグ(Stéphanie Rodrigue)
いかにもPARIS好みのヘアメイク&衣装。
80年代のティエリー・ミュグレーのショーに出てきそうな大きなプラチナブロンドの高い位置でのシニヨン、デコルテを強調したマーメイドのボディコンシャスラインのワインカラ―のドレスなど。
小池版の不義の子ジュリエットを生み、甥のティボルトと関係している奔放な母、がいかにも似合いそうなVISUALですが、ジュリエットに説くのは家父長制の下でしいたげられた女の道。
あなたも涙の谷に身をうずめるのです、と望まない結婚を受容したうえで愛人を作れば良いとの教えを説く母。
そんな歌の中でも、夫はわたしの若くて美しい裸身を見たかっただけ、というフレーズなどになまめかしさが匂うのがフランス版ならでは。

■キャピュレット卿: セバスティエン・エル・シャト(Sébastien El Chato)
「娘よ」の歌が聴かせます。
東宝版とは違って、不義の子とは知りつつも娘として愛してきた、というくだりはなく、
手の中の珠として、美しい娘を愛でてきた、という辺りがこれもまたフランス男らしいなぁと。

■モンタギュー夫人: ブリジット・ヴェンディッティ(Brigitte Venditti)
なぜかモンタギュー家においては、当主が表に出てこないので、代表者はこのお母様です^^;
ロミオとジュリエットが墓所でふたりして命を絶っているのをみつけた両家の母が和解する歌は素晴らしかったです。

■ヴェローナ大公: ステファヌ・メトロ(Stéphane Métro)
壮年のギラギラした男、でした。
ヅカ版は黒いマントでベネチアのド―ジェのような静かな重々しさを醸し出す大公設定でしたが、このフランス版は濃い目鼻立ちのスキンヘッドのやり手の貴族男性、と言う感じ。
2幕最初に、日本版ではカットされている、大公の歌、というのがあるのですが、美男で権力に財力にも恵まれた自分・・・という”力(ル・ポワ)”をテーマにした歌もあり、とにかくエネルギッシュ!でした。

■ロレンス神父: フレデリック・シャルテール(Frédéric Charter)
神父様は、特に乳母とともに手を携えて・・・という感じではなく、単独で、神と対話をしながら、若い2人に平和の萌芽を観て、希望を託します。
それだけに、最後の悲劇を目撃したときの嘆きは深く、神への懐疑、自らの信仰生活を問う、キリスト者としての深い衝撃がテーマになっていて、ヨーロッパ世界の話だなぁと。
まぁ、シェイクスピアの原作もそこがテーマの一つだと思うのですが、日本版では、神の存在というよりは運命と愛の相克に上手くすり替えているなと思いました。

■死(La Mort): オレリー・バドル(Aurélie Badol)
まとわりつくような、青白い髪を振り乱して、引き裂かれた布が垂れるドレスをまとった女性の姿で表されます。
彼女が踊ると白いパウダーが舞い散るのですが、どうやらベビーパウダーを大量にふりかけているらしく^^;
踊りはときにアンニュイに、ときに激しく、自在。

最後はフィナーレ・ダンスこそありませんでしたが、出演者が並んだノリ良く音楽に合わせて手拍子を促したり、劇中の歌をリサイタルよろしく数人がマイクを持って歌ったり、とサービス精神満点。
ラストが重々しい終わり方だったのに対して、カーテンコ―ルで盛り上がっての退場となるので、気分が変わりますね。ただ、余韻を大切にしたい方は早々にお席を立っても良いのかも。
ファンがついているらしく、ロミオ、ジュリエット、ティボルトあたりには花束を持って手渡しするファンが何人かいらっしゃいました。

ロビーで出演者が御見送り・・と聞いてどんな感じなのか、楽しみにしていたのですが、
なぜか、ロビー出口と反対方向に向かった何列もしゃがみこんだ観客の列が・・・。

しばらくすると、その奥、視線の先に、ロミオ、ティボルト、マーキューシオらが登場。
ただ、しゃがんだ観客は拍手をしたり、携帯で写真を撮ったりするばかりで、
彼らも、ただ出てきて並んで、観客に対して手を振って帰るだけ・・・なので、混乱もない代わり、
双方のコミュニケーションが取れるような御見送り、ではありませんでした。
(宝塚のトークショーのあとのお見送りのようなものを想像していたので、やや拍子抜け?^^)

あ、主要な役の方たちは、それぞれ個人のFaceBookやTwitterで色々と発信されているようなので、
ご興味のある方は、原語の個人名で検索なさってみると楽しいかもしれません






東宝「エリザベート」 春野・マテ 

2012-05-18 07:26:50 | Musical
2012年5月17日(木)13:30~
帝国劇場にて

ミュージカル「エリザベート」を観て参りました。

本家ウィーンで初演されてから20周年記念の年、東宝でも、2000年の初演以来、8回の上演という人気作(ちなみに宝塚の初演は1996年)。

わたくしも、さほどミュージカルファン、というわけでもありませんが、それでも歴代エリザ(一路・瀬名)と山口さんト―ト&城田くんでも観ていますし・・・。
今までは、お誘いいただいて、という観劇でしたが、今回はちょっとCASTに興味を惹かれて、自らチケットを手配しての観劇です。



エリザベート(オーストリア皇后) 春野寿美礼
トート(黄泉の帝王) マテ・カマラス
ルイジ・ルキーニ(皇后暗殺者) 髙嶋政宏
フランツ・ヨーゼフ(オーストリア皇帝) 石川禅
ゾフィー(皇太后) 杜けあき
マックス(エリザベートの父) 今井清隆
ルドルフ(オーストリア皇太子) 古川雄大 /子供ルドルフ 加藤清史郎
ルドヴィカ(エリザベートの母) 春風ひとみ
エルマー 岸祐二
マダム・ヴォルフ 伊東弘美

19世紀末のウィーン。
若き皇帝フランツ・ヨーゼフ(石川禅)が我が妻にと選んだのは、自由な心と魂を持つシシィ(エリザベート:春野寿美礼)だった。
一目で惹かれ合い、固い絆で結ばれたかに見えた2人だったが、その愛はハプスブルク王朝の破滅への序章であった。
自由を愛するエリザベートにとって、宮廷での暮らしは苦痛以外の何ものでもない。
姑の皇太后ゾフィー(杜けあき)が取り仕切る宮廷では、自身の子供を自ら養育することも叶わなかった。
ある日、自分の美貌が武器になることに気付いたエリザベートは、自らを完璧に磨きあげ、ハプスブルク帝国の皇后として栄華を極めていく。
エリザベートが念願としていた望みを叶えたのも束の間、彼女のまわりには、夫の不義、国民の誹謗中傷、愛する皇太子ルドルフ(古川雄大/加藤清史郎)の死と、いつも不幸の影がつきまとう。
"トート(マテ・カマラス)=死"は、エリザベートが少女の頃から彼女の愛を求め続け、彼女もいつしかその愛を意識するようになっていた。
しかし、その禁じられた愛を受け入れることは、自らの死を意味することであることも、エリザベートは知っていた。
滅亡への帳が下りる帝国と共に、エリザベートの"運命の日"は迫っていた・・・。

以上、公式HPより転載。


春野さんのエリザベートは娘時代は厳しいかもしれないけれど、晩年に観ごたえがありそう・・・と期待。
実際のところ、確かに少女時代には美少女オ―ラは不足^^;していましたし、とてもほっそりしているので、おてんば設定にもやや無理がありましたが、降ろした前髪とシンプルな衣装が似合っていて、ピュアな少女という雰囲気は出ていました。
一度死を考えたところで飛びかかってきた(スミマセン、そう見えました^^;)ト―ト閣下のお誘いを毅然と跳ねのけたところから突如、男役TOPスター時代の真ん中オ―ラが・・・
めまいを起こして倒れるところ、自分自身に余裕がないため、ルドルフを拒絶してしまうところなどの弱さ・脆さ・はかなさの表現も、そのドレスの似合う細面&ほっそりとした長身でムリなくこなしてお似合いでした。
歌は・・・。
少女時代の歌の滑舌の良さを強調したような歌い方はスタッカートが一言ずつに指定されているのかと思うほどで、演出上の指示なのかもしれませんが、やや不自然。
大人になってからのまろやかな歌声はさすが。
TOTALでは、一路さんほどの張り詰めたオ―ラはありませんでしたが、健康的な瀬名さんとも違う、エレガントなエリザベートでわたくしは良かったと思います。



マテ・カマラスさんのトートは、ひとり胸板が厚く(笑)、青白き黄泉の国の帝王・・・というよりも、肉食男子でお顔もCUTEで、独得の存在感。
日本語に挑戦!の歌は、始めのうちは母音を強調する歌い方(「おまぁえをぅ」という感じ^^;)がいかにもガイジンの日本語に思えて気になりましたが、歌い方もロック調ですし、きちんと感情を載せて一言ずつのイントネーションが正確なこともあり・・・。
見た目も違うし、異界のヒトだし・・・と納得したのか(笑)次第に気にならなくなりました。
しなやかな身ごなし、存在感の出し方はさすが。
春野さんが小柄に見える大きさとお顔立ちからは、城田くんのトートをちょっと思い出しました。

古川さんのルドルフは、周囲に祭り上げられて、気が付いたら・・・という巻き込まれ感、未熟さゆえに自分ではどうすることも出来ずに孤立してしまった皇太子の苦境に至る流れが上手く表現されていましたし、全身のスタイルの良さと上品な顔立ちはピッタリでしたが、歌がマテさんと拮抗するくらいの力があれば・・と。
加藤清史郎くんの演技・歌ともとても良かったと思います。
金髪の鬘も可愛かったです^^



高嶋さんのルキー二は、あまり小芝居を入れすぎず、狂言回しとしての役を逸脱しない役作りに好感が持てました。
ただ、顔を塗りすぎ?ちょっと小汚く見えてしまうので・・・^^;すっきりさせても良いのでは。
あと、ルキー二もシングルキャストではなく役変わりで観たいですね。

杜けあきさんのゾフィーは実は初見。
(今まで寿ひずるさんで観ていたらしい^^)
美しく、品の良いゾフィーさまでしたが、歌声が軽いのか、あまり威圧感がありませんね。
皇太子を陥れる悪だくみも、彼女が主導した、というよりも、側近たちのアイデアに乗った、というライトな感じ。

石川禅さんのフランツは安定感抜群。
板挟みになって、苦しみつつも、善良な彼がよかれと思ってしたことが全てウラ目に・・。
不幸な物語の中でもっとも不幸な登場人物の1人ですが、温かみのある歌声が、救いを感じさせるとともに、歩み寄れない夫婦の哀しさも際立ちました。

再演を繰り返しながらも、新キャストで観るとまた新鮮。
どうしようかと迷いましたが、観て良かったです








東宝「ロミオとジュリエット」at赤坂ACTシアター ②

2011-09-19 06:26:03 | Musical


10月号のDDDは「ロミオとジュリエット」特集。
「死」のダンサー2人へのインタビューがしっかり載っているのが嬉しい。
もちろん、2人のロミオと2人のジュリエットの対談、小池先生による解説など、
充実した内容で^^

振付のTETSUHARUさんに対する評価が押し並べて高いですね。
音の取り方のセンスが良い、ということと、舞台全体の立体的な絵面を考えて振りつけることの
できる人という感じで絶賛。
ベジャール振付の抽象的なテーマをずっと踊ってきた中島さんにとっては、フランス版ミュージカルの「死」には興味を持てなかったけれど、TETSUHARUさんの振付ならまた全然違ったクォリティのものになると思ったそう。
僕にとって踊りとは「生」「死」「愛」を表現するものなので、今回の役には違和感なく入れた、と言う言葉など、バレエを離れてミュージカルの世界に敢えて転向したのはなぜ?と気になっていた疑問が、
解けてすっきり。
基本はぶれず、東バで注目していた頃のままの中島さんだなぁと安心しました。

大貫さんと中島さんは、このTETSUHARU氏とは「GQ 神士の品格 Gentlemen Quality」
という異種舞踊界のイケ面注目ダンサーを集めました的な演目で共演されていたのですね。
大貫さんの中島さん評が、このGQ公演のときは、一匹狼な感じで、皆とつるまず、静かでキレイでカッコいいと思っていたけど、今回ロミジュリで話をするようになって面白い人だとわかった、と言う感じの発言で、あぁ、中島さんお変わりないわ、とここでもちょっと安心。

「ロミオとジュリエット」は踊りたい演目だったけれども、バレエでは踊るチャンスがなかったのに
このオーディションの結果「死」の役で今、参加するのは運命だという気がする、という中島さん。
え、踊りたかったんだ!とびっくり。確かに似合いそう。
ただ、在団中の東バではロミジュリはまだレパートリーに入っていなかったような・・・。
今度、シュツットガルトのクランコ版が取り入れられる予定なので、東バに帰ってきてロミオを踊ってくれないかしら~と思わず妄想^^;

観劇感想を飛び越してインタビューへの所感のようになってしまいました^^;

取りあえず、CASTごとに印象をまとめてみますね・・・

■ 城田優 ロミオ

金髪が似合う!そして周りの仲間たちから浮いている!
「エリザベート」のトート役では見えなかった彼の持ち味、温かみと甘さがいい意味で突出していて
夢見るロミオにピッタリ。まずガタイが1人大きいので、”白雪姫と7人の小人”に見える・・・と言った人がいましたが、さすがに姫ではないでしょう・・^^;
寧ろゴールデンレトリバー?
小さなジュリエットに寄り添って甘える様は、クゥンクゥンと鼻を鳴らす大型犬のようでした(笑)
大きい、ガイジン顔、ほわんとしている・・・というヴィジュアルがまず、まわりのモンタギュー家の仲間たちの中にあって、1人浮いている様がリアル・ロミオ。
ジュリエットの乳母も伝言を届けに来て、皆とロミオを見比べて一言「あなたがロミオね。皆とは違うわ!」と言った言葉に説得力がありました。
とても良かったです。
一幕では夢見がちながら、ジュリエットをリードする青年でしたが、2幕、運命が急転して翻弄されるにつれ、どんどん心細さが強くなり少年化していったような・・・。
最後、石棺の上に横たわって絶命した瞼を閉じた顔がとても無垢な感じで、なんというアンジェリックなBabyFace!と見惚れました。
自然に感情を載せた温かみのある歌唱がなんとも魅力的。


■ 昆夏美 ジュリエット

キュッとCUTEなつぶらな黒目がちな瞳に光があり、歌も上手い。
こんな18歳20歳がいるとは、やはり、オーディションって良いかも?と思った昆さんのジュリエット。

ジュリエットってバレエなどでは、あえてリアルな年齢の若手が踊るより、熟年に近いべテランダンサーが技巧と心理表現の粋を凝らして作り上げる方がより感動的だったりもするのですが、
今回は初めての舞台、ならではの輝きを期待している、という小池先生の読みが当たったと言ってよいかもしれません。
脇の役者が豪華すぎる中、座長であるロミオが、より若手の新人ジュリエットをリードしてあげなくては、という立場になることで、余裕が生まれる、という結果も、舞台のパワーバランスとしては効果的だったのかも。

ただ、常に12cmのヒールを履いているとはいえ155cmの昆さんと190cm近い城田君の並びは、身長差以上に体格差もあって、さすがに厳しいかな?とバルコニーのシーンでは思ってしまいました。
見下ろすロミオに見上げるジュリエットなら良いのデスが、完全に幼稚園の子にするように膝を折って顔を近づけているロミオって・・・^^;

あと、これは演出の問題でもありますが、結婚だけは好きなヒトとしたい、とバルコニーで運命の人との出会いを念じる場面。
宝塚版では、乙女心全開の夢夢しいソロでしたが、こちらでは、パリス伯爵の求婚を告げるにあたり、フランス版ではあって宝塚版では省略されていた母の歌で、ジュリエットはキャピュレット卿の実の娘ではないと明かされていたり、結婚に幻滅させる前振りが衝撃的すぎて。
誰か・・と出会いに救いを求めている切迫感のある歌になっているのがちょっと・・・。

■ 浦井健治 ベンヴォーリオ

改めて上手いな、と思いました。
ヴィジュアル的にも、存在感としても、おぼっちゃま風味の王子様な城田ロミオと、ストリートダンサーズ集団(衣装もそう)なモンタギューの若者たちの間を取り持ちGAPを埋める役どころを的確に演じていました。
ジュリエットの死を「どうやって伝えよう」の2幕の大きな見せ場の歌、これは宝塚雪組の未涼亜希さんが圧倒的でしたが、浦井君も台詞として気持ちのこもった歌唱で良かったと思います。

■ 上原理生 ティボルト

見た目は野性的、歌声は声量があり朗々と歌い上げる系。
宝塚版で言うと、凰稀かなめさんより緒月遠麻さん寄りの役作り、原作イメージに近いティボルト。

「キャピュレットの貴公子のお出ましか」の台詞がしっくりくる、「本当の俺じゃない」と悩める姿が悩ましい凰稀さんのティボルトが恋しくなりました^^;

■ 未来優希 乳母

なんといっても実力派の元ジェンヌ、ハマコさんですから!
とても期待していたCASTの1人。
・・・で、たっぷりしたオバサンなおおらかさはさすが。
運動量半端ないモンタギューの若者たちに翻弄される伝令の場面もテンポよくこなし、シェイクスピア劇のコメディエンヌとしては勿論合格。

・・・なのですが、これまた、星組の白華れみちゃんのキレイな細いお顔はそのままで無理やり肉布団をつけたどこか聖女のような乳母が恋しくなりました・・・^^;
あの「自分の産んだ子じゃない、でもわたしの子に違いない・・・」とその子が成長して今恋をしている!という感動の歌が、れみちゃんの時には そのまっすぐな清らかささえ感じさせる愛に涙が止まらなかったのですが、未来さんは朗々と歌い上げる様が・・上手すぎて・・・。
あと、神父様と2人、若者の未来を応援するデュエットも、英真なおきさんの神父のロミオへの愛情、白華さん乳母のジュリエットへの愛情がそれぞれにたっぷり表現された上での歌だったせいか非常に心に響いたのですが、これもまたちょっと物足りない感じが残ってしまいました。
勝手に期待しすぎたのかも^^;

■ 涼風真世 キャピュレット夫人

えっと、ここで衣装について。
今回衣装が、ドレスキャンプの岩谷俊和さんということで、楽しみにしていたのですが、
キャピュレットチーム、赤と豹柄、が、キャピュレット夫人のお衣装の場合、紅いヴェルヴェットの薔薇を立体的にデコルテラインに配した上半身と豹柄の縦フリルを連ねたロングスカート部分の対比がドラマチック。そしてそれを着こなす涼風さんの美魔女っぷりったら・・・!

ほっそりと長い首とボリュームのある赤毛に紅い薔薇を配し、大きく開けた華奢なデコルテから見える白肌がドレスの赤に映えて、妖艶。ジュリエットに対しても容赦なく残酷な真実を突き付ける辺り、母性は乳母に任せて、自分は浮気な夫への当てつけのように女としての自由を謳歌しようとするわがままな妖精。
あれ、それって地?(笑)
歌は圧勝。さすが唯一無二のスターですね。
こういう人が脇にいることがこの舞台のゴージャスさだと思いました。


■ 大鳥れい モンタギュー夫人

美しいです。
岩谷さんは両家の夫人のドレスに、情熱のほとんどをつぎ込んだのでは?
大きく膨らませた鹿鳴館風のパウダーグレーの髪に、透ける素材のハイネックと長袖にビスチェを重ね、腰にオ―ストリッチかファーのバッスルスタイル。全身優雅なライトグレーではっきりしたお顔立ちに赤口紅が英国の淑女のよう。

あと、両家の夫、石川禅さんキャピュレット公の紅いジャケット豹柄のボウタイブラウスに一つにまとめた黒髪ロング、モンタギュー公 ひのあらたさんのライトグレーのロングテ―ルコートの優雅さ、更にヴェローナ大公の中山昇さんも、長身で、大公殿下をセンターに両家がにらみ合う定番の場面の見栄えの良かったことと言ったら!

こういう大人枠のVISUALが充実していると気持ちがいいですね!

■ 良知真次 マーキューシオ、パリス 岡田亮輔

まとめてしまいましたが、ともにヴィジュアル良し、歌・演技良し。
パリスの衣装がちょっとかわいそうでしたね。ライトピンクと黒、そしてメイクも昔の貴族のようにピンク系のパウダーをはたいていらしたのかしら?
役にあったお二人だったと思います。

■ 再び 中島周  「死」

衣装について書くのを忘れていました。
冒頭は黒パンツの上にチュールのロングスカートを重ね、上半身も透けるピッタリした長袖Tシャツスタイル。手元とお腹のあたりにキラキラのラインストーンが散りばめられていて耽美的。

マントヴァでロミオに毒薬を売る薬売り、は、なんとクラブ・マントヴァというボールダンサーが妖しく踊るカウンターバーで、バーテンダーのようにカウンターの向こうにいます。
黒パンツに素肌に黒ジャケット、目深にかぶった帽子でダークなシャドウの目元が隠れているので 却って東バ時代のベジャールダンサー周くんらしくてハッとします。

基本、「死」は、辺りの2層になった建築現場の足場のような建物を徘徊して、そこで踊っていたり、ロミオにまつわりついて、死の影を匂わせるのですが、
このマントヴァで薬を売った後、ジュリエットの死に絶望するロミオに絡み、そして、黒のストールを使ってロミオを翻弄し、完全に支配下におく瞬間があり、総じて、バレエダンサーならではの超遅速のタンジュなど、溜めることで魅せる、という静の演技が多い中島「死」の中で唯一シャープな攻めの姿勢を見せる場面で、ちょっとベジャールの「M」のときのサディスティックな鋭さを思い出しました・・・

やっぱりまた、ベジャールを踊って欲しいですね。

カーテンコールでは、みな手拍子したり、笑顔で盛り上がる中、表情を大きく崩すことなく、周囲が盛り上がるときには、すっと柱の陰に消えたり・・・。
常に「死」として舞台に存在しようとする、彼の矜持を観た思いがしました。




東宝「ロミオとジュリエット」at 赤坂ACTシアター ①

2011-09-14 15:07:58 | Musical
今日、これから、赤坂ACTシアターで「ロミオとジュリエット」を観てきます。

2010年夏、宝塚星組で初演のフランス版、ジェラ―ル・プレスギュルヴィック作曲・演出のミュージカル。
2011年お正月、宝塚雪組で、音月桂のTOP男役お披露目公演として、大劇場で再演されたのがまだ記憶に新しい、この作品、日本版の演出は、海外ミュージカルの翻案には絶大なる安定感をみせる小池修一郎が担当。
女性だけで演じられた宝塚版とはまた違った趣向もありそうで、この東宝版もまた楽しみです。

今回はCASTにも色々と面白そうで・・・

ロミオ、ジュリエット、ティボルト、マーキューシオ、そしてダンサーの「死」が役替り。
定番CASTは、涼風真世さんのキャピュレット夫人の歌、大鳥れいちゃんのモンタギュー夫人の美しさ、未来優希さんの乳母の歌と演技が楽しみです。
あと、石川禅さんのキャピュレット公、浦井健治くんのベンボーリオ辺りも安定感がありますね。

役替りメンバーは、
ロミオが、昨年、トート役で「エリザベート」に新風を吹き込んだ(というか演技はナチュラル過ぎ?歌はまずまず、ヴィジュアルの存在感は素晴らしい)城田優くん。
ジュリエットが、これはふたりとも新人さんですけど、一際小柄な昆夏美さん。
オーディションで選ばれたらしく、きっと才能のある人なのでしょう。
ジュリエットらしい初々しさにも期待。


そして、実は、ここで観よう!と思ったという・・・
「死」のダンサーが元・東バの中島周くん。
プリンシパルに上り詰めての突然の退団に、どうしているのかしら・・と思っていたら、こんなオーディションを受けていたのですね^^
「死」のもう一人はストリートダンス系のカリスマ大貫さんで、こちらも話題の人。
色々と楽しみです




観てきました!
やっぱりこのロミジュリはいいですね!!
作品力を感じました。
来秋にフランスチームが来日するそうですが、そのチラシ、TBS、東宝、ホリプロ、梅田芸術劇場が主催になっているので、今回と同じハコで上演されるのでしょうか。
先の話ではありますが、これは観なくては!と思っております。

宝塚版との違いは、「愛」と「死」の2人のダンサーが象徴的に登場していたのが、「死」の男性1人になったこと。
ジュリエットの母が歌っていた”結婚には愛はいらない”SONGは乳母が担当。
乳母の歌に続いて、パリスとの結婚を命じるにあたり、母は愛のない結婚とジュリエットが愛人との子供だという衝撃の告白を。フランス版ではあったこの歌、スミレコード的にソフトな設定に変えるべく、省いたのでしょうが、復活していました。
これだけヘビーなお話の後ゆえ、ジュリエットの舞踏会を前に、心から愛することの出来るヒトと出会いたい、という歌も、乙女心というよりは、この状況から逃れるためにだれか救いに来て!という切迫感が。
あちこちで話題になっている、携帯電話やFaceBook、ドラッグなどの扱いは、わたくしはあまり気になりませんでした。
Visual的には、青・上手=モンタギュー、赤・下手=キャピュレットが
白黒ジラフ柄・下手=モンタギュー、赤豹柄・上手=キャピュレットと、
象徴的な色をちょっと変えて、舞台の上下を逆転させていたのが、大きな違いでしょうか。
(この、宝塚と東宝で舞台の上下を逆転させるのは「エリザベート」のときもそうだったとか・・・
小池先生のこだわりでしょうか^^?)
そして2人の死と両家の和解の後、デュエットダンスがありません・・・って当たり前か^^;

*個々の場面とCASTについては、また続いて語ります


ブロードウェイ・ミュージカル「コーラスライン」

2011-08-28 11:42:34 | Musical
もうすぐ8月も終わりますね。
暑い夏でした・・・って、まだ、残暑がありそうですが^^;

前半宙組で飛ばしすぎ、中盤、「Valentino」「Phantom」、そして「A Chorus Line」と
へとへとになりながら劇場をまわっていたあの頃から比べるとちょっと落ち着きを取り戻しつつある今日この頃です。

その割に、ロクな記録も残さないまま、スル―してしまいそうな気配が・・・(いつものことですが!)

三成様の生涯、という大作(!)にかかる前に、気楽に書けそうなものを先にUPする作戦に出ることに致しました。時系列滅茶苦茶ですが、ご容赦を。



赤坂ACTシアターにて。
2011年8月17日(水)18:30~

1975年7月25日初演.

原案・振付・演出: マイケル・ベネット
音楽:マーヴィン・ハムリッシュ

普通にe-plusの先行で取ったのですが、4列目通路際サブセンという良席で驚きました。
この日はチケット完売。男性客が多い客席が新鮮(笑)

この作品は今やMusicalの古典、といった趣がありますね。
四季などで繰り替えし上演されていますし、曲も有名なので、つい観たような気になっていましたが、実は生の舞台で観るのは初見。
好きな曲が多い作品なので、歌の上手い人がソロを取るキャスティングが嬉しかったです。

30年以上昔なんだ・・・と改めて思いました。
見どころは、チャンスに賭けるショービズ界のピラミッドの底辺(いや、モブでもブロードウェイだからそれなりにアッパーなんですよね。そのあたりの微妙感もきちんと表現されていました)から、様々な背景を持つ応募者たちの心の叫びとそれを華やかな舞台で昇華させて見せる・・・という、構成の妙。

ずらりと並んだ応募者17名。
その中から8人のコーラスライン(バックダンサー兼コーラス)を選ぶ過程を観客も体験。
新進の演出家ザックが、それぞれの個性を見極める、という前提で、ひとりずつに自己紹介をさせる・・・。

何人選ぶつもりなのかしら?自己紹介?何を話そうか・・・あまりに暗い話題じゃマズイし・・などとあたふたする心の声も台詞に歌に散りばめられて実にリアル。

温かいファミリーに囲まれたイタリア移民の息子、新婚カップル、整形手術で人生好転の実力派ダンサー、下積みの苦労と家族との軋轢を語る同性愛者。
一度はスターダムに上り詰めたもののスランプに悩み、再起を賭ける演出家の元妻。
家庭の問題からの逃避場所としてバレエ教室で夢見ていた少女たち、演劇学校のメソッドを皮肉るナンバーを歌う聡明な若い女性など。
思春期の若者の気持ちなどは時代が変わっても同じなのかもしれませんが、同性愛者の生きづらさはどうでしょう。今も変わらないのかしら?
若い、とはいっても、ダンサーの旬は短い。それがわかっていて、自分の進む道を信じ、でもその後の人生の準備も視野に入れなくてはならない・・・という微妙な年代であることも滲ませて、最後の頃は、応募者全員が友達のように身近に思え、それゆえ、それぞれの実力・人間力もなんとなく伝わり、最後の8名は納得の人選・・・という辺りも上手い。

ブロードウェイのCASTがそのままツアーに参加してるらしく、それぞれ役に合ったCASTINGだと思いました。
特に印象に残ったのは、女優らしさ満点のCassie役のCarleighBettiol、黒人ではじけるパワフルなダンスが目立ったRichie役のKurt A.Douglas、演劇学校メソッドを皮肉るDiana役のAlexandraFasslerの歌唱、ザックの助手で振付師のLarry役ChristpherHowardのダンスのキレの良さ。

改めて、良くできた作品だなぁと。

舞台と近く、親密な空間、という感じがするACTシアターも、作品に合ったハコでした。