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お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

パリ・オペラ座バレエ団「ジゼル」 ルテステュ・マルティネス ②

2010-03-28 19:38:38 | BALLET
2009年の世界バレエ・フェスティバルで見せてくれた、アニエス・ルテステュとジョゼ・マルティネス、オペラ座を代表するエトワール2人の「ジゼル」第2幕。
幻想的で静謐、真夏の東京の世界のスターダンサーが繰り広げる熱い舞台において、一気にその場の空気を変えてしまった二人の演技。
全幕で是非観たい!というバレエ・ファンの希望が伝わったのか、今回のオペラ座日本公演での「ジゼル」の初日を飾り、唯一2回公演を行うことになったこの二人です。

まずは初日に駆けつけました。
昨日のゲネでも感じたのですが、本番では一層。。。



豪華絢爛ハリウッド版「シンデレラ」と比べると、さすがは19世紀のバレエ、シンプルで舞台装置も簡素です。
ではありますが、藁ぶき屋根の厚み、ジゼルの家に至る曲がりくねった小道、遠くに見えるアルブレヒトの居城など、必要最小限にして、効果的なリアル感と配置。

まずは幕開け、村人たちが軽く登場、ひらりとひと踊りするのですが、この村人たち、妙にノーブル(笑)
背負い籠が似合わないことはなはだしいのですが、これもまたオペラ座ならでは、ということで。
そういえば、昔は現エトワールのマチューも籠を背負っていたこともあったわけですし・・・。

そして端正な印象のあるプルミエ昇格、注目株のジョシュア・オファルトのヒラリオンが登場。
ノーブルな持ち味の彼は、ヒラリオンの粗野さや単純さを表現するために重心を変えたりといったアプローチを行ったとか・・。
小さな白い花束をそっとジゼルの家の前に置きますが、その愛情表現は比較的控え目です。
ジゼルには憧れているものの、そんなに近しい間柄ではないヒラリオンです。
人の気配に立ち去る彼。



アルブレヒト登場!
簡素な姿に身をやつしてはいますが、キラキラの王子オーラ。
すっと伸びた背筋、エレガントな立ち居振る舞いに出自は隠せません。
どうだい、村人に見えるだろう。見えませんって!それに腰に・・・貴族の証の剣をつけたまま。
ふっ、これはこれは。はずしてマントとともに預けた従者の肩を抱き、この家に住む少女の美しさを楽しげに語ります。
「わたしは賛成致しかねますね・・こんなこと」と渋い表情の従者ウィルフリード。
彼はこの気まぐれな楽しみごとが良い結果をもたらさないであろうことを予見しているようです。
突然、高飛車に、呼ぶまで姿をあらわすでないぞ、控えておるが良い、と領主様。
向かいの納屋に剣を隠して、ウィルフリードは首を振り振り、小道を上って去ります。

さて。
コンコン、コンコン、コンコン、と音楽に合わせて扉を軽くノックする彼。そうしておいて家の陰に・・・
ジゼルが扉を開けて走り出てきます。
金髪を下ろして耳の後ろで小さな白い花飾りで軽くとめつけたヘアスタイルが楚々とした少女の風情のアニエス。
落ち着いたブルーの濃淡のふんわりとしたスカートと胴着が大人っぽいアニエスをろうたけた美少女に見せています。
喜びに輝く顔、あら、彼かと思ったのにだれもいない・・・まぁ!
知らない間に真後ろに立っていたアルブレヒトに驚きとときめきと恥じらいがないまぜになった表情のジゼル。
ジョゼのアルブレヒトは可愛い村娘の気持ちを好きなように弄ぶ恋の達人。
狩りと同様、貴族の楽しみごとのひとつとして気晴らしの恋愛ゲームをたしなんでいる感じです。

花占いの時には2本の白い花を家の前からつんできて、2~3枚花弁をちぎったところで素早く残りを数えて悲嘆にくれるジゼル。頭の回転の速い娘。洞察力があり、感受性が強く、精神の動揺が激しいジゼルの性格がさりげなく提示されます。
アルブレヒトはその花を投げ捨て、もう一本の花を手に、素早く枚数チェック。
ジゼルの手を取り、ほら、大丈夫だよ!と。

ヒラリオンがやってきて二人の邪魔をします。
あまりの彼の剣幕に思わず腰に手を・・あ、剣は。ヒラリオンはその様子を見逃しません。
が、アルブレヒト丸腰でも貴族の威厳。格の違いでヒラリオンはねめつけられて引き下がります。

村人たちが現れてダンス。
ジゼルも踊って!とせがまれて、もとより踊りが大好きな彼女、恋人の前でイキイキと踊ります。
皆と踊っている最中に胸が苦しくなるジゼル。
どうしたの?ここで休んでいて、僕が踊っているのを見てね、とアルブレヒトは心配するもののさほど深刻に捉えていはいません。ジゼルもすぐにまた輪に加わります。

そこにジゼルの母ベルタ登場。
かなりのベテランさん、どの階級の人かと思えばなんとオペラ座バレエ教師。さすがのマイムと迫力です。
ジゼルの心臓を心配し、結婚前に亡くなった娘たちが・・・とウィリ伝説を一同に語ります。
さあ、だからジゼル、家にお入りなさい。
アルブレヒトはジゼルと投げキスを交わしつつ、ベルタが振り向くと大人しく会釈・・の繰り返し。

人影のなくなった広場に現れたヒラリオン。
先程のアルブレヒトの様子にもしやと・・・納屋に隠した剣を発見!
すると、狩りの貴族の一行が現れ、ヒラリオンはひとまず姿を隠します。

公爵のおなり~!
なんと、バチルド姫の父にヤン・サイズが!うーん、彼は怪我が多くてキャリアと華からするとプルミエに上がっていても良い逸材。その彼がこんな踊らない役に・・勿体ないけれど舞台にいてくれるだけで場が華やぎますv
しかし、アニエスのインタビューによると、このパリオペ版の「ジゼル」では昔の初夜権(領主は領民が結婚するに当たり、その花嫁を花婿より先にお試し!?することができる、というトンデモな法律。オペラ「フィガロの結婚」でもモチーフになっていますよね)により、実はジゼルはクールランド大公の庶子、だから村人ならぬ美少女で・・・という設定らしい。
アニエスとヤンの血がつながっていてもおかしくはないですけど、ベルタに対するヤンの若さは・・・うーん、まぁそれはおいておいて^^;
「ナルニア国物語」の挿絵に出てくるような広く垂れた袖口の貴婦人のドレスが優雅です。
思わずバチルド姫のドレスにそっと後ろから触れるジゼル。
身体は弱いけれど、好奇心は旺盛で積極的。でもはにかみやでかわいらしいジゼル。
気づいて振り返った姫に慌てて母のもとに駆け寄るものの、微笑みながら「あまりにもお姫様がお美しいのでつい・・」と自己紹介。バチルド姫も悪い気持がしません。
あら、きれいな娘さんね。あなた、恋人は?います、ご紹介しますわ・・あら、どこにいったのかしら?
わたくしはね、婚約しているのよ。まぁ・・ステキですわ!
そうだわ、お父様、わたくしちょっと思いついたことが。・・・好きになさい。
バチルド姫はジゼルに黄金の首飾りを与えます。

ペザント・パ・ド・ドゥ.
チャーミングなエマニュエル・ティボーくん。相変わらずゴムまりのような躍動感と黒髪巻き毛に大きな瞳。
彼はトロワやこういったディベルティスマン的なPDD要員として定着している模様。確かにハマっているし彼の踊りを見られるのは嬉しいけれども、キャリア的にはここで立ち止まっていて欲しくはないかな・・とやや複雑な気持ちに。
ユレルは着実な踊りを見せてくれましたが、やっぱり怪我で降板したミリアムがここに入れば・・と思わずにはいられません。

こんな小屋ですがよろしければ・・・。ベルタの招きで公爵たちは家に。
貴族は三々五々、休憩の場を捜して解散します。大公はウィルフリードに合図はこれで、と角笛を渡し、彼はそれを入り口にかけます。

ヒラリオンは納屋からアルブレヒトの剣を取り出してその紋章を検めます。おぉ、これは!角笛と見比べてある確信を得る彼・・・。

村人たちがダンスを再開。いつの間にかアルブレヒトもそこに加わっています。
ねぇ、さっきはどこにいらしていたの?あのね・・・ジゼルは首飾りをアルブレヒトに見せます。
そこに割って入る、ヒラリオン。二人の間を剣で隔てます。何のつもり?!
誰の剣だと思う?まさか?
嘘!沈黙していたアルブレヒト、憤然とその剣で斬りかかろうとするところ、忠義のウィルフリードが止めに入ります。
角笛を鳴らすヒラリオン。

貴族の一行が集まります。
おや、アルブレヒト、どうしたのだその格好は?いや、一足先に出発していたのですが、すっかり狩りに夢中になっていて・・ハハ、そうか。
姫もおいでとは・・・宮廷マナーでバチルドの手にキスをしようとするアルブレヒト。
その様子を凍りついたように見ているジゼル、一瞬ハッとします。何をしているの!?
言ったでしょう。彼がわたくしの婚約者よ。
バチルドからの決定的な一言に首飾りをはずすジゼル。ここでよく、首から引きちぎらんばかりにして激情を表すジゼルが多いのですが、アニエスの解釈は独得でした。
何もかもを察し、そしてそのことの重さに愕然とし、放心したジゼルの手から首飾りが滑り落ちます。
もう彼女は外界と遮断された精神状態に・・・。
過ぎ去った恋の時間を思い出して涙にくれるでもなく、アルブレヒトに取りすがるでもなく、ただただ心が空白になり、どんどん中が崩壊していく様を静かに見せるアニエスのジゼル。
時は止まり、アルブレヒトに非難の目を向けたバチルド姫の肩を抱いた大公はそ~っと小道を掃けていく貴族たちの列の最後に着きます。
落ちている剣を拾って地面を滑らせたり、花占いを思い出したり、の定番のマイムはさらりと行い、一度は母に抱かれて小屋に向かおうとするも、アルブレヒト、ヒラリオンの間をすり抜け最後、アルブレヒトに空中で抱かれて倒れます。
ジゼルの死。
所謂、「狂乱の場」ですが、アニエスのジゼルは状況を察する洞察力と、首飾りをくれたバチルドの咎であるはずもないとの冷静な判断ができる知性を持ちあわせ、また、その衝撃をアルブレヒトに向けて発散させるでもなく、ひたすらに自己に向かって受け止めようとするけれども、弱い心臓がそれに耐えきれなかった・・・という、安易な涙を許さない心が冷たくしびれていくような最期を遂げます。
母親の腕の中のジゼル。
アルブレヒトはヒラリオンを責め、ヒラリオンはアルブレヒトを責める。
村人たちに同意を求めるも、誰一人としてアルブレヒトと目をあわせようとはしません。
ウィルフリードがアルブレヒトの肩をマントで包み込み、場を去るように忠言。
走り去る彼。
残された者たちの悲嘆、で第1幕が終わります・・・


パリ・オペラ座バレエ団「ジゼル」 ルテステュ・マルティネス ①

2010-03-28 19:03:52 | BALLET
フィギュアの女子・・・コメントしたき事てんこ盛り(笑)ながら、まずは先週楽日を迎えたパリ、オペラ座バレエ団、「ジゼル」本公演の感想などを

まずは配役などの詳細から・・・

「ジゼル」全2幕

テオフィル・ゴーティエ、ジュル=アンリ・ヴェルノワ・ド・サン=ジョルジュの台本による
1998年製作
751回目の上演(現プロダクションでの194回目の上演)

音楽:アドルフ・アダン
振付:ジャン・コラーリ、ジュール・ペロー(1841)
改訂振付:マリウス・プティパ(1887)、
パトリス・バール、ユージン・ポリャコフ(1991)
装置:アレクサンドル・ブノワ
装置製作:シルヴァノ・マッティ
衣裳:アレクサンドル・ブノワ
衣裳製作:クローディ・ガスティーヌ
演奏:東京フィルハーモニー交響楽団
指揮:コーエン・ケッセル
_________
2010年3月18日(木) 7:00 p.m. 東京文化会館
■タイムテーブル
第1幕:19:00 – 19:55
【休憩 20分】
第2幕:20:15 – 21:05

ジゼル:アニエス・ルテステュ
アルブレヒト:ジョゼ・マルティネス

ヒラリオン:ジョシュア・オファルト

第1幕

ウィルフリード:ジャン=クリストフ・ゲリ
ベルタ、ジゼルの母:ヴィヴィアン・デクチュール
クールランド大公:ヤン・サイズ
バチルド姫:ベアトリス・マルテル

ペザント・パ・ド・ドゥ: メラニー・ユレル、エマニュエル・ティボー

ジゼルの友人: マチルド・フルステー、シャリーヌ・ジザンダネ、ミリアム・カミオンカ、ルシー・クレマン、エレオノール・ゲリノー、オバーヌ・フィルベール、カロリン・ロベール、ポリーヌ・ヴェルデュザン

ぶどう狩りの村人たち: アマンディヌ・アルビソン、マリ=ソレーヌ・ブレ、エロイーズ・ブルドン、サラ・コーラ・ダヤノヴァ、
サブリナ・マレム、ロール=アデライド・ブコー、ヴァランティヌ・コラサント、ヴァネッサ・レガシー、ロレーヌ・レヴィ、セリーヌ・パラシオ、カリーヌ・ヴィラグラッサ、クララ・デルフィノ
ベルトラン・ベレム、フロリモン・ロリウー、フロリアン・マニュネ、ニコラ・ポール、アレクシス・ルノー、ファヴィアン・レヴィヨン、シモン・ヴァラストロ、ヤニック・ビタンクール、アドリアン・ボデ、マチュー・ボト、アクセル・イボ、ダニエル・ストック

宮廷の貴婦人と貴族たち: レイラ・ディラク、ノエミ・ジニアディス、ペギー・デュルソー、エミリー・アスブン、ルシー・マテキ、ソフィア・パルセン、ニノン・ロー、モー・リヴィエールジャン=バティスト・シャヴィニ、シリル・ショクルン、ジュリアン・コゼット、アレクサンドル・ガス、アレクサンドル・ラブロ、エリック・モナン、ピエール・レティフ、ユーゴ・ヴィリオッティ

第2幕

ミルタ:マリ=アニエス・ジロー

さいころ遊びをする人たち: ヤニック・ビタンクール、アドリアン・ボデ、マチュー・ボト、アクセル・イボ、ダニエル・ストック

ドゥ・ウィリ: マリ=ソレーヌ・ブレ、サラ=コーラ・ダヤノヴァ

ウィリ: アマンディヌ・アルビソン、エミリー・アスブン、エロイーズ・ブルドン、マチルド・フルステー、カリーヌ・ジザンダネ、ミリアム・カミオンカ、サブリナ・マレム、ベアトリス・マルテル、ロール=アデライド・ブコー、ルシー・クレマン、ヴァランティヌ・コラサント、エレオノール・ゲリノー、ヴァネッサ・レガシー、ロレーヌ・レヴィ、セリーヌ・パラシオ、オバーヌ・フィルベール、カロリン・ロベール、カリーヌ・ヴィラグラッサ、ポリーヌ・ヴェルデュザン、クララ・デルフィノ、レイラ・ディラク、ノエミ・ジニアディス、ペギー・デュルソー、モー・リヴィエール





TORINOフィギュアスケート世界選手権2010 男子シングル

2010-03-27 07:33:17 | インポート
パリオペの「ジゼル」レポも未だ途中ですが、フィギュアスケート世界選手権、まさにまっ最中。
そんな中,男子シングルの結果が出ましたね!
まず言わずにいられないこの一言・・・

高橋大輔選手、おめでとう~

イタリア、トリノの会場で、ニーノ・ロータの音楽にのってフェリーニ映画「道」の映像を彷彿とさせるストーリー仕立てのプログラム。
4回転フリップに挑戦するという果敢な姿勢もさることながら、後半ステップが荒く乱れることもなく丁寧に滑り切ったその演技!

満場の拍手に後押しされて1位に輝いた結果も素晴らしいことなのですが、ジャンプ・スピンを織り込みながら、表現力のある高橋選手の資質を活かせるこのプログラムそのものも好きで・・。
いつかノーミスで、完成形を観てみたいものだと思っていた作品ゆえ、シーズン最終でこういった形で観ることができたのが何より^^。

終了後のインタビューで、また来年の世界選手権でも(東京開催!)金メダルを狙いたい、と意欲をみせてくれたのが、また嬉しい発言でした。
アスリートとして、表現者として進化を続ける選手ゆえ、まだこの先、どこまで限界を押し上げてくれるのか観ていきたいと今後の去就が気がかりだったのですが、ひとまずこれで安心して来シーズンを期待できそうです

日本人選手といえば、ジミ・へンドリックスのギターソロに合わせてジャンプも滑りもキレイに決めていた小塚くんのショート・プログラムも素晴らしかった。
TVで見逃した気になる演目はYouTubeでチェックしていたのですが、イタリアの放送でも、彼は20歳と若いけれども4年後には大きな大会の主役のひとりとなるだろうと絶賛されていました^^
それだけにフリーのジャンプの不調は残念なものがありましたが・・・。
ジャンプの不調と言えば、今シーズン安定感抜群だった織田君の不調がxxx
バンクーバー靴ひも事件のショックからまだ完全に気持ちがもどっていなかったのかしら。
来シーズンは気持ちを新たに頑張って欲しいです^^;

バンクーバーの上位陣が、ジョアニー・ロシェットを除いてほぼ勢ぞろいする女子の華やかさに比べると、男子は・・・

金メダルのライサチェク不参加、
銀のプルシェンコはドクターストップで休場、
4位のランビエールがプロ転向(クスン)
ギリギリエキシビション圏外になったジョニー・ウィアーは戦略を練り直す必要を感じ・・という理由にて欠場。
ジョニーくんはこのところノーミス自己ベストの好演技に対して得点が伸び悩む傾向があり、採点にブーイングのファンを大人の態度で押さえる度量を見せてくれていましたが、やはり内心思うところがあったのですねxx彼らしさを失わずに、また戻ってきてほしいです。

というわけで、若干体温低めでスタートした男子シングルでしたが、結果としては、高橋君の素晴らしい演技を観ることができて満足。
他にはバンクーバーでまさかの下位に沈んだブライアン・ジュベールの復活の兆しが見えたこと、
あとアメリカのアダム・リッポンの美しさのある演技など、(4:45からの生放送ゆえ、時折落ちながらの観戦で、しっかり全てを観たうえでの感想ではないところが心苦しいのですが)印象に残りました


パリ・オペラ座バレエ団「ジゼル」 ゲネプロ

2010-03-23 13:18:21 | BALLET
ようやく(笑)「シンデレラ」から「ジゼル」へ・・・

今回、NBSさんからのご配慮で、バレエの祭典会員へのサービスとして、「シンデレラ」「ジゼル」あとロイヤルの「リーズ」のいずれかのゲネプロご招待、という企画があり、「ジゼル」のゲネ観賞に参加して参りました。

東京都の青少年のための芸術鑑賞プログラムの一環としての対象公演にもなっていましたので、高校生とおぼしき一団をロビーでお見かけしましたが、みなさん静かに観賞されていました。
2階席~4階席が割り振られていて、1階席は関係者のみ。
第2幕では第一幕で村人を踊っていた男性ダンサー(多分女性はそのままウィリに・・)も何人か席についていました。

会場入口で配布された配役表には、ゲネプロでは、衣装・進行などが本番と異なることがあります、との但し書きが。
衣装をつけずに参加するメンバーもいるかもしれないな・・と思っていましたら、ほぼ本番通りの衣装とセット。
演技や踊りも、2幕のアルブレヒトが死ぬまで踊らされるシーンこそ場当たり程度にとどめていたジョゼでしたが、あとはほぼ本番通り。
1幕のぺザント・パ・ド・ドゥで、文化会館の舞台はオペラ座より狭いのか(笑)エマニュエル・ティボーくんが村人たちが囲んで見守る中、ソロを踊るシーンで、スカートを広げて座っている女性の一団にぶつかりそうになっていて、彼女たちがあわてて退いているのが面白かったです。
これは翌日さっそく活かされて?最初から村人の輪が大きめだったような・・・
最終日はほとんど背景に密着するくらいまで後ずさったところに座っていたのをチェック^^

ダメ出しはそれぞれの幕が終わったところで拡声器を使って、客席の多分パトリス・バールさんから色々と指示が。
(内容は聞き取れませんでしたが・・・)

オケはボーダーのニットなど、カジュアルウェアの方が多かったのですが、2幕の弱音部の美しさにハッとさせられました。
配役表を改めてチェックすると、東フィルがクレジットされていました!
通常NBSのバレエ公演では東京ニューシティ管弦楽団が演奏を担当することが多いのですが(今回のシンデレラ、GOOD JOBでした!)、バレフェスのGALAで、NBSの佐々木総裁が、ご挨拶の際、「今回は奮発して東フィルをお願いしました」とおっしゃっていたのを思い出し・・・。
「ジゼル」では東フィルを”奮発”してくださったのですね。嬉しいことです

ゲネで配られた配役表です。


パリ・オペラ座バレエ団 日本公演 舞台総稽古
2010年3月17日(水)6:30p.m. 東京文化会館

「ジゼル」(全2幕)
テオフィル・ゴーティエ、ジュル=アンリ・ヴェルノワ・ド・サン=ジョルジュの台本による

音楽:アドルフ・アダン
振付:ジャン・コラーリ、ジュール・ペロー(1841)
改訂振付:マリウス・プティパ(1887)
パトリス・バール、ユージン・ポリャコフ(1991)
装置:アレクサンドル・ブノワ
装置製作:シルヴァノ・マッティ
衣裳:アレクサンドル・ブノワ
衣裳製作:クローディ・ガスティーヌ

◆主な配役◆

ジゼル:アニエス・ルテステュ
アルブレヒト:ジョゼ・マルティネス
ヒラリオン:ジョシュア・オファルト

ウィルフリード:ジャン=クリストフ・ゲリ
ベルタ、ジゼルの母:ヴィヴィアン・デクチュール
クールランド大公:ヤン・サイズ
バチルド姫:ベアトリス・マルテル
ペザント・パ・ド・ドゥ:メラニー・ユレル、エマニュエル・ティボー
ミルタ:マリ=アニエス・ジロー

演奏:東京フィルハーモニー交響楽団
指揮:コーエン・ケッセル

◆上演時間◆

【第1幕】 18:30 - 19:25
休憩 20分
【第2幕】 19:45 - 20:35

CASTは翌日の初日のメンバーでした。
チケットを取っていない初役ペア、ドロテとマチアス、ということはないかしら・・・と一抹の期待をもっていたのですが^^;
とはいえ、アニエスとジョゼはバレフェスでの「ジゼル」第2幕抜粋がその場の空気をガラリと変える素晴らしいものでしたので、まずおさえなくては、と取ったペア。翌日への期待が高まる内容でワクワク!

実際には15分ほど遅れての開始。
2幕が終了した後、アニエスに色々と確認が続き、そのやり取りの間にマリ=アニエスをはじめ、ウィリたちが舞台衣装のロマンチックチュチュのまま、私物の黒っぽいショルダーバッグなどを思い思いに肩にかけて上手から下手に横切って行ったのがゲネならではの珍しい光景・・・^^。

まだまだアニエスとバールさんのやりとりが続く中、アナウンスに促されて退出。

「ジゼル」は2幕物ですし、装置も村と墓場の2種類だけでシンプルな舞台で、「シンデレラ」のようなショーアップされた作品の後ではちょっととまどいもありましたが、練られた演技、バレエ・ブランの幻想的な味わいなど、やはり古典の豊かさを改めて感じることのできる作品だと思ったことでした。
このペアを初日で観るほかは、パリで初演を務めるプレルジョカージュの新作「シッダールタ」のために、1日だけ日本公演に参加のオレリー・デュポン、ニコラ・ル・リッシュペアの最終日の2日だけの観賞ですが、ともに1階前方の良席を手配できたので、細やかな演技を楽しみたいと思います
(ゲネでは2階席ほぼセンター・・・これはこれで、全体の状況が良く分かって良かったですv)


パリ・オペラ座バレエ公演「シンデレラ」 ムッサン・ガニオ ②

2010-03-22 07:04:26 | インポート
「シンデレラ」、最終日です。
デルフィーヌ・ムッサンは一幕の灰かぶりでは、他の二人とは違って、グレーの布で髪を覆ってはいません。
大柄でエレガントな他の二人とは異なり、華奢で、でも芯のしっかりした清楚なイメージのデルフィーヌ、今まではシンデレラと異母姉たちは全く血のつながりを感じさせませんでしたが、彼女は背格好も似ているので、お父さんは同じなのね、という感じ。それだけに苛められている姿はどこか超然としていたアニエスたちよりも可哀そうだったかも・・・・

お父さんのスーツを戯れに着てのステッキタップはとてもきれいに音楽に乗って踊っていましたが、ちょっと地味?なのは敢えての比較で、致し方ありませんね。



変身してからは・・・楚々とした美人で、リフトされての登場も、空中を流れるように歩いて、重力を感じさせない軽やかさが魅力。
対するマチューは、アラン・ドロンをイメージした、という役作りで、お髭つき。
デルフィーヌが硬質で清潔感のある娘らしさをだしていて、マチューはちょっと背伸びして大人っぽく拵えているので、
実際の年齢差はあまり気になりませんでした。



ソロで踊る場面も、ジョゼのような圧倒的な王子オーラとまではいきませんでしたが、美しく整った容姿と呼応するように指先まできれいに行き届いた踊りに成長が感じられて、嬉しかったです。
3人のスターで好みを言わせていただけると、ジョゼの充実が印象に強く残りました。
それだけに、もう来年でエトワール定年!?と聞いて早すぎる!!今のほうが3年ほど前よりずっと良いのに!となんとも言い難い喪失感に襲われたのですが、NBSのパリオペブログで来年の次のシーズンまで出演予定あり、とフォロー記事(ありがとうございます)があり、ホッと一息・・・。



デルフィーヌの変身後は黒髪ショートボブが粋でステキ。
アニエスが圧倒的なクラス感とエレガンスで登場時からその場をオーラで満たし、マリ=アニエスが輝かしいスターオーラでうっとりさせてくれたのとはまた違った解釈。
繊細な踊りは、シンデレラがもとの灰かぶりの少女の心を持ち続けていて、まだこの華やいだ世界に驚いていて、その幸せを噛みしめている・・・という心の動きを静かに伝えていて、グッときます。
好みでいうと、長身エトワール2人の華にやっぱり惹かれてしまうのですが、ムッサンの持ち味が良く出ていて、彼女がこの作品でエトワール昇格を果たした、ということが良くわかる演技内容でした。



そして今回も大活躍のアグリーシスターズ&継母チーム。
何度見ても驚異ですよね。CUTEなはじけっぷりとギリギリのバランスを保ったステップの妙技、楽しませていただきました。Bravi!