マリインスキーバレエの至宝、いや、バレエ界の宝、
ウリヤーナ・ロパートキナの白鳥を観るのは前回の来日公演に続いて2度目です。
2006年のときはゼレンスキーを相手に硬質な、氷が煌くような高雅な白鳥を見せてくれた
ロパートキナ。
あれから3年。
ベスト・パートナーと名高いコルスンツェフとのパートナ-シップで、どんなオデット・オディールを
魅せてくれるのか・・・
ドキドキしながら幕が開き、上品なパステルカラーと落ち着きのある金色に彩られた宮廷が・・・。
バイカラーづかいの道化の衣装も黒白で、全体にシックな設えがマリインスキーらしい舞台です。
その道化、グリゴーリー・ポポフは愛嬌はまずまずですが、跳躍力が素晴らしい。
すべてのジャンプにハッと目を引く高さがあり、このバレエ団の基礎力を感じさせます。

王子登場。黒いビロードに金の刺繍の胴着に純白のタイツが、パステルカラーの貴族たちの中にあって
一際ノーブル。
長身で身体のラインも美しく、節度のある伸びやかな踊り。
ロパートキナを観に来たはずが、王子のソロでもしっかりと魅了されました。
黒髪のコルスンツェフは成人したばかりにしては落ち着いていますが、家庭教師に悪ふざけをする友人たちの中にあっても程よく溶け込むリラックスした風情の王子。
王子の友人たち~パ・ド・トロワ。
とりわけ中心の男性は次世代王子の宝庫。
前回の紅顔の美青年シクリャローフは今回の公演では王子として大活躍ですから・・・
今回のマクシム・ジュージンもゆるぎないテクニックの持主。
丁寧な踊りで品の良い存在感のある、マリインスキーらしいソリストです。
トロワの女性二人も今回大活躍。
とりわけ入団12年目の中堅どころ、ヤナ・セーリナはトロワのあとは4羽の小さな白鳥、
そして2幕ではナポリのソリスト、と八面六臂の大活躍!
(CAST表を見て目がテンになってしまいました・・)
頼りにされているのですね・・・
もうひとりのヴァレーリヤ・マルトゥイニュクも、このあと4羽の小さな白鳥もこなしました。
お約束のトロワの女性と道化の恋、は道化があっさりかわされていて
マリインスキーのソリストたちは、概して、キチンと演技はするものの
過度に存在を誇示しない感じ、でしょうか(笑)
王妃は前回と同じく、バジェーノワ。
王子に美しく細工の施された弓矢を誕生日祝いとして贈ります。
皆が揃って乾杯!
群舞の中にあって物思う王子。
人々が立ち去っても一人とどまり、ソロを踊りますが、このソロが素晴らしい。
伸びやかに育った若き王子の胸に去来する、憂愁と獏とした憧れが滲みます。
ここで小さなカーテンコール。
ソリストたちが拍手を受けて、さぁ、第2場です。
ロットバルト登場。怪しく羽ばたいて下手に去ります。
矢をつがえる王子。
薄暗くなってきた森の奥、湖面をすべるように泳ぐ白鳥が数羽・・・
そして一羽、小さな王冠を頭上にのせた白鳥が・・・
そして登場したのは、美しいオデット。
出会ったそのときから、二人はスッとともに踊ります。
「わたくしは白鳥に魔法で変えられた王女・・・この湖は母の涙・・・」という
おなじみのマイムは省略?
王子は優しくオデットに寄り添い、そっと羽を包み込むように抱きしめます。
オデットは最初こそ小さく驚きますが、繊細な動きからは徐々に王子の優しい視線を感じて、
決して表情を変えず、目もあわせませんが、静かに心を開いていく様子が見て取れます。
それにしてもほっそりと長い四肢と当然のようにしなやかにしなる上体で
滑らかに白鳥と王女を行き来するロパートキナの自然さときたら!
すべてのパが完璧なまでに美しく、決めのポーズのみならず、どの場面で
切り取っても、舞台写真として通用する完成度の高さに只々言葉もなく
魅入られてしまう観客一同・・・
腕が、羽のようにしなるのは、もう人間のひじとか関節とか、そんなものは存在しないかのように
優雅な軌跡を宙に残し、緩やかに上がったつま先が弧を描く・・・
そんな彼女を驚かせないように静かに見守り、優しく支える王子。
ロパートキナの高雅な持ち味は決して変わっていないのに、
二人の間に通う情感が舞台を満たしていく、夢のような美しいパ・ド・ドゥを観ながら
その世界に吸い込まれていくような陶酔を感じました。
ロットバルトが再び登場。
白鳥たちが現れて、オデットの姿が見えなくなります。
4羽の小さな白鳥、4羽の大きな白鳥が、それぞれの動機に合わせて踊り、
2羽の白鳥の踊りも挿入されます。
マリインスキーの白鳥の群舞は長身のバレリーナが多いせいか、
やや音が気になりますが、一人ひとりが美しく、美人揃いで細身の長身ゆえ
変に現実に引き戻されることなく、ロマンチックな異次元ワールドに心置きなく
没入できるのも魅力。
ソロとPDDの流れの最後、スッとオデットが膝まづく王子のその膝の上につま先を立てて
アラベスクを決めますが、その二人のシルエットの美しいこと!
その後、ロットバルトの魔法で白鳥に戻る娘たちが湖に去っていく中で、
最後までその魔力に抗うオデットですが、別れを惜しんでそしてパドブレでやはり去っていきます・・・
ここは魔法にかかって操られモードに切り替わったことを明確に示すバレリーナもいますが、
ロパートキナはすべてを自然な流れの中で表現しています。

ウリヤーナ・ロパートキナの白鳥を観るのは前回の来日公演に続いて2度目です。
2006年のときはゼレンスキーを相手に硬質な、氷が煌くような高雅な白鳥を見せてくれた
ロパートキナ。
あれから3年。
ベスト・パートナーと名高いコルスンツェフとのパートナ-シップで、どんなオデット・オディールを
魅せてくれるのか・・・
ドキドキしながら幕が開き、上品なパステルカラーと落ち着きのある金色に彩られた宮廷が・・・。
バイカラーづかいの道化の衣装も黒白で、全体にシックな設えがマリインスキーらしい舞台です。
その道化、グリゴーリー・ポポフは愛嬌はまずまずですが、跳躍力が素晴らしい。
すべてのジャンプにハッと目を引く高さがあり、このバレエ団の基礎力を感じさせます。

王子登場。黒いビロードに金の刺繍の胴着に純白のタイツが、パステルカラーの貴族たちの中にあって
一際ノーブル。
長身で身体のラインも美しく、節度のある伸びやかな踊り。
ロパートキナを観に来たはずが、王子のソロでもしっかりと魅了されました。
黒髪のコルスンツェフは成人したばかりにしては落ち着いていますが、家庭教師に悪ふざけをする友人たちの中にあっても程よく溶け込むリラックスした風情の王子。
王子の友人たち~パ・ド・トロワ。
とりわけ中心の男性は次世代王子の宝庫。
前回の紅顔の美青年シクリャローフは今回の公演では王子として大活躍ですから・・・
今回のマクシム・ジュージンもゆるぎないテクニックの持主。
丁寧な踊りで品の良い存在感のある、マリインスキーらしいソリストです。
トロワの女性二人も今回大活躍。
とりわけ入団12年目の中堅どころ、ヤナ・セーリナはトロワのあとは4羽の小さな白鳥、
そして2幕ではナポリのソリスト、と八面六臂の大活躍!
(CAST表を見て目がテンになってしまいました・・)
頼りにされているのですね・・・
もうひとりのヴァレーリヤ・マルトゥイニュクも、このあと4羽の小さな白鳥もこなしました。
お約束のトロワの女性と道化の恋、は道化があっさりかわされていて
マリインスキーのソリストたちは、概して、キチンと演技はするものの
過度に存在を誇示しない感じ、でしょうか(笑)
王妃は前回と同じく、バジェーノワ。
王子に美しく細工の施された弓矢を誕生日祝いとして贈ります。
皆が揃って乾杯!
群舞の中にあって物思う王子。
人々が立ち去っても一人とどまり、ソロを踊りますが、このソロが素晴らしい。
伸びやかに育った若き王子の胸に去来する、憂愁と獏とした憧れが滲みます。
ここで小さなカーテンコール。
ソリストたちが拍手を受けて、さぁ、第2場です。
ロットバルト登場。怪しく羽ばたいて下手に去ります。
矢をつがえる王子。
薄暗くなってきた森の奥、湖面をすべるように泳ぐ白鳥が数羽・・・
そして一羽、小さな王冠を頭上にのせた白鳥が・・・
そして登場したのは、美しいオデット。
出会ったそのときから、二人はスッとともに踊ります。
「わたくしは白鳥に魔法で変えられた王女・・・この湖は母の涙・・・」という
おなじみのマイムは省略?
王子は優しくオデットに寄り添い、そっと羽を包み込むように抱きしめます。
オデットは最初こそ小さく驚きますが、繊細な動きからは徐々に王子の優しい視線を感じて、
決して表情を変えず、目もあわせませんが、静かに心を開いていく様子が見て取れます。
それにしてもほっそりと長い四肢と当然のようにしなやかにしなる上体で
滑らかに白鳥と王女を行き来するロパートキナの自然さときたら!
すべてのパが完璧なまでに美しく、決めのポーズのみならず、どの場面で
切り取っても、舞台写真として通用する完成度の高さに只々言葉もなく
魅入られてしまう観客一同・・・
腕が、羽のようにしなるのは、もう人間のひじとか関節とか、そんなものは存在しないかのように
優雅な軌跡を宙に残し、緩やかに上がったつま先が弧を描く・・・
そんな彼女を驚かせないように静かに見守り、優しく支える王子。
ロパートキナの高雅な持ち味は決して変わっていないのに、
二人の間に通う情感が舞台を満たしていく、夢のような美しいパ・ド・ドゥを観ながら
その世界に吸い込まれていくような陶酔を感じました。
ロットバルトが再び登場。
白鳥たちが現れて、オデットの姿が見えなくなります。
4羽の小さな白鳥、4羽の大きな白鳥が、それぞれの動機に合わせて踊り、
2羽の白鳥の踊りも挿入されます。
マリインスキーの白鳥の群舞は長身のバレリーナが多いせいか、
やや音が気になりますが、一人ひとりが美しく、美人揃いで細身の長身ゆえ
変に現実に引き戻されることなく、ロマンチックな異次元ワールドに心置きなく
没入できるのも魅力。
ソロとPDDの流れの最後、スッとオデットが膝まづく王子のその膝の上につま先を立てて
アラベスクを決めますが、その二人のシルエットの美しいこと!
その後、ロットバルトの魔法で白鳥に戻る娘たちが湖に去っていく中で、
最後までその魔力に抗うオデットですが、別れを惜しんでそしてパドブレでやはり去っていきます・・・
ここは魔法にかかって操られモードに切り替わったことを明確に示すバレリーナもいますが、
ロパートキナはすべてを自然な流れの中で表現しています。
