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お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

ロパートキナの「白鳥の湖」 ②

2009-11-29 03:25:10 | BALLET
マリインスキーバレエの至宝、いや、バレエ界の宝、
ウリヤーナ・ロパートキナの白鳥を観るのは前回の来日公演に続いて2度目です。
2006年のときはゼレンスキーを相手に硬質な、氷が煌くような高雅な白鳥を見せてくれた
ロパートキナ。
あれから3年。
ベスト・パートナーと名高いコルスンツェフとのパートナ-シップで、どんなオデット・オディールを
魅せてくれるのか・・・
ドキドキしながら幕が開き、上品なパステルカラーと落ち着きのある金色に彩られた宮廷が・・・。
バイカラーづかいの道化の衣装も黒白で、全体にシックな設えがマリインスキーらしい舞台です。

その道化、グリゴーリー・ポポフは愛嬌はまずまずですが、跳躍力が素晴らしい。
すべてのジャンプにハッと目を引く高さがあり、このバレエ団の基礎力を感じさせます。



王子登場。黒いビロードに金の刺繍の胴着に純白のタイツが、パステルカラーの貴族たちの中にあって
一際ノーブル。
長身で身体のラインも美しく、節度のある伸びやかな踊り。
ロパートキナを観に来たはずが、王子のソロでもしっかりと魅了されました。

黒髪のコルスンツェフは成人したばかりにしては落ち着いていますが、家庭教師に悪ふざけをする友人たちの中にあっても程よく溶け込むリラックスした風情の王子。

王子の友人たち~パ・ド・トロワ。
とりわけ中心の男性は次世代王子の宝庫。
前回の紅顔の美青年シクリャローフは今回の公演では王子として大活躍ですから・・・
今回のマクシム・ジュージンもゆるぎないテクニックの持主。
丁寧な踊りで品の良い存在感のある、マリインスキーらしいソリストです。

トロワの女性二人も今回大活躍。
とりわけ入団12年目の中堅どころ、ヤナ・セーリナはトロワのあとは4羽の小さな白鳥、
そして2幕ではナポリのソリスト、と八面六臂の大活躍!
(CAST表を見て目がテンになってしまいました・・)
頼りにされているのですね・・・
もうひとりのヴァレーリヤ・マルトゥイニュクも、このあと4羽の小さな白鳥もこなしました。

お約束のトロワの女性と道化の恋、は道化があっさりかわされていて
マリインスキーのソリストたちは、概して、キチンと演技はするものの
過度に存在を誇示しない感じ、でしょうか(笑)

王妃は前回と同じく、バジェーノワ。
王子に美しく細工の施された弓矢を誕生日祝いとして贈ります。

皆が揃って乾杯!
群舞の中にあって物思う王子。
人々が立ち去っても一人とどまり、ソロを踊りますが、このソロが素晴らしい。
伸びやかに育った若き王子の胸に去来する、憂愁と獏とした憧れが滲みます。

ここで小さなカーテンコール。
ソリストたちが拍手を受けて、さぁ、第2場です。

ロットバルト登場。怪しく羽ばたいて下手に去ります。
矢をつがえる王子。

薄暗くなってきた森の奥、湖面をすべるように泳ぐ白鳥が数羽・・・
そして一羽、小さな王冠を頭上にのせた白鳥が・・・

そして登場したのは、美しいオデット。
出会ったそのときから、二人はスッとともに踊ります。
「わたくしは白鳥に魔法で変えられた王女・・・この湖は母の涙・・・」という
おなじみのマイムは省略?
王子は優しくオデットに寄り添い、そっと羽を包み込むように抱きしめます。
オデットは最初こそ小さく驚きますが、繊細な動きからは徐々に王子の優しい視線を感じて、
決して表情を変えず、目もあわせませんが、静かに心を開いていく様子が見て取れます。

それにしてもほっそりと長い四肢と当然のようにしなやかにしなる上体で
滑らかに白鳥と王女を行き来するロパートキナの自然さときたら!

すべてのパが完璧なまでに美しく、決めのポーズのみならず、どの場面で
切り取っても、舞台写真として通用する完成度の高さに只々言葉もなく
魅入られてしまう観客一同・・・

腕が、羽のようにしなるのは、もう人間のひじとか関節とか、そんなものは存在しないかのように
優雅な軌跡を宙に残し、緩やかに上がったつま先が弧を描く・・・
そんな彼女を驚かせないように静かに見守り、優しく支える王子。

ロパートキナの高雅な持ち味は決して変わっていないのに、
二人の間に通う情感が舞台を満たしていく、夢のような美しいパ・ド・ドゥを観ながら
その世界に吸い込まれていくような陶酔を感じました。

ロットバルトが再び登場。
白鳥たちが現れて、オデットの姿が見えなくなります。

4羽の小さな白鳥、4羽の大きな白鳥が、それぞれの動機に合わせて踊り、
2羽の白鳥の踊りも挿入されます。

マリインスキーの白鳥の群舞は長身のバレリーナが多いせいか、
やや音が気になりますが、一人ひとりが美しく、美人揃いで細身の長身ゆえ
変に現実に引き戻されることなく、ロマンチックな異次元ワールドに心置きなく
没入できるのも魅力。

ソロとPDDの流れの最後、スッとオデットが膝まづく王子のその膝の上につま先を立てて
アラベスクを決めますが、その二人のシルエットの美しいこと!

その後、ロットバルトの魔法で白鳥に戻る娘たちが湖に去っていく中で、
最後までその魔力に抗うオデットですが、別れを惜しんでそしてパドブレでやはり去っていきます・・・
ここは魔法にかかって操られモードに切り替わったことを明確に示すバレリーナもいますが、
ロパートキナはすべてを自然な流れの中で表現しています。










ロパートキナの「白鳥の湖」 ①

2009-11-28 03:59:40 | BALLET
待ちに待ったマリインスキー劇場の日本公演、ついに始まりましたね!
わたくしは11月27日(金)東京文化会館のロパートキナの白鳥から参戦です。



2009年11月27日(金) 18:30~21:30

「白 鳥 の 湖」 3 幕 4 場

音楽 : ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
振付 : マリウス・プティパ,レフ・イワノフ
改訂振付 : コンスタンチン・セルゲーエフ
台本 : ウラジーミル・ベーギチェフ,ワシーリー・ゲーリツェル
装置 : シモン・ヴィルサラーゼ
衣裳 : ガリーナ・ソロヴィヨーワ
指揮 : ボリス・グルージン
管弦楽 : 東京ニューシティ管弦楽団

≪出 演≫
オデット/オディール : ウリヤーナ・ロパートキナ
ジークフリート王子 : ダニーラ・コルスンツェフ
王妃 (王子の母) : エレーナ・バジェーノワ
王子の家庭教師 : ソスラン・クラーエフ
道化 : グリゴーリー・ポポフ
悪魔ロットバルト : コンスタンチン・ズヴェレフ
王子の友人たち : ヤナ・セーリナ/ヴァレーリヤ・マルトゥイニュク/マクシム・ジュージン
小さな白鳥 : エリザヴェータ・チェプラソワ/ヤナ・セーリナ/ヴァレーリヤ・マルトゥイニュク/エレーナ・ユシコーフスカヤ
大きな白鳥 : ダリア・ヴァスネツォーワ/ユリアナ・チェレシケーヴィチ/アナスタシア・ペトゥシコーワ/リリヤ・リシューク
2羽の白鳥 : ダリア・ヴァスネツォーワ/オクサーナ・スコーリク
スペインの踊り : アナスタシア・ペトゥシコーワ/ヴァレーリヤ・イワーノワ/イスロム・バイムラードフ/カレン・ヨアンニシアン
ナポリの踊り : ヤナ・セーリナ/マクシム・フレプトフ
ハンガリーの踊り : ポリーナ・ラッサーディナ/ボリス・ジュリーロフ
マズルカ : アリサ・ソコロワ/オリガ・ベリク/ナターリア・ドゥゼヴリスカヤ/スヴェトラーナ・シプラトワ/ドミートリー・プィハチョーフ/カミーリ・ヤングラゾフ/ニコライ・ナウーモフ/セルゲイ・サリコフ


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【上演時間】 約3時間    【終演予定】 21:30
第1幕 65分 - 休憩 20分 - 第2幕 40分 - 休憩 20分 - 第3幕 25分




コジョカルの「くるみ割り人形」 ②

2009-11-26 03:22:39 | BALLET
序曲はとても速いテンポ。
ガ-フォースさんの指揮はキビキビしていますが、時折、これでダンサーは踊れるのかしら?と
心配するほどアップテンポになることも・・・(あ、ダンサーはしっかりとついてきていましたが



幕が開いて、シュタールバウム家のクリスマス。背景の油絵?っぽい書割とパーティに集うお客の衣装がちょっと(クラシカルでステキ、という意味ではなく)時代を感じさせますが、
そう感じてしまうのは「くるみ」というと極めつけのロイヤルバレエのピーター・ライト版を何度も映像で観ているのでそれをデフォルトにしてしまっているのかも・・・。
とはいえ、踊りが始まるとそこに生命が吹き込まれてだんだん気にならなくなってくるのは不思議ですね。

ワイノーネン版では子供のクララと、最後王子と踊るコンペイトウの精は同じダンサーが踊ります。
ですので、今回はコジョカルが子供たちに混じってクリスマスシーンから登場しましたが、美しい母親役の
井脇さんと並ぶと顔立ちもそこはかとなく似ていてしかも小柄なのでとてもナチュラルに少女クララとして存在。

第一幕の主役、人形遣いにして魔術師であるドロッセルマイヤーは後藤さん。
黒い衣装でマントを翻して登場するのはとても華があって良かったのですが、この人特有の陽性のムードが、どうもドロッセルマイヤーの神秘性とは相容れないのか、怪しさはゼロ。
子供たちにせがまれてマスケラを取ると、ただの気のいいお兄さん風情にしか見えないのはご愛嬌。

ドロッセルマイヤーが披露する自動人形は、ピエロ、コロンビーヌ、ムーア人の3体。
コロンビーヌとムーア人の衣装は「ペトルーシュカ」の使いまわし?見覚えが・・・(笑)

人形振りの上手さはピエロの平野さんがダントツ。バネ感の効いた人形らしい動きと何気に可愛げが
感じられる仕草が絶妙。
可愛い役がお似合いの高村さんのコロンビーヌもピッタリ。
この3人はクララの道行きにも付き添い、2幕まで活躍します。

それにしても井脇さんが母親役というのは勿体無いですね。
大人の踊りのシーンで中央でクリスマスツリーを背にしたラベンダーのドレス姿はこれから主役の踊りが始まる・・と思わせる存在感でした。実際には普通にパーティのフォークロアな社交ダンスの群舞が挿入されるに過ぎないのですが・・・
艶やかなマダムっぷりは大いに舞台を盛り上げていました。

挨拶を交わし、お客が帰路に着き、広間には子供たちがもらったプレゼントがツリーの下におかれています。
暗い広間にこっそり戻って、くるみ割り人形をなでているうちにクララは夢の世界に・・・。

ふくろう時計が12時を告げると謎のネズミたちが登場。
くるみ割り人形に率いられたおもちゃの兵隊たちとの戦いが繰り広げられます。
この場、例の3体の人形がクララの護衛として登場します。
この版、おもちゃの兵隊の群舞が女性なので、なんだか違う舞台を観ているような錯覚?が。
(「ベルサイユへ進撃だ~」とか・笑)

くるみ割り人形のピンチに思わずスリッパを投げるクララの助太刀もあってネズミ軍退散。

突如、人形が美しい王子に変身します。
コポー登場。
アリーナとのパ・ド・ドゥはさすがに安定感があってすばらしい。
コジョカルは夢見心地の少女らしさとすでに冒険に向けて心を弾ませている様が
踊りから伝わってきて本当にこの役にぴったりです。



コジョカルの「くるみ割り人形」 ①

2009-11-24 00:12:01 | BALLET
2009年11月20日の金曜日は、東京バレエ団の
「くるみ割り人形」の初日でした。

主役の二人がゲスト、コールド、ソリストを東バの団員が踊る、という構成。
このところ暫く、東バで「くるみ」と言えばベジャール版の上演が続いていたので
ワイノーネン版は新鮮です。

東京バレエ団創立45周年記念公演VIII
「くるみ割り人形」(全2幕)


◆主な配役◆

クララ: アリーナ・コジョカル
くるみ割り王子: ヨハン・コボー


【第1幕】

クララの父: 柄本武尊
クララの母: 井脇幸江
兄フリッツ: 青木淳一
くるみ割り人形: 氷室友
ドロッセルマイヤー: 後藤晴雄
ピエロ: 平野玲
コロンビーヌ: 高村順子
ムーア人: 小笠原亮
ねずみの王様: 梅澤紘貴

【第2幕】

スペイン: 乾友子-木村和夫
アラビア: 西村真由美-柄本弾
中国: 佐伯知香-高橋竜太
ロシア: 田中結子-松下裕次
フランス: 高村順子-吉川留衣-長瀬直義
花のワルツ(ソリスト):
矢島まい、渡辺理恵、川島麻実子、日比マリア
宮本祐宜、梅澤紘貴、安田峻介、柄本武尊

指揮: デヴィッド・ガーフォース
演奏: 東京ニューシティ管弦楽団
児童合唱:東京少年少女合唱隊


◆上演時間◆

【第1幕】 19:00 ~ 19:55

休憩 20分

【第2幕】 20:15 ~ 21:05