maria-pon

お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

今年も一年

2007-12-31 11:51:35 | インポート
今年も、一年があっという間に過ぎてしまい・・・。
バレエ界では、フェリ、バッセル、そしてイレール(殿~)の引退、そして年末のベジャールさんの訃報、と大物が最後の姿を見せる年でした。

自分の心をふるわせてくれたものにはきちんとコメントを残しておきたかったのですが、年末のくるみ割り人形は影も形もなく、ギエムも詳細は掛け声ばかりで、慌しさにTIME UPと口惜しい年末ではあります。

これは!と思ったものにはきちんとした形で、と構えるのがいけないみたいxxx

来年はたとえあらすじがわからなくても、とりあえずそのときの生の感想を優先してタイムリーなUPを心がけたいと思います。

来年もよろしくお願い致します。


シルヴィー・ギエム 3Days

2007-12-11 05:25:47 | BALLET
「進化する伝説」のサブタイトルを引っさげて、シルヴィー・ギエムの来日公演ツアーが始まりました。
<シルヴィ・ギエム・オン・ステージ 2007>



全国縦断15公演、最終日は28日。
東京は上野の東京文化会館で12月8、9日のAプロと10,11日のBプロ。
あと、関東、ということでは27日、川口のリリアホールでDプロがありますので、チケットお取りになれなかった方はご覧になる価値があるかも。

わたくしは「白鳥の湖」「優しい嘘」―ともに過去のバレフェスでの名演が瞼に焼き付いている演目―が含まれているAプロを連日、Bプロは一日、ということで3日間連続して上野に通って参りました。

連日の公演にもかかわらず、3演目に自ら出演、最後の「PUSH」などは30分間激しいGがかかる振りを踊りこなすハードな内容に東京バレエ団による、キリアンなどの現代の振付家による東バのレパートリーが挿入されるというプログラム。
結果、どの演目も非常に見ごたえがあり、Bプロも、もしかすると両日抑えておいたほうが良かったかも・・・と思うほどのクオリティの高い舞台を見せてくれました。

内容についてはまた改めて書きたいと思います。



会場に、ベジャールさんが最晩年に好んで口にされていたというボードレールの詩「旅」から引用された言葉

おお、「死」よ、老船長よ、
時は来た!
錨をあげよう!

とともに2匹の子猫を抱えた大きなポートレートが白い花とともに設置されていたこと、

ホワイエに(自然光の会場なので暗室と違って画像は非常に見難かったのですが)用意されたスクリーンで「Bejart!」が上映されていたこと、
ともに東京バレエ団とシルヴィとのベジャールさんとの縁の深さを感じさせる、良いトリビュートだったと思います。。。



キモノで歌舞伎 12月昼の部 ③

2007-12-08 07:08:54 | きもの
さて、終演後は恒例の虎屋さんでのお茶タイム



御前汁粉の美味しい季節です・・・
ローズ色の飛び小紋に白地に紺ベースにダークレッドと金をアクセントにした大胆な唐花帯。
帯にイメ-ジをあわせた半襟はボリューム感のある紺白小花レース。
帯揚げはこのところ活躍のラベンダーの縮緬。
帯揚げは菱垣の平組、金糸入り赤。



友人はとてもかわいい深い赤に黒と銀糸で格子の入ったお着物で12月ムード満点!
お母様から譲りうけたものなのだそう・・。
黒地にパステルと赤のお花がはいった帯で愛らしく。





この帯は、名古屋ですが、三角の部分だけを縫いとめてあるので前幅の設定は自由。
中抜きの全通で、生地に張りがあり、赤と金のアクセントがかなり効いているので、爽やかに春。。。というよりも今の季節のおしゃれ用にしたほうが、と思い・・。

防寒は、グレーの毛皮つきのケープと黒の革の長手袋で。



キモノで歌舞伎 12月昼の部公演 ②

2007-12-08 06:37:25 | 伝統芸能
最後に、というかこの昼の部のメインイベントは
「水天宮利生深川(すいてんぐうめぐみのふかがわ)」
  筆屋幸兵衛
  浄瑠璃「風狂川辺の芽柳」

これは勘三郎さんのお父様の当り役。
今回初役と言うことで、ゆかりの水天宮様にお参りにも行ったという気合十分の勘三郎。

【配役】
  船津幸兵衛  勘三郎
  車夫三五郎  橋之助
  巡査民尾保守  獅 童
  金貸金兵衛  猿 弥
  娘お雪  鶴 松
  差配人与兵衛  市 蔵
  代言人茂栗安蔵  彌十郎
  萩原妻おむら  福 助

もと士族とはいえ、今はしがない筆職人。
妻をお産でなくし、目の見えない上の娘、年端の行かない次女、乳飲み子の三女を抱えて貧窮の底にある幸兵衛は、情け深い奥方からの施しをありがたく思うまもなく、金貸に攻め立てられ、あまりの辛さに心中を決意するが、子供を手にかけることが出来ずに発狂。
大家をはじめ、親切な長屋の隣人を打ち据える始末で手の施しようがない。
入水自殺を試みるも車夫三五郎に救われ、事態が次々に好転。
最後は水天宮のご利益に感謝を捧げる大団円。

黙阿弥の作品だが、前半の暗さはこれでもかとたたみかけてくるかのよう・・・・。
勘三郎のメイクが彫りの深いダークなものであるのも、全体のトーンを下げており、いつもの愛嬌や余裕は封印。

天才子役清水大希くん改め鶴松が抜擢の盲の長女。
上手いが目の演技は封印されているだけに印象に残るというところまでは行かなかったのが残念。
金貸しの猿弥のあこぎ振りが堂に入っており上手い。

哀れな前半、から一転して後半のカタルシス・・・
という構図ではあるが、この哀れな前半がやや冗長。
後半のカタルシスも、ご都合主義的で、現代の脚本になれた観客にはちとつらい。

最後はよい師走だ・・・と季節柄暖かい気持ちで歌舞伎座を後にできるのは何よりではありますが、再演を見たいか、というと微妙・・・。

夜の部の、玉三郎が良い、と聞く「ふるあめりかに袖は濡らさじ」の方も気になるので
幕見狙いでなんとか見られれば良いのですが・・・・


キモノで歌舞伎 12月昼の部公演 ①

2007-12-08 05:32:28 | 伝統芸能
4日の火曜日、歌舞伎座で12月公演の昼の部を、1列目センター(別名ミーハーファン席)にて鑑賞して参りました。
勘三郎さんファンの友人と玉三郎ファンのわたくし、ともに満足の演目・・・・。



まずは、「鎌倉三代記(かまくらさんだいき)」絹川村閑居の場

夫と父が敵対する中、夫に忠誠を尽くそうと義理の母の看病に当たるも、母にいとまごいに現れた夫から父を討つように言われる時姫・・・。
前半、その姫をくどくおどけた顔を後半、夫、三浦之助義村の橋之助とともに父を討たせんとするシリアスな表情に一変する佐々木高綱を三津五郎、暇乞いに現れた息子を気丈に拒み、対面を許さない母長門に秀調、そして父と恋しい夫の間に立たされ心乱れる時姫は福助が演じます。
三浦之助、時姫ともに姿が美しいのですが、台詞は今ひとつかも。
三浦之助は戦場で深手を負って抜け出してきた、という設定ゆえ足にしっかりと巻きつけた藁草履姿なのですが、そのままで何度も座敷に上がるのがちょっと違和感。演出上仕方がないのかもしれませんが、土足で??と思ってしまいましたxxx。

わたくし的にこの日のメインは「信濃路紅葉鬼揃(しなのじもみじのおにぞろい)」
「紅葉狩」です。
豪華な配役。

信濃の戸隠山を通りかかった平維茂(海老蔵)と従者(右近・猿弥)を紅葉狩りに誘う、美しい上臈(玉三郎)と侍女たち(門之助・吉弥・笑也・笑三郎・春猿)。酒に酔ってまどろむ維茂のもとに、山神(勘太郎)が訪れ、上臈たちの本性を告げて、直ちに逃げるよう促します。間もなく鬼女に豹変した上臈と侍女一行が現れ、維茂たちに襲いかかります。(歌舞伎座HPより)

侍女たちが様々なフォーメーションで踊るのが目に心地よい。
いつでもきれいな春猿、鬼女に変じた後の方が活き活きとしている門之助など、侍女にもチェックをいれつつ、やはり麗しいのは玉三郎の上臈・・・。目の前に玉三郎が・・・あぁありがたき一列目センター席よ、と友に感謝。
海老蔵さんはきれいな武者姿でしたが、白塗りの下のお肌のコンディションがあまりよろしくなかったのが見え、激しい動きの後は首と衿がすれる部分の白塗りが剥げてきてしまっていたのにはちょっと気になってしまいました。
とはいえ、決め所、見せ場での求心力はさすが。舞台の上にいても、自分の見せ場ではないところでは存在感をあえて消しているのではと思ってしまうほど、目が行かないのに、彼にスポットがあたる場面になるや、オーラを発し、決めてくる・・・。
見せ方を多分天性の舞台勘で知っている役者なのでしょう。
今回感心したのは、(もともと美味しい役ではありますが)山神の勘太郎。
踊りがとてもキレイ。手の表情も常に美しいフォルムを保ちつつ、勢いのある、端正でクリーンな踊りで、感心しました。
芸に精進している役者さんなのだなぁとしみじみ実感。
ちょっとファンになったかも?
鬼に変じた侍女たち朱赤の袴と髪を誇示して踊る様は迫力満点。
対する鬼の長である玉三郎はそのほっそりとした肢体が鬼になって更に強調されて、どこか華奢で儚げな姿。袴もどこかしなっとしていて、髪も黒髪に白粉をうっすらとはたいたようなパウダリーな質感。
化粧も、隈取こそすれ、白く長い睫に縁取られた目元は寧ろ優しげ。
単に鬼、としてとらえるよりも、「戸隠伝説」にある、大奥での嫉妬から都落ちし、戸隠村で伝説の人となったもと即室の紅葉が変じた姿と捉えているのかな、などとつらつらと・・・。
玉三郎によると、今回はよりお能に近い演出なのだそう。
舞台は松羽目で、幕が開いてずらりと太夫、鳴物の演奏者が並び、壮観。
この日は見知ったお顔が多く、安心感とともに幕が開いたのでした・・・