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お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

Grazie!

2006-12-31 10:10:32 | インポート
2006年もあと余すところ一日。
今年は皆様のおかげで楽しい一年となりました。

お着物ブログと銘打ってはじめたこのページも、気がつくと観劇日誌の様子を呈しておりますが、このようなアバウトさをも大らかに受け入れてくださる皆様の度量に感謝しつつ・・・。

アバウトさ、つながりでエクスキューズを。
12月は怒涛の劇場月間で、東バの「くるみ」、(それにさかのぼればMETの「ワルキューレ」も・・・)など、予告をしつつもUPしもれているTOPICSなどもありますが、来年に持ち越したいと存じます。

では、2007年もまたどうぞ宜しくお願い致します。
皆様素敵なお正月休みを過ごされますように・・・



K-Ballet「The Nutcracker」③

2006-12-27 08:08:04 | BALLET
熊川哲也のKバレエ、「くるみ割り人形」長々とレポしていますが、お待たせしました、第2幕です!

人形王国のディベルティスマン。

花のワルツは男性二人が熊川と日替わりで主役を分け合う輪島拓也と芳賀望。こうして男女2ペアの踊りで見比べるとそれぞれの持ち味の違いが良くわかりますね。
輪島くんは全体に男らしい感じですが踊り自体は荒いかな?
芳賀くんは細身ですが、ひとつひとつのパを省略せず、きれいに細部まで正確、かつ伸びやかに踊っていて好感が持てました。
多分これからのKバレエの公演、熊川と都さんが同じ舞台で主役を務めることは早々ないでしょうから、都さんの相手役が芳賀くんの日、が正解かしら、と算段。

アラビア人形は松岡さん。この妖艶な踊りは、大抵どのバレエ団でも美人ダンサーを当てることが多いので、この配役は正解でしょう

スペイン人形のあとは中国人形。
熊川お得意の早いパの厳しい振付を白石あゆ美さんとアレクサンドル・ブーベルくんがきれいに踊っていました。ブーベルくんは9月入団の期待の新人だそう。秋公演の「2羽の鳩」でもジプシーの少年役で目立っていたそうです。

男性二人のコサックダンスのようなロシア人形の後は期待のフランス人形。
荒井祐子さんをセンターに、副智美さんとカワイイお顔で人気の神部里奈さん。なにを隠そう、わたくしは東バ時代から荒井さんのファン。引き締まった筋肉が美しい、小柄ながら存在感のある踊りは外国からのゲストダンサーを迎えた舞台でも決して見劣りすることがなく、見るなり、あぁ、荒井さんだ、とわかる輪郭のはっきりした張り詰めたしなやかさがある動き。今回も期待通りで、久しぶりに見て安心&満足。

そして大詰め、巨大なくるみを盛大なスモークの中で割り(ゆえに割った瞬間は見られない)呪いを解いたクララのおかげで姫の姿に戻ったマリー姫と王子に戻ったくるみ割り人形のグラン・パ・ド・ドゥ。

マリー姫の吉田都さん、銀髪の鬘がパウダーピンクと白のコンペイトウ衣装に映えてお似合い。チークが茶系なので、始めはくるみ?の演出??と思ってしまったのですが、もしかして小顔メークのおつもりだったのでしょうか・・・?比較的ナチュラルな舞台化粧が主流の日本人の中では浮いてしまいますので、今後ご調整願うとして・・・。
熊川氏は、吉田さんと並ぶと今度は銀の鬘も、王子だからなのねと納得。
ソロで決めのポーズを引き伸ばしたり、拍手のための間を取ったりする仕草が品なく見えてしまったのは都さんの正当派ノーブルな踊りと見比べてしまうから・・・。普段はそういう「俺様」振りもチャーミングな持ち味として場を盛り上げる隠し味になるのですけど。持ち味の違い、相性の問題なのでしょうね。

いつもバーミンガムロイヤルバレエの10年前のイレク・ムハメドフとの15分間のGPDDを映像で見ては涙していた(素晴らしすぎて感涙)あの!都さんのコンペイトウが今目の前で・・と感慨深かったです。
一つ一つのパが指先、足先まで神経が行き届き、正確で小気味よいテンポ。しかも幸せな姫オーラ満開で、オペグラなしでも表情がわかるほど・・・(あ、決してチークが気になるからオペグラをしまったわけでは・・・)。フェッテの後のキメポーズを宮本さんがいみじくも「くるくるぴた」と表現してくださいましたが、全くその通り!
それまで見たK-Balletダンサーのどの踊り手とも違う、全く次元の違う感動を呼び起こす、都さんのパフォーマンスに心豊かに満たされて、府中を後にしたことでした。



新宿でお茶にしましょう、とパークハイアットまで西口からタクシー。
シャンパーニュ片手に熱く語ってしまいました
クリスマス近くということで、ピーク・ラウンジでも、ブラックフォーマルに身を包んだ(黒人女性の黒ドレスにダイヤモンドが映えていたこと!)外国人男女カルテットによるクリスマスソングのアカペラがあり、気分が盛り上がったことでした。
宮本さんも華やかな白大島にグリーンの帯、赤の帯締め、ラインストーンの帯留で素敵なクリスマスカラーの和装。わたくしはビンテージものの全刺繍のタンクドレス、グレーのフォックスに黒革ロングコートでした


Kバレエ「くるみ割り人形」②

2006-12-26 03:53:56 | BALLET
1幕3場は有名なクリスマスツリーや時計が大きくなって、相対的に人間が小さくなったと感じさせるセットの場面転換の見所。熊川版の「くるみ」は場面転換がダイナミックで、しかも暗転をほとんど使わず非常にスムース。


くるみ割り人形率いるおもちゃの兵隊チーム対ネズミ軍団の戦い。バレエではネズミと兵隊の群舞でさらりと流されることが多いが、大砲が撃たれて負傷したねずみを担架で運び出したり、チーズの弾が当たってくるみ割り人形が負傷したり・・・と芸が細かい。小さな男の子が見に来ていたら目を輝かせることだろう。特筆すべきはねずみの着ぐるみのリアルさ。これはロイヤルバレエの映画「ピーターラビット」(ダンサーが着ぐるみを着てポアントで歩くとそこはビアクリトス・ポッターの絵本の世界。湖水地方ロケも万全でイギリス人のこの絵本に対する愛が滲み出る秀作です!)のスタッフの仕事だろうか・・・。などと考えていると、クララがステッキタイプのキャンディを使ってネズミを捕獲。
勝利に、一時的に呪いが解けて王子の姿になるくるみ割り人形。いつもの髪型が銀髪になった鬘着用の熊川を見て「筑紫哲也」とのたまったヒトがいましたが(以下自粛)



1幕の最後を美しく締めくくる雪の国のシーン。
ここはチャイコフスキーの音楽でも女声合唱(あるいは子供のソプラノの合唱)がつく心洗われる場面。
雪の国の王と女王はそれぞれ、主役級ダンサーの輪島拓也と松岡梨絵が務めます。
輪島さんはアイメイクが濃くてお顔が良くわからなかったのですが、松岡さんは顔立ちがとてもきれいな美人さん。この場面、コールドが粉雪を現す、ということで、非常に細かいリズムで早く刻む回転など、なかなかそろえるのが難しそうな振りですが、踊りこんでいるだけあって振付の意図が良く示されていました。気になったのはセンター2人の振りもコールド同様のものだったので、ちょっとせわしない感じがしてPDDとしては冴えない印象だったこと。
熊川版、ということで、彼の得意なスピーディな回転やパが多く、優雅なアダージョはあまりお得意でないのかしら・・・。美しい場面だけに振付を再考していただければもっと印象的になるのに・・・と思ったことでした。






Kバレエ「くるみ割り人形」

2006-12-25 01:59:40 | BALLET
23日の土曜日に、熊川哲也率いるK Ballet Companyのクリスマス公演「The Nutcracker」を観に、府中の森芸術劇場に行って参りました。

今年のバレエ収め。そして、ロイヤルバレエ団プリンシパルダンサーの吉田都さんが定評あるくるみ割り人形のコンペイトウの精(熊川版ではマリー姫)役で、一日だけ出演される貴重な公演。
この配役が発表された翌日、手を尽くしてGETしたプラチナチケット。1F席の最後列ですがセンター。府中の森の劇場は新しいので、席が互い違いに配されており、スロープもしっかりついているので、視界良好。しっかりと全体と細部を楽しむことが出来ました。

Kバレエは、舞台装置にお金を惜しまない(笑)ことで定評があり、とりわけこの「くるみ割り人形」はヨランダ・ソナベンドの幻想的で豪華な美術で評判の高いもの。バレエ団としては新興ですが、プロとして客を呼べる公演をコンセプトに、観客の目を楽しませる豪華なセットや衣装に対して ダイレクトに資金投資をしている姿勢には好感が持てます。
今、日本のバレエ団で最多の公演回数を誇るだけあり、天才ダンサー熊川の営業的才覚もまた花開いているといえましょう。割高、とされるチケット代も、そういう文化事業に対する個人的サポートとして捕らえて応援しているファンが多いようで、これはこれで大変結構なことだと思います。

果敢に、古典の全幕もののバレエを「熊川版」として再構成・再振付した作品を、次々に繰り出し、かつチケットも裁けている、という安定した経営を基盤に、英国ロイヤルバレエのレパートリーである、フレデリック・アシュトン振付の作品など、日本ではあまり公演される機会の少ない名作も紹介して行こうとする姿勢も、商売一辺倒ではない理念が感じられて好感。
今回、吉田都さんが、日本での活動拠点としてこのバレエ団を選んだのも、古典のレパートリーが豊富でアシュトン作品も踊れる、ということが決め手となったとか・・・。

この日のCASTは都さんを迎えての初の全幕(小品「2羽の鳩」では11月にすでにKバレエDebut済)ということと、12月のKバレエ全国ツアーの楽日であるということで、Kバレエ渾身のBEST CAST(多分)。
くるみ割り人形と王子の2役は座長・熊川哲也。ドロッセルマイヤーはロイヤル時代の同輩でKバレエの正団員として定着しているスチュアート・キャシディ。
少女クララは小林絹恵。オリジナルバージョンですとお菓子の国で出会う、クララの憧れのプリンセス、コンペイトウの精に相当する、熊川版では「マリー姫」と設定されている主役は吉田都さん。

熊川版では、ねずみの呪いで王子はくるみ割り人形に、王女はねずみ頭にされてしまうが、おもちゃの兵隊対ネズミの戦いに勝利して、純粋な少女が大きな金のくるみを割るとその呪いが解ける・・・という設定。
バレエ「くるみ割り人形」の一幕は、シュタールバウム家のクリスマスの情景から始まるのが常ですが、熊川版では、その前に、ネズミに呪いをかけられるシーンが挿入されており、充分にそのストーリーが観客にわかるような演出になっているのが特色。
この新解釈は、舞踊評論家など一般には素晴らしい解釈とされてすでに受け入れられていますが、わたくしにはちょっと気になることが・・・。
全幕でバレエ作品を観ることの楽しみのひとつに、素晴らしい音楽と踊りの世界の一体感に浸る・・・という喜びがあるのですが、熊川版は物語を優先させるが為に、随所で音楽の流れを断ち切っており、場合によっては(ラストのコンペイトウの精のグラン・パ・ド・ドゥの後に挿入されるクララとドロッセルマイヤーのPDDには眠りの森の美女の音楽一部流用)他の曲を入れたりしているので、チャイコフスキーの音楽が染み付いている耳にはちょっと違和感も・・・。

人形王国の王様・后は人間世界のシュタールバウム夫妻が2役で務めます。
王妃役は、もとタカラジェンヌ・天野裕子さん。王はギャビン・フィッツパトリック。
クララの弟フリッツ役のアレクサンドル・プーベルも、ですが、Kバレエは意外とインターナショナル。
コールド、ソリストの男性は外国籍のダンサーも多く、(なぜか女性は日本人)通常主役2人は外国人スター脇を国内のバレエ団が固める、あるいは海外のバレエ団の来日公演のメンバーに1人2人日本人が・・・という構図を見慣れた目には新鮮。






コジョカルの「シンデレラ」②

2006-12-22 06:07:14 | BALLET
第2幕は、お城の舞踏会。

ワインカラーのタフタ、ベルベット金モールに身を包んだ紳士淑女の中央でオペラピンクのタイツがまぶしい道化、グリゴリー・バリノフが切れのよいフェッテ魅せてくれます。
道化役とはいえ長身で王子役も出来そうな彼。脚のラインもきれいです。

・・・が、王子登場。やはりこれは真打。1週間前にロイヤル・バレエのピーター・ライト卿のバースデーイベントを兼ねた「くるみ割り人形」の初日を吉田都さんとともに務めたフェデリコ・ボネッリの純白の衣装に身を包んだノーブルな姿。エレガントな動きには、王子としての圧倒的な説得力があります。





これは別の演目でコジョカルと踊るボネッリですが、ラインの美しさはお分かりいただけるでしょうか。

アグリーシスターズがひと暴れ(?)したところでシンデレラが3mはあるキラキラかがやくベールのようなマントをひるがえし、それぞれのテーマカラーのクラシックチュチュにお召し替えの四季の妖精やたくさんの雪の精を従えて登場します。
このゴージャスな登場シーンで、シンデレラ役のダンサーはすでに女王然としていることが多いのですが、コジョカルはあくまでお城の立派さ、王子の美しさに魅了されつつも未だはにかむ少女の表情。
おどおどしながらも、音楽に合わせて王子と踊ると身体は活き活きとその愛らしい生命力を発散させて不思議な魅力を放ちます。

お約束の12時の鐘。大きな時計の針の進む音、服を気にしてチュチュを何度も確かめつつその場を抜け出ようとするのに道化が行く手を塞ぐ・・・中々スリリングな演出。そして早代わりでもとのボロに一瞬にして戻った彼女が姿を消します。

王子自らガラスの靴を手にしてシンデレラの家を訪ねます。
無理無理大きな足を詰め込もうとする長姉の手からガラスの靴を道化のバリノフ君がもぎとり、シンデレラが試すとピッタリ・・・で大団円。

華やかな舞台のセット、衣装、テンポの良い演出、演技力のある脇役、そしてチャーミングなシンデレラ。わたくし、プロコフィエフの音楽が好きなのですが、その音楽の力を存分に踊りで表現するアリーナの、すでに意識下で体が動いてしまうかのような自然で歌うような踊りを堪能しました。

小さなお子さんがご覧になったらさぞかし素敵な夢を見られることでしょう。
かといって子供だましではない、大人のカップルにも充分楽しめる(この日の新国立劇場にはこの両方のタイプの観客がいました)プロダクション。



ホワイエにもクリスマスツリーが。
開演前にこのスペースで、新国立劇場のオペラ研修生による、アリアや歌曲のミニ・コンサートが催されており華やいだ雰囲気を盛り上げていました。
研修生の方にとっても貴重な発表の機会でとても良い企画、と思ったことでした