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お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

宝塚雪組「ベルサイユのばら」凰稀オスカル柚希アンドレ

2013-04-27 19:21:28 | TAKARAZUKA
2013年4月25日(木)、宝塚大劇場にて、11:00、15:00の2公演を観て参りました。
超・長文&ネタばれ注意です



雪組 新TOPスター壮一帆さん、愛加あゆちゃんお披露目公演、グランドロマン「ベルサイユのばら~フェルゼン編」。
本公演では、2番手男役早霧せいなさんがオスカル、3番手?別格である未涼亜希さんがアンドレを演じて好評のこの公演、数日ずつ、2回、特別出演で、他組TOPスターがお祭り気分を盛り上げる・・・という企画が盛りこまれており、片方はアンドレを月組の龍真咲さん(5/24~26)演じるという順当な企画が予定されているようですが、今週は大サービス?!
星の王子柚希礼音くん、宙の王子凰稀かなめさんがアンドレとオスカル役で一週間にわたって特別出演=一公演に3人のTOP男役が!という大変な事態が発生。
もともと凰稀さんはオスカルを演じてみたかった、と言っていたこと、柚希さんと凰稀さんが星組のTOP&2番手として2年弱、とても良いコンビぶりを発揮していたことから来る話題性・・・という理由かとは思いますが、あまりにもゴージャスな配役に、これは行かなくては!とつい西へ旅立ってしまったわたくし。

本当に行って良かったです

本番目移りして色々見逃しそう・・・これは事前に予習をしておかなくては!と、日比谷のキャトルでいち早く大劇場のプログラムを購入したのですが・・・
いや、プログラムを開けた段階で大きな衝撃が!


どうでしょう、このオスカル様の本気があふれ出る役写真は!
全身写真は普通直立、せいぜい片脚を流すポーズくらいですが、うーんマントさばきも華麗で髪もなびいていて・・・ラインハルト様再びと言いますか、銀英伝での役に入り込むモードスイッチがすでに入っている模様。
雪組バージョンとは異なる場面もオスカルアンドレのために追加されているという情報もあり、取りあえずドキドキワクワク期待を胸に劇場へ・・・。

まずは配役から。

フェルゼン      壮 一帆
マリー・アントワネット  愛加 あゆ
オスカル      (宙組)凰稀 かなめ ※4/23~30
アンドレ      (星組)柚希 礼音 ※4/23~30
*~*~*
*宮廷の人々*
ルイ16世     磯野 千尋
プロバンス伯爵 (ルイ16世の弟) 奏乃 はると
ブイエ将軍 (オスカルの上官)   箙 かおる
メルシー伯爵(アントワネットの後見人的役割のオーストリア貴族)   汝鳥 伶
ジェローデル(オスカルの副官・婚約者)  夢乃 聖夏
ジャルジェ夫人 (オスカルの母)  梨花 ますみ
オルタンス (オスカルの姉)     大湖 せしる
ランベスク公爵             未涼 亜希※4/23~30
女官長                  桃花 ひな
ソフィア(フェルゼンの妹)       夢華 あみ

*平民たち*
ベルナール (新聞記者・革命のリーダー格) 早霧 せいな ※4/23~30
ロザリー(ベルナールの妻)  早花 まこ
アラン(衛兵隊のリーダー)  彩凪 翔※4/23~30
アルマン (衛兵隊のサブ) 鳳翔 大

一幕は、幕前にて専科さんが語り合って説明・・という植田先生のあまり評判の芳しくない演出の特性がいかんなく発揮され、せっかくのベルばらなのに・・・という残念感が。

幕開きはお約束のバラの小公子、小公女。
月と違って(笑)小公子が永遠輝せあちゃんで美しく、ホッと安らぎます^^脇を固める小公女も星乃あんりちゃん彩月つくしちゃんと売り出し中のカワイ子ちゃんたちで、まずは華やかにスタート。
次にアントワネットとフェルゼンの出会いの場となったオペラ座の仮面舞踏会のシーンが、マスケラを手にしてマリオネット人形の動きの登場人物たちによって演じられます。その流れでマスケラをはずすと、本役アントワネットのあゆちゃんが・・・なのですが、演出がわかりづらいので、ただの歌手ポジのように見えて、ここで拍手が入らないのがお披露目公演なのに可哀そう。
そして充分なタメとスポットライトで強調されたフェルゼン=壮さんの登場。大拍手。
さすが、過去に5回ベルばらに出演されたというだけあって、ベルばらの申し子のように麗しく、この大芝居のコスチューム劇にしっくりハマるVISUALと演技。
そして、銀橋の両側からオスカルアンドレ登場・・・2人がセンタ―で寄り添い相並ぶの図が・・・
あまりに素晴らしくてひとまず大興奮^^

その後、オスカルがフェルゼンに帰国を進言、くつろぐフェルゼン邸の窓から(笑)メルシ―伯が極秘の訪問、同じく帰国を進言、ベルナールとロザリーの語る困窮する市民生活を聴き貴族社会の矛盾に悩むオスカルと彼女を守る決意のアンドレ、オスカルの秘めた思いに気付くフェルゼン、帰国の決意。
居並ぶ貴族の前で、国王夫妻に暇を告げるフェルゼン。
彼とアントワネットの不倫を匂わせ公然と侮辱し詰問するプロヴァンス伯に応えて、紅バラのアントワネット、白バラのオスカル、大きな心のルイ16世を称える歌を歌って1幕終了・・・。

この一連の流れがなんとも紙芝居的で・・・。
まず登場人物が出てくるとほとんど動かず会話を交わし、幕閉まり、幕前で芝居をしている間に次の場面のために幕が開き・・・の連続。あの~せっかく盆やセリがあるのですから・・・照明も、暗転とかピンスポットとか色々あると思うのですけど・・・^^;

あまりに動かないせいで、とても気になることが!
かなめオスカルがだれよりも大きいのですよ~><。
宙組にいるとスラリと背が高いけれど華奢なのでとても姫っぽく見える彼女が、ここ雪では一回り大きくて・・・。
星でご一緒した柚希さんより1cm高いだけなのですけど、アンドレって従卒設定ゆえに足元がスターブーツではないので、身長差が目に見えてしまうのですよね・・・^^;。体格の良い柚希さんと華奢な凰稀さんの並びは基本オスカル・アンドレのイメージ通りなのですけど。そのアンドレと双子のような(笑)夢乃ジェローデルも然り。
憧れのフェルゼンに至っては170cmの壮さんと3cm差があるので、気持ちに気付いているよ、の言葉に思わず駆け寄り・・の場面、チギカルは抱きついていたらしいのですが、かなカルは身体を前傾姿勢にして手を握っていらっしゃいましたxxx

とはいえ、さすがの「芝居の雪組」
不動での台詞劇ではありましたが、それぞれが役をしっかりとつかんで、見事に表現していることに感動。
星ですが(^^;)まず柚希アンドレは、見た目の思いがけない可愛らしさ(前髪をたらした黒髪でなんだかカワイイ)に反して、ひとたび口を開くと、その包容力と広がるスターオ―ラが半端なく、流石は人気組・星のTOPスター!
オスカルが貴族であることのジレンマでイラつく時も、堂々となだめて包み込む・・・これはオスカル、自分では気付いていないかもしれないけれども精神的にすっかり依存しているわねとそれだけで観てとれる演技。
そして、原作の優雅な貴族文化を体現するジェローデルが・・・いきなりオスカルを叱咤するために張り倒す体育会系熱血男子に!!さすがはともみん九州男児だわ!と納得(え?)
早霧さんのベルナールも鋭く熱弁をふるう社会派記者になっていて、これも月の夢の世界の美弥るりかちゃんの麗しすぎるベルナールとは一線を画すリアリティ。(そう言えば、市民の皆さんも月ではテーマパークのようだったけれど、雪はリアルに困窮してそうでした・・・)
本役ではアンドレの未涼さんも胸に一物ありそうな貴族を表情だけで表して、ほぼ台詞がないにも関わらず、存在感はバッチリ。これは、東京公演の雪組バージョンも楽しみ・・・と期待が高まります。

一幕の最後は、
下手側手前にフェルゼン、センター奥の階段上に国王夫妻。
この公演で退団される、専科の磯野千尋さん、ルイ16世役で、帰国を告げるフェルゼンをなんと引きとめます。権力争いで心からの友のいない宮廷で忠実で信頼のおけるフェルゼンにアントワネットのためにも留まってやって欲しいと。この国王はぽっちゃりと愛らしいアントワネットとは親子のように見える役づくりで、優しく孫娘を思いやるおじい様のよう・・・。色っぽい流し眼で鳴らした磯野さんの最後のお役としてはどうなのでしょう。まだ、1月の博多座版「銀河英雄伝説」で、色気と権威ある皇帝フリードリヒ4世を演じたお姿が目に焼き付いているので、勿体ない・・・と思ってしまいました。
愛加さんのアントワネット、心乱れショックを受けながらも、それを表に出すことのできない立場ゆえ、おろおろしている様が気の毒・・・。このあと、アントワネットの登場は最後の断頭台に向かう直前の牢獄までいっさいありません。
特出バージョンゆえ、とはいえ、お披露目公演なのに申し訳ないような気がします。
アントワネットのそばに控える女官長、ブルーのドレスの桃花ひなちゃん。ブラック・ジャックのピノコ役で、その肉の薄い色白なお顔が品よくてろうたけた美少女そのものでしたが、輪っかのドレスもお似合いでやはりキレイ。
上手側手前にはセンターからオスカル、アンドレ、ジェローデルの順に並んでいます。
プロヴァンス伯が容赦なく、不倫を匂わせる糾弾をフェルゼンに浴びせる様は、奏乃さんの下級生離れした専科さん並みの貫録と凄味に仮面の男の異端審問官再びか・・・と震撼させられますが(笑)、それを受けて、お慕いしていた麗しの紅バラの人、心ひそかに慕ってくれていた白バラのような人、さまざまな愛を教えてくれた、フランスに感謝を・・・とりわけ大きな愛を教えてくれた王よ、ときれいにまとめるフェルゼンですが、紅バラで、見るもあわれな動揺っぷりのアントワネット、白バラでハッと胸に手をやり、表情を変えるオスカル・・・バレバレですけど・・・^^;
フェルゼンの歌に目に涙を溜めてキラキラ輝いているんですけど、瞳が。
そしてそんなオスカルを見つめる彼女を慕う2人の男が上手側に並ぶの図がなんとも・・・フェルゼン、罪作りな男。

第2幕

オープニングはスウェーデンの花祭り。雪の若手路線、蓮城まことくんと香綾しずるくんの見せ場はここだけ?

スウェーデンのフェルゼン邸のお庭にて・・・。
妹との会話に突然の謎の来客。ジェローデル!
アントワネット救出計画の協力依頼をを申し出る彼に、オスカルの安否を尋ねるフェルゼン。
「オスカルは死にました。わたくしとの縁談を父上が決められて・・・」

幕前でアンドレが「いやだ、オスカルを渡すものか!」と苦悩して歌います。
そして、場面はオスカルの部屋。
母と姉がオスカルのヴァイオリン演奏を聴いています。
オルタンスお姉様の大湖せしるさんが麗しく、もと男役の気配を微塵も感じさせないのがステキ。オスカルの凰稀さんはもと雪組で、この2人が兄弟役を演じたこともある・・・それが今は姉妹という不思議^^;でも美人姉妹で納得です^^
白いたっぷりとしたお袖のブラウス、ベルベットのハーフパンツ、白タイツにオペラシューズでヴァイオリンを奏でるオスカルのVISUALは完璧なのですが・・・惜しむらくはヴァイオリンの弾き方!
流れるモーツァルトのセレナーデの音をガン無視して単純に弦を往復させるだけ・・・かつて「忘れ雪」でのサックス演奏シーンのために本当に演奏が出来るまで練習した本格派のかなめちゃんともあろうお方がまさかの手抜き!!と衝撃を受けましたが^^;まぁ、大劇場公演の直後、TVドラマ「TAKE FIVE」の収録もあり、短すぎるお稽古期間で取捨選択をしなくてはならなかったということでしょう。
そこにワインを手にしたアンドレが。「一緒に飲んでもいいか?」「なんだ、改まって^^」笑いを含んだ軽やかな台詞まわし、「そうだ、乾杯しよう!」までのオスカルの自然な演技が素のかなめちゃんのよう。
グラスを口に運ぶ直前に「飲むな~」と払いのけ、おまえを他の男に渡すくらいならと毒殺未遂を告白するアンドレ。
心からの懺悔と「おれの役目は終った」ジェローデルはふさわしい相手だと肩を落として去るアンドレに、驚きつつも睫毛を伏せて心の中でたくさんの感情がうごめいているオスカル・・・。なにかこう、一つ一つの場面毎のオスカルの心情の動きが実に繊細にちょっとした視線や仕草に反映されていて、流れが自然なオスカルの演技です。

そしてまた、後日のオスカルの部屋。出陣前夜で、もうここに戻ることはないと予感している。
母と姉に甘えて、感謝の言葉。
「さらば青春」の独白。アンドレを呼ぶとすぐに扉を開いて入ってくるアンドレ。いつでも控えているのですね^^
「星がきれいだ・・」窓辺に佇むオスカルに自然に寄りそい、肩に手を。
その手に目をやりさりげなくはずして長椅子に。
愛の告白。「おまえは私を好きか」
「・・・好きだ」の力強さ。
もう、この場面の一つ一つのやり取りの魂の入り方は・・・素晴らしかったです。
「わたしを抱け」の決意。膝まづいて腰に抱きつき、「わたしはアンドレ・グランディエの妻と呼ばれたいのです」という女言葉がきらいで、原作のオスカル様はこんな女々しくない!といつも思っていたのですが、凰稀オスカルのこの台詞は凛とした端正な言い方で、感情の奔流に身をまかせつつも、こうしようと自分で決めたことを再確認するような意志のある言葉。それに応える柚希アンドレの文学的な大時代な台詞も、この場の浪漫の香り高さを高めこそすれ、不自然さはまったくなく・・・
オスカルの金髪を愛おしげに撫でるのが手の平でなく、指を美しく形作った上で甲でなでる柚希さんさすが!
とても複雑で美しい2人のポジションチェンジとポージングがピタリピタリと決まり、最後のキスシーンが幕が落ちる寸前で顔を近づけ・・・完璧だわ・・と思わずタメ息。

翌日衛兵隊と市民が橋の下で不安におののいています。
軍隊が市民に銃を向けるのか?
アラン役の彩凪翔くん、月の星条海斗さんが圧倒的なカリスマリーダーだったのに、翔君は一応班長さんだから意見をまとめなくてはならない程度?の役どころ。サブリーダー的な鳳翔大ちゃんの方が台詞に力がありスタイルの良さも相まってオ―ラがあります。
オスカル登場。弱い立場の市民を守ってやらなくては。
そこにブイエ将軍が。市民の反乱を鎮圧するようにとの命令に逆らい、オスカルが剣を向けて将軍を威嚇します。
女伯爵の地位を捨てる!と勲章を投げ捨て、フェンシングの構えのポーズを取る迫力!
市民と兵士を鼓舞する言葉の高尚さと凛々しさ。
斥候に赴くために橋の上にいるアンドレに駆け寄り、声をかける時、唐突に甘えた声になるオスカルに違和感を覚えていたのですが、そこもそこはかとなく女らしさと人柄の柔らかさを醸し出しつつも媚びた甘えはなく自然。
「敵は近いぞ!」と告げて銃弾の的となるアンドレ。駆け寄ろうするオスカルをジェローデルが腰に抱きついて押さえます。「離せ!」が時折ちょっと暴れながら「離して!」になるその声が素のかなめちゃん。それがオスカルの必死さを盛り上げます。真摯な表情でしっかと留める夢乃ジェローデル、さすが。
アンドレは銃弾を浴びたショックで悪くしていた目がまた見えなくなり。「オスカル・・どこだ」「見えていないのか!」
額の髪を掻き上げ幻のオスカルを観るために眼を凝らすアンドレ。ブロンドの髪翻し・・と歌って再び銃弾を浴びてがくっと欄干に上体を落とす・・・アンドレの絶命。
悲痛なオスカルの叫び。

センターに1人立たずむオスカル。ハッと顔を上げると眼が燃えていて、前髪が乱れている。この前髪の乱れがステキ
アンドレの死を無駄にしてはならない・・・シトワイヤン、行こう~~~!
この「行こう~!」が!!
最近、CSのベルばら特集番組で、歴代のオスカルが言う名台詞を一挙に比較、というのを見たときに、昔はとても力強く大芝居をして言う台詞だったのが、現代に近づくにつれ、ライトになってきたな~と思っていたのが、かなめオスカル、昭和の大スター並みの大きな芝居で、力強い鬨の声でした。
そこから始まるバスティーユ進軍。もう・・・カッコよすぎる。この第2幕は動きが多いせいか、かなめオスカルの大きさが全く気にならず、スタイルの良さとシルエットの美しさにただただ観惚れるのみ。
ちぎちゃん(早霧せいな)のベルナールもきびきびとしたダンスで素敵でした。
そして被弾して崩折れるように倒れるオスカル・・・しなやかにシャラッと横座りに倒れ、すかさず、兵士たちにリフトされて十字架のように掲げられ、再び崩折れるとロザリーが駆けてきて膝枕を。このロザリーは母性的でしっかりもの。
その瞬間、翔くんアランがよく通る声で「バスティーユに白旗が!」
「ついに落ちたか・・・フランス・・・万歳・・・」で息を引き取り、号泣する人々、剣を掲げて礼を尽くす兵士・・・で幕。

はぁ~。こんなにフルに完璧なオスカル・アンドレを見せてくれるなんて・・・
ありがとうございました(だれに?雪組サンに?)。
かなめオスカルすべての場面がイメージ通りで素敵でしたが、とりわけアンドレを失ってから自分1人になって周りを率いて炎のように燃えて燃え尽きるまでの流れが素晴らしすぎました。

もう、満足で・・・
この後、話を聴き終えたフェルゼンがムチをふるって(似合いすぎ^^;)馬車を駆り、Parisに急行。
コンシェルジュリーの牢獄で、可愛がっていたシュテファン人形を返して・・のメルシ―伯とアントワネットの別れの場面、続いて助けに来たというフェルゼンと、フランス王妃として立派に死にたいと語るアントワネットとの別れの場面。
ここでの愛加あゆちゃんが牢獄の生活の割にふっくらしているのはさておいて、可愛らしい容姿に似合わない落ち着いたアルトのお声でしっとりと決意を語る様子はとても良かったです。

ところで、フェルゼンのテーマソング「愛の面影」があまりにも昭和演歌でびっくり!
誰の作曲だろう!と確認したら、宝塚のモーツァルトと名高い寺田滝雄先生でまたビックリ。こんな曲も書いていらしたのですね。
やはり、ベルばらは歌舞伎なのだなぁと再確認致しました。

アントワネットの悲劇に浸る間もなく、すぐに初舞台生のロケットに。
大劇場の初舞台生公演を観るのが初見で、オープニングの緑袴の正装でずらりと並んだ生徒と3人の日替わりメンバーによる口上も緊張感いっぱいの初々しさと袴に白足袋の端正な清潔感に身の引き締まる思いがし、ロケットでの満開の笑顔と一生懸命さと若さが輝く様に力を分けてもらいました。
宝塚はパワースポットとよく言われますが、初舞台生を含めた111名の舞台にはそれ以上の力があると実感。

そして、下手に掃ける彼女たちを手拍子しながら眼で追っていたら、お隣の友人がちょいちょいとつついてくれて・・・
大階段頂上からしずしずと降りてくるシルエットは・・・!!
はい、「小雨降る径」オスカル・アンドレ役者によるデュエットダンス。
きゃー、柚希さんが男役、凰稀さんが女役設定で、大階段でのアダルトなダンスです。
ターバンのようなヘッドドレスと片側だけの大きなフリルが肘から下と膝下にうねるアシンメトリカルな大胆なデザインの淡いブルーグレーのサテンドレス。膝下の脚を見せていますが全体にスリムなドレスと相まって、もう、スラリとしてキレイ。
2人とも余裕感たっぷりに踊っていて、柚希さんの眉間にギュッと皺を寄せるような濃いめの表情が熱く、それを受け止めていなすような誘って翻弄するかなめ姫の表情がまたTHEクール・ビューティ―という感じで・・・
タメ息しかでません・・・。最後ポーズを決めてセリ下がるのですが、お顔が見えなくなる最後の一瞬にハッとするような表情をするお二人・・・さすがTOP2人だと魅せ方が違う、とまたタメ息。

その後の大階段を斜めに使った黒燕尾の流れも、壮さん愛加さんの紅いお衣装のデュエットダンスも素敵で。
エトワールは夢華さん。きれいなソプラノ。そしてパレード。
次々に降りてくる雪組生を確認しながら、出番が少なくなってしまってごめんなさいね!でも、東京でしっかり見せていただくから・・・と心の中で語りかけつつ^^;
あゆちゃんの次に凰稀さん、そして柚希さん、2人が一度センターに並んでから、迎える場所に分かれて・・・
最後は壮さんを皆でお迎えしてのラストとなりましたが、もう、なんでしょうか、雪・星・宙の3TOPが並ぶこの艶やかな強いオーラを発散する並びのゴージャス感って

これを2回連続で観てヘトヘトになりつつ・・・でも良き公演でした



ちなみにこちらは、公演デザート「フェルゼンの愛した白バラ(オスカル様)」
底に情熱的な心?をイメージしたラズベリーソースが隠されているホワイトチョコレートのムース。
東京の公演デザートも、こんなエレガントなプレゼンテーションで出してくださればよいのに・・・
やっぱり大劇場は良いですね


ユジャ・ワン ピアノリサイタル@サントリーホール

2013-04-22 05:34:50 | MUSIC
このところ劇場のはしごが休日の定番と化していますが・・・^^;
五反田から六本木1丁目に・・・。

2013年4月21日(日)19:00スタートのユジャ・ワン ピアノ・リサイタル
サントリーホールの大ホールにて。

スクリャービン: ピアノ・ソナタ第2番 嬰ト短調 op.19 「幻想ソナタ」
プロコフィエフ: ピアノ・ソナタ第6番 イ長調 op.82

休憩

リーバーマン: ガーゴイル op.29
ラフマニノフ: ピアノ・ソナタ第2番 変ロ短調 op.36(1931年改訂版)


アンコール曲

シューベルト(リスト編): 糸を紡ぐグレートヒェン

ビゼー(ホロヴィッツ編): 「カルメン」の主題による変奏曲

グルック(ズガンバーティ編):メロディ

プロコフィエフ: トッカータ

ショパン: ワルツ 嬰ハ短調 op.64-2

ロッシーニ(ホロヴィッツ編): フィガロのアリア「私は街の何でも屋」(セヴィリアの理髪師より)



(写真は梶本音楽事務所のHPからお借りした、トッパンホールのもの)

16日に水戸芸術館でスタートしたJapanTourの最終日。
スケジュールを観ると連日なんですよね・・・。さすがは1987年生まれ。若いって素晴らしい。

さてさて、アルゲリッチをして「すごい才能を発見」と言わしめたChineseLady、ユジャですが、
この日の演奏も圧巻でした。
中国系のピアニストにありがちなのですが、とにかくテクニックが素晴らしく、叩きつけるかのように強いタッチの演奏を得意とする・・・が抒情的な表現は苦手?というイメージ、でしたが、ユジャの場合は正確すぎるまでにクリアなタッチ、早弾きでも決して乱れることのない音、そしてメロディラインを明確に打ち出すコンセプトの明確さが際立っている感じ。
それに加えて、こんなのも弾けるのよ、的なアンコールでのショパンは、情緒に流されることのない端正なフレージングと余裕感溢れる強弱のアクセントで、アカデミックにまとめて。
プログラムで読むと、作曲家自身の演奏にヒントを得、余計なものをそぎ落とした本質的な演奏を心がけているご様子。

「ハリケーン・ユジャ」と呼ばれている彼女のスタイル、演奏自体は疾風怒濤の如しでとにかく圧倒されるのですが、ステージ衣装も彼女独特。
スレンダーで伸びやかに筋肉質な身体をタイトなミニドレスに包み、13cmのハイヒールエナメル黒パンプス・・・という出で立ち。
この日はプログラム前半はワンショルダーの黒のミニドレス。
休憩をはさんだ後半は朱赤のビスチェミニドレスでともに身体にピッタリしたタイトなもの。
サンフランシスコのツアー初日では「ボンドガールのような」と新聞評で紹介されたという彼女独特のステージ衣装が相まって、なかなかシャープでセンシュアルでアグレッシブかつアカデミックな演奏を堪能しました。

プロフィールに「スタンウェイ・アーティスト」とあるのですが、これはあのピアノのスタンウェイ社から
サポートを受けている、ということでしょうか。
それも納得かも。
彼女の演奏からは、ピアノという楽器の可能性を極限まで追及するとこうなるのか・・とタメ息をつかせるものがありますもの。
アンコール最後の「セヴィリアの理髪師」などはオペラの多重唱の盛り上がりを彷彿とさせる複雑なハーモニーがそのまま崩れることなくどこまでも加速していき・・・
アクセル全開だけれども、冷静なレーサーのような彼女でした。


「マニュエル・ルグリの新しき世界Ⅲ」 Bプロ

2013-04-22 05:23:50 | BALLET
ルグリガラ、最終日、ゆうぽうとに行って参りました。
4月も下旬だと言うのに1月のような寒さ!
軽井沢から来た友人は15cmくらいの積雪で車が出せなかったとか・・・
と、時ならぬ寒さに凍えましたが、会場内は熱く盛り上がったGALAでした


2013年4月21日(日)3:00 p.m. / 会場:ゆうぽうとホール

《マニュエル・ルグリの新しき世界III》Bプロ


■「クリアチュア」 より
振付:パトリック・ド・バナ 音楽:デム・トリオ(トルコの伝統音楽)、マジード・ハラジ、ダファー・ヨーゼフ
秋山珠子、ディモ・キリーロフ・ミレフ

ダークレッドのコルセットキャミの秋山さん、キリ―ロフ・ミレフは上半身には衣装を着けず、お二人とも袴のような黒のロングスカート?を。
この衣装のパターンがド・バナさんのお好みなのでしょうか?
音楽がトルコの伝統音楽、ということも相まって、旋回舞踊系でまたもやトリップしそうに・・・


■「ノクターン」 ("Songs of the Night"より)
振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:フレデリック・ショパン
シルヴィア・アッツォーニ、アレクサンドル・リアブコ

白い長そでのシンプルなワンピースのアッツォー二が踊る舞台に、上手の奥からメガネ男子が・・・。
本を手に読みながら歩いてきますリアブコが。
シャツにネクタイ、グレーのニットベスト。彼と彼女の出会いと別れ。
ノイマイヤーらしい、男女の細やかな心の機微を雄弁に語らせる振りを完全に自分の言語として表現することのできる2人が織りなす短編小説のような一幕でした。




■「アルルの女」 より
振付:ローラン・プティ 音楽:ジョルジュ・ビゼー
マリア・ヤコヴレワ、キリル・クルラーエフ

これはルグリ先生&イザベル・ゲランのお手本のようなパフォーマンスがつい蘇ってしまう演目ですが・・・。
ルグリ先生直伝であろうプティの世界、幻影の中のアルルの女に魅了されて破滅(というか、文字通りあちら側の世界に行ってしまう主人公)をクルラ―エフがどう見せるか・・・。
うーん、長身で手足が長いことが邪魔をしているのか、彼の踊りの持ち味が違うのか。
どこが悪い、というわけではないのですが、音楽が高まりアップテンポになる終盤の盛り上がりはもっと踊りに音を先取りしていくような狂熱的な早さときびきびとしたリズム感が欲しいのですけれども・・・終始流麗な踊り、で盛り上がりに欠けるような・・とはハードル高め設定で、彼に気の毒でしょうかしら。
ヤコヴレワの白いぺザント衣装の恋人役は優しく柔らかな空気感で素敵でした。

■「ファクタム」
振付:パトリック・ド・バナ 音楽:フェルナンダ・アンド・ベルナルダ・デ・ウトレーラ/ルイス・ミゲル・コボ
ヘレナ・マーティン、パトリック・ド・バナ

黒い衣装で現代音楽に乗せて踊るフラメンコ?モダンダンス?
面白い音楽の使い方だなと。大人な2人の演技でした。

■「ル・パルク」 より
振付:アンジュラン・プレルジョカージュ 音楽:ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
オレリー・デュポン、マニュエル・ルグリ

「解放のパ・ド・ドゥ」です。
2人とも髪を後ろにまとめて黒いリボンをつけたヘアスタイルで、白いゆったりとしたぺザントシャツのようなナイトシャツ姿で、艶やかなオーレリ―のしっとりとした表現力にモーツァルトの音楽とともに酔いしれました。
ルグリ先生は・・・どうしたことでしょうか・・・。
踊りそのものには勿論破綻のあろうはずはないのですが、このPDDに不可欠な情熱の高まりが感じられず、あの口づけをしたままフリーハンドで旋回するリフトも、情熱や愛の高まりの末に・・という高揚感が今一つで、あまつさえ、リフトが終ったあとルグリ先生が肩で息をしていらしたような・・いえ、ほんの数秒のことですが・・・。
キャリア終盤の余裕感のあるイレールのそして、前回の来日時のルグリ先生の完璧なパフォーマンスがデフォルトになっているので、ついついそれを求めてしまう自分が欲深いだけだと思うのですが。
もう、この演目には、向いていないということではなく、生身のダンサーですからその日の体調やテンションが影響するのかもしれません。


【 休 憩 】


■「エイムレス」
振付:ディモ・キリーロフ・ミレフ 音楽:マーク・リボー
秋山珠子、ディモ・キリーロフ・ミレフ

お二人ともカラフルでカジュアルなカラ―パンツに裾出しの着こなしの半袖柄シャツ姿。
シンクロするように踊りますがどこか飄々とした味があり、このお二人には、ド・バナさんの作品よりもしっくりくる感じがあるな・・と思ったら、ディモ・キリ―ロフ・ミレフさんご自身の振付なのですね。


■「テーマとヴァリエーション」
振付:ジョージ・バランシン 音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
リュドミラ・コノヴァロワ、デニス・チェリェヴィチコ
東京バレエ団

ゆるぎないクラシック・スキルを持つコノヴァロワのための演目。
水色のクラシックチュチュでの華やかなバランシン・バレエ。
チェリェヴィチコは、Aプロでも思ったのですが、ソロ(特に回転技系)は素晴らしいのですが、女性をリフトしたりサポートしたりするのがあまりお得意ではないような・・・^^;
コノヴァロワは自力で立つことのできる人なので、リフトの危うさも、自ら降りるタイミングをはかったり自己解決されているご様子でしたが・・・。
東バの面々、4組のカップルにソリストが配されていましたが女性の4人の上手に吉川留衣さん、下手に乾友子さんがいらして、お二人が好きなわたくしとしては楽しかったです。
男性は上手から2人目に松野乃知くんが。一際美しいラインの踊りでノーブルでした。
彼は王子様役にぴったりですね。今後主演を観たいダンサーです。


■「ノット・ウィズアウト・マイ・ヘッド」
振付:ナタリヤ・ホレツナ 音楽:テリー・ライリー
シルヴィア・アッツォーニ、アレクサンドル・リアブコ

男女のドラマ。2012年にこの2人のために振りつけられたという新しい作品。
赤い衣装のアッツォー二と黒い衣装のリアブコ。いきなり2人の意味を持たない台詞による叫び声から始まるアバンギャルドな作品ですが、アクロバティックなリフトの数々もものともせずに感情の流れの中に取り込む2人のポテンシャルと振付にこめられた感情を織りなす表現力はしっかりと堪能出来ました。
作品として好きかどうかは別として、やはりこの2人のダンサーの力量は素晴らしい。
こうなるとハンブルク・バレエ団の全幕の来日公演が待たれますね。


■「モシュコフスキー・ワルツ」
振付:ワシリー・ワイノーネン 音楽:モーリツ・モシュコフスキー
マリア・ヤコヴレワ、キリル・クルラーエフ

ヤコヴレワの衣装はAプロの「チャイコフスキーPDD」のときと同じ、軽やかなシフォンのサーモンピンク。
白シャツ黒パンツのシンプルなクルラ―エフとのコンビネーションは、長身で美しいふたりの流れるようなワルツのリズムに乗った伸びやかな踊りで心地よく、今のウィーン国立バレエ団の良さはこういうところにあるのだろうな、と感じさせてくれた演目でした。


■「シルヴィア」 より
振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:レオ・ドリーブ
オレリー・デュポン、マニュエル・ルグリ



この作品はルグリがオペラ座の大エトワール、デュポンがそのパートナーとして組むことになって間もないころのバレフェスで上演されたような記憶があります。
何年前になるのかしら・・・。
女性が旅立とうとトランクを手に下手に現れるところから始まり、男性と手に手を取って、2人の過去を振り返り、そしてまた行こうとする彼女の足元に、彼がまた滑り込むようにして寄り添い引きとめる・・・
衣装を含め華やかさをあえて排除した大人の男女の私小説のような関係性を描いたドラマで、あの頃の若くてキラキラとお人形のように美しいオーレリ―にはあまりそぐわない感じがしたのですが、今のしっとりとした情感がただよう彼女にはぴったりな演目だと思ったことでした。


ピアノ:髙橋 望 (「ノクターン」)

※音楽は特別録音によるテープを使用します。(「ノクターン」のみピアノ伴奏)



◆上演時間

第1部 15:00 - 16:10

休憩 20分

第2部 16:30 - 17:35

今回のBプロは、リアルでもパートナーであるダンサーのPDDが多かったせいか、男女の関係性の様々なバリエーションを短編集を読むように繰り広げてくれた演目が多く、こじんまりとしたゆうぽうとという会場の空間も相まって、どこか親密な感じのするガラでした


宝塚花組「オーシャンズ11」

2013-04-22 03:13:18 | TAKARAZUKA
2013年4月18日(木)18:30の夜公演で、宝塚花組公演「オーシャンズ11」を東京宝塚劇場で観て参りました。

組替えで星組が大量に中堅スターを他組に放出する前に、小池修一郎潤色で上演されたときには、通ったものですが・・・。
当時の小池先生が引っ張りだこのスケジュールの中ギリギリで仕上げた脚本を追い掛けるようにして組子がお稽古をし、自分たちの役作りを自主的に行ったという星組公演。
今回の花組は、より緻密に演出も仕上がり、花組特有の濃い男役芸もあいまって、星とはまた異なる味わいの作品に仕上がっておりました^^




主な配役 * 右の( )内は星組公演時の配役です


ダニエル・オーシャン    蘭寿とむ(柚希 礼音)
テス              蘭乃はな(夢咲 ねね)

ラスティー・ライアン    北翔海莉(涼紫央)
クイーン・ダイアナ    桜一花(白華れみ)
フランク・カットン    瀬戸 かずや(夢乃 聖夏)
バシャー・ター     春風弥里(壱城 あずさ)
バージル・モロイ     水美 舞斗(如月 蓮)
ターク・モロイ      柚香 光(天寿 光希)
イエン     華形ひかる(鶴美舞夕)
リヴィングストン・デル    鳳 真由(美弥 るりか)
ルーベン・ティシュコフ    紫峰 七海(美城 れん)
ソール・ブルーム     悠真 倫(未沙のえる)
ライナス・コールドウェル  芹香斗亜(真風 涼帆)
テリー・ベネティクト   望海風斗(紅 ゆずる)
ポーラ   花野じゅりあ→華雅りりか(音波 みのり)
マイク             大河凛(礼真琴)
3ジュエルズ         芽吹幸奈(花愛瑞穂)
                 菜奈くらら(毬乃ゆい?白妙なつ?)
                 仙名彩世(音花ゆり)

ザ・男役まつり!という雰囲気の花組版オーシャンズ。
星のキラキラした若い路線スターたちがひしめいている楽しさとはまた異なる、思い思いにキザなカッコよさをアピールする男役たちの濃い熱気と全編これラスベガスのゴージャスなショータイム?!という雰囲気が非・日常的な楽しさに満ち満ちている公演です
観た人は皆、「楽しい~」と満面の笑顔。・・・若干お肌も艶々しているような・・・

お話は・・・
ムショをでた詐欺師のダニー・オ―シャン。
親友ラスティーと一緒に、ホテル王ベネディクトにひと泡吹かせる計画を立てる。
エコロジー運動に関心を持つ歌手である妻テスを巡ってライバル関係にあるダニーとベネディクト。
一方ラスティーの恋人ポ―ラの一家が経営するショー・パブ?「エル・チョクロ」はベネディクトの新ホテルのために地上げの危機に瀕している。
ベネディクトのカジノとホテル1日分の売り上げをだまし取り、一泡吹かせようじゃないか。
そのために必要な異能集団をスカウトしてチームを作り、計画が着々と進められていく・・・。
テスはベネディクトの新・プロジェクト「エコ・ホテル」のミューズとして、プロモーションの顔「エコ・プリンセス」に抜擢。
ホテルのマジック・ショーのクイーンとしてベネディクトの寵愛を欲しいままにしてきたダイアナはテスを陥れるために暗躍。
ダニーに離婚を迫るテス。テスに求婚するベネディクト、復縁を図るダニー。
11人の仲間の計画は?3人の愛の行方は?

というわけで、ラスベガスを舞台に繰り広げられるコン・ゲーム。
詐欺師だけれど一途な愛を捧げてくれるダニーと、成功者で非の打ちどころのないホテル王だけれど裏の顔がありそうなベネディクトの間で揺れるテスの女心と男たちの混成チームの友情が見どころ。

物語を進めるのは色っぽい歌ウマの3人娘と黒塗りキラキラのマイク。
星で礼真琴くんが艶っぽく歌いまくって歌姫なお姉さまたちを従えて圧倒した役ですが、花組若手スター大河凛ちゃんも女の子っぽい可愛らしさを封印して華と押し出しのある歌手っぷり。
そして、気になる娘役さん、仙名さんがやはり上手くてキレイ^^
成績が良くて、キレイな娘役さんなのだけど、ちょっとアゴが出ている(失礼!)のと同期の実咲凛音ちゃんが押されている陰に隠れていたけれど、最近輪郭もお化粧が上手になったのか気にならなくなり、凛音ちゃんが宙のTOP娘役として組替えした今、次のバウヒロインにも抜擢されて・・・^^頑張ってほしいです

では役ごとに一言ずつ・・・

■ダニー・オーシャン
蘭寿さんにやって欲しいと皆が思っていた大人の男のスーツもの、遂に来ましたね!お披露目のファントム以来、どうして現代ものでスーツものが来ないんだろう・・とじりじりしていたのでようやく!と思いました。
はい、期待通り、ハリウッドゴージャスな大人のキザなイイ男を余裕綽々で演じていらっしゃいます。
スーツも、ボタン3つくらいはずしたグレーのシャツにグレーのスーツ、ジャケットの襟に添わせるようにワインの小紋柄の入ったグレーのスカーフをあしらって・・というような、詐欺師だからギャングのようなボールドストライプ、というのではなく、シックなお洒落が粋で素敵でした。

■ラスティー・ライアン
大人の蘭寿さんの親友には北翔さんくらいの格が必要なのかも・・・。ということで、専科からの特出です。
お二人バランスがとても良く、そういえば、大空祐飛さんTOPの初期、2番手3番手で同じ舞台に立っていたお二人ですから・・・。
そして、北翔さんと言えば、魅惑のクリ―ミィVOICE。言うまでもなく歌が素晴らしいので、ご出演ありがとうございました!と言う感じ。
テラテラっとしたカーキ色?のサテンスーツで、ベージュ系で本当にイタリアンスーツ、という高級感のあった涼さんのブラピを意識したラスティとはちょっと違った、ショービズ界で地道にやってそうなラスティ。
何よりの功積?は、目くらましのために登場する、偽医者ジョンソン医師の場面。
毎回異なるアドリブを無尽蔵に繰り広げると、スタッフさんやオケピの中まで全員舞台に注目してしまうらしい面白すぎ、自由すぎのお医者さん。
観劇した回にはSMAPの香取慎吾さんが観にいらしていたようで、カラオケ好きのおじいちゃん設定でSMAPの曲に絡めたアドリブ連発&もれなくひとくさり歌うという・・・思わず笑いをこらえきれなくなったベネディクト=だいもんに「あんたね、笑ってるけどね、」と突っ込んで、ステキな暴走っぷりでした。

■テス
ぱっと見は、ゴージャス美女そのものだった星組のねねちゃんに比べると、2人の男が取りあうほどのイイ女・・?かしら??と思ってしまいましたが(蘭ハナちゃんごめんなさい!)
気が強くてポンポン飛び出す憎まれ口の中に、忍びよる不安や心の揺れもしっかり演じていて、芯のしっかりしたテスでした。
ねねちゃんがゴージャスな外見とは裏腹に、意外と柚希ダニーに翻弄されていた感があったのに対して、蘭ちゃんは対等な駆け引きというか、やり取りがカップル感いっぱいで、良い大人のカップルになってきたなぁと、今更のように思いました。フィナーレのダンスも蘭寿さん以上の切れの良さで、ダンサーとしても、彼女のスタイルが確立されてきて良いスターっぷり。蘭蘭コンビ今、とても良いですね

■ベネディクト
だいもん(望海)ですから・・・。この方も、お歌が上手くてどうしようかと^^それにしてもこの花組公演、歌の上手いヒトがガンガン歌うのでとても迫力と広がりがあり、耳に優しい公演っていいなと改めて。
きれいな広がりのある整った丸顔が昭和っぽいとか正義の味方にしか見えないとか言われる彼女ですが、今回はゆがんだ上昇志向を持つ2面性のある男を楽しげに演じていて一皮剝けた感がありました。
にやり、と笑う時に片頬だけで笑うヒトを漫画以外で初めて見たかも(笑)

■ライナス
芹香斗亜ちゃんですね。星にいたときは、小作りの可愛らしいお顔とスラリとした肢体で十碧れいやちゃんと2個イチで使われていましたが、花に来て新公主役など抜擢続きで成長しましたね。メイクもお顔立ちがはっきりする花男仕様で、華やかになってきました。
とはいえ、若々しい持ち味が未熟なライナスにピッタリで、大人の蘭寿ダニーとのコントラストがはっきりしてお芝居的にも適役だったかと。

■バシャー・タ―
春風弥里さん、みーちゃん。同期3人でワンセットだった宙組時代は中ではお芝居上手でちょっともったりした印象だった彼女、花に来て間もなくスッとお痩せになっていきなりカッコよく・・・!
今回更にお痩せになったような・・・前髪がハラリと額にかかって、それがなんともSEXY.
開襟の黒シャツに臙脂色のサテンスーツという出で立ちがなんとも安っぽくてかっこよくて悪くていい男という風情で魅力的です。マジシャン崩れで雑技団のマネージャーのようなことをしている、ちょっと道を外れてしまった感が良く出ている肩の力の抜けた良い芝居。
で、ショータイムには打って変ってキメキメで客席の視線を釣りまくるという・・・。
お顔立ちが美形というのではないのですが、本当に魅力のある男役さんです。

■リヴィングストン
鳳真由ちゃん。この役はサイバーハイパーアーティスト?(笑)星ではみやるりちゃんがはじけて演じていたパソコンオタクのハッカーですよね。彼女はお芝居がとても繊細なイメージがあったのですが、この役もしっかりと作り込んでチャーミングでした。

■モロイ兄弟
遂にキタ!下級生ながら、その個性的な美貌でファンを増やしている柚香光くん。
今までも抜擢はありましたが、なぜか美貌だけを誇示するような踊ったり、スポットで使われたり・・の役で、その芝居心と歌の実力はベールに包まれていたのですが・・・。
今回、双子設定で、同期の成績が良くて一般的な美形の水美舞斗くんとペアで使われていることで、掛け合いや歌にも安定感が生まれ、赤毛のヘアスタイルやシンクロする動きなどで双子感満載のとても可愛くてCUTEな2人を堪能させていただきました^^

■ダイアナ
Queen of Vegas!桜一花ちゃんが小柄ながら整った頭身バランスと達者な芝居心で、我こそが女王と心から信じている傲慢で、でも憎めない、チャーミングで強い女を楽しげに演じています。
それにしても、紫のベロアの身体にぴったりしたジャンプスーツにターバンが普段着って・・・さすがですわ^^

平日の夜公演だったせいか男性のお客さまも多く・・・。
大人が楽しめるタカラヅカ、でした。


「マニュエル・ルグリの新しき世界III」Aプロ

2013-04-18 07:09:38 | BALLET
星組台湾公演ライブビューイングの六本木から急遽五反田へ・・・
間に合いました!

2013年4月17日(水)6:30 p.m. / 会場:ゆうぽうとホール

《マニュエル・ルグリの新しき世界III》Aプロ


◆「カルメン」 より
振付:ダヴィデ・ボンバナ 音楽:ジョルジュ・ビゼーほか
ニーナ・ポラコワ、キリル・クルラーエフ

金髪薄口の美丈夫クルラ―エフの端正なホセと、黒髪長身美女のポラコワ。
基本クラシックメソッドで踊っているクルラ―エフと、姿勢も背を丸めたり、どちらかというとモダン寄りのポラコワの踊りのタイプの違いが丁度ホセとカルメンのキャラクターに合っているような気がしないでもなかったのですが・・・。
「カルメン」と言えばローラン・プティの粋な振付でフェリとイレールが踊った奇跡のドラマや、妖艶そのもののシアラヴォラの真っ白な美脚が基本になってしまっているので、なんだか薄口な「カルメン」だと思ってしまいました。
とはいえ、ウィーンのダンサーたちは美しいですね^^


◆「ウィンド・アンド・クラウド」
振付:パトリック・ド・バナ 音楽:カイハン・カルホール、アリ・バーラミ・ファード
パトリック・ド・バナ

タトゥーの入った上半身をむき出しに、オ―ガンジーを重ねたようなブルー~グリーングラデのプリーツロングスカートの衣装で、エキゾチックな音楽に合わせてド・バナさんの旋回舞踊が・・・・
・・・・寝落ちしてしまいました。
悪かったのではなく、暗い照明、瞑想的な音楽、旋回するスパイラルの残像のコンビネーションで、安らいでしまったかと思われます^^;
前から5列目センターブロックの観客として失礼極まりないことと反省


◆「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」
振付:ジョージ・バランシン 音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
マリア・ヤコヴレワ、デニス・チェリェヴィチコ

ヤコブレワは可愛らしくも美しく、チェリェヴィチコも・・・いや、わたくしは彼の良さがあまり分からず^^;
体幹にみっちりと筋肉のついている手足の小さい体型がダメなのかもしれませんが・・・。
パートナリングが今一つで、おっとアブナイ的な瞬間が多かったように思います。
今回は、確か、デヴィッド・ホールバーグが踊るはずが故障が治らず急遽の代役だったという事情を加味して仕方がないのかなとは思いますが・・・。
頭上にリフトされたヤコヴレワがリフトされた体制ですでに起き上がり始めてしまっているタイミングのズレが気にかかって仕方なく・・・最後のリフトしたまま掃けるところ、ヤコヴレワがずり落ちそうになっていました。
とはいえ、チェリェヴィチコもソロでのフェッテの安定感は抜群で、別人のよう。
もしかすると、この二人は普段は組んでいないのかもしれませんね。
あと、この演目はバレフェスの定番なので、今までにみたダンサーが、ルグリ先生を始め、マラーホフ、コレ―ラ、コボーなど錚々たる面々だったというのが邪魔しているのかもしれません^^;



◆「スプリング・アンド・フォール」
振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:アントニン・ドヴォルザーク
シルヴィア・アッツォーニ、アレクサンドル・リアブコ
小出領子、後藤晴雄、東京バレエ団

東バは小出さんに貫録が出てきたな・・・というのと、こういう場面の群舞で芯を取るのがちょっと前なら松下さんや長瀬くんなど安定した実力者が固めていたはずなのに、今は宮本さんや梅澤さん、森川さんクラスなんだ・・とテンションが下がりました。以前の緊張感や統一された美しさがなく、振りを覚えたばかりです、という感じが漂っていたのは残念。
それだけに、リアブコ・アッツォー二の素晴らしさが
もう、別次元の出来事のように光り輝いていました。
特にリアブコ!彼を初めてバレフェスで観た時の驚きと感動が今そのまま蘇る若々しさで・・・。
彼ももう30代のベテランですが、その揺るぎないムーブメントとノイマイヤー作品の理解度の高さは変わらず。
一挙手一投足にも詩情が香り立つような、豊かさを湛えた踊りに心から感動し、あぁ、今日はこのリアブコを観た、というだけで、この場にいる意味がある、とまで思ったことでした。
アッツォー二もたゆたうような踊りと情緒豊かな表現で、素晴らしいパートナーシップを見せてくれました。
観終わった後も、何日もドヴォルザークの「弦楽セレナード」が脳裏によみがえり、切ないまでに美しい舞台を思いおこさせてくれました。
ノイマイヤー作品をノイマイヤーダンサーが踊る、ということの意味をしっかりと見せてくれた彼らが、今回このガラに参加してくれたことを感謝します。


◆「こうもり」 より
振付:ローラン・プティ 音楽:ヨハン・シュトラウス2世
マリア・ヤコヴレワ、マニュエル・ルグリ
矢島まい



そして、なんてチャーミングなルグリ!
オペレッタ「こうもり」の、地味な奥様べラを誘いに来たウルリックのくどきに負けて、控え目な白のロングワンピから、美脚を見せつけるような黒のコルセットドレスにフワリと黒マントをまとって、さぁ、夜の社交場にいざ繰り出さん!という場面。
小顔で楚々としたヤコヴレワが妖艶でコケティッシュな変身を遂げるのと、くるくる変わる表情のCUTEさにも心躍りましたがなんといっても口髭タキシードで軽妙に粋に踊るルグリ先生の魅力的なことといったら!!
いや~王子様は無理としても、こういう年齢に合ったダンディな役を見つけて、まだまだ踊り続けていただきたいものです。
前回の来日時には、最上のお席をNBSさんから割り振っていただいたにも関わらず(祭典会員)、仕事で行かれなくなり、泣く泣く友人にプレゼントした・・・というわけで、「こうもり」のルグリ先生を観たのが初見だったのですが、一層全幕を見逃したことが惜しまれます^^;



【 休 憩 】


◆「トリアーナ」
振付:ヘレナ・マーティン 音楽:イサーク・アルベニス
ヘレナ・マーティン

フラメンコダンサー、ヘレナ・マーティンの貫録の舞。
黒いストレッチのピッタリとしたシ―スル―ニットを脱いで、アイボリーベージュのレオタードにアシンメトリーにフリルのあしらわれたスリット入りのレースのマーメイドドレスの衣装で自在に踊る彼女は確か前回のルグリの新しき世界公演でも出演されていたような・・・。
常連組ですね。


◆「バッハ組曲第3番」 より
振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:ヨハン・セバスティアン・バッハ
マリア・ヤコヴレワ、キリル・クルラーエフ

ヤコヴレワとクルラ―エフによるノイマイヤー。足首までのユニタード姿の2人、とても長身で美しく、ウィーンの女性は髪をまとめるときに端正な夜会巻きにするアレンジが多く、それも整った容姿の彼女たちによく似合っていると思います。


◆「赤い涙」
振付:パトリック・ド・バナ 音楽:カイハン・カルホール、アリ・バーラミ・ファード
秋山珠子、ディモ・キリーロフ・ミレフ、パトリック・ド・バナ

赤と青のグラデーション衣装の3人。あまり馴染みのないメンバーですが、ここでもわたくしの緊張が解けてしまい・・・。伸び伸びとしたダンスでしたが、彼らのダンスの方向性がわたくしが舞台に求めるものと異なるのだと思います。


◆「ハムレット」 より
振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:マイケル・ティペット
シルヴィア・アッツォーニ、アレクサンドル・リアブコ

これはバレフェスで観たことのある、三つ編みの少女オフィーリアに別れを告げに来る、スーツケースを下げた少年ハムレット、という場面ですね。
バタバタとあわただしく登場するハムレットはチルデンセーターの下のシャツが半分外に出てしまっている慌てっぷりで、急なことに驚き別れを惜しむオフィーリアと、心動かされつつも出立の時に心急くハムレット・・・という感じで、表現力たっぷりの2人に、一度全幕で観てみたいものだと思う反面、GALAでの限られた出演作なら、この2人で観たい演目は他にありそうだなと^^;
ちょっともったいない気がしてしまうのでした・・・。


◆「ルートヴィヒ2世‐白鳥の王」
振付:パトリック・ド・バナ 音楽:リヒャルト・ワーグナー
マリア・ヤコヴレワ、ニーナ・ポラコワ、マニュエル・ルグリ

これも以前、見たことのある演目。
跳ねた口髭センターパーツの髪で、ルートヴィヒ2世を演じる簡素な白の衣装のルグリを巡り、彼を心配するエリザベートを演じるヤコヴレワは重厚な臙脂系のドレス、一方王座に腰掛け、彼を誘って翻弄し、異次元に連れ出す「湖の貴婦人」役のポラコワは白のユニタード。クラシカルなヤコヴレワ、モダンよりのポラコワ、それぞれの持ち味に合った配役・・なのかもしれませんが、どうも、ルートヴィヒというとヴィスコンティの映画の印象が刷り込まれているせいか、エリザベートにもっと独立自尊の精神と言うか自由な風を感じたいと思ってしまい、ちょっと優しげで気遣いのあるヤコヴレワの役作りが歯がゆく思えてしまいます。
ルグリ先生は心揺れる、精神世界に惹かれてあちらに行ってしまいそうな王を的確に演じていらっしゃるとは思うのですが・・・彼の踊りの素晴らしさを堪能するにはもっと適した演目があるのではないかとこれまた歯がゆい感じがしてしまいました。
ド・バナさんと初めて組まれたときには、それまでソロと言えば「エンジェル」一辺倒だったルグリ先生にあたらしいレパートリーが!と、とても新鮮に感じて歓迎していたのですが、今となっては、また、他のGALA向けのソロを考えていただきたいという・・・。
ファンとは欲深いものですね^^;


ピアノ:髙橋 望(「トリアーナ」)

※音楽は特別録音による音源を使用します。(「トリアーナ」のみピアノ伴奏)



◇上演時間◇

第1部 18:30 - 19:50 <休憩 20分> 第2部 20:10 - 21:20

予定されていたデヴィッド・ホールバーグが足の指?の骨折で休演。
急遽デニス・チェリェヴィチコが入ったり、ルグリの新作が間に合わず、AプロとBプロで作品を入れ替えたり・・の
変更はありましたが、なんといってもハンブルグの2人!リアブコとアッツォー二の次元の違うパフォーマンスが素晴らしく・・・・・。
それだけで来た甲斐のあるGALAでした。

個々の感想はまた改めて・・・(4月21日、UPしました