2013年4月25日(木)、宝塚大劇場にて、11:00、15:00の2公演を観て参りました。
超・長文&ネタばれ注意です
雪組 新TOPスター壮一帆さん、愛加あゆちゃんお披露目公演、グランドロマン「ベルサイユのばら~フェルゼン編」。
本公演では、2番手男役早霧せいなさんがオスカル、3番手?別格である未涼亜希さんがアンドレを演じて好評のこの公演、数日ずつ、2回、特別出演で、他組TOPスターがお祭り気分を盛り上げる・・・という企画が盛りこまれており、片方はアンドレを月組の龍真咲さん(5/24~26)演じるという順当な企画が予定されているようですが、今週は大サービス?!
星の王子柚希礼音くん、宙の王子凰稀かなめさんがアンドレとオスカル役で一週間にわたって特別出演=一公演に3人のTOP男役が!という大変な事態が発生。
もともと凰稀さんはオスカルを演じてみたかった、と言っていたこと、柚希さんと凰稀さんが星組のTOP&2番手として2年弱、とても良いコンビぶりを発揮していたことから来る話題性・・・という理由かとは思いますが、あまりにもゴージャスな配役に、これは行かなくては!とつい西へ旅立ってしまったわたくし。
本当に行って良かったです
本番目移りして色々見逃しそう・・・これは事前に予習をしておかなくては!と、日比谷のキャトルでいち早く大劇場のプログラムを購入したのですが・・・
いや、プログラムを開けた段階で大きな衝撃が!
どうでしょう、このオスカル様の本気があふれ出る役写真は!
全身写真は普通直立、せいぜい片脚を流すポーズくらいですが、うーんマントさばきも華麗で髪もなびいていて・・・ラインハルト様再びと言いますか、銀英伝での役に入り込むモードスイッチがすでに入っている模様。
雪組バージョンとは異なる場面もオスカルアンドレのために追加されているという情報もあり、取りあえずドキドキワクワク期待を胸に劇場へ・・・。
まずは配役から。
フェルゼン 壮 一帆
マリー・アントワネット 愛加 あゆ
オスカル (宙組)凰稀 かなめ ※4/23~30
アンドレ (星組)柚希 礼音 ※4/23~30
*~*~*
*宮廷の人々*
ルイ16世 磯野 千尋
プロバンス伯爵 (ルイ16世の弟) 奏乃 はると
ブイエ将軍 (オスカルの上官) 箙 かおる
メルシー伯爵(アントワネットの後見人的役割のオーストリア貴族) 汝鳥 伶
ジェローデル(オスカルの副官・婚約者) 夢乃 聖夏
ジャルジェ夫人 (オスカルの母) 梨花 ますみ
オルタンス (オスカルの姉) 大湖 せしる
ランベスク公爵 未涼 亜希※4/23~30
女官長 桃花 ひな
ソフィア(フェルゼンの妹) 夢華 あみ
*平民たち*
ベルナール (新聞記者・革命のリーダー格) 早霧 せいな ※4/23~30
ロザリー(ベルナールの妻) 早花 まこ
アラン(衛兵隊のリーダー) 彩凪 翔※4/23~30
アルマン (衛兵隊のサブ) 鳳翔 大
一幕は、幕前にて専科さんが語り合って説明・・という植田先生のあまり評判の芳しくない演出の特性がいかんなく発揮され、せっかくのベルばらなのに・・・という残念感が。
幕開きはお約束のバラの小公子、小公女。
月と違って(笑)小公子が永遠輝せあちゃんで美しく、ホッと安らぎます^^脇を固める小公女も星乃あんりちゃん彩月つくしちゃんと売り出し中のカワイ子ちゃんたちで、まずは華やかにスタート。
次にアントワネットとフェルゼンの出会いの場となったオペラ座の仮面舞踏会のシーンが、マスケラを手にしてマリオネット人形の動きの登場人物たちによって演じられます。その流れでマスケラをはずすと、本役アントワネットのあゆちゃんが・・・なのですが、演出がわかりづらいので、ただの歌手ポジのように見えて、ここで拍手が入らないのがお披露目公演なのに可哀そう。
そして充分なタメとスポットライトで強調されたフェルゼン=壮さんの登場。大拍手。
さすが、過去に5回ベルばらに出演されたというだけあって、ベルばらの申し子のように麗しく、この大芝居のコスチューム劇にしっくりハマるVISUALと演技。
そして、銀橋の両側からオスカルアンドレ登場・・・2人がセンタ―で寄り添い相並ぶの図が・・・
あまりに素晴らしくてひとまず大興奮^^
その後、オスカルがフェルゼンに帰国を進言、くつろぐフェルゼン邸の窓から(笑)メルシ―伯が極秘の訪問、同じく帰国を進言、ベルナールとロザリーの語る困窮する市民生活を聴き貴族社会の矛盾に悩むオスカルと彼女を守る決意のアンドレ、オスカルの秘めた思いに気付くフェルゼン、帰国の決意。
居並ぶ貴族の前で、国王夫妻に暇を告げるフェルゼン。
彼とアントワネットの不倫を匂わせ公然と侮辱し詰問するプロヴァンス伯に応えて、紅バラのアントワネット、白バラのオスカル、大きな心のルイ16世を称える歌を歌って1幕終了・・・。
この一連の流れがなんとも紙芝居的で・・・。
まず登場人物が出てくるとほとんど動かず会話を交わし、幕閉まり、幕前で芝居をしている間に次の場面のために幕が開き・・・の連続。あの~せっかく盆やセリがあるのですから・・・照明も、暗転とかピンスポットとか色々あると思うのですけど・・・^^;
あまりに動かないせいで、とても気になることが!
かなめオスカルがだれよりも大きいのですよ~><。
宙組にいるとスラリと背が高いけれど華奢なのでとても姫っぽく見える彼女が、ここ雪では一回り大きくて・・・。
星でご一緒した柚希さんより1cm高いだけなのですけど、アンドレって従卒設定ゆえに足元がスターブーツではないので、身長差が目に見えてしまうのですよね・・・^^;。体格の良い柚希さんと華奢な凰稀さんの並びは基本オスカル・アンドレのイメージ通りなのですけど。そのアンドレと双子のような(笑)夢乃ジェローデルも然り。
憧れのフェルゼンに至っては170cmの壮さんと3cm差があるので、気持ちに気付いているよ、の言葉に思わず駆け寄り・・の場面、チギカルは抱きついていたらしいのですが、かなカルは身体を前傾姿勢にして手を握っていらっしゃいましたxxx
とはいえ、さすがの「芝居の雪組」
不動での台詞劇ではありましたが、それぞれが役をしっかりとつかんで、見事に表現していることに感動。
星ですが(^^;)まず柚希アンドレは、見た目の思いがけない可愛らしさ(前髪をたらした黒髪でなんだかカワイイ)に反して、ひとたび口を開くと、その包容力と広がるスターオ―ラが半端なく、流石は人気組・星のTOPスター!
オスカルが貴族であることのジレンマでイラつく時も、堂々となだめて包み込む・・・これはオスカル、自分では気付いていないかもしれないけれども精神的にすっかり依存しているわねとそれだけで観てとれる演技。
そして、原作の優雅な貴族文化を体現するジェローデルが・・・いきなりオスカルを叱咤するために張り倒す体育会系熱血男子に!!さすがはともみん九州男児だわ!と納得(え?)
早霧さんのベルナールも鋭く熱弁をふるう社会派記者になっていて、これも月の夢の世界の美弥るりかちゃんの麗しすぎるベルナールとは一線を画すリアリティ。(そう言えば、市民の皆さんも月ではテーマパークのようだったけれど、雪はリアルに困窮してそうでした・・・)
本役ではアンドレの未涼さんも胸に一物ありそうな貴族を表情だけで表して、ほぼ台詞がないにも関わらず、存在感はバッチリ。これは、東京公演の雪組バージョンも楽しみ・・・と期待が高まります。
一幕の最後は、
下手側手前にフェルゼン、センター奥の階段上に国王夫妻。
この公演で退団される、専科の磯野千尋さん、ルイ16世役で、帰国を告げるフェルゼンをなんと引きとめます。権力争いで心からの友のいない宮廷で忠実で信頼のおけるフェルゼンにアントワネットのためにも留まってやって欲しいと。この国王はぽっちゃりと愛らしいアントワネットとは親子のように見える役づくりで、優しく孫娘を思いやるおじい様のよう・・・。色っぽい流し眼で鳴らした磯野さんの最後のお役としてはどうなのでしょう。まだ、1月の博多座版「銀河英雄伝説」で、色気と権威ある皇帝フリードリヒ4世を演じたお姿が目に焼き付いているので、勿体ない・・・と思ってしまいました。
愛加さんのアントワネット、心乱れショックを受けながらも、それを表に出すことのできない立場ゆえ、おろおろしている様が気の毒・・・。このあと、アントワネットの登場は最後の断頭台に向かう直前の牢獄までいっさいありません。
特出バージョンゆえ、とはいえ、お披露目公演なのに申し訳ないような気がします。
アントワネットのそばに控える女官長、ブルーのドレスの桃花ひなちゃん。ブラック・ジャックのピノコ役で、その肉の薄い色白なお顔が品よくてろうたけた美少女そのものでしたが、輪っかのドレスもお似合いでやはりキレイ。
上手側手前にはセンターからオスカル、アンドレ、ジェローデルの順に並んでいます。
プロヴァンス伯が容赦なく、不倫を匂わせる糾弾をフェルゼンに浴びせる様は、奏乃さんの下級生離れした専科さん並みの貫録と凄味に仮面の男の異端審問官再びか・・・と震撼させられますが(笑)、それを受けて、お慕いしていた麗しの紅バラの人、心ひそかに慕ってくれていた白バラのような人、さまざまな愛を教えてくれた、フランスに感謝を・・・とりわけ大きな愛を教えてくれた王よ、ときれいにまとめるフェルゼンですが、紅バラで、見るもあわれな動揺っぷりのアントワネット、白バラでハッと胸に手をやり、表情を変えるオスカル・・・バレバレですけど・・・^^;
フェルゼンの歌に目に涙を溜めてキラキラ輝いているんですけど、瞳が。
そしてそんなオスカルを見つめる彼女を慕う2人の男が上手側に並ぶの図がなんとも・・・フェルゼン、罪作りな男。
第2幕
オープニングはスウェーデンの花祭り。雪の若手路線、蓮城まことくんと香綾しずるくんの見せ場はここだけ?
スウェーデンのフェルゼン邸のお庭にて・・・。
妹との会話に突然の謎の来客。ジェローデル!
アントワネット救出計画の協力依頼をを申し出る彼に、オスカルの安否を尋ねるフェルゼン。
「オスカルは死にました。わたくしとの縁談を父上が決められて・・・」
幕前でアンドレが「いやだ、オスカルを渡すものか!」と苦悩して歌います。
そして、場面はオスカルの部屋。
母と姉がオスカルのヴァイオリン演奏を聴いています。
オルタンスお姉様の大湖せしるさんが麗しく、もと男役の気配を微塵も感じさせないのがステキ。オスカルの凰稀さんはもと雪組で、この2人が兄弟役を演じたこともある・・・それが今は姉妹という不思議^^;でも美人姉妹で納得です^^
白いたっぷりとしたお袖のブラウス、ベルベットのハーフパンツ、白タイツにオペラシューズでヴァイオリンを奏でるオスカルのVISUALは完璧なのですが・・・惜しむらくはヴァイオリンの弾き方!
流れるモーツァルトのセレナーデの音をガン無視して単純に弦を往復させるだけ・・・かつて「忘れ雪」でのサックス演奏シーンのために本当に演奏が出来るまで練習した本格派のかなめちゃんともあろうお方がまさかの手抜き!!と衝撃を受けましたが^^;まぁ、大劇場公演の直後、TVドラマ「TAKE FIVE」の収録もあり、短すぎるお稽古期間で取捨選択をしなくてはならなかったということでしょう。
そこにワインを手にしたアンドレが。「一緒に飲んでもいいか?」「なんだ、改まって^^」笑いを含んだ軽やかな台詞まわし、「そうだ、乾杯しよう!」までのオスカルの自然な演技が素のかなめちゃんのよう。
グラスを口に運ぶ直前に「飲むな~」と払いのけ、おまえを他の男に渡すくらいならと毒殺未遂を告白するアンドレ。
心からの懺悔と「おれの役目は終った」ジェローデルはふさわしい相手だと肩を落として去るアンドレに、驚きつつも睫毛を伏せて心の中でたくさんの感情がうごめいているオスカル・・・。なにかこう、一つ一つの場面毎のオスカルの心情の動きが実に繊細にちょっとした視線や仕草に反映されていて、流れが自然なオスカルの演技です。
そしてまた、後日のオスカルの部屋。出陣前夜で、もうここに戻ることはないと予感している。
母と姉に甘えて、感謝の言葉。
「さらば青春」の独白。アンドレを呼ぶとすぐに扉を開いて入ってくるアンドレ。いつでも控えているのですね^^
「星がきれいだ・・」窓辺に佇むオスカルに自然に寄りそい、肩に手を。
その手に目をやりさりげなくはずして長椅子に。
愛の告白。「おまえは私を好きか」
「・・・好きだ」の力強さ。
もう、この場面の一つ一つのやり取りの魂の入り方は・・・素晴らしかったです。
「わたしを抱け」の決意。膝まづいて腰に抱きつき、「わたしはアンドレ・グランディエの妻と呼ばれたいのです」という女言葉がきらいで、原作のオスカル様はこんな女々しくない!といつも思っていたのですが、凰稀オスカルのこの台詞は凛とした端正な言い方で、感情の奔流に身をまかせつつも、こうしようと自分で決めたことを再確認するような意志のある言葉。それに応える柚希アンドレの文学的な大時代な台詞も、この場の浪漫の香り高さを高めこそすれ、不自然さはまったくなく・・・
オスカルの金髪を愛おしげに撫でるのが手の平でなく、指を美しく形作った上で甲でなでる柚希さんさすが!
とても複雑で美しい2人のポジションチェンジとポージングがピタリピタリと決まり、最後のキスシーンが幕が落ちる寸前で顔を近づけ・・・完璧だわ・・と思わずタメ息。
翌日衛兵隊と市民が橋の下で不安におののいています。
軍隊が市民に銃を向けるのか?
アラン役の彩凪翔くん、月の星条海斗さんが圧倒的なカリスマリーダーだったのに、翔君は一応班長さんだから意見をまとめなくてはならない程度?の役どころ。サブリーダー的な鳳翔大ちゃんの方が台詞に力がありスタイルの良さも相まってオ―ラがあります。
オスカル登場。弱い立場の市民を守ってやらなくては。
そこにブイエ将軍が。市民の反乱を鎮圧するようにとの命令に逆らい、オスカルが剣を向けて将軍を威嚇します。
女伯爵の地位を捨てる!と勲章を投げ捨て、フェンシングの構えのポーズを取る迫力!
市民と兵士を鼓舞する言葉の高尚さと凛々しさ。
斥候に赴くために橋の上にいるアンドレに駆け寄り、声をかける時、唐突に甘えた声になるオスカルに違和感を覚えていたのですが、そこもそこはかとなく女らしさと人柄の柔らかさを醸し出しつつも媚びた甘えはなく自然。
「敵は近いぞ!」と告げて銃弾の的となるアンドレ。駆け寄ろうするオスカルをジェローデルが腰に抱きついて押さえます。「離せ!」が時折ちょっと暴れながら「離して!」になるその声が素のかなめちゃん。それがオスカルの必死さを盛り上げます。真摯な表情でしっかと留める夢乃ジェローデル、さすが。
アンドレは銃弾を浴びたショックで悪くしていた目がまた見えなくなり。「オスカル・・どこだ」「見えていないのか!」
額の髪を掻き上げ幻のオスカルを観るために眼を凝らすアンドレ。ブロンドの髪翻し・・と歌って再び銃弾を浴びてがくっと欄干に上体を落とす・・・アンドレの絶命。
悲痛なオスカルの叫び。
センターに1人立たずむオスカル。ハッと顔を上げると眼が燃えていて、前髪が乱れている。この前髪の乱れがステキ
アンドレの死を無駄にしてはならない・・・シトワイヤン、行こう~~~!
この「行こう~!」が!!
最近、CSのベルばら特集番組で、歴代のオスカルが言う名台詞を一挙に比較、というのを見たときに、昔はとても力強く大芝居をして言う台詞だったのが、現代に近づくにつれ、ライトになってきたな~と思っていたのが、かなめオスカル、昭和の大スター並みの大きな芝居で、力強い鬨の声でした。
そこから始まるバスティーユ進軍。もう・・・カッコよすぎる。この第2幕は動きが多いせいか、かなめオスカルの大きさが全く気にならず、スタイルの良さとシルエットの美しさにただただ観惚れるのみ。
ちぎちゃん(早霧せいな)のベルナールもきびきびとしたダンスで素敵でした。
そして被弾して崩折れるように倒れるオスカル・・・しなやかにシャラッと横座りに倒れ、すかさず、兵士たちにリフトされて十字架のように掲げられ、再び崩折れるとロザリーが駆けてきて膝枕を。このロザリーは母性的でしっかりもの。
その瞬間、翔くんアランがよく通る声で「バスティーユに白旗が!」
「ついに落ちたか・・・フランス・・・万歳・・・」で息を引き取り、号泣する人々、剣を掲げて礼を尽くす兵士・・・で幕。
はぁ~。こんなにフルに完璧なオスカル・アンドレを見せてくれるなんて・・・
ありがとうございました(だれに?雪組サンに?)。
かなめオスカルすべての場面がイメージ通りで素敵でしたが、とりわけアンドレを失ってから自分1人になって周りを率いて炎のように燃えて燃え尽きるまでの流れが素晴らしすぎました。
もう、満足で・・・
この後、話を聴き終えたフェルゼンがムチをふるって(似合いすぎ^^;)馬車を駆り、Parisに急行。
コンシェルジュリーの牢獄で、可愛がっていたシュテファン人形を返して・・のメルシ―伯とアントワネットの別れの場面、続いて助けに来たというフェルゼンと、フランス王妃として立派に死にたいと語るアントワネットとの別れの場面。
ここでの愛加あゆちゃんが牢獄の生活の割にふっくらしているのはさておいて、可愛らしい容姿に似合わない落ち着いたアルトのお声でしっとりと決意を語る様子はとても良かったです。
ところで、フェルゼンのテーマソング「愛の面影」があまりにも昭和演歌でびっくり!
誰の作曲だろう!と確認したら、宝塚のモーツァルトと名高い寺田滝雄先生でまたビックリ。こんな曲も書いていらしたのですね。
やはり、ベルばらは歌舞伎なのだなぁと再確認致しました。
アントワネットの悲劇に浸る間もなく、すぐに初舞台生のロケットに。
大劇場の初舞台生公演を観るのが初見で、オープニングの緑袴の正装でずらりと並んだ生徒と3人の日替わりメンバーによる口上も緊張感いっぱいの初々しさと袴に白足袋の端正な清潔感に身の引き締まる思いがし、ロケットでの満開の笑顔と一生懸命さと若さが輝く様に力を分けてもらいました。
宝塚はパワースポットとよく言われますが、初舞台生を含めた111名の舞台にはそれ以上の力があると実感。
そして、下手に掃ける彼女たちを手拍子しながら眼で追っていたら、お隣の友人がちょいちょいとつついてくれて・・・
大階段頂上からしずしずと降りてくるシルエットは・・・!!
はい、「小雨降る径」オスカル・アンドレ役者によるデュエットダンス。
きゃー、柚希さんが男役、凰稀さんが女役設定で、大階段でのアダルトなダンスです。
ターバンのようなヘッドドレスと片側だけの大きなフリルが肘から下と膝下にうねるアシンメトリカルな大胆なデザインの淡いブルーグレーのサテンドレス。膝下の脚を見せていますが全体にスリムなドレスと相まって、もう、スラリとしてキレイ。
2人とも余裕感たっぷりに踊っていて、柚希さんの眉間にギュッと皺を寄せるような濃いめの表情が熱く、それを受け止めていなすような誘って翻弄するかなめ姫の表情がまたTHEクール・ビューティ―という感じで・・・
タメ息しかでません・・・。最後ポーズを決めてセリ下がるのですが、お顔が見えなくなる最後の一瞬にハッとするような表情をするお二人・・・さすがTOP2人だと魅せ方が違う、とまたタメ息。
その後の大階段を斜めに使った黒燕尾の流れも、壮さん愛加さんの紅いお衣装のデュエットダンスも素敵で。
エトワールは夢華さん。きれいなソプラノ。そしてパレード。
次々に降りてくる雪組生を確認しながら、出番が少なくなってしまってごめんなさいね!でも、東京でしっかり見せていただくから・・・と心の中で語りかけつつ^^;
あゆちゃんの次に凰稀さん、そして柚希さん、2人が一度センターに並んでから、迎える場所に分かれて・・・
最後は壮さんを皆でお迎えしてのラストとなりましたが、もう、なんでしょうか、雪・星・宙の3TOPが並ぶこの艶やかな強いオーラを発散する並びのゴージャス感って
これを2回連続で観てヘトヘトになりつつ・・・でも良き公演でした
ちなみにこちらは、公演デザート「フェルゼンの愛した白バラ(オスカル様)」
底に情熱的な心?をイメージしたラズベリーソースが隠されているホワイトチョコレートのムース。
東京の公演デザートも、こんなエレガントなプレゼンテーションで出してくださればよいのに・・・
やっぱり大劇場は良いですね
超・長文&ネタばれ注意です
雪組 新TOPスター壮一帆さん、愛加あゆちゃんお披露目公演、グランドロマン「ベルサイユのばら~フェルゼン編」。
本公演では、2番手男役早霧せいなさんがオスカル、3番手?別格である未涼亜希さんがアンドレを演じて好評のこの公演、数日ずつ、2回、特別出演で、他組TOPスターがお祭り気分を盛り上げる・・・という企画が盛りこまれており、片方はアンドレを月組の龍真咲さん(5/24~26)演じるという順当な企画が予定されているようですが、今週は大サービス?!
星の王子柚希礼音くん、宙の王子凰稀かなめさんがアンドレとオスカル役で一週間にわたって特別出演=一公演に3人のTOP男役が!という大変な事態が発生。
もともと凰稀さんはオスカルを演じてみたかった、と言っていたこと、柚希さんと凰稀さんが星組のTOP&2番手として2年弱、とても良いコンビぶりを発揮していたことから来る話題性・・・という理由かとは思いますが、あまりにもゴージャスな配役に、これは行かなくては!とつい西へ旅立ってしまったわたくし。
本当に行って良かったです
本番目移りして色々見逃しそう・・・これは事前に予習をしておかなくては!と、日比谷のキャトルでいち早く大劇場のプログラムを購入したのですが・・・
いや、プログラムを開けた段階で大きな衝撃が!
どうでしょう、このオスカル様の本気があふれ出る役写真は!
全身写真は普通直立、せいぜい片脚を流すポーズくらいですが、うーんマントさばきも華麗で髪もなびいていて・・・ラインハルト様再びと言いますか、銀英伝での役に入り込むモードスイッチがすでに入っている模様。
雪組バージョンとは異なる場面もオスカルアンドレのために追加されているという情報もあり、取りあえずドキドキワクワク期待を胸に劇場へ・・・。
まずは配役から。
フェルゼン 壮 一帆
マリー・アントワネット 愛加 あゆ
オスカル (宙組)凰稀 かなめ ※4/23~30
アンドレ (星組)柚希 礼音 ※4/23~30
*~*~*
*宮廷の人々*
ルイ16世 磯野 千尋
プロバンス伯爵 (ルイ16世の弟) 奏乃 はると
ブイエ将軍 (オスカルの上官) 箙 かおる
メルシー伯爵(アントワネットの後見人的役割のオーストリア貴族) 汝鳥 伶
ジェローデル(オスカルの副官・婚約者) 夢乃 聖夏
ジャルジェ夫人 (オスカルの母) 梨花 ますみ
オルタンス (オスカルの姉) 大湖 せしる
ランベスク公爵 未涼 亜希※4/23~30
女官長 桃花 ひな
ソフィア(フェルゼンの妹) 夢華 あみ
*平民たち*
ベルナール (新聞記者・革命のリーダー格) 早霧 せいな ※4/23~30
ロザリー(ベルナールの妻) 早花 まこ
アラン(衛兵隊のリーダー) 彩凪 翔※4/23~30
アルマン (衛兵隊のサブ) 鳳翔 大
一幕は、幕前にて専科さんが語り合って説明・・という植田先生のあまり評判の芳しくない演出の特性がいかんなく発揮され、せっかくのベルばらなのに・・・という残念感が。
幕開きはお約束のバラの小公子、小公女。
月と違って(笑)小公子が永遠輝せあちゃんで美しく、ホッと安らぎます^^脇を固める小公女も星乃あんりちゃん彩月つくしちゃんと売り出し中のカワイ子ちゃんたちで、まずは華やかにスタート。
次にアントワネットとフェルゼンの出会いの場となったオペラ座の仮面舞踏会のシーンが、マスケラを手にしてマリオネット人形の動きの登場人物たちによって演じられます。その流れでマスケラをはずすと、本役アントワネットのあゆちゃんが・・・なのですが、演出がわかりづらいので、ただの歌手ポジのように見えて、ここで拍手が入らないのがお披露目公演なのに可哀そう。
そして充分なタメとスポットライトで強調されたフェルゼン=壮さんの登場。大拍手。
さすが、過去に5回ベルばらに出演されたというだけあって、ベルばらの申し子のように麗しく、この大芝居のコスチューム劇にしっくりハマるVISUALと演技。
そして、銀橋の両側からオスカルアンドレ登場・・・2人がセンタ―で寄り添い相並ぶの図が・・・
あまりに素晴らしくてひとまず大興奮^^
その後、オスカルがフェルゼンに帰国を進言、くつろぐフェルゼン邸の窓から(笑)メルシ―伯が極秘の訪問、同じく帰国を進言、ベルナールとロザリーの語る困窮する市民生活を聴き貴族社会の矛盾に悩むオスカルと彼女を守る決意のアンドレ、オスカルの秘めた思いに気付くフェルゼン、帰国の決意。
居並ぶ貴族の前で、国王夫妻に暇を告げるフェルゼン。
彼とアントワネットの不倫を匂わせ公然と侮辱し詰問するプロヴァンス伯に応えて、紅バラのアントワネット、白バラのオスカル、大きな心のルイ16世を称える歌を歌って1幕終了・・・。
この一連の流れがなんとも紙芝居的で・・・。
まず登場人物が出てくるとほとんど動かず会話を交わし、幕閉まり、幕前で芝居をしている間に次の場面のために幕が開き・・・の連続。あの~せっかく盆やセリがあるのですから・・・照明も、暗転とかピンスポットとか色々あると思うのですけど・・・^^;
あまりに動かないせいで、とても気になることが!
かなめオスカルがだれよりも大きいのですよ~><。
宙組にいるとスラリと背が高いけれど華奢なのでとても姫っぽく見える彼女が、ここ雪では一回り大きくて・・・。
星でご一緒した柚希さんより1cm高いだけなのですけど、アンドレって従卒設定ゆえに足元がスターブーツではないので、身長差が目に見えてしまうのですよね・・・^^;。体格の良い柚希さんと華奢な凰稀さんの並びは基本オスカル・アンドレのイメージ通りなのですけど。そのアンドレと双子のような(笑)夢乃ジェローデルも然り。
憧れのフェルゼンに至っては170cmの壮さんと3cm差があるので、気持ちに気付いているよ、の言葉に思わず駆け寄り・・の場面、チギカルは抱きついていたらしいのですが、かなカルは身体を前傾姿勢にして手を握っていらっしゃいましたxxx
とはいえ、さすがの「芝居の雪組」
不動での台詞劇ではありましたが、それぞれが役をしっかりとつかんで、見事に表現していることに感動。
星ですが(^^;)まず柚希アンドレは、見た目の思いがけない可愛らしさ(前髪をたらした黒髪でなんだかカワイイ)に反して、ひとたび口を開くと、その包容力と広がるスターオ―ラが半端なく、流石は人気組・星のTOPスター!
オスカルが貴族であることのジレンマでイラつく時も、堂々となだめて包み込む・・・これはオスカル、自分では気付いていないかもしれないけれども精神的にすっかり依存しているわねとそれだけで観てとれる演技。
そして、原作の優雅な貴族文化を体現するジェローデルが・・・いきなりオスカルを叱咤するために張り倒す体育会系熱血男子に!!さすがはともみん九州男児だわ!と納得(え?)
早霧さんのベルナールも鋭く熱弁をふるう社会派記者になっていて、これも月の夢の世界の美弥るりかちゃんの麗しすぎるベルナールとは一線を画すリアリティ。(そう言えば、市民の皆さんも月ではテーマパークのようだったけれど、雪はリアルに困窮してそうでした・・・)
本役ではアンドレの未涼さんも胸に一物ありそうな貴族を表情だけで表して、ほぼ台詞がないにも関わらず、存在感はバッチリ。これは、東京公演の雪組バージョンも楽しみ・・・と期待が高まります。
一幕の最後は、
下手側手前にフェルゼン、センター奥の階段上に国王夫妻。
この公演で退団される、専科の磯野千尋さん、ルイ16世役で、帰国を告げるフェルゼンをなんと引きとめます。権力争いで心からの友のいない宮廷で忠実で信頼のおけるフェルゼンにアントワネットのためにも留まってやって欲しいと。この国王はぽっちゃりと愛らしいアントワネットとは親子のように見える役づくりで、優しく孫娘を思いやるおじい様のよう・・・。色っぽい流し眼で鳴らした磯野さんの最後のお役としてはどうなのでしょう。まだ、1月の博多座版「銀河英雄伝説」で、色気と権威ある皇帝フリードリヒ4世を演じたお姿が目に焼き付いているので、勿体ない・・・と思ってしまいました。
愛加さんのアントワネット、心乱れショックを受けながらも、それを表に出すことのできない立場ゆえ、おろおろしている様が気の毒・・・。このあと、アントワネットの登場は最後の断頭台に向かう直前の牢獄までいっさいありません。
特出バージョンゆえ、とはいえ、お披露目公演なのに申し訳ないような気がします。
アントワネットのそばに控える女官長、ブルーのドレスの桃花ひなちゃん。ブラック・ジャックのピノコ役で、その肉の薄い色白なお顔が品よくてろうたけた美少女そのものでしたが、輪っかのドレスもお似合いでやはりキレイ。
上手側手前にはセンターからオスカル、アンドレ、ジェローデルの順に並んでいます。
プロヴァンス伯が容赦なく、不倫を匂わせる糾弾をフェルゼンに浴びせる様は、奏乃さんの下級生離れした専科さん並みの貫録と凄味に仮面の男の異端審問官再びか・・・と震撼させられますが(笑)、それを受けて、お慕いしていた麗しの紅バラの人、心ひそかに慕ってくれていた白バラのような人、さまざまな愛を教えてくれた、フランスに感謝を・・・とりわけ大きな愛を教えてくれた王よ、ときれいにまとめるフェルゼンですが、紅バラで、見るもあわれな動揺っぷりのアントワネット、白バラでハッと胸に手をやり、表情を変えるオスカル・・・バレバレですけど・・・^^;
フェルゼンの歌に目に涙を溜めてキラキラ輝いているんですけど、瞳が。
そしてそんなオスカルを見つめる彼女を慕う2人の男が上手側に並ぶの図がなんとも・・・フェルゼン、罪作りな男。
第2幕
オープニングはスウェーデンの花祭り。雪の若手路線、蓮城まことくんと香綾しずるくんの見せ場はここだけ?
スウェーデンのフェルゼン邸のお庭にて・・・。
妹との会話に突然の謎の来客。ジェローデル!
アントワネット救出計画の協力依頼をを申し出る彼に、オスカルの安否を尋ねるフェルゼン。
「オスカルは死にました。わたくしとの縁談を父上が決められて・・・」
幕前でアンドレが「いやだ、オスカルを渡すものか!」と苦悩して歌います。
そして、場面はオスカルの部屋。
母と姉がオスカルのヴァイオリン演奏を聴いています。
オルタンスお姉様の大湖せしるさんが麗しく、もと男役の気配を微塵も感じさせないのがステキ。オスカルの凰稀さんはもと雪組で、この2人が兄弟役を演じたこともある・・・それが今は姉妹という不思議^^;でも美人姉妹で納得です^^
白いたっぷりとしたお袖のブラウス、ベルベットのハーフパンツ、白タイツにオペラシューズでヴァイオリンを奏でるオスカルのVISUALは完璧なのですが・・・惜しむらくはヴァイオリンの弾き方!
流れるモーツァルトのセレナーデの音をガン無視して単純に弦を往復させるだけ・・・かつて「忘れ雪」でのサックス演奏シーンのために本当に演奏が出来るまで練習した本格派のかなめちゃんともあろうお方がまさかの手抜き!!と衝撃を受けましたが^^;まぁ、大劇場公演の直後、TVドラマ「TAKE FIVE」の収録もあり、短すぎるお稽古期間で取捨選択をしなくてはならなかったということでしょう。
そこにワインを手にしたアンドレが。「一緒に飲んでもいいか?」「なんだ、改まって^^」笑いを含んだ軽やかな台詞まわし、「そうだ、乾杯しよう!」までのオスカルの自然な演技が素のかなめちゃんのよう。
グラスを口に運ぶ直前に「飲むな~」と払いのけ、おまえを他の男に渡すくらいならと毒殺未遂を告白するアンドレ。
心からの懺悔と「おれの役目は終った」ジェローデルはふさわしい相手だと肩を落として去るアンドレに、驚きつつも睫毛を伏せて心の中でたくさんの感情がうごめいているオスカル・・・。なにかこう、一つ一つの場面毎のオスカルの心情の動きが実に繊細にちょっとした視線や仕草に反映されていて、流れが自然なオスカルの演技です。
そしてまた、後日のオスカルの部屋。出陣前夜で、もうここに戻ることはないと予感している。
母と姉に甘えて、感謝の言葉。
「さらば青春」の独白。アンドレを呼ぶとすぐに扉を開いて入ってくるアンドレ。いつでも控えているのですね^^
「星がきれいだ・・」窓辺に佇むオスカルに自然に寄りそい、肩に手を。
その手に目をやりさりげなくはずして長椅子に。
愛の告白。「おまえは私を好きか」
「・・・好きだ」の力強さ。
もう、この場面の一つ一つのやり取りの魂の入り方は・・・素晴らしかったです。
「わたしを抱け」の決意。膝まづいて腰に抱きつき、「わたしはアンドレ・グランディエの妻と呼ばれたいのです」という女言葉がきらいで、原作のオスカル様はこんな女々しくない!といつも思っていたのですが、凰稀オスカルのこの台詞は凛とした端正な言い方で、感情の奔流に身をまかせつつも、こうしようと自分で決めたことを再確認するような意志のある言葉。それに応える柚希アンドレの文学的な大時代な台詞も、この場の浪漫の香り高さを高めこそすれ、不自然さはまったくなく・・・
オスカルの金髪を愛おしげに撫でるのが手の平でなく、指を美しく形作った上で甲でなでる柚希さんさすが!
とても複雑で美しい2人のポジションチェンジとポージングがピタリピタリと決まり、最後のキスシーンが幕が落ちる寸前で顔を近づけ・・・完璧だわ・・と思わずタメ息。
翌日衛兵隊と市民が橋の下で不安におののいています。
軍隊が市民に銃を向けるのか?
アラン役の彩凪翔くん、月の星条海斗さんが圧倒的なカリスマリーダーだったのに、翔君は一応班長さんだから意見をまとめなくてはならない程度?の役どころ。サブリーダー的な鳳翔大ちゃんの方が台詞に力がありスタイルの良さも相まってオ―ラがあります。
オスカル登場。弱い立場の市民を守ってやらなくては。
そこにブイエ将軍が。市民の反乱を鎮圧するようにとの命令に逆らい、オスカルが剣を向けて将軍を威嚇します。
女伯爵の地位を捨てる!と勲章を投げ捨て、フェンシングの構えのポーズを取る迫力!
市民と兵士を鼓舞する言葉の高尚さと凛々しさ。
斥候に赴くために橋の上にいるアンドレに駆け寄り、声をかける時、唐突に甘えた声になるオスカルに違和感を覚えていたのですが、そこもそこはかとなく女らしさと人柄の柔らかさを醸し出しつつも媚びた甘えはなく自然。
「敵は近いぞ!」と告げて銃弾の的となるアンドレ。駆け寄ろうするオスカルをジェローデルが腰に抱きついて押さえます。「離せ!」が時折ちょっと暴れながら「離して!」になるその声が素のかなめちゃん。それがオスカルの必死さを盛り上げます。真摯な表情でしっかと留める夢乃ジェローデル、さすが。
アンドレは銃弾を浴びたショックで悪くしていた目がまた見えなくなり。「オスカル・・どこだ」「見えていないのか!」
額の髪を掻き上げ幻のオスカルを観るために眼を凝らすアンドレ。ブロンドの髪翻し・・と歌って再び銃弾を浴びてがくっと欄干に上体を落とす・・・アンドレの絶命。
悲痛なオスカルの叫び。
センターに1人立たずむオスカル。ハッと顔を上げると眼が燃えていて、前髪が乱れている。この前髪の乱れがステキ
アンドレの死を無駄にしてはならない・・・シトワイヤン、行こう~~~!
この「行こう~!」が!!
最近、CSのベルばら特集番組で、歴代のオスカルが言う名台詞を一挙に比較、というのを見たときに、昔はとても力強く大芝居をして言う台詞だったのが、現代に近づくにつれ、ライトになってきたな~と思っていたのが、かなめオスカル、昭和の大スター並みの大きな芝居で、力強い鬨の声でした。
そこから始まるバスティーユ進軍。もう・・・カッコよすぎる。この第2幕は動きが多いせいか、かなめオスカルの大きさが全く気にならず、スタイルの良さとシルエットの美しさにただただ観惚れるのみ。
ちぎちゃん(早霧せいな)のベルナールもきびきびとしたダンスで素敵でした。
そして被弾して崩折れるように倒れるオスカル・・・しなやかにシャラッと横座りに倒れ、すかさず、兵士たちにリフトされて十字架のように掲げられ、再び崩折れるとロザリーが駆けてきて膝枕を。このロザリーは母性的でしっかりもの。
その瞬間、翔くんアランがよく通る声で「バスティーユに白旗が!」
「ついに落ちたか・・・フランス・・・万歳・・・」で息を引き取り、号泣する人々、剣を掲げて礼を尽くす兵士・・・で幕。
はぁ~。こんなにフルに完璧なオスカル・アンドレを見せてくれるなんて・・・
ありがとうございました(だれに?雪組サンに?)。
かなめオスカルすべての場面がイメージ通りで素敵でしたが、とりわけアンドレを失ってから自分1人になって周りを率いて炎のように燃えて燃え尽きるまでの流れが素晴らしすぎました。
もう、満足で・・・
この後、話を聴き終えたフェルゼンがムチをふるって(似合いすぎ^^;)馬車を駆り、Parisに急行。
コンシェルジュリーの牢獄で、可愛がっていたシュテファン人形を返して・・のメルシ―伯とアントワネットの別れの場面、続いて助けに来たというフェルゼンと、フランス王妃として立派に死にたいと語るアントワネットとの別れの場面。
ここでの愛加あゆちゃんが牢獄の生活の割にふっくらしているのはさておいて、可愛らしい容姿に似合わない落ち着いたアルトのお声でしっとりと決意を語る様子はとても良かったです。
ところで、フェルゼンのテーマソング「愛の面影」があまりにも昭和演歌でびっくり!
誰の作曲だろう!と確認したら、宝塚のモーツァルトと名高い寺田滝雄先生でまたビックリ。こんな曲も書いていらしたのですね。
やはり、ベルばらは歌舞伎なのだなぁと再確認致しました。
アントワネットの悲劇に浸る間もなく、すぐに初舞台生のロケットに。
大劇場の初舞台生公演を観るのが初見で、オープニングの緑袴の正装でずらりと並んだ生徒と3人の日替わりメンバーによる口上も緊張感いっぱいの初々しさと袴に白足袋の端正な清潔感に身の引き締まる思いがし、ロケットでの満開の笑顔と一生懸命さと若さが輝く様に力を分けてもらいました。
宝塚はパワースポットとよく言われますが、初舞台生を含めた111名の舞台にはそれ以上の力があると実感。
そして、下手に掃ける彼女たちを手拍子しながら眼で追っていたら、お隣の友人がちょいちょいとつついてくれて・・・
大階段頂上からしずしずと降りてくるシルエットは・・・!!
はい、「小雨降る径」オスカル・アンドレ役者によるデュエットダンス。
きゃー、柚希さんが男役、凰稀さんが女役設定で、大階段でのアダルトなダンスです。
ターバンのようなヘッドドレスと片側だけの大きなフリルが肘から下と膝下にうねるアシンメトリカルな大胆なデザインの淡いブルーグレーのサテンドレス。膝下の脚を見せていますが全体にスリムなドレスと相まって、もう、スラリとしてキレイ。
2人とも余裕感たっぷりに踊っていて、柚希さんの眉間にギュッと皺を寄せるような濃いめの表情が熱く、それを受け止めていなすような誘って翻弄するかなめ姫の表情がまたTHEクール・ビューティ―という感じで・・・
タメ息しかでません・・・。最後ポーズを決めてセリ下がるのですが、お顔が見えなくなる最後の一瞬にハッとするような表情をするお二人・・・さすがTOP2人だと魅せ方が違う、とまたタメ息。
その後の大階段を斜めに使った黒燕尾の流れも、壮さん愛加さんの紅いお衣装のデュエットダンスも素敵で。
エトワールは夢華さん。きれいなソプラノ。そしてパレード。
次々に降りてくる雪組生を確認しながら、出番が少なくなってしまってごめんなさいね!でも、東京でしっかり見せていただくから・・・と心の中で語りかけつつ^^;
あゆちゃんの次に凰稀さん、そして柚希さん、2人が一度センターに並んでから、迎える場所に分かれて・・・
最後は壮さんを皆でお迎えしてのラストとなりましたが、もう、なんでしょうか、雪・星・宙の3TOPが並ぶこの艶やかな強いオーラを発散する並びのゴージャス感って
これを2回連続で観てヘトヘトになりつつ・・・でも良き公演でした
ちなみにこちらは、公演デザート「フェルゼンの愛した白バラ(オスカル様)」
底に情熱的な心?をイメージしたラズベリーソースが隠されているホワイトチョコレートのムース。
東京の公演デザートも、こんなエレガントなプレゼンテーションで出してくださればよいのに・・・
やっぱり大劇場は良いですね