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お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

宝塚星組「ロミオとジュリエット」東京公演 Bパターン

2013-08-30 12:55:16 | TAKARAZUKA
2013年8月25日(日)に千秋楽を迎えた星組の「ロミオとジュリエット」
A-B-Aの役替り公演で、今回はA-B-新人公演‐B‐Aと、バランス良く?観劇することが出来ました。



Aパターンが一応 ファーストキャスト、ということになるのでしょうが、それぞれに観応えがあり、また違った役へのアプローチや関係性が観えてきて、演じる側への負担を心配する向きもありますが、面白い公演となりました。
特にBパターンを経てからの再びのAパターンの取り組みや改善?など、上演期間中のカンパニーとしての成長・変化もまた、観る側としては楽しみなので、チケットセールスの良さもうなずけます。

さて、Bパターンは・・・

ロミオ 柚希 礼音
ジュリエット 夢咲 ねね
*~*~*
《役変わりの人々》
愛  礼 真琴
死  麻央侑希
ティボルト  真風涼帆
マーキューシオ  天寿光希
ベンヴォーリオ  紅ゆずる
パリス  壱城あずさ

《赤チーム》
キャピュレット卿  一樹 千尋
キャピュレット夫人  音花 ゆり
乳母  美城 れん
ピーター  真月 咲

《青チーム》
モンタギュー卿  美稀 千種
モンタギュー夫人  花愛 瑞穂

《中立》
ロレンス神父  英真 なおき
ヴェローナ大公  十輝 いりす

チームのバランスとしては、このBパターンの方が良い、という声多数。
やはりロミオ‐ティボルト‐ベンヴォーリオに1-2-3番手のスターを並べると華やかである、ということと、マーキューシオ役の天寿さんの好演が目立ったことからそういう印象になったのかなと。

あと、愛と死の関係が、死の麻央くん、スタイルが良くて美しく踊っていたのですが彼女のスタイルの良さは、普通の人間としての立体的なスタイルの良さであって、真風くんの独特の長くて薄くて怖い、というバランスはやはり誰が踊っても達することのできない独自の世界なのだと痛感。

愛の礼真琴くんは、初演のまろやかさを更にPOWER UPさせ、時折、死を牽制するようなこの3年の男役経験で会得した(?)片頬でにやりと笑う微笑みともつかない表情も垣間見せ・・・。感情を持った「愛」であり、ロミオとジュリエットの出会いの場面ではハッキリと2人を導いており・・・。
ある意味、Aパターンの「ロミオとジュリエット」の副題は「~忍びよる死の影」
Bパターンは「~愛に導かれて」とでもいえそうな、それぞれのバージョンでのパワーバランスです。
言いかえれば、初演のCASTINGがどれだけ万全を期したものだったか・・・ということかもしれませんが^^。

両家の役変わりメンバー個々の感想を・・・

■ ティボルト 真風涼帆
大きくて美しいけど長髪ドレッドがうざったくもあり(似合っています)、こぎれいな若者たちの中で一際 異分子として目立つ存在。
そんな自分をもてあましている感がとてもティボルトらしくて良かったです。
「こんな荒々しい青年になって・・・」と胸元に指をすべらすジュリエット母の台詞と仕草にぴったりのティボルト。
それだけにパリス伯爵が求婚に訪れたときに周りで落ち着きなくやきもきするさまや、パーティでジュリエットの番犬よろしく、のしのしとパトロール?する様にティボルトの動揺も感じ取れて・・・。
そして白眉はマーキューシオとのいさかいでヒートアップするときの迫力。
これは天寿マキュの功積かもしれませんんが、お互いつかみかかり、嫌悪感あからさまにののしり合うところ、リアル男子の喧嘩の切迫感が怖いほどで、初演の凰稀vs紅のゆるいつかみ合い?の気恥ずかしさを思い起こすと天地の差・・・^^;
今回の真風さんはABともにとても良かったと思います。
次回の星組公演ではバウ&青年館で主演(「ジキルとハイド」あのヤル気のないポスターの出来にも関わらずチケット取れません・・・^^;)されますが、期待できそう。
あ、歌も(本人比)随分上達されたと思います。
マキューシオに挑発されて一喝するところ観劇初回で「う る さ~~い」と言ってらしたのがちょっとゆるめのマカゼクォリティだったのにちょっと座席からすべりそうになりましたが、2回目では「うるさいっ」と進化(?)
とにかく観ていて楽しいヒトです。(もしかしてファン?←)

■  ベンヴォーリオ 紅ゆずる
とにかく!衣装が!!キラキラで!!
驚きました・・・・。@@
初演&Aパターンのベンヴォーリオは頭髪こそプラチナブロンドの星の王子様仕様ですが、お衣装は濃紺のシックなロングジャケット。それが、Bパターンでは、ターコイズグリーンにメタリックの鋲?でたくさんの装飾が施されて、ライトに当たると(ロミオよりも)キラキラと目立つという結果に・・・。
下級生大抜擢琴ベンと、正2番手紅ベンの序列の差を衣装で表してほしい、というミッションに忠実に作ったらこんなことになりました!的なお衣装にまず驚きましたが、お似合いでしたし、舞台が華やいで良かったと思います。
紅さんは髪にグリーンや紫を挿して、更に華やかに日々研究されていて、乳母がロミオを詐称してふざける彼らにダメ出しをするセリフも「こんなアスパラガスのような男に惚れたのかしら?」から「紫キャベツ」などとアドリブも変化して^^ 仲間と大事にし、心からその青春時代を謳歌しているベンヴォーリオ。それだけに、皆がバラバラになっていくのがつらく悲しい・・・という素直な役作りで、ベン役最大の見せ場であるジュリエットの死をマントヴァのロミオに伝えに行く道中ソング「どうやって伝えよう」でも、所謂”歌ウマ”枠には出せない役に没頭した味をしっかりと出してきて聴かせました。

■ マーキューシオ 天寿光希
ついに優等生みっきー(天寿)に見せ場が!!
芝居上手の実力派と言われつつも、なかなかそれをしっかりと見せられる場面を与えられなかった(星はスターが詰まっているので・・^^;)天寿さんですが、このマーキューシオ役で、その上手さをじっくりと堪能することが出来ました。
髪を立たせて赤ピンクに染めて・・・。
そう、美人さんだけれど、花組のだいもん(望海風斗)同様、エラがはった輪郭で(これが共鳴板となって声を響かせられる。。。と井上芳雄氏がおっしゃっていましたが^^;)かわいいお顔立ちの割に地味に見えてしまう自分の弱点を踏まえたうえでの役作りに気合いを感じました。
・・・で、ティボルトと衝突、罵り合い互いを罵倒し血相を変えて掴み合う・・・その流れで引くに引けなくなりお互いナイフをちらつかせて遂にティボルトに刺されてしまう・・・という流れが怒濤。
そして、刺されてからのマキュが凄かった。
スーっと血の気が引いて、朦朧として死を自覚する瞬間、それまで熱く滾っていたマーキュシオの血から熱が奪われていく様が手にとるようにわかるという・・・。仲間に囲まれ、ロミオとベンヴォーリオの泣き顔を見上げながら、「ジュリエットを愛し抜け!」とそれまでの反対をくつがえす檄をロミオに飛ばして言切れる。
ガクッと首を落としたマキュの顔が穏やかな天使のような愛らしさでそれがまた哀れを誘い、ロミオが弔い合戦に走ったのもムリないな、と。
この「マーキューシオの死」の場面、これまでのBESTでした。


ところで、群舞にスターが、シリーズで、Bパターン2度目での発見は赤チーム女子の綺咲愛里ちゃん。
あの子がここで、この子が・・・と点呼を取るも、星組は気になる子が多いのでなかなか皆を把握できず・・。
で、「15の夏」のティボルトに絡むキャピュレット家の女性たちが皆それぞれに色っぽいのですが、一際目を引く美女が。黒髪で厚めに下ろした前髪をちょっと立ててサイドに流した赤口紅の美女がよくみると綺咲さんで・・・。
やっぱりキレイですね^^
濃くて美しい音羽みのりちゃんといい、綺咲さんといい・・・歌さえなんとか!と想わずにはいられません^^;

AB通して好きなor気になる場面について。

★オープニング
愛と死が出てきて、死が舞台の幕を開ける感じ。
そこからヴェローナの対立する2グループの怒濤のダンスに。
この展開がカッコよく、緊迫感があり、あぁ「ロミジュリ」だと。
そこにロミオ、ベン、マキュ、ティボルトと主要人物も揃って、大公閣下の登場で〆る・・・というこの一連の流れが大好き

★舞踏会について
これは・・・初演でティボルトを中心としたマスケラをつけた白い衣装の男役が前方に一列になって踊るKazumi-Boy先生の振付がカッコよくて・・・。
ちょっとテクノポップ風の音楽に揃えた振り、そして膝から横座りのような体制に崩れて掃ける、というのがなんともカッコ良くて、時間にすればホンの数分もないのですが、もう、大好きなOPENINGだったので、今回も楽しみにしていたのですが・・・。
人数が増えて男女混合になったせいか、掃け方があの膝から・・・ではなく普通に終了しているせいなのか・・・。
なぜかトキメキポイントがなくなってしまい残念><

★追放が決まったロミオを神父と乳母が励ます歌
ここ、友の死、自ら犯した殺人、新妻ジュリエットとの永遠の別れ・・・で精神的にボロボロになったロミオを
年配者2人が先のヴィジョンを与え、励ます場面。
マントヴァに行くがいい、ほとぼりが冷めたら2人の内密の結婚を大公に報告して恩赦を願い出ようと。
その上で、予定通りの初夜をと思いもよらないありがたきお言葉。
乳母も裏口を開けておきますと口添え。
地獄から大いなる希望に満ちた世界を提示されてジュリエット家に急ぐロミオ。
見送り、2人して若者の幸せを神に祈る神父と乳母の無私の愛に溢れた歌が大好き。

★霊廟にて~和解の歌~
そして運命の(死の)導きのままにタイミングがずれて互いの死を信じて自決する2人。
その姿を認めて嘆き、この悲劇を教訓に和解を申し出る両家の母と抱き合い、握手を交わし、駆け寄りあう両陣営、そして最後は皆で前を向いて声合わせて歌う・・・。
ここで〆ても良いくらいのカタルシスのある場面です。
コーラスは宙、という定評がありますが、星もいつのまにやら歌ウマ下級生が増え、スター格も努力の結果上達し・・・なかなか聴かせる組になりました。

★天国の場面
センターに扉板のようなものが腰高の台上に設置されおり、そこに両腕を水平に伸ばした死とそこに重なるように愛が、レリーフの如くポージング。
先に降りた愛の肩に手を置いてロミオが降り、ジュリエットを抱き下ろす・・・流れと、2人の幸せいっぱいの無邪気な姿。
主役2人もさることながら、この愛と死が最初と最後でセンターに登場するというところに、この物語の通奏テーマが見えてくる感じがやはり良い演出だなと



「ヴィシニョ―ワ―華麗なる世界―」Bプロ 千秋楽

2013-08-26 16:44:54 | BALLET
《ディアナ・ヴィシニョーワ 華麗なる世界》Bプロ
8月22日(木)19:00~
会場は五反田のゆうぽうとホールです。6列目のセンターと言う良席を配席いただき、NBSに感謝。
この日は上野水香さんがゲストダンサーとして参加するだけでなく、「カルメン」で東京バレエ団のダンサーが活躍することもあり松野乃知くんなど、東バダンサーをちらほらお見掛けしました。



―― Prologue ――

「ドリーブ組曲」
振付:ジョゼ・マルティネス 音楽:レオ・ドリーブ
メラニー・ユレル、マチアス・エイマン

「レダと白鳥」
振付:ローラン・プティ 音楽:ヨハン・セバスティアン・バッハ
上野水香、イーゴリ・コルプ

「タランテラ」
振付:ジョージ・バランシン 音楽:ルイス・モロー・ゴットシャルク
アシュレイ・ボーダー、ホアキン・デ・ルース

「精霊の踊り」
振付:フレデリック・アシュトン 音楽:クリストフ・ヴィリバルト・グルック
デヴィッド・ホールバーグ

「真夏の夜の夢」
振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:フェリックス・メンデルスゾーン
エレーヌ・ブシェ、ティアゴ・ボァディン

―休 憩―

「カルメン」
振付:アルベルト・アロンソ 音楽:ジョルジュ・ビゼー/ロディオン・シチェドリン
ディアナ・ヴィシニョーワ、マルセロ・ゴメス、イーゴリ・コルプ
後藤晴雄、奈良春夏、東京バレエ団

―休 憩―

「眠れる森の美女」より 第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:ルドルフ・ヌレエフ/マリウス・プティパ 音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
メラニー・ユレル、マチアス・エイマン

「チーク・トゥ・チーク」
振付:ローラン・プティ 音楽:アーヴィング・バーリン
上野水香、ルイジ・ボニーノ

「ナウ・アンド・ゼン」
振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:モーリス・ラヴェル
エレーヌ・ブシェ、ティアゴ・ボァディン

「パリの炎」
振付:ワシリー・ワイノーネン 音楽:ボリス・アサフィエフ
アシュレイ・ボーダー、ホアキン・デ・ルース

「椿姫」より 第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:フレデリック・ショパン
ディアナ・ヴィシニョーワ、マルセロ・ゴメス
ピアノ演奏:菊池洋子

―― Finale ――
【プロローグ、フィナーレは、この公演のためにマルセロ・ゴメスが特別に振付けたものです】
※音楽は特別録音によるテープを使用します。(「ダイアローグ」のみピアノ伴奏)

◆上演時間◆
第1部 19:00 - 19:55 (休憩 15分)
第2部 20:10 - 20:50 (休憩 15分)
第3部 21:05 - 22:00

平日で五反田、という場所を考慮しての19:00開演はありがたい配慮ですが、
この日が公演全体の千秋楽ということもあってか、拍手が多く第3部開演時間の時点ですでに15分の遅れが・・・。
カーテンコールも含めての終了時間が22:30とかなり遅い時刻の終演に。
ボリュームたっぷりのGALAではありました。

個々に感想を・・・。

《第一部》

■「ドリーブ組曲」
振付:ジョゼ・マルティネス 音楽:レオ・ドリーブ
メラニー・ユレル、マチアス・エイマン

ジョゼとアニエスのための演目・・・のようなつもりでいましたが、もうこれはオペラ座ダンサーのGALA演目として確立した作品になっているのですね。。。
そう言えば小柄なミリアム(ウルドブラハム)がこのロイヤルブルーと白のお衣装を着たら、長身のアニエスと全く違った雰囲気に見えたことなどを思い出しました。
マチアスはこの白い大きな襟(開襟)に短めのブルー系ストライプのジャケットの衣装がお似合い。
メラニーはちょっと地味めにみえましたが・・・。
ジョゼ&アニエスのときには美しくて古典的なGALAピースに見えましたが、改めて別のダンサーで観ると、なかなかに技巧をこらした作品であるとわかって面白かったです。
回転のさなかに90度ずつ顔をつけてアクセントにするテクニックなども珍しく、くっきりとテクニックを見せるマチアスの芸風もあるのかな、と^^;
このお二人は、この日異常な蒸し暑さだったこともあり、もしかして夏バテ?ちょっと特に後半のメラニーがつらそうに感じてしまいました。


■「レダと白鳥」
振付:ローラン・プティ 音楽:ヨハン・セバスティアン・バッハ
上野水香、イーゴリ・コルプ

楽しみにしていたコルプ様^^
さすが、の白鳥っぷりで観ているだけでもワクワクします。
長めの前髪をオールバックにして白いタイツに上半身はさらして、大きく腕を振り上げて反る姿勢で、優雅な薄もののギリシャ風ドレスの上野さんのレダを見染めるゼウス=白鳥を。堂々たる神であって白鳥であるという存在を彼独特のケレン味のある演技でぶれない世界観を作り上げ、カーテンコールでも、その存在として生き続けるコルプを堪能しました。
上野さんは健闘していたと思いますが、彼女のオリエンタルな魅力を構成する要素であるべき前髪が、一時の斎藤さん、吉岡さんのように若々しさを見せようとして薄めに下ろしていて、却って邪魔になっているような・・・。
あと欲を言えば、もう少しムーブメントが滑らかだと更に美しいバランスに見えたのでは・・・と思いました。

■「タランテラ」
振付:ジョージ・バランシン 音楽:ルイス・モロー・ゴットシャルク
アシュレイ・ボーダー、ホアキン・デ・ルース

東京の暑さはこの若い2人にとってはなんということもないのでしょうね
そして、デ・ルースの故障(Aプロ2演目を1演目に変更・・・ドンキホーテは回避)も、この日のパフォーマンスからは感じ取れず、タンバリンを使ったこのアップテンポな演目を2人して茶目っ気たっぷりに、魅力いっぱいに演じてくれました。
それにしても、タンバリンの音もピシッと決まるし、余裕綽々で音楽にピタッピタッと合わせてくるこの2人、今まで全くノ―チェックだったのに・・と見るとNYシティバレエ所属、バランシンがお手の物、というのが納得でした^^
あまりに踊りそのものの感じが良いのでホアキンが背が低くて立派なお顔立ちのお顔が大きく見えてしまうことなど、全く気にならなくなってきました^^
黒いトレアドルパンツに白シャツ黄色のサッシュの男性、海老茶のビロードの胴着に白いブラウス、クリーム色のふんわりスカートの女性・・という簡素な衣装も、2人の若々しさを引き立てているようにすら思えます。

■「精霊の踊り」
振付:フレデリック・アシュトン 音楽:クリストフ・ヴィリバルト・グルック
デヴィッド・ホールバーグ

アシュトンがアンソニー・ダウエルのために振りつけたソロ。
現役時代のダウエルはそれはそれはノーブルなダンサーで、その彼への宛書きを金髪長身のホールバーグが。
舞台の中央に据えられたのは暗い空を背景にした階段。
その上に、立つホールバーグは「白鳥」のコルプ同様、白いタイツに上半身をさらした姿で、まるで生けるギリシア彫刻のよう
音楽がグルックの「オルフェオとエウリディーチェ」の抜粋で、とても異界感に満ちた幻想的な空間が生み出され、あぁ、ルーブル美術館の「サモトラケのニケ」だ・・・という想念に襲われた演目。
男性の抽象的なソロ作品って観念的な閉塞感にいつしか睡魔が・・という危険がある場合も多いのですが(わたくしだけ?^^;)これは、ちょっと、かなり心奪われる時間でした。
この日の彼はこの一作品しか踊らず、後はゴメス氏と2人でヴィシニョ―ワ座長のお付きとして登場・・・・。
ちょっと勿体ないですねxxx

■「真夏の夜の夢」
振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:フェリックス・メンデルスゾーン
エレーヌ・ブシェ、ティアゴ・ボァディン

おやっと思わせる華やいだお衣装の2人。
ブシェは白い薄物レース地のドレス、ボァディンもおひげをきれいにそり上げて、アイボリーと金の襟もとのジャボと袖口のたっぷりフリルのレースも優雅な宮廷服姿。
いつもユニタ―ドやリアルな生活感を感じさせる散文的な衣装が多いノイマイヤーダンサーにしては、意外なほどのクラシカルな装い。踊りそのものも、全幕のクラシックバレエのグラン・パ・ド・ドゥのよう。
揃って長身で、テクニックのきちんとした2人の繰り広げる華麗な世界はとても魅力的。
珍しいものを見せていただき、演目を選んだのであろうヴィシニョ―ワに感謝!

《第2部》

■「カルメン」
振付:アルベルト・アロンソ 音楽:ジョルジュ・ビゼー/ロディオン・シチェドリン
ディアナ・ヴィシニョーワ、マルセロ・ゴメス、イーゴリ・コルプ
後藤晴雄、奈良春夏、東京バレエ団



アロンソ版のカルメンは東バのレパートリーのため、何度も観ていますが、今日のCASTはBESTのひとつですね^^(もう一つはシアラヴォラのカルメンにマッシモ・ムッルのホセで観た2005年の公演)
出会いの場面では赤、ホセに刺されるくだりでは黒の胸元深く切れ込んだレースにフリンジがふんだんにあしらわれたミニのお衣装でお団子をサイドに金の髪飾りでまとめたヴィシニョ―ワのカルメンは匂い立つ女らしさ・・・というよりは、自分の力の使い方を心得たパワーを自在に使って男を支配する世界の中心的な存在。
ゴメスのホセはひたすらまじめな男がそんな手練手管を使える女の魅力にハマって破滅に向かう一途なラテン男。
グレーの軍服・軍帽のON,白シャツ黒パンツのOFF、いずれも禁欲的でこのホセの役作りにぴったり。
後藤さんが黒に金の装飾の軍隊における上司役。ゴメスと同じ振りで踊ってまったく引けをとらない緊迫感とスタイルなのに感心。
東バの男性陣の群舞は何度も再演されている作品ということもあり、日本人特有のきびきびした規律感あふれる動きで背景に徹していて観ていて気持ちが良い。
顔を2色に塗り分けた女性ソリスト2人の1人は吉川留衣ちゃん。あと一人がわからないが、より力強い踊りで、だれだか知りたい・・・。
コルプのエスカミ―リョは白地に黒の刺繍の施されたマタド―ルスタイルがとてもお似合い。
「運命=死」を演じる、顔も含めて全身黒タイツで覆われた女性は奈良春夏さん。
今までで一番シャープに絞られたスタイルの奈良さんの「運命」と牛の角のポーズで対抗するコルプのエスカミ―リョはともにスタイリッシュながらも独特のタメがあって、強くて艶やかでポワントも反りも自在なヴィシニョ―ワのカルメンとのバランスが合っていて実に良い舞台。
思うに、ヴィシニョ―ワは身体的には出来ないことはないくらい万能で、演技も過剰なくらいしっかりと作ってくる渾身の舞台人だけれども、役柄をすごく選ぶタイプ。
合わない役も、渾身の力で自分に引き寄せて力技で演じきるのが、時々とても不思議なものを観ている気分にさせられて・・・。そこがわたくしが手放しでヴィシニョ―ワ・ファンになれないところかも・・と思いつつも、この「カルメン」のように役者が揃うとやはり素晴らしい演者でダンサーであると感服致します

《第3部》

■「眠れる森の美女」より 第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:ルドルフ・ヌレエフ/マリウス・プティパ 音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
メラニー・ユレル、マチアス・エイマン

夏バテしているように見えた2人、リベンジなるか?
とてもきれいでカワイイお衣装。さすがはオペラ座。マチアスがボアディンとほぼかぶる「結婚式の王子」衣装。
ユレルのオーロラ姫のお衣装が、デコルテがきれいに開いて、肘が隠れるぴったりした袖口からこぼれるレース、ハリのあるアイボリーサテンのクラシックチュチュに丁寧に刺繍の施されたピンクのバラがロココスタイル。ブシェのシンプルなハンブルク仕様の衣装とは衣装部の力の入れようが違う!と感じさせるOPERA座仕様でステキ。
ユレルはさすがの経験値からか、なんとか無難にまとめてきた・・・という印象。
端正できれいではありました。
マチアスはやはりこの人は持って生まれた才能があるのだなぁと思わせる、質の高いジャンプに伸びやかで高い位置でのマネージュ。
ただ、演目か2人の相性か、コンディションか・・・他が素晴らしい!というのもあるのですが、今一つの盛り上がりに欠ける感じが・・・

■「チーク・トゥ・チーク」
振付:ローラン・プティ 音楽:アーヴィング・バーリン
上野水香、ルイジ・ボニーノ

良い上野水香ちゃん。
そう言えば彼女は牧時代から、長身美脚でプティのお気に入りダンサーだったのよね・・と思い出した。
1mほどのしっかりとしたテーブルがセンターに置かれ、その上と舞台を自在に行き来してタキシード姿のボニ―ノさんと黒レースにフリンジのカクテルドレスにハイヒールパンプスの水香ちゃんが組んで洒脱に踊る楽しい演目・・・。
ではあり、コケティッシュな笑顔で踊るスタイルの良い水香ちゃんは大変にチャーミングではあったのですが・・・・
プティの世界かというと、もっと大人な洒落ッ気が出てくると・・・と求めてしまうのが観客のサガ。
このレベルのGALAだから、こういうライトな演目でも、それなりに完成された世界観が欲しい。

■「ナウ・アンド・ゼン」
振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:モーリス・ラヴェル
エレーヌ・ブシェ、ティアゴ・ボァディン

いつもの・・・というか、スタンダードなコンテンポラリーノイマイヤー作品を踊るブシェとボァディン。
これはこれで、やはり見せるダンサーだなと。
ボァディンは赤のボクサーショーツラインのパンツに肩ひものついたような赤いレオタード、ブシェは美脚がくっきりと浮き出るユニタード。
Aプロ「ジュエルズ」の「ダイヤモンド」ではいささかギョッとさせられた(笑)語る脚が、ここではその存在感を伸びやかに示していて実に雄弁。

■「パリの炎」
振付:ワシリー・ワイノーネン 音楽:ボリス・アサフィエフ
アシュレイ・ボーダー、ホアキン・デ・ルース

今日のGALAはとにかく長く、しかもそれぞれに心を動揺させる要素てんこ盛りなために(え?)そろそろ疲れてきたところで、リフレッシュ演目が。
シンプルに技術力の高さを見せる体育会系?のGALA演目故に、テクニック的にアラがあると目も当てられない(情緒的な部分でフォローできない)ことになる・・・という危険な演目でもあるのですが、さすがに信頼のボーダー&デ・ルースペア。2人ともきっちりとしたテクニックと、音楽にそったきれいな流れを崩さずに、見せるところはキッチリと見せてくれました。トゥール・アン・レールがとてもきれい。

■「椿姫」より 第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:フレデリック・ショパン
ディアナ・ヴィシニョーワ、マルセロ・ゴメス
ピアノ演奏:菊池洋子



まず第一に・・・ピアノの菊池さんBRAVA!
素晴らしい演奏で、時折演奏に没頭するために目を閉じて味わいたくなるほど・・・でした^^;

さて、ヴィシニョ―ワとゴメスのお二人の素晴らしいところは・・・リフトの高さと正確さ!
何度も、???と思っていた某オペラ座ダンサーや某イタリア人女優バレリーナの、大きなスカートが男性ダンサーの顔を覆いながら舞台を右往左往している・・・という誰得な構図を何度も見せられて(そしてうんざりして)きた身としては、高々と突き上げられた両腕の上で旋回し、美しくポジションチェンジするマルグリットと(物理的な重さ故でなく)苦悩に満ちたアルマンの表情を同時に観賞することが出来る!というのがまず素晴らしい。

舞台上手で思い悩みつつ座っているゴメスが舞台中央奥に佇む黒衣の女の気配に気づき・・・
マルグリットだ!
でも、彼女が自分の愛を裏切って出て行ったと信じている彼は受け入れることが出来ず逡巡する・・と
病を押して訪ね来た彼女が倒れそうになるのを駆けより支え、そして愛が再燃。
という情熱の奔流の場面のパ・ド・ドゥですが・・・。
病気でつらい、引き裂かれてつらい、そのつらさが、はかなさではなく強い生命力でもって表現される様に、あぁ、マルグリットはいずこに・・・と、舞台上にない幻を音楽の中に捜してしまったわたくしでした。。。
2人とも、実に誠実に「椿姫」の場面を演じていたのだと思うのですが・・・。
あの、アルマンの苦悩のポーズ、天を仰いで曲げた両腕を腰に近づけ、膝を開いて足をクロスさせるあの振り・・・
神に苦悩する場面だと理解していますが、ゴメスはそこでフンッと鼻息が出ていそうな力強さで・・・。
わかりました。
リアブコの端正さが欲しかったのです。
そしてマルグリットにははかなさと盛りを過ぎようとしている贅沢を知る女の枯淡の美しさが欲しかった。
ないものねだりですね^^;

最後のフィナーレで並んだダンサーの布陣を観て、ヴィシニョ―ワのCASTING能力には信頼がおけるなと改めて感じました。
男性はテクニック万全で自分と絡む場面があるダンサーは個性派の長身イケメン(各タイプ取り揃え・・・)を並べ、自分とは絡まないダンサーは容姿よりも実力で!
女性はそれぞれに品格・音楽性・スタイルなど、優れたダンサーなれど、自分以上に華のあるタイプは敢えて呼ばない・・・。
実に正しいです。
おかげ様で、A・Bプロとも楽しめましたし、未知の魅力あるダンサーの発見もありました。
後は・・・色々と挑戦できる場としてのチャレンジは納得でもありますが、やはり自分に合う演目を厳選してくださると更に良いかも、と。
どちらかというと玄人好みの、面白い変化球満載の良いGALAでした



「ヴィシニョ―ワ―華麗なる世界― 」Aプロ

2013-08-18 23:12:16 | BALLET
2013年8月18日(日)15:00~
ゆうぽうとホールにて

《ディアナ・ヴィシニョーワ―華麗なる世界》Aプロを観て参りました。

「オテロ」
振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:アルヴォ・ペルト
エレーヌ・ブシェ、ティアゴ・ボァディン

「コッペリア」
振付:ミハイル・バリシニコフ 音楽:レオ・ドリーブ
メラニー・ユレル、マチアス・エイマン

「失われた時を求めて」より "モレルとサン・ルー"
振付:ローラン・プティ 音楽:ガブリエル・フォーレ
マルセロ・ゴメス、デヴィッド・ホールバーグ

「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」
振付:ジョージ・バランシン 音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
アシュレイ・ボーダー、ホアキン・デ・ルース

―休 憩―

「ダイアローグ」
振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:フェデリコ・モンポウ(「ショパンの主題による変奏曲」)
ディアナ・ヴィシニョーワ、ティアゴ・ボァディン

ピアノ演奏:アレクセイ・ゴリボル

―休 憩―

「フーケアーズ」
振付:ジョージ・バランシーン 音楽:ジョージ・ガーシュイン
アシュレイ・ボーダー

「マンフレッド」
振付:ルドルフ・ヌレエフ 音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
マチアス・エイマン

「ジュエルズ」より "ダイヤモンド"
振付:ジョージ・バランシン 音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
エレーヌ・ブシェ、デヴィッド・ホールバーグ

「オネーギン」より 第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・クランコ 音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
ディアナ・ヴィシニョーワ、マルセロ・ゴメス


【プロローグ、フィナーレは、この公演のためにマルセロ・ゴメスが特別に振付けたものです】

※音楽は特別録音によるテープを使用します。(「ダイアローグ」のみピアノ伴奏)


◆上演時間◆

第1部 15:00 - 15:50(休憩 15分)
第2部 16:05 - 16:35(休憩 15分)
第3部 16:50 - 17:40

個別に感想を・・・

■「オテロ」
振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:アルヴォ・ペルト
エレーヌ・ブシェ、ティアゴ・ボァディン

ハンブルグバレエの実力派の2人。
白い薄衣をまとったブシェと腰巻の布のボアディンは古代ギリシア彫刻のよう。
その2人が綾なす男女の心の機微。
終盤でその腰巻の布を外して(勿論肌色パンツ着用)デスデモ―ナのウエストに巻きつけて縛る・・・のがオテロの彼女に対する執着・嫉妬を表していて胸が詰まります。



■「コッペリア」
振付:ミハイル・バリシニコフ 音楽:レオ・ドリーブ
メラニー・ユレル、マチアス・エイマン

エイマンは、全てのパを弾むように、でもとても丁寧に踊る人。
見た目も小柄で弾力を感じさせる少年らしさがあるので、フランツ役にピッタリ。
ジャンプの空中姿勢でもポージングを自在にコントロールできる余裕を感じます。
ユレルは大ベテランなので、エイマンくんとはかなりの年の差カップル?
コッぺリアはちょっと苦しいのでは・・と危惧しましたが、敢えてオペラをはずして観ると、小柄で均整のとれたバレリーナらしい容姿と丁寧で品のある踊りが古典作品にぴったりで、爽やかさを湛えたカップルでした。



■「失われた時を求めて」より "モレルとサン・ルー"
振付:ローラン・プティ 音楽:ガブリエル・フォーレ
マルセロ・ゴメス、デヴィッド・ホールバーグ

とてもVISUAL的に映える2人。並びがまずゴージャス。
黒髪のゴメスと金髪のホールバーグという美青年2人の相克。
2人とも個性ある長身のスターダンサーなので、やたらと華やかなモレルとサン・ル―でした。眼福。



■「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」
振付:ジョージ・バランシン 音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
アシュレイ・ボーダー、ホアキン・デ・ルース

実力派若手の2人。
弾むようなボーダー、デ・ルースの若々しさはこの演目にピッタリ。
デ・ルースはかねてから痛めていた膝の故障が悪化・・・ということで、第3部の「ドン・キホーテ」の演目がボーダーのソロに変更になった・・・ということでしたが、このチャイコパはムリなくキレイに踊っていました。
大丈夫なのかしら?
ボーダーのお衣装が、良くある胸の下で一度絞ってひらひら・・・というのではなく、ウエスト部分を切り替えてパウダーピンクの別布で広く切り替え、上下は薄サーモンピンクのシフォン、というデザインで、身体に沿って安定して踊りやすいのかもしれませんが、見た目はあまり好みではないかも?



―休 憩―

■「ダイアローグ」
振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:フェデリコ・モンポウ(「ショパンの主題による変奏曲」)
ディアナ・ヴィシニョーワ、ティアゴ・ボァディン

ピアノ演奏:アレクセイ・ゴリボル

このところ、NBSの公演で、生ピアノの演奏があるときに、キチンとしたピアニストをCASTINGするようにしていただいて、本当に舞台における全てのレベルが上がったと実感。
ダンサーも音楽に敏感な人が多いので、そのパフォーマンスにも直接影響がありますし、観ている側からしても作品世界にぐっと入り込めて集中できる・・と良いことずくめ。

二つの簡素な椅子があるだけのセットで、男女の永遠のすれ違い・求め合い・・・が繰り広げられて、一つのドラマを観ているかのよう。
こういう現代作品にしては30分弱の長尺ではありますが、ダンサーの身体能力と表現力がいかんなく発揮されて観ていて深く引き込まれるドラマチックな作品。黒のランニングにパンツのボァディンと黒髪をセンターパーツのシニヨンにしてダークレッドのVネックの半袖ワンピという簡素な姿のヴィシニョ―ワの大人のラヴストーリー。
ノイマイヤーらしい演目でもあり、これは2011年10月マリインスキー劇場でのヴィシニョ―ワ・プロジェクトのために創作された彼ら2人に対する宛書き。
ロシア最高の賞である「ゴールデン・マスク」賞受賞作品。

この日、ノイマイヤー氏が通路挟んで後ろゾーン一列のセンターで観劇されているのをおみかけしたのですが、
この作品のカーテンコールで舞台に出ていらっしゃいました。
相変わらず素敵なロマンスグレーで、レべランスの瞬間、ダンサーをグッと前面に出させてご自分はスッと後方に引く・・・というスタイルで、大きな拍手を浴びていらっしゃいました。

―休 憩―

■「フーケアーズ」
振付:ジョージ・バランシーン 音楽:ジョージ・ガーシュイン
アシュレイ・ボーダー

急遽決まったソロなのでやや短め?
アメリカ人の彼女にピッタリの大人っぽく洒脱な作品を弾むような内から溢れ出る若さとパワーを感じさせながら・・のチャーミングなパフォーマンス。

■「マンフレッド」
振付:ルドルフ・ヌレエフ 音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
マチアス・エイマン

バイロンの詩からインスピレーションを得たヌレエフが創作した作品。超人的人物であるマンフレッドが自己忘却を求める・・・というパンフレットの説明でしたが、淡いグレーのロマンチックなブラウス姿のエイマンくんがヌレエフの超絶技巧をキッチリとこなす様を存分に味わえます。
よく、技巧派でジャンプ力のあるダンサーに対して、空中で止まっているようだと評されますが、彼の場合は、空中でも地上におけるのと同様に演技を続けることが出来る・・・という印象を持ちました。
強い弾性を感じさせる動きとエレガントなディテールが個性とパリオペエトワールとしての品格のすり合わせが上手く進行している彼自身の充実を感じた演目でした。

■「ジュエルズ」より "ダイヤモンド"
振付:ジョージ・バランシン 音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
エレーヌ・ブシェ、デヴィッド・ホールバーグ

金髪長身薄口のお顔立ち・・・の2人による「ダイヤモンド」
このメランコリックにして典雅な作品は意外と演じる人を選ぶのですが、このお二人はどうかしら?
うーん、なんとも面白い。
ホールバーグはまぁ、無難にこなしていましたがでも、男性のパートってこんなにせわしなく動いたかしら?と少し思い、そしてブシェの脚!力強くとても長い美脚なのですが、この力強さがスッと伸ばすパで、内なる力がみなぎっているのがわかるという・・・。
Myスタンダードであるアニエス・ルテステュやロパートキナさまの場合同じく長身長い脚・・・でも、そのムーブメントはあくまでさりげなくも優雅でどちらかというと幽玄の世界を思わせるものがありましたが、ブシェの語る脚、そしてホールバーグの意外にも献身的な動きが、作品に似合っていなくはない範疇ではありますが今まで観たものとは別モノ?の感覚を引き起こされてなんとも興味深いものがありました。

■「オネーギン」より 第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・クランコ 音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
ディアナ・ヴィシニョーワ、マルセロ・ゴメス

大熱演!ですが。。。これって「オネーギン」?
美しいヴィシニョ―ワの悩めるタチアナ。セクシーなゴメスの荒々しい野性的なオネーギン。
素晴らしい愛の葛藤!!なのですが、ゴメスは髪を乱して、タチアナへ激しく求愛し、それを拒みつつも恍惚の表情で答えるタチアナ・・・有名なダイナミックな超絶技巧の連続リフトもどこまでも自在にコントロールできる肢体を持つヴィシニョ―ワにはなんのその。スピーディな展開の中で女性らしくしなる、反る・・・・。
結果、麗しい奥方へ変身を遂げたけれども、モノ固いタチアナの意志の強さと、気どりを捨てて自らの恋心を一心に訴えるニヒルな紳士オネーギンの対立・・・というよりは、過去に愛し愛され尽くした大人の男女の許されぬ再会と情熱の発露・・・という全く違ったドラマのように見え・・・。
役に憑依していたヴィシニョ―ワのカーテンコールでの忘我の表情、彼女を守り抱きかかえるようなゴメス氏の男っぷりにちょっとイケないものを観てしまったかのような・・・いえ、(「オネーギン」だと思わなければ)素晴らしい舞台でした!


■【プロローグ、フィナーレは、この公演のためにマルセロ・ゴメスが特別に振付けたものです】

ゴメス氏の才能発見。
カッコいいプロローグ&フィナーレでした!

プロローグは幕前で、モノトーン&ダークな紫を基調としたお稽古着のダンサーが1人センターでスポットを浴び、そこに上手から、下手から走ってきたダンサーが絡み、センターが交替していく・・・というもの。

スピード感があってスタイリッシュ。

フィナーレは舞台上に一筋の道が光で示され、そこにタンゴに合わせて女性だけ、男性だけ、カップル・・・とフォーメーションを変えてダンサーが登場し、最後は3カップル&ホールバーグ&ゴメスを従えたヴィシ、という並びでのレヴェランスという展開。

ダンサーが皆、技術的に問題なくなおかつ男性ダンサーが華やかで(座長の趣味か^^)、実に面白く、楽しめるGALAでした。
これにイ―ゴリ・コルプ、ルイジ・ボニ―ノが加わるBプロも楽しみです




宝塚宙組 「うたかたの恋」全国ツアー・川口公演

2013-08-10 09:15:43 | TAKARAZUKA
宙組、全国ツアー。2013年7月19日(金)梅田芸術劇場を皮きりに
広島、北九州、福岡、愛媛、長野、新潟、愛知・・・
そして、ついに首都圏に!
8月9日(金)18:00公演を観に、川口総合文化センター、リリアホールに行って参りました。
東京駅から30分、駅前すぐというアクセスの良さがありがたい・・・。

で、人生初の「うたかたの恋」にワクワクして着席すると・・・。
なんと!バウホール公演に出演していた宙組生たちが観劇に来ているではありませんか!
(主演のお二人は14:00公演の方にいらしていたとか・・・)

で、驚いていると、なにやら、センターブロック5列目に不自然な空席が・・・。
星組ロミジュリが一回公演だったのでしょう、TOPスター柚希礼音さんと同期のもと宙組まさこ(十輝いりす)さん、一期下で凰稀さんと同期の花愛瑞穂さんの3人が並びで!!
まさこさんはもと宙ですし、柚希さんのもとで2番手を務めていた凰稀さんは4月の大劇場雪組ベルばらでは特出で柚希さんとくんでオスカル・アンドレをしましたし、花愛さんは、星組時代お世話になった同期生で今回のロミジュリで退団、先日の大劇場でのお花渡しにはサプライズで凰稀さんが登場したというご縁の方々。
ショーでは熱く客席から盛り上げて下さり、客席も大喜び!

何やら、観る前から異常にテンション上がった満員のリリアホールです



感想は今夜・・・