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お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

世界バレエフェスティバル秘蔵映像上映会 ①

2009-06-30 05:06:44 | BALLET
6月28日の日曜日、16:00より、大手町の日経ホールにて開催の
「第12回世界バレエフェスティバル開催記念秘蔵映像上映会」に行って参りました。

1976年に始まり、3年ごとに開催される、NBS主催の「世界バレエフェスティバル」
そのときそのときの旬のダンサーを世界中から招いてのバレエの祭典。

毎回、目を見張る名演が重ねられてきた、世界に誇る(少なくとも鑑賞機会の充実、と言う面においては!)
バレエ都市東京の象徴的な公演であり、通常、バレエ団に所属して活動し、国や団を超えたスターダンサー通しの交流、と言う面においては機会が限られているダンサーたちにとっても招聘されることで、世界の同時代のダンサーの名演に触れるまたとない機会を持てる貴重なチャンス。
バレエファンにとっては無視することの出来ない8月の2週間であり、ダンサーサイドからの売り込みも激しいらしい。

わたくしがこのバレフェスを観るようになったのは第8回の1997年から・・・。
Bプロで、ローラン・イレールとシルヴィー・ギエムが赤い炎のようにベジャールの「バクチ」を踊ったのが
印象に強いのですが、その後も多くの忘れられない名演があり・・・。

今回は、日経ホールのオープニング企画の一環として、
第12回のバレフェス前夜祭的な意味合いもあり、その文化的富の蓄積とでもいうべき
第1回からの貴重な映像を上映しようという好企画。

大々的な告知が行われたというわけでもなかったのですが、
発売後まもなくSOLDOUT.
座席数610の会場は満員御礼状態。
デマチでよくお見かけするバレエファンの多くのお顔を拝見しました(笑)

会場には第1回からの出演ダンサーのサイン寄せ書きパネル、
マラーホフの「薔薇の精」、ロベルト・ボッレが着たミラノ・スカラ座バレエ団のバヤデールのソロルの衣装、
ルドルフ・ヌレエフが着用したベルリン歌劇場バレエ団の「眠れる森の美女」のカラボスの衣装などの展示も豪華で、興味深く、あぁ、デジカメを持ってくるのだったわ~と悔やむわたくし。

というわけで、画像なしの文章のみですが、
上映された映像と、ひとこと感想文を残しておきたいと思います






東宝「ミー&マイガール」 ②

2009-06-20 00:42:51 | Musical
昨日観劇の「Me&MyGirl」
しょっぱなから、オケが入場行進。踊る指揮者。
楽しい演出ですね。



踊る、といえば、最初から、多分踊りの指導が入るのでは・・・と予感させる”振り”が
繰り返されます。
「Rocky Horror Show」のような観客参加型?かと一瞬期待(笑)しましたが、
最後皆で踊る、という程度。
それでも充分、ですが

物語は、男性版、いやカップル版「マイ・フェア・レディ」

1930年代、LONDON。
下町、ランベス育ちの若者ビルが、ヘアフォード伯爵の財産相続人であることが判明。
でもそれには条件が・・・。
財産執行人のジョン卿とマリア公爵夫人が当主にふさわしいと認めること。

現れた粗野な若者に眉を顰める上流社会の人々の中、一人、彼を教育してみせる、と
マリア公爵夫人が宣言。
奔放な一人娘のジャッキーは、婚約者ジェラルドに引導を渡して、早速ビルを誘惑。

でもビルにはランベス時代からの恋人サリーが。
彼の将来を考えて身を引こうとするサリー。
諦めないビル。

お披露目パーティーへの準備を進めるマリアと、少しずつ血筋に相応しく変貌していくビル。
パーティ当日、サリーはある決心を。
ランベス時代の仲間を引き連れ、パーティに乱入。
いかに自分がその場にふさわしくないかを印象付ける作戦だったがビルは・・。

まず、ビルはサリーに一途。
サリーはビルの将来を考えて身を引こうとし、邪魔者扱いにする上流の人々に憤るでもなく
理解を示す賢い娘。

マリア公爵夫人は誇り高く人並み外れた行動力とインパクトで他を圧倒するも、
意外なノリのよさも見せ、真の上流階級のヒトらしい柔軟な精神の持主であることを証明。
ジョン卿はそんなマリアに30年来想いをよせる。

娘のジャッキーは愛よりも財産、とジェラルドに引導を渡してビルに猛攻を仕掛けるちゃっかりさが
嫌味にならないチャームの持主。
ジェラルドはダメ男だけれどもジャッキーにぞっこん。

と、主要な人物が全て良いヒト。物語はHappyEnd.



一幕の終わりでビルを思うサリーの歌もしっとりとしていて
笹本玲奈ちゃんのサリーは可愛らしさと思慮深さが両立。
あれだけビルが一途に思うのも納得。

ビルの井上くんはいつもの王子様役と勝手が違うところ、軽妙な演技でソツがないのですが、
元気に、と意識するあまり?だんだんと上流に染まっていく変化が今ひとつ。
なんだか最後まで下町っ子っぽさが変わらなすぎるかも?
歌は安心して聴いていられます。



ジャッキー役の貴城けいちゃんは、ほっそりとした容姿がキレイ。
お嬢さま育ちながら、この時代背景を映した意外とちゃっかりしたモダンガールらしさが
もと宝塚男役らしいどこかボーイッシュな爽やかさと相まってよく似合っています。



驚いたのは、マリア役の涼風真世さん。
宝塚時代は「真夏の夜の夢」のパックでしか見たことがなく、
その中性的で妖精のような持ち味が印象に刻まれていたため、公爵夫人??という感じだったのですが・・・
いや年月がこの方を女優にしたのですね・・・
風格もあり、コミカルな演技も達者で一番目立っていました。



ジョン卿の草刈さんは歌、踊り、というよりも特色のある台詞回しと長身で恵まれた容姿が
とてもおっとりとした上流紳士にピッタリ。
主役はあくまでビルとサリー。爽やかヤングカップル、のはずなのですが、
涼風さんと草刈さんの熟年カップルがその主役のふたり以上に魅力的なのが、
この作品に奥行きを与えていたように思います。

好きなシーンはご先祖様のタップダンス

歌もダンスもシーン毎に変化に富んでいて観客をあきさせない構成は見事。
人気があるのも納得ですね。
最後、わたくしもちゃんとランベスウォークの振りも覚えて。
一緒に鑑賞したミュージカルファンの会社の同僚3人についていくことが出来ましたよ





東宝「ミー&マイガール」 ①

2009-06-19 13:09:21 | Musical
昨日、6月18日(木)18:30よりの公演、帝国劇場にて
東宝ミュージカル「ミー&マイガール」を観てまいりました。



ブロードウェイ・ミュージカルの古典(?)
宝塚でも東宝でも何度も再演されていて、作品自体の熱心なファンも多い作品。
なんとわたくしは今回が初観劇。
「ミー・マイ」と愛称で呼ぶ宝塚ファン、ミュ-ジカルファンの友人が多く、
自分でも今回初、というのが不思議なくらい耳に馴染んだこのタイトル。
とても楽しい作品、と聞いていたのでリラックスして観られそうです。

作詞・脚本=L・アーサー・ローズ&ダグラス・ファーバー
作曲=ノエル・ゲイ
(改訂=スティーブン・フライ 改訂協力=マイク・オクレント)
演出 山田和也

音楽監督 佐橋俊彦
歌唱指導 北川潤
振付 玉野和紀

装置 大田創
照明 高見和義
衣裳 小峰リリー
音楽監督補・指揮 塩田明弘

オーケストラ 東宝ミュージック(株) (株)ダット・ミュージック

プロデューサー 岡本義次・吉田訓和
製作 東宝

<CAST>

(ビル) 井上芳雄 
(サリー)  笹本玲奈 

(マリア公爵夫人) 涼風真世
(ジョン卿) 草刈正雄

(ジャッキー) 貴城けい
(ジェラルド) 本間憲一

(弁護士パーチェスター) 武岡淳一
(執事チャールズ) 丸山博一
(バターズビー卿)  阿部 裕
(ミセス・ブラウン) 伊東弘美
(バターズビー夫人)福麻むつ美
(ジャスパー卿) 花房 徹

一幕 6:30~7:55
休憩 25分
二幕 8:20~9:30













カサロヴァの「チェネレントラ」 ③

2009-06-08 04:48:05 | OPERA
今回、旬のロッシー二歌手が勢ぞろいしたのと、演出が定評のあるオーソドックスなポネルのもので新国立劇場新製作のものであったということ、バルトリ主演で作品としての面白さは体験済だったということなどで早い段階で押さえたチケットでしたが、1Fの前後の境目、後半部分の一列目でしたので視界もよく、歌手の細やかな表情も楽しめました。



カサロヴァは(ほぼ)オール・イタリアン・キャストの中、ブルガリア出身ならではのやや暗い、しかしビロードのような声とよく制御されたテクニックで、難易度の高いアジリタ(早口言葉のような歌唱)も難なくこなしてお見事。



イメージからはズボン役(男装の麗人)が似合うカッコいいメゾ、という印象でそれがどうすればカワイそうな娘~堂々としたお姫様になるのだろう??と思っていましたがなかなかどうして。
前半はやや重苦しくうっとおしくさえ(!)あったのですが、純真でナイーブ、芯は強いが控えめな娘の人物造形は最後までぶれず、ドラマチックな場面でテンポやタメに独自の解釈を入れがち、という定評もあまり気にならず・・・。
で、シラグーザとの声の相性も良く、一幕の2人の二重唱「なにかわからぬ甘美なものが Un soave non so che」でも美しいハーモニーでうっとり。



そのシラグーザ、ですが、声質が実に明るくて軽快な輝きに満ちており、ロッシーニワールドにピッタリ!
細やかな心情もよく伝わる感情表現の巧みさ、ハイCの見せ場もそれと気付かせないくらいに楽々と(というか実に自然に!)出る高音が素晴らしい。
テノールなので、あまり身長が高くなく、カサロヴァと並んだときはほぼ頭が並ぶ感じではありましたが、王子らしくない、と時に評されてしまうこともある身のこなしも、節度ある態度、表情で、品よく(?)こなしているように見えました

というのも、脇のブッファ的役どころの歌手の充実ゆえに相対的に彼がノーブルに見えていた?

そうかもしれません。
ダンディーニのロベルト・デ・カンディアのコミカルな足さばき、豊かな表情、
ドン・マニフィコのブルーノ・デ・シモーネのメリハリのある動きと芝居心が
スロースタート気味だった舞台を鮮やかに疾走させます。

対する家庭教師アリドーロ、ギュンター・グロイスベックの重々しさと威厳も、
この版での役どころにあっていました。

ややキャラ的に弱かったのが2人の姉、
高慢なクロリンダの幸田浩子さんと現実的なティーズベの清水華澄さん。
コミカルに動き回ることを要求されるブッファ的な役どころではありますし、
ひっくり返ったり、固まって表情も含めて数分停止したり、と達者な演技ではありましたが、
うぬぼれやさん発言の多い役ゆえ、少しはその言葉通りにうぬぼれるのも当然?的な驕慢さとともに女性としての魅力が欲しかったかも・・・。

これは新国立劇場でOPERAを観るときの課題で、わたくしが観た中で唯一の例外は2007年「フィガロの結婚」の中村恵理さんのスザンナくらい。彼女は今RoyalOperaで注目されているようですが
女性の脇役に優秀な日本人の若手や二期会の人がキャスティングされることが多いのですが魅惑的な役なのに、あまりキレイでなかったり(失礼!)誘惑的な役どころなのにセクシーさが足りなかったり・・・・。あ、ついつい毒舌モードに・・スミマセン(^^;)

とはいえ、超絶技巧の歌の競演、ハイスピードで展開される素晴らしい六重唱や五重唱のハーモニー、
ロッシーニの仕掛けるクレシェンドの魅力にすっかり満足・・・の一時ではありました

ロビーでは、有名なバレエ評論家やイタリア語会話でお馴染みのダリオ・ポニッシさんなど、
色々な方をおみかけし初日ならではの華やかさ、が感じられましたよ









カサロヴァの「チェネレントラ」 ②

2009-06-08 03:35:23 | OPERA
La Cenerentola

シンデレラ、ですね。


オペラの場合、グリムやペローの童話とは一味違い、
王子もシンデレラ(ここではアンジェリーナ)も
外見にはとらわれず、自分の内面を見てくれる結婚相手を探しつつ試す、
試しつつ、探す、という自分の心と相手の真心を見据えた人物造形になっているところが
ちょっと大人なお話です。

この主役2人と、王子のために、身をやつして物乞いをし、心優しき乙女を探す
王子の婚活作戦を司る家庭教師アリドーロがセリア(まじめな)の役どころ。

継父ドン・マニーフィコ、2人の姉、花嫁候補を試すために王子と入れ替わっている従者ダンディー二がブッファ(喜劇)を受け持っているという構成。
ちなみにバレエですと実の父はシンデレラを愛しているが、
後妻とその連れ子に牛耳られているがために小間使いをさせて、申し訳ないと思っている、
という設定になっていますね。
オペラではシンデレラを連れ子に母が後妻に入った家で、母をなくした、という設定になっていて、シンデレラの孤立っぷりがよりはっきりしています。

家庭教師アリドーロが物乞いのふりをして訪れると2人の姉は追い払い、心優しきチェネレントラは朝食をこっそり与えます。
この家に花嫁候補あり、と聞いて従者のふりをして訪れたラミーロ王子。
まず、出会ったアンジェリーナを驚かせてしまいますが、ここで2人は互いに一目惚れ。
従者の登場がお城の舞踏会への招待だと知るや、没落した家を復興させるチャンスと2人の姉を激励するちゃっかりドン・マニーフィコ。
慌てて身支度をする姉2人がアンジェリーナに手伝いを言いつけてもみくちゃに。
そうこうするうち偽王子ダンディーニ登場。
ドン・マニーフィコはアンジェリーナを召使と説明、二人の姉を売りこむが
家庭教師アリドーロが戸籍謄本を持って登場。娘は3人のはず。
死にました。え??あまりのことに呆然とするアンジェリーナをアリドーロは励まして
美しい衣装で身支度をさせます。

お城にて。偽王子にワイン蔵責任者の大任を任されて張り切るドン・マニーフィコ。
妍を競う姉たち。
偽王子に2人のうち一人は従者と結婚を、と言われ、従者(実は王子)を愚弄。



謎の美女登場。
カサロヴァが黒のゴージャスなドレスでエキゾチックな魅力満開。
偽王子も夢中になるが、従者の方を愛していますと告白するアンジェリーナ。
喜んで飛び出す従者姿の王子。
でも、両腕につけたブレスレットの片方を渡して、本当の姿のわたしを見つけて、
それでも愛していると言えるなら、と姿を消す彼女。
ただの棚ボタ玉の輿ストーリーではなく、
王子を断り、本当に心惹かれる人に内面的な真実を求める、彼女の人物設定が魅力的。
家庭教師の導きがあったとはいえ、ラミーロ王子の求めるものとアンジェリーナのそれとは
しっかりとリンクしていますね。
同じ価値観を共有できる2人はきっとその後も上手くやっていけるでしょう・・・と、
御伽噺にはない現実味があるのもオペラ・ブッファの特色か。

ラミーロ王子、彼女を探し出すぞ、と宣言。
ここでレチタティーボと4度のハイCを含む決意のアリア。
王子役の見せ場、聴かせどころですね。

偽王子はここでお役御免。ダンディーニは一抹の寂しさを覚えつつ(このあたり、上手い!)従者に戻り、
どんでん返しにドン・マニーフィコは驚愕。
城での栄達も夢と消え、帰宅したマニフィコ邸に嵐をしのいで、美女捜索中の王子一行が再び訪れます。
アンジェリーナと王子の再会。
ブレスレットの確認と真実の告白。
事情を飲み込めない姉と継父がアンジェリーナを叱咤するのに王子はガマンなりません。
が、アンジェリーナは、彼らへの復讐は許すこと、と宣言。
最後、お城での大団円では善良さの勝利の合唱の後、
純白のドレスに身を包み、今までの苦労を振り返り、もう火のそばで寂しく過ごすこともないのね、と
超絶技巧のアンジェリーナの歌で幕。

大きな拍手、満足そうな歌手たち、初日は成功したと言えるのではないでしょうか。
派手さのない演奏の指揮とオケ、で期待していた序曲の疾走感があまり感じられなかったのと、
登場時から暗く昔語りの民謡をジメッと歌うカサロヴァに、ロッシーニ特有の高揚感が希薄?と
物足りなく感じたのは冒頭のみ、
最後にはやっぱりロッシーニはいいな、と満足して席を立てたのは幸せなことでした。