2011年7月18日(月・祝)14:00公演
五反田 ゆうぽうとホールにて
この公演の楽日でした。
今回はA,Bプロ一度ずつの観賞としましたので、初日と楽で・・・。
ちょっと日があいてしまいましたが、海馬をたたいて、記憶をひねりだしてみます^^;
![](https://img.yaplog.jp/img/09/pc/m/a/r/maria-pon/1/1183.jpg)
■「ビフォア・ナイトフォール」
ニーナ・ポラコワ、ミハイル・ソスノフスキー
高村順子-宮本祐宜、佐伯知香-松下裕次、吉川留衣-長瀬直義
タイダイっぽいグラデーションになったダークグレーの衣装がステキ。
男性は足首までのタイツ、女性はシンプルなロングのワンピースですが、ショルダーストラップが赤、というのが洒落ていました。
ウィーンのお二人、ポラコワは美人ですね。
小林幸子、撤回します(笑)。お団子ではなく夜会巻きにまとめたブルネットがシャープで大人っぽくて良かったです。
ソスノフスキ―も存在感あり。
東バの3組のカップルも踊れる&華のあるメンバーで、観ていて楽しかったです。
ちょっとAプロのホワイトシャドウに近い世界観。
■「ドン・キホーテ」
リュドミラ・コノヴァロワ、デニス・チェリェヴィチコ
ウィーン版のドンキの衣装はオリジナリティがありますね。
ブラウン~アプリコット系で凝ったデザインなのが新鮮。
モスクワ出身のコノヴァロワ、今回の公演では、クラシックバレエのヒロイン担当ですが、独得のお高くとまった感じ(?)、落ち着いたエレガンスが感じられるダンサーですね。
テクニックが安定していて、本人も余裕を持って踊っている感じがあり、観ていて安心して作品世界を楽しんでいられます。
対照的に、見せたいテクニックがたくさんありすぎて、前のめりになって必死な感じに見えるのがチェリェヴィチコ^^
それもまた若さゆえ・・のご愛嬌で。
お姉さまなキトリに一生懸命合わせてキザろうとする弟分バジルで微笑ましかったです。
■「モペイ」
木本全優
木本さんは本当にスタイルが良いですね。
そして、踊りの感覚がとても素直。
バッハのチェロ協奏曲イ長調に合わせて、舞台を左右に使って、腕や肩を痙攣させたり、背中で見せたり・・・の
異色作。
以前、フォーゲルで見たときに、その斬新さ、ユーモラスな感覚、軽快さに強い印象を持った作品で、
これをフォーゲル以外のダンサーで見ると、はたしてどうなるのだろう・・・とプログラムを観た瞬間からワクワクしていたのですが。
木本さん、若々しくて、しっかりと踊っていました。
ただ、あの飄々とした味を持ちながら、作品の輪郭をその背中の陰影ある美しいラインと同様に浮き立たせる緻密で力強い表現力は、やはりフォーゲルくんならでは、だったのだなぁと改めて、彼の舞台を思い起こしてしまいました。
■「椿姫」より第2幕のパ・ド・ドゥ
マリア・アイシュヴァルト、フリーデマン・フォーゲル
アルマンの愛に応えて、別荘で2人だけの短い幸福なひとときを過ごすマルグリット・・・の場面。
襟から肩に続いた白いフリルのドレスが、マルグリットの華やかな女らしさと時折見せる少女のようなはかなさを魅力的にみせる衣装なのだと、アイシュバルトで初めてわかりました。
いえ、この場面、バレフェスでルグリ&オーレリ・デュポンで観たときにはどうにもピンと来なくて。あんなに豪華な2人なのに。
小柄ながら陰影の深い小さな美しい顔立ちのアイシュバルトからは、愛の終わりを知っていてなお、目の前の若いアルマンの疑うことを知らない情熱と恋の歓びを受け止め、ときに歓喜におぼれ、ときに絶望し・・という心の動きを繊細に感じとることができました。
なぜなのでしょう?
どうも、ノイマイヤ―作品については、そのダンサーの格にかかわらず、シュツットガルトのダンサーのほうに一日の長があるような・・・。
まぁ、おひざ元なので当たり前といえばそうなのかもしれませんが、他の振付家の作品に比べて、その差が大きすぎるといいますか・・・^^;
「モペイ」でフォーゲルくんのことを思ったら出てきた(笑)フォーゲルくん、やはり素晴らしいダンサーですね!
高々とマルグリットを頭上高くリフトして走る場面が多いのですが、長いスカートに自分の顔が隠れないようにしつつ、女性の上体が倒れすぎてその表情が見えないようにならないよう、コントロールする、という難しいリフト。
男性ダンサーの力の見せどころが多いこのPDD、よく、男性ダンサーの顔部分がすっぽりと女性のスカートに隠れ、ただただ大きなスカートが右往左往しているように見える「椿姫」を何度もみせられてきたことを思うと・・・。
彼はしっかりとその点に留意して、顔にスカートがかからないように気をつけながらも、アルマンとして、疑うことを知らない疾走する恋の時間を生きていて。
切なくも甘美なひととき。堪能させていただきました。
■「クリアチュア」
上野水香、パトリック・ド・バナ
赤いロングドレスの水香さん、黒いボリュームパンツのド・バナさん。
個性的な容姿に長身の2人はバランスが良いペア。
エキゾチックなトルコの伝統音楽に載せて、深淵を覗きこむような作品世界・・・のはずなのですが、作品ゆえか、踊り手の無機的な個性ゆえか、VISUAL的には訴えるものがあるはずなのに、なぜか自分の中ではスル―してしまいました。
ド・バナさんはその個性的な容姿にもかかわらず踊りそのものは、こういうPDDのときには相手を踊らせ、語らせるパートに自らを置きますね。
日本、を強く意識して尊重しようとする姿勢が、レヴェランスの際の正座やきちんとしたお辞儀に観てとれました。
■「マノン」より第1幕のパ・ド・ドゥ
ニーナ・ポラコワ、マニュエル・ルグリ
Aプロでフォーゲルくんが演じたデグリュー。
ルグリ先生のデグリュー、若かったころの残像がちらつくと、今は・・・。いや、短髪、端正にして若々しい表情で、マクミランの超絶技巧を破綻なく丁寧に踊りこなす姿を、心の中で涙を流しながら観ておりました。
以前は、愛の疾走感を激しくめまぐるしいまでのリフトと回転にのせて走り切っていたこのPDD,
今はその疾走感をさえコントロールしているのだな、と思わせる丁寧な踊りで。
一瞬一瞬の振りとそこにこめられた意味をコマ送りで確認しながらたどっていけるような緻密さに、至芸を観ました。
ポラコワはルグリには少し大柄だったかもしれませんが、若々しく、愛に溢れたマノンで、しっかりとルグリ先生にぶつかっていっていました。
ただ、こんな役でのルグリを観るのは多分これが最後になるのだろうな・・・と、当たり前のように、彼の美しいクラシックや端正なコンテンポラリーを観賞出来ていたこの長い年月の幕が閉じようとしているのを感じて、舞台の2人の出来栄えの素晴らしさとは別のところでメランコリックな気分に陥ってしまっておりました・・・
((休憩))
■「サイレント・クライ」
パトリック・ド・バナ
振付家自身のソロ。孤独から湧き上がる沈黙の叫び、というテーマ。
彼独自の世界観を真摯に踊ってくれました。
■「グラン・パ・クラシック」
リュドミラ・コノヴァロワ、ドミトリー・グダノフ
ロシアペア。安定感ときれいなピルエット。
白に金のクラシック衣装に身を包んだこの2人の世界観を堪能しました。
グダノフはAプロの時よりは調子がよさそうで安心。
■「カノン」
デニス・チェリェヴィチコ、ミハイル・ソスノフスキー、木本全優
これは、今回のガラらしい演目となりました。
ウィーンの若手3人がそれぞれの個性を発揮してくれてとても楽しかったです。
フレッシュな木本さん、男っぽく個性的なソスノフスキー、まだまだ余力のありそうな、でもついつい前のめりに音をとってしまうチェリェヴィチコ。
こうして若手が普通にブベニチェク兄弟の作品を踊る、という状況に、改めて、ダンサー本人が踊る公演とはまた異なる目で作品を観られて。振付家としても、なかなか良いのではないでしょうか、イリ・ブベニチェク。
■「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」
バルボラ・コホウトコヴァ、フリーデマン・フォーゲル
今回のBEST ACTその壱。
フォーゲルに何が起こったのか!
もう、何かが降りていました。音楽の神かしら?
シンプルなスモ―キ―ブルーの胴着にアイボリーのブラウス。コホウトコヴァはサーモンピンクの薄手のシンプルなハイウエストのドレスで。
淡いブルーとピンクのフレッシュな2人がチャイコフスキーの未使用の「白鳥の湖」用の曲に合わせて軽やかに踊る・・・というコンセプトゆえ、テクニックのある若手がGALA公演で踊る、というイメージがありますが。
ベテランの域に達して、研ぎ澄まされたコントロールと裏腹の曲の内側に肉薄する作品理解を体現できるようになったコホウトコヴァも、ひとつひとつのフォルムをきれいに作り上げてきて、過不足のない演技が素晴らしい。
音楽に乗っているとつい走りすぎることの多いこのチャイコパですが、今回の2人は、丁寧に音の間の響きまですくい取って、踊りで丁寧に表現する余力がありながら、とにかく、音にピッタリと寄り添ったバランシンの振付を踊る歓びが炸裂していました。
ジャンプや回転の動きの躍動感が、普通じゃない、フォーゲルくん。
イキイキとしたダイナミズムに息を呑みっぱなし、そして観ている間中、ずっと顔が緩むのを止められないくらい・・・
あまりに嬉しくて!いや~清々しいまでの疾走感とハーモニー。
2人のクリアな演技と表情が美しくて。
踊りでヒトに歓びを与えるってこういうことだな、と心底思ったひとときでした。
■「オネーギン」より第3幕のパ・ド・ドゥ
マリア・アイシュヴァルト、マニュエル・ルグリ
Aプロと同じで、この二人でのドラマチックバレエ。
音楽がチャイコフスキーで、先のチャイコフスキーPDDでは抽象的な明るさが、こちらでは感情をかき乱す愛の葛藤をドラマチックに盛り上げて、チャイコフスキーという作曲家の全く異なる側面を続けて楽しむことのできる演目設定もまた、良きかな・・・と^^
とはいえ、アイシュヴァルトが手紙を読んで動揺しているところに走り出るルグリの姿を見たとたん、そんな客観的な余裕はなくなり、ひたすらに舞台の上で繰り広げられる愛の苦しみに引き込まれていくのみ・・・・。
やはり、今のルグリにとっても無理のない、そして全身全霊で打ち込める役なのだなぁと。
アイシュヴァルトのタチアナは、演じる、という域を遥かに超えて、もう、彼女は役が血肉となって入りこんでいると思わせる名演でした。
全体に楽しいGALAでしたが、ルグリ&アイシュバルト、そしてフォーゲル&コホウトコヴァは別格でした![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/yl/27.gif)
五反田 ゆうぽうとホールにて
この公演の楽日でした。
今回はA,Bプロ一度ずつの観賞としましたので、初日と楽で・・・。
ちょっと日があいてしまいましたが、海馬をたたいて、記憶をひねりだしてみます^^;
![](https://img.yaplog.jp/img/09/pc/m/a/r/maria-pon/1/1183.jpg)
■「ビフォア・ナイトフォール」
ニーナ・ポラコワ、ミハイル・ソスノフスキー
高村順子-宮本祐宜、佐伯知香-松下裕次、吉川留衣-長瀬直義
タイダイっぽいグラデーションになったダークグレーの衣装がステキ。
男性は足首までのタイツ、女性はシンプルなロングのワンピースですが、ショルダーストラップが赤、というのが洒落ていました。
ウィーンのお二人、ポラコワは美人ですね。
小林幸子、撤回します(笑)。お団子ではなく夜会巻きにまとめたブルネットがシャープで大人っぽくて良かったです。
ソスノフスキ―も存在感あり。
東バの3組のカップルも踊れる&華のあるメンバーで、観ていて楽しかったです。
ちょっとAプロのホワイトシャドウに近い世界観。
■「ドン・キホーテ」
リュドミラ・コノヴァロワ、デニス・チェリェヴィチコ
ウィーン版のドンキの衣装はオリジナリティがありますね。
ブラウン~アプリコット系で凝ったデザインなのが新鮮。
モスクワ出身のコノヴァロワ、今回の公演では、クラシックバレエのヒロイン担当ですが、独得のお高くとまった感じ(?)、落ち着いたエレガンスが感じられるダンサーですね。
テクニックが安定していて、本人も余裕を持って踊っている感じがあり、観ていて安心して作品世界を楽しんでいられます。
対照的に、見せたいテクニックがたくさんありすぎて、前のめりになって必死な感じに見えるのがチェリェヴィチコ^^
それもまた若さゆえ・・のご愛嬌で。
お姉さまなキトリに一生懸命合わせてキザろうとする弟分バジルで微笑ましかったです。
■「モペイ」
木本全優
木本さんは本当にスタイルが良いですね。
そして、踊りの感覚がとても素直。
バッハのチェロ協奏曲イ長調に合わせて、舞台を左右に使って、腕や肩を痙攣させたり、背中で見せたり・・・の
異色作。
以前、フォーゲルで見たときに、その斬新さ、ユーモラスな感覚、軽快さに強い印象を持った作品で、
これをフォーゲル以外のダンサーで見ると、はたしてどうなるのだろう・・・とプログラムを観た瞬間からワクワクしていたのですが。
木本さん、若々しくて、しっかりと踊っていました。
ただ、あの飄々とした味を持ちながら、作品の輪郭をその背中の陰影ある美しいラインと同様に浮き立たせる緻密で力強い表現力は、やはりフォーゲルくんならでは、だったのだなぁと改めて、彼の舞台を思い起こしてしまいました。
■「椿姫」より第2幕のパ・ド・ドゥ
マリア・アイシュヴァルト、フリーデマン・フォーゲル
アルマンの愛に応えて、別荘で2人だけの短い幸福なひとときを過ごすマルグリット・・・の場面。
襟から肩に続いた白いフリルのドレスが、マルグリットの華やかな女らしさと時折見せる少女のようなはかなさを魅力的にみせる衣装なのだと、アイシュバルトで初めてわかりました。
いえ、この場面、バレフェスでルグリ&オーレリ・デュポンで観たときにはどうにもピンと来なくて。あんなに豪華な2人なのに。
小柄ながら陰影の深い小さな美しい顔立ちのアイシュバルトからは、愛の終わりを知っていてなお、目の前の若いアルマンの疑うことを知らない情熱と恋の歓びを受け止め、ときに歓喜におぼれ、ときに絶望し・・という心の動きを繊細に感じとることができました。
なぜなのでしょう?
どうも、ノイマイヤ―作品については、そのダンサーの格にかかわらず、シュツットガルトのダンサーのほうに一日の長があるような・・・。
まぁ、おひざ元なので当たり前といえばそうなのかもしれませんが、他の振付家の作品に比べて、その差が大きすぎるといいますか・・・^^;
「モペイ」でフォーゲルくんのことを思ったら出てきた(笑)フォーゲルくん、やはり素晴らしいダンサーですね!
高々とマルグリットを頭上高くリフトして走る場面が多いのですが、長いスカートに自分の顔が隠れないようにしつつ、女性の上体が倒れすぎてその表情が見えないようにならないよう、コントロールする、という難しいリフト。
男性ダンサーの力の見せどころが多いこのPDD、よく、男性ダンサーの顔部分がすっぽりと女性のスカートに隠れ、ただただ大きなスカートが右往左往しているように見える「椿姫」を何度もみせられてきたことを思うと・・・。
彼はしっかりとその点に留意して、顔にスカートがかからないように気をつけながらも、アルマンとして、疑うことを知らない疾走する恋の時間を生きていて。
切なくも甘美なひととき。堪能させていただきました。
■「クリアチュア」
上野水香、パトリック・ド・バナ
赤いロングドレスの水香さん、黒いボリュームパンツのド・バナさん。
個性的な容姿に長身の2人はバランスが良いペア。
エキゾチックなトルコの伝統音楽に載せて、深淵を覗きこむような作品世界・・・のはずなのですが、作品ゆえか、踊り手の無機的な個性ゆえか、VISUAL的には訴えるものがあるはずなのに、なぜか自分の中ではスル―してしまいました。
ド・バナさんはその個性的な容姿にもかかわらず踊りそのものは、こういうPDDのときには相手を踊らせ、語らせるパートに自らを置きますね。
日本、を強く意識して尊重しようとする姿勢が、レヴェランスの際の正座やきちんとしたお辞儀に観てとれました。
■「マノン」より第1幕のパ・ド・ドゥ
ニーナ・ポラコワ、マニュエル・ルグリ
Aプロでフォーゲルくんが演じたデグリュー。
ルグリ先生のデグリュー、若かったころの残像がちらつくと、今は・・・。いや、短髪、端正にして若々しい表情で、マクミランの超絶技巧を破綻なく丁寧に踊りこなす姿を、心の中で涙を流しながら観ておりました。
以前は、愛の疾走感を激しくめまぐるしいまでのリフトと回転にのせて走り切っていたこのPDD,
今はその疾走感をさえコントロールしているのだな、と思わせる丁寧な踊りで。
一瞬一瞬の振りとそこにこめられた意味をコマ送りで確認しながらたどっていけるような緻密さに、至芸を観ました。
ポラコワはルグリには少し大柄だったかもしれませんが、若々しく、愛に溢れたマノンで、しっかりとルグリ先生にぶつかっていっていました。
ただ、こんな役でのルグリを観るのは多分これが最後になるのだろうな・・・と、当たり前のように、彼の美しいクラシックや端正なコンテンポラリーを観賞出来ていたこの長い年月の幕が閉じようとしているのを感じて、舞台の2人の出来栄えの素晴らしさとは別のところでメランコリックな気分に陥ってしまっておりました・・・
((休憩))
■「サイレント・クライ」
パトリック・ド・バナ
振付家自身のソロ。孤独から湧き上がる沈黙の叫び、というテーマ。
彼独自の世界観を真摯に踊ってくれました。
■「グラン・パ・クラシック」
リュドミラ・コノヴァロワ、ドミトリー・グダノフ
ロシアペア。安定感ときれいなピルエット。
白に金のクラシック衣装に身を包んだこの2人の世界観を堪能しました。
グダノフはAプロの時よりは調子がよさそうで安心。
■「カノン」
デニス・チェリェヴィチコ、ミハイル・ソスノフスキー、木本全優
これは、今回のガラらしい演目となりました。
ウィーンの若手3人がそれぞれの個性を発揮してくれてとても楽しかったです。
フレッシュな木本さん、男っぽく個性的なソスノフスキー、まだまだ余力のありそうな、でもついつい前のめりに音をとってしまうチェリェヴィチコ。
こうして若手が普通にブベニチェク兄弟の作品を踊る、という状況に、改めて、ダンサー本人が踊る公演とはまた異なる目で作品を観られて。振付家としても、なかなか良いのではないでしょうか、イリ・ブベニチェク。
■「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」
バルボラ・コホウトコヴァ、フリーデマン・フォーゲル
今回のBEST ACTその壱。
フォーゲルに何が起こったのか!
もう、何かが降りていました。音楽の神かしら?
シンプルなスモ―キ―ブルーの胴着にアイボリーのブラウス。コホウトコヴァはサーモンピンクの薄手のシンプルなハイウエストのドレスで。
淡いブルーとピンクのフレッシュな2人がチャイコフスキーの未使用の「白鳥の湖」用の曲に合わせて軽やかに踊る・・・というコンセプトゆえ、テクニックのある若手がGALA公演で踊る、というイメージがありますが。
ベテランの域に達して、研ぎ澄まされたコントロールと裏腹の曲の内側に肉薄する作品理解を体現できるようになったコホウトコヴァも、ひとつひとつのフォルムをきれいに作り上げてきて、過不足のない演技が素晴らしい。
音楽に乗っているとつい走りすぎることの多いこのチャイコパですが、今回の2人は、丁寧に音の間の響きまですくい取って、踊りで丁寧に表現する余力がありながら、とにかく、音にピッタリと寄り添ったバランシンの振付を踊る歓びが炸裂していました。
ジャンプや回転の動きの躍動感が、普通じゃない、フォーゲルくん。
イキイキとしたダイナミズムに息を呑みっぱなし、そして観ている間中、ずっと顔が緩むのを止められないくらい・・・
あまりに嬉しくて!いや~清々しいまでの疾走感とハーモニー。
2人のクリアな演技と表情が美しくて。
踊りでヒトに歓びを与えるってこういうことだな、と心底思ったひとときでした。
■「オネーギン」より第3幕のパ・ド・ドゥ
マリア・アイシュヴァルト、マニュエル・ルグリ
Aプロと同じで、この二人でのドラマチックバレエ。
音楽がチャイコフスキーで、先のチャイコフスキーPDDでは抽象的な明るさが、こちらでは感情をかき乱す愛の葛藤をドラマチックに盛り上げて、チャイコフスキーという作曲家の全く異なる側面を続けて楽しむことのできる演目設定もまた、良きかな・・・と^^
とはいえ、アイシュヴァルトが手紙を読んで動揺しているところに走り出るルグリの姿を見たとたん、そんな客観的な余裕はなくなり、ひたすらに舞台の上で繰り広げられる愛の苦しみに引き込まれていくのみ・・・・。
やはり、今のルグリにとっても無理のない、そして全身全霊で打ち込める役なのだなぁと。
アイシュヴァルトのタチアナは、演じる、という域を遥かに超えて、もう、彼女は役が血肉となって入りこんでいると思わせる名演でした。
全体に楽しいGALAでしたが、ルグリ&アイシュバルト、そしてフォーゲル&コホウトコヴァは別格でした
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/yl/27.gif)