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お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

ロイヤルバレエ「シルヴィア」 ④

2008-07-21 05:02:55 | BALLET
第3幕 ダイアナの神殿近くの海岸

バッカスを讃える祭りで始まります。
ケレスとイアセイオン、ペルセフォネとプルート、テレプシコーラとアポロ、と神話の人物が登場するも、ハープを手にしたテレプシコーラ, 黒い衣装のプルートくらいしか判別つかず。
皆がそれぞれディベルティスマンで各々の踊りを明確に披露するわけでもないのですがにぎやかに盛り上がったところでアミンタ登場。
シルヴィアはダイアナの神殿にいるのでは?と探しに来たアミンタ。
あら、あなた、オリオンの洞窟をご存知なくてこんなところをうろうろしていたの?
と突っ込みたくなりますが、そこにエロスの船が。
お付きの女性たちの中にヴェールをかぶった女性が一人。
そのヴェールをあげるとシルヴィア。
再会を喜ぶ二人。

美しいドリーブの旋律にのせて、シルヴィアのソロ。
続いて山羊のカップルの踊り。
中国のポーセリンのように身体に白地にブルーやピンクの小花模様を描いたような衣装が印象的。
ここは女性の山羊のユフィ・チェさんが俄然目立って可愛らしかったです



そして2人のグラン・パ・ド・ドゥ。
壮麗なシーンで美しい。
ここまでずっと情けないキャラだったアミンタがようやくここに来て、堂々とシルヴィアをリフトして真ん中で踊ります。
と、そこに乱入してくるオリオン。シルヴィア奪還に現れたのですね。
もうGPDDまで来たところでいきなり悪役の登場っていかにも遅すぎって感じですけど(笑)
オリオンとアミンタがつかみあいになり、神殿に逃げ込むシルヴィア。
すると神殿から何事、この騒ぎは!とお怒りのディアナ登場。
オリオンのせいらしいと矢を射ると、哀れ致命傷を負った彼はよろよろと舞台から姿を消します。
あとはシルヴィア!と怒りの矛先が向けられますが、
昔ディアナが羊飼いのエンディミオンに恋した記憶を幻影で蘇らせて、ほらあなただって・・・とエロスのとりなし。
大団円。

最後に現れて迫力の演技でその場を仕切るディアナ役のラウラ・モレーラも印象的な強さでした。
というか最後に場をさらう美味しい役どころかも、ディアナ。

作品としては構成も不思議で、内容も「スパルタクス」と「眠り」と「海賊」をMIXしたような味わいで、決して大傑作とは思わないのですが(なので、アシュトン作品の保存に特別の意義を感じているロイヤル以外であえて上演するカンパニーはないでしょう・・・)、闇のなかに超自然な神と妖精と人間が行きかうおおらかな古代の息吹を丁寧な美術と演技で見せるスタンスはロイヤルならでは。
圧倒的な感動はないにせよ、作品の知名度の低さからチケット販売面での苦戦が予想されたでしょうに、あえて今回、来日公演にこの作品を持ってきたロイヤル・バレエの英断に感謝しつつ楽しんだ舞台でした








ロイヤルバレエ「シルヴィア」 ③

2008-07-21 04:42:58 | BALLET
第2幕 オリオンの島の洞窟


洞窟・・・といえども、いきなりゴージャスなアラビアンハーレムな世界。
侍女と男の奴隷各2名がはべります。
ステキな衣装に宝石に・・・侍女がシルヴィアに差し出しますが不本意な場所に連れてこられた彼女はかたくなに拒否。
それにしても一生懸命、彼女の心をほぐそうと懸命なギャリーを見ていると”邪悪な”オリオン、実はいきなり拉致なんて不器用なことをしでかしたはいても、実際にはイイヤツなのでは・・・と思えてきます(笑)



写真はギャリーと今回来日予定だったオリジナルキャストのヤノフスキー。
ゴージャスですね。彼女のシルヴィアも見たかったなぁ・・・。

さて、元来利発なシルヴィアはいつまでもメソメソしてはいません。
そうだわ、いいこと考えたわ、といたずらっ子のようにコロリと表情を一変させると積極的にセクシーな衣装に着替えて舞い、微笑み、オリオンにお酒を勧めます。
ここでの侍女、奴隷を従えてのシーン、だんだん緊張もほぐれてきたのか、ローレン、なかなか饒舌な演技と活き活きとした表情で伸びやかな踊りを見せてくれました。
台詞が、聴こえてくるような演技、ロイヤルらしくなってきました。

酔いつぶれたオリオンから彼に奪われてしまった大切なエロスの愛の矢を取り戻し、さぁここから脱出だわ、というところで、タイミングよく、エロスが嘆くアミンタの幻影を見せて、お迎えの乗り物(でました!)を差し向けます。




ロイヤルバレエ「シルヴィア」 ②

2008-07-21 04:04:39 | BALLET
第一幕 聖なる森

愛の神エロスの神殿の前、(エロスが葉っぱ一枚の彫像の姿で下手に・・・かなり長い間じっとしていなくてはあらないこの役の人は大変!)踊る森の精。
こういう妖精モノってイギリスの独断場のような気がします。
森の幽玄な雰囲気、ニンフたちが息づく神話の世界・・・とはいえ、ギリシア神話に忠実かというとその辺り、かなりアバウトな気も・・・(笑)。

純潔の女神ディアナに仕えるニンフ、シルヴィアが主人公。
その彼女に恋した羊飼いの青年アミンタ。
端正ながら今ひとつパッションを感じさせない芸風のマッカテリではありますが、これは比較的こなしやすい役柄かも・・・。



ホルンとともに現れたニンフの一群。皆かぶとをつけて弓を持ち、活発に踊る。
どことなくワーグナーのワルキューレを思わせる戦乙女の軍団風。
初役でしかもプリンシパルに昇格したばかりの英国バレエ界期待の星、ローレン・カスバートソンがシルヴィア。



写真はジュリエットを踊ったときのローレン。
クールな表情のプロフィールの写真とはイメージが異なり、’50年代のグラビア美人調の健康的でおっとりとした雰囲気のバレリーナ。
緊張しているのか、アシュトン特有の細かなステップでかかとが落ちてしまったり、小さなキズはあれど、終始明るい表情は好感が持てます。



アミンタの告白。
純潔を旨とするシルヴィアは相手にせず、エロスの仕業と弓を弾くが、その矢がアミンタを直撃。
倒れるアミンタ。
するとエロスの像がシルヴィアに報復の弓を。
驚くシルヴィア。でもそれは愛の矢なので表面上はダメージがわからない。
無事を喜んで矢を抜き取り仲間と去るシルヴィア。

邪悪な狩人(ってスゴイ設定ですね)オリオン登場。
彼も美しいシルヴィアに目をつけているのですが・・・。
ギャリー・エイヴィスのダイナミックな踊り。
あまり邪悪という感じがしないのですが・・・・。
ちょっとヴィンセント・ギャロに似ている?

オリオンがシルヴィアを拉致。
自分の根城へと連れて行きます。

倒れたアミンタのもとに村人たちが集まり、嘆いていると、謎の人物登場。
鍔広の帽子に白塗りの顔、曲がった腰。よもやこれがあの彫像のエロスとはだれも思うまい、という姿で登場のエロス。・・・って一体なぜこのような変装をするのか、謎ですが(笑)
「シンデレラ」でも魔法使いのおばあさんは物乞いの姿でシンデレラ家の偵察に来ていたから、伝統なのでしょうか・・・

この謎の人物、アミンタを復活させて彼に耳打ち。
シルヴィアがさらわれた方向を指差し、彼が走っていったのを確認して彫像の姿にもどり、もとの場所(神殿入口)に歩いて戻るのが笑えますが・・。
この荒唐無稽さもバレエの魅力の一つ?
エロス役のジョシュア・トゥイファは美しい筋肉を持ってはいますがやや重い印象も。


ロイヤルバレエ「シルヴィア」 ①

2008-07-17 03:46:27 | BALLET
7月3日から14日までの英国ロイヤルバレエ団2008年JapanTourが終了。
全幕バレエとして東京で上演された2演目のうち、「シルヴィア」をまず、UPしたいと思います。

「シルヴィア」

2008年7月5日18:00 東京文化会館


シルヴィア(ディアナのニンフ): ローレン・カスバートソン
アミンタ(羊飼い): デヴィッド・マッカテリ
オリオン(邪悪な狩人): ギャリー・エイヴィス
エロス(愛の神): ジョシュア・トゥイファ
ディアナ(狩り・純潔の女神): ラウラ・モレーラ

第1幕
シルヴィアのお付き:
崔 由姫、ヘレン・クロウフォード、
フランチェスカ・フィルピ、クリステン・マクナリー、
小林ひかる、ローラ・マカロッチ、
ララ・ターク、サマンサ・レイン

水の精、木の精、森の精、牧神、農民: 英国ロイヤル・バレエ団

第2幕
オリオンの女官: ヘレン・クロウフォード、サマンサ・レイン
奴隷: エルンスト・マイズナー、ジョナサン・ワトキンス

第3幕
山羊: 崔 由姫 ミハイル・ストイコ
シルヴィアのお付き: ヘレン・クロウフォード、フランチェスカ・フィルピ、
ヴィクトリア・ヒューイット、小林 ひかる、
ローラ・マカロッチ、クリステン・マクナリー、
サマンサ・レイン、ララ・ターク
ケレスとイアセイオン: セリーサ・デュアナ、エルンスト・マイズナー
ペルセフォネとプルート: カロリン・ダプロット、ヨハネス・ステパネク
テレプシコーラとアポロ: シンディ・ジョーダン、ブライアン・マロニー
ミューズ、春の使い、夏の使い、ラッパ手、シルヴィアのお付: 英国ロイヤル・バレエ団

指揮: グラハム・ボンド
演奏: 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

第一幕45分
第二幕25分
第三幕35分



Royal週間終了!

2008-07-15 04:14:54 | BALLET
7月14日の月曜日は、会社を半休して気合をいれて東京文化会館へ。
7月3日「シルヴィア」でスタートした英国ロイヤルバレエ団の日本公演の楽日でしたので・・・。
「シルヴィア」と「眠れる森の美女」については追って感想をUPしたいと思います。

今回のツアーは、昨年英国出身、長年ロイヤルを代表する存在だったロンドンっ子のアイドル ダーシー・バッセル、及び影のある黒髪長身の英国産ダンスール・ノーブルとして人気だったジョナサン・コープが一昨年引退したのと、ゲスト・プリンシパル・アーティストといえども、公演に参加するかどうかの動向が話題となる気になる存在だったスーパースター シルヴィー・ギエムがコンテンポラリーに傾倒してすっかりコヴェント・ガーデンでのプログラムからは姿を消していること、などから、往年の大スターから、次の世代のアリーナ・コジョカルらが中心となったプログラム構成に。

ところが、「シルヴィア」で2夜踊る予定のゼナイダ・ヤノフスキーがおめでたで降板。
続いてコジョカルが首の故障で参加できなくなり、昨年「真夏の夜の夢」東バ客演公演でコジョカルのパートナー、ヨハン・コポーの故障による降板で見事に初役の代役、オべロン役を立派に務めた若手のホープ、スティーブン・マックレーもアキレス腱故障で直前に降板。

全体にスター不在、代役・変更の多いキャスティングで一体どうなることかと、始まる前はテンション低めだった今回のロイヤル。

終わってみると、次世代のアーティストのそれぞの持ち味、ソリストクラスの意外な充実、相変わらずキャラクテールダンサーの芸の達者さ、存在感など見所も多く。
今まではあぁ、脇での小芝居が楽しい・・でも主役を見なくてはならないので眼が足りないわ~(嬉しい悲鳴)と思っていたロイヤル、ある意味、主役に釘付け、という時間が減った分、バレエ団全体に眼が行き届いてそれはそれでカンパニーの充実振り・特色も伺えて楽しかったです

事前に注目していたのは、キャラクター・プリンシパル・アーティストのギャリー・エイヴィスと、2002年のローザンヌでプロ研修賞とコンテンポラリーダンス賞を取った崔由姫(ユフィ・チェ)さん。
今回のチケット取りはこの2人を見ることを主軸として考えたといっても過言でないくらい・・・
観た後、今後要チェック!と思ったのがまだアーティストの階級なのにソリストクラスの踊りを鮮やかに踊ったセルゲイ・ポルニン。顔が小さくて長身でバランスがとれた美しい容姿に加え実に軽やかにしっかりとした切れ味の良い踊りは一際目立っていました。
彼も2006年のローザンヌでスカラシップとあと観客賞を取っていたのですね。なにかアピールするものを持っているヒトです。当時16歳ということは今18歳(!)きっと矢のように階級を駆け上がっていくことでしょう。

あとキャラクター・プリンシパル・アーティストのエリザベス・マクゴリアンもお気に入り。
顔が小さくて一際長身のエレガントな彼女が王妃として登場すると舞台が一気に宮廷に変化するようで、安心。
デマチでも熟年の熱心な男性ファンに囲まれて優雅に微笑んでいらっしゃいました。

デマチといえば、ギャリーも人気。眠りでは2日ともオーロラの求婚者「フランスの王子」役を観られてとても良かったのと、彼のオリオン目当てで取った「シルヴィア」を観たことを話すと、KINGは観ましたか?と逆に尋ねられ。
どうも、わたくしは観ていなかったタマラ・ロホがオーロラを踊った金曜日のソワレではエリザベスが王妃でギャリーが王だったそうで・・・(見た人によると切れやすくてちょっとアロガントな王様っぷりだったらしい・・・^^;)
求婚者の王子よりも王様役の方がお好きなのですか?と尋ねると、「いや、王様役は踊れないからつまらないです。やっぱり舞台では踊れる役がいいので・・シルヴィアは観てくれたのでしたっけ」と。
実はロンドンの友人から常々CAST表にギャリーさんのお名前を見ると得した気分になる・・・とかお聞きしていたので、今回は「シルヴィア」のチケットはオリオン役が発表になってから申し込んだんですよ。と話すととても喜ばれました・・・フレンドリーな方ですね。

英語で通じるせいか、楽屋口のデマチ(わたくしは最終日しかしなかったのですが)でもダンサーの皆さんもファンもリラックスモードで(所謂大スター不在ゆえ、コアなファンしかいなかったせいもあるかも・・)とても和やか、楽しかったです
暑くて湿気の多い東京と大阪を移動しながらの連日の公演、13日マチネの由姫さんのように、3幕それぞれ違う役で出ずっぱりのソリストもいたりして、怪我人が出た穴を埋めるためにかなりハードなスケジュールになった方も多かったようでお疲れ様でした・・結果として次への期待を持たせてくれる発見の多い公演だったといえますね

各演目についてはまた改めて・・・