ざっくりと、個々の感想を一言ずつ・・・
今回の舞台は、コンテンポラリーものを除くと、舞台のセットを画像にしたものをそのままスクリーンに映して背景とする・・・という手法。特にクラシックの演目は雰囲気だけでもオリジナルを彷彿とさせてくれて、映像の画質はあまり良くないのでぼんやり感はありましたが、進行もスムースで(きっとコストもあまりかからないのでは?^^;)悪くない方法かと思いました。
そして踊り終わってのレべランスの時間には、ボリショイ、マリインスキーのダンサーに合わせて、それぞれのバレエ団の金の紋章とバレエ団名が同じく映し出されるという・・・。
例えば、オシポワ、ワシーリエフのいかにもボリショイダンサーらしい大技を見せつけられた後に、更にどーんと「THE BOLSHOI BALLET」と二人のどや顔(笑)の後ろに出るといかにもその通り!と深く頷かずにはいられませんね^^;
<Aプロ>10月23日(土)
≪第1部≫
■《パ・ド・カトル》
言わずと知れた、マリー・タリオーニを中心とする当時のスターバレリーナ4人が夢の競演、という企画をそのまま現代に映した・・・という演目です。
衣装も白にちょっとピンクのリボンをあしらった優雅なロマンティックチュチュで、ヘッドドレスもリトグラフの4人に忠実に再現された模様・・・。マリー・タリオーニのロパートキナは花冠のヘッドドレスで、ファニー・チェリートのステパネンコはすっきりとしたシニヨンでしっとりと。
ラインの美しいニク―リナ、可憐なオブラスツォーワも良かったのですが、ステパネンコの10年以上前、初めて世界バレフェスでお目にかかった時と寸分変わらない、若々しい弾性を感じさせる美しいラインと衰えの見せない容姿には恐れ入りました。
優雅そのもののこの演目の中において、一際エレガンスの香り高い存在感で圧倒してくれたのはロパートキナ。
どことなくカトリーヌ・ドヌーブを彷彿とさせる薔薇の香りの漂うようなお姿、どこまでも繊細なアームスにうっとり・・・でした
エフゲーニヤ・オブラスツォーワ(ルシール・グラーン) /
アンナ・ニクーリナ(カルロッタ・グリジ) /
ガリーナ・ステパネンコ(ファニー・チェリート) /
ウリヤーナ・ロパートキナ(マリー・タリオーニ)
■《眠れる森の美女》 第3幕のパ・ド・ドゥ
どうしちゃったの!?と嬉しい驚き。
サラファーノフの王子度が完璧!ソ―モワもなにかとやりすぎる変な癖がなくなって、技術の高さと女の子らしいキラキラ感がそのままでとても良いオーロラでした。
若くて手足の長いほっそりとした長身の二人がとてもチャーミング。
いや、見直しました
フェッテ、王子の腕に倒れこみ、すぐにアラベスクで自立、の3セットをディアゴナルに進んで見せるシークエンスの流れの華やかさといい、二人ともグレードUPしていて・・・
ただ、ソロではソ―モワはかすかにぎくしゃくとして、PDDほどの完成度ではなかったような・・・ということはサラファーノフ王子のサポートが素晴らしいということでしょうか?
今まで技術は素晴らしいけれども、身体が華奢すぎて相対的に頭が大きく見える少年っぽい外見でどうも姫を守る王子としては未熟感があったのですが、すっきりと魅力的な青年に成長。見た目もバランスが良くなってきていて本当に素敵な王子でした!
■《海賊》よりパ・ド・ドゥ
淡いミントグリーンの衣装のメドゥ―ラ、オーシポワに、スミレ色がかった落ち着いたブルーのハーレムパンツのアリ、ワシーリエフ。大人っぽい配色がきれいです。
しかし、衣装の落ち着きとは裏腹に・・・
ジャンプしながら、片脚を水平に突き出す、その高さたるや!
ワシーリエフ、一瞬にしてご自分の頭の高さで飛んでいるんですけど・・!
・フェッテはダブル、トリプル・・・えぇっと・・・え?9回回った??うーん・・・^^;
オ―シポワのフェッテでのマネージュもさりげなく超!高速でしたし・・・。
ザ・ボリショイ魂、ここにあり。
体育会系バリバリのペアでした。
■《愛の伝説》よりモノローグとアダージョ
アラブの女性っぽい透ける朱赤の短いベールで顔を多い、深いVネックの全身CAT SUITS姿のテリョーシキナがカッコイイ。アラビアンナイト仕様の女スパイ?
無駄のない身体のラインとシャープに使っている指の長い大きな手の美しさが際立ちます。
コールプは・・・。ブルーのボディタイツに赤い短めのマント、デコラで中世っぽい王冠のかぶり物がユニークですが、グリゴローヴィチらしい振付のドラマチックな味付けと二人の個性が相まって面白い作品に仕上がっていました。
テリョーシキナは人気がありますね^^
客席の反応が良かったです
■《ジゼル》よりパ・ド・ドゥ
ヴォルチコフは顔写真だけでみるととても濃くて野生的に見えますが、舞台姿はノーブルです。
そしてルンキナが美しい・・・
180度近い開脚でリフトされる大きな動きでも、彼女から発せられる静謐さと、重力とは無縁の空気感は変わらず・・・
何層にもなったボリューミーなロマンチックチュチュをフワリとさせる姿はもうこの世の人とは思えません・・
が、アルブレヒトにふと投げた視線に垣間見える情緒もまたこの人の真骨頂。
ギエムの再来!と華々しく日本デビューを飾った時にはキレイなだけの少女に見えたのに、本当に素晴らしいバレリーナに成長してくれました・・・
≪第2部≫
■《ナルシスへのレクイエム》
これでコンクールで賞をとった、という新作。
姿見の前にシクリャローフの後姿が。
鏡と自己の葛藤、がテーマでしょうか。画版くらいのサイズの鏡に見立てた伸縮性のアルミ?板を持って、激しく頭を打ち付け、苦悩する・・・。ライトグレーのインナーなしのタキシードスーツのように見える衣装が美貌に映えて、イイ感じにナルシスティック、そして本人は疾風怒濤の激しさに身悶えするという・・・。
ちょっとドリアン・グレイの肖像を想起させる演目でした。
■《ライモンダ》よりパ・ド・ドゥ
素晴らしい完成度。
ステパネンコのラインとクリーンなクラシックのパの美しさがこの演目にピッタリ。
正統派のロシアバレエを堪能しました。
■《別れ》
オブラスツォーワが抒情的に好演していましたが、ちょっとわたくし的に1幕の怒濤の興奮の反動が・・・
《タリスマン》よりパ・ド・ドゥ
女神ニク―リナ、風神ロブ―ヒン、という配役の勝利?
たおやかに美しいニク―リナと野生的で男性的なロブ―ヒン。
ロブ―ヒン、それほど好き、というダンサーではないのですが、この質量ともに圧倒的な肉体の存在感、迫力はある種貴重。
片肌脱いだ(ワンショルダーと言いなさい^^;)白い衣装と汗で光る肌のコントラストが風神雷神並みの存在感でした。
■《タランテラ》
ナポリ風の可愛い衣装の二人。タンバリンや鈴を持って、軽快に踊ります。
この二人でのこの演目を観るのは2度目ですね。
音感の良いテリョーシキナと踊りのセンスのあるサラファーノフのバランシンですから、もう、素晴らしいことこの上なし。
わたくし自身の好みからすると、踊りの強さに見合った音が出せないのなら、中途半端にダンサーが手にした打楽器を使うのにはあまり賛成できないのですが、今回も踊りのシャープさとへたれ気味のタンバリン音のGAPがちょっとサラファーノフの踊りのクオリティを損なっているような気がしないでも・・・^^;
客席受けは抜群。
踊れる二人が、相手のパフォーマンスも含めて心から舞台を楽しんでいる様を観る幸福を味わいました
≪第3部≫
■《黄昏のヴェニス》
ノスタルジックかつドラマチック。
昨年お亡くなりになった往年の名花かつ優れた指導者、エカテリーナ・マクシ―モワに捧げられた新作。
薫陶を受けたルンキナとパートナーのメルクリエフに振りつけられた作品を、その二人が踊ります。
白い簡素なレースのワンピースのルンキナの押さえた演技に深い味わいがありました。
彼女は知性的な中に抒情がにじみ出る演技の出来るダンサーですね。
■《チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ》
バランシンの超有名なコンサートピース。
淡いピンクとブルーの衣装で若手が踊ることの多いこの演目。
ピーチピンクがお似合いのソーモワと白に近いライトグレーが爽やかなシクリャローフの可愛い長身若者カップルは眼福。
相変わらずスッと耳の横に長い脚が伸びるソ―モワですが、ずっと気になっていた変なわざとらしさのようなものが抜けて、とてもチャーミングな印象に。
シクリャローフくんの爽やかな、観る人を惹きこむような笑顔も健在。
大技に入る前に分かりやすく緊張した表情になるのも彼の場合はチャームのひとつかも
■《スパルタクス》よりデュエット
グリゴローヴィチの男性のたくましさと女性のたおやかさの対比を強調した振付、ハチャトゥリャンの雄大な音楽・・・。
これはリフトでよろける非力な男性やパキパキと体操っぽく踊ってしまうテクニシャンの女性が踊ると台無しになってしまう演目ですが、さすがはボリショイのお家芸。
しっとりと麗しいニクーリナに盤石の男らしさを誇るロブーヒンで、決まり。
次々とポジションを変えるリフトでニク―リナの身体のラインの美しさを堪能。
ロブ―ヒンは片手でのリフトも余裕でした^^;
■《シンデレラ》よりデュエット
オブラスツォーワが可憐
彼女は出演した3演目、すべて「可憐」ではあるのですが、その中できっちりと役柄の住み分けが出来ていますね。
自分にあった演目もきちんと選んでいると思いますが演技力のあるひとだと思います。
アレクサンドル・セルゲーエフはマリインスキ―一押しのノーブルな王子様、なのだそうですが、わたくしには今一つ印象が残らず・・・。
このラトマンスキー版の「シンデレラ」、舞踏会での王子との出会いのシーンですが、初見がヴィシニョ―ワとコールプだったので・・・それはそれで全くの別物ですね^^;
プロコフィエフの音楽の美しさを改めて感じました
■《カルメン組曲》より
ホセとカルメンの情熱的なPDD.
ステパネンコとメルクーリエフ再び・・・。
以前に世界バレフェスの確かGALA公演で観ている二人。
Qualityの変わらないステパネンコが素晴らしい。
メルクリーエフは金髪が長髪になって、あのヤンキ―のあんちゃんっぽさ(?失礼!)は薄まったものの・・・
ボリショイのホセってどうしてもこの(黒全身に赤地に黒のポルカドットのパフ袖のボレロ丈オーバーブラウスを羽織る)衣装でなくてはならないのでしょうか?
誰が着てもテントウムシのサンバみたいになってしまうので・・・
変えていただけるものならお願いしたいデス。
■《ジュエルズ》より〈ダイヤモンド〉のパ・ド・ドゥ
はぁ・・・・・
もうため息しか、いえ、ため息も出ません。
至高の宝玉、崇高にしてメランコリックな美。
ロパートキナの存在そのものが、ダイヤモンドの輝きを放っていました。
神聖ロパートキナ廟。
コールプは自身の個性をしめやかに封印して、ひたすらに神殿に奉仕する神官の役割を見事に果たしていました・・・
■《ドン・キホーテ》よりパ・ド・ドゥ
GALAの締めに何度この演目を観てきたことでしょう・・・!!
それでも尚、まだ、驚きがもたらされることってあるのですね
まず!衣装がステキです。
オ―シポワは黒ベルベットの胴着に肩口にネット。
金ブレードで縁どられたハリのある純白のチュチュがなんともゴージャス。
黒と金を添えた白い花のヘッドドレスを頭頂部にあしらっているのが効いています。
ワシーリエフは黒の光沢感のあるタイツに身体にフィットした短い黒ベルベットの上着。首周りから胸元にかけてはゆったりと開けて、白い襟は控え目に出し、赤いベスト風のインナーをセンターフロントからのぞかせた比較的ノーマルなバジル。
全体に、ゴージャスで格調の高さもあり、この豪華なメンバーによるGALAのトリにふさわしい。
見慣れた演目のはずなのに、この驚異の身体能力を誇る超体育会系の二人が踊ると新鮮・・・
踊れる人が陥りがちな、走って最後グダグダになる・・・ということもなく、一つ一つの音ははずさず、キメのポイントも引き延ばしてテンポを乱すこともないのですが、その一音に入れるコンテンツがとてつもなく濃い・・・!
頭の高さで開脚ジャンプのワシーリエフ、サポートされてのフェッテがやけに高速のオーシポワ。
ワシーリエフはソロのジャンプで一度斜めになった状態で降りてしまい、すわ、転倒か!と焦りましたが着地で調整して体制を立て直すところがさすが。
オ―シポワ、PDDではどんなに激しい動きでもツンとおすましの表情は微動だにせず・・・最高にシャープなキメ技を繰り出してもクール。
で、ソロのときにはじける笑顔を垣間見せ、ついこちらもつられてニコニコしてしまうとすぐにまたクールな表情に戻して・・・
魅惑のツンデレキャラですね(笑)
カーテンコールでこれだけのメンバーが揃うと改めてこのGALAの凄さがわかりますね。
初日でしたが、金のコンフェッティが大量に落ちてきました
JAPAN ARTSさん、渾身の大盤振る舞い?
あまりに最後素晴らしかったので、つい、追加で楽日のチケットを買い足してしまいました^^;
土日はもうないみたいですが、平日火曜日Aプロと最終日水曜日のBプロのS~C席はまだ若干の空きがあるようです
今回の舞台は、コンテンポラリーものを除くと、舞台のセットを画像にしたものをそのままスクリーンに映して背景とする・・・という手法。特にクラシックの演目は雰囲気だけでもオリジナルを彷彿とさせてくれて、映像の画質はあまり良くないのでぼんやり感はありましたが、進行もスムースで(きっとコストもあまりかからないのでは?^^;)悪くない方法かと思いました。
そして踊り終わってのレべランスの時間には、ボリショイ、マリインスキーのダンサーに合わせて、それぞれのバレエ団の金の紋章とバレエ団名が同じく映し出されるという・・・。
例えば、オシポワ、ワシーリエフのいかにもボリショイダンサーらしい大技を見せつけられた後に、更にどーんと「THE BOLSHOI BALLET」と二人のどや顔(笑)の後ろに出るといかにもその通り!と深く頷かずにはいられませんね^^;
<Aプロ>10月23日(土)
≪第1部≫
■《パ・ド・カトル》
言わずと知れた、マリー・タリオーニを中心とする当時のスターバレリーナ4人が夢の競演、という企画をそのまま現代に映した・・・という演目です。
衣装も白にちょっとピンクのリボンをあしらった優雅なロマンティックチュチュで、ヘッドドレスもリトグラフの4人に忠実に再現された模様・・・。マリー・タリオーニのロパートキナは花冠のヘッドドレスで、ファニー・チェリートのステパネンコはすっきりとしたシニヨンでしっとりと。
ラインの美しいニク―リナ、可憐なオブラスツォーワも良かったのですが、ステパネンコの10年以上前、初めて世界バレフェスでお目にかかった時と寸分変わらない、若々しい弾性を感じさせる美しいラインと衰えの見せない容姿には恐れ入りました。
優雅そのもののこの演目の中において、一際エレガンスの香り高い存在感で圧倒してくれたのはロパートキナ。
どことなくカトリーヌ・ドヌーブを彷彿とさせる薔薇の香りの漂うようなお姿、どこまでも繊細なアームスにうっとり・・・でした
エフゲーニヤ・オブラスツォーワ(ルシール・グラーン) /
アンナ・ニクーリナ(カルロッタ・グリジ) /
ガリーナ・ステパネンコ(ファニー・チェリート) /
ウリヤーナ・ロパートキナ(マリー・タリオーニ)
■《眠れる森の美女》 第3幕のパ・ド・ドゥ
どうしちゃったの!?と嬉しい驚き。
サラファーノフの王子度が完璧!ソ―モワもなにかとやりすぎる変な癖がなくなって、技術の高さと女の子らしいキラキラ感がそのままでとても良いオーロラでした。
若くて手足の長いほっそりとした長身の二人がとてもチャーミング。
いや、見直しました
フェッテ、王子の腕に倒れこみ、すぐにアラベスクで自立、の3セットをディアゴナルに進んで見せるシークエンスの流れの華やかさといい、二人ともグレードUPしていて・・・
ただ、ソロではソ―モワはかすかにぎくしゃくとして、PDDほどの完成度ではなかったような・・・ということはサラファーノフ王子のサポートが素晴らしいということでしょうか?
今まで技術は素晴らしいけれども、身体が華奢すぎて相対的に頭が大きく見える少年っぽい外見でどうも姫を守る王子としては未熟感があったのですが、すっきりと魅力的な青年に成長。見た目もバランスが良くなってきていて本当に素敵な王子でした!
■《海賊》よりパ・ド・ドゥ
淡いミントグリーンの衣装のメドゥ―ラ、オーシポワに、スミレ色がかった落ち着いたブルーのハーレムパンツのアリ、ワシーリエフ。大人っぽい配色がきれいです。
しかし、衣装の落ち着きとは裏腹に・・・
ジャンプしながら、片脚を水平に突き出す、その高さたるや!
ワシーリエフ、一瞬にしてご自分の頭の高さで飛んでいるんですけど・・!
・フェッテはダブル、トリプル・・・えぇっと・・・え?9回回った??うーん・・・^^;
オ―シポワのフェッテでのマネージュもさりげなく超!高速でしたし・・・。
ザ・ボリショイ魂、ここにあり。
体育会系バリバリのペアでした。
■《愛の伝説》よりモノローグとアダージョ
アラブの女性っぽい透ける朱赤の短いベールで顔を多い、深いVネックの全身CAT SUITS姿のテリョーシキナがカッコイイ。アラビアンナイト仕様の女スパイ?
無駄のない身体のラインとシャープに使っている指の長い大きな手の美しさが際立ちます。
コールプは・・・。ブルーのボディタイツに赤い短めのマント、デコラで中世っぽい王冠のかぶり物がユニークですが、グリゴローヴィチらしい振付のドラマチックな味付けと二人の個性が相まって面白い作品に仕上がっていました。
テリョーシキナは人気がありますね^^
客席の反応が良かったです
■《ジゼル》よりパ・ド・ドゥ
ヴォルチコフは顔写真だけでみるととても濃くて野生的に見えますが、舞台姿はノーブルです。
そしてルンキナが美しい・・・
180度近い開脚でリフトされる大きな動きでも、彼女から発せられる静謐さと、重力とは無縁の空気感は変わらず・・・
何層にもなったボリューミーなロマンチックチュチュをフワリとさせる姿はもうこの世の人とは思えません・・
が、アルブレヒトにふと投げた視線に垣間見える情緒もまたこの人の真骨頂。
ギエムの再来!と華々しく日本デビューを飾った時にはキレイなだけの少女に見えたのに、本当に素晴らしいバレリーナに成長してくれました・・・
≪第2部≫
■《ナルシスへのレクイエム》
これでコンクールで賞をとった、という新作。
姿見の前にシクリャローフの後姿が。
鏡と自己の葛藤、がテーマでしょうか。画版くらいのサイズの鏡に見立てた伸縮性のアルミ?板を持って、激しく頭を打ち付け、苦悩する・・・。ライトグレーのインナーなしのタキシードスーツのように見える衣装が美貌に映えて、イイ感じにナルシスティック、そして本人は疾風怒濤の激しさに身悶えするという・・・。
ちょっとドリアン・グレイの肖像を想起させる演目でした。
■《ライモンダ》よりパ・ド・ドゥ
素晴らしい完成度。
ステパネンコのラインとクリーンなクラシックのパの美しさがこの演目にピッタリ。
正統派のロシアバレエを堪能しました。
■《別れ》
オブラスツォーワが抒情的に好演していましたが、ちょっとわたくし的に1幕の怒濤の興奮の反動が・・・
《タリスマン》よりパ・ド・ドゥ
女神ニク―リナ、風神ロブ―ヒン、という配役の勝利?
たおやかに美しいニク―リナと野生的で男性的なロブ―ヒン。
ロブ―ヒン、それほど好き、というダンサーではないのですが、この質量ともに圧倒的な肉体の存在感、迫力はある種貴重。
片肌脱いだ(ワンショルダーと言いなさい^^;)白い衣装と汗で光る肌のコントラストが風神雷神並みの存在感でした。
■《タランテラ》
ナポリ風の可愛い衣装の二人。タンバリンや鈴を持って、軽快に踊ります。
この二人でのこの演目を観るのは2度目ですね。
音感の良いテリョーシキナと踊りのセンスのあるサラファーノフのバランシンですから、もう、素晴らしいことこの上なし。
わたくし自身の好みからすると、踊りの強さに見合った音が出せないのなら、中途半端にダンサーが手にした打楽器を使うのにはあまり賛成できないのですが、今回も踊りのシャープさとへたれ気味のタンバリン音のGAPがちょっとサラファーノフの踊りのクオリティを損なっているような気がしないでも・・・^^;
客席受けは抜群。
踊れる二人が、相手のパフォーマンスも含めて心から舞台を楽しんでいる様を観る幸福を味わいました
≪第3部≫
■《黄昏のヴェニス》
ノスタルジックかつドラマチック。
昨年お亡くなりになった往年の名花かつ優れた指導者、エカテリーナ・マクシ―モワに捧げられた新作。
薫陶を受けたルンキナとパートナーのメルクリエフに振りつけられた作品を、その二人が踊ります。
白い簡素なレースのワンピースのルンキナの押さえた演技に深い味わいがありました。
彼女は知性的な中に抒情がにじみ出る演技の出来るダンサーですね。
■《チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ》
バランシンの超有名なコンサートピース。
淡いピンクとブルーの衣装で若手が踊ることの多いこの演目。
ピーチピンクがお似合いのソーモワと白に近いライトグレーが爽やかなシクリャローフの可愛い長身若者カップルは眼福。
相変わらずスッと耳の横に長い脚が伸びるソ―モワですが、ずっと気になっていた変なわざとらしさのようなものが抜けて、とてもチャーミングな印象に。
シクリャローフくんの爽やかな、観る人を惹きこむような笑顔も健在。
大技に入る前に分かりやすく緊張した表情になるのも彼の場合はチャームのひとつかも
■《スパルタクス》よりデュエット
グリゴローヴィチの男性のたくましさと女性のたおやかさの対比を強調した振付、ハチャトゥリャンの雄大な音楽・・・。
これはリフトでよろける非力な男性やパキパキと体操っぽく踊ってしまうテクニシャンの女性が踊ると台無しになってしまう演目ですが、さすがはボリショイのお家芸。
しっとりと麗しいニクーリナに盤石の男らしさを誇るロブーヒンで、決まり。
次々とポジションを変えるリフトでニク―リナの身体のラインの美しさを堪能。
ロブ―ヒンは片手でのリフトも余裕でした^^;
■《シンデレラ》よりデュエット
オブラスツォーワが可憐
彼女は出演した3演目、すべて「可憐」ではあるのですが、その中できっちりと役柄の住み分けが出来ていますね。
自分にあった演目もきちんと選んでいると思いますが演技力のあるひとだと思います。
アレクサンドル・セルゲーエフはマリインスキ―一押しのノーブルな王子様、なのだそうですが、わたくしには今一つ印象が残らず・・・。
このラトマンスキー版の「シンデレラ」、舞踏会での王子との出会いのシーンですが、初見がヴィシニョ―ワとコールプだったので・・・それはそれで全くの別物ですね^^;
プロコフィエフの音楽の美しさを改めて感じました
■《カルメン組曲》より
ホセとカルメンの情熱的なPDD.
ステパネンコとメルクーリエフ再び・・・。
以前に世界バレフェスの確かGALA公演で観ている二人。
Qualityの変わらないステパネンコが素晴らしい。
メルクリーエフは金髪が長髪になって、あのヤンキ―のあんちゃんっぽさ(?失礼!)は薄まったものの・・・
ボリショイのホセってどうしてもこの(黒全身に赤地に黒のポルカドットのパフ袖のボレロ丈オーバーブラウスを羽織る)衣装でなくてはならないのでしょうか?
誰が着てもテントウムシのサンバみたいになってしまうので・・・
変えていただけるものならお願いしたいデス。
■《ジュエルズ》より〈ダイヤモンド〉のパ・ド・ドゥ
はぁ・・・・・
もうため息しか、いえ、ため息も出ません。
至高の宝玉、崇高にしてメランコリックな美。
ロパートキナの存在そのものが、ダイヤモンドの輝きを放っていました。
神聖ロパートキナ廟。
コールプは自身の個性をしめやかに封印して、ひたすらに神殿に奉仕する神官の役割を見事に果たしていました・・・
■《ドン・キホーテ》よりパ・ド・ドゥ
GALAの締めに何度この演目を観てきたことでしょう・・・!!
それでも尚、まだ、驚きがもたらされることってあるのですね
まず!衣装がステキです。
オ―シポワは黒ベルベットの胴着に肩口にネット。
金ブレードで縁どられたハリのある純白のチュチュがなんともゴージャス。
黒と金を添えた白い花のヘッドドレスを頭頂部にあしらっているのが効いています。
ワシーリエフは黒の光沢感のあるタイツに身体にフィットした短い黒ベルベットの上着。首周りから胸元にかけてはゆったりと開けて、白い襟は控え目に出し、赤いベスト風のインナーをセンターフロントからのぞかせた比較的ノーマルなバジル。
全体に、ゴージャスで格調の高さもあり、この豪華なメンバーによるGALAのトリにふさわしい。
見慣れた演目のはずなのに、この驚異の身体能力を誇る超体育会系の二人が踊ると新鮮・・・
踊れる人が陥りがちな、走って最後グダグダになる・・・ということもなく、一つ一つの音ははずさず、キメのポイントも引き延ばしてテンポを乱すこともないのですが、その一音に入れるコンテンツがとてつもなく濃い・・・!
頭の高さで開脚ジャンプのワシーリエフ、サポートされてのフェッテがやけに高速のオーシポワ。
ワシーリエフはソロのジャンプで一度斜めになった状態で降りてしまい、すわ、転倒か!と焦りましたが着地で調整して体制を立て直すところがさすが。
オ―シポワ、PDDではどんなに激しい動きでもツンとおすましの表情は微動だにせず・・・最高にシャープなキメ技を繰り出してもクール。
で、ソロのときにはじける笑顔を垣間見せ、ついこちらもつられてニコニコしてしまうとすぐにまたクールな表情に戻して・・・
魅惑のツンデレキャラですね(笑)
カーテンコールでこれだけのメンバーが揃うと改めてこのGALAの凄さがわかりますね。
初日でしたが、金のコンフェッティが大量に落ちてきました
JAPAN ARTSさん、渾身の大盤振る舞い?
あまりに最後素晴らしかったので、つい、追加で楽日のチケットを買い足してしまいました^^;
土日はもうないみたいですが、平日火曜日Aプロと最終日水曜日のBプロのS~C席はまだ若干の空きがあるようです