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お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

宝塚星組公演「眠らない男・ナポレオン」

2014-03-30 06:20:10 | TAKARAZUKA
2014年、タカラヅカ100周年の記念Year幕開けに劇団が総力かけて投入した
その名も
ル・スペクタクル・ミュージカル
『眠らない男・ナポレオン ―愛と栄光の涯(はて)に― 』
L’Homme sans sommeil: Napoléon ~Au-delà de l’Amour et de la Gloire
Écrit et mis en scène par Shuichiro Koike, composé par Gérard Presgurvic
作・演出/小池 修一郎
作曲/ジェラール・プレスギュルヴィック
大劇場では元旦から2月3日まで、東京ではバレンタイン・デ―に始まり、昨日3月29日(土)に千秋楽を迎えたという大変な長丁場。
まずはこの力強いヒーローを連日演じ続けたTOPスター柚希礼音さんをはじめとする星組メンバーにお疲れ様と言いたいところですが、柚希さん夢咲さんらは4月4日からの記念公演、そして月組さんの各組TOP特別出演が控えていてすぐにお稽古なのでしょうね・・・。さすが100周年ならではの過密スケジュールをこなすスターさんたちには頭が下がります。

わたくしは1月早々にムラで一回目観劇。
SS席ド・センターと言う絶好の席だったのにも関わらず、その日、午前中にステージスタジオ初体験(!)で体力を使い果たしたせいか、このヘビーな大作を追いかけるだけでせいいっぱい。
ナポレオンの生涯については池田理代子先生の「エロイカ」で予習をしていたのですが、その内容をほぼ網羅する小池先生の欲張りとも言えるコンテンツの詰め込みぶりとドラマチックで美しい楽曲に乗せられた説明歌詞を理解するために脳ミソフル回転^^;
感想は・・・これは昼夜W観劇はムリだな・・・というちょっと負け犬感漂うものとなってしまい・・・。
壮大な失敗作、などと言う風評に、押さえていた東京のチケットを前に、大丈夫かしら・・とやや不安がよぎっていた1月。
2月、3月と週1ペースで観劇。
オペラ座で中休みがあったのですが、その間、メインどころが台詞かんでいた、とか、お疲れ?のご様子が聞えてきたり・・・。
最終週、仕上げに2度観ることが出来たのですが、これはもう素晴らしかった。
こちらも全体の流れが入っているので、ここが見どころ!というところに集中できますし、音楽も聞きなれてくると美しい楽曲が多く、それを歌ウマの専科さん(美穂圭子さん、北翔海里さん、英馬なおきさんら)、このところ急激に歌レベルが上がった2番手3番手(紅さん、真風さん)、もとから歌える組子(音花さん、天寿さん、夏樹さん)、今回グッと上達した娘役(綺咲さん)、そして、もとよりパワフルな歌唱に定評のある柚希さんがぐいぐいとドラマを引っ張って、まさに、重厚な歴史・人間ドラマを観た!という満足感いっぱいの舞台に・・・



*続きます*


パリ・オペラ座2014来日公演・雑感

2014-03-30 06:08:53 | BALLET
ヌレエフ版の楽しさと若手の台頭を告げた「ドン・キホーテ」でのオープニング、そして3組のうち、1組は今が盛りの成熟した美しさと研ぎ澄まされた感覚を持ったオレリーとエルヴェ、他2組は引退の年になお艶やかな名花を送りだすアデュー仕様で、いずれも見逃せない公演でしたが、そんな中で、目を惹いたソリストについてのひとことを覚書として記しておきたいと思います。

■サブリナ・マレム(Sujet)

アニエス・ルテステュ/ステファン・ビュリョンの日の「椿姫」で、マルグリットの娼婦仲間で親友のプリュダンス役を。
ガストンとペアで踊ることが多く、ガストン役のクリストフ・デュケンヌと雰囲気が似合っていて、良いカップル。陽気で温かみのある人物造型と人情味あふれる表情がドラマを盛り立てていたように思います。マルグリットが夏の別荘で、パトロンの公爵に立てついて、アルマンを選ぶマイムのところで、彼女の公爵の庇護の下からの離脱を意味する豪華なネックレスを外して床に落とす仕草の後、憤然と立ち去る公爵、アルマンの腕をとって進むマルグリット、掃けていく人々・・・の中で、さっとさりげなくそのネックレスを拾って胸元に入れるプリュダンスがちょっと客席を沸かせて緊張を解く場面があるのですが、強欲というよりはちゃっかりとした愛嬌があって、彼女のプリュダンスは人が良さそうで好みでした。
モデルのミランダ・カ―にちょっと雰囲気が似ている美人で、楽屋口でのファン対応もチャーミング。
「ドン・キホーテ」では、マチルド・フルステ―/マチアス・エイマンの日の街の踊り子(エスパ―ダの相手役)でしたが、柔和な個性が派手なテクニックを誇示する主役の前では目立たなかったのかあまり印象に残っていません^^;

■ヴァランティ―ヌ・コラサント(Premiere Danseuse)

初日のオレリー・デュポン/エルヴェ・モロー、土曜日のイザベル・シアラヴォラ/マチュー・ガ二オの日のプリュダンス。
落ち着いていて温かみのあるプリュダンス。2006年17歳で入団で順調に昇進してのプルミエ―ル。年齢より落ち着いて見えますね。安定感のある彼女、今後もオペラ座公演で活躍する姿を観ることになるだろうと思います。

■ローラ・エッケ(Sujet)

長身で見栄えのする容姿。以前バレフェスかルグリ・ガラで「ジュエルズ」の「ダイヤモンド」を踊った時には、どこも悪くないのに本当に心を動かされない演技で、神秘的で高雅なロパートキナ、スラブ系の秘めた情熱と憂いの中の力強さを感じさせるヴィシニョ―ワに比べるとやや薄く感じるルテステュが実は、フランス・バレエの正統派の優雅で端正な輝きを放っていたことに気付かせてくれたものでしたが、アリス・ルナヴァン/カール・パケットの日の「ドン・キホーテ」の街の踊り子役では登場した瞬間から華やかで、鉄火な姉御系の魅力いっぱい。
あぁ、こういう役が似合うダンサーなのかと納得しました。
「椿姫」ではアニエスの日のマノン・レスコ―を、ヴァンサン・シャイエをデ・グリューに踊りましたが、これもまた素晴らしく、享楽に身を任せる破滅型のマノンがマルグリットの幻想の中で彼女を蝕んでいく怖さまで感じさせてくれました。マノンは他日ではエヴ・グリンツテインが演じていましたが、エヴは夢の中の幻影のよう。ローラは時として生身で迫ってくる感じ。解釈はそれぞれですが、その違いも面白かったです。

■ヴァンサン・シャイエ(Premiere Danseuse)

初日のオレリー、土曜日のシアラヴォラの日のガストン。
2幕冒頭、夏の日のくつろぎの場面で、小道具の鞭を持った長めのソロがあるのですが、これを音楽に良く合わせて、アクセントを効かせた小気味よい踊りでピリッと締めていました。
同じプルミエ―ルで、アニエスの日のガストンだったクリストフ・デュケンヌがややロマンチックで素朴な雰囲気を漂わせているのに対し、世知に長けたパリジャンという感じ。
ガストンでないときはデ・グリューでエヴ、ローラのマノンの相手役を務め、「ドン・キホーテ」では両日ともエスパ―ダと、バレエ団の信頼の篤さがうかがえますね。

■レオノール・ボラック(Coryphee)

娼婦仲間で若くて売れっ子のオランプ役。マルグリットに縁切りされたアルマンが当てつけに付き合ってみるが・・・という役どころ。華やかでマルグリットにはない若さとCUTEな愛らしさとちょっとだけの優越感のような感じを漂わせるが、レオノールのオランプは軽快で、悪気のない感じ。
アニエスの日の娼婦仲間はサブリナ・マレムのプリュダンスといい、レオノール・ボラックのオランプと言い、皆、心根が優しそう^^
小柄で金髪を弾む縦ロールの巻き毛セットして、くすんだピンクのフェミニンな街着姿がとても似合っていました。

■シャルロット・ランソン(Coryphee)

華やかな美貌のブロンド美人。昨年の「天井桟敷の人々」の来日公演で、幕間に東京文化会館のロビーで、カール・パケットの相手役として、劇中劇の「オテロ」のデスデモ―ナを踊って注目を集めたのは記憶に新しいところ。
土曜日のシアラヴォラの日のオランプ。
派手な顔立ちで自信たっぷりにマチューと戯れる姿はお似合いだけれど、やっぱりマチューにはシアラヴォラみたいな妖艶な年上の女性に可愛がられているほうがしっくりくるな・・と思わせる辺りも配役の妙。

■ロレーヌ・レヴィ(Coryphee)

あのNHK教育TVで2006年に放映されたマニュエル・ルグリ先生のスーパー・バレエ・レッスンで、アクセル・イヴォーくんと組んで「ロミオとジュリエット」のバルコニーの場面を生徒役で踊っていたロレーヌも、あの時のままの品格ある美少女で、でも団員としてフルに活躍。
「ドン・キホーテ」では、アリスの日には2幕1場のジプシーの野営地場面では2人のジプシー女の1人、
2幕2場の幻影の場面では3人のドリア―ドの1人という3人口で使われるソリスト扱い。
マチルドの日には、1幕バルセロナの広場の場面ではキトリの2人の友人の一人、そして、3人のドリア―ドの一角は不動のレギュラー。
「椿姫」では6組のカップルの1人として、仮面舞踏会や田舎の別荘のゲストなど、きれいなお衣装が似合う華やかな姿を見せ、舞台上で、優雅に微笑み立ち動き、踊り・・・と、群舞のヴィジュアルレベルを引き上げる働きを。
こういう美人が普通に群舞にいるというのがオペラ座クォリティだなぁと思います。

他にも、ス―パ―・バレエ・レッスン生で記憶に残るアクセル・イヴォー(Sujet),シャルリ―ヌ・ジザンダネ(Sujet)、ファビアン・レヴィヨン(Sujet)らもそれぞれご活躍。大物エトワールの次々の引退に寂しさは否めませんが、若い世代に少しずつ魅力的な人材も育ち、後は、ルフェーブルさんからミルピエ氏に芸術監督が交替することで、どんな変化が生まれるのか・・・。期待半分心配半分で、今後も楽しみにWATCHし続けたいバレエ団です。








パリ・オペラ座バレエ団2014年来日公演「椿姫」千秋楽 アニエス・ルテステュ

2014-03-24 02:54:41 | BALLET
連日素晴らしいパフォーマンスを見せてくれたパリ、オペラ座バレエ団の来日公演も最終日となりました。
3月23日(日)15:00~
上野の東京文化会館にて。

あと1週間もすれば、桜が開花するでしょうに。
残念。オペラ座のダンサーたちにも観てほしかったです。

パリ・オペラ座バレエ団 日本公演
「椿姫」
プロローグ付 全3幕

アレクサンドル・デュマ・フィスの小説に基づく

音楽: フレデリック・ショパン
振付・演出: ジョン・ノイマイヤー(1978年)
美術・衣装: ユルゲン・ローゼ
照明: ロルフ・ヴァルター

2006年6月20日パリ・オペラ座初演

◆主な配役◆

マルグリット: アニエス・ルテステュ
アルマン: ステファン・ビュリョン
デュヴァル氏(アルマンの父): ミカエル・ドナール(ゲスト・エトワール)

マノン・レスコー: ローラ・エッケ
デ・グリュー: ヴァンサン・シャイエ

プリュダンス: サブリナ・マレム
ガストン: クリストフ・デュケンヌ
オランプ: レオノール・ボラック
公爵: ローラン・ノヴィ
N伯爵: シモン・ヴァラストロ
ナニーナ(マルグリットの侍女): クリスティーヌ・ペルツェー

演奏: 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
指揮: ジェームズ・タグル
ピアノ: エマニュエル・ストロセール、フレデリック・ヴェス=クニテール

◆上演時間◆
第1幕 15:00 - 15:50 【休憩 20分】
第2幕 16:10 - 16:50 【休憩 20分】
第3幕 17:10 - 17:55

連日役替りでこの公演を観て参りましたが、今回が最終日。
東京では一度限りのアニエス・ルテステュのマルグリット。
アルマンを務めるのは、ジョゼ・マルティネス引退後、177cmの長身のアニエスを文字通り支えてきたステファン・ビュリオン。



アニエスと言えば・・金髪高身長、スーパーモデルのようなクール・ビューティ―で、若いころは優等生的イメージが強かったのですが、このところガラ公演でもコミカルな役どころを楽しげに演じたり、ベテランエトワールとなってからはその音楽的に正確無比な美しいパの希少性に改めて気づいた頃からアニエスが出演する=オペラ座エトワールのクォリティが保証された公演である、というくらいの存在に。

満を持して・・の大トリで、しかもオペラ座で定年を迎えた年の来日公演で、ルグリ先生ガラやバレフェスの常連だったこともあり、長きに渡ってNBS主宰のオペラ座公演に多大なる貢献をしてきた、ということで特別なアニエスさよなら公演仕様。
勿論満員御礼、「大入り」の赤札がエントランスに。(他の日も「椿姫」は大入りでしたが)

一日限り、ということで「バレエの祭典」会員はほとんどこの日をリクエストしたのではないでしょうか。
オペラ座公演全体の印象ですが、会場にバレエ関係者が多いイメージが・・・。
(姿勢とスタイルの良い方が多く、ロビーに集う人々の立ち姿が違う印象)
それにしても、イザベル、アニエスとスターエトワールの相次ぐ引退は寂しいですね。
オレリーも来年?再来年?そう思うと、今年の「椿姫」はやはり今のオペラ座を後年思いだす時のKEYとなる公演だったということになるのだろうなと心して。

さて、アニエスのマルグリットですが・・・。
やはり華やかで美しい。
オレリーがその艶やかな美貌で辺りを席捲し、イザベルが妖艶な大人の女性の魅力を振りまいていたマルグリット。
アニエスのマルグリットには洗練されたエレガントな物腰と思いがけずピュアな印象を与える笑顔のGAPに惹き込まれる魅力が溢れていました。
とりわけ髪をほどいてダウンスタイルにしたときの緩やかにウェーブした金髪が白いドレスに映えて、心からリラックスした様子でショパンの音楽の一音一音を美しく表現した彼女の踊りの素晴らしさたるや。
DVDがこの日のカップル主演で出ているのですよね。
海外版のBDと迷って、この日は買わなかったのですが後日買わなくては。
衣装デザインも手掛けているだけあってかお衣装の着こなし、ドレスのさばき方もさすが。
髪をさりげなく耳にかける仕草、リフトされたときに、男性ダンサーの顔にかからないようにあらかじめスカートの流れ方も計算した動きなど、彼女ならではの美しい舞台づくりへのこだわりが更に振付の美しさ、そこに込められた意味を明確に提示していたと思います。

2幕、皆で夏の午後の戯れを楽しんでいる時、パトロンである公爵が不快感をあらわにしてピアノを中断させ、アルマンに去るように指示。マルグリットは立ち去ろうとするアルマンを押しとどめ、真っすぐに公爵を見返してアルマンが外した腕を再度自らのウエスト位置に置かせます。
公爵と彼のゲストであった友人たち皆が立ち去り、アルマンと2人っきりでのPDD.
ここでのアニエスの少女のような笑顔と柔らかなシフォンを重ねた白のドレス姿が屈強なステファンとの対比でとても華奢に見えました。
来客を告げる侍女ナ二―ナ。アルマンの父親と知り、彼を外させ、髪をまとめて薄物のドレスの上にケープを羽織って女主人として優雅に出迎えます。
伸ばした手を、視線を逸らすデュバル氏の様子から察知してさりげなく引っ込めて、お茶を運んできたナ二―ナを制し、彼の話に耳を傾けます。
アニエスはその表情で、彼の話に共感していることがわかる。そして、デュバル氏の息子に対する自らの思いを吐露するとともに、犠牲を払うことを約束します。彼女の様子に胸を打たれたデュバル氏が暇乞いをするにあたり、自らマルグリットの手を取ってキスをします。
息子をたぶらかし女狐め、くらいの勢いで憤然としたデュバル氏が、知性と常識を持ち、他人に共感する柔らかな心を持った清楚な女性が、心から愛する男性との別れを受諾し、自己犠牲を払うことを約束するマルグリットに出会って、その先入観を覆される、という場面。マルグリットの内面を図らずも良く示している場面だと思います。
オペラではこのアルマン父とマルグリットの場面が実は一番好きなのですが、アニエスとミカエル・ドナ―ルのパのやり取りからその場面で感じるのと同様な感動を覚え、アニエスの踊りが見える音楽であるという自説をまた改めて実感。

ステファンは感情表現が終始控え目。
白い肌に黒髪、繊細な表情とリフト任せておけ、な、長身でがっしりとした体躯を持つ期待の若手エトワール。
今まで、アニエスのリフト要員くらいに思っていたのですが(失礼)苦しみのソロ、彼1人で場面を持たせるのをはじめて観て、思いがけずパッション溢れる力強いパと鋭い跳躍に彼自身の力量を改めて感じました。
ただ、やはり感情の表し方は淡泊ですね。
とりわけ、マルグリットへの当てつけに、娼婦仲間で若手の売れっ子オランプと戯れの情事を行おうとするところがおざなりで。オランプ役のレオノール・ボラックがコケティッシュに演技して埋めていましたが・・・。
それだけならマルグリットへの純情として称えられるのですが、その後再会して燃え上がる2人・・・でも、やはり淡泊(というより、前日のマチューが甘かったからかも)で。でも、この抑制された愛情表現が彼の持ち味なのかもしれません。
後日の夜会で、マルグリットを侮辱し、札束入りの封筒で傷つける場面、再び彼女のパトロンとなった公爵をあしらう様、心配してフォローしようとする、マルグリットの親友プリュダンスとその彼氏ガストンへのニヒルな無礼っぷりは堂にいったものでしたから、彼なりのバランスなのでしょう。
終始、アニエスを支え、真摯にアルマンとして舞台に生きる内省的な姿に、所謂スターエトワール(他日が、エルヴェとマチューという華やかなアルマンでしたから余計に!)とは異なる美学を感じました。

カーテンコールは本当に大きな拍手で・・・というか、この日はアニエスのPDDの切れ目毎に拍手が入っていたのですが^^;、本当に大きな拍手&最後はスタオべで、締めくくられました。
何度も幕が開き、ダンサー、マノン役のローラ・エッケに迎えられたピアニストのお二人、アニエスに迎えられた指揮者のジェームズ・タグル氏、そして今回が最後の来日公演となるであろう、芸監ブリジット・ルフェーブル女史、その他主要スタッフの方々?も前列に並び、途中から後列からアニエスに呼ばれて前列に加わった現・恋人?のダンサーも。
そして、NBSの佐々木氏代行で代表業務に着いて久しい高橋氏がアニエスに白バラの、ルフェーブル女史に紅バラの?ブーケを手渡し、舞台天井から降りてくる恒例のSAYONARAの幕と金のコンフェッティとともに、アニエスのこれまでの貢献に感謝の意が日仏語で書かれた横断幕が。

オペラ座定年引退(YTでそのカーテンコールが観られます)後もゲスト・アーティストとしてクレジットされているほど信頼が厚い、という話がプログラムに出ていましたので、全くの引退というわけでもなさそうで、ちょっとホッとしていますが、日本公演でオペラ座のセンターとして踊る彼女を観るのは最後。
ステキな作品でお見送りが出来たのは幸いでした




パリ・オペラ座バレエ団2014年来日公演「椿姫」 イザベル、マチュー

2014-03-23 09:57:50 | BALLET
昨夜、パリ・オペラ座来日公演、
「椿姫」キャスト違いの観賞で、先日オペラ座でエルヴェ・モローを相手役に「オネーギン」のタチアナでアデュー公演を終えたばかりのイザベル・シアラヴォラがマルグリット。
日本公演では2回踊りますが、その最終公演を観て参りました。
オペラ座全幕の主役を踊る彼女を観るのはこれが最後。
その最後の公演を、実生活でもパートナーだったマチュー・ガ二オと、2人にぴったりな演目で観られるということが夢のよう。
なんとも幸せな東京のバレエファンであることよ、と思います。
客席には上野水香さんを始め、東京バレエ団のダンサーの方もちらほら・・・
確認できなかったのですが、友人によるとマチューの御両親、ともに高名なダンサーである、ドミニク・カルフー二、デニス・ガ二オご両名もいらしていたそう。

2014年3月22日(土)18:30~
東京文化会館にて

パリ・オペラ座バレエ団 日本公演
「椿姫」
プロローグ付 全3幕

アレクサンドル・デュマ・フィスの小説に基づく

音楽: フレデリック・ショパン
振付・演出: ジョン・ノイマイヤー(1978年)
美術・衣装: ユルゲン・ローゼ
照明: ロルフ・ヴァルター

2006年6月20日パリ・オペラ座初演

◆主な配役◆

マルグリット: イザベル・シアラヴォラ
アルマン: マチュー・ガニオ
デュヴァル氏(アルマンの父): アンドレイ・クレム(ゲスト・アーティスト)

マノン・レスコー: エヴ・グリンツテイン
デ・グリュー: クリストフ・デュケンヌ

プリュダンス: ヴァランティーヌ・コラサント
ガストン: ヴァンサン・シャイエ
オランプ: シャルロット・ランソン
公爵: ローラン・ノヴィ
N伯爵: アドリアン・ボデ
ナニーナ(マルグリットの侍女): クリスティーヌ・ペルツェー

演奏: 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
指揮: ジェームズ・タグル
ピアノ: エマニュエル・ストロセール、フレデリック・ヴェス=クニテール

◆上演時間◆

第1幕 18:30 - 19:20 【休憩 20分】
第2幕 19:40 - 20:20 【休憩 20分】
第3幕 20:40 - 21:25

なんとも並んだ時のバランスがしっくりとくるアルマンとマルグリットでした。
マチューは実年齢で30歳になったところだと思いますが、若々しくて美しくて、育ちの良いおぼっちゃま役としてピッタリ。
そして、イザベルはオペラ座の定年ということは・・・ですが、まだまだ、現役で踊って欲しいと願ってしまうほど、美しさと成熟した女性の魅力がほとばしって、この物語の設定がとてもリアルに感じられました。
この後、マチューが誰と組んでも、この「椿姫」を思いだしてしまうのだろうなと思ってしまい・・・。



マチューは憧れの人に猛アタックするうちに、その彼女から優しくされて愛されて・・・恋する青年の多幸感が全身から、その紅潮した薔薇色の頬から香り立つよう。
2幕、マルグリットがパトロンの公爵と縁を切り、アルマンを選ぶ。取り巻きが去り、2人きりになったときのPDDが、甘くて甘くて・・・。
でも、マルグリットの表情からは 病を得た自分にとって限りある時だからこその恋の喜びであると知っている、そしてその恋を慈しむ感情が湧きあがっていることが感じられるのに、アルマンは何も気づかず、ただただ幸せの絶頂、という2人の微妙な心理の綾が切なく美しい。



愛想尽かしの手紙を侍女から受け取り、一人残されたアルマンが深まる夕闇の中 右往左往し駆けて行った先で観た彼女と他の男との情事。幸せの絶頂からの転落がドラマチックなのは、幸せなマチューの表情があまりに印象的だったから。

イザベルは 大人の選択をしたけれども、やはりアルマンを忘れられない、そんなマルグリットのはかなくも美しい姿をしっとりと描き、ノイマイヤーの振付独特の高い位置のリフトから回転しながら下りてくる振りの中で、スカートに隠れてしまった彼の顔を掘り起こすように、リフトされた体制からも、スカート生地をさわさわと手繰り寄せて、彼の顔に頬を寄せて両手で包み込もうとする姿にも愛が感じられました。
濃い目のアイメイクで縁取られた淡い色の瞳と黒髪のコントラスト、小さく端正なお顔、成熟した女性の香水と白粉の香り漂うような姿と美しすぎる脚線美、気まぐれな猫のような遊び心いっぱいの魅惑的な表情と時として謎めく孤独な顔・・・イザベル自身の魅力がパリの社交界を席捲した伝説の高級娼婦マルグリットその人のよう。
愛にとまどい愛に生きながらも周囲の思惑は見えている大人な彼女。自身の孤独と向き合う強さと儚さが素敵でした。

高雅で真摯な魂のぶつかり合いのようなオレリーとエルヴェの椿姫には心から震えるほどの感動を覚えましたが、親密さと幸福感でぴったり寄り添った2人の別れという甘いやるせなさで余韻を残した、今夜のイザベルとマチューの2人の演技も、忘れ難いものとして記憶に残ると思います




パリ・オペラ座バレエ団2014年来日公演 「椿姫」 初日

2014-03-21 04:42:40 | BALLET
音楽、美術、照明、ダンサー全て・・・美しすぎる舞台でした



2014年3月20日(木)18:30~
東京文化会館にて

パリ・オペラ座バレエ団 日本公演
「椿姫」
プロローグ付 全3幕

アレクサンドル・デュマ・フィスの小説に基づく

音楽: フレデリック・ショパン
振付・演出: ジョン・ノイマイヤー(1978年)
美術・衣装: ユルゲン・ローゼ
照明: ロルフ・ヴァルター

2006年6月20日パリ・オペラ座初演

◆主な配役◆

マルグリット: オレリー・デュポン
アルマン: エルヴェ・モロー
デュヴァル氏(アルマンの父): ミカエル・ドナール(ゲスト・エトワール)

マノン・レスコー: エヴ・グリンツテイン
デ・グリュー: クリストフ・デュケンヌ

プリュダンス: ヴァランティーヌ・コラサント
ガストン: ヴァンサン・シャイエ
オランプ: レオノール・ボラック
公爵: ローラン・ノヴィ
N伯爵: シモン・ヴァラストロ
ナニーナ(マルグリットの侍女): クリスティーヌ・ペルツェー

演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
指揮:ジェームズ・タグル
ピアノ:エマニュエル・ストロセール、フレデリック・ヴェス=クニテール

◆上演時間◆

第1幕 18:30 - 19:20 【休憩 20分】
第2幕 19:40 - 20:20 【休憩 20分】
第3幕 20:40 - 21:25

「椿姫」全幕を観たのは初見でしたが、今までガラで散々観た「白のPDD」「黒のPDD」
正直感心したのはノイマイヤーのおひざ元ハンブルグダンサーのアレクサンドル・リアブコくらいで・・・。
なぜ、このリフトの度に女性ダンサーのスカートで男性ダンサーの顔がすっかり隠れた状態で右往左往するこの演目を皆選びたがるのか・・・謎に思っていたのが氷解。

・・・これは踊りたい!と思う作品ですね。

全編美しく、演劇的な感情表現に全てのパが結びついて、悲しみと喜び、怒り、哀感、絶望、諦観・・・
全ての感情がショパンの美しくも悲しい生ピアノの戦慄と緊密に結びつき、美術も衣装も美しい。

全体が3部構成になっていて、高級娼婦マルグリットが世慣れていない青年アルマンの真摯さに本気になり、田園での夏の恋を謳歌するが、故郷から彼の父親が現れて、別れるように説得される。
突然のマルグリットの愛想尽かしに苦悩するアルマン。
季節変わって秋。パリの街角で偶然再会。
互いに心乱れ、思わずアルマンを訪ねるマルグリット。その彼女に激情を叩きつけるアルマン。燃え上がる2人。
その後夜会で再会。パトロンと現れた彼女に嫉妬と恨みから無礼な振る舞いをするアルマン。
振りまわされるように踊った後、アルマンから渡された手紙に入っていたのは札束。
あまりの侮辱に倒れるマルグリット。
病に倒れていても彼に手紙をしたため、頬紅で血色を作り、赤いドレスで夜会に出るマルグリット。
それが最後。
最初と最後が、友人たちによる遺品整理の場面で、そこに現れたアルマンに最後までマルグリットに誠心誠意仕えた侍女ナ二―ナが渡した本は「マノン・レスコー」
マノンとデ・グリューの物語が、劇中劇のように、時には芝居観賞の演目として、時には心象風景として、時には現実と夢の二組のカップルとして、全編、椿姫の物語にマノンの物語がかぶってくる演出が面白い。



飽くまで艶やかな社交界の花で、でも悲劇のヒロインでもあるマルグリット、そして、情熱と生真面目な若さ、美しさと苦悩する表現力を合わせ持つアルマンに咲き誇る美しさとテクニックと円熟味のバランスが今、彼女のキャリアの頂点に達しているのでは・・と思わせる、こぼれんばかりの花、オレリー・デュポンと、美丈夫で心のこもった演技の出来るエルヴェ。
この2人が盤石の状態で、この日の舞台を勤めてくれた、ということが、もう本当に夢のようです。

わたくしの数多い観劇体験の中でも、今夜は特別な一夜として思いだすことになるだろうと、終演後、余韻をかみしめたことでした。

パリから帯同したピアニストお二人が素晴らしい演奏を。
プログラムによると、フレデリック・ヴァイセ=クニッテルは、ポーランド出身で、若い時から数々のコンクールで入賞。2004年に参加したリ―ル・ピアノフェスティバルにはマリア・ジョアン・ピレシュ(と表記されていました)に誘われて・・とは、先日ピレスを聴いたばかりなだけに興味深い記述。

各場面に当てられたショパンの楽曲があまりにピッタリとハマっていて、これからショパンのピアノソナタ第3番第3楽章「ラルゴ」とか、この作品を思いださずには聴くことが出来ないだろうなと。

照明がとても美しく、2幕の田舎の場面、明るく、白い衣装の男女が大勢で戸外で踊ったりくつろいだりする場面の後で、父親登場の辺りから、夕方に差し掛かる時間の経過が感じられるのですが、その光が、なんともいえない夏の午後の夕方、暮れる少し前の妙に明るい光になる瞬間をとらえていて、その光の中で一人残され、哀しい決断をするマルグリット、そして早々に別荘を引き上げた彼女たちのあと、何もしらないアルマンがその置き手紙を見つける件では、夕闇が迫って急に暗くなるのですが、その光の変化が絶妙でした。

色彩構成が巧みで、一幕の深い紫のドレスに胸元の赤い薔薇が艶やかなマルグリットとブルーの濃淡、赤~紫の女性たちのドレス、2幕のところどころに少量の黒で引き締めたアイボリーのドレスと紳士たちの衣装、3幕の黒燕尾と黒レースに時折緑やオペラピンクの強い色を使った夜会服、そして病に伏せるマルグリットのアイボリーのコルセットドレスと無理やり外出するときの赤いベルベットの衣装と黒レースのヴェール。
簡素な装置で、豪華な衣装のバランスも心理劇を主軸とする求心的な作品にふさわしいバランスだったと思います。

あと二組のカップルで観賞しますが、多分この日がBESTかも。
裏切られることを期待しています