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お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

宙組バウ公演「ロバート・キャパ 魂の記録」初日

2012-01-29 06:18:15 | TAKARAZUKA
2012年1月27日(金)
14:30~

行って参りました!
初めてのバウホールです。



バウ・ミュージカル
「ロバート・キャパ 魂の記録」

作・演出: 原田諒
振付: 羽山紀代美、麻咲梨乃
衣装: 有村淳
歌唱指導: 楊淑美

次の宙組公演で大劇場デビューする原田先生の書き下ろし。
「ニジンスキー」が良かったので期待していたのですが、奇をてらわず、レトロシックなセピアの色調で落ち着いた舞台装置、衣装。
写真家キャパの生きた時代を丁寧に追いながら、パートナーや仲間たちとの交流と、カメラマンとしての使命感を実際の写真作品も上手く取り入れて、わかりやすくその半生を追う芝居づくりで好感が持てました。

主演の凰稀かなめさんは熱演。
とりわけ、恋人ゲルダの死を知らされての慟哭のシーンは、気持ちが入っていて思わずもらい泣き。

わたくしの中のロバート・キャパ像(豪放磊落でユーモアがありちょっとミステリアス)とは少し異なってはいましたが、
繊細で心優しく、弱さも見せるけれども周りをよく見ていて人としっかり向き合える芯の強さを持った人物像を作りだしているように思い、それはそれで魅力的な主人公ではありました。

今、研3のヒロイン、ゲルダ役の伶美うららちゃんは、大人っぽい地声と落ち着いた風情が、一流ファッション誌の売れっ子ライターでありながら、社会情勢に高い関心を持つ行動的な女性像にしっくりハマって、これが初主役とは思えないほどの安定感。
ただ、歌も音域がまだ地声に近いのか、ソプラノは難しそう。
宝塚の娘役としてはある程度、高音域をカバーする必要があるので、ここを頑張って欲しいですね。

プログラムの稽古場写真が本当に美人なので、舞台メイクと鬘も、もっときれいに出来るはず・・・と、
つい高く目標設定をしてしまいますが(笑)きっと青年館までにはこなれてくるのでは、と楽しみにしています。
凰稀さんの隣にはスラリとした美女を、とのわたくしの希望にもっとも近いところにいる娘役さん。
並びはキレイで、凰稀さんがとても大切に扱うので、それだけでもうららちゃんのプレシャス感が増すような・・
急な抜擢で大変だと思いますが、伸び代もまだまだある方だと思いますので期待しています。

お話は・・・(ネタばれあり)


第一幕

ベルリンで活躍する才能ある新進フォトグラファー、アンドレ・フリードマンがトロッキーの演説写真で注目を集めつつある矢先、ユダヤ排斥運動を懸念した雇い主の口利きでパリの出版社を紹介されるも、そこでの仕事はゴシップやスタントまがいの2流記事絡み。
意欲を失いつつある彼だが、そこはパリ。
カフェで偶然パパラッチした痴話喧嘩のカップルがピカソだったり、そこで後に写真家集団「マグナム」を結成する仲間、アンリ・カルティエ=ブレッソンやデヴィット・シ―モアに出会い、また、セシル・ビ―トン卿お気に入りの一流ファッションライター ゲルダ・タローが彼の写真に感動して訪ねて来たりと様々な重要な出会いが描かれます。
無名ゆえに不当な扱いを受けるマスコミ対策で、ゲルダの発案により、架空の一流フォトグラファー ロバート・キャパを創出。以降キャパ名義で作品を発表するアンドレ。

第二幕

民主化したスペインに軍事政府のクーデターが。後押しするのはナチスなどのファシズム勢力。
烏合の衆の民衆が組織化された軍事政権に立ち向かう様はすなわち民主主義vsファシズムの攻防。
その対立を取材すべく、マグナムメンバーは揃ってスペインに。
戦闘で命を落とす市民に動揺し、写真を撮るよりともに闘うべきでないかと悩むアンドレ。
たまたま出会った兵士、ガルシアにこの現状を全世界に伝えてほしいと言われ、使命を自覚。
そのガルシアの最後を撮った代表作「崩折れる兵士」のやらせ疑惑などその後も道は平坦ではないけれど
ともに乗り越えてきた同志、恋人ゲルダにプロポーズ。
彼女には家庭よりも仕事が魅力だったのか・・・。
ライフ誌の取材で中国へ行くアンドレとスペイン内戦取材を続けるゲルダ。
愛し合いつつも別れ別れに。
そして2人にはそれぞれ、戦場に散る運命が・・・。


バウ公演ですので、フィナーレがつきます。
このフィナーレがいいですよ
もちろん芯は凰稀さんですが、下手からりく(蒼羽りく)ちー(蓮水ゆうや)みー(春風弥里)いち(鳳樹いち)の4人が
活躍します。この4人、ち-ちゃん以外はダンサーなので観ごたえあり。
あ、ちーちゃんも顔で踊ってますよ^^

白いドレスのうららちゃんが登場するのでデュエットダンスか!と心は盛り上がるのですが、さらりと流してすぐに男役のダンスになってしまうのが残念。
まぁ、いいですけどカッコイイから。(え?)


主な役と寸評です^^

■チ―キ・ヴェイス: 春風弥里(みー)

アンドレの親友?活動家。ベルリンからパリまでつるんで、出版社では便利屋、キャパ事務所設立後はマネジメントでなんだかんだ一緒にいますが、オフィシャルでは写真家仲間、プライベートではゲルダがいるのでチ―キの存在感は薄いです。2番手格を期待していらしたファンの方にはちょっと物足りない役どころかも。
お調子者で世馴れていて明るくて人情家・・・な王道のみーちゃんキャラ。
はい、「ヴァレンチノ」「クラシコ・イタリア―ノ」そして今作品、一貫して同じ役です(え?)^^;

■アンリ・カルティエ=ブレッソン: 蓮水ゆうや(ちー)
 デビット・シ―モア: 星吹彩翔(もんち)

ともに写真家仲間です。パリからずっと一緒。2人とも芝居巧者で安定感あり。
立ち位置としてはもんち上げが著しいですね。だってクラシコでは蓮水さんの役を新公でやったもんちが
完全に肩を並べて仲間、ですから・・・。
ちーちゃんは金髪のクシャっとしたヘアがお似合い。黒髪のちぢれっ毛のときは如何にも”ペッピーノさん”という感じでしたが。この方も、ヘアメイクでの役作りのセンスがありますね。
もんちはメガネで個性を演出。ゲルダとアンドレを気遣って2人きりにさせてあげようとするところなど、この人ならではの人の良さが滲みます。

■フェデリコ・ボレル・ガルシア、セシル・ビートン: 鳳樹いち(いち)

実質、第2幕の2番手はこの人です。
いい役。キャパを励まし、自らの使命を語り、身重の妻(綾瀬はるか似と話題の宙組かわい子ちゃん枠NO2の花乃まりあ)を気遣い、そして華々しく戦場で活躍。
最後はあの、キャパの代表作のポーズそのままで散るという・・・。
戦場の場面はダンスで表現されているのですが、バウだけあって人海戦術ともいかず・・・
でも、しっかりと緊張感と臨場感を踊りで表現できているのはいちくんの功積かと。
最後のポージングも完璧でした

一幕のセシル・ビートン卿は、ちょっとしたスノッブな気どりや。
うーん、彼の著作「ファッションの鏡」を熟読したわたくしとしては、もっとただの気どり屋ではない上流ならではの浮世離れ感が欲しかったのに・・・ちょっと俗物でした^^;
これからの進化に期待。

歌もダンスも出来て華もあるのになぜか新公主演のチャンスに恵まれなかったいちくんですが、
この作品に出会えてよかったですね!

■ヴァンサン・モンフォール: 蒼羽りく(りく)

一方、空組の誇る若手スター、愛月ひかるくんと新公主演を分け合ってきたりくくんの役付きが微妙でxxx
パリの出版社で、アンドレの写真のクレジットを差し替えて嫌がらせをするオヤジ・・・ですよ!
若手スターが!!
他にモブシーンでいっぱいアルバイトしています。
りくちゃん、好きなのであちこちで観られて嬉しい・・・という話ではありませんね。
先日発表された学年内の成績も2番から急に落ちましたし、心配になります。
写真家たちがスペイン行きを決めたところでちょっとしたフラメンコショーの場面がありますが、そこで芯をおどっているのが・・・りくくん。
お衣装もゴージャススパニッシュでかっこいい。
ダンサーなのでステキ!
というところでようやく溜飲を下げました。


他にも、専科の汝鳥さんがアンドレの恩人、ベルリン時代の出版社社長で滋味溢れる演技で締めてくれたり、ピカソ役の風莉じんさんがゲルニカの場面でしっかりとした歌を聞かせてくれたり・・・

あ、アンドレの弟役の桜木みなとくんってあんなにお顔が丸かったでしたっけ^^;

ざっとのまとまりのない印象メモですが、また思いだしたら追加致しますね



東京バレエ団・マラーホフ「ニジンスキー・ガラ」2012

2012-01-15 05:07:59 | BALLET
今年のバレエ初めは東京バレエ団の「ニジンスキー・ガラ」

ベルリン国立バレエ団の芸術監督としても活躍中のマラーホフと、
ウィーン国立バレエ団の芸監時代に見出してともに移籍したディヌ・タマズラカルがゲスト出演。

20世紀の偉大なダンサーであり、
振付でも非凡な才能を発揮したヴァツラフ・ニジンスキーの伝説的な演目を4つ。
こういう演目をレパートリーとして持っているというのは東京バレエ団にとって財産ですね。

ニジンスキーガラと言えば、思わず西宮の日本最終公演まで遠征してしまった2007年9月、
ローラン・イレールの伝説的舞台が脳裏をよぎりますが、そもそも、イレールが東バの「ぺトリューシュカ」に出演したのは、マラーホフが足を痛めたかなにかで出られなくなった代役だったという・・・。



あれから4年半。
その後、マラーホフは来日し、自分のガラの中で、牧神など数演目、このときの約束?を果たしてくれてはいるのですが。
様々な思いを胸に東京文化会館に赴きました。
今回は、9列目どセンター(笑)で、舞台構成をきれいに観たい演目に理想的な席。気合が入ります^^。

<ニジンスキー・ガラ>
◆ 主な配役◆

「レ・シルフィード」
プレリュード:吉岡美佳
詩人:ウラジーミル・マラーホフ
ワルツ:佐伯知香
マズルカ:奈良春夏
コリフェ:矢島まい-川島麻実子


「薔薇の精」
薔薇:ディヌ・タマズラカル
少女:高村順子


「牧神の午後」
牧神:後藤晴雄
ニンフ:井脇幸江


「ペトルーシュカ」
ペトルーシュカ:ウラジーミル・マラーホフ
バレリーナ:小出領子
ムーア人:森川茉央
シャルラタン:柄本弾


指揮:ワレリー・オブジャニコフ
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
ピアノ:尾崎有飛(「ペトルーシュカ」)


◆上演時間◆

「レ・シルフィード」 19:00 - 19:40
-休憩 20分-
「薔薇の精」「牧神の午後」 20:00 - 20:25
-休憩 15分-
「ペトルーシュカ」 20:40 - 21:20


■「レ・シルフィード」



振付: ミハイル・フォーキン
音楽: フレデリック・ショパン

白いマラーホフを堪能!
彼は早くから金髪の天才美少年ダンサーとして認識されていた割に、
卓越した身体能力ゆえにコンテンポラリー作品を踊ることが多く、古典や物語バレエでは、
芝居心の豊かさゆえ、コミカルな脇役(ABTの「海賊」では奴隷商人ランケデム)に回ったりで、
意外と王子様的な正統派2枚目役を観るのは貴重な機会かも。
マラーホフ自身、いつも素晴らしい演技とはいえ、全盛期のような流れるような圧倒的身体表現で魅せる時代は過ぎており、ひとつひとつのパを慎重に噛みしめるような丁寧さが、一層その感を強めていたことも否めませんが・・・。

白いロマンティックチュチュがお似合いの東バ美女群舞もそれぞれに良かったのですが、
ソリストがそれぞれに輝いていました。

プレリュードの吉岡美佳さんは、たおやかで繊細、甘く切なく気品とリリシズムに溢れた演技、特にやりすぎずに情感を伝えるアームスのタメが絶妙で・・・マラーホフのお気に入りダンサーだけあって、本当に良くお似合い。



マラーホフって、テクニックにも相手役のサポートにも優れているのですが、それ故に、お互いBESTパートナーと自認するヴィシニョ―ワのような強いバレリーナと組むと、女性の強さを惹きたてる側に回って忠実なる僕になってしまうきらいがあり・・・。
彼自身の客席に対するアピールが見事に消失してしまうのを惜しく思ったこと多々ありなのですが、
今回の吉岡さんとは、彼のロマンティシズム、繊細な感覚による丁寧な演技が、しっかりと見えてきて本当にお互いの美質を引き立て合う相性だなぁと、うっとりしてしまいました

ワルツの佐伯さん、手脚が長く、きびきびとした踊りとキュートな風貌でもともと好きなバレリーナさんの1人ですが、この日もなにか白く発光しているようなホワっとした華やかなオーラを感じました。
子供のためのバレエという企画ですが、近々(3月3日)「眠れる森の美女」で主役を踊る予定という旬の勢いでしょうか^^

マズルカの奈良さんもイキイキとしていて良かったです。
ベジャール作品などで役がつくようになった当初は、ヘアスタイルの作り方など、現代的なセンスの良さと男前なシャープさが魅力だと思ったのですが、その後、ネオクラシックやクラシックの演目では、そのシャープさが物足りなさにつながって、今一つ感が長く続き・・・。
昨年のギエム公演の「田園の出来事」のカーチャ役で、思いがけない役柄への理解の深さと軽快な演技に新境地をみた彼女。今回も良い感じで生命力の溢れるイキイキとした演技。今後もちょっと楽しみです。


■「薔薇の精」

振付: ミハイル・フォーキン
音楽: カール・マリア・フォン・ウェーバー(編曲: L.H.ベルリオーズ)



デビュタントの少女が、初めての舞踏会の余韻に浸りながらうとうととしていると・・・
薔薇の精が現れて・・・。
上手の窓から大きな跳躍で登場、下手の窓から同じく空に消えていく、という構成。
見事に消える薔薇の精に拍手を送りたくなる気持ちはわかりますが、音楽が続いて、少女が目覚め、
夢の余韻に浸る・・・というところまでで幕、ですので、出来れば控えていただきたいところ^^;

薔薇の精のディヌ・タマズラカルは、素晴らしい筋肉質の肉体美を濃い薔薇色の衣装に包み、しなやかな跳躍、ダイナミックな回転など、申し分のないテクニックを披露。
特にジャンプの着地の猫のようなしなやかさは(全く音がしません)特筆に値しますね。
どちらかというと甘いマスクで、とても男性的な体型ですが、中性的な妖しい色気とは無縁の、健康的で上品な(笑)薔薇の精でした。
これは演者それぞれですので、彼の場合は、それが個性ということで^^
高村さんの少女は、以前、ピッタリのキャスティングだわ!と楽しみにしていたら、前髪を降ろした上に白いナイトキャップのようなものをつけていたのがなんとも子供じみていてがっかりしたことがあったので、ちょっと心配していましたが、今回は控え目なヘッドドレスにセンターパーツのヘアスタイルで、彼女本来の愛らしさが素直に出ていてとても良かったと思います。



■「牧神の午後」

振付: ワツラフ・ニジンスキー
音楽: クロード・ドビュッシー
装置・衣装: レオン・バクスト



My BEST「牧神の午後」は2007年のシャルル・ジュド様。
ニンフの井脇幸江さんとの緊迫感溢れる対峙と、存在の神秘的なまでの高雅さは、いたずらな牧神レベルを超え、アポロかゼウスかという荘厳な趣で、ひれふしたくなるような圧倒的な存在感でしたが、今回の牧神、後藤晴雄さんはもっとカジュアルで、ちょっといたずら心もありそうな感じ。
どうやってつけているのか尻尾があるのですが、ニンフの残したスカーフと戯れようとしている牧神のところに戻ってきたお付きのニンフたちにとがめられるところなどで、飛び退く牧神のこの尻尾、バネがついているように揺れてちょっとコミカル^^;。
御正月のNHK「ニューイヤーオペラコンサート」で、上野水香さんとともに出演して、この作品が通しで放映されましたが、後藤さんの持つ、日本人離れした厚みのある立体的な肉体が、このアルカイックな絵画的作品の輪郭にきちんとおさまり、バレエ団代表としてTV出演するだけのハマり役であると再認識しました。

そしてニンフの井脇さん。
変わらぬ美貌の大ベテランですが、流石の存在感。
見つめ合うようでいてすれ違うニンフと 牧神の視線。横向きに腕を差し伸べる牧神と緩やかに上体をそらせて逃れるニンフ。
息をのむ緊迫感の中に、井脇さんならではの洗練された色香もほのかに漂い、ドビュッシーの音楽とともに、時空を超えた古代の田園に暫し心を遊ばせたひとときでした。

オケの出だしの菅がはずれていなければ完璧だったかと^^;

お付きのニンフたち3人X2チームの登場は、組んだ腕の鎖のようなフォルムも完璧で、絵画的な美しさを堪能しました。



■「ペトルーシュカ」

振付: ミハイル・フォーキン
音楽: イ―ゴリ・ストラヴィンスキー
台本: アレクサンドル・ブノワ、イ―ゴリ・ストラヴィンスキー
装置・衣装: アレクサンドル・ブノワ



この作品は音楽と言い、構成と言い、舞台美術と言い、本当に大好きなのですが
つらいのは、どうしてもイレールの洗練の極みとも言えるあの神がかり的な素晴らしさがデフォルトとなっているので、主役に完璧に満足することができないというところ。

そうです。
マラーホフでさえ・・・。
とはいっても、ニジンスキーの残された写真などから想像するに、案外、マラーホフの役作りの方がオリジナルに忠実で、イレールのほうが、実は、パリオペ仕様に、この哀れなる人形を磨き上げてしまったのかもしれませんが・・・。

人形振りも見事で、とりわけ、グダっと中におが屑が詰まっているようなちょっと重い感じが良く表現されていて、彼の悲しみや憤り、がしっかりと表出されていました。
眉と口元の片方を上げて片方を下げる描き方も、「ニジンスキーの舞台写真通り。
対するイレールは、白塗りはしたものの、特に表情を隠すようなメイクはせず、踊りも軽やかな中にマリオネット的な自分の体重がないようような浮遊感、と美しさが透徹した悲しみに集約されていたなと。

他者に今回、配役表には人形たちとシャルラタンしか出ていませんが、
お祭りの祝日、広場に集うロシアの民衆の群像劇が次第に暗くなるどんよりとした曇り空とともにイキイキと描き出されていて、東バのソリスト、プリンシパルたちがとても良い仕事を見せてくれています。

わかったところでは、連続フェッテなどの軽技を見せる少女の1人が西村さん。
前髪を帽子で押さえた髪形が新鮮でとてもキュート。
乳母の長は多分、前回と同じで、高木さん。4年前はおおらかな優雅さでどこの姫かと思いましたが、今はしっかりとお仕事もしてそうな^^;雰囲気も。
乳母たちが華やかに列を作って登場するシーン、高木さんの後に続くナンバー2はここ数年でめっきり女らしくなられた乾さん、しんがりは美少女吉川留衣ちゃん。
吉川さんは、鎖につながれたクマに皆が怯えるところでクマに絡んでいましたね^^
金持ち男と陽気に酔っぱらうボヘミアン?の女の1人は田中さん。
豪快で華やか。こういう役もお似合い。
ブルーのルパシカのコサックダンスチームのリーダー格、ピンクのルパシカの2人は、宮本さんと松下さん?
踊り出す冒頭での2人のジャンプの高さに目を見張りました。
突如として広場を駆け抜ける黒づくめの悪魔はシルエットからして氷室さんかな、と。
小柄で疾風の如くスピーディで小気味良い踊りは彼ならでは、ですね。

そして2人の人形たち。
バレリーナ役の小出さんは・・・リアルお人形ですね。
小柄で丸顔、ほっぺにマルを描いたようなお人形メイクとパ二エを仕込んだ膝丈スカ―トが可愛らしく、人形振りがお見事。
ムーア人は黒塗りで、表情が見えないもの・・と思いがちですが、どうしてなかなか、動きで個性が出るものなのですね。以前観たときの後藤さん、平野さんは、オレンジ?と戯れるところなど、少年ぽい 遊び心が垣間見られましたが、初役の森川さんはまだ振りをこなす・・という段階なのかも。
シャルラタンの柄本弾さんは、甘いマスクを御爺さんメイクに封印しての健闘でしが、高岸さんの怪しい大物っぷりに及ばず。
若手は今後に期待です^^

4作品、丁度100年前パリの話題をさらったバレエ・リュスの名作の数々を、現代の東京で堪能できるとは、芸術の継承とは不思議なものですね。
天才ニジンスキーの世界に浸りきることのできる、素敵なGALAでした





ウィーンフィル・ニューイヤー・コンサート 2012

2012-01-07 05:46:39 | MUSIC
新年おめでとうございます

毎年、この話題で年頭を飾っているような気がしますが、やはり!お正月の楽しみと言えば、元旦の夜、
はるかウィーンより衛星生中継で送られる、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のニュー・イヤ―・コンサート



楽友協会大ホ―ルを埋める正装の紳士淑女(必ずお着物の日本人女性がちらほら)、
毎年趣向を凝らされたフラワー・アレンジメント、
そして、毎年楽しみな、世界的指揮者とウィーン・フィルの競演とそのプログラム。
ワルツの場面で挿入されるバレエシーン。

毎度のことながら、心踊りますね

まずは今回の曲目をウィーンフィルのブログより・・

Johann and Joseph Strauss: "Vaterländischer Marsch (Fatherland March)"
Johann Strauss: "Rathausball-Tänze (City Hall Ball Dances)", Waltz, op. 438
Johann Strauss: "Entweder – oder! (Either - Or!)", Fast Polka, op. 403
Johann Strauss: "Tritsch-Tratsch (Chit-Chat)", Polka, op. 214
Carl Michael Ziehrer: "Wiener Bürger (Viennese Folk)", Waltz, op. 419
Johann Strauss: "Albion Polka", op. 102
Joseph Strauss: "Jokey Polka (Jockey Polka)", Fast Polka, op. 278

- Intermission -

Joseph Hellmesberger, Jr.: Danse Diabolique (Diabolic Dance)
Joseph Strauss: "Künstler-Gruss (Artists Greeting)", Polka française, op. 274
Johann Strauss: "Freuet euch des Lebens (Enjoy Life)", Waltz, op. 340
Johann Strauss, Sr.: "Sperl Galopp", op. 42
Hans Christian Lumbye: Copenhagen Railway Steam Gallop
Joseph Strauss: "Feuerfest (Fireproof)", Polka française, op. 269
Eduard Strauss: "Carmen-Quadrille", op. 134
Peter I. Tchaikovsky: "Panorama" from the Ballet "Sleeping Beauty", op. 66
Peter I. Tchaikovsky: "Waltz" from the Ballet "Sleeping Beauty", op. 66
Johann and Joseph Strauss: "Pizzicato Polka", no opus number
Johann Strauss: "Persischer Marsch (Persian March)", op. 289
Joseph Strauss: "Brennende Liebe (Burning Love)", Polka Mazur, op. 129
Joseph Strauss: "Delirien (Delirium)", Waltz, op. 212
Johann Strauss: "Unter Donner und Blitz (Thunder and Lightning)", Fast Polka, op. 324

前半、楽しかったのは、「トリッチ・トラッチ・ポルカ」
どんな悪童でも?天使に見える魅惑のセーラー服をまとったウィーン少年合唱団が花を添えます。

ウィーンフィル、ニューイヤーコンサート2度目の登場、ヨーロッパで絶大な人気を誇るマエストロ、マリス・ヤンソンス。
静電気のせい?前髪がパサパサと乱れていて、お年を召されたなぁ・・と思いましたが、
乱れた前髪を撫でつけて登場の後半はもう、ノリノリで・・・先の感想、失礼いたしました
どの演奏も素晴らしかった!

まずはヘルメスベルガ―の「悪魔の踊り」
ヤンソンスさんはこういうUPテンポな曲を小気味よく響かせるのがお得意?
とても良かったです。

続いてのワルツ「人生を楽しめ」では、今はマニュエル・ルグリが芸術監督、ということで、
意欲的なプログラム構成、新たな団員のオーディションなどで、活性化しているウィーン国立バレエ団員が登場。
山吹色のサテンのシンプルなドレスで、華やかです。
ここでは、Irina Tsymbal,、Denys Cherevychko,Natalie Kusch,Audley Teterin,
Marie-Claire D'Lyse,Alexandru Tcacencoの6名が踊ります。
前回の来日公演メンバーのデニスがいる!とチェック。

ルンビ―のコペンハ―ゲン蒸気鉄道のギャロップでは色々と趣向を凝らしたパーカッションが楽しい。


続く「鍛冶屋のポルカ」ではかなてこを駆使するヤンソンスさん^^



ここでもウィーン少年合唱団がしずしずと入場して合唱で盛り上げてくれました

ロシア人であるヤンソンスさんが、出自を意識してか、チャイコフスキーのバレエ音楽を。
眠れる森の美女から「パノラマ」と「ワルツ」を。
この「パノラマ」が本当に美しい曲で・・・;;
もともと、バレエで、リラの精が、狩りの一行から離れて1人になった王子に見せるオーロラ姫の幻影と、
姫と踊ろうとする王子を遮るリラの精とのパ・ド・トロワで・・・
ウィーンフィルの演奏が悪いはずがなく、新年早々、数々の名演を瞼に浮かべての夢想タイム。

続けての「ピチカート・ポルカ」は解説によると、大変珍しい原曲通りの演奏(弦だけでなく打楽器や管楽器のパートも演奏)だそうで、貴重な体験。
ウィーンフィルの名手たちが揃って弦を指でつま弾いて出す愛らしい音の繊細なニュアンスに酔いしれました。

ヨハン・シュトラウスの「ペルシャ行進曲」もエキゾチックで気持ちの良い演奏。
タンバリンのふちを撫で上げながら小刻みに震わせて出すベリーダンサーの振る鈴の音のような音など、
独得の奏法も映し出されて、やはりORFのカメラは曲を知り尽くしているなぁと感心。

そして、ヨーゼフ・シュトラウスが兄と弟の結婚を祝して作曲したというポルカ「燃える恋」



生誕150周年でクリムトをフィーチャーして、ベルヴェデ―レ宮殿ロケ。
こんな洒落た仕掛けでスタート。



しかも、この絵「接吻」を前にして踊ります。
麗しのダンサーはマリア・ヤコヴレワ(Maria Yakovleva)とキリル・クルラ―エフ(Kirill Kourlaev)
最後にまた、最初と同じく絵画通りのポーズでしめる、という構成も良かったです。

でも、なんといっても演奏でこれは!と思ったのは、
ワルツ「うわごと」
これもヨーゼフ・シュトラウス。
冒頭のビブラートが幻想的な空気を醸し出し、一転して華やかな展開部がなんとも魅力的。
聞いていてウットリと陶酔してしまう・・・ロマンティックな名曲です。
なんと、ニューイヤ―コンサートでは12回も登場しているとか。
美の求道者、カラヤンのお気に入りだったというのも納得

ポルカ「雷鳴と電光」の後は、御約束の「美しき青きドナウ」
ワルツですから、バレエの映像に。



カップルが宮殿の中に入ると、天井が回って、気がつくとブルーのドレス姿に!



5組のカップルが踊ります。
Olga Esina,Roman Lazik,Nina Palakova,Mihail Sosnovschi,
Ketevan Papava,Eno Peci, Kiyomi Hashimoto, Shane A. Wuerthner,
Maria Alati,Damide Dato.



最後また、元の姿になって現実に帰っていく・・・。

ひとときの夢の世界にいざなってくれるウィーン・フィルハーモニー管弦楽団と
それを心から楽しむ人々・・・。
新しい年こそ、人々が美を享受できる平和な年となりますように