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お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

花組シアター・オ―ブ公演「戦国BASARA」

2013-06-30 09:42:19 | TAKARAZUKA
宝塚花組、渋谷東急シアター・オ―ブでの公演
「戦国BASARA」に行って参りました。



とはいえ、観劇日は6月20日(木)14:00公演で、明日はなんと千秋楽・・・というタイミングでの感想ではありますが^^;

シアター・オ―ブでの初の宝塚公演、花組に異動した月組の準TOP明日海りおの花組での初お披露目作品、
そして、ゲームのカプコンとのコラボ(これは宙組で好評を博しⅢまで出た「逆転裁判」シリーズなどすでに盤石のカップリング)と話題いっぱい。
ポスター、制作発表段階では、そのコスチュームの特異さゆえに壮絶な駄作になるのか、通いたくなる魅力的な作品となるのか、全く予測がつかない状態で・・・。
とりあえず、宝塚友の会での申し込みではあまりの落選率の高さにまさかのチケ難公演か?と驚きの声があがったのですが、どうやら、各方面と宝塚のチケット配分の調整が不慣れなため上手く行かず、一度は取り込んだチケットを後から生徒たちに振り分けたため、一般では買えないのに、あちこちからお声がかかるという状況に・・・。
というわけで、せっかく新規のファンを取り込めそうな公演でしたのに、一般販売が少ないという残念さはありましたが、花組ファンの方たちは楽しめる公演であったかと

ミュージカル・ロマン
『戦国BASARA』-真田幸村編-
公演期間:2013年6月15日(土)~7月1日(月)

原作・監修・制作協力/株式会社カプコン
脚本・演出/鈴木圭

[解 説]
2005年の発売以降330万本もの販売を誇る人気ゲーム作品「戦国BASARA」を宝塚歌劇が初のミュージカル化!戦国武将をスタイリッシュに描いた原作は、ゲームだけでなく、アニメ、映画、舞台、ドラマと様々なコラボレーションでも人気を集めています。今回のミュージカル化では、戦国武将の生き様をドラマティックに描くとともに、宝塚歌劇ならではのロマンも加味し、より華やかな舞台をお届けします。東急シアターオーブでの初の宝塚歌劇公演となる本作品の主演に、花組トップコンビ、蘭寿とむ、蘭乃はなが挑みます。

時は戦国時代―。様々な群雄が割拠し領地争いにしのぎを削る中、甲斐の武田信玄と越後の上杉謙信もまた、互いの雌雄を決するべく、川中島で幾度となく烈しい合戦を繰り広げていた。
甲斐の虎、武田信玄から厚く信頼されている、武田軍の若き闘将、真田幸村は、情熱的で忠誠心が強く、合戦の場では二本槍を自在に駆使する圧倒的な力で、武田軍の攻撃の要として活躍していた。
幸村の幼馴染として密かに想いを寄せる、いのりは、甲斐の国で幸村の戦果を耳にするたび、彼のあまりにも実直すぎる生き方や、わが身も顧みない烈しい戦い方にその身を案じていた。
一方、武田軍と相対する上杉謙信は、人智を超越した戦いぶりから軍神として畏怖されていたが、戦場を疾風迅雷の勢いで進撃する幸村の姿に瞠目し、敵ながらその力を認めるのであった。

戦国の世に異なる夢を描きながら、直接対決へと向かっていく幸村と謙信。それぞれの運命がまた大きく動き出していく・・・・。  (以上、宝塚公式HPより)

《主な配役》 出演者
真田幸村:  蘭寿 とむ
いのり(幸村を慕う少女):  蘭乃 はな
猿飛佐助(幸村の腹心の部下):  望海 風斗
武田信玄(お館様・幸村の主君「甲斐の虎」):  華形 ひかる
真田昌幸:  月央 和沙
幸村(少年):  春妃 うらら

上杉謙信:  明日海 りお
かすが(謙信を慕う忍び:)  桜咲 彩花
宇佐美定満 : 鳳 真由
直江兼続:  大河 凜

伊達政宗:  春風 弥里
夢:      芽吹 幸奈

主人公、真田幸村が戦乱の世、親を亡くして以来武田信玄を第二の父、絶対的主君として仕えるも、倒れた信玄に後を任される。
熱血キャラゆえ、今まで考えたことのない自分の責任・重圧に自身を見失いかけるが、戦場で助けた少女いのりの「自分を大切に」メッセージ、腹心の部下佐助の冷静な分析、偶然剣を交わして互いに相手をライバルとして認めあうに至った伊達正宗の言葉、そして、武田信玄のライバルであった上杉謙信とのバトルを通して成長していく姿を追う・・・・というのが主軸となるSTORY。

これは、演出・鈴木圭先生の「夢を追う男子の自分探し&彼の夢を全力で応援する女子」のラブストーリーという常なるテーマと重なり、目新しい題材なのに既視感がスゴイ、というのがアレではありますが、OPENINGからして掴みはOKというVISUAL力の高さで全てを帳消し?に。



この方々が超絶カッコ良いポーズと表情で決めまくるわけですから、もう、楽しさいっぱい。
STORY<キャラクター、です。

上左から個々に

■かすが(謙信を慕う忍び:)  桜咲 彩花
コスチュームの勝利、でしょうか・・・。今まで新人公演などで抜擢されていても、上手いけれど地味ポジだった彼女、色っぽいコスプレ、低く抑えた声でデキル忍びを演じつつも、敬愛する謙信の前で「わたくしのうつくしきつるぎ・・・」と頬に手を当てられるとなんとも色っぽい声で「あぁ~けんしんさまぁ」。で、バックに薔薇の花が咲き乱れる映像・・・で、毎回場内どよめきと笑いの渦でしたが、この薔薇はゲームの作者がタカラヅカをイメージされて、原作にもある演出なのだとか^^ゲームファンにはたまらないところでしょうね^^

■猿飛佐助(幸村の腹心の部下):  望海 風斗
もう、登場シーンから目が釘付け!
あの四角い額縁のようなものは・・・ゲーム・キャラに忠実に作られた小道具だそうですが^^;
それよりも片脚を上げて軸足の膝に付け、考えるヒトポーズを静止画像状態でKEEPするだいもん(望海)スゴイ!
キャラクター的にも、深く熱く悩みがちな幸村を主従関係を超えて諭したり揶揄したりの飄々としたデキル男キャラ。
同じ忍びの出のかすがをくどいて、美声で歌い上げる場面などもあり、オーシャンズの悪役ベネディクトに続いて、優等生だいもんの新たな魅力が開発されている予感



■武田信玄(お館様・幸村の主君「甲斐の虎」):  華形 ひかる
永遠の美少年みつるくん(華形)が一人称「わし」の威厳溢れる武将とは・・・^^;
しかし、そこはさすが上級生スター。大きな連獅子鬘に負けない存在感でご立派になられて・・・;; ちょっと感無量。

■伊達政宗:  春風 弥里
もう、この公演で一番美味しかった人では?!
シャキ―ン!と出した3本刀X2本でのやや上体反り気味のポ―ジングが完璧!なだけでなく、
「独眼竜は伊達じゃないぜ、You see?」のキメ台詞に全観客がヤラレました。
「You just wait」とか・・・。
面白カッコよすぎる・・・。
それにしてもみーちゃん(春風)は花組に来てどんどん花開いていますね!
宙では当たり前だった長身にダイエットでシルエットに磨きをかけて、芝居上手で結構熱いところが上手く活かされて本当に公演毎に目を惹かれます。あ、登場時には兜つきでしたが、2度目に傷心の幸村を励ましに?来た時には兜を脱いでお顔を見せていました。ファン・サービス、ですね?(確認)

下左から
■上杉謙信:  明日海 りお
みりおちゃんも花組芝居に溶け込んでいる・・・といいますか、いいんですか?!いや、いい、こんなみりおちゃんを観たかった!とファンの方も思っていらっしゃいます?
もともと落ち着いた芯のしっかりした人柄がにじみ出る芝居上手さんで、お顔立ちの美しさは劇団1、2を争うところではありましたが、月組では下級生として一歩控えた感じのどちらかといえば優等生的な役どころが多かったような・・・。
謙信はキャラクター的には、一人称わたくし、で、解脱しかけている達観キャラではありますが、やらされていることは上記のかすがとのヅカプレイ(?)、身の丈より長いのでは?と思われるライトセーバー振りまわしの、蘭寿さんとの大立ち回り、とかなり様子が違うような^^;
でも、みりおちゃんの活かし方としては正解な気も。端正でしっかりとした軸のあるスターさんだからこそ、演出でいじり倒しても地に落ちない地力があるとでも申しましょうか。
映像でやたらその美麗お顔のUPが多かったのも演出の気合と期待を感じます。
これからが楽しみになってきました
謙信軍、かすがも、ですが、武将として配されたのが宇佐美定満=鳳 真由、直江兼続=大河 凜と若手男役スターの中でも寄り抜きのPretty系を揃え、軍隊は娘役で固める・・・というのがツボでした^^



■真田幸村:  蘭寿 とむ
今更・・感もある、17歳の青臭い自分探しキャラの主人公。
オーシャンズでハマり役だった大人の男を演じた人とも思えません^^;
こういう直情的な熱い男も蘭寿さんの魅力の一端かもしれませんが・・・。
ちょっ幸村自身キャラクターとしての魅力が薄い(ゲームでも一番人気は伊達正宗だとか)のと、
得意のダンスを動きにくいコスチュームと長い槍で封じられていたのがなんとも残念。
一人称「それがし」語尾「ござる」と、何重にも負荷を与えられてそれでも輝き続ける蘭寿さん、偉大なり。

■いのり(幸村を慕う少女):  蘭乃 はな
コスプレ以外の何物でもない衣装と髪型で、普通の村人たちに混じって幸村をただただ慕い続けている少女、という第1幕は、せっかくこのところ大人の女役で一皮むけて成長著しいとされる蘭乃さんの無駄遣い・・とがっかりしたのですが、第2幕で秘密を明かし、その上で自己犠牲を働くという展開の中で、彼女らしさが発揮できて良かったのではないでしょうか^^
作品全体の感想にもなってしまいますが、フィナーレのダンス、割合普通の和物ショ―の一場面的な演出で、大階段でのデュエットダンスも重そうな打ち掛けを羽織った男女のゆるやかな動き・・・で、せっかくのダンサーペアの活かしどころがないのがなんとも残念。

そう、この作品、ストーリーは置いておいて^^;、素晴らしいコスチュームとその着こなし、演技力を持ってしても、今一つの物足りなさが残るのは・・・・ダンスが少なすぎる!こと。

オープニングに続く群舞、期待MAX!
なぜってよっち(月央)がセンターのリーダーポジションにいての武将祭りですから、これは!と思っていたら、やたらと派手なフォーメーション替えはあるものの、踊りそのものは・・・・
これは衣装が重くて動きにくいから?
そして、2本槍をクロスさせて頭上に掲げた蘭寿さんがセンターに登場!の場面でも・・・。
一歩一歩全身するその足先の出し方、リズムをとっての前進の仕方表情などに全神経を集中させているのはわかるのですが・・・あぁ・・・ダンサー蘭寿とむが観たかった!
歌も、だいもんのかすが籠落(未遂)ソングなどもあるにはあったのですが、今一つ印象に残るものがなく・・・。
楽しい超B級娯楽作品でワクワクしましたが、贔屓組(宙・星)では再演してほしくないかも・・・

とはいえ、花組が、キキちゃん(芹香斗亜)バウで若手スターを取られて、の状態で、これだけ個性的な役どころを魅力的に演じられるスター揃いの組であるということは充分証明されたのでは?
今後の花組公演、(次回は「アンドレア・シェニエ」植田景子・演出ですね!)が楽しみになって参りました

■追記■
2013年7月4日花組集合日
春風弥里さんの退団が発表されました・・・。
散々今後の花組が楽しみだ♪と浮かれていた矢先に・・・。
みーちー大の同期3人が宙組の若手人気を牽引していたときにはそれほど・・・だったのですが、
花組に来て、宙では当たり前だった長身のスタイルと、持ち前の演技力に花組特有のキザりの濃い男役テイストを身につけて、前作の「オーシャンズ」あたりから、エロカッコいい?!というキャラクターを確立しつつある、まさに上り調子の中堅スターさんであるというのに・・・。
次の新人公演の主役は朝香まなとくんに変わる新たなる花の御曹司芹香斗亜ちゃん。そして2番手格に若手大注目株の柚香光くん。
現体制の2番手だいもん(望海風斗)の上に月から同期のみりお(明日海)ちゃんと、生え抜きのスターですら、いわば終了宣告を突き付けられているかのような状況でどうモチベーションを維持していけるか・・・。
完全な脇役風味ではない、TOPを目指して頑張っているのであろう華のある中堅・新進スターほど、自身の進退を考えてしまうであろうことは想像に難くはありませんが、そういうTOPにはならないけれどもちょっと個性が光って華もあるスターが充実していること、それがすなわち観客からすると美味しい楽しい状況というわけで・・・。
そう思うとオーシャンズ、BASARAとラントム体制下のいわば黄金期だった・・と後から振り返ることになるそんな時期だったのかも。
1回ずつしか観ていない自分が残念すぎますが^^;
本当に一寸先は闇ですね・・・(←まだショックから立ち直っていない) 




宝塚宙組東京公演「Amour de 99!!-99年の愛―」

2013-06-19 01:36:59 | TAKARAZUKA
千秋楽から早くも10日立ち、昨夜は大劇場にて星組が信じがたいハイレベルな新人公演で騒然となっている・・・
そんなタイミングでの宙組東京公演、思い出し語りです

レビュー・ルネッサンス
『Amour de 99!!-99年の愛-』
作・演出:藤井 大介

[解 説]
 99年という長い歴史の中で、これまで宝塚歌劇が繰り広げてきたショー、レビューの名作、名場面の再演を盛り込んだ、華麗なステージ。様々な作品へのオマージュと共に、100周年への架け橋となる作品を目指します。

大劇場での公演中、漏れ聞こえてきた声は、
100周年を前にして、過去の演出家の先生方へのオマージュ、という制約の中、
大きな白黒の顔写真、そして過去の舞台画像が大スクリーンで映し出され、その前でのレビューの一場面一場面・・・という構成ゆえ、その平坦な展開と常に映し出される男性の顔、が気にならなければ楽しいレビューという微妙な声と、とにかく「パイナップルの女王」に尽きる!!!という感動の声^^;
TOPスター凰稀かなめさんの美脚を拝める華やかな女役場面があり、そこが最大の見どころ・・・ということで、楽しみにしていたのですが。

いやいや、見れば見るほどハマるショ―でした。
冒頭の暗転後、和物のショーでよく使われる手法「チョンパ」で始まるのですが、これがもうワクワク感でたまりません!
パッと明りがつくと目の前の銀橋にセンターTOP娘役の実咲凛音ちゃん、そこからずらりと路線男役スターが白スーツで居並ぶ・・・という華やかなOPENING!
今回の宙組は、TOPスター観賞を目的としていたので、全てセンター席での観劇だったのですが、
そうするともれなく七海ひろきさんが目の前にそそり立つ・・・という状況でショーを見始めることとなり・・・。
今まで、実はあまりじっくりと見ることのなかったスターさんですが、改めてよくよく見るととても小ぶりでキレイなお顔立ちにスラリとした長身173cm。腰の位置も高くて可愛らしさとカッコよさが程よくMIXした華やかなスターさんと認識。
お対で使われることの多かった蓮水ゆうやさんとどちらを観るか迷っていたのですが、今回の公演は、七海氏をメインにしよう!と心を定めると、とたんに楽しくなってきました・・・(ゲンキン)

プロローグは「愛の宝石箱」
本舞台の奥にかなめ姫が白いTOPスター衣装で現れ、「Amour・・・」とささやいて歌い出し、朝夏まなと、緒月遠麻、悠未ひろ、専科の歌姫美穂圭子お姉さま、そして実咲凛音ちゃんと、次々にセンターをとって歌いながら階段を降りてくる・・・という怒濤の展開!

ここから、構成として、「ムッシュxx!」としてオマージュをささげる演出家の名を呼ばわり、そこから、過去の名場面の再演を2つほど見せる・・・という流れに。

時系列で振りかえりますね。

★ムッシュ・ディニテ(気品)内海重典

朝香まなとさんが黒白の1910~20年代風衣装の美風舞良・大海亜呼・純矢ちとせ・愛花ちさきのベテラン娘役を引き連れて銀橋を渡ります。

☆「グラナダ」(1965年「ラ・グラナダ」)

センターの高い位置にダークレッドのスパンコールぎっしり、の闘牛士お衣装で凰稀かなめさん。
「オ―レ」の声が野太く作られて、初見のときには意外性と頑張っているな~と焦る気持ちで勝手にハラハラしましたが、回を重ねる毎に安定感が(見慣れた、とも言う)。
16人の男役がバックダンサーで寿つかさ・蓮水ゆうや・七海ひろき・凛城きらという4人が周りを固めるという華やかな場面ですが、いかんせん、皆様深く鍔広のお帽子着用にて、個々の確認がとれず・・・って主にセンターにくぎ付けだから仕方がないのですが^^;
高い位置のセンターから降りて銀橋を渡るために上手を走る凰稀さんに「ムイビエン!」と声をかけるすっしーさん(寿組長)との一瞬の笑顔のアイコンタクトがMyツボでしたv
すごく力強い男性像を作ろうという意志ある表情ゆえか顎のラインが角ばって見えましたが、それはお帽子の紐のせいかしら・・^^;
お衣装のダークレッドのスパンコールはメーカーの新色で、明るい赤ではスパニッシュのムードが出ないと苦心してきたお衣装部さんには待ってました!の今回のお衣装だったとか

★ムッシュ・エレガンス(優雅) 横澤英雄

☆「ボン・バランス」(1975年「ボン・バランス」)

もう~このシーン大好きです!大好きすぎていつもあれ、もう終わっちゃうの??;;と残念だったという・・・。
3組の若手カップルが白ベースの2TONEのお衣装で軽快に歌い踊りながら、上手から銀橋を渡ってまた上手にはける・・というそれだけなのですが、若手スターの魅力炸裂場面です。
センターがあっきー(澄輝さやと)れーれ(すみれ乃麗)の白ピンクカップルで、スラッとスタイルの良いあっきーの意外な表情の豊かさ(!)と笑顔いっぱいで前方席の1人1人のお客様にばっちり目線を合わせてアピール力高すぎるれーれの磁力にあらがって(いや、ほとんど負けてましたが^^;)下手の大のお気に入りカップル蒼羽りく・伶美うららのBeautyPairを必死で視界に入れようとするわたくし・・・。
白い鍔広のお帽子とレトロなテニスウェアのようなシンプルなミニワンピが可愛過ぎ。アクセントカラーはオレンジで、ちょっとクラシコ・イタリア―ノの新公を思い出したりしておりました^^
この2人はちょっとおすましな感じでそれがまた良いのですよね
上手の愛ちゃん(愛月ひかる)瀬音リサちゃんカップルも白・イエローのお衣装でとても可愛かったのですが、こちらまでフォローする余裕全くなし!(笑)残念。目が3組分欲しい!
ボボンボン・ボン・バランスの軽快な音楽が耳に残ります。

☆「祈り」(1982年「ザ・ストーム」)

これはブルー系の斜めにラインの入ったモダン調のルパシカ風衣装に、三角形のビーム光線のような照明だけというシンプルな舞台で、これまたシンプルな(でも結構難しいバランスの)振りつけで踊るスピーディなモダンダンスといった場面。
後ろに上体を傾けて片脚を斜め前にあげてキープする、というバランス感覚とキ―プ力を問われる振りが多用されているので、真のダンサーか勢いで踊るタイプか一目瞭然という^^;
こういう場面を観ると、今年1月の博多座で退団された鳳樹いちくんや、月組に異動した凪七瑠海さんの不在が痛いですね。変わって目立つ位置にCuteFaceながら実は優等生の星吹彩翔さんがきれいに踊っているのを確認して安心。りくちゃんがいれば・・なのですが、ボンバランスメンバーだったから・・・。
場面を与えられていたダンサーとされる朝夏まなとさんは、長身で手足が長い踊り映えする容姿なのですが、バランスを取るときに足先がフレックスになりがちなのが気になりました。
逆にダンサーとして周知されているわけではない凰稀さんがそのあたりの指先足先に対する神経が行きとどいているのと、悠未ひろさん、朝香さんと3人並びで同じ振りを見せる場面での表情を含めての求心力が、さすがTOP、と思わせるものがありました。
宙組娘役一のダンサー大海亜呼さんと悠未さんのダイナミックなリフトも見どころ。
あ、あと、結構注目しているという声が聞かれた和希そらさんを最後の最後で捕獲。
なんといいますか・・・力いっぱい踊っていらして、で、力まかせのようでありつつギリギリのところでコントロールされている、という・・・確かにこれは一度目視して確認できると、観てしまうかも、ですね^^
彼女はお顔立ちがちょっと地味なのと身長も普通な方なのでパッと目立つタイプではないのですが、忘れられないのが中日公演「仮面のロマネスク」での見事な陰ソロ。歌が朗々と歌い上げる系で、職人タイプの実力派?頼りになる下級生です。

★ムッシュ・シャラ―ル(暖かさ) 高木史朗

「タカラジェンヌに栄光あれ」(1963)を歌いながらの御紹介は、あたたかさと言えばこの人!の緒月遠麻さん。
ここからが怒濤の展開で・・・

☆「リオのリズム」(1960年「華麗なる千拍子」)

舞台上に4つのコンガが。松風輝・星吹彩翔・春瀬央季・桜木みなとに順にスポットが当たって・・・
下手から銀橋をずんずん進んでくるのは・・・ライチの男、凰稀かなめ氏!



基本、宝塚のラテンのお衣装ってあまり得意ではないのですが・・・
これはキレイでした!この羽が、銀橋渡りだと、暗闇に白い部分が水玉のように浮かび上がるのですが、それが本当に映えるのですよね・・・。
この羽って、「アパショナ―ド」で瀬奈じゅんさん、大空祐飛さんがつけていらしたときもキレイだなと思っていたのですが・・・。でうっとりしていると、なんと!「2階席~」と熱くコールするのはまさか・・・?
クール・ビューティ―な持ち味で、所謂宝塚男役の「オラオラ」パフォーマンス(男っぽく荒くれた掛け声などを上げて場面を盛り上げること?)をするイメージがなかったのに、まさかのあおり。
で、「2階席・・・」が?どうしたのかな?で初回は終わっていたのが、回を重ねる度に「2階席~盛り上がってるか~!」とか、ご本人も慣れてきたみたいで^^
中日を過ぎたころ、2階席で観劇していらした友人が、あのかなめちゃんの掛け声で周りが大喜びで大盛り上がりだったのよ~と報告してくださって、心より安堵。
熱い男役を目指す、という今回の公演での課題をクリアされたみたいで・・・。ファンとしては、TOPとしてますます大きな存在に成長される姿を嬉しく見守るばかり・・・です

さてさて、次々とスターが銀橋に・・・。
ここ、怒濤の展開で、本当に豪華。
まずはブルーベリーの男、朝香まなとさん、次にバナナの男女で、蓮水ゆうや・七海ひろき・すみれ乃麗・伶美うららなのですが、ここ超私的見どころ、カイちゃん(七海)うららちゃんカップル!銀橋渡りなので一瞬、なのですが、良いものを見せていただきました
本舞台でダンサーすっしーさん(寿)あこさん(大海)が踊るのを確認しつつ、銀橋を渡るのはマンゴーの女、歌姫軍団、美穂圭子・純矢ちとせ・愛花ちさきのお姉さまたち。
続いてパッションフルーツの女・真っ赤なドレスがカワイイ実咲凛音ちゃんが澄輝さやと・凛城きら・愛月ひかる・蒼羽りくの若手スターを引き連れて・・・。まさかりくちゃんあっきーがいるのにみりおんちゃんが可愛くて、やっぱりセンターを観てしまいますね
最後グレープの男、悠未ひろさんが暑苦しい(笑)パフォーマンスで渡りきられると・・・
そしてそしてクライマックスが・・・舞台センターにそそり立つ大きな装置の上でゆらゆら揺れている後ろ姿は・・・



ジャーン!で、振りかえるとそこにはパイナップルの女王様!
きらっきらのヘッドドレス、ダルマ(レオタード)衣装に巨大な羽に後ろのフリフリトレ―ンもさることながら、
そのおみ足がっ
はい、赤い網タイツに覆われた長くてすらりとした美脚が目の前に!
確認しましたが、いつもの私服の時のピンヒールより数段低い5~7cm程度のヒールの金色のサンダルを履いていらしてのあの美脚。
もう、会場騒然、その驚きふためく観客を気持ちよさそうに眺めながらご機嫌麗しく微笑みを湛えて優雅に階段を下りてこられる女王様、それを恭しく迎える悠未さん、オヅキさんたち。
女王様、上手に下手に移動しつつ、ウィンク、お手振りなどふんだんに客席にアピールされて、最後銀橋下手でお客様を1人釣り上げて(これ、デフォルトです^^)去っていかれる・・・というこの時間、もう、脚を拝みたいけど満面の笑顔にも釘付けで・・・正直、舞台の上で他の人たちが何をされているのか全く記憶にありませんが・・・
で、パイナップルを頭にのせたロケットが登場するのですが、先程の脚がまだ脳裏に焼き付いているので、30人弱の脚が目の前で踊っても、最長身のコでさえも同じ脚とは思えず・・・ロケットで若さを炸裂させて頑張っている皆様ごめんなさい^^;

★ムッシュ・ボーテ(美しさ) 小原弘稔

☆「愛のクレッシェンド」(1981年「クレッシェンド!」)

今度バウでW主演が決まっている、「銀英伝」の双璧役以来追い風の吹いている観のある、ちー(蓮水ゆうや)カイ(七海ひろき)のお二人が黒シャツにローズピンクのサテンのベストとパンツ姿で銀橋に立ち、シンメで歌います。
どちらを観るか問題に悩みましたが、記事冒頭でふれたように、今回カイちゃんに集中することに相成りまして解決^^
ここ、ショーガールで若手娘役さんたちが絡むのですが、そのセンターにそれぞれ、舞花くるみ・夢莉みこの退団者お二人が配されているあたりに藤井センセイならではの配慮を感じます。

☆「パッシィの館」(1986年「メモワール・ド・パリ」)

もう、この場面、大好きです!
優雅で洒落ていて、エレガンスそのもの!と思わず絶賛。
OLDファンの方はちょっと辛口なことを言われているようですね。初演の大浦みずきさんの印象が強すぎて、朝夏まなとさんにはちょっとハードルが高かったかも・・・。
幸か不幸か初演を知らないわたくしにとっては、フレッド・アステアの映画のような洒落たムードと音楽、優美な衣装とストーリーに満点をつけたい気分になりましたが・・・。
共に花組から異動してきた2番手朝夏まなとさんとTOP娘役実咲凛音さんの場面。
祖父母とPartyに招かれてきた宝石のまぶしい資産家令嬢、みりおんちゃん。彼女に目をつけて、ブレスレットなど身につけたダイヤモンドをこっそり検分するまなとくん。
泥棒紳士である彼は、あっきー(澄輝)と踊っていたみりおんちゃんを誘って優雅に踊ります。
踊りながら2人で夜の庭に出て・・・彼女に愛を囁き、歌い、また広間で踊りながらこっそりと彼女のブレスレットをはずして(踊りながらはずして、それを「盗ったぞ」と観客に見せる流れのスムースさがすばらしい)踊りの礼を言う。
彼女は気付かない風ですっかり素敵な夜に舞い上がっている風情。
しめしめ・・と思っていると彼女が戻ってきて、まさか気付かれたのでは・・・と内心動揺していると、微笑みながら更にゴージャスなネックレスを自らはずして、彼の手に・・・。
走り去る彼女。呆然とする彼。
でも・・・一瞬ののちに2人同時に踵を返して・・・
HappyEnd.
白いドレスにゴージャスなラインストーンの装飾品をフルにつけたミリオンちゃん、鬘をなんとかして欲しかったのですが・・・。最近舞台メイクはとても上手になったので、あと一歩。頑張って~!
まなとくんとの並びはとても自然で、お似合いだと思います。(かなめちゃんとよりも・・・)

初見の時は主役のお二人とストーリーにうっとりとしていたのですが、2回目以降、発見してしまったのですよ、わたくし。
この場面に出ているピンクのシンプルなロングドレスの淑女たちの中に、うららちゃんを^^
そしてうららちゃんと踊っているあっきー(澄輝)と、その下手側でえびちゃん(綾瀬あきな)相手に優雅に大きく存在感たっぷりに踊っているりくちゃん(蒼羽)を・・・。
もう、この3人を同時に視界に入れる至福のときと言ったら・・・。
うららちゃんはスラリと長身なので、ロングドレスが本当にお似合い。
デコルテラインもなめらかで、サイドパーツで撫でつけてシンプルなシニヨンにしたヘアスタイルも大人っぽくてステキ。
一瞬時が止まった・・・という設定で、周囲の紳士淑女方が皆ポーズを決めて動かなくなり、盆が回るセンターで主役の2人だけが踊り続ける・・・という場面、うららちゃん・あっきーのカップルの麗しいシルエットは本当に眼福でした

★ムッシュ・ヌーヴォーテ(斬新さ) 鴨川清作

☆「愛の宝石」(1973年「ラ・ラ・ファンタシ―ク」)

紹介するのは悠未さん。その周りを宝石の美女が・・・。このお衣装は「ノバ・ボサ・ノバ」でのナイトクラブシーンで若手男役が夜の蝶を踊った時のお衣装かしら?
紫ピンクのたっぷりとしたロングドレスに、プラチナブロンドのロングの盛り髪。
若手男役~桜木みなと、実玲淳、朝央れん、七生真希、秋音光、留依蒔世~は皆普通におXX風味もなく娘役より高身長なこともあってロングドレスがきれいに着こなせていて可愛かったです。
個別確認できたのは半分以下でごめんなさい^^;

☆「Sometimes I Feel Like a Motherless Child」(1967年「シャンゴ」)

美穂圭子さんの歌声が絶品。
ちょっと1970年代のヒッピー・ムーヴメントを予感させるようなけだるくエキゾチックなムード。
夕焼けの大地をバックに洞窟で愛を確かめるカップル?の図?
オヅキさん衝撃の女役・・・と聞いていましたが、ちょっと逞しいけれど、大地に根を下ろすジプシー女としてみると全く違和感なし。
違和感は、一回り華奢な凰稀さんがカップルの男性役であるというところ。
ちょっとしっかりした母性的なお姉さんと超絶美青年な弟、な感じなので・・。
リアルカップルにはある得るかもしれませんが、舞台上の収まり、というところではやはり??
凰稀さん単体で観るととても素敵で、最後銀橋上手と下手端に2人が分かれてセリ下がる最後の最後まで情感を湛えてらして良かったです。

☆「シャンゴ」~フィナーレ
☆「子守唄」(1970年「ポップ・ニュース」)

ここ群舞なのですが、金の衣装の人々が舞台にひしめき合ってエネルギーを発散する・・・。
踊る人々のパワーもさることながら、ここコーラス隊が
男役:風羽玲亜・天風いぶき・天玲美音・星吹彩翔・和希そら・留依蒔世
娘役:鈴奈沙也・美風舞良・純矢ちとせ・花音舞・花里まな・瀬戸花まり
というだけでちょっとわくわくしますね。
みりおんちゃんと若手たちは陰コーラスに入って、上級生男役中心に力強く踊りまくる・・・という。
そこで一際金装飾が華やかな衣装のシャンゴの神=凰稀さんが登場して一緒に踊り一同クライマックスを迎える・・・。
最後、1人になった凰稀さんがアフリカの子守唄を歌いながら、銀橋を下手から上手にゆっくりと掃けていく・・・という展開ですが、このゆったりとしたメロディーとちょっと甘いクセのある声質が合っていて、とても心地よい場面。

で、本舞台センターに可愛らしい女の子が・・・。
の次の場面もとても好きなのデスが、この二つの場面はダブらせてほしくなかった!
それぞれに完成度が高いのに、世界観が違いすぎるのでダブって視界に入ることで寄せ集めのセンスの悪いショ―みたいな座りの悪さを感じてしまい・・・。
ここ下手に繋がなくても、と。全ツでもこのショーを持っていかれるようなので、改善されるといいなと思っています。

☆「ハッピー・トゥモロー」(1976年「ハッピー・トゥモロー」)

娘役さんたちのカワイイシーン。
淡いピンクのサテンワンピのみりおんちゃん(実咲)センターでレモン・イエローのうららちゃん(伶美)、水色のれーれ(すみれ乃)の3人娘再び・・・。
白とグリーンのワンピースの娘役さんたちも可愛いのだろうなと気配を感じつつも(笑)センター3人の華やかさに目を奪われてしまいます。。。がもっと素敵なシーンが次に!

☆「愛!」(1970年「ポップ・ニュース」)

黒燕尾です
正統派の黒燕尾の男役が大階段にズラッと並んで皆、一輪の紅バラを手にしているという最強な場面です。

いつもなら、数名点呼しておくのですが、今回は薔薇を手にした凰稀さんが麗しすぎるのと、その薔薇に手を添えたり・・の指先の繊細すぎる動きにうっとりしてもう、他が観られず・・・。
しかも銀橋センターで、毎回お客様にその薔薇をお渡しする・・・というサービスが^^
片脚を流してしゃがんだ体制でどうぞ、と茎の方をその方に向ける・・・のですが。
たいていちょっと遠慮されるのを促していらして。握手を求められたり・・・で、ちょっとした時間がそこでかかると・・・

☆デュエットダンス「TAKARAZUKA FOREVER」(1984年「ザ・レビューⅡ」)

本舞台センターでみりおんちゃん(実咲)が待っているのですが、そこに駆けていく凰稀さんの図、がなかなか良い感じなのですよね^^
ちょっとすねてみせると彼がこない?あ・・と一瞬不安になるやいなや、後ろから抱きしめられて・・・幸せで始まるドラマ。
ダンス自体は互いにちょっとおちゃめな感じで軽快に踊るダンスで、きれいで可愛らしくて・・・幸せな気分になれますね

と、うっとりしているとエトワール、美風舞良さんが。
柔らかな響きのソプラノで、正統派のエトワール。

そこから、華やかなパレードに。

使われている曲が、

「ヒート・ウェーブ」(1985年「ヒート・ウェーブ」)
「世界はひとつ」(1967年「世界はひとつ」)
「PARFUM de PARIS」(1993年「PARFUM DE PARIS」)
「ハロー!タカラヅカ」(1970年「ハロー!タカラヅカ」)
「パレード・タカラヅカ」(1973年「パレード・タカラヅカ」)
「幸福を売る人」(1960年「華麗なる千拍子」)

で、昔からタカラヅカをご覧になっている方にとっては、その思い出の曲・・というのも色々と思い出されるものがあり、心揺さぶられるショーだったとか。
わたくし自身は全くの初見状態でしたが、本当に見どころ満載、楽しいショーでした。

7月~8月初旬の全国ツアーに
「うたかたの恋」と2本立てで、このショーが使われるのですよね^^
また観られる・・・という楽しみと、ちーカイバウで若手がごっそり抜けたときに、配役がどう変わるのか興味深くもありますが・・・さて









宝塚宙組東京公演「モンテ・クリスト伯」

2013-06-12 14:52:08 | TAKARAZUKA
東京宝塚劇場公演
公演期間:5月10日(金)~6月9日(日)

今回の宙組公演はムラ(宝塚大劇場)には行かず、東京初日がMy初日だったので、この1カ月、
間に歌舞伎座こけら落とし5月公演(玉・仁左!そういえばまだ書いていませんでした^^;)、
マラーホフのFINALガラなど、色々と観なくてはならない舞台を間に挟みつつ、
千秋楽まで6回の観劇を幸せに駆け抜けて参りました。



この良く言えばドラマチック、悪くとればちょっとコワい?ポスターと、ベルばらやロミジュリといった一本物の話題作に挟まれたオリジナル作品による公演、という条件で、さて、楽しめるかどうか??と危惧したのが
もう、遠い遠い昔のようです。
結果、石田先生の作品に出た凰稀かなめは一歩も2歩も大きく前進する!という予感が実感となった
嬉しい良作でした。(星組2番手の「愛と青春の旅立ち」のフォーリー軍曹再び!)

ミュージカル・プレイ
『モンテ・クリスト伯』

原作:アレクサンドル=デュマ・ペール
脚本・演出:石田 昌也

【解 説】
 「岩窟王」のタイトルでも知られる「モンテ・クリスト伯」は、幾度となく映画化、舞台化されたデュマの名作。19世紀初頭のフランス、若き一等航海士エドモン・ダンテスは、美しき婚約者メルセデスとの結婚も決まり幸せの絶頂にあった。だが彼に嫉妬する人物によって身に覚えのない罪を着せられ、孤島の監獄に投獄される。獄内でファリア神父と知り合ったダンテスは脱獄に成功、モンテ・クリスト島の財宝を手に入れ、モンテ・クリスト伯爵となり、彼を絶望のどん底におとしめた人々に復讐を開始する。本作は復讐だけでなく、ダンテスを罠にはめた男の妻となったメルセデスとの「愛の葛藤」も織り込みロマン溢れる舞台となります。


【主な配役】

エドモン・ダンテス(ファラオン号の一等航海士・後のモンテ・クリスト伯)  凰稀 かなめ
メルセデス(エドモンの婚約者)                          実咲 凜音
*~*~*
ファリア司祭(イタリアの神父・大学者)&モレル社長(モレル海運社長・メルセデスの父親) 寿 つかさ
マドレーヌ(メルセデスの乳母)      大海 亜呼

ダングラール(モレル海運の会計士)   悠未 ひろ
フェルナン(貴族の御曹司)        朝夏 まなと
ヴィルフォール(検事)           蓮水 ゆうや

エロイーズ(ヴィルフォールの後妻)    純矢 ちとせ
エルミーヌ(ダングラールの妻)      愛花 ちさき
オービーヌ(ダングラールの母親)     鈴奈 沙也

ベルツッチオ(密輸船の乗員・後にダンテスの家令)  緒月 遠麻
ルイジ・ヴァンパ(密輸船のボス)            七海 ひろき
エデ姫(ギリシャの王女)                すみれ乃 麗
ムハンマド(密輸船の乗員)               凛城 きら

アルベール(フェルナンとメルセデスの息子)       愛月 ひかる
ボーシャン(新聞記者)                  澄輝 さやと

ケント(ハイスクールの演劇部員[アメリカ])       蒼羽 りく
ジェニファー(ハイスクールの演劇部員[アメリカ])    伶美 うらら
ミス・メアリー(ハイスクールの演劇部顧問[アメリカ])  美風 舞良

舞台をツラツラ振り返りますが、ネタばれが盛大に含まれますので、まっさらな状態でDVDなどをご覧になりたい方は、ここまでで失礼させていただきます


冒頭、監獄島シャト―・ディフへ引っ立てられていくエドモン・ダンテス。銀橋を歩きながら辺りを不安げに見回す美青年。
暗闇に浮き上がる看守たちと典獄が彼を迎えます。この典獄様が美形の風羽玲亜さんで、思わず2度観。
ディーラーや執事など、常にその場にいて観客の目を楽しませるけれどもなぜか歌や台詞はほとんどない、という彼女が朗々と長台詞を言ってダンテスを迎えるのが新鮮。上手かったです。これからももっと使ってください(祈)
隙を観て逃げ出すダンテス。でもじきに銃をつきつけられてタジタジともどってきて後ろ向きのまま吊るされる・・・。
ダンテスくん入所記念日おめでとう!ギャー!背中に焼き鏝!

ヅカ的に限界なまでに陰欝なシーンから打って変って、色とりどりの旗で飾られた船上をセンターからセリ上がるのは先程痛めつけられていたはずの・・・ダンテスくん!そう、さっきの後ろ姿は実はダミーで、メルセデスの息子役の愛月ひかるちゃんだったのです。体格差がかなりあるはずなのにさほど感じなかったのですが、実は新人公演で凰稀さんの役を演じるために5kg減量されたとか・・・。ジェンヌさすがです。見習いたい・・・。
白いパンツ、紺のジャケット金モールのエドモン・ダンテスと仲間たち。船長さんスマイルで若々しく踊るお姿、甘くて爽やかで 思わず観ていて照れちゃいます(え?)!
一気に華やかな結婚式に。幸せすぎて涙が・・・涙をぬぐうのはぼくの仕事さ。
マルタ島の貝殻で作られたネックレスが結婚指輪代わり。ほらっ僕も(これも照れますね^^;)
仲間たちと船主でありメルセデスの父親でもあるモレル社長に祝福される幸せな2人。
でも、不穏な顔つきで不満を隠さない2人の男が・・・舞台両端に。

先に出世されてプライドを傷つけられた会計士ダングラ―ルとメルセデスに横恋慕していた貴族のドラ息子フェルナン。幸せいっぱいのエドモンに嫉妬のあまり、罠にはめてやる・・・ソングで対立の構図が明らかに。
その宣言通り、突如として現れた官憲に捉えられるダンテス。何かの間違いだ、すぐに戻る。あなたの帰りをいつまでも待つわ。

その場面を素人役者が繰り返します。
現代のハイスクールの演劇部の学生たち。あまり乗り気ではありません。つまらない、と思っているみたい。
そこに登場した顧問のミス・メアリ―の巧みな解説で一気に物語世界に引き込まれる学生たち・・・。

正直、この企画を耳にして、配役を観た時にはがっかりしたものです。
若手の中で特にお気に入りの蒼羽りく・伶美うららのお二人がこのハイスクールチームの中心ってxxx
宙組の中でもっともコスチュームの似合う2人が、せっかくの19世紀フランス小説の話だと言うのに、現代のアメリカン・カジュアルって・・・勿体ないにも程がある!と怒りすら感じていたのですが・・・。

実際には物語前段のフェルナンとダングラ―ルが結託するいきさつ、船長の毒殺、ナポレオンからの手紙・・・までを演劇部員たちが入れ替り立ち替り脇役として主筋に絡んでテンポよく進め、ナポレオンからの手紙の宛先が実の父親であると知った王党派のヴィルフォール検事が突然ダンテスを逮捕~ダンテスが逃れる場面では、嘘の方向を教えてダンテスに協力するなど、高度な次元のMIXに演出の冴えが・・・

マルセイユのやり手マダム、カルコントの酒場ではナポレオン派の父親に手を焼くヴィルフォール夫妻の姿が。
夫が父親を追い掛けて行った隙に現れたのはダングラ―ル。エロイ―ズとは知らない仲じゃない。
元夫を財産目当てに毒殺した過去で脅すも、日傘の柄でくいっと彼の首を捉え、会計士としての不正追求をチラつかせてダングラ―ルを手玉にとるのはエロイ―ズ。彼女が上手。大人のカップルで、観ごたえのある場面。
純矢ちとせさんは素顔は本当にほんわかとかわいいのに、こういう悪女が上手いですよね。
台詞回しの巧みさにはいつも感心させられます^^

この酒場はヴィルフォールとフェルナンの行きつけでもあり、2人がまったりしているところに逃げてきたのはダンテス。りくちゃんの機転で逃げおおせ、友達にかくまってもらえると思ったのに・・・。
チリチリン
フェルナンの鳴らすテーブルベルで背後の幕が落とされてずらりと並ぶ官憲たち。
友達だと思っていたのに・・・・ヴィルフォール検事もお揃いで。どうぞダンテスくんシャト―・ディフへと言いたげな大げさな身振りでお通しする・・・人を疑うことを知らない純真な好青年ダンテスがわかりやすく3悪人のせいで監獄へ・・・の図。
(原作ではファリア司祭がなぞ解きをしてくれるまでダンテスは嵌められたことに気付かないのですが^^;)

3人の罠にはめてやるソングが楽しすぎ!
フ「俺はダンテス許さない!」ダ「俺も(え?も?って・・・^^;)ダンテス許さない!」ヴ「あいつは邪魔な男だ~」

時は流れ・・・。一方、監獄暮らしも長くなったダンテスくんはレゲエな長髪、髭ボーボー。ボロボロの衣服、裸足というお姿で銀橋を渡られます。TOPスターさんとしてはここまで汚すのは珍しいのでは・・・@@
メルセデスのことは何一つ忘れちゃいない・・・・
そのメルセデスはダンテスが自殺したとフェルナンに聞かされ失意のうちに彼の求婚を受け入れます。
その様子を袖で見守る高校生、うららちゃんが「人の弱みに付け込むなんて・・絶対に許せないわ!!」と憤然として言い放ち、横でりくちゃんがちょっと引いてますけど・・・^^;。この高校生たちも、最初はただ大騒ぎしている邪魔な子たち(ヒドイ)、と思っていましたがだんだんとキャラが立ってきて、(りくちゃんが最後の方ではどうかと思うほどチャラい男になっていた・・・^^)もともと魅力ある若手たちゆえ、どんどん出番が楽しみになってきます

ダンテス孤独な独房で狂いそうになっているところにひょっこり床から現れたのはファリア司祭。
穏やかなる良き指導者を得て、学問を学び脱獄への穴掘り作業に集中・・・。
しかし神父の説く神の愛には心閉ざすダンテス。
ここでの神父との問答が良い。
ハムラビ法典を引いて目には目をとは過剰報復を諌める言だと解説する司祭に「利子もつけずに!」
ここ、初日近くでは叫んでいましたが、じきに押し殺したような言い回しに変わり、最後の方では狂ったような笑い声の中で吐き出すように言う・・などと、凰稀ダンテスの見せ場の一つでした。
言葉でわからせることをあきらめ、復讐を通じて本当に大切なものに気付いてくれることを祈る司祭。
時は流れ・・・を牢獄上のスペースで展開。
フェルナンの女癖の悪さに苦労するメルセデス。アルベール(子役を娘役の花咲あいりちゃんが。声がカワイイ)の成長。犯罪スレスレの奴隷貿易、わいろなどで出世街道を駆けのぼる3悪人と彼らの背景に着目する新聞記者ボーシャン(澄輝さやと)ら、多くの情報が流されるが、全て紗幕の向こう側なので、表情などがわからないのが勿体ないところ。皆様好演されていました^^

更に月日は流れ、掘った穴がもうすぐ完通という矢先に病に倒れる司祭様。
亡骸入りのズダ袋を人夫たちが海に放り投げ水葬にするのは原作通り。

暗い監獄から明るい甲板に!
密輸船の船長はルイジ・ヴァンパ!七海氏が眼帯長髪細髭で楽しげにパイレーツ・オブ・カリビアンのジョニー・デップVISUALを演じています。アラビア装束の子分たちはなぜか言葉に訛りが・・・。凛きら・モンチ・マップ―らの芝居功者の中堅どころがここに配されていて、後でモンテ・クリスト伯の復讐の手先として活躍するときにそれと観客に気付かせる伏線が敷かれています。
貴重なレモンをがめていたベルツッチオが船底引き回しの刑を宣告されるとき、シャト―・ディフから流れてきた漂流者の報告が。命拾いしたな、と最後幕前でヴァンパがベルツッチオに「忘れもんだ」とレモンを投げて、「忘・・レモン?」というコミカルなやりとりがあるのですが、千秋楽ではヴァンパの眼帯をとらせて投げ返す、というアドリブが^^

ファリア司祭からの遺言でモンテ・クリスト島の洞窟のスパダ家の財宝を手に入れたダンテスは、海賊一味をすっかり配下に置き、ベルツッチオは一の子分に。ここでサラサラヘアーのモンテ・クリスト伯として生まれ変わり、復讐を3悪人プラス誓いを破ってフェルナン夫人に収まったメルセデスを含めた4人(名を上げるたびに舞台上手と下手に効果音とともにその立ち姿にスポットが当たる演出が銀英伝の制作発表のパフォーマンスを思い起こさせるカッコよさ!)で、テンションをあげたところで「私から憎しみを奪うな」の歌とともに銀橋を渡るモンテ・クリスト伯の気迫が素晴らしい。
センターで一度止まって「神に飼いならされた人間などクソくらえだ!」と咆哮。その時に長い前髪が顔にかかるのですが、セリフから歌に戻る瞬間の音と同時に顔を振り上げ、前髪が翻って意志的な顔を見せるところが・・・キャーと言いたいカッコよさ!(ここ目の前でこれをヤラれると・・・息がとまります

ここから着々と綿密な復讐劇が始まるわけですが・・・。
ハイトーンVOICEで黒装束オカッパのブゾーニ神父、重々しい衣装と語り口、サラサラセミロングヘア―に髭のモンテ・クリスト伯、クシャっとしたしゃべり方のおじいさん英国紳士のウィルモア卿。
ダンテスは自在にキャラクターを使い分けて、3悪人へ取り入ります。
ダングラ―ルには投資話をもちかけて儲けさせ、フェルナンには息子アルベールを海賊ヴァンパの誘拐から救い出して恩を売ったうえで舞踏会では恋人役のエデ姫に相手をさせてもてなす。
その舞踏会で、メルセデスと再会。踊りながらの駆け引き。モンテ・クリスト伯の仮面をつけて皮肉を言うつもりがつい恨みがましくなるダンテス。気付かぬふりのメルセデスも傷つきます。。。



充分な伏線の上で遂行される復讐。
ダングラ―ルは、買収された信号手の偽情報で銀行が倒産。債権者から救うために離縁した愛妻は、最後豹変。
ヴァンパの隠れ家である洞窟で海賊たちの饗宴を見ながら飢え死にさせられそうになり、自殺のために買った銃には弾がない、など散々にいたぶられます。モンテ・クリスト実はダンテスが現れて、言い訳をするダングラ―ル。
俺は~しただけだ、と言い逃れようとするのに「だけだだけだだけだ!」と一喝。「おまえは飢え死にする・・・だ・け・だ」の言葉に狂い出すダングラ―ル。
しまった!苦しめるつもりが楽にさせてしまった!

ヴィルフォール邸では妻が父を毒殺したという密告書に動揺する検事総長。
あなた、と妻が運んだワインを水槽にたらすと2匹の金魚が腹を出して浮かぶ・・・。そうよ、財産目当てよ!悪い?!とのエロイ―ズの逆切れに檄高して射殺。その瞬間を物陰で待ちかまえていた新聞記者ボーシャンらが激写。
モンテ・クリスト=ダンテスにこれを公開されてシャト―・ディフ行きだなと言われて即ピストル自殺。
その一部始終を目撃してしまったのは心優しい先妻の娘、慈善事業に熱心に取り組み、結婚を控えたヴァランティ―ヌ。
罪のない彼女を天国から地獄に突き落としてしまった!

なんだか、3悪人とはいっても、この2人は哀れなんですよね・・・。
子が出来ないと姑に苛められる妻をかばって優しかったダングラ―ル、気のいいナポレオン党員の父、優しい娘をみると小心者故の自己保身が過ぎたとはいえ、悪い人間ではなかったのでは・・・と思わせるヴィルフォール。

すっきりしないまま、でも復讐は続きます。

レストランで人待ち顔のフェルナン。いきなり高校生演劇部員による寸劇が。王女を捉えて奴隷としてハーレムに売り飛ばす悪人がこらしめられるお話で過去の悪行をチクリ。
ウィルモア卿とエデ姫登場。フェルナンの手首の傷は幼いエデが必死に噛みついた痕。
間違いありません、この男です!衆人環視の前で何が出来る?余裕のフェルナン。
チリチリン
カルコントの酒場でダンテスがやられたことをここで。
一斉に立ち上がって退出する客たち。
エデが銃を向け、フェルナンは腰を抜かしますが・・・エデは撃ちません。
逃げるフェルナン。なぜです、姫?恋人役を演じるうちに本当にあなたを・・愛の告白。
愛を知った今は復讐に意味を見いだせないという彼女。同志だと思っていた姫の思いがけない言葉に揺れるダンテス。

モンテ・クリスト邸を訪れるのはメルセデス。
ヴァンパの誘拐が仕組まれたものと知ったアルベールが名誉棄損で伯爵に申し入れた決闘。
その中止を懇願する母親を足蹴にするダンテス。
「膝まづくのは神の前だけでいい・・・わたしは神ではない!」
銃の名手の伯爵に我が子アルベールの勝ち目は皆無。
必死の命乞いから思いつめ、室内装飾の甲冑から取り上げた剣をまっすぐにダンテスに向けるメルセデス。
あなたを殺せばあの子は助かる。あなたに刺殺されてもそれはそれで構わない、あの子の死を見ずに済みますもの!
追いつめられて逃げるも、防衛のために剣を手にするダンテス。ここの2人の緊迫感。ある種風変りなラブ・シーンですね。心から求め合う2人の屈折した愛の形が。。。
逃げるの?!背を向けたダンテスにメルセデスの絶叫。
家令ベルツッチオが駆けつけて、事態を察知。いざと言う時には出られる構えで見守ります。
剣を落として両手をひろげ、その胸を、メルセデスの剣の切っ先にまっすぐ向けるダンテス。
君こそわたしを刺せばよい!じりじりと後退するメルセデス。
ここのダンテスの男ぶりの良さと言ったら!なんだか凰稀さんの細身の姿が大きく見えました。
できない!だってわたしはまだ・・・あなたを愛しているから。。。
剣を取り落とすメルセデス。
君は立派な母親だ。あの日の少女が・・・20年の時を経て、今は命をかけて我が子を守ろうとしている。
明日の1発目ははずして撃とう。メルセデスという素晴らしい母親のために・・・。
ここ落涙ポイントです
いつも、ファリア司祭が遣わした天使よろしく理を説くベルツッチオが、メルセデスさんを悲しませるだけだと説くが、ダンテスは自分の命で清算する気でいるのです。



そして当日。
楽に向けて、この決闘場面の意味がどんどんと重みを増してきました。
フェルナンの悪行を含め、全てを知ったアルベールがどんな思いでこの決闘に臨んだのか。
立会人の友人、ヴァランティ―ヌの婚約者だったフランツ(美月悠が明るく張り切った青年を好演)と新聞記者ボーシャンが打ちひしがれています。
あっきー(澄輝さやと)はやはりスタイルが良いですね。そして、フェルナン将軍の異例の出世の陰にある事件を嗅ぎつけて早い段階で取材を始めて、ヴィルフォール事件にも立ち会った、ゆかりの深い彼が今吐き出すようにつぶやく一こと、「剣ではなくペンで戦う人生を選んだのに・・・」が色々と深いです。
ところで、ここでは若いアルベールの友達設定な彼ですが、ダンテスの刑期中すでに始めていた取材活動などを鑑みてちょっと年齢不詳なのが気になりますが・・・^^;
一方アリとハッサンを立会人としたダンテスも登場。ここではもう、彼は、虚飾を取り去り、モンテ・クリスト伯ではなく、エドモン・ダンテスのスタイルなのですね。
黒髪をオールバックに撫でつけて、浅黒い顔で白いシャツとパンツ、黒いベストとブーツの無駄のない洗練された身体のラインの美しさと黒豹のようなエレガントで無駄のない動きが大人の男でタメ息が出るほどステキ。
大体、後ろ姿、上半身をあれだけタイトに作って白いパンツでヒップラインを見せて男性として全く問題がないってやっぱり男役ってスゴイ!と思いますね・・・。
そして左右対称に歩き出すアルベールは同じ身長ながら、ややカールした柔らかい茶髪が真っ白な額にかかり、青赤白を基調とした士官学校生の制服姿が初々しく、センターから射撃位置まで歩を進める足取りも、ダンテスとは対照的に緊張気味で、実に良い構図。

で、互いに撃ち合うも・・・ともに自らの銃を空砲にし、自らの死をもってこの愛憎劇を清算しようという2人の覚悟。
そして瞬間響くメルセデスの声「アルベールはあなたの子よ!」
ラストにかけての展開は原作と全く異なりますが、このメロドラマも宝塚的にはアリですね。
そして、舞台奥から銃声が。ハリのあるタフタのマントを身に付けたメルセデスが倒れ伏します。
フェルナンの仕業ですが、すかさずボーシャンが、アルベールの介添え人の役目として所持していた銃を向け、すぐに現れた憲兵隊の一斉射撃で息の根を止められ連れ去られます。
助け起こされ邪魔なマントもはずしたメルセデスはどこも押さえたりしていない様子をみると無傷のようですが・・・。
ここ、かすっただけで大丈夫、的な演技なら納得なのですが、実咲さんがあまりに盛大に倒れるので、結構誤解を招いているようで・・・。
ロミジュリよろしく、死んでしまい、その後の幸せな展開は全て天国の夢・・・だと思っていた、という初見の友人の感想がありましたが(笑)それは極端としても他に表現がありそうなのにxxx
これと定めた演技の方向を深めることはできても、微調整することが出来ない不器用な人なのかな?と思ったり。
前日の夜、母からすべてを聞かされ、自らの死を持って義理?の父フェルナンの罪を購おうとしていた実の息子を前に、ダンテスが言うのが
「君は一夜の火遊びで生まれた子・・・じゃないぞ、愛の結晶だ!・・・少し大きな結晶だがな」抱擁する父と子。
xxx石田センセイ・・・
初日辺りでは火遊び・・・でベルツッチオが「おいっ!!」と突っ込み、その突っ込みは客席全体の総意のように感じられたものですが、凰稀ダンテス、前段をやや早口で言ってみたり、後半の台詞の抑揚の付け方で前段の違和感を打ち消すテクニックを用いたり・・・で楽近くには、客席からドヨメキや笑い声が出ることもなく、スムースに大団円に、という感動シーンに。
エデ姫が爽やかに身を引きます。
銀橋で寄り添う2人。下手からいそいそと船長さんのジャケットと帽子を持って走ってくるのはベルツッチオ。ジャケットを着せかけ、帽子を渡し、喜びの走りで本舞台に戻る彼を観ると幸せすぎて涙が・・・?!
ファラオン号2世を作り、そのクル―としてヴァンパや子分たち全てを雇い入れ、莫大な財産は処分してヴァランティ―ヌの慈善事業や修道院に寄付。また、身の丈にあった1人の船乗りとしての幸せだった人生を取り戻す、というダンテスの決断。
「今の僕には仲間が財産だ!」
ってどこの少年マンガ?でも意外と真実かも・・・。
ファリア司祭(の亡霊?)も銀橋下手からセリ上がり、本舞台の上にはアルベール、ボーシャンらとすっかり船員スタイルのヴァンパ一味たち仲間が勢ぞろい。銀橋上手ではハイスクール演劇部の一団が大喜び。
笑顔で寄り添うダンテスが20年前そのままの青年で、メルセデスが20年後の母親仕様なのが今のTOPコンビの持ち味そのもので微妙な心持ではありますが(^^;)なんとも爽やかで納得のHappyEnd.

過去の憎しみを清算するのは復讐ではなく、前を向いて生きること。
幸せは財産の量ではなく、大事な仲間と自分の情熱を傾けられる仕事を持って人生を生きること。

奇しくも現代社会の抱える闇を照らすソリューションのような芝居を、常にUPDATEされた適切な引用ばかりとは限りませんでしたが(戸塚ヨットスクールってxxx^^;)わかりやすく娯楽作品としての枠を守りながらキッチリと輪郭とテーマを浮かび上がらせる石田先生の演出の妙とこんなに芝居の組だったっけ?と嬉しい発見をくれた宙組生の熱演で、原作とは色々改編されていながらも、そのぐいぐいと人を引っ張る物語の力が再現された良い舞台だった・・・と思います


ParisOpera座「天井桟敷の人々」

2013-06-02 16:06:59 | BALLET
2013年5月30日(木)19:00~
東京文化会館にて

ParisOpera座バレエ団の来日公演「天井桟敷の人々」初日を観て参りました。

主宰がTBS、ということで、NBSとJapanArtsの2大プロモーターに主にお世話になっているわたくし、
チケット手配が出遅れて、どうしようかと迷っていたのですが、やはりシアラヴォラをハマり役の主演で観られる唯一のチャンスかも・・・といてもたってもいられず、行って参りました!
実はアニエスの日も観たかったのですが・・・。彼女も退団を間近に控えているので・・・でも、
このところ観劇がたてこみすぎてどうしても両方はムリだったのと、来年のNBS公演でもアニエス主演は観られそうなので、ジョゼが宛書きで指名した、という初演ペア、イザベル・シアラヴォラとマチュー・ガニオの日でみることにしました。

やはり、行って良かった!
あの往年の名画「天井桟敷の人々」のアルレッティの魅力・・・熟女の魅力と自由な精神のファムファタール ガランスの役に、白く発光する肌にとらえどころのない瞳、ブルネットの美脚の美女、シアラヴォラはピッタリ。
しかも、名優ジャン・ルイ・バローの演じた純情なピエロ、バチスト役に実生活でもパートナーだったことのある美青年マチュー・ガニオを持ってきたところが、バレエ団仲間のジョゼならではの絶妙な配役で・・・。

入り口でもらった配役表を観ただけですでに気分が高揚しました。


演出・振付:ジョゼ・マルティネス
Chorégraphie:José Martinez
元パリ・オペラ座エトワール。2011年9月よりスペイン国立舞踊団芸術監督/振付家
1969年スペイン生まれ。87年ローザンヌ国際バレエ・コンクールでスカラーシップ受賞、パリ・オペラ座バレエ学校に入学。88年パリ・オペラ座バレエ団入団。97年『ラ・シルフィード』のジェームスを踊ってエトワールに任命された。ノーブルな古典の王子役を得意とするほか、ピナ・バウシュ、マッツ・エックなどの現代作品でも活躍。2011年7月『天井桟敷の人々』の主役バチストを踊り、パリ・オペラ座を引退。現役時代から振付家としても活動していた。.

音楽:マルク・オリヴィエ・デュパン
Musique:Marc-Olivier Dupin

翻案:ジョゼ・マルティネス、フランソワ・ルシヨン
Adaptation:François Roussillon et José Martinez

美術:エツィオ・トフォルッティ
Décors:Ezio Toffolutti

衣装:アニエス・ルテステュ
Costumes:Agnès Letestu

照明:アンドレ・ディオ
Lumières:André Diot

管弦楽:(名古屋)名古屋フィルハーモニー交響楽団/(東京)シアター オーケストラ トーキョー


バチスト: マチュー・ガニオ(ステファン・ビュリオン)
ガランス: イザベル・シアラヴォラ(アニエス・ルテステュ)

フレデリック・ルメートル: カール・パケット(ABとも)
ラスネール: バンジャマン・ペッシュ(ABとも)
ナタリー: レティシア・ピュジョル(メラニー・ユレル)
モントレー伯爵: クリストファー・デュケーヌ(ヤン・サイズ)



東京文化会館の大ホールに入ると、柱に「OTHELLO」のチラシが貼ってあります。
「今夜初日、フレデリック・ルメートルの「オテロ」
ジャック・プレヴェールの脚本による、2幕のバレエ」という内容。

パリ・オペラ座で上演されたときの演出、休憩時間に会場内で劇中劇のように、芝居が上演されていた・・というのをきいていたので、これは見逃さないようにしなくては!と心に留めつつ・・・。

まずは一幕

街の雑踏。大道芸人、スリ。ひしめき合う人々。街角で、様々なことが同時に進行しています。
主役のピエロ=バチストがじっとそこにいて全てを観ています。

バンジャマン・ペッシュが耳元にカールした黒髪の怪しい男ラスネールを演じていて、これがクセの強い彼の演技にハマっている。万年ソリストのぺッシュがエトワールになったとき、あのリフトもろくに出来ない(失礼、でも何度もこれで失望していますので^^;)彼が主役級を演じて大丈夫なのだろうかといぶかしく思ったものでしたが、昔からソロや男性2人のデュオ(よくルグリ先生と踊っていた)では味のある演技をしていた彼に、この役はピッタリです。

ラスネールはスリ。彼は恰幅の良い紳士のポケットから金の懐中時計?を盗み、警官がガランスを誤認逮捕。
このときの衣装が、ダークレッドのベルベットの胴着に白いスカート、そのスカートにはウエストから放射線状に何本もの胴着と同じ色のリボンがあしらわれている斬新でとても映えるデザイン。さすがはエトワールにして何度も衣装デザインを任されているアニエス・ルテステュのセンスの良さ!
一部始終を観ていたバチストは台の上で、一部始終をパントマイムで説明してみせます。
ラスネールはこそこそと去り、ガランスは誤解が解けて自由の身に。
彼女がバチストに、お礼として一輪のバラを渡します。

恋に落ち、うっとりとするバチスト。
でも彼にはナタリーという許嫁が・・・。

大道芸での芝居が始まる。
ライオンの着ぐるみの男が喧嘩を売られて大乱闘に。観客が怒り出すが、興行主?主演男優? フレデリック・ルメートル(パケット)が代役を果たして事態を収拾。大喝采で観客大喜び。

バチストは彼に宿を紹介。そこの女主人に手を出すルメートル。彼は陽性のプレイボーイなのですね。

居酒屋で楽団が演奏しています。そこで踊るガランスと彼女をみつめるバチスト。
あら、あの時の・・・。2人は意気投合しブロンズの織物のベットカバーのかかったベッドだけがある簡素なガランスの部屋に入ります。カバーをとったベッドにバチストを座らせてちょっと待っていてね。次の間に入ったガランスが戻ってくると裸身にベッドカバーを巻きつけた女神のような姿。
艶やかなる誘惑。でも、純情なバチストはそこで帰ってしまいます。
肩をすくめるガランス。彼女にとって恋愛は自由に楽しむものなのに・・・。
そこにちゃっかりと入ってきたルメートルとねんごろになるガランス。

それを観ていた宿屋の女主人が嫉妬に狂ってガランスを告発。
窮地の彼女のもとに、訪ねてきたのはモントレー伯爵。
彼がガランスを救い、そのまま、彼女は伯爵のもとに身を寄せる身に。。。

一方ルメートルはバレエダンサーとして活躍。
その活躍する舞台を休憩時間に観ることが出来ました。
場所は東京文化会館入り口からクロークに降りて行く大階段のスぺ―ス。
あのチラシを通路で仮面をつけたアルルカン姿の人が配っています。急いでクロ―ク前を横切るとそこには同じ方向に向かっていくジョゼ・マルティネスと芸監であるブリジット・ルフェーブル女史!
ジョゼは現役時代のままのスラリとした体型で、お顔の色も良く、ダンサー時代よりも元気そう^^
階段と降りてから少しのスぺ―スにロープが渡されていて、その中にカールと、ジュリエットのような金髪ウェーブロングのダウンヘアで いくつにも分割された長袖マトンスリーブ赤いロングドレスのお衣装のデスデモ―ナ役のCharlotteLansonが踊ります。ドラマチックなシーン(多分嫉妬に狂ったオテロがデスデモ―ナを手にかけるまで)らしく、階段を上り下りし、手すりを伝い、何度もリフトのあるハードな振付。いつも通っている階段にデスデモ―ナが倒れ伏す・・・とても不思議な日常と非日常の交錯。
ロープの外は押すな押すなの大盛況でしたが、なんとか無事に終了。
拍手して、席に戻ると舞台の上ではジョゼが指揮してバレエ・レッスン中。
リハーサル、という趣向で、凝っています^^
でも予備知識なしでいらして普通に休憩するつもりでいらした観客の方は さぞとまどったでしょうね。

2幕が始まり、これは先程のリハーサルの本番の趣。
ここの振付もピルエットや連続フェッテでかなりハード。
ここにもカール・パケットくんは参加。
あの階段でのリフト満載の踊りの後で、本舞台でこれですから・・・。
知ってはいたけどカールくんは鉄人ですね!

モントレー伯爵が袖で観ています。彼の愛人となったガランスとのパドドゥ。
彼女の美しさをたたえる伯爵。でも、彼女の心は彼にはありません。

下手袖のつい立ての後ろで小学生低学年くらいの日本人の少年にしゃがんで目線を合わせたカ―ルが話しかけています。(正面席の観客からは見えない位置^^)子供の肩を両手でガシッとして送りだすと・・・
バチストと緑のベルベットのボンネットとドレスのナタリーが。
子供の両手を2人でつないで仲良し親子。
そう、バチストはナタリーと結婚して穏やかな家庭生活を営んでいる様子。
その子も結構踊れていました^^多分東京バレエ団付属学校の生徒さんで抜擢されたお子さんなのでしょう。
良い経験が出来て良かったですね可愛らしかったです。
そして、カールくん、あれだけハードに踊り続けて袖では子役の面倒まで見てあげて・・・
なんて良いヒトなのでしょう(知ってはいましたが^^)

バチストの演じる芝居。自殺未遂の男。
内面に悩みを抱えている彼とかぶる内容に幸せ家族は表面だけ・・・とわかります。
彼の心はまだガランスにあるのです。

モントレー伯爵の舞踏会。
貸衣装屋で光沢のあるグレーの衣装をあつらえて、バチストもやってきます。
ガランスと再会。
皆が踊る中、2人も一緒に踊ります。
ひそやかにキスをする2人にスポットライトが。ラスネールの悪意。意趣返しか。
逃げ出す2人。裏切りに思わず声を上げるモントレー伯爵。バレエなのに生の苦痛の叫び声がショックの大きさを伝えます。

2人は夜を共に過ごし、元のガランスの部屋のベッドにいます。
先に目覚めたガランスがベッドを離れるとバチストも目覚め、引きとめます。
美しいシアラヴォラと更に美しいマチュー。
大きくはだけたシャツの胸元のボタンを留めて、ズボンのファスナーを上げてボタンを留めてベッドを離れるのがやけにリアルですが、いやらしさはありません。自然なだけ。
一度ベッドに戻りますがまた離れるガランス。
また今度は首元までボタンをとめてサスペンダーに腕を通して身仕舞しながらまた引きとめるバチスト。
どうでも良いことですが、いつも胸元をはだけたりUネックのレオタ―ドタイプの衣装の時に見える、甘い端正なマスクからはちょっと想像できないワイルドな胸毛が今回はきれいに処理されていました。
役に合わせたのでしょうか?
なんとも甘く切ない男女の心の寄りそい、そしてすれ違う様が存分に表現された美しいパドドゥ。
真紅のビスチェドレスが白い肌に映えて、なんともゴージャスでなまめかしいシアラヴォラに観惚れました。

2人の居所を突き止めたのはあのラスネール。
彼はナタリーを引き連れて部屋の扉を開きます。
ベッドにいる2人をみて大きくゆがむナタリーの表情。元気でカワイイイメージのレティシア・プジョル、上手さは相変わらずですが、顔をゆがめたり驚いた表情をするとおでこに皺が・・・^^;これからも主役級を努めていただかなくてはならないのですから、もう少しお手入れを・・・^^;
ガランスは静かに出ていきます。
バチストにはそのガランスしか見えていません。
ナタリーを一顧だにせず、すぐにガランスを追いかけます。

外では、ちょうどカーニバルのさなか。
白い衣装の群衆がコンフェッティや銀のクラッカーを振りまいてとても美しい。
特にとても高い位置まで打ち上げられたクラッカーのリボンの軌跡が喧騒の群衆の上にとても立体的に映えて本当にキレイな舞台です。
群衆の中、スッと真っすぐに前を観て歩き去るガランス。その彼女の姿を見失わないようにと思いつつ、群衆にはばまれて思うように進めないバチスト。
部屋で慟哭するナタリー。

映画のラストシーンそのままの余韻を残したラストでした。



が、その余韻を楽しむ間もなく湧きおこる拍手。
コールド、ソリスト、主役級と主要ソリスト、3列でのカーテンコール。
その最後の主役級グループの端にいたのは、もしやヤン・サイズ?

TBS(あるいはプロモーターのチケットスペースのこだわりか?)主宰の公演の特徴で、これは歓迎すべきことなのですが、配られる配役表がとても充実していて、スタッフならメートル・ド・バレエからマッサージ師まで帯同してきた全てのスタッフ、CASTならば場面毎の全てのダンサーの役名と本名が列記されていて、とてもありがたい。
おかげで、この作品のメートル・ド・バレエ(バレエマスター)が往年の名脇役ダンサー、リオネル・ドラノエで、バレエ教師として彼のパートナーである元エトワールのデルフィーヌ・ムッサンが帯同していることがわかって嬉しかったり、1幕で2人の巡査の1人がベテランソリスト、ヤン・サイズだったりすることがわかって思わずテンションが上がりました。

そのときにはなぜヤン・サイズがこんな端役で?と思ったのですが、翌日のBパターンの配役をみて納得。
モントレー伯爵だったのですね^^

つくづくBパターンも観たかったこと・・・と思いましたが・・・。
それにしても劇場空間を非常に有効に活用し、映画のエッセンスをここまで舞踊作品・舞台作品に表現し切ることのできる力量に、ジョゼの非凡な才能を観ることができ、シアラヴォラとマチューの時分の花を存分に味わうことができて・・・愛するオペラ座バレエ団からヌレエフ世代の名エトワールが去っていく昨今に、なんともいえない喪失感を感じていたわたくしに、希望を与えてくれた舞台でした