2014年5月27日(火)18:30~
東京文化会館にて。
ある時代を牽引したイタリア人マエストロとしては最後の大物と言われる リッカルド・ムーティ率いるローマ・歌劇場来日公演。
ベルディの「シモン・ボッカネグラ」と「ナブッコ」。
ともに行きたかったのですが、スケジュール的に両方は無理・・・。
男声主要役4人プラスソプラノヒロイン全てにかなりの力量が求められるため、なかなかキャスティングが揃わない、という理由で上演される機会が少ないと言われる「シモン・ボッカネグラ」を今まで生の舞台で観たことがなかったのと、アメーリア役に大好きなバルバラ・フリットリが配役されていたので、こちらでムーティ御大のベルディを聴かせていただこうと赴いたほぼ満席の東京文化会館。
2014年5月27日(火)18:30開演/東京文化会館
ジュゼッペ・ヴェルディ作曲
「シモン・ボッカネグラ」プロローグと第3幕のメロドラマ
台本:フランチェスコ・マリア・ピアーヴェ、アッリゴ・ボーイト
Giuseppe Verdi
Simon Boccanegra
Melodramma in un prologo e tre atti
Libretto di Francesco Maria Piave e Arrigo Boito
指揮:リッカルド・ムーティ
Direttore d'orchestra:Riccardo Muti
演出:エイドリアン・ノーブル
Regia:Adrian Noble
美術:ダンテ・フェレッティ
Scenografia:Dante Ferretti
衣裳:マウリツィオ・ミレノッティ
Costumi:Maurizio Millenotti
合唱指揮:ロベルト・ガッビアーニ
Maestro del Coro:Roberto Gabbiani
シモン・ボッカネグラ:ジョルジョ・ペテアン
Simon Boccanegra:George Petean
マリア・ボッカネグラ(アメーリア):エレオノーラ・ブラット
Maria Boccanegra:Eleonora Buratto
ガブリエーレ・アドルノ:フランチェスコ・メーリ
Gabriele Adorno:Francesco Meli
ヤーコポ・フィエスコ:ドミトリー・ベロセルスキー
Jacopo Fiesco:Dmitry Beloselskiy
パオロ・アルビアーニ:マルコ・カリア
Paolo Albiani:Marco Caria
ピエトロ:ルーカ・ダッラミーコ
Pietro:Luca Dall'Amico
伝令:サヴェリオ・フィオーレ
Araldo:Saverio Fiore
侍女:スィムゲ・ビュユックエデス
Serva:Simge Büyükedes
ローマ歌劇場管弦楽団、ローマ歌劇場合唱団
Orchestra e Coro del Teatro Dell'Opera di Roma
◆上演時間◆
プロローグ、第1幕 Prologue, Act1 18:30 - 20:10
休憩 Inter. 30 min
第2幕、第3幕 Act2, Act3 20:40 - 21:40
※場面転換中はお席でお待ちいただきますようお願いいたします。
※アメーリア役で出演を予定していたバルバラ・フリットリに代わり、エレオノーラ・ブラットが全公演に出演いたします。なにとぞご了承ください。
そう、フリットリがこの公演のリハ―サル当日体調を崩して参加できなかったこと、彼女はこのプロダクションが初めてなので、このリハーサルなしに本公演で本番、ということは難しかったため・・というのが理由だそうで、フリットリ自体は現在復調し、6月のリサイタルは予定通り行われる、とのこと。で、ひとまず安心。
代役のブラットですが、輝く赤みがかったブロンドがブルーグリーンや山吹色の光沢のあるドレスに映えて美しく、若さもこの役にピッタリで、テノ―ルのフランチェスコ・メッリとの若い恋人並びが大層麗しくて良かったです。
声もフリットリの柔らかさ上手さはありませんが、やや硬いながらも透明感と伸びやかさのある声でヒロインとして充分。
作品についての解説は、NBSによると以下の通り。
「シモン・ボッカネグラ」は、ヴェルディが43歳のときに書いた20番目のオペラ。失敗に終わった初演から24年後の改訂により大成功を得た。14世紀のジェノヴァに実在したシモン・ボッカネグラを主人公とするこのオペラは、政治的な背景や人間関係が複雑に入り組んでいるうえ、男声低音3人とテノールとソプラノの5人の適役歌手が揃わなければならないことから、優れた上演を目指すのは難しいとされている。リッカルド・ムーティが、長くこのオペラを取り上げなかった理由も、そこにあった。今回の日本公演には、ムーティが満を持して臨んだローマでの初演キャストが揃う。海賊の豪快さと政治家としての器の大きさ、さらに父としての情愛という3つの個性を要求されるシモン役を演じるのはルーマニア出身のジョルジョ・ペテアン。宿敵フィエスコ役は「ナブッコ」、「マクベス」などでもムーティの信頼厚いイタリア人バス、リッカルド・ザネッラートが演じる。策略と裏切で最後には身を滅ぼす悪人パオロ役は、若手ながら世界の注目を集めているマルコ・カリア、さらにアメーリアの恋人ガブリエーレ役にはフランチェスコ・メーリという万全の布陣が組まれている。
演出を手がけたのは、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーの芸術監督を務めたエイドリアン・ノーブル。野村萬斎や野田秀樹が彼の演出を学ぶために英国留学をしたという演出家だ。このオペラには、権力闘争や策略とともに、父と娘の情愛も描かれる。歴史大河ロマンの登場人物の心情表現において、シェイクスピアの演出で精彩を放つノーブルの手腕が光る。
引用は以上です^^
ストーリーは、元海賊の平民シモンが密かに愛し合って子をなした貴族フィエスコの娘マリアが、この結婚に反対する父によって幽閉されて亡くなり、同時に平民派のパオロがシモンを担ぎあげてジェノヴァのド―ジェ(総督)選挙に打って出るがその勝利とともにシモンはマリアの死を知り、2人の間の娘は行方不明に。
その後数奇な運命で、その娘アメ―リアはグリマルディ伯爵夫妻にひろわれてその子として育ちその後、名を変えたフィエスコが引き取る。ふたりは血縁関係を知らない。
アメ―リアには貴族派の若き闘将ガブリエ―レと相思相愛の仲。
パオロは美しいアメ―リアとの結婚を望み、シモンに頼む。アメ―リアのもとを訪れたシモンはともにマリアの肖像画を身に付けていることから父娘の関係を知り、シモンはパオロに対してアメ―リアとの結婚を拒絶する。
怒ったパオロはロエンツィーノを使ってアメ―リアを誘拐。そのアメ―リアを救うべくガブリエ―レがロエンツィーノを殺害。黒幕がパオロと知るアメ―リアは総督シモンの前に引き立てられたガブリエ―レを擁護。
平民派と貴族派が騒然となる中、全てを知るシモンはひとまずガブリエ―レを収監し、パオロには真犯人への呪いをかけさせる。
自分自身を呪ってしまったと恐れるパオロ。
彼は保身のためにシモン殺害を企て、水差しに毒を仕込み、ガブリエ―レにアメ―リアがシモンの愛人であると吹き込み嫉妬をあおる。
毒入りの水を飲んで眠気がさしたシモンを切ろうとするガブリエ―レをアメ―リアがとめる。目覚めたシモンが父娘の関係を説明。和解する2人。
貴族派の反乱がおきるが平定され、シモンはいまわの際にアメ―リアとガブリエ―レの結婚を許し、幼いころから育てた孤児が離れるのを寂しく思うフィエスコに事の真相を告げる。25年ぶりに和解する2人。
人々の前で、アメ―リアに抱かれ、シモンは後継者にガブリエ―レを指名して息絶える。
貴族派と平民派の争い、嫉妬、誤解が最後に愛と平和を祈る和解へと終結する。
憎まれ役のパオロが暗躍するが、つねにリグ―リアの青い海が見守る中での大胆にして高潔な主人公が自らの命を引き換えに事を収める、という、実に良くできた構成で、長尺すぎもせず、後味も良い。
主要人物それぞれの聴かせどころのソロも重唱もバランス良く配置されていて、これはムーティがベルディの代表作として厳選しただけのことはあると感心。
演出も、最後、ド―ジェ(総督)宮の中でありながら回廊のむこうに青い海が煌めいているというセットがシモンの死、というラストを、海賊だった彼がまた、リグ―リアの海に還っていくようなそんな救いを感じさせて爽やかに締めてくれたと感じました。
イタリア人ムーティの指揮に応えて緩急自在のローマ歌劇場管弦楽団。キャストも、タイトルロールのバリトン、ぺテアンがル―マニア、フィエスコ役のバス、ベロセロスキーがロシア人ですが、テノールのメッリはまさにジェノヴェーゼ。ソプラノのブラットはマントヴァ生まれ。パオロのバリトンマルコ・カリアはサルデ二ア出身とほぼイタリア人CAST.
VISUUAL的にも役にぴったりの配役で、ムーティ御大の音で、イタリアオペラを聴いたという満足感に浸った一夜でした。
東京文化会館にて。
ある時代を牽引したイタリア人マエストロとしては最後の大物と言われる リッカルド・ムーティ率いるローマ・歌劇場来日公演。
ベルディの「シモン・ボッカネグラ」と「ナブッコ」。
ともに行きたかったのですが、スケジュール的に両方は無理・・・。
男声主要役4人プラスソプラノヒロイン全てにかなりの力量が求められるため、なかなかキャスティングが揃わない、という理由で上演される機会が少ないと言われる「シモン・ボッカネグラ」を今まで生の舞台で観たことがなかったのと、アメーリア役に大好きなバルバラ・フリットリが配役されていたので、こちらでムーティ御大のベルディを聴かせていただこうと赴いたほぼ満席の東京文化会館。
2014年5月27日(火)18:30開演/東京文化会館
ジュゼッペ・ヴェルディ作曲
「シモン・ボッカネグラ」プロローグと第3幕のメロドラマ
台本:フランチェスコ・マリア・ピアーヴェ、アッリゴ・ボーイト
Giuseppe Verdi
Simon Boccanegra
Melodramma in un prologo e tre atti
Libretto di Francesco Maria Piave e Arrigo Boito
指揮:リッカルド・ムーティ
Direttore d'orchestra:Riccardo Muti
演出:エイドリアン・ノーブル
Regia:Adrian Noble
美術:ダンテ・フェレッティ
Scenografia:Dante Ferretti
衣裳:マウリツィオ・ミレノッティ
Costumi:Maurizio Millenotti
合唱指揮:ロベルト・ガッビアーニ
Maestro del Coro:Roberto Gabbiani
シモン・ボッカネグラ:ジョルジョ・ペテアン
Simon Boccanegra:George Petean
マリア・ボッカネグラ(アメーリア):エレオノーラ・ブラット
Maria Boccanegra:Eleonora Buratto
ガブリエーレ・アドルノ:フランチェスコ・メーリ
Gabriele Adorno:Francesco Meli
ヤーコポ・フィエスコ:ドミトリー・ベロセルスキー
Jacopo Fiesco:Dmitry Beloselskiy
パオロ・アルビアーニ:マルコ・カリア
Paolo Albiani:Marco Caria
ピエトロ:ルーカ・ダッラミーコ
Pietro:Luca Dall'Amico
伝令:サヴェリオ・フィオーレ
Araldo:Saverio Fiore
侍女:スィムゲ・ビュユックエデス
Serva:Simge Büyükedes
ローマ歌劇場管弦楽団、ローマ歌劇場合唱団
Orchestra e Coro del Teatro Dell'Opera di Roma
◆上演時間◆
プロローグ、第1幕 Prologue, Act1 18:30 - 20:10
休憩 Inter. 30 min
第2幕、第3幕 Act2, Act3 20:40 - 21:40
※場面転換中はお席でお待ちいただきますようお願いいたします。
※アメーリア役で出演を予定していたバルバラ・フリットリに代わり、エレオノーラ・ブラットが全公演に出演いたします。なにとぞご了承ください。
そう、フリットリがこの公演のリハ―サル当日体調を崩して参加できなかったこと、彼女はこのプロダクションが初めてなので、このリハーサルなしに本公演で本番、ということは難しかったため・・というのが理由だそうで、フリットリ自体は現在復調し、6月のリサイタルは予定通り行われる、とのこと。で、ひとまず安心。
代役のブラットですが、輝く赤みがかったブロンドがブルーグリーンや山吹色の光沢のあるドレスに映えて美しく、若さもこの役にピッタリで、テノ―ルのフランチェスコ・メッリとの若い恋人並びが大層麗しくて良かったです。
声もフリットリの柔らかさ上手さはありませんが、やや硬いながらも透明感と伸びやかさのある声でヒロインとして充分。
作品についての解説は、NBSによると以下の通り。
「シモン・ボッカネグラ」は、ヴェルディが43歳のときに書いた20番目のオペラ。失敗に終わった初演から24年後の改訂により大成功を得た。14世紀のジェノヴァに実在したシモン・ボッカネグラを主人公とするこのオペラは、政治的な背景や人間関係が複雑に入り組んでいるうえ、男声低音3人とテノールとソプラノの5人の適役歌手が揃わなければならないことから、優れた上演を目指すのは難しいとされている。リッカルド・ムーティが、長くこのオペラを取り上げなかった理由も、そこにあった。今回の日本公演には、ムーティが満を持して臨んだローマでの初演キャストが揃う。海賊の豪快さと政治家としての器の大きさ、さらに父としての情愛という3つの個性を要求されるシモン役を演じるのはルーマニア出身のジョルジョ・ペテアン。宿敵フィエスコ役は「ナブッコ」、「マクベス」などでもムーティの信頼厚いイタリア人バス、リッカルド・ザネッラートが演じる。策略と裏切で最後には身を滅ぼす悪人パオロ役は、若手ながら世界の注目を集めているマルコ・カリア、さらにアメーリアの恋人ガブリエーレ役にはフランチェスコ・メーリという万全の布陣が組まれている。
演出を手がけたのは、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーの芸術監督を務めたエイドリアン・ノーブル。野村萬斎や野田秀樹が彼の演出を学ぶために英国留学をしたという演出家だ。このオペラには、権力闘争や策略とともに、父と娘の情愛も描かれる。歴史大河ロマンの登場人物の心情表現において、シェイクスピアの演出で精彩を放つノーブルの手腕が光る。
引用は以上です^^
ストーリーは、元海賊の平民シモンが密かに愛し合って子をなした貴族フィエスコの娘マリアが、この結婚に反対する父によって幽閉されて亡くなり、同時に平民派のパオロがシモンを担ぎあげてジェノヴァのド―ジェ(総督)選挙に打って出るがその勝利とともにシモンはマリアの死を知り、2人の間の娘は行方不明に。
その後数奇な運命で、その娘アメ―リアはグリマルディ伯爵夫妻にひろわれてその子として育ちその後、名を変えたフィエスコが引き取る。ふたりは血縁関係を知らない。
アメ―リアには貴族派の若き闘将ガブリエ―レと相思相愛の仲。
パオロは美しいアメ―リアとの結婚を望み、シモンに頼む。アメ―リアのもとを訪れたシモンはともにマリアの肖像画を身に付けていることから父娘の関係を知り、シモンはパオロに対してアメ―リアとの結婚を拒絶する。
怒ったパオロはロエンツィーノを使ってアメ―リアを誘拐。そのアメ―リアを救うべくガブリエ―レがロエンツィーノを殺害。黒幕がパオロと知るアメ―リアは総督シモンの前に引き立てられたガブリエ―レを擁護。
平民派と貴族派が騒然となる中、全てを知るシモンはひとまずガブリエ―レを収監し、パオロには真犯人への呪いをかけさせる。
自分自身を呪ってしまったと恐れるパオロ。
彼は保身のためにシモン殺害を企て、水差しに毒を仕込み、ガブリエ―レにアメ―リアがシモンの愛人であると吹き込み嫉妬をあおる。
毒入りの水を飲んで眠気がさしたシモンを切ろうとするガブリエ―レをアメ―リアがとめる。目覚めたシモンが父娘の関係を説明。和解する2人。
貴族派の反乱がおきるが平定され、シモンはいまわの際にアメ―リアとガブリエ―レの結婚を許し、幼いころから育てた孤児が離れるのを寂しく思うフィエスコに事の真相を告げる。25年ぶりに和解する2人。
人々の前で、アメ―リアに抱かれ、シモンは後継者にガブリエ―レを指名して息絶える。
貴族派と平民派の争い、嫉妬、誤解が最後に愛と平和を祈る和解へと終結する。
憎まれ役のパオロが暗躍するが、つねにリグ―リアの青い海が見守る中での大胆にして高潔な主人公が自らの命を引き換えに事を収める、という、実に良くできた構成で、長尺すぎもせず、後味も良い。
主要人物それぞれの聴かせどころのソロも重唱もバランス良く配置されていて、これはムーティがベルディの代表作として厳選しただけのことはあると感心。
演出も、最後、ド―ジェ(総督)宮の中でありながら回廊のむこうに青い海が煌めいているというセットがシモンの死、というラストを、海賊だった彼がまた、リグ―リアの海に還っていくようなそんな救いを感じさせて爽やかに締めてくれたと感じました。
イタリア人ムーティの指揮に応えて緩急自在のローマ歌劇場管弦楽団。キャストも、タイトルロールのバリトン、ぺテアンがル―マニア、フィエスコ役のバス、ベロセロスキーがロシア人ですが、テノールのメッリはまさにジェノヴェーゼ。ソプラノのブラットはマントヴァ生まれ。パオロのバリトンマルコ・カリアはサルデ二ア出身とほぼイタリア人CAST.
VISUUAL的にも役にぴったりの配役で、ムーティ御大の音で、イタリアオペラを聴いたという満足感に浸った一夜でした。