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お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

2010年 星組語り ⑤

2010-12-31 10:03:13 | TAKARAZUKA
追い込みです(笑)

もう、ここまで来たらFINISHするしか。

⑤ 「愛と青春の旅立ち」



リチャード・ギアがブレイクした80年代のアメリカ映画の初ミュージカル化。
ご存知ですか?この映画。
わたくしは世代的に知っていなくてはならない・・・のだそうですが(笑)、あまりにもオタクな映画少女だったがために
却って、商業的に成功しているアメリカ映画を無視する傾向にあり、所謂ミニシアターもの、ヨーロッパ映画、インディペンダント系、でなければヌーベルヴァーグの作家、ネオりアリスモのイタリア映画、ヴィスコンティ、小津、でなければカウリスマキ、ジャームッシュ、アルトマンといった系統に与していたので・・・。
なので映画を観ずして、観た宝塚版。
原作者の方が初日にご夫妻で観劇されて、大変満足なさっていましたが、士官学校の生徒たちの愛と青春のドラマ。
予科生が士官になるためのしごきに耐えて、りっぱな士官としての晴々しい卒業式を迎える・・・
これはまるで宝塚音楽学校の生徒のおはなしではないか!ということで、大変入り込みやすい設定ながら、脚本的にはちょっと偏りが。

スミレコード無視、のきわどい台詞、連発するギャグセンスに、一部に熱狂的なファンを持つも、多くの宝塚ファンが危惧する石田先生の脚本。

■まず良いところ: 鬼軍曹フォーリー(凰稀かなめ)の描き方については、見た目 映画の俳優とは真逆の 華奢で美形のジェンヌが演じることもあってか、ただマッチョで横暴な教官、というよりは、生徒のためを思って汚れ役を引き受ける、愛情溢れる知的で誠実な軍曹、という感じに。生徒に厳しく当たったあとは、それを観ていた校長先生(磯野千尋)とのしみじみとした会話でその心情が語られる、という手厚い脚本。

■疑問なところ: ザック(柚希礼音)の描き方。ポーラ(夢咲ねね)に対してひどすぎる台詞が多く、そんなザックをポーラが愛し続ける理由付けが希薄。愛に飢えたザックの寂しさを感じ取った母性的なポーラが、強い意志の力で彼を見捨てないと誓っている・・・というようにポーラも性格付けに脳内補完が必要。
そんなふうに、ポーラに対して非道な態度を取り続けていて、士官候補生仲間に対してもとりわけ馴染んだ風にも見えない段階でのフォーリーのしごきに対して、「わたしは祖国を愛してます!」などと改悛の情を見せるのがGAP。
ザックの成長が段階を追って脚本の中で描かれていないので、最後のフォーリーの台詞「ザックは成長したのであります」に至る彼の成長の過程が見えない。ほとんどの脚本のスカスカなところは各々が役作りを考えて埋めてきているので破綻はないし、それぞれの生徒の役作りにおける力量も見られて楽しいのだか、主役のザックまでここまでスカスカな脚本にしたら、いくら柚希さんが迫真の演技をしても唐突感はぬぐえない・・・。

■どうかと思うところ: 台詞に狙っているのか!?と思うほど古めかしい表現をてんこ盛り。
「河岸を変えましょう」「ちゃんちゃらおかしいわ」「勝手にほざけ」

とはいえ、素晴らしい公演でした!
まずメイン。
ザックの柚希さんが男前!
フィリピンで、女にだらしない父親(英真なおき)のもとで育てられ、人生を変えようと士官学校への入学を告げるシーンでの銀橋渡り。ナップザックを担いた革ジャン、ジーンズ姿がカッコイイ!

それに絡むフォーリー軍曹のかなめちゃん!
色白美形のお顔が黒塗り。帽子、口髭でおおわれているのが勿体ない事この上なし、ですが、それだけに時折帽子を取ったりサングラスを外したりするシーンがありがたく感じられます(笑)
身長が高いだけでなく超絶な脚の細さ長さも堪能できるシンプルな軍服スタイルもツボ。
優等生デラセラ(夢乃聖夏)をしごきでマットにしずめるシーン、親友シドの自殺の痛みをフォーリーにぶつけるザックとの決闘シーンでの本格的な立ち回りのカッコよさなど、今までにない(そしてこれからはこんな役は2度とまわってこないでしょう)姿を拝めるチャンス。
・・と、完全にファン目線でハートを飛ばしていたのですが、新人公演の映像で、至極真っ当なマッチョ軍曹を演じていた真風(涼帆)くんを見て、おっさんくさい。。。と萎えたときに、凰稀さんの作り上げた軍曹(声質、体型などからどうしてもリアルに演じるのは無理、と判断して、自分なりに出来ることを積み重ねて作り上げた、と本人談)がいかに宝塚の舞台における鬼軍曹として正しかったか、ということが図らずも証明されたように思いました。
以前、恵まれた資質をそのまま活かせる役が多かった時には気付かなかった(多分本人も)役作り能力=役者としての力が試されそして実感出来た、メモリアルな公演となったのではないでしょうか。

ここまでで、すでに充分に語っておりますが、後は3人3様の”女の生き方”を見せる、ポーラ、リネット(白華れみ)、シ―ガ―(音波みのり)について、そして士官候補生仲間についても語りたい・・・でもそろそろ筆を置かなくては。。。のお時間がやってまいりました。

続きは新年にまた。。。

皆さま、どうぞ良いお年をお迎えくださいませ




2010年 星組語り ④

2010-12-31 06:22:53 | TAKARAZUKA
これを書き終えないと2010年が終わらない・・・
年賀状がまだ終わっていないのに連日星組を語る自分もどうかと思いますが^^;

しかもベジャールバレエ団、あんなに熱心に観ていたのにこちらでは完全スルー状態で、
オーストラリアバレエ団も予告のみという放置状態・・・^^;

え~と、ベジャールバレエ団は来年早々に東バでベジャールプロがあるので、そこに絡めて書きます!
オーストラリアの方は、場所だけ作ってあるので、いつかひっそりと埋めておきます・・・

と、言い訳をしつつ、この一カ月の心の支え、
宝塚星組東京公演
「宝塚花の踊り絵巻~秋の踊り」
「愛と青春の旅立ち」

いや、演目とCASTが発表された段階で、まさかここまで自分がハマるとは夢にも思っていませんでしたが・・・
わからないものですね!

11月26日の初日に始まり、12月26日の前楽まで、12月2日、9日、16日、24日を含め都合6回観劇。
宝塚は2回がMAXだったわたくしにとって、ひとつのターニングポイントに?
良く言われる、一度目全体、2度目贔屓中心、3度目若手チェック、という見方もあるかと思いますが、わたくしの場合ほぼ2番手メインで出ていないときにはTOP,というかなり偏った視線で^^;
ある程度固定された視野ではありましたが、だからこそ、徐々に舞台メイク、演技、全体の一体感などの高まって行くさまがもう、刻一刻と上昇気流に乗って天高く駆け昇っていくような高揚感がありました。
リピートできるかどうかは演目にもよるかと思いますが、今回は楽しい見どころが多く何度でも観たくなりました!
ただ、DVDは大劇場公演で収録されているので、完成度としては東京公演に及ばないかと・・・。
スカイステージで1年後に放映されるであろう東京公演千秋楽の映像を待ったほうが良さそうです。

ではまず、和モノのショーから・・

④ 「宝塚花の踊り絵巻~秋の踊り」



45分の日本もののショー。
チョンパ(真っ暗な中からパッと照明がMAXになり、銀橋にずらりとスターが並んでいる華やかな幕開け)から始まり、菊慈童、武士と遊女の追手をかわしながらの道行、麦や節、おけさ幻想、秋の月夜の男と女、雪、春の踊り(組み紐、毛槍、主題歌歌い継ぎ)という流れ。

初見では、道行の場面の流れが大衆演劇っぽくてちょっとなぁ~と思ったり、ラストの春の踊りのシーンも華やかというよりはパステル調の色を使いすぎて却ってゴチャゴチャと地味に見える・・・舞台全体の色彩設計に問題があるのではないか、などと素で客観的に舞台を観てしまっていたのですが、リピートするうちに、演者の熱気と美しさにだんだん細かいこと(?)が気にならなくなってくるではありませんか・・・(宝塚マジック??)

定番だと思っていた日本もののショーですが、実際には今は2年に一度くらいしかい上演されないみたいで、生徒さんによっては、というかほとんどの方がしゃべ化粧(白塗りのお化粧)が初めてで・・・と、きれいに見えるお化粧を完成させるのに苦労されていた模様。
いつも、初日から仕上げてくる柚希さんでさえ、大劇場中盤段階で、やっと化粧の初日を迎えた(ようやく納得のいく形に完成した)とトーク番組で語っていらしたくらいですから・・・。
和ものが得意というイメージのある雪組出身者の凰稀かなめさんでさえ、実は本格的なしゃべ化粧は初めてで、柚希さんに一から教えていただいた、とのこと。確かに大劇場のときもキレイではあるのですが、眼の周りに広くピンクのシャドーのように紅をぼかしているのがちょっと京劇風だったかも。
東京公演後半はアイラインと眉の黒に重ねるように紅色を挿してベースは赤みを押さえて白く仕上げているのがお似合いでとてもきれいでした。
遊女の夢咲ねねさんも最初はちょっと垂れ目風でピンクピンクしていましたが、最後はとても色っぽくなり・・・

専科の松本悠里さんが、日本舞踊のスペシャリストとして特別出演。
「菊慈童」と秋の男と女の2場面、そしてラストの組み紐の場面でメインを踊っていらっしゃいましたが、「菊慈童」は申し訳ないのですが、見所満載で力の入りっぱなしのこのショーの中ではお休みタイムに(笑)
涼紫央さんとのしっとりとした男と女の中秋の名月?の場面は、全体の完成度が低かった時点では、さすが、と思わせる情感溢れる美しい場面、だったのですが、他がレベルアップしてくるとどうも地味な場面に見えてきてしまい・・・^^;
でも、生徒さんたちが松本先生とお稽古したり、舞台でご一緒することで様々な所作や大切なことを教わったとおっしゃっているので、やはり大切な方なのでしょう。でも、主演場面はもしかすると一つでも良かったかも?

どんどん良くなっていったのは「驟雨」の場面。
柚希さんがまず遊郭を訪れるのですが、赤の格子が動いて3面を作りそこにハラハラと遊女が4~5人現れるところが美しい。女将と思われる副組長の万里柚美さんが上品な色気を醸し出していて目が釘付けに。
そこに現れる夢咲さんの遊女。薄物の羽織物を使って柚希さんと踊りますが場面は秋なのに紗?と一瞬思わないでもなかったのですが、秋口ということとヴィジュアル効果で良いのでしょう^^;
ワラワラと柚希さんを追う忍者登場。
ここでの立ち回り、長い棒をスピーディに操るのはバトンの名手、鶴美舞夕さん。投げられた刀をキャッチする見せ場もあり、男役としては小柄ながら、きびきびとしたダンサーである彼女に見せ場があるのは嬉しいです。
銀橋を上手から渡って逃げる柚希さんと下手からフラフラと小走りに駆けてくる夢咲さんが中央でぶつかり、瞬時構えるもあぁ、お前か・・・と気付いてホッとし、肩をやられたんだ・・・とくずおれる柚希さんが見どころ。
二人で沼地?に逃げると待ち構えていたのは紫のキモノの武士(紅ゆずる)。危ないから、と足手まといにならないように舞台奥の小舟に避難するねね姫。小舟から二人の立ち回りを見守るのですが、初日の頃は、さっさと逃げてちゃっかり待機、というふうに見えてしまっていたのが、楽近くでは、武士を倒した手負いの柚希さんと小舟で寄り添い落ちのびるラストまで(24日に初めてこの場面で泣けた)、柚希さんを常に気遣い、美しく眉を寄せた泣き顔も色っぽく、もとより姿はほっそりとした首と小さな頭がお人形のように可憐なので、とてもよかったと思います。
夢咲ねねさんについての評価は、どの日に観たかで全く分かれるかも^^;

そして「麦や節」
民謡歌手凰稀かなめって・・^^;と聞いた時には思ったのですが、清新な溌剌とした雰囲気と武士らしい風格があって、ベタな民謡風ではなかったのでホッ。
白鉢巻きに黒いキモノ、白黒縦縞の袴に手にすげ傘。左右に4人従えてセンターでこぶし回しも完璧に朗々と歌い上げる凰稀さん、いつの間にこんなに自在に歌えるようになったの・・・
うぅぅ・・・この調子だとそのうちTOPになっていただいても大丈夫だわ!とテンションあがります。
笠を使った振りが面白く、そしてとても難しそう。涼さんが取り落した瞬間を観てしまった回もありましたが^^;
歌いながら銀橋を渡り、キリッとした視線で前を見ながら、笠を下に向かってクックッと下げる振りがあるのですが、そこ、カッコよくてツボです(笑)

続いて「おけさ幻想」
これはとても星組らしい迫力のある演目ですね。柚希さんの「佐渡おけさ」。
声量も声の伸びも素晴らしく、そこに星組総出の群舞が風や波を表現しているとのことで、紺色の背景に青緑~紫の衣装でちょっと幻想的でエモ―ショナルな場面です。皆は青い布で頭を包んでいて、柚希さんが青天で夢咲さんが日本髪。
群舞が女性だけ、メイン4人だけ、全員、などとフォーメーションを変えながらそれこそ波のように柚希さんを囲むのが音楽の高まりと相まってとても見ていて気持ちが良いです。
どうしても出ている場面では凰稀さんを観てしまうのが、上品な身のこなしながらも、柚希さんを見つめながら音楽に乗ってキメを作ったり流れるようにターンするところのノリ具合がとても良く、とりわけ千秋楽近くなってからの入りこみ具合は表情にも現れて、とても華がありました。
ラスト、金銀の扇を持った群舞が中腰で扇を掲げるところが本当に波の煌めきのようで素敵。
この瞬間の会場からの拍手、回を追うごとに大きく長くなっているのが嬉しいです。

「雪」の場面。
おかっぱの娘役たち群舞で繋ぎ、主役二人を早変わりさせるための地味なシーンではあるのですが、個人的には舞台美術が美しくて好きな場面です。
白とキラキラする雪だけで、娘たちの白いキモノと溶け合ってとてもキレイ。
白い着物で登場した主役二人のまわりを娘たちが囲み、引き抜き(というか、白着物をとる作業)でパッと紫と赤の二人になり、春になる、という演出。

「花見の総踊り」のラスト。
華やかな桜舞う春爛漫のシーン。主役二人の踊りをセンターに、背後の階段センターに2番手凰稀さんが現れ、扇子を開いてキメて拍手、でテーマ曲の歌い継ぎの歌い出しを担当。
この後涼さん、夢乃さん、紅さんと続くのですが、だんだん音楽もクレシェンドしていく、ということもあり、最初がちょっと大人しめに聞こえてしまうのは致し方のないところでしょう。丁寧な歌唱で好感は持てます。
松本先生を挟んで、涼さんと3人で紅い組紐を肩に回して手元の房を回しながらの踊り、笑みを交わしながら、楽しそうに踊っているのが和みます。凰稀さんは身長が高いだけでなく腰の位置がとても高いので日本舞踊ってどうなの??と思っていたのですが、きれいに腰を落として流麗に舞っている姿は美しさでは断トツだったと思います。(贔屓目)

イメージとは違いながらも、高レベルのパフォーマンスを見せてくれたのは柚希さんも同じくで。
バレエがベースとなっている人なので、こういう踊りに馴染むのかなぁとか、洋モノのショーでバリバリ踊る柚希さんが観たかったのに・・・勿体ない、などという声も聞きましたが、指先まで神経の行きとどいた力の入った演技と踊り、伸びやかな歌唱で柚希さんならではの日本モノのショーを作り上げられていたと感じました。

いや、この45分のショーだけでもう満足!
でも、この後に見どころ(&突っ込みどころ)満載のお芝居が控えているんです。




2010年 星組語り ③

2010-12-30 02:56:21 | TAKARAZUKA
そして、今年のハイライト!
星組のロミジュリです

③ ロミオとジュリエット


まず、前評判として作品ありきで。
2001年1月初演の、フレンチ・ミュージカルがベース。
ジェラ―ル・プレスギュルヴィック作詞・作曲・演出。
ロック調ともフレンチポップス調ともいえる魅力的な楽曲の数々で当たりを取った傑作で、ロンドン、アムステルダム、ハンガリー、ウィーン、モスクワ、韓国など世界各国で現地版が作られています。

フランス本国でも評判が高く、2010年2月に再演。CDも2001年と2010年バージョンが出ていますので聴き比べてみるのも乙かも・・・。YOU TUBEなどでも聴けますが、かなり良いです!
ちなみに、この再演時に、挨拶を兼ねて、宝塚版初演のメイン3人(柚希 、夢咲、凰稀)がパリで観劇し、そのレポがCSで番組になっているのも観ましたが、そういったプロモーションも含め、公演前から話題性がある作品でした

プレスギュルヴィック氏の独自な演出として
1) 「死」、というダンサーが、物語の進行の影の立役者として舞台に存在する
2) ジュリエットのいとこ、ティボルトが、実はジュリエットに想いを寄せている・・・設定
3) 二人の秘密の結婚はなぜか街の人たちに知れ渡ってしまう

という、シェークスピアの原作と異なる部分があるのですが、各国版がそれぞれの国の演出家の手によってアレンジされるにあたり、ラストの二人の死に方などに違いがらしく。プレスギュルヴィック氏自身はそのあたり、割合寛容なスタンスをとられているようですね。

宝塚版では、「エリザベート」「スカーレット・ピンパーネル」など海外ミュージカルの翻案では天才的な手腕を発揮する小池修一郎が演出を担当。
「死」のダンサーは、フランス版ですと色っぽくミステリアスな女性ダンサーがメインで、ト―トダンサーズのように、場面によっては仲間をひきつれていたりするのですが、小池先生の演出では、「愛」と「死」、二人のダンサーが場面によって交互に
または同時に現れて愛の始まりを祝福したり、死期の近づく人物に忍び寄ったりして物語の行く末を暗示する一方、二人のダンサーが運命を操りつつも対立・融合する踊りを見せるなど、面白い効果をあげています。

で、星組の公演ですが・・・・。
なんと、東京では上演されず。梅田芸術劇場と博多座だけでの上演で。
大劇場公演ではないので、ラストのショーや大階段でのフィナーレなどはなく、所謂ミュージカルとして完結した演出が深く余韻を残し、また、同時期にバウ公演があったため、2手に別れての公演、ということで、踊れるメンバー中心の厳選されたCASTで構成されていたことも結果として良かったのではないかと思います。

東京公演がない、ということで初の梅田行きを敢行。
7月19日(月)海の日の祝日に日帰りで観劇を。
ちょうどこの時期、3週間前にロイヤルバレエの来日公演で吉田都さんのさよなら公演、「ロミオとジュリエット」の至芸を観たあと、ということもあり、非常に感慨深いものがありました。

作品自体、元のフレンチミュージカルが完成度の高い魅力的な舞台であることもあり、お稽古期間が恐ろしく短いにも関わらず、特に演者・美術・衣装のヴィジュアル面では宝塚ならではの華やかさを残しつつ、ベタな臭みのない素晴らしいバランスに仕上がっていて感心。

主役二人については、歌・ダンスに定評のある柚希さんは、それにプラスして少年ロミオの甘く魅力的なキャラクター作りについても、これがあの腹黒いショーブランや苦悩するエリアーフーと同じ役者か!と驚くほどのアイドル性の高いロミオ。
ご本人も熱望したこの役、ということでその想いが結実した完成度の高い役作りはさすがTOP
ジュリエットの夢咲ねねさんは、同じく、宝塚での上演が決まる前に、同期の明日海りおさんとウィーンで観劇していらいいつかきっと・・・と憧れていた、との談話があっただけあって、可愛らしくそして活き活きと演じていましたが、歌や台詞が叫ぶように聞こえる部分が少々・・・^^;
とはいえ、柚希さんとの並びの美しさ、情熱的な役への入り込み方で充分物語を盛り上げているジュリエットではありました。

この役の為にプラチナブロンドのベリーショートという大胆なヘアスタイルにチャレンジした涼紫央さんのベンヴォーリオ、スタイルの良さが際立つマーキューシオの紅ゆずるさんらのモンタギューチームの若々しさ、得意のバトンを活かしたパーティでの余興で場をさらった鶴美舞夕さん、リラ壁の薄幸のヒロインからがらりと変わって、ジュリエットの幸せを願う温かい歌で会場の涙を誘った白華れみさんの乳母、ロミオに対する父親のような温かさで包容力を示した英真なおきさんの神父、笑ってしまうほど派手な外見に、美形なのに達者なコミカルな演技で下級生ながら実力のほどを垣間見せた天寿光希さんのパリス、乳母のおつきのお小姓ピーターで可愛らしい掛け合いをみせたかと思うと別場面ではティボルトに殴られる結婚式の目撃者の男など、何役もこなして大活躍の美城れんさんなど脇も充実。
花愛瑞穂さん、音花ゆりさんの両家の母による聴かせどころの歌も安定。
真風涼帆の「死」はリアルトート。しかも水さん仕様!ちょうど水夏希さんの退団公演時期とかぶったこともあり、ここでかなりの水さんファンが真風くんになびいたのでは・・・とうわさされていましたが(笑)
「愛」は大抜擢の新人、礼真琴さん。男役さんとのことですが、プラチナブロンドのショートボブのかつらに白に近いパウダリーなピンクのシンプルなドレスの柔らかい姿はとてもフェミニン。二人の対比もキレイでした。
ティボルトは・・・うーん、まず素晴らしいヴィジュアルに茫然。
歌は・・う-ん、もしかしてキーが合わない?マーキューシオよりはるかにましですが(あ、言っちゃった^^;)ちょっと残念なところも。

と、大いに満足しつつも、お稽古が足りない状況下、急遽仕上げてきてこの出来なら、博多に行った頃にはどう熟してくるのだろう・・・と大変気になり。

で、遂に、いつもは誘われてしか行かなかったわたくしが、自ら、博多行きを宣言!
はい、初(これも!)博多座に、8月11日、12日の1泊2日で行って参りました。
このときは11日の夜。12日の昼公演を観たのですが・・・。本当に行って良かったです。

なんといっても、凰稀かなめさんの歌が!短期間にここまで!!と思うほど、別人のように心がこもっていて完全に自分のものにしていました・・・。音程の問題もなし。
演技についても、この2日目の公演でオペラグラスを使って気がついたのが、この人の眼の演技が実は深い・・・台詞のないところでも、大げさな身振りではなく眼の表情ひとつで、細やかに感情の襞が伝わる様に思わずオペラが離せなくなりました^^;
そういえば、大王四神記のDVDでもそう思ったのですが^^ あまり言われていませんが、結構演技派だと思うんです(贔屓目?)・・・。

あと、このティボルト、見た目のカッコよさと取り巻きに対する俺様っぷりに対して、自分探し中の未熟な若者である悩める少年の部分の対比がなんとも魅力的。
ほっておいても寄ってくる女たちをあしらい、蹴散らしつつも、密かに愛するジュリエットにはその想いを気付いてもらうこともなく・・・はずみで恋仇に殺されてしまう可哀そうなティボルト。
今まで淡々と舞台に華を添えるクール・ビューティ担当だった凰稀かなめさんの、これはターニングポイントになった役なのではないかと。
その過程を目撃できた、ということも含め、大阪・博多の遠征も無駄ではなかったと思ったことでした


2010年 星組語り ②

2010-12-29 03:37:04 | TAKARAZUKA
星組2番手男役、凰稀かなめさんファン認定され、星組TOP男役の柚希礼音さんファンの友人と、若手注目株4?番手の紅ゆずるさんファンの先輩から日々渡される教材の数々・・・。

星組期待の新人として大切に育てられてきた柚希さんのこれまでの歩みを確認すべく、過去作品(「龍星」「愛するには短すぎる」「ノバ・ボサ・ノバ」「赤と黒」などなど)を観賞しつつ、今まで大劇場&東京宝塚劇場公演がメインで、それ以外にバウシアターで、小規模の演劇的な作品を実験的に行う・・・程度の知識しかなかったわたくしに、地方公演、梅田芸術劇場、博多座などでの別メニュー、本公演中に行われる新人公演、などのオプションがどのように年間スケジュールに組み込まれているのか・・・といったシステムもお勉強(笑)

と、同時に、宝塚独得の座付演出家のお仕事の傾向、海外ミュージカルの宝塚アレンジ、映画・ドラマ・マンガなどの原作をもとにミュージカル化、初演組への宛書きを行う全くのオリジナル作品・・などといった作品の構成、番手・成績などを基にした独自のスターシステム。についてもお勉強。

まぁ、振付家とバレエ団の関係を基に、色々と独得のシステムを理解すると、見えてくるものがあって面白いです

と、ある程度、宝塚ファン歴の長い友人たちの話を理解できるようになったところで誘われたのが


② 「激情―ホセとカルメン―」「BOLERO」



はい、地方公演DEBUTです^^;
5月9日(日)、バレエ公演でも馴染みのある、神奈川県民ホール、が会場、というのもなんとなく敷居が低く(笑)

メイン作品は、過去の名作の再演で、言わずと知れた「カルメン」の宝塚ミュージカル版。
柚希さんが熱演されていて良かったです。カルメン役の夢咲ねねさんはスタイル抜群の長身可憐なタイプですが、カルメン役の濃厚な女っぽさを出すのは難しかったようですね。フラメンコシーン、衣装の長い裾さばきはクリアされていて流石プロですが、フラメンコらしい味わいが薄かったのは残念。
ホセって、わたくしの中ではホセ・カレーラスやマッシモ・ムッルの華奢な美形がまじめさゆえに追い込まれていく・・・というイメージがあるのですが、柚希さんのホセは堂々と情熱的で、カルメンの仲間の盗賊一味に合流してからは、皆をまとめる統率力、仕事に対する合理化など優秀なリーダー、仕事のできる男なムードがにじみ出てしまい・・・転落を嘆く必要がないのでは?と思ってしまったどこでも生きていける異色なホセ。なんだか面白かったです^^;
楽しみにしていたエスカミリオ役の、普段の公演では3~4番手、この公演では実質2番手ポジの夢乃聖夏さんが思ったほどカッコいい役作りをしてくれていなくてちょっと残念・・・とか、色々と辛口な感想が(失礼)
舞台美術を担当されたいたのが、日比野克彦、ということで宝塚舞台には異色のシンプルで強い配色でこれは良かったです。

ショーの「BOLERO」
半分の人数での公演、ですので、配役も違いますし、本公演とは随分印象が異なり、タカラヅカの場合は特に作品そのものよりもスターの持ち味と存在感が全体の印象を左右するのだな、ということが決定的にわかった公演でした。
凰稀かなめさんの演じた場面、銀橋のギャングを夢乃さん、ゼブラは涼紫央さんが担当されていましたが、これほど別物になってしまうとは!!比較的小柄でお顔立ちもシンプルな涼さんが違うのは想定内でしたが、スタイル抜群夢乃さんでも妖艶な美しさという持ち味はやっぱり凰稀さんならでは、だったのだなぁと、皮肉にも不在の公演を観ることでその存在を改めて印象づけられた感がありました。


③ 「リラの壁の囚人たち」



5月30日(日)、日本青年館にて。

全国ツアーの時期には2番手が主演で、バウホール単独、または大阪ではバウ、東京では日本青年館で公演を行う、というのも定番らしいのですが、この青年館公演、というのもわたくしにとっては初の体験。
どんどん深みにはまっている・・・ととまどいつつ、かなめちゃんのファンなら当然観るでしょ!と友人たちのお膳立てで気が付いたら一緒に座っていたという・・・(笑)

これは、元祖(?)かなめちゃんこと、涼風真世さんが1988年に初演した、レジスタンスの闘士が逃げこんだパリの一角での人間模様。
フランス人の母を持つ、イギリス情報部の将校エドが、レジスタンスの闘士とともに逃げ込んだリラの壁に囲まれた中庭に面した一角に住む住人たちに匿われ、そして・・・。
戦争で負傷、車椅子の婚約者ジョルジュ(紅ゆずる)の苛立ちを受けつつ耐えて尽くす看護婦ポーラ(白華れみ)、と惹かれあうエド。エドは、ナチス将校たちで潤うキャバレーパラディ務めで、ギュンター少佐(美弥るりか)の想い人マリー(音波みのり)からも慕われる。
この作品を観たのは、いつもなら主役3人くらいしか認識していなかったわたくしの星組理解度が急激にUPした時期で、バレエで言うならソリストクラスの路線若手の3人のうち、どの娘役よりも素顔が可愛い美弥るりかさんが意外にも低音ボイスを活かしてプラチナブロンドのクールながらもマリーには紳士的なドイツ将校を手堅く演じていたのが印象に残りました。
普通なら、ただただ冷酷なキャラ作りをしそうなナチス将校ですが、将校クラスといえば家柄も良いはずで、そんなギュンターのほのかに漂う育ちの良さ、も含めて、わたしがマリーならギュンターに想われて幸せかも・・・と思ってしまうほど。
あと、ポーラに横恋慕するパラディのボーイ、ジャン役の壱城あずささん。
エドのことを密告する裏切り者で、ポーラに無理やり迫ったり、のワルですが、どのジャニーズアイドルよりもアイドルっぽい容姿とこなれた佇まいで目を惹きます。
あと、マリーの音波みのりちゃん!
小柄ながらもメリハリのある娘らしい体型で、特にミツバチのようなウエストからヒップのかけてのラインが絶妙でフレアースカートが似合うこと!派手な顔立ちではありませんが、心地よいアルトのきれいな声と愛らしい容姿、髪形や着こなしのセンスの良さで注目してしまいました。
主役二人はソフトな美男と薄幸の美女、といった風情で作品にあっていたと思います。(それだけ?!^^;)

星組に慣れてきて、観劇時に脇にも目がいくようになってきた頃・・・の作品ゆえ、主役が疎かになっていますね^^;


2010年 星組語り ①

2010-12-27 03:42:35 | TAKARAZUKA
12月26日、東京公演千秋楽を無事迎えた宝塚歌劇団、星組公演
「宝塚・花の踊り絵巻―秋の踊り―」
「愛と青春の旅立ち」

終わった・・・
寂しい・・・非常に寂しいです!

今年は、わたくしの宝塚観劇史上、初の快挙(?)といえる出来事が相次ぎ・・・
DEEPなファンがまわりに多く、よく観劇にお誘いいただいたり、ヅカ語りを耳にすることで、若干事情もわかったつもりでいるけれども自らアクションを起こすことのない、ライトな関係を保っていたのに。

はい、今回の星組の東京公演で都合6回、ほぼ毎週観劇していたという真性ヅカファン(?)状態に陥るに至る、
今年の歩みを、御紹介させてくださいませ。

① 星組公演「ハプスブルクの宝剣」「ボレロ」



はじまりはここから・・・。
「ハプスブルク」では、ダンサーとしての実力でつとに知られた、若きTOP男役、柚希礼音くんの銀橋渡りのソロ歌の迫力が印象的・・・ではありましたが、ン?と目を惹いたのが、長いウェーブの効いた金髪にふさふさの羽帽子、長いマントに幾重にも縫いつけられた金のレース・・・というデコラティブを絵に描いたようなコスプレ衣装でご登場のフランツ・シュテファン殿下。
平成日本人の長身小顔もここまで極まったか・・・と感動。
無理のあるコスプレ、女性が演じていることを強調するかのような赤口紅、衣装の色を無視したブルーのアイシャドウになじめなかったわたくしがすんなりと作品世界に入れたのは、主役3人のスタイル&そのあたりのセンスの良さ。

だがしかし、「ボレロ」はポエム(日記?)を読み上げながら舞台設定はアフリカ大陸?、テーマはすれ違いの恋人・・・ラストはあのラヴェルの「ボレロ」をバックに金ぴかのダンサー群舞で盛り上げる、というわけのわからないMIX力技レビューショー。

・・・ここに罠が潜んでいたのですね~。
銀端を渡る、帽子のギャング。お笑い要員の子分?二人をひきつれているものの、赤茶のスーツに黒シャツ、アイボリーのベストにアイシ―ブルーのタイ、という粋な姿で、袖をまくりあげたジャケットからのぞく白い腕が上がり、帽子の淵をスッと撫でる・・・。そのまま男役のスーツの群舞に参加。
なに?今の、ギャングなに?だれ?
珍しく、オペラでチェックし、一緒に観劇していたレオンくんファンの同僚にあとで尋ねると、満面の笑みで、2番手の凰稀かなめだと教えてくれ、同時に彼女の中でわたくしはかなめちゃんファンとして認定されました。

その日からです。
親切なその友人から、BlueRayDISCに入れた、CSの宝塚NEWS、CafeBreak,DreamTime,Now on Stageなどなど舞台稽古から公演初日、千秋楽、の模様を伝え、作品について対談し、オフをかたり・・・と手厚い星組関連の周辺状況を把握するための教材が定期的に支給されるようになったのは。

この項、続きます^^;