追い込みです(笑)
もう、ここまで来たらFINISHするしか。
⑤ 「愛と青春の旅立ち」
リチャード・ギアがブレイクした80年代のアメリカ映画の初ミュージカル化。
ご存知ですか?この映画。
わたくしは世代的に知っていなくてはならない・・・のだそうですが(笑)、あまりにもオタクな映画少女だったがために
却って、商業的に成功しているアメリカ映画を無視する傾向にあり、所謂ミニシアターもの、ヨーロッパ映画、インディペンダント系、でなければヌーベルヴァーグの作家、ネオりアリスモのイタリア映画、ヴィスコンティ、小津、でなければカウリスマキ、ジャームッシュ、アルトマンといった系統に与していたので・・・。
なので映画を観ずして、観た宝塚版。
原作者の方が初日にご夫妻で観劇されて、大変満足なさっていましたが、士官学校の生徒たちの愛と青春のドラマ。
予科生が士官になるためのしごきに耐えて、りっぱな士官としての晴々しい卒業式を迎える・・・
これはまるで宝塚音楽学校の生徒のおはなしではないか!ということで、大変入り込みやすい設定ながら、脚本的にはちょっと偏りが。
スミレコード無視、のきわどい台詞、連発するギャグセンスに、一部に熱狂的なファンを持つも、多くの宝塚ファンが危惧する石田先生の脚本。
■まず良いところ: 鬼軍曹フォーリー(凰稀かなめ)の描き方については、見た目 映画の俳優とは真逆の 華奢で美形のジェンヌが演じることもあってか、ただマッチョで横暴な教官、というよりは、生徒のためを思って汚れ役を引き受ける、愛情溢れる知的で誠実な軍曹、という感じに。生徒に厳しく当たったあとは、それを観ていた校長先生(磯野千尋)とのしみじみとした会話でその心情が語られる、という手厚い脚本。
■疑問なところ: ザック(柚希礼音)の描き方。ポーラ(夢咲ねね)に対してひどすぎる台詞が多く、そんなザックをポーラが愛し続ける理由付けが希薄。愛に飢えたザックの寂しさを感じ取った母性的なポーラが、強い意志の力で彼を見捨てないと誓っている・・・というようにポーラも性格付けに脳内補完が必要。
そんなふうに、ポーラに対して非道な態度を取り続けていて、士官候補生仲間に対してもとりわけ馴染んだ風にも見えない段階でのフォーリーのしごきに対して、「わたしは祖国を愛してます!」などと改悛の情を見せるのがGAP。
ザックの成長が段階を追って脚本の中で描かれていないので、最後のフォーリーの台詞「ザックは成長したのであります」に至る彼の成長の過程が見えない。ほとんどの脚本のスカスカなところは各々が役作りを考えて埋めてきているので破綻はないし、それぞれの生徒の役作りにおける力量も見られて楽しいのだか、主役のザックまでここまでスカスカな脚本にしたら、いくら柚希さんが迫真の演技をしても唐突感はぬぐえない・・・。
■どうかと思うところ: 台詞に狙っているのか!?と思うほど古めかしい表現をてんこ盛り。
「河岸を変えましょう」「ちゃんちゃらおかしいわ」「勝手にほざけ」
とはいえ、素晴らしい公演でした!
まずメイン。
ザックの柚希さんが男前!
フィリピンで、女にだらしない父親(英真なおき)のもとで育てられ、人生を変えようと士官学校への入学を告げるシーンでの銀橋渡り。ナップザックを担いた革ジャン、ジーンズ姿がカッコイイ!
それに絡むフォーリー軍曹のかなめちゃん!
色白美形のお顔が黒塗り。帽子、口髭でおおわれているのが勿体ない事この上なし、ですが、それだけに時折帽子を取ったりサングラスを外したりするシーンがありがたく感じられます(笑)
身長が高いだけでなく超絶な脚の細さ長さも堪能できるシンプルな軍服スタイルもツボ。
優等生デラセラ(夢乃聖夏)をしごきでマットにしずめるシーン、親友シドの自殺の痛みをフォーリーにぶつけるザックとの決闘シーンでの本格的な立ち回りのカッコよさなど、今までにない(そしてこれからはこんな役は2度とまわってこないでしょう)姿を拝めるチャンス。
・・と、完全にファン目線でハートを飛ばしていたのですが、新人公演の映像で、至極真っ当なマッチョ軍曹を演じていた真風(涼帆)くんを見て、おっさんくさい。。。と萎えたときに、凰稀さんの作り上げた軍曹(声質、体型などからどうしてもリアルに演じるのは無理、と判断して、自分なりに出来ることを積み重ねて作り上げた、と本人談)がいかに宝塚の舞台における鬼軍曹として正しかったか、ということが図らずも証明されたように思いました。
以前、恵まれた資質をそのまま活かせる役が多かった時には気付かなかった(多分本人も)役作り能力=役者としての力が試されそして実感出来た、メモリアルな公演となったのではないでしょうか。
ここまでで、すでに充分に語っておりますが、後は3人3様の”女の生き方”を見せる、ポーラ、リネット(白華れみ)、シ―ガ―(音波みのり)について、そして士官候補生仲間についても語りたい・・・でもそろそろ筆を置かなくては。。。のお時間がやってまいりました。
続きは新年にまた。。。
皆さま、どうぞ良いお年をお迎えくださいませ
もう、ここまで来たらFINISHするしか。
⑤ 「愛と青春の旅立ち」
リチャード・ギアがブレイクした80年代のアメリカ映画の初ミュージカル化。
ご存知ですか?この映画。
わたくしは世代的に知っていなくてはならない・・・のだそうですが(笑)、あまりにもオタクな映画少女だったがために
却って、商業的に成功しているアメリカ映画を無視する傾向にあり、所謂ミニシアターもの、ヨーロッパ映画、インディペンダント系、でなければヌーベルヴァーグの作家、ネオりアリスモのイタリア映画、ヴィスコンティ、小津、でなければカウリスマキ、ジャームッシュ、アルトマンといった系統に与していたので・・・。
なので映画を観ずして、観た宝塚版。
原作者の方が初日にご夫妻で観劇されて、大変満足なさっていましたが、士官学校の生徒たちの愛と青春のドラマ。
予科生が士官になるためのしごきに耐えて、りっぱな士官としての晴々しい卒業式を迎える・・・
これはまるで宝塚音楽学校の生徒のおはなしではないか!ということで、大変入り込みやすい設定ながら、脚本的にはちょっと偏りが。
スミレコード無視、のきわどい台詞、連発するギャグセンスに、一部に熱狂的なファンを持つも、多くの宝塚ファンが危惧する石田先生の脚本。
■まず良いところ: 鬼軍曹フォーリー(凰稀かなめ)の描き方については、見た目 映画の俳優とは真逆の 華奢で美形のジェンヌが演じることもあってか、ただマッチョで横暴な教官、というよりは、生徒のためを思って汚れ役を引き受ける、愛情溢れる知的で誠実な軍曹、という感じに。生徒に厳しく当たったあとは、それを観ていた校長先生(磯野千尋)とのしみじみとした会話でその心情が語られる、という手厚い脚本。
■疑問なところ: ザック(柚希礼音)の描き方。ポーラ(夢咲ねね)に対してひどすぎる台詞が多く、そんなザックをポーラが愛し続ける理由付けが希薄。愛に飢えたザックの寂しさを感じ取った母性的なポーラが、強い意志の力で彼を見捨てないと誓っている・・・というようにポーラも性格付けに脳内補完が必要。
そんなふうに、ポーラに対して非道な態度を取り続けていて、士官候補生仲間に対してもとりわけ馴染んだ風にも見えない段階でのフォーリーのしごきに対して、「わたしは祖国を愛してます!」などと改悛の情を見せるのがGAP。
ザックの成長が段階を追って脚本の中で描かれていないので、最後のフォーリーの台詞「ザックは成長したのであります」に至る彼の成長の過程が見えない。ほとんどの脚本のスカスカなところは各々が役作りを考えて埋めてきているので破綻はないし、それぞれの生徒の役作りにおける力量も見られて楽しいのだか、主役のザックまでここまでスカスカな脚本にしたら、いくら柚希さんが迫真の演技をしても唐突感はぬぐえない・・・。
■どうかと思うところ: 台詞に狙っているのか!?と思うほど古めかしい表現をてんこ盛り。
「河岸を変えましょう」「ちゃんちゃらおかしいわ」「勝手にほざけ」
とはいえ、素晴らしい公演でした!
まずメイン。
ザックの柚希さんが男前!
フィリピンで、女にだらしない父親(英真なおき)のもとで育てられ、人生を変えようと士官学校への入学を告げるシーンでの銀橋渡り。ナップザックを担いた革ジャン、ジーンズ姿がカッコイイ!
それに絡むフォーリー軍曹のかなめちゃん!
色白美形のお顔が黒塗り。帽子、口髭でおおわれているのが勿体ない事この上なし、ですが、それだけに時折帽子を取ったりサングラスを外したりするシーンがありがたく感じられます(笑)
身長が高いだけでなく超絶な脚の細さ長さも堪能できるシンプルな軍服スタイルもツボ。
優等生デラセラ(夢乃聖夏)をしごきでマットにしずめるシーン、親友シドの自殺の痛みをフォーリーにぶつけるザックとの決闘シーンでの本格的な立ち回りのカッコよさなど、今までにない(そしてこれからはこんな役は2度とまわってこないでしょう)姿を拝めるチャンス。
・・と、完全にファン目線でハートを飛ばしていたのですが、新人公演の映像で、至極真っ当なマッチョ軍曹を演じていた真風(涼帆)くんを見て、おっさんくさい。。。と萎えたときに、凰稀さんの作り上げた軍曹(声質、体型などからどうしてもリアルに演じるのは無理、と判断して、自分なりに出来ることを積み重ねて作り上げた、と本人談)がいかに宝塚の舞台における鬼軍曹として正しかったか、ということが図らずも証明されたように思いました。
以前、恵まれた資質をそのまま活かせる役が多かった時には気付かなかった(多分本人も)役作り能力=役者としての力が試されそして実感出来た、メモリアルな公演となったのではないでしょうか。
ここまでで、すでに充分に語っておりますが、後は3人3様の”女の生き方”を見せる、ポーラ、リネット(白華れみ)、シ―ガ―(音波みのり)について、そして士官候補生仲間についても語りたい・・・でもそろそろ筆を置かなくては。。。のお時間がやってまいりました。
続きは新年にまた。。。
皆さま、どうぞ良いお年をお迎えくださいませ