絶賛宙組公演中のため、ブログを長らく放置しておりました
フト気がつくと、あんなに楽しみにしていたシュツットガルトの「白鳥の湖」のレポもまだと言う状況・・・。
いや、実は、「じゃじゃ馬馴らし」が期待通り、いえ、期待を更に上回る、これが観たかった!!と何度も膝を打つような見事な公演だったこともあって、ちょっと辛口になりそうなこちらは、少し考えるための冷却期間を置きたかった、という理由もあります。
2012年6月5日(火)18:30開演 / 会場:東京文化会館
シュツットガルト・バレエ団2012年日本公演
「白鳥の湖」
ジョン・クランコによる4幕のバレエ
音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
振付・演出:ジョン・クランコ(伝統的演出に基づく)
装置・衣裳:ユルゲン・ローゼ
初演:1963年11月14日、シュツットガルト・バレエ団
◆第1幕 王子の城近◆
ジークフリート王子: フリーデマン・フォーゲル
ウォルフガング(家庭教師): オズカン・アイク
家政婦: リュドミラ・ボガート
ベンノ(王子の友人): ウィリアム・ムーア
従者たち: ロマン・ノヴィツキー、ブレント・パロリン、 デヴィッド・ムーア、ローランド・ハヴリカ
町娘たち: カーチャ・ヴュンシュ、ラケーレ・ブリアッシ、 カタジーナ・コジェルスカ、エリサ・バデネス、ヒョ=ジュン・カン
王妃(摂政): メリンダ・ウィザム
王家の使用人、貴族たち: コール・ド・バレエ
◆第2幕 湖畔◆
ジークフリート王子、ベンノ
ロットバルト(邪悪な魔術師): ニコライ・ゴドノフ
オデット(魔法をかけられた王女): アリシア・アマトリアン
二羽の白鳥: 森田愛海、ラケーレ・ブリアッシ
小さな白鳥: エリサ・バデネス、カタジーナ・コジェルスカ、 ジュリー・マルケット、アンジェリーナ・ズッカリーニ
白鳥たち: コール・ド・バレエ
◆第3幕 玉座の間◆
ジークフリート王子、王妃
見知らぬ騎士: ニコライ・ゴドノフ
オディール(その娘という姫君): アリシア・アマトリアン
スペインの姫君とそのお付き: ミリアム・サイモン、 ペトロス・テティエリアン、ロマン・ノヴィツキー、
デヴィッド・ムーア、マッテオ・クロッカード=ヴィラ
ポーランドの姫君とそのお付き: オイハネ、ヘレーロ、 ローランド・ハヴリカ
ロシアの姫君: エリザベス・メイソン
ナポリの姫君とそのお付き: ヒョ=ジュン・カン、 アルマン・ザジアン
貴族たち: コール・ド・バレエ
指揮:ジェームズ・タグル
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
協力:東京バレエ団、東京バレエ学校
◆上演時間◆
第1幕(転換)第2幕 18:30 - 19:45 < 休憩 25分 >
第3幕 20:10 - 20:45 < 休憩 20分>
第4幕 21:05 - 21:25
物語性を重視した版であるという、ジョン・クランコの演出で「白鳥の湖」を観るのは初めて。
一幕の演出、ロットバルトの関係性、3幕のディベルティスマンの扱い、ラストの結末(悲劇かハッピーエンドか)などで様々な解釈の版が上演されていますが、こちらは、王子の成長に重点を置いた悲劇版。
その分、周辺の踊りがかなり軽視されている・・・とまでは行かなくても、期待しているソリストの踊りの部分が案外とあっさりと終わってしまって肩すかし・・な部分も。
基本、やっぱり、ディベルティスマンが必要以上に(笑)熱いロシア版や、1幕から貴族たちの群舞が限界までの総踊りで華々しいヌレエフ版などの楽しさが染みついている分、ちょっと自分としては残念な今回でした。
期待しすぎたのかもしれません。
満を持してのジークフリートと楽しみにしていたフリーデマン・フォーゲルくんの王子様は、踊りもダイナミックで感情表現も豊か。
髪形なども、きれいにサイドに流していて、上品かつオーソドックスなアレンジで安心。
(彼は、普段の若者らしい流行りの髪形のまま舞台に出ることがままあり・・・コンテンポラリー作品では良いのですけど、クラシックでは頭が不必要に大きく見えて残念なことがありましたので・・・^^;)
■第一幕
通常、花を添えるパ・ド・トロワや、道化がヴィルトゥオーゾなテクニックを見せる場面などがカット。
その代わりに、王子と町娘たちによるパ・ド・シスが踊られます。
ベンノは家庭教師ではなく、普通の友人として登場。王子の青春を表現。
道化が踊る曲でソロを踊る王子。さすがに、フォーゲルくんはダイナミックなジャンプで旬のダンサーの輝きを魅せてくれ、東京文化会館の舞台が狭く感じるほど。
しかし、そんな日々に別れを告げるときが。
花嫁候補たちの肖像画が運び込まれ、女王が登場。
雰囲気が一変して、王子の顔から笑顔が消えます。
こんな場は苦手だとばかり姿をくらました王子を捜す、ランプを手にした人々の姿が暗闇に見え隠れするエンディングは情緒が感じられて美しい。
■第2幕
王子と白鳥の群れ、そしてそれが娘達の姿となり、白鳥の王女であるオデットと出会う・・・という流れは通常版と同じ。
アリシア・アマトリアン、久しぶりに観ましたが、細い!白い!・・でちょっとコワい?
いや、もともと、金髪で優しげでほっそりとしたバレリーナ、という印象があったので、白鳥は似合うだろうな・・と思っていたのですが、ここまで細いとは。メイクが美しき王女、というよりも病的なまでの白さで異界の妖精にしか見えない・・・。細いと言っても筋肉の塊でしなやかかつ強靭。
身体を傾けるときの角度がキレイに揃っていて長身ダンサーが多いだけに迫力もある白鳥群舞です。
あの、涙の湖・・のマイムもなく、健康的で若々しい王子が直ちに恋に落ちる理由が良く分からない・・・ロマンチストなのね、きっと^^; 幽玄な世界が開けて、王女登場!というドラマチックな非日常感に、現実世界の厳しさに萎えていた王子の心が救いを見出して飛びついたのか・・・と勝手に脳内補完。
そこで、王子を捜していたベンノと友人たちが登場。弓で白鳥の群れを狙って王子が制する、という場面が入り、この白鳥たちが娘の姿に見えているのは王子だけ=これは王子の幻想が生み出した世界なのかも?という2重性が提示されます。
そう思うと、まるで、「ラ・バヤデ―ル」のようだわ・・と思った、白鳥たちの登場シーン(群舞がひとりずつ列を作って規則的に走り出てくる・・・そういえば、この日の公演で、走り出てすぐ転んだ白鳥が!こんなこと初めてでビックリしましたがその後人数が減ることもなく何事もなかったかのように続けていたので、無事だったと信じています・・・^^;)
表情の乏しい亡霊のようなオデットにも納得です。
■第3幕
王子の結婚相手を選ぶ祝成人・大舞踏会。
各国の王女とお付きの衣装が実に豪華でカワイイ。
ここは流石ユルゲン・ローゼの美術!と眼福。
金糸のダマスク織に手刺繍がふんだんに使われて、お履き物もトウシューズでない刺繍入りのブーツだったり、ヒールや甲飾りのついたパンプスでお洒落。ただ、その分踊りは本当のゆったりとした民族舞踊のようで、せっかくのプリンシパルの起用が勿体なく感じたり・・・(エリザベス・メイソンがルースカヤ!と配役表を観たときにはわくわくしたのにxxx)
中ではナポリの姫君ヒョ=ジュン・カンには若干見せ場があったと言えるかも?
黒鳥オディールはロットバルトのマントの中から登場。
実は・・・と手をかえすように姿をくらます場面でも、また、ロットバルトのマントの中へと消えていきます。
苦しむオデットの幻影でハッとする・・・という演出もなし。
ロットバルトが登場して、当たり前のように女王の隣にどっかと座る辺りも不自然と言えば不自然で、この舞踏会そのものが現実ではなく、悪魔の魔術の中での出来事なのか・・・と思わせる演出です。
■第4幕
再びオディールを求めて湖畔に現れる王子。
ここでの見せ場はオデットとの美しいパ・ド・ドゥ。
チャイコフスキーの『ハムレット』上演のための劇付随音楽(作品67b)(「弦楽のためのエレジー」と同一曲)を使っています。
心ならずも裏切った、裏切られた、そんあ2人の苦しみと悲しみを愛の力で乗り越えて・・・。
だがしかし、誓いを破った報いは逃れようもなく。
オデットは王子から引き離されて白鳥に戻され、王子はロットバルトの手中に落ちて、波立つ湖で溺死する・・・という怒涛の展開。
青春期の終わりに自我に目覚めた王子が、伝統にのっとって成人することを拒み、
自ら選んだ女性と愛に生きようとするが、悪の化身に謀られてその愛を全うすることが出来ずに身罷る・・・という悲劇。
通常、女性の2面性を活き活きと魅せるバレリーナの到達点である作品が、ここまで王子の物語に変えられるとは。
そこが魅力でもあり、意外性でもあり。
男性ダンサーにとっては、一度は踊ってみたいと思わせる魅力的なバージョンなのではないでしょうか。
そういえば、この2人を初めて見たのは2003年の世界バレエ・フェスティバル。
「太陽に降り注ぐ雪のように」というコンテンポラリーで話題沸騰。
ショパンをJAZZにアレンジした曲を流して、ストレッチの効いたピンクのTシャツを使って踊る若い2人のチャーミングだったこと!!
アリシア・アマトリアン&フリーデマン・フォーゲルの注目度と好感度はこれで高値安定。
実は、バレエ団からの演目提案は、「黒鳥のパ・ド・ドゥ」だったのを、ベテランの世界的なダンサーが集うバレフェスでのデビューにふさわしくないと、NBSの佐々木氏がダメ出しをしたとか。
さすがは佐々木さんだなぁとそれを知って唸ったことでした。
たしか、そのとき黒鳥のPDDを踊ったのは絶頂期のステパネンコお姐さまとクラシックのお手本のようなウヴァーロフ。
・・・やめておいて、本当に良かったわね^^;
でも、その時から10年近くの時が経ち・・・。
堂々とセンターで王子を踊るフリーデマンに感慨深いものがありつつも、やっぱりこの人はコンテンポラリーの方が数倍魅力的に見えると確信を深めました。
白鳥の王子って、ナルシス度と言いますか、自分こそが王子である!という強い意識が必要なのかも。
スター性は充分でも持ち味がナチュラルなフリーデマンは人間ドラマを演じよう!という気迫と、実際にその力があるとは思いますし、踊りもパートナリングもバッチリで、何の不足もないのですが。
次の白鳥は違うヒトで観てみたいかも。
久しぶりにデマチ敢行。
アイドル人気のフォーゲル君目当てに待つ人多し。
嬉しいことにバランキエビッチ発見!もちろん、駆け寄りました(笑)
バレフェスでは会えないから・・・;;
彼は2003年の件のバレフェスではあの女優バレリーナ、アレッサンドラ・フェリと抱腹絶倒の「じゃじゃ馬馴らし」を踊っていたんですよね^^
変わらないわ・・・(←ファン)
色々思い出してしまいました
フト気がつくと、あんなに楽しみにしていたシュツットガルトの「白鳥の湖」のレポもまだと言う状況・・・。
いや、実は、「じゃじゃ馬馴らし」が期待通り、いえ、期待を更に上回る、これが観たかった!!と何度も膝を打つような見事な公演だったこともあって、ちょっと辛口になりそうなこちらは、少し考えるための冷却期間を置きたかった、という理由もあります。
2012年6月5日(火)18:30開演 / 会場:東京文化会館
シュツットガルト・バレエ団2012年日本公演
「白鳥の湖」
ジョン・クランコによる4幕のバレエ
音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
振付・演出:ジョン・クランコ(伝統的演出に基づく)
装置・衣裳:ユルゲン・ローゼ
初演:1963年11月14日、シュツットガルト・バレエ団
◆第1幕 王子の城近◆
ジークフリート王子: フリーデマン・フォーゲル
ウォルフガング(家庭教師): オズカン・アイク
家政婦: リュドミラ・ボガート
ベンノ(王子の友人): ウィリアム・ムーア
従者たち: ロマン・ノヴィツキー、ブレント・パロリン、 デヴィッド・ムーア、ローランド・ハヴリカ
町娘たち: カーチャ・ヴュンシュ、ラケーレ・ブリアッシ、 カタジーナ・コジェルスカ、エリサ・バデネス、ヒョ=ジュン・カン
王妃(摂政): メリンダ・ウィザム
王家の使用人、貴族たち: コール・ド・バレエ
◆第2幕 湖畔◆
ジークフリート王子、ベンノ
ロットバルト(邪悪な魔術師): ニコライ・ゴドノフ
オデット(魔法をかけられた王女): アリシア・アマトリアン
二羽の白鳥: 森田愛海、ラケーレ・ブリアッシ
小さな白鳥: エリサ・バデネス、カタジーナ・コジェルスカ、 ジュリー・マルケット、アンジェリーナ・ズッカリーニ
白鳥たち: コール・ド・バレエ
◆第3幕 玉座の間◆
ジークフリート王子、王妃
見知らぬ騎士: ニコライ・ゴドノフ
オディール(その娘という姫君): アリシア・アマトリアン
スペインの姫君とそのお付き: ミリアム・サイモン、 ペトロス・テティエリアン、ロマン・ノヴィツキー、
デヴィッド・ムーア、マッテオ・クロッカード=ヴィラ
ポーランドの姫君とそのお付き: オイハネ、ヘレーロ、 ローランド・ハヴリカ
ロシアの姫君: エリザベス・メイソン
ナポリの姫君とそのお付き: ヒョ=ジュン・カン、 アルマン・ザジアン
貴族たち: コール・ド・バレエ
指揮:ジェームズ・タグル
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
協力:東京バレエ団、東京バレエ学校
◆上演時間◆
第1幕(転換)第2幕 18:30 - 19:45 < 休憩 25分 >
第3幕 20:10 - 20:45 < 休憩 20分>
第4幕 21:05 - 21:25
物語性を重視した版であるという、ジョン・クランコの演出で「白鳥の湖」を観るのは初めて。
一幕の演出、ロットバルトの関係性、3幕のディベルティスマンの扱い、ラストの結末(悲劇かハッピーエンドか)などで様々な解釈の版が上演されていますが、こちらは、王子の成長に重点を置いた悲劇版。
その分、周辺の踊りがかなり軽視されている・・・とまでは行かなくても、期待しているソリストの踊りの部分が案外とあっさりと終わってしまって肩すかし・・な部分も。
基本、やっぱり、ディベルティスマンが必要以上に(笑)熱いロシア版や、1幕から貴族たちの群舞が限界までの総踊りで華々しいヌレエフ版などの楽しさが染みついている分、ちょっと自分としては残念な今回でした。
期待しすぎたのかもしれません。
満を持してのジークフリートと楽しみにしていたフリーデマン・フォーゲルくんの王子様は、踊りもダイナミックで感情表現も豊か。
髪形なども、きれいにサイドに流していて、上品かつオーソドックスなアレンジで安心。
(彼は、普段の若者らしい流行りの髪形のまま舞台に出ることがままあり・・・コンテンポラリー作品では良いのですけど、クラシックでは頭が不必要に大きく見えて残念なことがありましたので・・・^^;)
■第一幕
通常、花を添えるパ・ド・トロワや、道化がヴィルトゥオーゾなテクニックを見せる場面などがカット。
その代わりに、王子と町娘たちによるパ・ド・シスが踊られます。
ベンノは家庭教師ではなく、普通の友人として登場。王子の青春を表現。
道化が踊る曲でソロを踊る王子。さすがに、フォーゲルくんはダイナミックなジャンプで旬のダンサーの輝きを魅せてくれ、東京文化会館の舞台が狭く感じるほど。
しかし、そんな日々に別れを告げるときが。
花嫁候補たちの肖像画が運び込まれ、女王が登場。
雰囲気が一変して、王子の顔から笑顔が消えます。
こんな場は苦手だとばかり姿をくらました王子を捜す、ランプを手にした人々の姿が暗闇に見え隠れするエンディングは情緒が感じられて美しい。
■第2幕
王子と白鳥の群れ、そしてそれが娘達の姿となり、白鳥の王女であるオデットと出会う・・・という流れは通常版と同じ。
アリシア・アマトリアン、久しぶりに観ましたが、細い!白い!・・でちょっとコワい?
いや、もともと、金髪で優しげでほっそりとしたバレリーナ、という印象があったので、白鳥は似合うだろうな・・と思っていたのですが、ここまで細いとは。メイクが美しき王女、というよりも病的なまでの白さで異界の妖精にしか見えない・・・。細いと言っても筋肉の塊でしなやかかつ強靭。
身体を傾けるときの角度がキレイに揃っていて長身ダンサーが多いだけに迫力もある白鳥群舞です。
あの、涙の湖・・のマイムもなく、健康的で若々しい王子が直ちに恋に落ちる理由が良く分からない・・・ロマンチストなのね、きっと^^; 幽玄な世界が開けて、王女登場!というドラマチックな非日常感に、現実世界の厳しさに萎えていた王子の心が救いを見出して飛びついたのか・・・と勝手に脳内補完。
そこで、王子を捜していたベンノと友人たちが登場。弓で白鳥の群れを狙って王子が制する、という場面が入り、この白鳥たちが娘の姿に見えているのは王子だけ=これは王子の幻想が生み出した世界なのかも?という2重性が提示されます。
そう思うと、まるで、「ラ・バヤデ―ル」のようだわ・・と思った、白鳥たちの登場シーン(群舞がひとりずつ列を作って規則的に走り出てくる・・・そういえば、この日の公演で、走り出てすぐ転んだ白鳥が!こんなこと初めてでビックリしましたがその後人数が減ることもなく何事もなかったかのように続けていたので、無事だったと信じています・・・^^;)
表情の乏しい亡霊のようなオデットにも納得です。
■第3幕
王子の結婚相手を選ぶ祝成人・大舞踏会。
各国の王女とお付きの衣装が実に豪華でカワイイ。
ここは流石ユルゲン・ローゼの美術!と眼福。
金糸のダマスク織に手刺繍がふんだんに使われて、お履き物もトウシューズでない刺繍入りのブーツだったり、ヒールや甲飾りのついたパンプスでお洒落。ただ、その分踊りは本当のゆったりとした民族舞踊のようで、せっかくのプリンシパルの起用が勿体なく感じたり・・・(エリザベス・メイソンがルースカヤ!と配役表を観たときにはわくわくしたのにxxx)
中ではナポリの姫君ヒョ=ジュン・カンには若干見せ場があったと言えるかも?
黒鳥オディールはロットバルトのマントの中から登場。
実は・・・と手をかえすように姿をくらます場面でも、また、ロットバルトのマントの中へと消えていきます。
苦しむオデットの幻影でハッとする・・・という演出もなし。
ロットバルトが登場して、当たり前のように女王の隣にどっかと座る辺りも不自然と言えば不自然で、この舞踏会そのものが現実ではなく、悪魔の魔術の中での出来事なのか・・・と思わせる演出です。
■第4幕
再びオディールを求めて湖畔に現れる王子。
ここでの見せ場はオデットとの美しいパ・ド・ドゥ。
チャイコフスキーの『ハムレット』上演のための劇付随音楽(作品67b)(「弦楽のためのエレジー」と同一曲)を使っています。
心ならずも裏切った、裏切られた、そんあ2人の苦しみと悲しみを愛の力で乗り越えて・・・。
だがしかし、誓いを破った報いは逃れようもなく。
オデットは王子から引き離されて白鳥に戻され、王子はロットバルトの手中に落ちて、波立つ湖で溺死する・・・という怒涛の展開。
青春期の終わりに自我に目覚めた王子が、伝統にのっとって成人することを拒み、
自ら選んだ女性と愛に生きようとするが、悪の化身に謀られてその愛を全うすることが出来ずに身罷る・・・という悲劇。
通常、女性の2面性を活き活きと魅せるバレリーナの到達点である作品が、ここまで王子の物語に変えられるとは。
そこが魅力でもあり、意外性でもあり。
男性ダンサーにとっては、一度は踊ってみたいと思わせる魅力的なバージョンなのではないでしょうか。
そういえば、この2人を初めて見たのは2003年の世界バレエ・フェスティバル。
「太陽に降り注ぐ雪のように」というコンテンポラリーで話題沸騰。
ショパンをJAZZにアレンジした曲を流して、ストレッチの効いたピンクのTシャツを使って踊る若い2人のチャーミングだったこと!!
アリシア・アマトリアン&フリーデマン・フォーゲルの注目度と好感度はこれで高値安定。
実は、バレエ団からの演目提案は、「黒鳥のパ・ド・ドゥ」だったのを、ベテランの世界的なダンサーが集うバレフェスでのデビューにふさわしくないと、NBSの佐々木氏がダメ出しをしたとか。
さすがは佐々木さんだなぁとそれを知って唸ったことでした。
たしか、そのとき黒鳥のPDDを踊ったのは絶頂期のステパネンコお姐さまとクラシックのお手本のようなウヴァーロフ。
・・・やめておいて、本当に良かったわね^^;
でも、その時から10年近くの時が経ち・・・。
堂々とセンターで王子を踊るフリーデマンに感慨深いものがありつつも、やっぱりこの人はコンテンポラリーの方が数倍魅力的に見えると確信を深めました。
白鳥の王子って、ナルシス度と言いますか、自分こそが王子である!という強い意識が必要なのかも。
スター性は充分でも持ち味がナチュラルなフリーデマンは人間ドラマを演じよう!という気迫と、実際にその力があるとは思いますし、踊りもパートナリングもバッチリで、何の不足もないのですが。
次の白鳥は違うヒトで観てみたいかも。
久しぶりにデマチ敢行。
アイドル人気のフォーゲル君目当てに待つ人多し。
嬉しいことにバランキエビッチ発見!もちろん、駆け寄りました(笑)
バレフェスでは会えないから・・・;;
彼は2003年の件のバレフェスではあの女優バレリーナ、アレッサンドラ・フェリと抱腹絶倒の「じゃじゃ馬馴らし」を踊っていたんですよね^^
変わらないわ・・・(←ファン)
色々思い出してしまいました