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お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

東京バレエ団50周年記念 祝祭ガラ

2014-08-30 20:42:12 | BALLET
2014年8月30日(土)15:00~
東京バレエ団創立50周年記念ガラ、初日・・のつもりが好評につきの追加発売で金曜日のソワレが追加で発売されたため、2日目となりましたが、なんとNHKホールが大入満員。
大入り袋入りのライト付のキーホルダーを頂きました

<東京バレエ団創立50周年記念シリーズ 5>

東京バレエ団 創立50周年 〈祝祭ガラ〉

◆主な配役◆

「ペトルーシュカ」
振付:ミハイル・フォーキン   音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー
ペトルーシュカ: ウラジーミル・マラーホフ
バレリーナ: 川島麻実子
ムーア人: 森川茉央
シャルラタン: 高岸直樹   ほか

「スプリング・アンド・フォール」
振付:ジョン・ノイマイヤー  音楽:アントニン・ドヴォルザーク
沖香菜子 - 梅澤紘貴
村上美香、吉川留衣、岸本夏未、矢島まい、河合眞里、三雲友里加
岡崎隼也、森川茉央、安田俊介、杉山優一、永田雄大、吉田蓮、原田祥博、岸本秀雄、入戸野伊織

「オネーギン」より第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・クランコ 音楽:P.I. チャイコフスキー
オネーギン: マニュエル・ルグリ
タチヤーナ: 吉岡美佳

「ラ・バヤデール」より"影の王国"
振付:ナタリア・マカロワ(マリウス・プティパ版による) 音楽:レオン・ミンクス 編曲:ジョン・ランチベリー
ニキヤ: 上野水香
ソロル: 柄本弾
第1ヴァリエーション: 吉川留衣
第2ヴァリエーション: 渡辺理恵
第3ヴァリエーション: 乾友子   ほか

「ボレロ」
振付:モーリス・ベジャール  音楽:モーリス・ラヴェル
シルヴィ・ギエム
森川茉央、杉山優一、永田雄大、岸本秀雄   ほか

指揮:ワレリー・オブジャニコフ
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
ピアノ:菊池裕介(「ペトルーシュカ」)
協力:東京バレエ学校(「ペトルーシュカ」)

◆上演時間◆
【第1部】 15:00-15:50(休憩 20分)
【第2部】 16:10-16:55(休憩 20分)
【第3部】 17:15-18:10 実際の収量は18:30カーテンコールその他で押しますものね。

「バレエの祭典」会員ゆえ、9列目の好位置での観賞。



マラーホフのペトリューシカでスタート。前日、国立新美術館でバレリュス衣装展を見たばかりということもあって色々興味深く、マラーホフも身体を絞ってのご登場でしたが、わたくしの中のベストアクト、ローラン・イレールの印象があまりに強く、軽く前座扱いに(ごめんなさい!)


スプリングアンドフォール、ここでこのところ躍進していると噂の沖さんのセンターをしっかりと。
すごく好みのダンサーでした。聡明そうな輝く瞳、ことさら長身ではないありませんがバランス良い体型で四肢の使い方が伸びやかなので センターで映えますね


若々しいダンサーを堪能した後は超ベテラン。
吉岡さんとルグリ先生のオネーギン。
吉岡さんって、難しいテクニックは回避しつつ美しく省略…というイメージがありますが、あの透明感には抗えない感じがする、実は斉藤さん吉岡さん二択だと必ず吉岡さんの日を選んでいたわたくし
未だに美しいという驚異、そしてルグリ先生の先を読みつつのサポートの素晴らしさ!
もちろん、モニクやアイシュバルト様とのようながっぷり4つ感はありませんが、麗しい悲恋にウットリ酔わせて頂きました


第3部はバヤデール影の王国。
あの広いNHKホールの舞台を埋める東京バレエ団コールドの静かに研ぎ澄まされた動きとキレイに揃ったシルエットの美しさ
第一ヴァリ吉川留衣さん第二ヴァリ渡辺理恵さん第三ヴァリ乾さんというわたくし得なソリスト陣でテンション上がったところで

…ソロル弾くん。ニキヤ水香さん。いや、何が悪い訳ではないのです
ソロルはもっと勇壮な雰囲気で高いジャンプでのヴァリを見慣れていたことと、水香さんはニキヤ役者じゃない、というだけで。


感心しながらも微妙な心持ちになったところでトリのボレロ。


シャープな筋肉質な長身
オレンジのロングヘア。見慣れた姿のギエムに来年引退なんてしなくても良いのに…とオペラを覗くと、ほぼノーメイクの彼女の目の下口の脇…。歳月は確実に刻まれているのだなと納得。
シンプルな肌色のキャミに黒のレギンス。ノ―メイク。豊かな燃える色の髪だけが装飾的で、他をそぎ落とした究極のミニマリズム。
そして、今夜のギエムのボレロ、最高でした。今まで、身体がきくせいか、やや走り気味で風の精のようなメロディーだなあと思うことが多かったのですが、なんといいますか、手首の角度、一振り毎にキッカリ五センチずつ高くなっていく脚の軌跡まで 一つ一つのムーブメントが空間に刻み込まれていくような、そして後半、リズムの男性陣一人一人の目を見つめてまとめ上げていく様は、ここに来て 更に新しいギエム、でした
圧巻。
何度も繰り返されるカーテンコール。最後はすでにスーツ姿のルグリ、舞台衣装姿の東バ団員ら本日の出演者も全員舞台上に現れて。
そのセンターでいつものように無邪気に破顔するギエムの姿に向けてただただ拍手を送り続ける、わたくしを含めた観客たち。。。。
このような素晴らしいゲストたちと50年かけて育んできた信頼のきずながこれからも続いていきますようにと祈ったことでした。





宝塚花組「エリザベート」 宝塚大劇場

2014-08-28 05:46:22 | TAKARAZUKA
2014年8月26日(火)11:00
明日海りおTOPスター就任お披露目公演、「エリザベート 愛と死の輪舞(ロンド)」を宝塚大劇場まで遠征して観て参りました。



開演前からわくわくしていたのですが、更にムラならではの出来事が!
本拠地ゆえ、他組のジェンヌが客席で観劇していることがままあるのですが、この日はとびきりのゲストが!
来年5月の退団を発表したばかりの柚希礼音さん、翌27日に添い遂げ退団を発表することになる相手役の夢咲ねねさん、そして2番手男役の紅ゆずるさん。
センターの2列目か3列目かしら?に向かわれたのに気付いた会場からどよめきがおこり、そして拍手が^^
他にも3番手男役の真風涼帆さん、宙組男役スターの澄輝さやとさんなど客席のあちこちにスターをお見掛けするのは本拠地ならではの光景ですね^^

公演期間は2014年8月22日(金)~9月22日(月)

主な配役は・・・
黄泉の帝王トート: 明日海 りお
皇后エリザベート:  蘭乃 はな
オーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフ: 北翔 海莉
皇太子ルドルフ: 柚香光(役変わり:芹香 斗亜)
暗殺者・狂言回しルイジ・ルキーニ: 望海 風斗
*~*~*
オーストリア皇太后ゾフィー: 桜一花
少年ルドルフ:  矢吹 世奈
マックス公爵(エリザベートの父): 悠真 倫
ルドヴィカ (エリザベートの母、ゾフィーの妹): 花野 じゅりあ
ヘレネ(エリザベートの姉):  華耀 きらり
家庭教師: 春花 きらら

グリュンネ伯爵(ルドルフの側近):高翔 みず希
ラウシャー大司教: 紫峰 七海
ケンペン男爵(ルドルフの側近): 夕霧 らい
シュヴァルツェンベルク侯爵(ルドルフの側近): 羽立 光来
ヒューブナー男爵(ルドルフの側近): 航琉 ひびき
リヒテンシュタイン伯爵夫人(エリザベートの女官長): 芽吹 幸奈
スターレイ夫人(エリザベートの女官 ): 梅咲 衣舞

エルマー・バチャーニー(ハンガリーの革命家): 瀬戸 かずや
シュテファン(ハンガリーの革命家): 鳳 真由
ジュラ(ハンガリーの革命家): 芹香 斗亜
ツェップス (オーストリーの反体制派): 天真 みちる

マダム・ヴォルフ: 大河 凜
黒天使(マデレーネ): 水美 舞斗

黒天使: 冴月 瑠那、白姫 あかり、真輝 いづみ、舞月 なぎさ、和海 しょう、優波 慧、千幸 あき、紅羽 真希、亜蓮 冬馬
女官: 鞠花 ゆめ、 桜咲 彩花、華雅 りりか、乙羽 映見、朝月 希和、花乃 まりあ

死刑囚の母: 菜那 くらら
ヴィンディッシュ嬢: 仙名 彩世
三井住友VISAカード ミュージカル
『エリザベート-愛と死の輪舞(ロンド)-』

脚本・歌詞/ミヒャエル・クンツェ
音楽/シルヴェスター・リーヴァイ
オリジナル・プロダクション/ウィーン劇場協会
潤色・演出/小池 修一郎

[解 説]
 上演回数799回、観客動員数192万3千人――今や、宝塚歌劇を代表する人気ミュージカルとなった『エリザベート』を、宝塚歌劇100周年を記念し上演します。一人の少女がオーストリア皇后になったことから辿る数奇な運命に、黄泉の帝王という抽象的な役を配した独創的なストーリーから成り、美しい旋律で彩られたミュージカル・ナンバーは高い音楽性を持ち、多くの人々を魅了してきました。世界各地での海外上演に先駆け、1996年に宝塚で初演されてから、今回で8度目の上演となります。花組新トップスター明日海りおがトート役を演じる大劇場お披露目公演です。

以上、公式HPより。

以下は寸評です。
一幕目は…☆

だいもん(望海)ルキーニははまり役。
フランツ北翔さんは扉越しに歌いかけるあたりから本領発揮。
水色軍服ピンクとブルーのお化粧の登場時はヴィジュアル的にちょっと無理が・・・落ちついた感じの方がお似合いですね。優しい人柄がにじみ出るようなフランツでした。柔らかく包み込むような歌声は絶品。

蘭ちゃん(蘭乃)エリザは子供時代が似合っていました。
お歌はよく練習した!と思いますが、掛け合いの歌であまり相手の言うことを聞いていないな感があり…。
まだ、自分のパートをきちんと歌う、ということに精いっぱいなのかな?と。
あと、自己主張をする場面、キャンキャン言っているような真飛さん時代からのらんはなちゃんの欠点を思い起こさせられてしまいました。
ドレス姿はお人形のようにキレイです
ただ、あの白いドレスでフランツの前に姿を現す場面、ハンガリーで民衆の心をつかむ場面、皇后陛下としての辺りを払う威厳やオ―ラはもっと出してほしいなと思いました。

みりおちゃん(明日海)はトートダンサーより3センチ高いヒールで、ヴィジュアルの作り込みは美しく、声にも深みがあって堂々としていますが、黄泉の帝王のまがまがしさはないかも?
カフェで一般の紳士の姿に身をやつして革命家たちと握手するのが違和感無さ過ぎでした。
これは彼女のナチュラルな役作りを身上とする個性から来ているのでしょうし、舞台でのオーラの色は掛け合う相手との化学反応もあると思うので、これからの変化を待ちたいと思います。

一花ちゃん(桜)ゾフィーが大変立派で自信タップリで 対するエリザが感情的でキャンキャン言うので、子供の教育はエリザにまかせない方が良かったのでは…と危惧するわたくし^^;
ゾフィーの方が旧式ながらも一本筋の通った帝王教育をしてくれそう。

トートダンサーズが麗しいのはタカラヅカならでは、ですね

第二幕冒頭、ルキーニ、まぶしさにのけぞるポーズ。まぶしい!と思ったら星組の柚希礼音さん!写真を撮らせてもらいますよでの「鳩が出ますよ!」でした。

柚香光ちゃんのルドルフはみりおちゃんトートとお似合い
贔屓目もあるのかもしれませんが、エリザベートとの絡みよりみりおトートが魅力的に見えました
軍服とか苦悩とか・・・ルドルフ役って良いですね

退団のがりんちゃん(大河)もマダムヴォルフは華やかでキレイで前作の大女優役より数倍良かったです。彼女は一幕では結婚式列席者、宮廷の人などでの軍服姿もあり、男役としての彼女のファンの方はホッとされているのでは、と思ったことでした。

マイティー(水美)のマデレ―ネは完全にネタです^^;(ファンの方、ゴメンナサイ!黒天使では本領発揮でステキですよ!)。筋肉質のマーメイド。マダムヴォルフコレクションの並み居るカワイイ花娘の中から敢えてマイティーを選ぶ陛下のご趣味がわかりません・・・
例えて言えば、月組の珠城りょうくんの蘭の精役での全身タイツのような感じですが、あれはショーなので男らしい役作りが許されていましたがマデレーネはあくまで妖艶なので…

精神病院を訪問したエリザベートに、自分こそがエリザベートだと思い込んでいる患者が出会う場面、患者役ヴィンディッシュ嬢の仙名さんはお歌が上手で可憐。狂気を強調せず、遠くを見るようなはかなげな演技。お顎はすっきり見えました^^

革命家トリオ、あきらくん(瀬戸)、まよちゃん(鳳)、キキちゃん(芹香)は素敵でした。
この人たちに華があるのが、また、タカラヅカクオリティですね。

黒燕尾にあたるゴールド燕尾の渋紫ベストの場面、みりおちゃん以外、センターみっちゃん(北翔)、上手だいもん(望海)下手キキちゃん(芹香)。5人口になると、だいもん側にあきら(瀬戸)、キキちゃん(芹香)側にカレーくん(柚香)劇団のスター配置の意図がよくわかります。

エトワールのかのちゃん(花乃)は襟のつまった長袖の真っ赤なドレスで上半身がゴツく見えてしまいました。
キーも低めの声の彼女には不得意なハイトーンで固い響きに聴こえ、全体的に残念でした。
新公主演で次期娘イチの実力を見せて欲しいものです

わたくし、タカラヅカの娘役さんエリザを観たことがないからかも、ですが。(凪七さんは観ています)
観ている間は、みりおちゃんトートとゆずかれいちゃんルドルフが素敵!とか一花ちゃんゾフィー様高貴過ぎる!とか、それなりに楽しく観賞していたのですが・・。

見終わってから、何だか、しっくりこない感じがあって振り返ってみると…

…シシィが違うのだと。

わたくしの中のシシィイメージは自由を渇望する強い生命力の輝きで、皇帝も黄泉の帝王も惹きつけてしまう魅力の持ち主でなくてはならず…映画で言えば、ロミー・シュナイダー、東宝の一路さんにはそれがあったと思うので。

センター以外は歌にも破綻なく、練れた歌唱で、役もほとんどはその役者と合っていた今回の配役で、やはりゴシック調の豪華なセット、印象的なメロディーなど、久しぶりの宝塚エリザ、大人気なのは頷けますが、何度も繰り返し見たいかというと、やや微妙です。
願わくは、東京公演楽近くで、どこまでエリザベートが役を深めて、周りとの対話としての歌唱が出来てきたかを改めて検証したいと思ったことでした

実はこの日、凰稀かなめディナーショー初日(@ホテル阪急インターナショナル)のための遠征だったのですが、色々とネタばれするとつまらないので、東京千秋楽(9月2日)が終ってから記事はUP致しますね
・・・本当に・・・素敵でした


バレエ・リュスの衣装展

2014-08-23 06:30:13 | ART
2014年8月22日、六本木の国立新美術館で9月1日まで開催中の

現代の芸術・ファッションの源泉 ピカソ、マティスを魅了した伝説のロシア・バレエ
「魅惑のコスチューム:バレエ・リュス展」
Ballets Russes: The Art of Costume
に行って参りました。

レオン・バクスト
「青神」の衣裳(《青神》より)1912年頃

バレエ・リュスとは、1909-29年にディアギレフによって主宰され、20世紀初頭の動乱の時代に、舞踊や舞台デザインの世界に革命をもたらしたバレエ団のこと、です。

天才的なインプレサリオ(興行主)であったディアギレフ(1872-1929)は、ヒトを惹きつけずにはいられない魅力と実行力洗練された教養の持ち主で、パリでロシア帝室バレエ団出身のメンバーを率いて興行を打ち、一大センセーションを起こしたことで知られていますが・・・。

パリにも、といいますか、もともとイタリアで始まり、フランスの太陽王ルイ14世が洗練させたバレエですから、勿論フランスにもバレエはあったのですが、当時はロマンチックな女性を主体とした演目が主流。
そこに、ロシアの民族舞踊をベースにしたテクニックを満載した男性の超絶技巧をふんだんに取り入れたロシア・バレエを観て、特にニジンスキー(1889―1950)をはじめとする男性舞踊手のエネルギッシュなパフォーマンスがパリっ子には新鮮だったと思われます。

オーギュスト・ベール《《薔薇の精》─ニジンスキー 1913年

勿論、ストラヴィンスキー、リムスキー・コルサコフといったロシアの作曲家たちも、このバレエ団の公演でパリで知名度を増し、レオン・バクストらのエキゾチックな衣装がバレエ・リュスの魅力を高めていたこともありますが、じきにディアギレフは当時のパリに集結していた様々な分野の才能~ジャン・コクト―、アンリ・マティス、マリ―・ローランサン、パブロ・ピカソ、ジョルジュ・キリコ、ココ・シャネルらとのコラボレーションを始め、「バレエ・リュス」は「ロシア・バレエ」という本来の名前の枠を超えて文化の実験場的な様相を呈してくる・・という特異な発展を遂げて行きます。

このバレエ団はパリを中心にヨーロッパ各地やアメリカ、オーストラリアなどで公演しましたが、実はロシアで公演したことは一度もなかったそうです。伝説のダンサー兼振付家ニジンスキーをはじめ、レオニード・マシーン(1895-1979)やブロニスラワ・ニジンスカ(1891-1972)、セルジュ・リファール(1905-1986)、ジョージ・バランシン(1904-1983)ら、20世紀におけるバレエの革新に大きく貢献した振付家を輩出し、ストラヴィンスキーが広く世に知られる契機となったのも、ディアギレフに依頼されバレエ・リュスのために作曲した《火の鳥》(1910年)や《春の祭典》(1913年)です。
ディアギレフ没後、リファールはパリ・オペラ座の芸術監督を務め、バランシンはニューヨーク・シティ・バレエ団の母体をつくるなど、世界各地のバレエ団の礎はバレエ・リュス出身のダンサーたちによって築かれました。

オーストラリア国立美術館が有する世界屈指のバレエ・リュスのコスチューム・コレクション32演目、約140点の作品を中心に、デザイン画や資料などもふんだんに揃えられ、会場のあちらこちらで、動画、ドキュメンタリーも放映されていたり・・とわたくしは2時間くらいかと余裕をみて訪れたのにもかかわらず、最後は駆け足になってしまいました。

「ペトリューシカ」「眠れる森の美女」「牧神の午後」「シェへラザ―ド」など、あぁあの!と思う作品のコスチュームもありますが、「青神」「不死身のカスチェイの従者」「女王タマ―ルの友人」など、知らない演目も多く、会場に丁寧に用意された、作品のあらすじ、それに対するキャストとその衣装の対照表など、舞台を彷彿とさせる仕掛けや音楽が上手に取り込まれて、非常に興味深く見られるように工夫されています。


レオン・バクスト「女王タマールの友人」、「女王タマール」、「レズギン人」の衣裳(《タマール》より)1912年頃

衣装そのものも、間近でみられるので、大胆な意匠がアップリケやステンシルでどのように表現されているのか、衣装の素材の重厚感や金モールや鎖で作られた模様の状態など、細部に渡って観ることができ、とても面白く思いました。

今回の展示がオーストラリアでのコレクションである、ということも大変に感慨深いものがあります。
ディアギレフの死後も、バジル大佐という人物に引き継がれ、オーストラリアも含めて世界巡業を行うのですが、とりわけ歓迎が熱烈であった、オーストラリアに定住しバレエ教室、バレエ団を設立したメンバーが多くいたことなどから、特別に縁があったのだということを、実はわたくしは2010年のオーストラリアバレエ団の来日公演時に知ったことがあり・・。
http://yaplog.jp/maria-pon/archive/531
オーストラリア国立バレエ団の「くるみ割り人形」は、バレエ・リュス出身のロシア人ダンサーたちがオーストラリアで余生を過ごしている・・・というところから始まるお話に仕立てられていたのですよね。
その舞台を思い出したりしつつの観賞で、
とりわけ感慨深く感じたことでした。




レオン・バクスト、アレクサンドル・ゴロヴィン
「不死身のカスチェイの従者」の衣裳(《火の鳥》より)1910年



「モード・オブ・バービー展」

2014-08-19 10:53:22 | ART
2014年8月5日(火)~17日(日)
渋谷の西武A館7Fスペースで行われた、バ―ビ―人形の生誕55周年記念展「モード・オブ・バ―ビ―展」を観て参りました。


会場に並ぶのは、約250点のバービーたち。
バービーは、米マテル社が1959年にニューヨーク・トイ・フェアで発表したファッションドール。
1962(昭和37)年に日本でも正式に発売され、この頃のバ―ビ―の服や小物は仕事が丁寧で、小さなものを創意工夫で作りだす職人芸が息づく東京で作られていたとか。
細かいところまで良くできていて感心します。

これは、1964年のスクール・ポニーテール・バ―ビ―の1965年コレクション、「プードル・パレード」。
ドッグショーで愛犬のプードルが賞を!という場面で、バッグにプードルがいたり、トロフィーまで付属品が作られていて感動。
個人的にこの時代のファッションが大好きなので、ワクワクしてみておりました。

コレクター関口泰宏さんのコレクションで初期から現代までを振り返る「ファッションヒストリー」や未公開コレクション、クリエーターとのコラボドールなどが紹介されていて、観ごたえ充分。

 流し目に赤いリップ、5枚の布を縫い合わせて作られたボーダーのスイムウエアの初代バービーをはじめ、当時、米本国では水着姿が主流だったのに対し洋服を着させて販売した「日本仕様」や、植毛のまつ毛とストレートヘアが特徴的な「モッズ期」(1965年~)、白い歯がのぞく笑顔の「スーパースター期」(1977年~)など、ドールの変遷を目の当たりにすることが出来、時代とファッションをコンパクトに表現したバ―ビ―の世界、見ていてとても楽しかったです。
同じディオール調のスーツでも、膝下タイトに7分袖のアメリカ版と膝丈ミニに長袖の日本版があったりしてそんなこだわりにも感心。
70年代からは素材がぐっと安っぽく?なって、付け睫毛も目頭から目尻まで同じ長さがふさふさしてちょっと雑な感じ。
21世紀から経営方針が変わったのか、デザイナーや作家とのコラボレーションで、驚くほど精巧なファッションドールの世界を堪能できます。


バ―ビ―のイラストなどでも有名な「リゼット・バ―ビ―」2001年。

2003年、NYのグッケンハイム在団の展覧会に出品されたドレスをまとったアルマ―二・バ―ビ―。

左がヴェルサーチ、右がウェディングドレスで有名なヴェラ・ワン。2004年。
ヘアメイクもデザイナーの指示でカスタマイズされているそうで、そこも含めての世界観を堪能できます。
いかにも、なお顔立ちに仕上がったバ―ビ―を見比べるのが楽しい

これはデザイナーの顔写真とコメントが入ったスペシャルBOX入りの「ライフ・ボール・バ―ビ―」
Valentinoでエレガントゴージャス。他にラクロワなど3体が展示されていました。

クリスチャン・ルブタンコレクションも。
後ろ左の3体はSANRIOで、左から3つ目が2007年「HELLO KITTY」左端はMyMelodyです^^

意外と(?)楚々としたコム・デ・ギャルソン。2009年。

個人的にツボだったのが
「女の子の憧れの職業」バ―ビ―。手前左端のアーティスト、右端ショーダンサー、その隣のバレリーナ^^
後ろの列左から3体目のファッション・エディターのコーディネートは今でもそっくりそのまま真似したいほど好みですv


最後のコーナーに今の日本の有名人とのコラボコーナ―がありましたが、この人形作家さんの和の花嫁バ―ビ―は優雅で秀逸。べっこうの簪まで丁寧に作られていて思わず見行ってしまいました。

ヘアメイクコンセプト全てに完成度が高くて2度見したのがこちら。
銀のスパンコールのショーハットとスリットの中のピンクのガーター黒網タイツが洒落ていてステキ。
女優の萬田久子さんのプロデュースでした

場内写真撮影可、ということと、渋谷という土地柄もあってか、若いファッション好きの女性で大賑わい。あ、これ好き!これイイ!と友達どおしでワイワイ言いながら盛り上がって写メの流れで、会場は熱気に溢れていました。



宝塚雪組「一夢庵風流記 前田慶次」新人公演 東京宝塚劇場

2014-08-15 12:15:50 | TAKARAZUKA
2014年8月14日(木)18:30~

東京ではチケット取れないから・・とわざわざ大劇場に遠征したのになぜ?なぜチケットが??

はい、大劇場の御挨拶で主演の月城かなとくんが「東京の新公では一層進化した姿をご覧いただけるよう精進します」とおっしゃっていたので・・・やはりその「進化」を見届けなくては、と。

行って参りました。

で、挨拶での予告通り、進化した姿を見せてくれたのは・・ *新人公演役者(役名・本役)で寸評を。

■月城かなと(前田慶次・壮一帆)

ムラの新公でも出来過ぎ!と思いましたが、東京では、間の演技、リアクションの表情などに余裕が出てきました。
慶次、という役が身の中に入って、そこからまだまだ繰り出せるバリエーションを持っているのではないかと思うほど。精一杯やっている感もあるのですが、決していっぱいいっぱいではなく、舞台上での相手との真剣勝負を楽しめる境地に至っている感じ。
ご挨拶で、「日本物の雪組の伝統を継承したい」との抱負を力強く語っていましたが、あまりに出来過ぎてハマり役であったがために伸び代がないのでは、などと気の早すぎる悲観論が出るほどの彼女、これから、全然異なる世界観でのセンターも観てみたいと思いました。
見てはいませんが、平凡なサラリーマンを宝塚TOPが演じるというある意味難易度の高いShall We Dance?の主役も新公で経験済で評判が良かったことを考えると、このまま伸びて行かれるのではと期待。
なんといっても慶次のカブいた派手やかなお衣装を何着も着こなし、馬上の姿などは一幅の絵のように凛々しく美しい舞台姿の良さは最大の武器でしょう。
傀儡の長である庄司又左衛門との勝負の場面、相手をリスペクトする心意気が、それを受ける久城あすくんの演技の明確さと相まって感動的。
姿と心が相まってセンターとしての求心力を紡ぎ出す様をまさか新人公演で観られるとは。
良いものを見せてもらいました。

■有沙瞳 (まつ・愛加あゆ)

明瞭な発声と演技と歌の良さ。打てば響く答えの良さ。明朗で頭の回転の速いまつ像は本公演の愛加さん同様。
登場してすぐの歌、ムラよりも緊張しているのか、ちょっと調子が出るまでに時間がかかりましたが、エンジンがかかるとしっかりと芝居の世界で役を作って生きられる技量の持ち主。
最後の別れのセリフ、それ自体の抑揚は悪くないのですが、最後の余韻が乏しいのが残念。
緊張して端折ったのか・・・。VISUALは程よい身長でれいこちゃん(月城)との身長差も良く、中高のお顔立ち。瞼が重いかな?とも見えますが和物化粧のせいかも。これで洋風のお化粧でお目メパッチリなら路線候補ですね。

■永久輝せあ (奥村助右衛門・早霧せいな)

この役は・・・難しいんだなと思います。出番のほとんどは笛を吹いていたり見守っていたり。
そして、言葉を発する時には前田家一の重臣として、若くても信頼のおける出来る家臣を演じ、慶次との会話ではゆるぎない友情とまつとの恋の理解者としてともに悩む姿を見せなくてはいけない、ひとつひとつのセリフが際立って存在感を示す必要があるのですが・・・。
永久輝さんの演技はナチュラルで、歌も歌えるし声も悪くないのですが、全体に穏やかな分、友情の場面の関係性の近さ、幼馴染感は出ても、ピリッと場面を引き締めるべき家臣としてのセリフについては2番手が長く芝居の上手いちぎちゃん(早霧)と比べてしまって・・・。
舞台姿に華があるのは流石97期抜擢スター。
こんどはもっとアクティブな攻める役で観てみたいです。
あ、前田利家様から秀吉様への献上品がキャトルで大人気のぬいぐるみ「松風」だったのですが(笑)、その後ろで、助右衛門様が「完売」の巻物を広げていらっしゃいました^^

■真地佑果 (深草重太夫・夢乃聖夏)

ムラから愛嬌があって大きくていいなぁと思っていましたが、東京に来て、本当に伸び伸びと舞台いっぱいに演技をしていましたね。
ちょっと鼻にかかったようなクセのある、でも良く通る声で、アドリブも入れて、しっかりと受けを取っていました。
慶次とまつの逢瀬をのぞき見て、や・け・る~^^と飛び出してくるところ、まさかのホップステップジャンプの大きな動きで、朗らかでアクティブな、本役夢乃さんと同じ系統の演技で、彼女もハマっていました。
最後の見せ場、自分で気づいていなかったかもしれませんが心惹かれていた少女捨丸の亡きがらに「忘れもんだぜ」とかんざしを挿してやる演技、声の調子といい間と言いほろりとさせられて。。。
「心中・恋の大和路」で、コミカルな丁稚役を好演しており、こういう役がニンなのかもしれませんが、芝居心のある人ゆえ、もっと違った役どころでも・・と思ったことでした。

■煌羽レオ (雪丸・未涼亜希)

きれいなのにどうしてxxxと期待され続けて、でも新公オスカルという大役がついたときにも、あれ、もっときれいになると思ったのに??となかなか抜擢に応える演技を見せるに至らなかった感がある煌羽さん。
頭の形の良い美形のダンサーとして、なんとなく目に入ってきて気になるヒトではあったのですが。
ムラでは、本役同様、色気があり、スモークやセリ上がり、雷音での登場とまがまがしさいっぱいの芝居っ気たっぷりな演出を背負って、それに負けないクールな色気を醸し出さなくてはならない役をそのままなぞるのが精いっぱい・・・。
という感じに見えたのですが、東京に来て、お得意ではないはずのお歌も安定。存在感も雪丸らしさが出て、この一月での成長にオッと思った人でした。
もっと早くからこの域に達していれば・・と惜しまれます。次の新公が主演のラストチャンスの年代。チャンスが巡ってくると良いですね。

■久城あす (庄司又左衛門・香稜しずる)

傀儡子の長。ジプシーの如く、様々な技芸に秀でながらも表舞台で活躍する場を与えられない運命の身分、傀儡。
この作品は同じ裏社会に生きる忍びの一家「偸組」の長 雪丸と同じく、一族を表社会に出したいという野望を持ちつつ、あくまで正攻法(北条氏との契約)でそれを実現しようとする複雑な人物を明確に演技で伝える技量の持ち主。
前田家当主の嫡男という正統派の頂点から、傾寄ものの浪人に身を落としながらもアウトサイダーとしてやはり誇り高く生きる慶次は又左衛門の素性を嗅ぎつけつつも、彼の生き方・理想を尊重する姿勢を崩さず、又左衛門もまた、そのことを受け止め意気に感じる・・・。
感謝、理解、人としての尊厳という理想に対する共感と滅びの予感。
この2人のスリリングな関係性を、見事に浮き彫りにした久城・月城コンビの場面は見事でした。
本公演のお二人もとても良いのですが、新公の2人も拮抗した演技を見せてくれたと思います。

■真條まから (徳川家康・一樹千尋)

研3です。嘘でしょう・・と言いたくなる堂々たる歌、セリフ。
専科の一樹さんが含みたっぷりに演じる狸オヤジと遜色ない出来。
身分を偽って諸国視察の狸っぷりも、場面転換の陣ぶれコールも素晴らしい。
同じ日本物の名作「心中・恋の大和路」では冒頭の蜆売りの低い呼び声と腰を落とした歩き方で、一気に観客を時代劇の世界観に引き込み、あの蜆売りの子ダレ?と話題を呼んだ記憶もまだ新しい、そんな彼女ですが・・・。
研3でこれですからね・・・。ホントに末恐ろしいデス。
どのポジションを目標とされているのかはわかりませんが・・・。長く活躍してほしいですね。気が早いですが^^;

■桜路薫 (豊臣秀吉・夏美よう)

そしてもう一人の専科さん役。
剽げた秀吉イメージを持っているとあれ?と思う、デキル感じの天下人です。
御前に現れた慶次の無礼な意地の張り方を検分し、最後認めるまで、ちょっとハラハラさせる冷たい理知的な彼の中での思いのめぐらし方が目に現れる演技など、決断に至るまでの心理戦、あけっぴろげに見せて実は食えない冷酷さなど、複雑な秀吉像を丁寧に演じていました。

■天月翼 (前田利家・奏乃はると)

コミカルな小人物をアクセントを効かせた演技で見せました。
本役さんより更に小物感とコメディアンらしさを強調していたような・・・。メリハリがあって小芝居感が溢れていて、舞台での居方が上手いなと思いました。
彼女も充実の95期、研6ですね。

■星乃あんり (深草屋しげ・麻樹ゆめみ)

だれよりもキュッと引き締まったCUTEさと小顔で可愛らしさ抜群の彼女、路線娘役候補としてずっと使われているうちに、苦手なお歌がネックとなって、注目されていた娘役同期が次々TOPへの階段を上った今、今後の方向性を心配されるようになってきたところ・・・だと思うのですが。
今回は、彼女のもしかしたら、さっぱりとしたちゃきちゃきとした性格と言われる地の部分を上手に使った姉御演技。
これがとても上手くて・・・。
弟たちにテキパキ指図しつつも甘えられると仕方ないねぇな姉弟関係が、愛らしい小柄な容姿と相まってとても微笑ましく表現されていた新公配役、でした。
これをきっかけに、これから幅広い役どころに挑戦できるといいなと思います。

■星南のぞみ (捨丸・咲妃みゆ)

そして今、押されている娘役筆頭。雪組美少女。を
本役のみゆちゃんが少年の身なりでありながらも、その華奢さと鋭い動きと発声で、際立つ美少女らしさを表現出来ているのに対し、星南さんは今一つ芯が作れていない感じがありますね。
咲妃さんは同じ新公学年といえど、研4ですし、すでにバウヒロ、新公ヒロインなど経験も積んでの役なので、経験値が全く違う星南さんを比べるのは酷なのですが・・・・。今回の新公、他が出来過ぎなので、普通の新公レベルだった星南さんに厳しくなってしまいました^^;
お顔立ちが可愛くて、まだ研3ですし、成績は学年3位と実力のある方なので、今後に期待です。



ムラの新公では、観るこちらも、本公演の本役の演技がまだそれほどフィルターとなるほど入っていない状態で、言わば素に近い状態での観賞記となりましたが、今回は東京での本公演も何度か観た後の新公とあって、比較しての辛口視線が出てきたかもしれません。
また、舞台全体に漂う空気も、ムラはとにかく一丸となって無我夢中の熱さ・・・の中で各々が繰り出す技がスパークする・・・ような興奮がありましたが、東京では、落ち着いて、それぞれの役で表現したかったことを出していこうとする意欲と、逆に準備していたのに、いざとなると緊張からかやや空回り気味になったり・・(上手いのに無駄に早口になってしまって残念とか)という部分が散見されたのは新人公演ならではの風景ですね。
月城さんは、対する相手との対話での心の動きを丁寧に演じようと言う段階に確かに進化されているなと思わせるものがありました。

夏の蒸し暑い夜ではありましたが、新公直後ならではのファンと新公主演者の空気を味わってみたいなと、珍しくギャラリーをしてみました。

月城さんは黒のシャツとスリムなパンツ。ハット着用ではありましたがツバの下の大きな瞳と落ち着いて笑顔でお礼を言いながら1人1人のファンの方からお手紙を受け取る姿に丁寧で育ちの良い方なのだろうなと思わせる雰囲気がありました。
まわりのギャラリーのオバサマ方からも「トップになる子やわ」「眼力があるわ」「クセがなくていいわ」などとの声が漏れ聞こえ・・・。
今後の活躍を観て行きたい人を(また1人)見つけてしまいました